特許第6287735号(P6287735)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6287735
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】搬送設備
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/248 20060101AFI20180226BHJP
   B65G 35/00 20060101ALI20180226BHJP
   B62D 65/10 20060101ALI20180226BHJP
   B62D 65/18 20060101ALI20180226BHJP
   B23P 21/00 20060101ALN20180226BHJP
   B61B 13/06 20060101ALN20180226BHJP
【FI】
   B65G47/248 C
   B65G35/00 B
   B62D65/10 B
   B62D65/18 B
   !B23P21/00 303B
   !B61B13/06 A
   !B61B13/06 D
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-200290(P2014-200290)
(22)【出願日】2014年9月30日
(65)【公開番号】特開2016-69144(P2016-69144A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2017年3月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100768
【氏名又は名称】アイシン・エィ・ダブリュ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】特許業務法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀越 靖
(72)【発明者】
【氏名】杉山 繁広
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】胡麻 匡志
(72)【発明者】
【氏名】安藤 敏行
【審査官】 中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平4−310334(JP,A)
【文献】 特開平5−319550(JP,A)
【文献】 特開昭56−103666(JP,A)
【文献】 特開平11−310304(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/176237(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/22−47/32
B65G 35/00−37/02
B62D 41/00−67/00
B23P 19/00−21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを搬送するとともに、搬送する該ワークの姿勢を作業用の姿勢に変更可能な搬送設備であって、
ワークを保持するよう構成されたスライダーと、
該スライダーが、水平面に対する所定の姿勢である第1スライド姿勢を形成してスライドする第1レールと、
該第1レールに隣接して配設され、上記スライダーを上記第1スライド姿勢とする第1レール姿勢と、上記スライダーを上記第1スライド姿勢とは異なる第2スライド姿勢とする第2レール姿勢と、に切り替わる姿勢変更レールが設けられた姿勢変更装置と、を備え、
該姿勢変更装置の上記姿勢変更レールが上記第1レール姿勢にあるとき、上記第1レールから上記姿勢変更レールに上記スライダーがスライド可能であることを特徴とする搬送設備。
【請求項2】
上記姿勢変更装置に隣接して配設され、上記スライダーが上記第1スライド姿勢とは異なる上記第2スライド姿勢を形成してスライドする第2レールをさらに備え、
上記姿勢変更装置の上記姿勢変更レールが上記第2レール姿勢にあるとき、上記姿勢変更レールから上記第2レールに上記スライダーがスライド可能であることを特徴とする請求項1に記載の搬送設備。
【請求項3】
上記スライダーには、該スライダーのスライド方向に対して直交する方向に向けられた回動中心軸線の回りに上記ワークを回動させるための回動ジョイントが設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の搬送設備。
【請求項4】
上記ワークは、前輪駆動用自動変速機のケースであり、
上記スライダーに保持された上記ケースは、エンジン合わせ面側とは反対側に位置するケース背面が、上記回動ジョイントの回動中心軸線に対して垂直な状態で上記スライダー側に向けられており、
上記スライダーの上記第1スライド姿勢においては、上記エンジン合わせ面側に位置するケース正面が鉛直上方向に向けられ、上記スライダーの上記第2スライド姿勢においては、上記ケース正面及び上記ケース背面以外の複数のケース側面のいずれかが鉛直上方向に向けられることを特徴とする請求項3に記載の搬送装置。
