(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明者らは、発光装置に用いる蛍光体粒子の粒径を変えることにより、蛍光体装置内における蛍光体粒子の蛍光波長が変化することを見いだした。
【0017】
例えば、同じ発光素子を備えた2つの発光装置の一方の封止材に粒径の大きい蛍光体粒子を添加し、他方の封止材に粒径の小さい蛍光体粒子を添加する場合に、各々の蛍光体粒子の添加量を調整して、2つの発光装置の発する光の色度座標Cxを一致させると、粒径の大きい蛍光体粒子を添加した発光装置の発する光の色度座標Cyが、粒径の小さい蛍光体粒子を添加した発光装置の発する光の色度座標Cyよりも大きくなる。
【0018】
この原因の一つとして、2つの発光装置の発する光の色度座標Cxを一致させるためには、粒径の大きい蛍光体粒子の発光装置内の粒子数が、粒径の小さい蛍光体粒子の発光装置内の粒子数よりも少なくなることが考えられる。
【0019】
蛍光体粒子は、発光素子が発する光と、周辺の他の蛍光体粒子が発する蛍光を吸収して、蛍光を発するが、他の蛍光体粒子が発する蛍光を吸収して発する蛍光の波長は、発光素子が発する光を吸収して発する蛍光の波長よりも長い。ここで、発光装置内の粒子数が少ない粒径の大きい蛍光体粒子は、他の蛍光体からの光の吸収が少ないため、発光装置内の粒子数が多い粒径の小さい蛍光体粒子と比較して、蛍光波長が短くなる。
【0020】
このように、発光装置内の蛍光体粒子は、粒径によって蛍光波長が異なるため、粒径の大きい蛍光体粒子を含む発光装置と粒径の小さい蛍光体粒子を含む発光装置の発光色度(Cx、Cy)を一致させるためには、蛍光体粒子の添加量を調整するだけでなく、発光素子の発光波長を変える必要がある。
【0021】
このことは、言い換えれば、所望の発光色度を有する発光装置を製造するとき、添加する蛍光体粒子の粒径を変えることにより、異なる発光波長の発光素子を用いることができる、といえる。
【0022】
本発明者らは、このような、発光装置内における蛍光体粒子の粒径と蛍光波長との関係を利用し、低コストの発光装置の製造方法を発明するに至った。以下、その発光装置の製造方法の一例について説明する。
【0023】
〔第1の実施の形態〕
(発光装置の構成)
図1(a)〜(c)は、それぞれ第1の実施の形態に係る第1の発光装置10、第2の発光装置20、第3の発光装置30の垂直断面図である。第1の発光装置10、第2の発光装置20、及び第3の発光装置30の発光色度は等しい。なお、発光色度が等しいとは、色度座標Cx及びCyの差が0.001以下であることをいう。
【0024】
第1の発光装置10は、凹部2を有するケース1と、凹部2の底に上面が露出するようにケース1に収納された基体3と、基体3上に搭載された第1の発光素子11と、凹部2内に充填された、第1の発光素子11を封止する封止材4と、封止材4に含まれる第1の蛍光体粒子12と、を有する。
【0025】
第2の発光装置20は、凹部2を有するケース1と、凹部2の底に上面が露出するようにケース1に収納された基体3と、基体3上に搭載された第2の発光素子21と、凹部2内に充填された、第2の発光素子21を封止する封止材4と、封止材4に含まれる第2の蛍光体粒子22と、を有する。
【0026】
第3の発光装置30は、凹部2を有するケース1と、凹部2の底に上面が露出するようにケース1に収納された基体3と、基体3上に搭載された第3の発光素子31と、凹部2内に充填された、第3の発光素子31を封止する封止材4と、封止材4に含まれる第3の蛍光体粒子32と、を有する。
【0027】
第2の発光装置20に含まれる第2の蛍光体粒子22と、第3の発光装置30に含まれる第3の蛍光体粒子32は、第1の発光装置10に含まれる第1の蛍光体粒子12を分級することにより得られる蛍光体粒子であり、第2の蛍光体粒子22は第1の蛍光体粒子12よりも平均粒径が小さく、第3の蛍光体粒子32は第1の蛍光体粒子12よりも平均粒径が大きい。
