(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施の形態1における脆性基板の分断方法を示す概略上面図(A)と、その線IB−IBに沿う概略断面図(B)である。
【
図2】本発明の実施の形態1における脆性基板の分断方法を示す概略上面図(A)と、その線IIB−IIBに沿う概略端面図(B)である。
【
図3】本発明の実施の形態1における脆性基板の分断方法を示す概略上面図(A)と、その線IIIB−IIIBに沿う概略断面図(B)である。
【
図4】本発明の実施の形態1における脆性基板の分断方法を示す概略上面図(A)と、その線IVB−IVBに沿う概略断面図(B)である。
【
図5】本発明の実施の形態1における脆性基板の分断方法を示す概略上面図(A)と、その線VB−VBに沿う概略断面図(B)である。
【
図6】本発明の実施の形態1における脆性基板の分断方法を示す概略上面図(A)と、その線VIB−VIBに沿う概略断面図(B)である。
【
図7】本発明の実施の形態1における脆性基板の分断方法において形成されるトレンチラインの構成を概略的に示す端面図(A)、およびクラックラインの構成を概略的に示す端面図(B)である。
【
図8】本発明の実施の形態1における脆性基板の分断方法の構成を概略的に示すフロー図である。
【
図9】比較例における脆性基板の分断方法を示す上面図(A)と、その線IXB−IXBに沿う断面図(B)である。
【
図10】比較例における脆性基板の分断方法を示す上面図(A)と、その線XB−XBに沿う端面図(B)である。
【
図11】本発明の実施の形態2における脆性基板の分断方法を示す概略上面図(A)と、その線XIB−XIBに沿う概略断面図(B)である。
【
図12】本発明の実施の形態2における脆性基板の分断方法を示す概略上面図(A)と、その線XIIB−XIIBに沿う概略断面図(B)である。
【
図13】本発明の実施の形態2における脆性基板の分断方法を示す概略上面図(A)と、その線XIIIB−XIIIBに沿う概略端面図(B)である。
【
図14】本発明の実施の形態2における脆性基板の分断方法を示す概略上面図(A)と、その線XIVB−XIVBに沿う概略端面図(B)である。
【
図15】本発明の実施の形態2における脆性基板の分断方法を示す概略上面図(A)と、その線XVB−XVBに沿う概略端面図(B)である。
【
図16】比較例における脆性基板の分断方法を示す上面図(A)と、その線XVIB−XVIBに沿う断面図(B)である。
【
図17】比較例における脆性基板の分断方法を示す上面図(A)と、その線XVIIB−XVIIBに沿う端面図(B)である。
【
図18】本発明の実施の形態2の変形例における脆性基板の分断方法を示す概略上面図(A)と、その線XVIIIB−XVIIIBに沿う概略端面図(B)である。
【
図19】本発明の実施の形態2の変形例における脆性基板の分断方法を示す概略上面図(A)と、その線XIXB−XIXBに沿う概略端面図(B)である。
【
図20】本発明の実施の形態3における脆性基板の分断方法に用いられる器具の構成を概略的に示す側面図(A)、および、上記器具が有する刃先の構成を
図20(A)の矢印XXBの視点で概略的に示す平面図(B)である。
【
図21】本発明の実施の形態3における脆性基板の分断方法を概略的に示す上面図である。
【
図22】本発明の実施の形態3の第1の変形例の脆性基板の分断方法を概略的に示す上面図である。
【
図23】本発明の実施の形態3の第2の変形例の脆性基板の分断方法を概略的に示す上面図である。
【
図24】本発明の実施の形態3の第3の変形例の脆性基板の分断方法を概略的に示す上面図である。
【
図25】本発明の実施の形態4における脆性基板の分断方法の第1の工程を概略的に示す上面図である。
【
図26】本発明の実施の形態4における脆性基板の分断方法の第2の工程を概略的に示す上面図である。
【
図27】本発明の実施の形態4における脆性基板の分断方法の第3の工程を概略的に示す上面図である。
【
図28】本発明の実施の形態4の第1の変形例の脆性基板の分断方法を概略的に示す上面図である。
【
図29】本発明の実施の形態4の第2の変形例の脆性基板の分断方法を概略的に示す上面図である。
【
図30】本発明の実施の形態5における脆性基板の分断方法を概略的に示す上面図である。
