(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
サイディング材の上端に当接する第一当接板と、前記サイディング材の屋内面側の前記第一当接板の端部から前記サイディング材の下端方向に突出する第一掛止部と、を有する第一爪部と、
前記サイディング材の下端に当接する第二当接板と、前記サイディング材の屋内面側の前記第二当接板の端部から前記サイディング材の上端方向に突出する第二掛止部と、を有する第二爪部と、
前記第一爪部と前記第二爪部との間の距離が前記サイディング材の高さ方向の長さより長い位置から短い位置までの範囲で、当該第一爪部及び当該第二爪部を接近方向及び離間方向に移動させる操作部とを備え、
前記操作部は、
一端が前記第一爪部に連結される第一操作片と、
前記第一操作片の他端に固定され、作業者が把持する第一操作グリップと、
一端が前記第二爪部に連結される第二操作片と、
前記第二操作片の他端に固定され、作業者が把持する第二操作グリップと、
前記第一操作片及び前記第二操作片の中間部を互いに揺動可能に接続する軸部と、を有することを特徴とする外壁取付施工具。
【背景技術】
【0002】
従来より、建築物の外装材として高さ方向の長さが例えば300mm程度のサイディング材を上下に複数並べて1つの階の外壁面を形成することが知られている。このようなサイディング材は、例えば特許文献1に記載のように、上端の屋内面側が上方に突出する上端突出部を形成するとともに、下端の屋外面側が下方に突出して下端突出部を形成しており、相じゃくりのように、前記上端突出部と前記下端突出部とが互いに重なり合う収まりとすることで、横目地部の雨仕舞を良くしている。
【0003】
このような、サイディング材を用いる場合には、下から順にサイディング材を下地材に取り付けていく。このとき、サイディング材は取付金具によって下地材に取り付けている。取付金具としては、下地材に固定されるベースプレートから水平方向に突出し、その先端が上下それぞれの傾斜片に枝分かれして形成されている取付金具が開示されており、上向きの傾斜片が、サイディング材の下端の厚さ方向の中央に形成された係止溝に挿入されて、サイディング材の下端を受けるとともに、下向きの傾斜片がサイディング材の上端突出部を挟持して、サイディング材を下地材に取り付けている。
【0004】
ところで、このようなサイディング材は、作業者が一方の手で上端を、他方の手で下端を把持して持ち運びすることが一般的であるが、サイディングの施工作業中にサイディング材を保持する治具として、特許文献2のようなものが開示されている。特許文献2の治具は、サイディング材の下端に引っ掛かるつめと、サイディング材の一方の面に当接する保持板と、保持板のサイディング材と当接する面と逆の面から突出する握り棒を有しており、サイディング材を引き上げるときに作業者の力が入りやすいとするものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1のような複数のサイディング材を上下に並べて外壁面を形成する工程において、作業者が手でサイディング材の下端を把持して、下地材にサイディング材を取り付ける場合、すでに取り付けられている下側のサイディング材の上端突出部の屋外側に、新たに取り付けるサイディング材の下端が配置されるので、作業者はサイディング材の下端の下側突出部の先端のみに指先を掛けてサイディング材を保持する必要がある。
【0007】
したがって、サイディング材の重量を指先のみで支える必要があり重労働となるとともに、作業手袋が下側のサイディング材と新たに取り付けるサイディング材の間に挟まって作業性や施工精度を低下させることがあり、また、サイディング材が指先から滑り落ちて破損するおそれや、サイディング材の間に指を挟む危険もある。
【0008】
また、特許文献2のような治具は、サイディング材の下端のみに引っ掛けられているので、サイディング材の上端が安定せず、サイディング材を取り落とす危険がある。また、特許文献2は、下端がほぼ平らなサイディング材を保持する治具であることから、上下で重なりあう部分を有するサイディング材の取付に用いることはできない。