【請求項5】
上記姿勢変更レールは、上記スライダーのスライド方向に平行な回動中心軸線の回りに回動するよう構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の搬送設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工場内に敷設されたレールに対して、ワークを保持して搬送するスライダーをスライドさせるよう構成された搬送設備に関する。
【背景技術】
【0002】
工場内で種々のワークの加工、組付、検査等の作業を行う際には、各種の加工装置、組付装置、検査装置等に対して、搬送設備を用いてワークを搬送している。そして、各種の装置においてワークに作業を行う面が異なる場合には、専用の装置を用いてワークの姿勢(向き)を変更している。
【0003】
例えば、特許文献1のエンジン組立用搬送車は、ガイドレールに沿って自走する搬送台車を備えており、搬送台車には、旋回機構とその旋回機構によって水平軸回りに旋回可能に支持された水平支持台とが設けられている。また、水平支持台には、回転機構とその回転機構によって垂直軸回りに回転可能なターンテーブルとが設けられており、ターンテーブルには、エンジン支持用のアタッチメントが設けられている。このエンジン組立用搬送車においては、アタッチメントにエンジン部品を支持して、旋回機構による水平支持台の旋回及び回転機構によるターンテーブルの回転を行うことにより、同じ搬送台車において様々な方向からエンジン部品の組付ができるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−310334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、引用文献1においては、搬送台車上においてエンジン部品の姿勢を変更しており、搬送台車上のエンジン部品に対して組付作業を行う。そのため、ガイドレールに対して複数の搬送台車を走行させる場合には、各搬送台車に対して、エンジン部品の組付位置を変更するための水平支持台、ターンテーブル及びアタッチメントを設ける必要がある。従って、ガイドレールにおいて複数の搬送台車を移動させて、複数のエンジンの組付作業を行う場合には、設備全体の構造が複雑になる。
【0006】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたもので、複数の異なる姿勢のワークに対する作業を、簡単な設備によって容易に行うことができる搬送設備を提供しようとして得られたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、ワークを搬送するとともに、搬送する該ワークの姿勢を作業用の姿勢に変更可能な搬送設備であって、
ワークを保持するよう構成されたスライダーと、
該スライダーが、水平面に対する所定の姿勢である第1スライド姿勢を形成してスライドする第1レールと、
該第1レールに隣接して配設され、上記スライダーを上記第1スライド姿勢とする第1レール姿勢と、上記スライダーを上記第1スライド姿勢とは異なる第2スライド姿勢とする第2レール姿勢と、に切り替わる姿勢変更レールが設けられた姿勢変更装置と、を備え、
該姿勢変更装置の上記姿勢変更レールが上記第1レール姿勢にあるとき、上記第1レールから上記姿勢変更レールに上記スライダーがスライド可能であることを特徴とする搬送設備にある。
【発明の効果】
【0008】
上記搬送設備は、第1スライド姿勢と第2スライド姿勢との2種類の姿勢に切り替わる姿勢変更レールが設けられた姿勢変更装置を備えている。そして、スライダーが、第1レールをスライドする際又は第1レール姿勢を形成する姿勢変更レールをスライドする際には、第1スライド姿勢にあるスライダー上のワークに対して、機械又は作業者が作業をすることができる。一方、スライダーが第2レール姿勢を形成する姿勢変更レールをスライドする際には、第2スライド姿勢にあるスライダー上のワークに対して、機械又は作業者が作業をすることができる。
これにより、機械又は作業者が作業を行うためのワークの姿勢を、スライダーとは別の姿勢変更装置によって変更することができる。そのため、スライダーの構造を極めて簡単にすることができ、スライダーの小型化を図ることができる。
【0009】
このように、上記搬送設備においては、スライダーに保持されたワークの姿勢を変更する構造が、姿勢変更装置に集約されている。そのため、特に、複数のスライダーが第1レールを同時にスライドして、各スライダーにおけるワークに作業が行われるときには、搬送設備全体の構造を簡単にすることができ、その低コスト化を図ることができる。
【0010】
それ故、上記搬送設備によれば、複数の異なる姿勢のワークに対する作業を、簡単な設備によって容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例にかかる、搬送設備を示す平面図。
図2】実施例にかかる、搬送設備における第1レールを、スライダーのスライド方向から見た状態で示す説明図。
