特許第6287666号(P6287666)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6287666
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】排水処理方法及び排水処理装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/44 20060101AFI20180226BHJP
   B01D 61/02 20060101ALI20180226BHJP
   B01D 61/12 20060101ALI20180226BHJP
【FI】
   C02F1/44 K
   B01D61/02 500
   B01D61/12
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-154419(P2014-154419)
(22)【出願日】2014年7月30日
(65)【公開番号】特開2016-30243(P2016-30243A)
(43)【公開日】2016年3月7日
【審査請求日】2016年8月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004123
【氏名又は名称】JFEエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116713
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 正己
(74)【代理人】
【識別番号】100094709
【弁理士】
【氏名又は名称】加々美 紀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179844
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 芳國
(72)【発明者】
【氏名】住野 諒
(72)【発明者】
【氏名】木村 陽介
【審査官】 片山 真紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−016100(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/007262(WO,A1)
【文献】 特開昭48−086137(JP,A)
【文献】 実公昭48−031004(JP,Y1)
【文献】 特開2010−064016(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/44、5/00−14
B01D 61/00−71/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボイラを有する廃棄物の焼却プラントから排出される機器冷却水ブロー水とボイラブロー水とを含む排水を逆浸透膜処理装置を用いて処理する排水の処理方法であって、
タイマ制御により一定時間毎に排出される機器冷却水ブロー水及びボイラブロー水を原水槽に供給し、混合し貯留して逆浸透膜処理用原水とし、
前記機器冷却水ブロー水の前記原水槽への供給量と、前記ボイラブロー水の前記原水槽への供給量とは前記逆浸透膜処理用原水中のスケール成分の濃度が所定の設定値を超えないような割合とし、
前記原水槽内の逆浸透膜処理用原水を前記逆浸透膜処理装置に供給して逆浸透処理を行うことを特徴とする排水の処理方法。
【請求項2】
機器冷却水ブロー水を原水槽に供給する経路の途中に機器冷却水ブロー水を再利用水槽に供給するバイパス経路を設けると共に、ボイラブロー水を原水槽に供給する経路の途中にボイラブロー水を純水再生排液槽に供給するバイパス経路を設けて、逆浸透膜処理装置への機器冷却水ブロー水及びボイラブロー水のそれぞれの原水槽への流入量を調整するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の排水の処理方法。
【請求項3】
ボイラを有する廃棄物の焼却プラントから排出される機器冷却水ブロー水とボイラブロー水とを含む排水を処理する排水処理装置であって、
前記焼却プラントの機器冷却水の一部をタイマ制御により一定時間毎に排出する機器冷却水ブロー手段と、
ボイラブロー手段と、
前記機器冷却水ブロー手段により排出された機器冷却水ブロー水及び前記ボイラブロー手段により排出されたボイラブロー水が原水として供給される原水槽と、
前記原水を逆浸透膜処理する逆浸透膜処理装置とを有し、