【0009】
そこで、本発明は、サイディング施工作業を省力化することができ、安全で、サイディング材を傷つけるおそれが少ない外壁取付施工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の外壁取付施工具は、サイディング材の上端に当接する第一当接板と、前記サイディング材の屋内面側の前記第一当接板の端部から前記サイディング材の下端方向に突出する第一掛止部と、を有する第一爪部と、前記サイディング材の下端に当接する第二当接板と、前記サイディング材の
屋内面側の前記第二当接板の端部から前記サイディング材の上端方向に突出する第二掛止部と、を有する第二爪部と、前記第一爪部と前記第二爪部とを所定の範囲で接近方向及び離間方向に移動させる操作部とを備え
、前記操作部は、一端が前記第一爪部に連結される第一操作片と、前記第一操作片の他端に固定され、作業者が把持する第一操作グリップと、一端が前記第二爪部に連結される第二操作片と、前記第二操作片の他端に固定され、作業者が把持する第二操作グリップと、前記第一操作片及び前記第二操作片の中間部を互いに揺動可能に接続する軸部と、を有することを特徴としている。
【0012】
第
2の外壁取付施工具は、前記第一当接
板が前記サイディング材の上端に当接し、前記第二当接
板が前記サイディング材の下端に当接するときに、前記第一操作グリップ及び前記第二操作グリップが、互いに当接することを特徴としている。
【0013】
第
3の外壁取付施工具は、前記第一爪部よりも上方で、且つ、前記サイディング材が保持される位置よりも屋外側に作業者が把持する支持グリップが形成されることを特徴としている。
【0014】
第
4の外壁取付施工具は、上端の屋内面側が上方に突出する上端突出部を形成するとともに、下端の屋外面側が下方に突出して下端突出部を形成しており、前記上端突出部と前記下端突出部とが互いに重なり合う収まりの外壁取付施工具であって、前記第一当接板の前記サイディング材の厚さ方向の長さは、前記サイディング材の厚さよりも長く、前記第二当接板の前記サイディング材の厚さ方向の長さは、前記サイディング材の厚さよりも短く、且つ前記下端突出部の厚さよりも長いことを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明の第1の外壁取付施工具によると、操作部の操作によって、第一爪部と第二爪部との間の距離がサイディング材の高さ方向の長さより長い位置から短い位置までの範囲で、第一爪部及び第二爪部を接近方向及び離間方向に移動させるので、離間方向に移動させた状態で第一爪部と第二爪部との間にサイディング材を配置し、その後接近方向に移動させることで第一爪部の当接板と第二爪部の当接板とでサイディング材を確実に挟持することができ、このとき第一掛止部と第二掛止部との間の長さがサイディング材の長さよりも短くなるのでサイディング材を確実に保持することができる。そして、サイディング材を取り付ける位置に固定した後は、操作部を操作して第一爪部と第二爪部とを互いに離間する方向に移動させることで、簡単にサイディング材から外壁取付施工具を外すことができる。
また、操作部は、一端が第一爪部に連結される第一操作片と、第一操作片の他端に固定され、作業者が把持する第一操作グリップと、一端が第二爪部に連結される第二操作片と、第二操作片の他端に固定され、作業者が把持する第二操作グリップと、第一操作片及び第二操作片の中間部を互いに揺動可能に接続する軸部と、を有しているので、第一操作グリップと第二操作グリップとを互いに接近する方向に移動させることで、軸部を中心に回転して第一操作片と第二操作片とも接近する方向に移動し第一爪部と第二爪部とが互いに接近する方向に移動する。したがって、簡単な操作で第一爪部と第二爪部とが互いに接近する方向に移動させることができる。
【0017】
第
2の外壁取付施工具によると、第一当接
板がサイディング材の上端に当接し、第二当接
