(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、添付の図面を参照しつつ、実施形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を具現化した一例であり、本発明の技術的範囲を限定する事例ではない。
【0035】
<第1実施形態>
図1〜5を参照しつつ、第1実施形態に係る電線100について説明する。電線100は、導体部1と絶縁部材2とを備える。また、本実施形態において、導体部1の端部には、接続部材6が接続されている。電線100は、例えば、自動車等の車両に搭載される。
【0036】
図1は、電線100の平面図である。
図2は、電線100の端部の一部切り欠き側面図である。
図3は、電線100の断面図である。
図3は、
図2のII−II平面における電線100の断面図である。
図4は、絶縁部材2の一部切り欠き斜視図である。
図5は、電線100の断面図である。
図5は、
図2のIII−III平面における電線100の断面図である。
【0037】
<電線:導体部>
電線100において、導体部1は、柔軟な金属の部材である。即ち、電線100における導体部1は、裸導体である。導体部1は、例えば、編組線が考えられる。なお、導体部1が、柔軟な金属を含む棒状の部材である場合も考えられる。また、導体部1が、撚り合わされた複数の細い線状の裸導体を含む場合も考えられる。
【0038】
本実施形態では、
図1,2に示されるように、導体部1の端部には、接続部材6が接続されている。接続部材6は、端子又はコネクタ等の端末部材であることが考えられる。
【0039】
また、本実施形態では、導体部1は、並列に並べられた複数の導体部1を含む。
図1に示されるように、本実施形態は、3つの導体部1が絶縁部材2によって一体化されている場合の事例である。即ち、電線100は、3つの導体部1を含んでいる。なお、電線100に含まれる導体部1の数が、1つの場合、2つの場合又は4つ以上の場合も考えられる。
【0040】
<電線:絶縁部材>
電線100において、絶縁部材2は、導体部1の周囲を覆う部材である。そして、電線100においては、絶縁部材2の内側面と導体部1の外側面とが分離可能に設けられている。なお、本実施形態では、導体部1における接続部材6との接続部分が絶縁部材2によって覆われていない。なお、絶縁部材2が導体部1と接続部材6との接続部分も覆う場合も考えられる。
【0041】
また、本実施形態では、絶縁部材2は、第一絶縁部材21と第二絶縁部材22とを含む。絶縁部材2においては、第一絶縁部材21及び第二絶縁部材22が、導体部1に対し双方から近付けられ導体部1の両側で接続されることで導体部1の周囲を覆う。また、本実施形態において、絶縁部材2は、仕切部29と外部仕切部28と凸状の山部23と凹状の谷部24とを含む。
【0042】
本実施形態は、第一絶縁部材21及び第二絶縁部材22が、樹脂製のフィルム部材であり、絶縁部材2が、接合された第一絶縁部材21及び第二絶縁部材22を含む場合の事例である。なお、本実施形態では、第一絶縁部材21と第二絶縁部材22とは、溶接によって接合されている。また、第一絶縁部材21と第二絶縁部材22との溶接部分は、絶縁部材2における仕切部29及び外部仕切部28を成す。
【0043】
本実施形態では、第一絶縁部材21と第二絶縁部材22とが、超音波溶接又は熱溶接等で接合されていることが考えられる。また、第一絶縁部材21と第二絶縁部材22とが重なる状態で、ラミネート機に通されることによって接合されることも考えられる。
【0044】
溶接される前の状態の第一絶縁部材21及び第二絶縁部材22は、それぞれ扁平状に形成された部材である。例えば、第一絶縁部材21及び第二絶縁部材22は、可撓性を有する柔軟な部材であることが考えられる。
【0045】
また、第一絶縁部材21及び第二絶縁部材22は、樹脂製の部材である、例えば、第一絶縁部材21及び第二絶縁部材22は、ポリエステル、PA(ポリアミド)、PI(ポリイミド)、PE(ポリエチレン)又はPP(ポリプロピレン)の樹脂の部材であることが考えられる。なお、第一絶縁部材21と第二絶縁部材22とが、それぞれ異なる樹脂の部材であってもよく、また、同じ樹脂の部材であってもよい。
【0046】
<電線:絶縁部材(仕切部及び外部仕切部)>
本実施形態では、絶縁部材2は、隣り合う導体部1の間で接合された部分であり複数(本例では3つ)の導体部1を仕切る仕切部29を含む。
図1に示されるように、本実施形態において、絶縁部材2は、3つの導体部1を仕切る2つの仕切部29を含んでいる。
【0047】
本実施形態において、仕切部29は、第一絶縁部材21と第二絶縁部材22とが溶接された部分である。仕切部29は、仕切部29の両側に存在する2つの導体部1を仕切る。このため、例えば、
図1に示されるように、仕切部29が、導体部1の長手方向に沿って絶縁部材2の全長に亘って形成されていることが考えられる。なお、仕切部29が、導体部1の長手方向に沿って絶縁部材2にスポット状に設けられている場合等も考えられる。
【0048】
また、
図1に示されるように、本実施形態では、複数の導体部1が並ぶ方向における絶縁部材2の両端においても、第一絶縁部材21と第二絶縁部材22とが接合されている。この接合された部分が、外部仕切部28である。なお、本実施形態では、外部仕切部28は、第一絶縁部材21と第二絶縁部材22とが溶接された部分である。以下、複数の導体部1が並ぶ方向を第一方向と称する。
【0049】
図1,3〜5に示されるように、外部仕切部28は、第一方向において両端に位置する導体部1と外部とを仕切る。本実施形態では、