【
図31】本発明の実施の形態6における脆性基板の分断方法を概略的に示す上面図である。
【
図32】本発明の実施の形態6の変形例の脆性基板の分断方法を概略的に示す上面図である。
【
図33】本発明の実施の形態7における脆性基板の分断方法に用いられる器具の構成を概略的に示す側面図(A)、および、上記器具が有する刃先の構成を
図33(A)の矢印XXXIIIBの視点で概略的に示す平面図(B)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
【0012】
(実施の形態1)
本実施の形態の脆性基板の分断方法について、以下に説明する。
【0013】
図1(A)および(B)を参照して、まずガラス基板4(脆性基板)が準備される(
図8:ステップS10)。ガラス基板4は、上面SF1(表面)と、その反対の下面SF2とを有する。ガラス基板4は、上面SF1に垂直な厚さ方向DTを有する。また刃先51およびシャンク52を有するカッティング器具50が準備される。刃先51は、そのホルダとしてのシャンク52に固定されることによって保持されている。
【0014】
次に、ガラス基板4の上面SF1に刃先51が押し付けられる(
図8:ステップS20)。次に、押し付けられた刃先51がガラス基板4の上面SF1上で摺動させられる(
図1(A)中の矢印参照)。
【0015】
図2(A)および(B)を参照して、刃先51の上記摺動によってガラス基板4の上面SF1上に塑性変形が発生させられる。これにより上面SF1上に、溝形状を有するトレンチラインTLが形成される(
図8:ステップS30)。
図7(A)を参照して、トレンチラインTLを形成する工程は、トレンチラインTLの直下においてガラス基板4がトレンチラインTLの延在方向(
図2(A)における横方向)と交差する方向DCにおいて連続的につながっている状態であるクラックレス状態が得られるように行なわれる。クラックレス状態においては、塑性変形によるトレンチラインTLは形成されているものの、それに沿ったクラックは形成されていない。よって従来のブレーク工程のようにガラス基板4に単純に曲げモーメントなどを発生させる外力を加えても、トレンチラインTLに沿った分断は容易には生じない。このためクラックレス状態においてはトレンチラインTLに沿った分断工程は行われない。クラックレス状態を得るために、刃先51に加えられる荷重は、クラックが発生しない程度に小さく、かつ塑性変形が発生する程度に大きくされる。
【0016】
クラックレス状態は、必要な時間に渡って維持される。クラックレス状態の維持のためには、トレンチラインTLにおいてガラス基板4に対して過度の応力が加わるような操作、たとえば基板に破損を生じるような大きな外部応力の印加または大きな温度変化を伴う加熱、が避けられればよい。
【0017】
図3(A)および(B)を参照して、クラックレス状態が維持されつつ、ガラス基板4の表面SF1上に膜21が形成される(
図8:ステップS40)。膜21の形成は、トレンチラインTLを少なくとも部分的に覆うように行なわれる。膜21は無機材料から作られていてもよく、特に金属から作られていてもよい。
【0018】
図4(A)および(B)を参照して、クラックレス状態が維持されつつ、ガラス基板4がさらに加工されてもよい。たとえば、膜21上に部材11が設けられる。部材11はトレンチラインTLから離れていてもよい。部材11は、トレンチラインTLを挟む部分を有してもよい。また下面SF2上に部材(図示せず)が設けられてもよい。部材を設ける工程は、たとえば、予め準備された部材を接合することによって、または、原料を堆積することによって行い得る。
【0019】
さらに
図5(A)および(B)を参照して、上述したように膜21が形成された後、トレンチラインTLに沿って厚さ方向DTにおけるガラス基板4のクラックが伸展させられる。これにより、トレンチラインTLに対して自己整合的にクラックラインCLが形成される(
図8:ステップS50)。
図7(B)を参照して、クラックラインCLによってトレンチラインTLの直下においてガラス基板4はトレンチラインTLの延在方向(