図3】実施例にかかる、搬送設備における第2レールを、スライダーのスライド方向から見た状態で示す説明図。
図4】実施例にかかる、搬送設備における姿勢変更装置を、スライダーのスライド方向に直交する方向から見た状態で示す説明図。
図5】実施例にかかる、第1レール姿勢にある姿勢変更装置を、スライダーのスライド方向から見た状態で示す説明図。
図6】実施例にかかる、第2レール姿勢にある姿勢変更装置を、スライダーのスライド方向から見た状態で示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
上述した搬送設備における好ましい実施の形態について説明する。
上記搬送設備は、上記姿勢変更装置に隣接して配設されて上記スライダーが上記第1スライド姿勢とは異なる上記第2スライド姿勢を形成してスライドする第2レールをさらに備え、上記姿勢変更装置の上記姿勢変更レールが上記第2レール姿勢にあるとき、上記姿勢変更レールから上記第2レールに上記スライダーがスライド可能であることが好ましい。
これにより、スライダーが第2レールをスライドする際には、第2スライド姿勢にあるスライダー上のワークに対して、機械又は作業者が作業をすることができる。そして、搬送装置においては、第1レールにおけるスライダーの第1スライド姿勢と、第2レールにおけるスライダーの第2スライド姿勢とによって、異なる姿勢のワークに対して容易に作業をすることができる。
【0013】
また、上記スライダーには、該スライダーのスライド方向に対して直交する方向に向けられた回動中心軸線の回りに上記ワークを回動させるための回動ジョイントが設けられていることが好ましい。
回動ジョイントによって、ワークをスライダーに対して回動可能にすることにより、第2レールに配置されたワークにおいては、回動ジョイントの回動位置を調整することによって、ワークの種々の面に対して作業を行うことができる。
【0014】
また、上記ワークは、前輪駆動用自動変速機のケースであり、該ケースは、そのエンジン合わせ面側に位置するケース背面が、上記回動ジョイントの回動中心軸線に対して垂直な状態で上記スライダーと対向して、該スライダーに保持されており、上記スライダーの上記第1スライド姿勢においては、上記ケース背面とは反対側に位置するケース正面が鉛直上方向に向けられており、上記スライダーの上記第2スライド姿勢においては、上記ケース背面及び上記ケース正面以外の複数のケース側面のいずれかが鉛直上方向に向けられていてもよい。
【0015】
前輪駆動用自動変速機のケースにおいては、主要部品、バルブボディ、外装部品等の多くの部品が、ケース正面及び種々のケース側面に組み付けられる。そして、第1レール又は第1レール姿勢を形成する姿勢変更レールにおいては、鉛直上方向からケース正面に対して、前輪駆動用自動変速機の主要部品の組付等を行うことができる。また、第2レール又は第2レール姿勢を形成する姿勢変更レールにおいては、鉛直上方向から複数のケース側面のいずれかに対して、前輪駆動用自動変速機の他の部品の組付等を行うことができる。これにより、前輪駆動用自動変速機のケースに対する各種部品の組付等をさらに容易に行うことができる。
【0016】
上記姿勢変更レールは、上記スライダーのスライド方向に平行な回動中心軸線の回りに回動するよう構成されていてもよい。
これにより、姿勢変更レールを第1レール姿勢と第2レール姿勢とに変更することが容易であり、姿勢変更装置の構造をさらに簡単にすることができる。
【実施例】
【0017】
以下に、搬送設備にかかる実施例について、図面を参照して説明する。
本例の搬送設備1は、ワーク8を搬送するとともに、搬送するワーク8の姿勢を作業用の姿勢に変更可能である。搬送装置1は、図1に示すように、スライダー2、第1レール3A、第2レール3B及び姿勢変更装置4を備えている。
スライダー2は、ワーク8を保持してスライドするよう構成されている。第1レール3Aは、図2に示すように、スライダー2が、水平面に対する所定の姿勢である第1スライド姿勢201を形成してスライドするよう構成されている。第2レール3Bは、図3に示すように、スライダー2が、第1スライド姿勢201とは異なる第2スライド姿勢202を形成してスライドするよう構成されている。姿勢変更装置4は、第1レール3Aと第2レール3Bとの間のスペースに配設されている。
【0018】
姿勢変更装置4には、図5に示すように、スライダー2を第1スライド姿勢201とする第1レール姿勢401と、図6に示すように、スライダー2を第2スライド姿勢202とする第2レール姿勢402と、に切り替わる姿勢変更レール41が設けられている。搬送設備1においては、図4に示すように、姿勢変更装置4の姿勢変更レール41が第1レール姿勢401にあるとき、第1レール3Aから姿勢変更レール41にスライダー2がスライド可能であり、姿勢変更装置4の姿勢変更レール41が第2レール姿勢402にあるとき、姿勢変更レール41から第2レール3Bにスライダー2がスライド可能である。
【0019】
以下に、本例の搬送設備1について、図1図6を参照して詳説する。