図1に示されるように、外部仕切部28も、仕切部29と同様、導体部1の長手方向に沿って絶縁部材2の全長に亘って形成されている。なお、外部仕切部28が、導体部1の長手方向に沿って絶縁部材2にスポット状に設けられている場合等も考えられる。
【0050】
即ち、本実施形態では、2つの仕切部29と2つの外部仕切部28とが絶縁部材2に設けられている。そして、3つの導体部1のうちの2つが、外部仕切部28と仕切部29とにはさまれた空間に収容され、残りの1つが、2つの仕切部29にはさまれた空間に収容されている。絶縁部材2においては、仕切部29により、仕切部29の両側に存在する導体部1が干渉しあうことを抑制できる。即ち、複数の導体部1が、絶縁部材2の内部で接触してしまうことを抑制できる。また、外部仕切部28により、導体部1と絶縁部材2との装着状態が解除することを抑制できる。
【0051】
また、本実施形態では、仕切部29及び外部仕切部28は、その表面が平坦に形成されている。なお、柔軟な第一絶縁部材21と第二絶縁部材22とが溶接された部分である仕切部29及び外部仕切部28は、曲げ変形可能な部分であることが考えられる。例えば、仕切部29及び外部仕切部28は、導体部1の両端に接続された接続部材6が近付くように曲げることが可能な厚みの柔軟な部分であることが考えられる。
【0052】
<電線:絶縁部材(山部及び谷部)>
電線100において、絶縁部材2は、山部23及び谷部24を含む。山部23は、導体部1の長手方向に交差する方向に沿って形成されている。なお、以下では、導体部1の長手方向に交差する方向を、第二方向と称する。また、谷部24も、第二方向に沿って形成されている。そして、山部23と谷部24とは、導体部1の長手方向に沿って交互に連なって形成されている。即ち、絶縁部材2は、凸状の山部23と凹状の谷部24とが導体部1の長手方向に沿って交互に連なる蛇腹構造を有している。
【0053】
なお、上記の第二方向は、導体部1の長手方向に直交する方向である場合又は導体部1の長手方向に斜めに交差する方向である場合が考えられる。例えば、第二方向は、導体部1の周方向又は導体部1の幅方向等である。また、第二方向が第一方向と重なる方向であってもよい。
【0054】
本実施形態では、谷部24は、絶縁部材2の外側面側において、凹状を成す。即ち、谷部24を絶縁部材2の外側面側から見たとき、谷部24は、外部に開口する溝を形成している。
【0055】
また、
図3に示されるように、電線100においては、谷部24の内側面は、絶縁部材2の内部に収容された導体部1の外側面に分離可能に接触している。本実施形態では、
図3に示されるように、谷部24の内側面の一部が、導体部1の外側面の一部に接触している場合が示されている。即ち、
図3に示されるように、電線100においては、谷部24の内側面が成す輪郭の縦寸法(絶縁部材2の厚み方向における寸法)と導体部1の外側面が成す輪郭の縦寸法とが同じである。なお、谷部24の内側面が成す輪郭の横寸法(絶縁部材2の幅方向における寸法)は、導体部1の外側面が成す輪郭の横寸法よりも大きく形成されている。即ち、本実施形態において、絶縁部材2の谷部24は、導体部1の外側面の一部の領域に沿う内側面を含んでいる。
【0056】
なお、谷部24の内側面が導体部1の外側面全体に亘って接触している場合も考えられる。即ち、絶縁部材2の谷部24は、導体部1の外側面全体の領域に沿う内側面を含んでいる場合も考えられる。この場合、谷部24の内側面が成す輪郭の縦寸法及び横寸法は、導体部1の外側面が成す輪郭の縦寸法及び横寸法と同じとなる。
【0057】
また、谷部24の内側面と導体部1の外側面とは、接合されておらず、分離可能に接触した状態である。このため、この電線100が曲げられるときには、絶縁部材2の谷部24の内側面と導体部1の外側面とは、相互に滑るように若しくはすれ違う方向に移動するように分離可能である。この場合、導体部1の変形に応じてその周囲を覆う絶縁部材2が変形しやすくなる。
【0058】
また、本実施形態では、山部23は、絶縁部材2の外側面側において、湾曲しつつ凸状を成す。山部23は、隣り合う仕切部29を結ぶ方向における中央が最も高く、中央から仕切部29側に向かうにつれ徐々に狭くなるように湾曲しつつ凸状を成すように形成されている。また、
図2に示されるように、山部23は、第一方向において隣り合う谷部24における中央が最も高く、中央から谷部24側に向かうにつれ徐々に狭くなるように湾曲しつつ凸状を成すように形成されている。
【0059】
また、
図2に示されるように、山部23を絶縁部材2の内側面側から見たとき、山部23は、開口が絶縁部材2の内部の導体部1側を向いた溝を形成している。即ち、本実施形態では、少なくとも一部において、絶縁部材2の内側面と導体部1の外側面との間に空間5が設けられている。空間5は、
図2,5に示されるように、山部23の内側面と導体部1の外側面との間に形成されている。
【0060】
空間5が形成されることで、導体部1が自由に変形可能な空間が増大する。即ち、導体部1の外側面が絶縁部材2の内側面に接触しない状態で導体部1が変形可能な空間を十分に確保することができる。
【0061】
また、本実施形態では、仕切部29及び外部仕切部28には、山部23及び谷部24が形成されていない。山部23及び谷部24は、2つの仕切部29にはさまれた部分と、仕切部29と外部仕切部28とにはさまれた2つの部分と、にそれぞれ設けられている。即ち、本実施形態では、山部23及び谷部24は、絶縁部材2の第二方向における一部の領域に設けられている。なお、山部23及び谷部24が、絶縁部材2の第二方向において全長に亘って設けられている場合も考えられる。
【0062】
また、山部23は、例えば、
図4に示されるように、第一絶縁部材21と第二絶縁部材22とが溶接された状態において、導体部1の外側面に接触する部分が折り曲げられることで形成される。以下、導体部1に絶縁部材2を取り付ける工程について説明する。