板がサイディング材の下端に当接するときに、第一操作グリップ及び第二操作グリップが、互いに当接するので、サイディング材を保持しているときに第一操作グリップ及び第二操作グリップを片手で把持することができ、もう一方の手を他の作業に用いることができる。
【0018】
第
3の外壁取付施工具によると、第一爪部よりも上方で、且つ、サイディング材が保持される位置よりも屋外側に作業者が把持する支持グリップが形成されているので、作業者は一方の手で、第一操作グリップ及び第二操作グリップを把持するとともに、
他方の手で、この支持グリップを把持することで、より安定的にサイディング材を把持して、当該サイディング材の取付作業をすることができる。
【0019】
第
4の外壁取付施工具によると、サイディング材は、上端の屋内面側が上方に突出する上端突出部を形成するとともに、下端の屋外面側が下方に突出して下端突出部を形成している。そして、上下に並べられるサイディング材は、下側のサイディング材の上端突出部と上側のサイディング材の下端突出部とが互いに重なり合う収まりである。そして外壁取付施工具は、第一当接板のサイディング材の厚さ方向の長さは、サイディング材の厚さよりも長く、第二当接板の前記サイディング材の厚さ方向の長さは、サイディング材の厚さよりも短く、且つ下端突出部の厚さよりも長いので、第一爪部は、サイディング材の上端全体に引っ掛かるとともに、第二爪部はサイディング材の下端突出部に引っ掛かって当該サイディング材を保持するので、サイディング材を下地材に取付ける際に第二爪部が、既に取り付けられている下側のサイディング材と干渉することなく取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】接近状態の外壁取付施工具の外観構成を説明する側面図及び正面図。
【
図2】離間状態の外壁取付施工具の外観構成を説明する側面図及び正面図。
【
図3】サイディング材及び離間状態の外壁取付施工具の動作及び寸法を表す図。
【
図5】接近状態の外壁取付施工具の動作及び寸法を表す図。
【
図7】サイディング材を外壁取付施工具が保持する前の状態を示す図。
【
図8】サイディング材を外壁取付施工具が保持した状態を示す図。
【
図9】外壁取付施工具がサイディング材を保持した状態で、当該サイディング材を外壁下地材の取り付け位置に運ぶ状態を示す図。
【
図10】サイディング材の下端を外壁下地材に固定された外壁取付金具に取り付ける状態を示す図。
【
図11】外壁取付施工具を離間状態にして、サイディング材の上端から第一爪部が離れた状態を示す図。
【
図12】外壁取付施工具がサイディング材から離れた状態を示す図。
【
図13】外壁取付施工具がサイディング材を保持した状態で、当該サイディング材を外壁下地材の取り付け位置に運ぶ状態を示すパース図。
【
図14】外壁取付施工具を接近状態に維持するストッパを設ける例を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る外壁取付施工具1の最良の実施形態について、各図を参照しつつ説明する。外壁取付施工具1は、外壁下地材2にサイディング材3を取り付ける際に、当該サイディング材3を持ち上げて、当該サイディング材3を外壁下地材2の取り付け位置に保持し、サイディング材3を外壁下地材2に取付ける施工具である。サイディング材3は、
図3及び
図12に示すように、上端の屋内面側が上方に突出する上端突出部31を形成するとともに、下端の屋外面側が下方に突出して下端突出部32を形成しており、上端突出部31と下端突出部32とが互いに重なり合う収まりであり、下端の下端突出部32の屋内側には係止溝33が形成されている。
【0022】
まず、外壁取付施工具1の構成について主に
図1及び
図2を参照しつつ説明する。外壁取付施工具1は、
図1、
図2、及び