図5(A)における横方向)と交差する方向DCにおいて連続的なつながりが断たれている。ここで「連続的なつながり」とは、言い換えれば、クラックによって遮られていないつながりのことである。なお、上述したように連続的なつながりが断たれている状態において、クラックラインCLのクラックを介してガラス基板4の部分同士が接触していてもよい。
【0020】
クラックラインCLの形成は、たとえば、トレンチラインTLの端部XExまたはXEt(
図4(A))においてガラス基板4に、トレンチラインTL付近の内部応力の歪みを解放するような応力を印加することによって開始される。応力の印加は、たとえば、形成されたトレンチラインTL上に再度刃先を押し付けることによる外部応力の印加、または、レーザ光の照射などによる加熱によって行ない得る。
【0021】
さらに
図6(A)および(B)を参照して、次に、クラックラインCLに沿ってガラス基板4が基板片4aおよび4bへ分断される(
図8:ステップS60)。すなわち、いわゆるブレーク工程が行なわれる。ブレーク工程は、たとえば、ガラス基板4への外力FB(
図5(B))の印加によって行ない得る。ガラス基板4が分断される際に膜21に加わる張力によって、ガラス基板4と共に膜21が部分21aおよび21bへ分断される。これにより膜21の部分21aが設けられた基板片4aと、膜21の部分21bが設けられた基板片4bとが得られる。
【0022】
次に比較例におけるガラス基板4の分断方法について、以下に説明する。本比較例においては、通常のスクライブ工程およびブレーク工程が行なわれる。
【0023】
図9(A)および(B)を参照して、本比較例においてはトレンチラインTLが形成されることなく、ガラス基板4上に膜21および部材11が設けられる。次に、ガラス基板4の上面SF1に刃先51が押し付けられる。次に、押し付けられた刃先51が、膜21が設けられた上面SF1上で摺動させられる(
図9(A)中の矢印参照)。
【0024】
図10(A)および(B)を参照して、刃先51の上記摺動によって、膜21が部分21aおよび21bへ分断される。またそれと同時に、ガラス基板4の上面SF1上に、クラックを有するスクライブラインSLが形成される。次にブレーク工程によってスクライブラインSLに沿ってガラス基板4が分断される。
【0025】
本比較例においては、ガラス基板4の上面SF1が膜21と共にスクライブされる。このような場合、ガラス基板4の分断の直接のきっかけとして用いられることになるスクライブラインSLの形成が不安定になりやすい。この結果、ガラス基板4の分断も不安定になりやすい。また、膜21の切断面の品質が低下しやすい。
【0026】
これに対して本実施の形態によれば、ガラス基板4が分断される位置を規定するラインとして、その直下にクラックを有しないトレンチラインTLが形成される。分断の直接のきっかけとして用いられることになるクラックラインCLは、トレンチラインTLの形成後に形成される。これにより、トレンチラインTLの形成後かつクラックラインCLの形成前のガラス基板4は、分断される位置がトレンチラインTLによって規定されつつも、クラックラインCLが未だ形成されていないので容易に分断は生じない状態にある。この状態において、トレンチラインTL、すなわち、ガラス基板4が分断される位置を規定するライン上に膜21が形成される。その後、分断の直接のきっかけとして用いられることになるクラックラインCLが、トレンチラインTLに沿ってクラックを自己整合的に伸展させることで形成される。これによりクラックラインCLは、膜21の存在にほぼ影響されることなく安定的に形成することができる。よってガラス基板4を安定的に分断することができる。
【0027】
本実施の形態におけるクラックラインCLの形成工程は、いわゆるブレーク工程と本質的に異なっている。ブレーク工程は、既に形成されているクラックを厚さ方向にさらに伸展させ、基板を完全に分離するものである。一方、クラックラインCLの形成工程は、トレンチラインTLの形成によって得られたクラックレス状態から、クラックを有する状態への変化をもたらすものである。この変化は、クラックレス状態が有する内部応力の開放によって生じると考えられる。トレンチラインTLの形成時の塑性変形、およびトレンチラインTLの形成によって生成される内部応力の大きさや方向性などの状態は、回転刃の転動が用いられる場合と、本実施の形態のように刃先の摺動が用いられる場合とでは異なると考えられ、刃先の摺動が用いられる場合には、より広いスクライブ条件においてクラックが発生しやすくなる。また内部応力の開放には何らかのきっかけが必要であり、上述したような外部からの応力印加によるトレンチラインTL上のクラックの発生がそのようなきっかけとして作用すると考えられる。トレンチラインTLおよびクラックラインCLの好適な形成方法の詳細は、以下の実施の形態3〜7において説明する。