【0063】
まず、本実施形態では、扁平状の柔軟な第一絶縁部材21と第二絶縁部材22とが、導体部1の双方から近付けられ、複数(本例では3つ)の導体部1を一括して挟むように重ね合わされる。そして、第一絶縁部材21と第二絶縁部材22とが接合され、仕切部29及び外部仕切部28が形成される。
【0064】
このとき、導体部1が間に介在した状態の第一絶縁部材21及び第二絶縁部材22においては、導体部1が存在する部分が外側に盛り上がり、第一絶縁部材21と第二絶縁部材22との内側面は、導体部1の長手方向において全長に亘って導体部1の外側面に接触する。そして、この状態から第一絶縁部材21及び第二絶縁部材22における盛り上がった部分を、熱をかけつつ、摘み上げる若しくは寄せ上げることで、折り目を付ける。この折り目が導体部1の長手方向に沿って間隔を空けて複数設けられることで、山部23及び谷部24が形成される。即ち、折り目を含み、外部に凸状に形成された部分が山部23を成し、折り目の間の部分である導体部1の外側面に内側面が接触する部分が谷部24を成す。
【0065】
なお、導体部1の長手方向に沿って相互に近付けられる型部材を第一絶縁部材21及び第二絶縁部材22の表面に沿って移動させ、第一絶縁部材21と第二絶縁部材22とを挟んで、山部23を作ることも考えられる。また、予め、山部23及び谷部24が形成された第一絶縁部材21と第二絶縁部材22とを接合することで蛇腹構造の絶縁部材2を得ることも考えられる。この場合、導体部1の両側の第一絶縁部材21の谷部24の内側面と第二絶縁部材22の谷部24の内側面とが接合され、山部23及び谷部24が形成された絶縁部材2を得ることができる。
【0066】
本実施形態においては、絶縁部材2が山部23と谷部24とが導体部1の長手方向に沿って交互に並ぶ蛇腹構造を有する。このため、谷部24を挟んで隣り合う山部23の頂点同士が近付くように変形することで、導体部1の両端が近付く方向に曲げ易くなる。
【0067】
<電線>
導体部1と絶縁部材2とを備える電線100において、絶縁部材2の内側面と導体部1の外側面とが分離可能に設けられている。即ち、絶縁部材2が導体部1の外側面に固着していない。従って、例えば、この電線100が第一絶縁部材21側に凸状となるように曲げられた場合、曲げられた導体部1の内側(曲げ方向の内側)の第二絶縁部材22は、縮むように変形する。一方、曲げられた導体部1の外側(曲げ方向の外側)の第一絶縁部材21は、伸びるように変形する。即ち、絶縁部材2の内側面と導体部1の外側面とが分離可能であるため、導体部1の周囲を覆う絶縁部材2が、場所ごとにそれぞれ導体部1の変形に応じて変形する。これにより、電線100を曲げるために要する力を小さくでき、電線100の柔軟性をより向上させることが可能となる。
【0068】
また、本実施形態では、少なくとも一部(本例では、絶縁部材2の山部23)において、絶縁部材2の内側面と導体部1の外側面との間に空間5が設けられている。この場合、絶縁部材2と導体部1との間に導体部1の曲げを阻害しない空間5を作ることができ、電線100の柔軟性をより向上させることが可能となる。
【0069】
また、本実施形態において、絶縁部材2は、導体部1の長手方向に交差する第二方向に沿う凸状の山部23と第二方向に沿う凹状の谷部24とが導体部1の長手方向に沿って交互に連なる蛇腹構造を有するため、導体部1の両端が近付く方向により曲げ易くなる。
【0070】
また、本実施形態において、絶縁部材2は、導体部1に対し双方から近付けられ導体部1の両側で接合されることで導体部1の周囲を覆う第一絶縁部材21と第二絶縁部材22とを含む。この場合、導体部1に対し双方から挟むように取り付けるという簡易な作業で導体部1に絶縁部材2を装着することが可能となる。また、隣り合う導体部1の間で接合された部分が仕切部29を成すため、導体部1が絶縁部材2内で干渉しあうことも抑制できる。
【0071】
また、本実施形態において、第一絶縁部材21及び第二絶縁部材22が、樹脂製のフィルムであり、絶縁部材2は、溶接によって接合された第一絶縁部材21と第二絶縁部材22とを備える。この場合、第一絶縁部材21と第二絶縁部材22とが重なった状態において溶接することで簡単に絶縁部材2を導体部1に装着できる。
【0072】
<第2実施形態>
次に、
図6〜11を参照しつつ、第2実施形態に係る電線200について説明する。電線200は、第1実施形態と異なる絶縁部材2Aを含む。
図5は、電線200の平面図である。
図7は、電線200の端部の一部切り欠き側面図である。
図8は、電線200の端部の断面図である。
図8は、
図6のIV−IV平面における電線200の断面図である。
図9は、電線200の断面図である。
図9は、
図8のV−V平面における電線200の断面図である。
図10は、電線200の断面図である。
図10は、
図8のVI−VI平面における電線200の断面図である。
図11は、電線200の断面図である。
図11は、
図8のVII−VII平面における電線200の断面図である。なお、
図6〜11において、
図1〜5に示される構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号が付されている。以下、本実施形態における第1実施形態と異なる点について説明する。
【0073】
本実施形態において、電線200は、導体部1と絶縁部材2Aとを備える。また、電線200は、第1実施形態と同様、3つの導体部1を含む。また、
図6に示されるように、本実施形態においても、導体部1の端部には、接続部材6が接続されている。導体部1及び接続部材6の構造は、第1実施形態と同じであるため説明を省略する。
【0074】
<電線:絶縁部材>