図8等に示すように、サイディング材3の上端に引っ掛けられる第一爪部4と、第一爪部4が固定された第一枠体5と、サイディング材3の下端に引っ掛けられる第二爪部6と、第二爪部6が固定された第二枠体7と、第一爪部4と第二爪部6とが互いに接近する方向及び離間する方向に移動させる操作部8と、第一枠体5に設けられた支持グリップ9とを備えている。
【0023】
第一爪部4は、第一枠体5の上端からサイディング材3の屋内面側に向かって突出し、サイディング材3の上端に当接する第一当接板41と、第一当接板41のサイディング材3の屋内面側の端部からサイディング材3の下端方向に突出する第一掛止部42とを有している。
図3に示すように、第一当接板41の第一枠体5からの突出長さFは、サイディング材3の厚さBよりも長く形成されている。例えばサイディング材3の厚さBは18.5mmであり、第一当接板41の第一枠体5からの突出長さFは20mmである。なお、第一当接板41及び第一掛止部42のサイディング材3の幅方向の長さは、例えば240mmである。第一爪部4はアルミニウムにより形成されているが、例えば、サイディング材3に当接する面には、滑り止めやサイディング材3の保護のためにラバーや軟質樹脂を貼付してもよい。
【0024】
第一枠体5は、上端に第一爪部4が形成されアルミニウム製の不等辺アングルからなる上枠51と、溝形アルミニウム製の左右の内側枠52と、をネジ固定した下辺が開いた矩形状の枠体である。
図3から
図6に示すように、第一枠体5の左右それぞれの内側枠52には高さ方向に長い長孔53が上下2箇所ずつ設けられている。長孔53の長さは例えば40mmである。第一枠体5は幅方向が240mmで、高さ方向が300mmに形成されている。
【0025】
第二爪部6は、第二枠体7の下端からサイディング材3の屋内面側に向かって突出し、サイディング材3の下端に当接する第二当接板61と、第二当接板61のサイディング材3の屋内面側の端部からサイディング材3の上端方向に突出する第二掛止部62とを有している。
図3に示すように、第二当接板61の第二枠体7からの突出長さGは、サイディング材3の厚さBよりも短く、且つ、サイディング材3の下端突出部32の厚さCよりも長く形成されている。例えばサイディング材3の厚さBは18.5mmであり、下端突出部32の厚さCは9.5mmであり、第二当接板61の第二枠体7からの突出長さGは10mmである。なお、第二当接板61及び第二掛止部62のサイディング材3の幅方向の長さは、例えば300mmである。第二爪部6はアルミニウムにより形成されているが、例えば、サイディング材3に当接する面には、滑り止めやサイディング材3の保護のためにラバーや軟質樹脂を貼付してもよい。
【0026】
第二枠体7は、下端に第二爪部6が形成されアルミニウム製の不等辺アングルからなる下枠71と、溝形アルミニウム製の左右の外側枠72と、をネジ固定した上辺が開いた矩形状の枠体である。
図3から
図6に示すように、第二枠体7の左右それぞれの外側枠72には高さ方向に2箇所づつの貫通孔73が形成されている。第一枠体5の内側枠52の長孔53にボルト74を挿通させて、当該ボルト74をさらにこの外側枠72の貫通孔73に挿通させてナット75で固定している。これによって第二枠体7及びボルト74が第一枠体5の内側枠52に形成された長孔53に沿って摺動することができる。第二枠体7は幅方向が300mmで、高さ方向が300mmに形成されている。
【0027】
操作部8は、一端が第一枠体5の左右の内側枠52にそれぞれ第一の回転軸81によって揺動自在に連結される一対の第一操作片82と、これら一対の第一操作片82の他端の間に架設され作業者が把持する第一操作グリップ83と、一端が第二枠体7の左右の外側枠72にそれぞれ第二の回転軸84によって揺動自在に連結される一対の第二操作片85と、これら一対の第二操作片85の他端の間に架設され作業者が把持する第二操作グリップ86と、第一操作片82及び第二操作片85の中間部を互いに回転可能に接続する軸部87と、を有している。
【0028】