【0028】
また本実施の形態によれば、ガラス基板4が分断される際に、ガラス基板4と共に膜21が分断される。これにより、ガラス基板4の分断に付随して膜21を分断させることができる。よってカッティング器具を用いて膜21を切断する必要がなくなる。よって膜21の切断による切りくずの発生を避けることができる。また、刃先51が膜21とガラスとを同時にスクライブする場合と比して、刃先51の磨耗を抑えることができる。
【0029】
膜21が無機材料から作られている場合、合成樹脂のように分断されにくい材料が膜21に用いられていないことになる。これにより、ガラス基板4の分断に付随した膜21の分断がより確実に生じる。また無機材料の切りくずの発生を避けることができる。また、刃先51が無機材料をスクライブする場合に生じる磨耗を避けることができる。膜21が特に金属から作られている場合、合成樹脂のように分断されにくい材料が膜21に用いられていないことになる。これにより、ガラス基板4の分断に付随した膜21の分断がより確実に生じる。また金属の切りくずの発生を避けることができる。また、刃先51が金属をスクライブする場合に生じる磨耗を避けることができる。
【0030】
(実施の形態2)
本実施の形態の脆性基板の分断方法においては、まず実施の形態1と同様の工程が
図2(A)および(B)の工程まで行なわれる。
【0031】
図11(A)および(B)を参照して、次に、前述したクラックレス状態が維持されつつ、ガラス基板4の表面SF1上に膜22が形成される(
図8:ステップS40)。膜22の形成は、トレンチラインTLを少なくとも部分的に覆うように行なわれる。膜22は合成樹脂から作られていてもよい。
【0032】
図12(A)および(B)を参照して、次に、刃先51pおよびシャンク52pを有するカッティング器具50pが準備される。刃先51pは、そのホルダとしてのシャンク52pに固定されることによって保持されている。カッティング器具50pは、カッティング器具50に比して、膜22の加工により適したものとされる。
【0033】
さらに
図13(A)および(B)を参照して、刃先51pを用いて、トレンチラインTLに沿って(
図12(A)における矢印参照)膜22に切り込みHLが入れられる。切り込みHLは、膜22の厚さ方向DTにおいて膜22を完全に切断することによって形成される。言い換えれば、切り込みHLは厚さ方向DTにおいて膜22を貫通している。切り込みHLが入れられることにより膜22が部分22aおよび22bへ分断される。
【0034】
図14(A)および(B)を参照して、次に、実施の形態1(
図5(A)および(B))と同様の方法によりクラックラインCLが形成される。
【0035】
さらに
図15(A)および(B)を参照して、次に、クラックラインCLに沿ってガラス基板4が基板片4aおよび4bへ分断される(
図8:ステップS60)。すなわち、いわゆるブレーク工程が行なわれる。ブレーク工程は、実施の形態1(
図5(B))と同様、ガラス基板4への外力FBの印加によって行ない得る。ガラス基板4が分断されることで、膜22の部分22aが設けられた基板片4aと、膜22の部分22bが設けられた基板片4bとが得られる。
【0036】
次に比較例におけるガラス基板4の分断方法について、以下に説明する。本比較例においては、通常のスクライブ工程およびブレーク工程が行なわれる。
【0037】
図16(A)および(B)を参照して、本比較例においてはトレンチラインTLが形成されることなく、ガラス基板4上に膜22が設けられる。次に、ガラス基板4の上面SF1に刃先51が押し付けられる。次に、押し付けられた刃先51が、膜22が設けられた上面SF1上で摺動させられる(
図16(A)中の矢印参照)。
【0038】