【0028】
第1の蛍光体粒子12、第2の蛍光体粒子22、及び第3の蛍光体粒子32として、例えば、黄色系の光を発するBOS(バリウム・オルソシリケート)系蛍光体や、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)系蛍光体を用いることができる。
【0029】
第1の発光素子11、第2の発光素子21、及び第3の発光素子31は、例えば、チップ基板と、発光層及びそれを挟むクラッド層を含む結晶層とを有する、LEDやレーザーダイオード等の発光素子である。第1の発光素子11、第2の発光素子21、及び第3の発光素子31は、結晶層が上方を向いたフェイスアップ型の素子であってもよいし、結晶層が下方を向いたフェイスダウン型の素子であってもよい。
【0030】
第2の発光素子21は第1の発光素子11よりも発光波長が長く、第3の発光素子31は第1の発光素子11よりも発光波長が短い。
【0031】
例えば、第1の発光素子11、第2の発光素子21、及び第3の発光素子31の発光色が青色系であり、第1の蛍光体粒子12、第2の蛍光体粒子22、及び第3の蛍光体粒子32の蛍光色が黄色系である場合は、第1の発光装置10、第2の発光装置20、及び第3の発光装置30の発光色はそれらの混色である白色になる。ここで、黄色系の光とは、例えば、波長が550nm以上かつ560nm以下の光をいい、青色系の光とは、例えば、波長が448nm以上かつ458nm以下の光をいう。
【0032】
ケース1は、例えば、ポリフタルアミド樹脂、LCP(Liquid Crystal Polymer)、PCT(Polycyclohexylene Dimethylene Terephalate)等の熱可塑性樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂からなる。ケース1は、光反射率を向上させるための、二酸化チタン等の光反射粒子を含んでもよい。
【0033】
基体3は、例えば、全体またはその表面がAg、Cu、Al等の導電材料からなるリードフレームであり、インサート成型等により、ケース1と一体に成型される。第1の発光素子11、第2の発光素子21、及び第3の発光素子31は、
図1に示されるボンディングワイヤー5等により、基体3に電気的に接続される。
【0034】
封止材4は、例えば、シリコーン系樹脂やエポキシ系樹脂等の透明樹脂からなる。
【0035】
図2は、第1の蛍光体粒子12、第2の蛍光体粒子22、及び第3の蛍光体粒子32の粒径分布(頻度分布)の一例を示すグラフである。
【0036】
図3は、
図2に示される粒径の第2の蛍光体粒子22、第3の蛍光体粒子32を含む第2の発光装置20、第3の発光装置30の発光色度の分布を表すグラフである。ここで、色度座標Cx、Cyは、CIE1931色度図に基づくものである。
【0037】
図3中のプロットマーク“○”は第2の発光装置20の発光色度の分布を示し、プロットマーク“◆”は第3の発光装置30の発光色度の分布を示す。それぞれのプロットマーク上に引かれた直線は、それぞれの分布の近似直線である。また、
図3の発光色度は、第2の蛍光体粒子22及び第3の蛍光体粒子32の励起波長である第2の発光素子21及び第3の発光素子31の発光波長が441nmであるときのものである。
【0038】
第2の発光装置20、第3の発光装置30の発光色度の分布は、第2の蛍光体粒子22と第3の蛍光体粒子32の濃度分布によるものであるが、
図3のそれぞれの分布及びその近似直線が示すように、第2の発光装置20の発光色度の分布と第3の発光装置30の発光色度の分布は、Cy方向にずれている。これは、第2の蛍光体粒子22と第3の蛍光体粒子32の粒径の違いによるものである。
【0039】
次の表1は、
図2に示される粒径分布から算出された第1の蛍光体粒子12、第2の蛍光体粒子22、及び第3の蛍光体粒子32のメディアン径D10、D50、D90、及びD90とD10の差と、