電線200においては、絶縁部材2Aは、少なくとも一方に導体部1を配設可能な溝部25が形成された樹脂製の成形部材である第一絶縁部材21A及び第二絶縁部材22Aを含む。なお、本実施形態は、
図9〜11に示されるように、第一絶縁部材21A及び第二絶縁部材22Aの両方に溝部25が形成されている場合の事例である。
【0075】
本実施形態において、第一絶縁部材21A及び第二絶縁部材22Aは、軟質な樹脂の成形部材である。即ち、絶縁部材2Aは、金型等を用いて作られた第一絶縁部材21Aと第二絶縁部材22Aとが重ね合わされ、接合されることで形成される。なお、本実施形態は、第一絶縁部材21Aと第二絶縁部材22Aとが熱をかけられながらプレスされる熱プレスによって接合される場合の事例である。絶縁部材2Aにおける第一絶縁部材21A及び第二絶縁部材22Aは、例えば、ポリエステルエラストマ又はブチルゴム等の熱可塑性のエラストマを含む部材であることが考えられる。
【0076】
また、本実施形態において、絶縁部材2Aは、仕切部29Aと外部仕切部28Aと凸状の山部23Aと凹状の谷部24Aとを含む。
【0077】
<電線:絶縁部材(仕切部及び外部仕切部)>
電線200において、仕切部29Aは、第1実施形態と同様、隣り合う導体部1の間で接合された部分であり複数(本例では3つ)の導体部1を仕切る。
図6に示されるように、絶縁部材2Aは、2つの仕切部29Aを含んでいる。
【0078】
本実施形態では、
図8に示されるように、仕切部29Aは、比較的厚い肉厚部291と比較的薄い肉薄部292とを含む。電線200において、仕切部29Aの肉厚部291と肉薄部292とは、導体部1の長手方向に沿って交互に連なって形成されている。
【0079】
第一絶縁部材21Aにおいて、絶縁部材2Aにおける仕切部29Aを形成する仕切部形成領域では、比較的厚みの厚い部分と比較的厚みの薄い部分とが交互に連なって形成されている。そして、第一絶縁部材21Aの仕切部形成領域においては、一方の面が平坦に形成され、他方の面が凸凹に形成されている。以下、第一絶縁部材21Aにおける絶縁部材2Aの仕切部29Aを成す部分において、平坦に形成された一方側の面を平坦面と称し、他方側の凸凹の面を凸凹面と称して説明する。また、本実施形態では、第一絶縁部材21Aと同様、第二絶縁部材22Aにおいても、絶縁部材2Aにおける仕切部29Aを形成する仕切部形成領域では、比較的厚みの厚い部分と比較的厚みの薄い部分とが交互に連なって形成され、一方の面が平坦に、他方の面が凸凹に形成されている。
【0080】
本実施形態では、第一絶縁部材21Aの仕切部形成領域の平坦面と第二絶縁部材22Aの仕切部形成領域の平坦面とが接触するように重ね合わされ、この状態で接合されることで絶縁部材2Aが得られる。
【0081】
このとき、第一絶縁部材21Aの仕切部形成領域における比較的厚く形成された部分と第二絶縁部材22Aにおける仕切部形成領域における比較的厚く形成された部分とは、重なるように合わせられる。
【0082】
そして、絶縁部材2Aにおいては、第一絶縁部材21Aの仕切部形成領域における比較的厚く形成された部分と第二絶縁部材22Aにおける仕切部形成領域における比較的厚く形成された部分とが重なった状態で第一絶縁部材21Aと第二絶縁部材22Aとが接合された部分が、肉厚部291を成す。また、第一絶縁部材21Aの仕切部形成領域における比較的薄く形成された部分と第二絶縁部材22Aにおける仕切部形成領域における比較的薄く形成された部分とが重なって接合された部分は、肉薄部292を成す。この場合、比較的薄い肉薄部292によって、この肉薄部292で繋がれた両側の肉厚部291が近付く方向に比較的曲がり易くなる。
【0083】
また、本実施形態では、第一絶縁部材21Aの仕切部形成領域の平坦面と第二絶縁部材22Aの仕切部形成領域の平坦面とが、全面に亘って接合される。即ち、本実施形態では、各仕切部形成領域に厚みの厚い部分と厚みの薄い部分とが予め形成された第一絶縁部材21Aと第二絶縁部材22Aとが接合され、絶縁部材2Aが形成されている。しかしながら、第一絶縁部材21Aの仕切部形成領域と第二絶縁部材22Aの仕切部形成領域との一部が接合されることで、第一絶縁部材21Aと第二絶縁部材22Aとが合体している場合も考えられる。
【0084】
電線200において、外部仕切部28Aは、第1実施形態と同様、第一方向において両端に位置する導体部1と外部とを仕切る。外部仕切部28Aは、第一絶縁部材21Aと第二絶縁部材22Aとが接合されることで形成される。本実施形態では、外部仕切部28Aは、第一絶縁部材21Aと第二絶縁部材22Aとが溶接されることで形成される。
【0085】
本実施形態においても、仕切部29A及び外部仕切部28Aは、曲げ変形可能な部分であることが考えられる。例えば、仕切部29A及び外部仕切部28Aは、導体部1の両端に接続された接続部材6が近付くように曲げることが可能な厚みの柔軟な部分であることが考えられる。
【0086】
<電線:絶縁部材(山部及び谷部)>
電線200において、絶縁部材2Aは、山部23A及び谷部24Aを含む。第1実施形態と同様、山部23Aは、導体部1の長手方向に交差する第二方向に沿って形成されている。また、谷部24Aも、第二方向に沿って形成されている。そして、山部23Aと谷部24Aとは、導体部1の長手方向に沿って交互に連なって形成されている。即ち、絶縁部材2Aは、凸状の山部23Aと凹状の谷部24Aとが導体部1の長手方向に沿って交互に連なる蛇腹構造を有している。
【0087】
本実施形態では、谷部24Aは、第一谷部241Aと第二谷部242Aとを含む。第一谷部241Aは、
図9に示されるように、第一谷部241Aの内側面と導体部1の外側面との間に空間5Aが形成される状態を作ることが可能な谷部である。即ち、