前記機器冷却水ブロー手段及びボイラブロー手段は、原水槽内の原水中のスケール成分の濃度が所定の設定値を超えないように、前記機器冷却水ブロー水及び前記ボイラブロー水をブローすることを特徴とする排水処理装置。
【請求項4】
機器冷却水ブロー水を原水槽に供給する経路の途中に機器冷却水ブロー水を再利用水槽に供給するバイパス経路を設けると共に、ボイラブロー水を原水槽に供給する経路の途中にボイラブロー水を純水再生排液槽に供給するバイパス経路を設けたことを特徴とする請求項3に記載の排水処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物を焼却処理するプラントから排出される排水を処理する排水処理方法及び排水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
廃棄物の焼却プラントにおいては、一般的に、焼却装置に加えて、燃焼によって発生した熱を有効利用するために燃焼排ガスの熱回収装置と発電装置、熱回収された燃焼排ガスをさらに減温する減温装置、排ガス処理装置等が備えられている。また、焼却プラントから排出される排水は、凝集剤を加えて凝集物を分離し、微生物処理で浄化して放流するなどされていた。
【0003】
ところで、廃棄物の焼却プラントは機器を冷却するための循環冷却水系を備えている。この循環冷却水系においては、系内のスケールになり得る成分(以下、スケール成分という)の濃縮によるスケール障害を防止するために、冷却塔から系内の水をブロー水として排出し、このブロー水量に見合う水量の水を補給水として補給している。このブロー水は、硬度成分やシリカ等のスケール成分が高濃度に濃縮された水であり、このブロー水から水を回収して循環冷却水系の補給水として再利用することは処理コストを増加させる。
【0004】
しかしながら、近年、焼却プラントから排出される排水の排水処理方法としては、環境問題に対応するために排水処理によって浄化された浄化水を極力外部に放流しない方法を採用することが求められている。
【0005】
浄化水を極力放出しない方法として、例えば特許文献1には浄化水の放流量を減らすために、浄化水を減温装置内に噴霧して気化させ、その気化熱で燃焼排ガスを減温する方法が記載されている。
【0006】
また、特許文献2には、気化熱で減温する方法は、噴霧水量が多いと気化熱による減温が大きくなり、その分、熱回収装置での熱回収量が減り、発電量が低下することになるため、排水を逆浸透膜によって膜分離して膜を通過した水を放流または工業用水として再利用し、膜を通過しなかった濃縮水のみを減温装置で噴霧することにより噴霧水量を低減させる方法が記載されている。
【0007】
しかしながら、循環冷却水系の冷却塔から排出されたブロー水は硬度成分やシリカ等のスケール成分が既に析出限界にまで濃縮された水であるため、このブロー水を直接逆浸透膜処理装置で処理すると、逆浸透膜処理装置内でのスケール成分の濃縮により、逆浸透膜面に直ちにスケールが発生し、運転を継続することができなくなる。
【0008】
特許文献2記載のものにおいては、機器冷却水ブロー水を含む排水を逆浸透膜によって処理する際、濃縮口に析出物(スケール)が発生することを防止する目的で、逆浸透膜入口側で原水にスケール防止剤を添加している。逆浸透膜入口側原水にスケール防止剤を添加することにより、原水に含まれるスケールになり得る成分(イオン状シリカ、カルシウムイオン、マグネシウムイオンなどの硬度成分、溶解性蒸発残留物、重炭酸など)がスケールとなって析出することを抑制している。
【0009】
通常、ブローのタイミング及びブロー水量は以下のようにして制御される。
系内にスケール析出が起こらない濃縮倍率に相当する導電率を上限設定値とし、導電率がその上限設定値に達した時点で冷却塔の底部から、濃縮された冷却水をブロー水として系外へ排出し、補給水で全体を希釈することにより、循環冷却水を一定の水質で運転管理する。ここで、ブロー水量を多くして、系内のスケール成分濃度を低くして運転すると、補給水を多く必要として、水のコストが増大し、ブロー水量を少なくして高濃縮運転を行うと、冷却水中のスケール成分が溶解度を超え難溶塩のスケールが析出することとなる。
【0010】
前記のように、機器冷却水のブローは導電率制御による間欠運転であるため、機器冷却水ブロー水とその他排水との混合比が安定せず一時的にスケール成分の濃度が高くなり、逆浸透膜処理装置にスケール防止剤の能力を上回る原水が流入してスケールが発生する恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2003−74832号公報