図3に示される発光色度の分布から得られる、色度座標Cxが0.2900であるときの色度座標Cyを示す。
【0041】
図4は、第1の発光素子11、第2の発光素子21、第3の発光素子31、第1の蛍光体粒子12、第2の蛍光体粒子22、及び第3の蛍光体粒子32の色度座標の一例を表すCIE1931色度図である。色度図の輪郭上の数値は純色の波長[nm]を表し、黒体輻射軌跡上の数値は絶対色温度[K]を表す。
【0042】
図4は、第1の発光素子11、第2の発光素子21、及び第3の発光素子31が青色の発光素子であり、第1の蛍光体粒子12、第2の蛍光体粒子22、及び第3の蛍光体粒子32が黄色の蛍光体である場合の例である。
【0043】
図4のプロットマーク“□”で表されるB1、B2、B3は、それぞれ、第1の発光素子11、第2の発光素子21、第3の発光素子31の発光色度(発光波長)を表し、プロットマーク“△”で表されるY1、Y2、Y3は、それぞれ、第1の蛍光体粒子12、第2の蛍光体粒子22、第3の蛍光体粒子32の蛍光色度(蛍光波長)を表す。また、黒体輻射軌跡付近にあるプロットマーク“○”で表されるWは、第1の発光装置10、第2の発光装置20、第3の発光装置30の発光色度を表す。
【0044】
この場合、第1の発光素子11と第1の蛍光体粒子12は、発光色度Wの第1の発光装置10を製造するために選ばれた発光素子と蛍光体粒子である。
【0045】
第1の発光装置10の発光色度は、発光色度B1と蛍光色度Y1の混色であり、
図4の発光色度B1と蛍光色度Y1を結ぶ線分上に乗る。そして、第1の蛍光体粒子12の添加量(封止材4中の濃度)を調整することにより、第1の発光装置10の発光色度をWに設定することができる。
【0046】
前述のように、第2の蛍光体粒子22と、第3の蛍光体粒子32は、第1の蛍光体粒子12を分級することにより得られる蛍光体粒子であり、第2の蛍光体粒子22は第1の蛍光体粒子12よりも平均粒径が小さく、第3の蛍光体粒子32は第1の蛍光体粒子12よりも平均粒径が大きい。このため、
図4に示されるように、第2の蛍光体粒子22の蛍光波長は第1の蛍光体粒子12の蛍光波長よりも長く、第3の蛍光体粒子32の蛍光波長は第1の蛍光体粒子12の蛍光波長よりも短い。
【0047】
第2の発光装置20の発光色度は、発光色度B2と蛍光色度Y2の混色であり、
図4の発光色度B2と蛍光色度Y2を結ぶ線分上に乗る。このため、第2の発光装置20の発光色度を第1の発光装置10の発光色度と同じWに設定するためには、
図4に示されるように、第2の発光素子21の発光波長を第1の発光素子11の発光波長よりも長くする必要がある。
【0048】
第2の発光素子21として、発光色度B2と蛍光色度Y2を結ぶ線分がWを通るような、第1の発光素子11よりも発光波長が長い発光素子を選び、第2の蛍光体粒子22の添加量を調整することにより、第2の発光装置20の発光色度をWに設定することができる。
【0049】
同様に、第3の発光装置30の発光色度は、発光色度B3と蛍光色度Y3の混色であり、
図4の発光色度B3と蛍光色度Y3を結ぶ線分上に乗る。このため、第3の発光装置30の発光色度を第1の発光装置10の発光色度と同じWに設定するためには、
図4に示されるように、第3の発光素子31の発光波長を第1の発光素子11の発光波長よりも短くする必要がある。
【0050】
第3の発光素子31として、発光色度B3と蛍光色度Y3を結ぶ線分がWを通るような、第1の発光素子11よりも発光波長が短い発光素子を選び、第3の蛍光体粒子32の添加量を調整することにより、第3の発光装置30の発光色度をWに設定することができる。
【0051】
ここで、第2の発光素子21及び第3の発光素子31として、第1の発光素子11と同じ発光波長を設計値として製造され、実際の発光波長がその設計値の許容範囲から外れた発光素子を用いることができる。このような規格外の素子は、発光装置の発光色度の設計値からのずれを生むために、従来の発光装置の製造方法では用いることができないものである。