図17(A)および(B)を参照して、刃先51の上記摺動によって、膜22が部分22aおよび22bへ分断される。またそれと同時に、ガラス基板4の上面SF1上に、クラックを有するスクライブラインSLが形成される。次にブレーク工程によってスクライブラインSLに沿ってガラス基板4が分断される。
【0039】
本比較例においては、ガラス基板4の上面SF1が膜22と共にスクライブされる。このような場合、ガラス基板4の分断の直接のきっかけとして用いられることになるスクライブラインSLの形成が不安定になりやすい。この結果、ガラス基板4の分断も不安定になりやすい。
【0040】
膜22が特に合成樹脂から作られている場合、膜22を切断することとガラス基板4にスクライブラインSLを形成することとを同時に行なう必要がある。しかしながら、膜22の切断とスクライブラインSLの形成とでは、通常、最適な刃先51およびその使用条件が大きく異なっている。このため刃先51およびその使用条件の最適化が困難であり、この結果、スクライブラインSLの形成が特に不安定になりやすい。
【0041】
これに対して本実施の形態によれば、実施の形態1と同様、クラックラインCLは、膜22の存在にほぼ影響されることなく安定的に形成することができる。よってガラス基板4を安定的に分断することができる。
【0042】
またクラックラインCLが形成される前に、トレンチラインTLに沿って膜22に切り込みが入れられる。これにより膜22がより確実に分断される。膜22に切り込みを入れる工程は、膜22の厚さ方向DTにおいて膜22を完全に切断することによって行なわれる。これにより膜22がさらにより確実に分断される。
【0043】
特に膜22が合成樹脂から作られている場合、膜22の靭性が高いので、実施の形態1のような張力印加にのみ依存した分断は、困難となり得る。そのような場合においても、切り込みを用いることで膜22を分断することができる。また合成樹脂の膜22は切りくずが生じにくい。また合成樹脂の膜22は刃先51pを磨耗させにくい。
【0044】
なお膜22に特に適したカッティング器具50p(
図12(B))の代わりに、カッティング器具50(
図1(B))が用いられてもよく、その場合、2つの工程において共通のカッティング器具を用いることができる。
【0045】
次に本実施の形態の第1の変形例について説明する。上述した
図13(A)および(B)においては膜22が厚さ方向DTに完全に切断されるが、本変形例では、
図18(A)および(B)に示すように、膜22の厚さ方向DTにおいて膜22が部分的に切断される。言いかえれば、厚さ方向DTにおいて不完全な切断が行なわれる。これにより、膜22を貫通しない切り込みULが膜22に入れられる。
【0046】
図19(A)および(B)を参照して、次にクラックラインCLが形成される。膜22はこの時点では完全に分断されない。膜22の完全な分断は、ガラス基板4が分断される際に膜22に加わる張力が、上述した不完全な切り込みを厚さ方向DTにおける完全なものとすることによって生じる。本変形例によれば、膜22の切断時にガラス基板4を傷つけることが避けられる。
【0047】
次に本実施の形態の第2の変形例について説明する。本変形例では、トレンチラインTLに沿って膜22が部分的に切断される。言い換えれば、トレンチラインTLに沿って、膜22の一部に切り込みが形成されていない部分が存在する。この切り込みはトレンチラインTLに沿って全体に断続的に形成されてもよく、1箇所でもよい。切り込みは厚さ方向で完全なものでもよく、不完全な物でもよい。これにより、膜22のトレンチラインTLに沿った一部に切り込みHL(
図13参照)または切り込みUL(
図18参照)が入れられる。
【0048】
次にクラックラインCLが形成される。膜22はこの時点では完全に分断されない。膜22の完全な分断は、ガラス基板4が分断される際に膜22に加わる張力により、上述した不完全な切り込みがトレンチラインTLに沿って広がり連続したものとなることによって生じる。膜の種類によっては、特定の方向に容易に裂くことができるものがあり、本変形例によれば、分断の際に膜22が切り込みを起点として裂けることにより容易に膜22を切断することができるとともに、ガラス基板4を傷つけるおそれを小さくすることができる。
【0049】
(実施の形態3)
はじめに、本実施の形態における脆性基板の分断方法において用いられる刃先について、以下に説明する。