図9に示されるように、第一谷部241Aの内側面が成す輪郭の縦寸法及び横寸法の両方は、導体部1の外側面が成す輪郭の縦寸法及び横寸法よりも大きい。この場合、第一谷部241Aにおいても、導体部1の外側面が絶縁部材2Aの内側面に接触しない状態で導体部1が変形可能な空間5Aを十分に確保することができる。
【0088】
一方、第二谷部242Aは、
図6に示されるように、導体部1の長手方向における両端部の少なくとも一方(本例では両方)に形成されている。
図10に示されるように、本実施形態において、第二谷部242Aの内側面は、絶縁部材2Aの内部に収容された導体部1の外側面に分離可能に接触している。この場合、第二谷部242Aにより、絶縁部材2Aが導体部1に対し大きく移動してしまうことが抑制される。なお、第1実施形態と同様、第二谷部242Aの内側面と導体部1の外側面とは、分離可能に接触した状態である。
【0089】
また、本実施形態において、山部23Aは、絶縁部材2Aの外側面側において、湾曲しつつ凸状を成す。
図7に示されるように、山部23Aは、絶縁部材2Aの主面に平行な第一面とこの面に直交する複数の第二面とを含み、各面が滑らかに連なって凸状に形成されている。
【0090】
また、本実施形態においても、
図7に示されるように、山部23Aを絶縁部材2Aの内側面側から見たとき、山部23Aは、開口が絶縁部材2Aの内部の導体部1側を向いた溝を形成している。これにより、
図11に示されるように、本実施形態でも、山部23Aの内側面と導体部1の外側面との間には、導体部1が自由に変形可能な空間5Aが形成されている。
【0091】
<電線:絶縁部材(溝部)>
本実施形態では、
図9〜11に示されるように、第一絶縁部材21A及び第二絶縁部材22Aに、導体部1を配設可能な溝部25が形成されている。このため、溝部25は、導体部1の長手方向に沿って第一絶縁部材21A及び第二絶縁部材22Aの全長に亘って形成されていることが考えられる。
【0092】
本実施形態では、第一絶縁部材21Aの溝部25の開口と第二絶縁部材22Aの溝部25の開口とが対向した状態で、第一絶縁部材21Aと第二絶縁部材22Aとが近付けられる。このとき、第一絶縁部材21Aの溝部25と第二絶縁部材22Aの溝部25とで囲まれる空間に、導体部1が収容される。
【0093】
従って、溝部25は、導体部1の少なくとも一部を収容可能な深さであることが考えられる。なお、第一絶縁部材21Aと第二絶縁部材22Aとに溝部25が形成される場合、2つの溝部25の深さの寸法の合計が、導体部1の径よりも大きいことが考えられる。また、第一絶縁部材21A及び第二絶縁部材22Aのうちの一方のみに溝部25が形成されている場合、この1つの溝部25の深さの寸法が、導体部1の径よりも大きいことが考えられる。なお、第一絶縁部材21A及び第二絶縁部材22Aのうちの一方のみに溝部25が形成されている場合、溝部25が形成されていない側の部材の溝部25に対向する面は、例えば、平坦に形成されていることが考えられる。
【0094】
本実施形態では、第一絶縁部材21Aと第二絶縁部材22Aとを合体させる作業において、導体部1を溝部25に配設することにより、導体部1の位置を固定することができる。このため、第一絶縁部材21Aと第二絶縁部材22Aとの接合作業の作業性が向上する。
【0095】
<電線>
本実施形態においても、絶縁部材2Aの内側面と導体部1の外側面とが分離可能に設けられている。即ち、絶縁部材2Aが導体部1の外側面に固着していない。従って、導体部1の周囲を覆う絶縁部材2Aが、場所ごとにそれぞれ導体部1の変形に応じて変形する。これにより、電線200を曲げるために要する力を小さくでき、電線200の柔軟性をより向上させることが可能となる。
【0096】
また、本実施形態では、絶縁部材2Aは、少なくとも一方(本例では両方)に導体部1を配設可能な溝部25が形成された樹脂製の成形部材である第一絶縁部材21A及び第二絶縁部材22Aを含む。この場合、樹脂製の成形部材の第一絶縁部材21Aと第二絶縁部材22Aとを導体部1に対し双方から挟むように取り付けるという簡易な作業で導体部1に絶縁部材2Aを装着することが可能となる。
【0097】
<第3実施形態>
次に、
図12〜15を参照しつつ、第3実施形態に係る端子付電線300について説明する。端子付電線300は、第1実施形態及び第2実施形態と異なる絶縁部材2Bを含む。
図12は、端子付電線300の平面図である。
図13は、端子付電線300の断面図である。
図13は、
図12のVIII−VIII平面における端子付電線300の断面図である。
図14は、一部分解状態の端子付電線300の一部切り欠き側面図である。なお、
図14では、端子付電線300に絶縁部材2Bを取り付ける工程が示されている。
図15は、端子付電線300の端部の一部切り欠き側面図である。なお、
図12〜15において、
図1〜11に示される構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号が付されている。以下、本実施形態における第1実施形態及び第2実施形態と異なる点について説明する。
【0098】
本実施形態において、端子付電線300は、導体部1と絶縁部材2Bと端子4とを備える。なお、
図12,13には、3本の端子付電線300が並列に並べられた状態が示されている。導体部1の構造は、第1実施形態と同じであるため説明を省略する。
【0099】
<端子付電線:端子>
端子付電線300において、端子4は、導体部1の両端部にそれぞれ接続されている。本実施形態において、端子4は、
図12に示されるように、導体部1に接続された導体接続部41とこの端子4の接続相手である相手側部材に接続可能な部分である接点部42とを含む。
【0100】
本実施形態において、導体接続部41は、導体部1の端部に接続された部分である。