【0052】
しかしながら、本実施の形態によれば、このような規格外の素子を第2の発光素子21及び第3の発光素子31として用いて、設計値の許容範囲内の発光波長を有する第1の発光素子11を有する第1の発光装置10と等しい発光色度Wを有する第2の発光装置20及び第3の発光装置30を製造することができる。このため、発光素子の歩留まりを向上させ、発光装置の製造コストを低減することができる。
【0053】
図5は、第1の発光素子11、第2の発光素子21、及び第3の発光素子31のそれぞれの発光波長の例を表す表である。
【0054】
図5に示される例においては、目的の発光色度を有する第1の発光装置10を製造するための第1の発光素子11の発光波長は452〜453nmであるとしている。
【0055】
第1の発光装置10と同じ発光色度を有する第2の発光装置20を製造するための第2の発光素子21の発光波長は、第1の発光素子11の発光波長よりも長い453〜454nmである。
【0056】
また、第1の発光装置10と同じ発光色度を有する第3の発光装置30を製造するための第3の発光素子31の発光波長は、第1の発光素子11の発光波長よりも短い451〜452nmである。
【0057】
図5に示されるように、第1の発光装置10のみを製造する場合には、使用可能な発光素子の発光波長の範囲が452〜453nmであるところ、第1の発光装置10に加えて第2の発光装置20及び第3の発光装置30を製造する場合には、使用可能な発光素子の発光波長の範囲が451〜454nmと拡大される。
【0058】
このように、本実施の形態によれば、第1の発光装置10に加えて第2の発光装置20及び第3の発光装置30を製造することにより、目的の発光色度を有する発光装置を製造するために使用可能な発光素子の発光波長の範囲を拡大することができる。
【0059】
(発光装置の製造方法)
以下に、第1の発光装置10、第2の発光装置20、及び第3の発光装置30の製造方法の一例について説明する。
【0060】
まず、第1の蛍光体粒子12を、第1の蛍光体粒子12よりも平均粒径が小さい第2の蛍光体粒子22と、第1の蛍光体粒子12よりも平均粒径が大きい第3の蛍光体粒子32に分級する。
【0061】
ここで、分級機のメッシュのサイズを変えることにより、第2の発光装置20及び第3の発光装置30の平均粒径を変えることができる。また、第1の蛍光体粒子12を3つ以上のグループに分級してもよい。
【0062】
次に、第1の蛍光体粒子12と組み合わせることにより、所望の発光色度を得ることができる第1の発光素子11を用意する。
【0063】
また、第1の発光素子11よりも発光波長が長く、第2の蛍光体粒子22と組み合わせることにより、上記の所望の発光色度を得ることができる第2の発光素子21と、第1の発光素子11よりも発光波長が短く、第3の蛍光体粒子32と組み合わせることにより、上記の所望の発光色度を得ることができる第3の発光素子31を用意する。
【0064】
ここで、例えば、第1の発光素子11、第2の発光素子21、及び第3の発光素子31は、同じ発光波長を設計値として製造されたものであり、第1の発光素子11の発光波長がその設計値の許容範囲内にあり、第2の発光素子21及び第3の発光素子31の発光波長がその設計値の許容範囲外にある。
【0065】
次に、第1の発光素子11、第2の発光素子21、及び第3の発光素子31をケース1内に各々搭載する。
【0066】
次に、第1の発光素子11が搭載されたケース1内に第1の蛍光体粒子12が分散した封止材4を充填し、第1の発光装置10を得る。また、第2の発光素子21が搭載されたケース1内に第2の蛍光体粒子22が分散した封止材4を充填し、第2の発光装置20を得る。さらに、第3の発光素子31が搭載されたケース1内に第3の蛍光体粒子32が分散した封止材4を充填し、第3の発光装置30を得る。