【0050】
図20(A)および(B)を参照して、刃先51には、天面SD1(第1の面)と、天面SD1を取り囲む複数の面とが設けられている。これら複数の面は側面SD2(第2の面)および側面SD3(第3の面)を含む。天面SD1、側面SD2およびSD3(第1〜第3の面)は、互いに異なる方向を向いており、かつ互いに隣り合っている。刃先51は、天面SD1、側面SD2およびSD3が合流する頂点を有し、この頂点によって刃先51の突起部PPが構成されている。また側面SD2およびSD3は、刃先51の側部PSを構成する稜線をなしている。側部PSは突起部PPから線状に延びている。また側部PSは、上述したように稜線であることから、線状に延びる凸形状を有する。
【0051】
刃先51はダイヤモンドポイントであることが好ましい。すなわち刃先51は、硬度および表面粗さを小さくすることができる点からダイヤモンドから作られていることが好ましい。より好ましくは刃先51は単結晶ダイヤモンドから作られている。さらに好ましくは結晶学的に言って、天面SD1は{001}面であり、側面SD2およびSD3の各々は{111}面である。この場合、側面SD2およびSD3は、異なる向きを有するものの、結晶学上、互いに等価な結晶面である。
【0052】
なお単結晶でないダイヤモンドが用いられてもよく、たとえば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法で合成された多結晶体ダイヤモンドが用いられてもよい。あるいは、微粒のグラファイトや非グラファイト状炭素から、鉄族元素などの結合材を含まずに焼結された多結晶体ダイヤモンド粒子を鉄族元素などの結合材によって結合させた焼結ダイヤモンドが用いられてもよい。
【0053】
シャンク52は軸方向AXに沿って延在している。刃先51は、天面SD1の法線方向が軸方向AXにおおよそ沿うようにシャンク52に取り付けられることが好ましい。
【0054】
カッティング器具50を用いてトレンチラインTL(
図7(A))を形成するためには、ガラス基板4の上面SF1に、刃先51の突起部PPおよび側部PSが、ガラス基板4が有する厚さ方向DTへ押し付けられる。次に側部PSを上面SF1上に射影した方向におおよそ沿って、刃先51が上面SF1上を摺動させられる。これにより上面SF1上に、垂直クラックを伴わない溝状のトレンチラインTLが形成される。トレンチラインTLはガラス基板4の塑性変形によって生じるが、この際にガラス基板4が若干削れてもよい。ただしこのような削れは微細な破片を生じ得ることから、なるべく少ないことが好ましい。
【0055】
刃先51の摺動によって、トレンチラインTLおよびクラックラインCL(
図7(B))が同時に形成される場合と、トレンチラインTLのみが形成される場合とがある。クラックラインCLは、トレンチラインTLのくぼみから厚さ方向DTに伸展したクラックであり、上面SF1上においては線状に延びている。後述する方法によれば、トレンチラインTLのみが形成された後、それに沿ってクラックラインCLを形成することができる。
【0056】
次に、ガラス基板4の分断方法について、以下に説明する。
【0057】
図21(A)を参照して、ステップS10(
図8)にて、まずガラス基板4が準備される。ガラス基板4は平坦な上面SF1を有する。上面SF1を囲む縁は、互いに対向する辺ED1(第1の辺)および辺ED2(第2の辺)を含む。
図21(A)で示す例においては、縁は長方形状である。よって辺ED1およびED2は互いに平行な辺である。また
図21(A)で示す例においては辺ED1およびED2は長方形の短辺である。またガラス基板4は、上面SF1に垂直な厚さ方向DT(
図20(A))を有する。
【0058】
次に、ステップS20(
図8)にて、上面SF1に刃先51が位置N1で押し付けられる。位置N1の詳細は後述する。刃先51の押し付けは、
図20(A)を参照して、ガラス基板4の上面SF1上で刃先51の突起部PPが辺ED1および側部PSの間に配置されるように、かつ刃先51の側部PSが突起部PPと辺ED2の間に配置されるように行なわれる。
【0059】
次に、ステップS30(