【特許文献2】特開2010−64016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は逆浸透膜処理用原水のスケール成分の濃度変動を抑えてスケールの発生を防止する排水の処理方法及び排水の処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は、上記課題を解決するべく検討を進めた結果、高濃度のスケールになり得る成分(スケール成分)が含まれている機器冷却水ブロー水のブロー制御を導電率制御ではなくタイマ制御とすることにより高い頻度で機器冷却水のブローを行い、定量的に発生するその他の排水と常に一定の割合で混合させて濃度変動を抑えることにより前記課題を解決することができることを見いだして本発明を完成した。
【0014】
本発明は以下に記載する通りの排水処理方法及び排水処理装置である。
(1)ボイラを有する廃棄物の焼却プラントから排出される機器冷却水ブロー水とボイラブロー水とを含む排水を逆浸透膜処理装置を用いて処理する排水の処理方法であって、
タイマ制御により一定時間毎に排出される機器冷却水ブロー水及びボイラブロー水を原水槽に供給し、混合し貯留して逆浸透膜処理用原水とし、
前記機器冷却水ブロー水の前記原水槽への供給量と、前記ボイラブロー水の前記原水槽への供給量とは前記逆浸透膜処理用原水中のスケール成分の濃度が所定の設定値を超えないような割合とし、
前記原水槽内の逆浸透膜処理用原水を前記逆浸透膜処理装置に供給して逆浸透処理を行うことを特徴とする排水の処理方法。
(2)機器冷却水ブロー水を原水槽に供給する経路の途中に機器冷却水ブロー水を再利用水槽に供給するバイパス経路を設けると共に、ボイラブロー水を原水槽に供給する経路の途中にボイラブロー水を純水再生排液槽に供給するバイパス経路を設けて、逆浸透膜処理装置への機器冷却水ブロー水及びボイラブロー水のそれぞれの原水槽への流入量を調整するようにしたことを特徴とする(1)に記載の排水の処理方法。
(3)ボイラを有する廃棄物の焼却プラントから排出される機器冷却水ブロー水とボイラブロー水とを含む排水を処理する排水処理装置であって、
前記焼却プラントの機器冷却水の一部をタイマ制御により一定時間毎に排出する機器冷却水ブロー手段と、
ボイラブロー手段と、
前記機器冷却水ブロー手段により排出された機器冷却水ブロー水及び前記ボイラブロー手段により排出されたボイラブロー水が原水として供給される原水槽と、
前記原水を逆浸透膜処理する逆浸透膜処理装置とを有し、
前記機器冷却水ブロー手段及びボイラブロー手段は、原水槽内の原水中のスケール成分の濃度が所定の設定値を超えないように、前記機器冷却水ブロー水及び前記ボイラブロー水をブローすることを特徴とする排水処理装置。
(4)機器冷却水ブロー水を原水槽に供給する経路の途中に機器冷却水ブロー水を再利用水槽に供給するバイパス経路を設けると共に、ボイラブロー水を原水槽に供給する経路の途中にボイラブロー水を純水再生排液槽に供給するバイパス経路を設けたことを特徴とする(3)に記載の排水処理装置。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、逆浸透膜処理装置に供給される原水のスケール成分の濃度変動を抑えて逆浸透膜処理装置におけるスケールの発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の排水処理方法を実施するための排水処理装置の一例の概略構成を示す図である。
図2】本発明の排水処理装置の一例の概略構成を示す図である。
図3】本発明の排水処理方法を実施した場合の逆浸透膜処理用原水中のシリカ成分の濃度変動を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(機器冷却水ブロー水とボイラブロー水との混合)
本発明においては、機器冷却水のブロー水とボイラから排出されるボイラブロー水とを混合し、また必要に応じて他の排水と混合して逆浸透膜処理用の原水とし、これを逆浸透膜処理装置で処理する。
機器冷却水ブロー水及びボイラブロー水はそれぞれ間欠的に発生する。このため、原水の均一化を図るためには原水槽の容量を確保する必要がある。
なお、以下では逆浸透膜を「RO膜」といい、逆浸透膜処理装置を「RO膜処理装置」ということがある。
【0018】
廃棄物の焼却プラントは燃焼排ガスの熱回収装置を備えており、この熱回収装置としては燃焼排ガスとの熱交換により蒸気を発生するボイラ(蒸気発生手段)が用いられる。
ボイラに供給された水(缶水)は加熱されて蒸気を発生し、この蒸気は動力として使用された後、一部又は全部が復水として給水タンクに返送され、給水として循環使用される。