図12,14,15に示されるように、導体接続部41は、導体部1の端部に対し圧着によって接続されている。即ち、本実施形態において、導体接続部41は、導体部1の端部の周囲を覆う状態でかしめられた圧着片を含む。
【0101】
なお、導体部1が、端子4に対して超音波溶接又は熱溶接等の溶接によって接続される場合も考えられる。この場合、導体接続部41は、平板状に形成されていることが考えられる。
【0102】
また、本実施形態において、接点部42は、導体部1の長手方向において、導体接続部41から導体部1側に対し反対側に延出して形成されている。また、
図12に示されるように、接点部42は、相手側部材とボルト締結を可能にする締結孔421を含む。締結孔421は、端子4の一方の主面から他方の主面に貫通する貫通孔である。この場合、相手側部材にも、端子4とのボルト締結を可能にする締結用の孔が形成されていることが考えられる。そして、端子4の接点部42の締結孔421と相手側部材の締結用の孔とが重なった状態で、ボルトが通され締められることで、端子4と相手側部材とが接続されることが考えられる。
【0103】
<端子付電線:絶縁部材>
端子付電線300において、絶縁部材2Bは、絶縁部材2Bの両端部においてそれぞれ端子4の周囲に密着し、熱を受けて収縮した熱収縮チューブである。本実施形態において、絶縁部材2Bは、熱を受け収縮した絶縁部材2Bの両端部の密着部24Bと、密着部24Bの間の部分であり収縮前の状態である空間形成部23Bと、を含む。
【0104】
絶縁部材2Bにおいて、密着部24Bは、
図14,15に示されるように、収縮前の熱収縮チューブがヒーター等の加熱器99に加熱されることにより、収縮した部分である。そして、絶縁部材2Bの密着部24Bの内側面は、端子4の外周面に密着している。なお、本実施形態では、密着部24Bは、端子4の導体接続部41の周囲を覆っている。
【0105】
空間形成部23Bは、収縮前の熱収縮チューブの部分である。即ち、絶縁部材2Bは、収縮前の熱収縮チューブの部分である空間形成部23Bと、加熱され熱収縮チューブが収縮した部分である密着部24Bと、を含む。従って、本実施形態では、空間形成部23Bは、密着部24Bに比べ内径が大きい。
【0106】
そして、絶縁部材2Bにおいては、空間形成部23Bの内側面が成す輪郭は、導体部1の外側面が成す輪郭よりも大きい。このため、
図13,15に示されるように、空間形成部23B内側面と導体部1の外側面との間に空間5Bが形成されている。なお、空間5Bは、第1実施形態及び第2実施形態と同様、導体部1の外側面が絶縁部材2Bの内側面に接触しない状態で導体部1が変形可能な空間である。しかしながら、空間形成部23Bの内側面が、導体部1の外側面に、分離可能に接触している場合も考えられる。
【0107】
絶縁部材2Bを構成する熱収縮チューブは、例えば、ポリオレフィン系、ナイロン系、シリコーン系、フッ素樹脂系又はポリエステルエラストマー系などの合成樹脂からなる筒状の部材である。熱収縮チューブは、押し出し成形によりごく細い筒状に成形された樹脂部材が、加熱された状態で太い筒状へ引き伸ばされた後に冷却されることによって得られる。このようにして得られた熱収縮チューブは、加熱された場合、引き伸ばされる前の細い筒状まで収縮する形状記憶特性を有する。
【0108】
また、絶縁部材2Bの密着部24Bと端子4とが接着剤によって接着されている場合も考えられる。この場合、例えば、絶縁部材2Bを構成する熱収縮チューブは、内側面に熱可塑性の接着剤が設けられていることが考えられる。なお、接着剤は、熱収縮チューブにおける端部のみに設けられていることが好ましい。本実施形態では、収縮前の熱収縮チューブは、端部のみが加熱されるためである。また、接着剤が熱収縮チューブにおける端部のみに設けられている場合、誤って収縮前の熱収縮チューブにおける空間形成部23Bに相当する部分が加熱されても、空間形成部23Bの内側面が接着剤によって導体部1の外側面に接着されることを回避できる。なお、接着剤が端子4側に設けられている場合も考えられる。即ち、接着剤が、例えば、端子4の外側面に塗布されている場合も考えられる。
【0109】
<端子付電線>
本実施形態においても、絶縁部材2Bの内側面と導体部1の外側面とが分離可能に設けられている。即ち、絶縁部材2Bが導体部1の外側面に固着していない。従って、導体部1の周囲を覆う絶縁部材2Bが、場所ごとにそれぞれ導体部1の変形に応じて変形する。これにより、端子付電線300を曲げるために要する力を小さくでき、端子付電線300の柔軟性をより向上させることが可能となる。
【0110】
また、本実施形態では、絶縁部材2Bは、絶縁部材2Bの両端部においてそれぞれ端子4の周囲に密着し、熱を受けて収縮した熱収縮チューブである。この場合、熱収縮チューブに熱を与え収縮させるという簡易な作業で、導体部1に絶縁部材2Bを装着することが可能となる。
【0111】
また、本実施形態において、絶縁部材2Bは、熱を受け収縮した両端部の密着部24Bと、密着部24Bの間の部分であり収縮前の状態である空間形成部23Bと、を含む。この場合、熱収縮チューブの端部に熱を与え収縮させることで、導体部1に絶縁部材2Bを装着することが可能となる。即ち、熱収縮チューブ全体に熱を与える必要がなく、この端子付電線300の製造にかかる時間を短縮できる。
【0112】
<第4実施形態>
次に、
図16〜19を参照しつつ、第4実施形態に係る端子付電線400について説明する。端子付電線400は、第1実施形態〜第3実施形態と異なる絶縁部材2Cを含む。
図16は、端子付電線400の平面図である。
図17は、端子付電線400の断面図である。
図17は、
図16のIX−IX平面における端子付電線400の断面図である。
図18は、一部分解状態の端子付電線400の一部切り欠き側面図である。なお、