本例のワーク8は自動車用部品としての前輪駆動用自動変速機のケースであり、本例の搬送設備1は、前輪駆動用自動変速機を生産するための工場内の生産ラインにおいて使用される。工場内には、前輪駆動用自動変速機の加工、組付、検査等の作業を行う各種機械5が配設されており、搬送設備1は、ワーク8としての前輪駆動用自動変速機のケースを各種機械5に搬送するよう構成されている。各種機械5は、搬送設備1における第1レール3A又は第2レール3Bに配置されたスライダー2上のケースに対して加工、組付、検査等の作業を行う。なお、スライダー2上のケースに対しては、各種機械5以外に作業者が作業を行うこともできる。なお、図1においては、第1レール3Aにおいて、各種機械5がワーク8に対して組付等を行う場合を示す。第2レール3Bにおいても、各種機械5がワーク8に対して組付等を行ってもよい。
【0020】
図2図3に示すように、ワーク8は、パレット7上に保持されており、パレット7とともに搬送設備1において搬送される。ワーク8としての前輪駆動用自動変速機のケースには、エンジン合わせ面側に位置するケース正面81、ケース正面81とは反対側に位置するケース背面82、ケース正面81及びケース背面82以外の残りの複数のケース側面83が形成されている。ワーク8としてのケースは、ケース背面82がパレット7と対向する状態でパレット7に保持されている。スライダー2の第1スライド姿勢201においては、ケース正面81が鉛直上方向Fに向けられ、スライダー2の第2スライド姿勢202においては、複数のケース側面83のいずれかが鉛直上方向Fに向けられる。
【0021】
第1レール3Aは、スライダー2を上方(鉛直上方向F)に配置してスライドさせる状態で形成されており、第2レール3Bは、スライダー2を側方に配置してスライドさせる状態で形成されている。スライダー2には、第1レール3A及び第2レール3Bにおける各レール部31に対して転がり接触するローラ(カムフォロア等)22が設けられている。第1レール3A及び第2レール3Bには、スライダー2をスライドさせるための駆動機構が設けられている。駆動機構は、レールの形成方向において循環するチェーンと、チェーンを掛け渡すスプロケットと、スプロケットを回転させるモータと、チェーンに所定の間隔で設けられ、スライダー2を係止して押し出すための係止部とを有している。そして、モータによってチェーンが循環する際に、各係止部がスライダー2をそれぞれ係止して、第1レール3A又は第2レール3Bに対して各スライダー2をスライドさせることができる。
【0022】
図2図3に示すように、スライダー2には、そのスライド方向Sに対して直交する方向に向けられた回動中心軸線C1の回りにワーク8を回動させるための回動ジョイント21が設けられている。回動ジョイント21は、ラジアル荷重及びスラスト荷重を受けることができるベアリングによって構成されている。ワーク8が保持されるパレット7は、回動ジョイント21を介してスライダー2に取り付けられている。パレット7を介してスライダー2に保持されたワーク8のケース背面82は、回動ジョイント21の回動中心軸線C1に対して垂直な状態でスライダー2の側に向けられている。
第2レール3Bに配置されたスライダー2上のワーク8は、回動ジョイント21を回動させることにより、複数のケース側面83のうちの特定のケース側面83を鉛直上方向Fに向けることができる。パレット7又はスライダー2には、パレット7が回動ジョイント21を介してスライダー2に対して回動しないようにするためのロック部が設けられている。
【0023】
図5図6に示すように、姿勢変更レール41は、姿勢変更装置4において、水平方向に向けられたスライダー2のスライド方向Sに平行な回動中心軸線C2の回りに回動するよう構成されている。姿勢変更レール41の回動中心軸線C2は、ワーク8、パレット7、回動ジョイント21及びスライダー2を含む範囲内を通って設定されている。本例の姿勢変更レール41の回動中心軸線C2は、ワーク8及びパレット7を含む範囲内を通って設定されている。そして、姿勢変更レール41、スライダー2、回動ジョイント21、パレット7及びワーク8を含む回動対象40の全体における重心位置は、ワーク8及びパレット7を含む範囲内にあり、回動中心軸線C2は重心位置の近傍にある。これにより、姿勢変更装置4は、回動対象40の全体を、その重心位置の近傍を中心に回動させることができる。これにより、少ない動力で回動対象40の姿勢を変更することができる。
【0024】
姿勢変更装置4は、90°以上の角度を有して下方から側方に円弧状に形成されたガイドレール部42と、ガイドレール部42に沿って転がり接触しながら移動可能なスライド部43と、スライド部43を駆動する駆動部44とを有している。姿勢変更レール41は、スライド部43に取り付けられている。本例の駆動部44は、シリンダーによって構成されている。
姿勢変更装置4は、回動対象40に加わる重力の方向とは反対方向に回動対象40にバランス力を与える重力バランサー45が設けられている。重力バランサー45は、バランスウェイトによって構成されており、バランスウェイトに取り付けられた線材は、スライド部43に取り付けられている。
【0025】