第一枠体5の上端には第一爪部4が形成されているので、第一操作片82はその一端が第一枠体5を介して第一爪部4に連結されており、第二枠体7の下端には第二爪部6が形成されているので、第二操作片85はその一端が第二枠体7を介して第二爪部6に連結されている。第一操作片82及び第二操作片85はそれぞれ平板状に形成されており、第一操作片82が内側枠52の外側面に揺動自在に連結されるとともに、第二操作片85は外側枠72の内側面に揺動自在に連結されており、一対の第一操作片82及び一対の第二操作片85の中間部に1本の軸部87が貫通している。第一操作片82の一端を連結する第一の回転軸81は第二操作片85の一端を連結する第二の回転軸84よりも下方に形成されており、第一操作片82の他端に連結される第一操作グリップ83は第二操作片85の他端に連結される第二操作グリップ86よりも上方に形成されており、第一操作片82及び第二操作片85は軸部87で交差している。
【0029】
また、支持グリップ9は、第一枠体5の上枠51から上方に延びる一対のアーム91と、一対のアーム91の間に架設される把持部92とを有しており、把持部92は、例えばアルミニウム製のパイプの外周を筒状の発泡樹脂で覆って形成している。
【0030】
次に、以上のように形成される外壁取付施工具1の動作について、主に
図3から
図6を参照しつつ説明する。第一操作グリップ83及び第二操作グリップ86を互いに離間させると、
図3に示すように第一操作片82及び第二操作片85が軸部87を中心として、当該操作グリップ83,86側の端部同士を離間させる方向に回転する。そして、この回転によって、第一操作片82の第一枠体5に連結する第一の回転軸81側の端部及び第二操作片85の第二枠体7に連結する第二の回転軸84側の端部も互いに離間する方向に移動する。
【0031】
そして、第一操作片82及び第二操作片85の端部に連結されている第一枠体5及び第二枠体7も第一枠体5の上枠51と第二枠体7の下枠71とが離れる方向に移動する。
図4に示すように、第一枠体5と第二枠体7とは、第二枠体7の外側枠72の貫通孔73に固定され、第一枠体5の内側枠52の長孔53に挿通するボルト74によって接続されており、第二枠体7が第一枠体5の内側枠52に形成された長孔53に沿って摺動する用に形成されているので、第一枠体5及び第二枠体7は、第一操作片82及び第二操作片85の端部の互いに離間する方向への移動に伴って移動する。そして、第一枠体5の上枠51には第一爪部4が形成されており、第二枠体7の下枠71には第二爪部6が形成されているので、第一枠体5と第二枠体7との移動に伴って、第一爪部4及び第二爪部6も互いに離間する方向に移動する。なお、以下において、第一爪部4と第二爪部6とが互いに離間する外壁取付施工具1の状態を「離間状態」という。
【0032】
以上のように、第一操作グリップ83及び第二操作グリップ86を互いに離間する方向に移動させると、第一爪部4及び第二爪部6も互いに離間する方向に移動する。このように、離間状態のときに、
図3に示すように、第一爪部4の第一掛止部42の先端と第二爪部6の第二掛止部62の先端との間の長さE1は、サイディング材3の高さ方向の長さAよりも長くなる。例えば、離間状態のときの第一掛止部42の先端と第二掛止部62の先端との間の長さE1は330mmであり、サイディング材3の高さ方向の長さAは320mmである。また、離間状態のときの第一当接板41と第二当接板61との間の長さD1は、例えば345mmである。したがって、離間状態の外壁取付施工具1によると、サイディング材3を第一掛止部42及び第二掛止部62の間を通して、第一当接板41と第二当接板61との間に配置することができる。
【0033】
次に、第一操作グリップ83及び第二操作グリップ86を互いに接近させると、
図5に示すように第一操作片82及び第二操作片85が軸部87を中心として、当該操作グリップ83,86側の端部同士を接近させる方向に回転する。このとき、第一操作グリップ83及び第二操作グリップ86は互いに当接する。そして第一操作片82と第二操作片85との軸部87を中心とした回転によって、第一操作片82の第一枠体5に連結する第一の回転軸81側の端部及び第二操作片85の第二枠体7に連結する第二の回転軸84側の端部も互いに接近する方向に移動する。