図18では、端子付電線400に絶縁部材2Cを取り付ける工程が示されている。
図19は、端子付電線400の端部の一部切り欠き側面図である。なお、
図16〜19において、
図1〜15に示される構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号が付されている。以下、本実施形態における第1実施形態〜第3実施形態と異なる点について説明する。
【0113】
本実施形態において、端子付電線
400は、導体部1と絶縁部材2Cと端子4とを備える。なお、
図16,17には、3本の端子付電線400が並列に並べられた状態が示されている。導体部1の構造は、第1実施形態と同じであるため説明を省略する。
【0114】
<端子付電線:端子>
端子付電線400において、端子4は、第3実施形態と同様、導体部1の両端部にそれぞれ接続されている。また、本実施形態においても、端子4は、導体部1に接続された導体接続部41とこの端子4の接続相手である相手側部材に接続可能な部分である接点部42とを含む。
【0115】
端子付電線400においては、端子4は、導体部1の輪郭よりも輪郭が大きい絶縁部材固定部41Cを含む。本実施形態は、絶縁部材固定部41Cが、端子4の導体接続部41である場合の事例である。
【0116】
<端子付電線:絶縁部材>
端子付電線400において、絶縁部材2Cは、絶縁部材2Cの両端部においてそれぞれ端子4の周囲に密着し、熱を受けて収縮した熱収縮チューブである。本実施形態において、絶縁部材2Cは、全長に亘って熱を受けて収縮した熱収縮チューブである。そして、絶縁部材2Cは、端子4の絶縁部材固定部41Cの周囲に密着した密着部24Cと、熱収縮後の内側面が成す輪郭が導体部1の輪郭よりも大きく導体部1の外側面との間に空間5Cが形成された空間形成部23Cと、を含む。
【0117】
即ち、上述のように、熱収縮チューブは、押し出し成形によりごく細い筒状に成形された樹脂部材が、加熱された状態で太い筒状へ引き伸ばされた後に冷却されることによって得られる。このようにして得られた熱収縮チューブは、加熱された場合、引き伸ばされる前の細い筒状まで収縮する形状記憶特性を有する。本実施形態では、絶縁部材2Cを構成する熱収縮チューブは、引き伸ばされる前の細い筒状において、その内側面が成す輪郭が、導体部1の外側面が成す輪郭よりも大きく、端子4の絶縁部材固定部41Cの外側面が成す輪郭よりも小さい熱収縮チューブである。
【0118】
絶縁部材2Cにおいては、
図18に示されるように、全長に亘って収縮前の熱収縮チューブがヒーター等の加熱器99に加熱される。ここで、絶縁部材2Cを構成する熱収縮チューブは、引き伸ばされる前の細い筒状において、その内側面が成す輪郭が、導体部1の外側面が成す輪郭よりも大きく、端子4の絶縁部材固定部41Cの外側面が成す輪郭よりも小さい熱収縮チューブである。このため、加熱され収縮した熱収縮チューブは、端子4の絶縁部材固定部41Cの外側面には密着するが、導体部1の外側面には密着せず、収縮後の熱収縮チューブと導体部1との間に空間5Cが形成される。
【0119】
絶縁部材2Cにおいて、密着部24Cは、加熱され収縮した熱収縮チューブの部分である。密着部24Cの内側面は、端子4の絶縁部材固定部41C(本例では導体接続部41)の外周面に密着している。
【0120】
また、絶縁部材2Cにおいては、空間形成部23Cも、加熱され収縮した熱収縮チューブの部分である。従って、本実施形態では、空間形成部23Cの内径と密着部24Cの内径とが同じであることが考えられる。
【0121】
そして、上述のように、絶縁部材2Cにおいては、空間形成部23Cの内側面が成す輪郭は、導体部1の外側面が成す輪郭よりも大きい。このため、
図17に示されるように、空間形成部23Cの内側面と導体部1の外側面との間に空間5Cが形成されている。なお、空間5Cは、第1実施形態〜第3実施形態と同様、導体部1の外側面が絶縁部材2Cの内側面に接触しない状態で導体部1が変形可能な空間である。
【0122】
<端子付電線>
本実施形態においても、絶縁部材2Cの内側面と導体部1の外側面とが分離可能に設けられている。即ち、絶縁部材2Cが導体部1の外側面に固着していない。従って、導体部1の周囲を覆う絶縁部材2Cが、場所ごとにそれぞれ導体部1の変形に応じて変形する。これにより、端子付電線400を曲げるために要する力を小さくでき、端子付電線400の柔軟性をより向上させることが可能となる。
【0123】
また、本実施形態では、絶縁部材2Cは、絶縁部材2Cの両端部においてそれぞれ端子4の周囲に密着し、熱を受けて収縮した熱収縮チューブである。この場合、熱収縮チューブに熱を与え収縮させるという簡易な作業で、導体部1に絶縁部材2Cを装着することが可能となる。
【0124】
また、本実施形態において、絶縁部材2Cは、全長に亘って熱を受けて収縮した熱収縮チューブであり、端子4の絶縁部材固定部41Cの周囲に密着した密着部24Cと、内側面がなす輪郭が導体部1の輪郭よりも大きく導体部1の外側面との間に空間5Cが形成された空間形成部23Cと、を含む。この場合、熱収縮チューブ全体に熱を与え収縮させるという簡易な作業で、導体部1に絶縁部材2Cを装着することが可能となる。
【0125】
<第5実施形態>
次に、
図20,21を参照しつつ、第5実施形態に係る電線500について説明する。電線500は、第1実施形態〜第4実施形態と異なる絶縁部材2Dを含む。
図20は、電線500の一部切り欠き側面図である。
図21は、一部分解状態の電線500の一部切り欠き側面図である。なお、
図21では、電線500に絶縁部材2Dを取り付ける工程が示されている。なお、
図20,21において、