図5に示すように、姿勢変更装置4が第1レール姿勢401を形成するときには、スライド部43及び姿勢変更レール41がガイドレール部42の下方に位置し、図6に示すように、姿勢変更装置4が第2レール姿勢402を形成するときには、スライド部43及び姿勢変更レール41がガイドレール部42の側方に位置する。そして、駆動部44によって回動対象40をガイドレール部42の下方から側方へ持ち上げるときには、重力バランサー45によるバランス力を、回動対象40を持ち上げる方向に作用させることができる。
【0026】
ワーク8が搭載された各スライダー2においては、第2レール3Bを通過した後には、ワーク8が保持されたパレット7がスライダー2から離される。そして、ワーク8が保持されたパレット7は、搬出用パレットに積載されて搬出される。一方、スライダー2は、第1レール3Aに再び循環され、ワーク8が搭載された他のパレット7が取り付けられて繰り返し使用される。
【0027】
次に、本例の搬送設備1の動作及びその作用効果について説明する。
本例の搬送設備1は、ワーク8のケース正面81に対する作業を可能にする第1レール3Aと、ワーク8のケース側面83に対する作業を可能にする第2レール3Bとを備えている。また、第1レール3Aと第2レール3Bとの間のスペースには、姿勢変更レール41を有する姿勢変更装置4が配設されている。そして、搬送設備1は、ワーク8のケース正面81及びケース側面83に対する作業を、連続した搬送ラインにおいて行うことができるようにしている。
【0028】
図2に示すように、第1レール3Aにおいては、ワーク8を保持するパレット7が回動ジョイント21を介してスライダー2に取り付けられる。第1レール3Aにおいては、ワーク8が搭載された複数のスライダー2が順次流れ、第1レール3Aに対向して配設された機械5等によって、鉛直上方向Fから各ワーク8のケース正面81に対して順次作業が行われる。
【0029】
次いで、図4図5に示すように、姿勢変更装置4の姿勢変更レール41が第1レール姿勢401を形成し、姿勢変更レール41の姿勢が第1レール3Aの姿勢に合わされて、姿勢変更レール41が第1レール3Aに接続される。そして、第1レール3Aを通過した、ワーク8が搭載されたスライダー2が、姿勢変更レール41へ受け渡される。
次いで、図6に示すように、姿勢変更装置4においては、駆動部44によって、スライド部43がガイドレール部42の下方から側方へ移動され、ワーク8が搭載されたスライダー2が姿勢変更レール41に配置された状態で、姿勢変更レール41が第2レール姿勢402に変更される。このとき、姿勢変更レール41の姿勢が第2レール3Bの姿勢に合わされて、姿勢変更レール41が第2レール3Bに接続される。また、スライダー2に搭載されたワーク8のケース側面83が鉛直上方向Fに向けられる。そして、姿勢変更レール41が第2レール姿勢402にある状態において、ワーク8が搭載されたスライダー2が姿勢変更レール41から第2レール3Bに受け渡される。
【0030】
次いで、図3に示すように、第2レール3Bに配置されたスライダー2においては、回動ジョイント21によってワーク8が保持されたパレット7を回動させて、ワーク8における複数のケース側面83のうちのいずれかのケース側面83が鉛直上方向Fに向けられる。そして、第2レール3Bにおいては、ワーク8が搭載された複数のスライダー2が順次流れ、第2レール3Bに対向して配設された機械等によって、鉛直上方向Fから各ケース側面83に順次作業が行われる。
【0031】
このように、本例の搬送設備1においては、スライダー2に保持されたワーク8のケース正面81及び複数のケース側面83への作業を可能にする第1レール3A及び第2レール3Bの他に、姿勢変更レール41が設けられた姿勢変更装置4を用いる。また、搬送設備1においては、スライダー2に保持されたワーク8の姿勢を変更する構造が、姿勢変更装置4に集約されている。そして、第1レール3A及び第2レール3Bに対して複数のスライダー2をスライドさせ、複数のスライダー2にそれぞれ保持されたワーク8に作業を行う際に、スライダー2ごとに姿勢を変更する装置を設ける必要がない。
【0032】
また、機械5又は作業者が作業を行うためのワーク8の姿勢は、スライダー2とは別の姿勢変更装置4によって、ワーク8が保持されたスライダー2が配置された姿勢変更レール41の全体を回動させて変更することができる。そのため、スライダー2の構造を極めて簡単にすることができ、スライダー2の小型化を図ることができる。また、搬送設備1全体の構造を簡単にすることができ、その低コスト化を図ることができる。
【0033】
それ故、本例の搬送設備1によれば、複数の異なる姿勢のワーク8に対する作業を、簡単な設備によって容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0034】
1 搬送設備
2 スライダー
201 第1スライド姿勢
202 第2スライド姿勢
21 回動ジョイント
3A 第1レール
3B 第2レール
4 姿勢変更装置
401 第1レール姿勢
402 第2レール姿勢
41 姿勢変更レール
7 パレット
8 ワーク(前輪駆動用自動変速機のケース)
81 ケース正面
82 ケース背面
83 ケース側面
図1
図2
図3
図4
図5
図6