【0067】
ここで、第1の蛍光体粒子12、第2の蛍光体粒子22、第3の蛍光体粒子32の封止材4中の濃度は、それぞれ、第1の発光装置10、第2の発光装置20、第3の発光装置30の発光色度が所望の値になるように調整される。
【0068】
なお、通常は、一連の工程において、第1の発光装置10、第2の発光装置20、第3の発光装置30の全てが製造されるが、発光素子の在庫状態等により、第1の発光装置10、第2の発光装置20、第3の発光装置30のうちのいずれか1つ、または2つのみが製造されてもよい。
【0069】
〔第2の実施の形態〕
本発明の第2の実施の形態に係る発光装置は、複数の発光素子を有する点において、第1の実施の形態に係る発光装置と異なる。なお、第1の実施の形態と同様の点については、説明を省略又は簡略化する。
【0070】
(発光装置の構成)
図6(a)〜(c)は、それぞれ第2の実施の形態に係る第1の発光装置40、第2の発光装置50、第3の発光装置60の垂直断面図である。第1の発光装置40、第2の発光装置50、及び第3の発光装置60の発光色度は等しい。
【0071】
第1の発光装置40は、凹部2を有するケース1と、凹部2の底に上面が露出するようにケース1に収納された基体3と、基体3上に搭載された第1の発光素子41a、41bと、凹部2内に充填された、第1の発光素子41a、41bを封止する封止材4と、封止材4に含まれる第1の蛍光体粒子12と、を有する。
【0072】
第2の発光装置50は、凹部2を有するケース1と、凹部2の底に上面が露出するようにケース1に収納された基体3と、基体3上に搭載された第2の発光素子51a、51bと、凹部2内に充填された、第2の発光素子51a、51bを封止する封止材4と、封止材4に含まれる第2の蛍光体粒子22と、を有する。
【0073】
第3の発光装置60は、凹部2を有するケース1と、凹部2の底に上面が露出するようにケース1に収納された基体3と、基体3上に搭載された第3の発光素子61a、61bと、凹部2内に充填された、第3の発光素子61a、61bを封止する封止材4と、封止材4に含まれる第3の蛍光体粒子32と、を有する。
【0074】
第1の実施の形態と同様に、第2の発光装置50に含まれる第2の蛍光体粒子22と、第3の発光装置60に含まれる第3の蛍光体粒子32は、第1の発光装置40に含まれる第1の蛍光体粒子12を分級することにより得られる蛍光体粒子であり、第2の蛍光体粒子22は第1の蛍光体粒子12よりも平均粒径が小さく、第3の蛍光体粒子32は第1の蛍光体粒子12よりも平均粒径が大きい。
【0075】
第1の発光素子41a、41b、第2の発光素子51a、51b、及び第3の発光素子61a、61bは、第1の実施の形態に係る第1の発光素子11、第2の発光素子21、及び第3の発光素子31と同様の発光素子からなる。
【0076】
第1の発光素子41aの発光波長と第1の発光素子41bの発光波長は異なっていてもよく、それらの平均値が第1の発光装置40における発光素子の発光波長となる。同様に、第2の発光素子51aの発光波長と第2の発光素子51bの発光波長は異なっていてもよく、それらの平均値が第2の発光装置50における発光素子の発光波長となる。また、第3の発光素子61aの発光波長と第3の発光素子61bの発光波長は異なっていてもよく、それらの平均値が第3の発光装置60における発光素子の発光波長となる。
【0077】
第2の発光素子51aの発光波長と第2の発光素子51bの発光波長の平均値は、第1の発光素子41aの発光波長と第1の発光素子41bの発光波長の平均値よりも長く、第3の発光素子61aの発光波長と第3の発光素子61bの発光波長の平均値は、第1の発光素子41aの発光波長と第1の発光素子41bの発光波長の平均値よりも短い。
【0078】