図1〜19に示される構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号が付されている。以下、本実施形態における第1実施形態〜第4実施形態と異なる点について説明する。
【0126】
本実施形態において、電線500は、導体部1と絶縁部材2Dとを備える。なお、導体部1の端部には、第1実施形態と同様、接続部材6が接続されている。導体部1及び接続部材6の構造は、第1実施形態と同じであるため説明を省略する。
【0127】
<電線:絶縁部材>
電線500において、絶縁部材2Dは、熱を受けて収縮した熱収縮チューブである。そして、絶縁部材2Dは、熱を受け収縮し導体部1の周囲に密着した両端部の密着部24Dと、密着部24Dの間の部分であり収縮前の状態である空間形成部23Dと、を含む。
【0128】
絶縁部材2Dにおいて、密着部24Dは、
図21に示されるように、収縮前の熱収縮チューブがヒーター等の加熱器99に加熱されることにより、収縮した部分である。そして、絶縁部材2Dの密着部24Dの内側面は、導体部1の外周面に密着している。
【0129】
空間形成部23Dは、収縮前の熱収縮チューブの部分である。即ち、絶縁部材2Dは、収縮前の熱収縮チューブの部分である空間形成部23Dと、加熱され熱収縮チューブが収縮した部分である密着部24Dと、を含む。従って、本実施形態では、空間形成部23Dは、密着部24Dに比べ内径が大きい。
【0130】
そして、絶縁部材2Dにおいては、空間形成部23Dの内側面が成す輪郭は、導体部1の外側面が成す輪郭よりも大きい。このため、
図20に示されるように、空間形成部23Dの内側面と導体部1の外側面との間に空間5Dが形成されている。なお、空間5Dは、第1実施形態〜第4実施形態と同様、導体部1の外側面が絶縁部材2Dの内側面に接触しない状態で導体部1が変形可能な空間である。しかしながら、空間形成部23Dの内側面が、導体部1の外側面に、分離可能に接触している場合も考えられる。
【0131】
<電線>
本実施形態においても、絶縁部材2Dの内側面と導体部1の外側面とが分離可能に設けられている。即ち、絶縁部材2Dが導体部1の外側面に固着していない。従って、導体部1の周囲を覆う絶縁部材2Dが、場所ごとにそれぞれ導体部1の変形に応じて変形する。これにより、電線500を曲げるために要する力を小さくでき、電線500の柔軟性をより向上させることが可能となる。
【0132】
また、本実施形態では、絶縁部材2Dは、熱を受けて収縮した熱収縮チューブであり、熱を受け収縮し導体部1の周囲に密着した両端部の密着部24Dと、密着部24Dの間の部分であり収縮前の状態である空間形成部23Dと、を含む。この場合、熱収縮チューブの端部に熱を与え収縮させることで、導体部1に絶縁部材2Dを装着することが可能となる。即ち、熱収縮チューブ全体に熱を与える必要がなく、この電線500の製造にかかる時間を短縮できる。
【0133】
<参考例>
次に参考例に係る電線900について説明する。
図22は、電線900の断面図である。
図23は、電線900の一部切り欠き側面図である。電線900は、導体部1と絶縁部材2Eとを含む。また、導体部1の端部には接続部材6が接続されている。
図22では、電線900が、複数(本例では3つ)の導体部1を含む場合が示されている。なお、
図22,23において、
図1〜22に示される構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号が付されている。導体部1及び接続部材6は、第1実施形態と構造が同様なので説明を省略する。
【0134】
絶縁部材2Eは、柔軟な樹脂の部材である。例えば、絶縁部材2Eに含まれる樹脂は、エラストマー等が考えられる。絶縁部材2Eは、導体部1をインサート品として、絶縁部材2Eを構成する樹脂をインサート成形することにより得られる。即ち、電線900においては、導体部1の外周面に絶縁部材2Eが固着している。
【0135】
また、絶縁部材2Eは、導体部1の長手方向に沿って厚肉の厚肉部23Eと薄肉の薄肉部24Eとが交互に連なる構造を有する。この場合、比較的柔軟な薄肉部24Eによって、この薄肉部24Eで繋がれた両側の厚肉部23Eが近付く方向に比較的曲がり易くなる。
【0136】
本参考例においては、柔軟な絶縁部材2E及び導体部1によって、電線900が曲げ易い。また、絶縁部材2Eが導体部1の長手方向に沿って厚肉の厚肉部23Eと薄肉の薄肉部24Eとが交互に連なる構造を有するため、絶縁部材2Eはより曲がり易い。
【0137】
<応用例>
第1実施形態において、第一絶縁部材21と第二絶縁部材22とが、接着剤によって接着されることで、絶縁部材2が作られる場合も考えられる。第2実施形態においても同様である。
【0138】
また、第2実施形態において、各仕切部形成領域が一様な厚みの第一絶縁部材21Aと第二絶縁部材22Aとが接合され絶縁部材2Aが形成される場合も考えられる。この場合、第一絶縁部材21Aの仕切部形成領域と第二絶縁部材22Aの仕切部形成領域とが重なった状態において、複数箇所に両側から熱プレスが行われることで、第一絶縁部材21Aと第二絶縁部材22Aとが接合される。即ち、熱プレスされた箇所で第一絶縁部材21Aと第二絶縁部材22Aとが接合される。そして、この絶縁部材2Aにおいては、熱プレスされた部分が、肉薄部292を成し、熱プレスされなかった部分が肉厚部291を成す。
【0139】
また、第3実施形態及び第4実施形態において、端子付電線300,400が、導体部1の端部に接続される端子4の代わりに、コネクタ等の端子以外の端末部材を備える場合も考えられる。
【0140】
なお、本発明に係る電線及び端子付電線は、各請求項に記載された発明の範囲において、以上に示された各実施形態及び応用例を自由に組み合わせること、或いは、各実施形態及び応用例を適宜、変形する又は一部を省略することによって構成されることも可能である。