【0034】
そして、第一操作片82及び第二操作片85の端部に連結されている第一枠体5及び第二枠体7も第一枠体5の上枠51と第二枠体7の下枠71とが互いに接近する方向に移動する。
図6に示すように、第一枠体5と第二枠体7とは、第二枠体7の外側枠72の貫通孔73に固定され、第一枠体5の内側枠52の長孔53に挿通するボルト74によって接続されており、第二枠体7が第一枠体5の内側枠52に形成された長孔53に沿って摺動する用に形成されているので、第一枠体5及び第二枠体7は、第一操作片82及び第二操作片85の端部が互いに接近する方向への移動することに伴って移動する。そして、第一枠体5の上枠51には第一爪部4が形成されており、第二枠体7の下枠71には第二爪部6が形成されているので、第一枠体5と第二枠体7との移動に伴って、第一爪部4及び第二爪部6も互いに接近する方向に移動する。なお、以下において、第一爪部4と第二爪部6とが互いに接近する外壁取付施工具1の状態を「接近状態」という。
【0035】
以上のように、第一操作グリップ83及び第二操作グリップ86を互いに接近する方向に移動させると、第一爪部4及び第二爪部6も互いに接近する方向に移動する。このように、接近状態のときに、
図5に示すように、第一爪部4の第一掛止部42の先端と第二爪部6の第二掛止部62の先端との間の長さE2は、
図3に示すサイディング材3の高さ方向の長さAよりも長くなる。例えば、接近状態のときの第一掛止部42の先端と第二掛止部62の先端との間の長さE1は305mmであり、サイディング材3の高さ方向の長さAは前述の通り320mmである。また、接近状態のときの第一当接板41と第二当接板61との間の長さD1は、例えば320mmである。
【0036】
したがって、サイディング材3を、離間状態の外壁取付施工具1の第一掛止部42及び第二掛止部62の間を通して、第一当接板41と第二当接板61との間に配置した後、第一操作グリップ83及び第二操作グリップ86を互いに接近する方向に移動させて外壁取付施工具1を接近状態にすると、サイディング材3の上端に第一当接板41が当接し、サイディング材3の下端に第二当接板61が当接する。そして、接近状態のときの第一掛止部42の先端と第二掛止部62の先端との間の長さE1はサイディング材3の高さ方向の長さAよりも短いので、これら第一掛止部42と第二掛止部62とによって、接近状態の外壁取付施工具1からサイディング材3が脱落することを防止できる。
【0037】
次に、外壁取付施工具1を用いてサイディング材3を外壁下地材2に取り付ける工程について、
図7から
図12を参照しつつ説明する。まず、
図7に示すように、屋外面側が上を向くようにして複数枚のサイディング材3が積み上げられている。作業者は、外壁取付施工具1の第一操作グリップ83と第二操作グリップ86とが互いに離れるように動かして、外壁取付施工具1を離間状態にする。そして、最も上に載置されているサイディング材3を、離間状態の外壁取付施工具1の第一掛止部42及び第二掛止部62の間を通して、第一当接板41と第二当接板61との間に配置する。
【0038】
そして、
図8に示すように、第一操作グリップ83及び第二操作グリップ86を互いに接近する方向に移動させて外壁取付施工具1を接近状態にすると、サイディング材3の上端に第一当接板41が当接し、サイディング材3の下端に第二当接板61が当接し、第一掛止部42がサイディング材3の上端に引っ掛かり、第二掛止部62がサイディング材3の下端に引っ掛かって、サイディング材3を保持することができる。
【0039】
そして、
図13に示すように、サイディング材3を保持した状態のまま第一操作グリップ83と第二操作グリップ86とが互いに当接した状態を維持するように、作業者は一方の手で第一操作グリップ83及び第二操作グリップ86を握る。さらに、作業者は他方の手で支持グリップ9の把持部92を握る。そして、作業者は支持グリップ9が上になるように外壁取付施工具1を持ち上げて、サイディング材3を保持した外壁取付施工具1を外壁下地材2の当該サイディング材3を取り付ける位置に移動させる。