図7は、第1の発光素子41a、41b、第2の発光素子51a、51b、及び第3の発光素子61a、61bのそれぞれの発光波長の例を表す表である。表中の左端の番号は、本例における発光装置の識別番号とする。
【0079】
図7に示される例においては、目的の発光色度を有する第1の発光装置40(1〜3番)を製造するための第1の発光素子41aの発光波長と第1の発光素子41bの発光波長の平均値は452〜453nmであるとしている。
【0080】
1番の第1の発光装置40においては、第1の発光素子41aの発光波長と第1の発光素子41bの発光波長が等しく、2番及び3番の第1の発光装置40においては、第1の発光素子41aの発光波長と第1の発光素子41bの発光波長が異なる。
【0081】
第1の発光装置40と同じ発光色度を有する第2の発光装置50(4番)を製造するための第2の発光素子51aの発光波長と第2の発光素子51bの発光波長の平均値は、第1の発光素子41aの発光波長と第1の発光素子41bの発光波長の平均値よりも長い453〜454nmである。
【0082】
また、第1の発光装置40と同じ発光色度を有する第3の発光装置60(5番)を製造するための第3の発光素子61aの発光波長と第3の発光素子61bの発光波長の平均値は、第1の発光素子41aの発光波長と第1の発光素子41bの発光波長の平均値よりも短い451〜452nmである。
【0083】
ここで、発光装置の発光の色度ムラを抑えるための2つの発光素子の発光波長の差の最大値が5nmであるとする。3番の第1の発光装置40、4番の第2の発光装置50、5番の第3の発光装置60は、2つの発光素子の発光波長の差が最も大きい場合の例である。
【0084】
このことから、第1の発光装置40において使用可能な発光素子の発光波長の範囲が450〜455nmとなり、第2の発光装置50において使用可能な発光素子の発光波長の範囲が451〜456nmとなり、第3の発光装置60において使用可能な発光素子の発光波長の範囲が449〜454nmとなる。
【0085】
従って、第1の発光装置10のみを製造する場合には、使用可能な発光素子の発光波長の範囲が450〜455nmであるところ、第1の発光装置40に加えて第2の発光装置50及び第3の発光装置60を製造する場合には、使用可能な発光素子の発光波長の範囲が449〜456nmと拡大される。
【0086】
このように、本実施の形態によれば、第1の発光装置40に加えて第2の発光装置50及び第3の発光装置60を製造することにより、目的の発光色度を有する発光装置を製造するために使用可能な発光素子の発光波長の範囲を拡大することができる。
【0087】
なお、第1の発光装置40、第2の発光装置50、及び第3の発光装置60に搭載される発光素子の数は3以上であってもよい。この場合であっても、自明であるが、複数の発光素子の平均値がその発光装置における発光素子の発光波長となり、そして、第1の発光装置40に加えて第2の発光装置50及び第3の発光装置60を製造することにより、目的の発光色度を有する発光装置を製造するために使用可能な発光素子の発光波長の範囲を拡大することができる。
【0088】
(実施の形態の効果)
上記実施の形態によれば、蛍光体粒子を分級して用いることにより、発光波長の異なる複数の発光素子を使用して、一定の所望の発光色度を有する発光装置をそれぞれ製造することができる。これによって、規格外の発光素子の廃棄等を減らし、発光装置の製造コストを低減することができる。
【0089】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されず、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施が可能である。また、発明の主旨を逸脱しない範囲内において上記実施の形態の構成要素を任意に組み合わせることができる。
【0090】
また、上記の実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。