ボイラ中の缶水は蒸気を生産すると共に缶水自体は濃縮される。スケール生成を防止するためにボイラの缶水の一部は缶底からボイラブロー水としてボイラの缶底から排出される。また、ボイラブロー水には缶底ブロー水の他に連続ブロー水もある。
【0019】
逆浸透膜は原水中のシリカ成分の濃度が200mg/L程度となると閉塞する可能性がある。また、RO膜処理装置で膜処理される結果、濃縮水中のシリカ成分の濃度は原水中のシリカ成分の濃度よりも高くなる。
通常、冷却塔における冷却水は濃縮倍率3〜4倍で運転されるため、例えばRO膜処理装置において、冷却水の濃縮倍率よりも低い濃縮倍率、例えば2倍程度で処理を行えば、RO膜濃縮水を冷却原水と共に冷却水系の補給水として十分に使用することができる。
そして、濃縮倍率を2倍とする場合にはRO膜処理装置に流入する原水中のシリカ濃度は通常100mg/L以下に制御する必要がある。
【0020】
ボイラブロー水のスケール成分の濃度は機器冷却水のブロー水のスケール成分濃度よりも低いため、機器冷却水のブロー水にボイラブロー水を混合することにより混合原水のシリカ濃度は機器冷却水のブロー水のシリカ濃度よりも低くすることができる。
そして、原水槽に供給される機器冷却水のブロー水とボイラブロー水との割合を適正に管理することによりスケール成分の濃度を所定の設定値以下とし、かつ原水中のスケール成分の濃度変動を抑えることにより逆浸透膜処理装置において膜分離処理によってスケール成分が濃縮されてもスケール生成を防止することができる。
【0021】
(機器冷却水ブローのタイマ制御)
原水の水質を均一化するためには、機器冷却水ブロー水のブロー間隔を狭めて、頻繁にブローを実施することが好ましい。
従来は機器冷却水のブローを冷却水の導電率によりブローのON、OFF制御を行っているが、その場合、ブローの頻度は少なくなり間隔を短くできたとしても1日に1回が限度である。そして、機器冷却水受水槽の容量が大きいため、新水の補給が開始されるのは20m程度のブローを行った後になり、20m程度を一度にブローさせるとブロー水量が膜処理系原水槽の容量を超えることとなり、容量上不可能であり、また原水の水質を均一化することもできない。
【0022】
そこで、本発明においては機器冷却水のブロー間隔をタイマにて制御することでブロー間隔を狭める。なお、タイマ制御とした場合には機器冷却水が濃縮しやすい夏場に合わせてタイマを設定すると、冬場には過剰にブローすることとなる。そこで、タイマ制御を行う場合、運転員が導電率のトレンドデータを定期的に確認し、タイマ設定値を定期的に、また、季節毎に調節することで、ブロー量が過剰にならないようにする。
【0023】
(缶底ブローと連続ブローの割合)
原水水質の均一化のためには、ボイラブロー水もなるべく均一に排出する必要がある。
ボイラブローには缶底ブローと連続ブローとがある。原水水質の均一化のためには、1回の缶底ブロー量を減らすと共に、1日あたりの連続ブロー量を1日あたりの缶底ブロー量よりも多くすることが好ましい。
現状では、缶底ブローと連続ブローの割合は例えば次のように設定される。
缶底ブロー:130kg/h 12時間に1回ブロー
連続ブロー:50kg/h
本発明においてはRO原水の性状を均一化するために缶底ブローと連続ブローの割合を例えば次のように設定することができる。
缶底ブロー:80kg/h 12時間に1回ブロー
連続ブロー:100kg/h
【0024】
本発明の実施形態の一つを図1に基づいて説明する。
機器冷却水ブロー水(CB)はタイマ制御により一定の時間間隔毎に原水槽1に供給される。また、ボイラブロー水(BB)については缶底ブロー水及び連続ブロー水も原水槽1に供給される。
原水槽1の機器冷却水ブロー水及びボイラブロー水は原水槽1内で均一化されフィードポンプP1によって活性炭濾過装置2に供給される。活性炭濾過装置2から排出された原水はプレ濾過装置3に供給される。
【0025】
前記プレ濾過装置3としては、精密ろ過膜(MF膜)又は限外濾過膜(UF膜)を用いることができる。なお、前段に砂ろ過装置が設けられて既に十分に浮遊性物質が除去できる場合は、目開き1〜3μmの糸巻き型チェックフィルタを用いてもよく、低コスト化が図れて好ましい。
プレ濾過装置3から排出された原水はスケール防止剤溶液槽11から供給されるスケール防止剤を混合された後、高圧ポンプP2によって逆浸透膜処理装置4に供給される。
【0026】
逆浸透膜処理装置4で処理されて得られた逆浸透膜処理水は苛性ソーダ溶液槽12から苛性ソーダ溶液を混合され、また、次亜塩素酸ナトリウム溶液槽13から次亜塩素酸ナトリウム溶液を混合されて逆浸透膜処理水槽5に送られる。