【0040】
なお、本実施形態においては、
図13に示すように、作業者が第一操作グリップ83と第二操作グリップ86とを一方の手で握り続けることにより外壁取付施工具1がサイディング材3を保持し続けるものであるが、外壁取付施工具に第一操作グリップ83と第二操作グリップ86とが互いに当接した状態で維持可能なストッパ16を設けても良い。ストッパ16は例えば、
図14に示すように、第一操作片82に揺動自在に設けられるフック金具17と、第二操作片85に形成され、当該フック金具を引っ掛ける係止金具18とにより構成されるものが挙げられる。なお、ストッパ16の形状は
図14に示すように、これに限定されるものではなく、外壁取付施工具1を接近状態に維持する機能を有するものであれば、どのような構成であってもよい。
【0041】
図9に示すように、サイディング材3は下から順に外壁下地材2に取り付けられている。外壁下地材2には外壁取付金具10がビス11で固定されている。外壁取付金具10は、外壁下地材2に固定されるベースレート12と、ベースプレート12から水平な屋外方向に突出する水平片13と、水平片13の先端に上下に傾斜するように枝分かれして設けられた上側傾斜片14と下側傾斜片15とから構成されている。
【0042】
サイディング材3を保持した状態の外壁取付施工具1を外壁下地材2の当該サイディング材3を取り付ける位置まで運んで、
図10に示すように、作業者はサイディング材3の下端の係止溝33に外壁取付金具10の上側傾斜片14が挿入されるように、外壁取付施工具1を動かして、サイディング材3の下端を外壁取付金具10のベースプレート12と上側傾斜片14とで挟持させる。
【0043】
その後、図示しないが例えばハンマーなどでサイディング材3の上端を軽くたたいて、サイディング材3の下端を完全に外壁取付金具10に固定し、次に、作業者は
図11に示すように、外壁取付施工具1の第一操作グリップ83と第二操作グリップ86とを互いに離間する方向に移動させる。第一操作グリップ83と第二操作グリップ86とが互いに離間する方向に移動し外壁取付施工具1が離間状態になると、第一爪部4と第二爪部6との間の距離D1が長くなるので、第一当接板41がサイディング材3の上端から離れ、第一掛止部42と第二掛止部62との間の長さE1がサイディング材3の高さ方向の長さAよりも長くなる。
【0044】
そして、
図12に示すように、サイディング材3から外壁取付施工具1を外す。このとき外壁取付施工具1の第二爪部6は、サイディング材3の下端突出部32にのみ引っ掛かっているので、下側のサイディング材3の上端に干渉することなく取り外すことができる。以上のようにしてサイディング材3を外壁下地材2に取り付けると、図示しないが、新たな外壁取付金具10のベースプレート12と下側傾斜片15との間にサイディング材3の上端突出部31を挟みこんで、当該外壁取付金具10のベースプレート12を外壁下地材2にビス11で固定して、サイディング材3の上端も外壁下地材2に固定する。そして、サイディング材3を更に上に取り付けていき外壁を完成させる。
【0045】
以上のように本実施形態の外壁取付施工具1によると、サイディング材3を保持し、外壁取付施工具1を接近状態にすると、第一爪部4と第二爪部6との間にサイディング材3が挟み込まれ、しかも第一掛止部42と第二掛止部62によってサイディング材3は脱落しないので、サイディング材3を確実に保持することができる。そして、サイディング材3を取り付ける位置に固定した後は、第一操作グリップ83及び第二操作グリップ86を離間させて、第一爪部4と第二爪部6とを互いに離間する方向に移動させることで、簡単にサイディング材3から外壁取付施工具1を外すことができる。
【0046】
なお、本発明の実施の形態は上述の形態に限ることなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは云うまでもない。