苛性ソーダ溶液は逆浸透膜処理水のpH調整のために、また、次亜塩素酸ナトリウム溶液は殺菌剤としてそれぞれ逆浸透膜処理水に添加される。
苛性ソーダ溶液槽12には苛性ソーダ貯槽14から苛性ソーダが補給される。
【0027】
薬液を混合された逆浸透膜処理水は逆浸透膜処理水槽5から逆浸透膜処理水供給ポンプP3によって機器冷却水受水槽7に送られる。機器冷却水受水槽7に貯留された逆浸透膜処理水は機器冷却水として再利用される。
他方、逆浸透膜処理装置4から排出される逆浸透膜処理濃縮水は逆浸透膜処理濃縮水槽6に貯留される。逆浸透膜処理濃縮水槽6内の貯留水は逆浸透膜処理濃縮水ポンプP4によってプラント系内の汚水槽に送られる。汚水槽の濃縮水は熱回収装置で回収された燃焼排ガスをさらに減温させる減温装置において噴霧処理してもよい。
また、逆浸透膜処理濃縮水槽6には図1に示すように活性炭濾過装置2を逆洗した際に生じる逆洗排水を供給する供給経路を設けてもよい。
【0028】
膜処理系原水槽上流のシステム構成は図2に示したものとすることが好ましい。
機器冷却水ブロー水系における「KS」はタイマによるブローのON、OFF制御を示し、「QISA」は冷却水の導電率による制御を示す。
本発明の排水処理方法においてはタイマによるブローのON、OFF制御を行うが、排水処理施設の運転の自由度を高めるために施設によっては導電率による制御も可能としても良い。
【0029】
機器冷却水ブロー水系においては、RO膜処理装置への機器冷却水ブロー水の流入量を調整できるように、機器冷却水ブロー水を原水槽に供給する経路の途中に機器冷却水ブロー水を再利用水槽に供給するバイパス経路を設けることが好ましい。
また、ボイラブロー水系においては、RO膜処理装置へのボイラブロー水の流入量を調整できるように、ボイラブロー水を原水槽に供給する経路の途中にボイラブロー水を純水再生排液槽に供給するバイパス経路を設けることが好ましい。
このようにバイパス経路を設けることにより逆浸透膜処理装置の故障時に対処することも可能となる。
【0030】
(シミュレーション)
以下にシミュレーション結果を示すことにより本発明の効果を検証する。
なお、本発明の技術的範囲は下記のシミュレーション条件に何ら限定されるものではない。
【0031】
原水であるボイラブロー水及び機器冷却水ブロー水の量を以下のように設定した。
[ボイラブロー水]
設計処理水量 :15.6m/日
[機器冷却水ブロー水]
設計処理水量 :10.4m/日
【0032】
逆浸透処理装置の処理能力を26m/日、濃縮倍率を2倍としたとき、設計仕様上の逆浸透膜処理装置の入口出口のバランスは以下の通りとなる。
(入口)
ボイラブロー水 :15.6m/日
機器冷却ブロー水:10.4m/日 合計26m/日
(出口)
膜処理水 :13.0m/日
膜処理濃縮水:13.0m/日
[原水水質]
原水水質は下記表1に示す通りであった。
[処理水水質]
処理水水質は上水レベルとした。
【0033】
【表1】
【0034】
(原水中のシリカ濃度の変動)
図3は機器冷却水ブロー水とボイラブロー水との混合水の原水槽における原水中のシリカ濃度の変動についてのシミュレーション結果を示す図である。
図3のAは導電率制御で24時間毎にブローしたときの経過時間とシリカ濃度との関係を示すグラフであり、図3のBはタイマ制御で1時間毎にブローしたときの経過時間とシリカ濃度との関係を示すグラフである。
グラフに示されるように、導電率制御によるとシリカ濃度の変動幅が20ppmであるのに対し、タイマ制御によればシリカ濃度の変動幅が10ppm以内に抑えることができる。
なお、シミュレーション条件は次の通りとした。
【0035】
(タイマ制御)
機器冷却水ブロー水
ブロー水量 8m/日(354kg/h)
流入頻度 1時間に1回 → 354kg/回
ボイラブロー水
連続ブロー発生量 100kg/h・炉
缶底ブロー発生量 960kg/回・炉
缶底ブロー頻度 12時間に1回
(導電率制御)
上記タイマ制御条件における機器冷却水ブロー水の流入頻度を24時間としたことを除いてはタイマ制御と同じ条件とした。
【符号の説明】
【0036】
1 原水槽
2 活性炭濾過装置
3 プレ濾過装置
4 逆浸透膜処理装置
5 逆浸透膜処理水槽
6 逆浸透膜処理濃縮水槽
7 機器冷却水受水槽
10 排水処理装置
11 スケール防止剤溶液槽
12 苛性ソーダ溶液槽
13 次亜塩素酸ナトリウム溶液槽
14 苛性ソーダ貯槽
P1 フィードポンプ
P2 高圧ポンプ
P3 逆浸透膜処理水供給ポンプ
P4 逆浸透膜処理濃縮水供給ポンプ
BB ボイラブロー水
CB 機器冷却水ブロー水
図1
図2
図3