図8)にて、上面SF1上に複数のトレンチラインTL(図中では5つのライン)が形成される。トレンチラインTLの形成は、位置N1(第1の位置)および位置N3の間で行なわれる。位置N1およびN3の間には位置N2(第2の位置)が位置する。よってトレンチラインTLは、位置N1およびN2の間と、位置N2およびN3の間とに形成される。
【0060】
位置N1およびN3は、
図21(A)に示すようにガラス基板4の上面SF1の縁から離れて位置してもよく、あるいは、その一方または両方が上面SF1の縁に位置してもよい。形成されるトレンチラインTLは、前者の場合はガラス基板4の縁から離れており、後者の場合はガラス基板4の縁に接している。
【0061】
位置N1およびN2のうち位置N1の方が辺ED1により近く、また位置N1およびN2のうち位置N2の方が辺ED2により近い。なお
図21(A)に示す例では、位置N1は辺ED1およびED2のうち辺ED1に近く、位置N2は辺ED1およびED2のうち辺ED2に近いが、位置N1およびN2の両方が辺ED1またはED2のいずれか一方の近くに位置してもよい。
【0062】
トレンチラインTLが形成される際には、本実施の形態においては、位置N1から位置N2へ刃先51が変位させられ、さらに位置N2から位置N3へ変位させられる。すなわち、
図20(A)を参照して、刃先51が、辺ED1から辺ED2へ向かう方向である方向DAへ変位させられる。方向DAは、刃先51から延びる軸AXを上面SF1上へ射影した方向に対応している。この場合、刃先51はシャンク52によって上面SF1上を引き摺られる。
【0063】
次に、実施の形態1で説明したクラックレス状態(
図7(A))が所望の時間に渡って維持される。その間に、ステップS40(
図8)として、実施の形態1と同様に膜21が形成されるか(
図3(A)および(B))、または実施の形態2と同様に膜22が形成される(
図11(A)および(B))。後者の場合は上記の間にさらに、実施の形態2またはその変形例で説明したように、トレンチラインTLに沿って(
図12(A)中の矢印参照)膜22に切り込み(たとえば、
図13(B)中の切り込みHL参照)が入れられる。
【0064】
図21(B)を参照して、ステップS50(
図8)にて、トレンチラインTLが形成された後に、トレンチラインTLに沿って位置N2から位置N1の方へ(図中、破線矢印参照)、厚さ方向DT(
図7(B))におけるガラス基板4のクラックを伸展させることによってクラックラインCLが形成される。クラックラインCLの形成は、アシストラインALおよびトレンチラインTLが位置N2で互いに交差することによって開始される。この目的で、トレンチラインTLを形成した後にアシストラインALが形成される。アシストラインALは、厚さ方向DTにおけるクラックをともなう通常のスクライブラインであり、トレンチラインTL付近の内部応力の歪みを解放するものである。アシストラインALの形成方法は、特に限定されないが、
図21(B)に示すように、上面SF1の縁を基点として形成されてもよい。
【0065】
なお位置N2から位置N1への方向に比して、位置N2から位置N3への方向へは、クラックラインCLが形成されにくい。つまりクラックラインCLの伸展のしやすさには方向依存性が存在する。よってクラックラインCLが位置N1およびN2の間には形成され位置N2およびN3の間には形成されないという現象が生じ得る。本実施の形態は位置N1およびN2間に沿ったガラス基板4の分断を目的としており、位置N2およびN3間に沿ったガラス基板4の分離は目的としていない。よって位置N1およびN2間でクラックラインCLが形成されることが必要である一方で、位置N2およびN3間でのクラックラインCLの形成されにくさは問題とはならない。
【0066】
次に、ステップS60(
図8)にて、クラックラインCLに沿ってガラス基板4が分断される。具体的にはブレーク工程が行なわれる。なおクラックラインCLがその形成時に厚さ方向DTに完全に進行した場合は、クラックラインCLの形成とガラス基板4の分断とが同時に生じ得る。この場合、ブレーク工程を省略し得る。
【0067】
以上によりガラス基板4の分断が行なわれる。
【0068】
次に、上記分断方法の第1〜第3の変形例について、以下に説明する。
【0069】
図22(A)を参照して、第1の変形例は、アシストラインALとトレンチラインTLとの交差が、クラックラインCL(
図21(B))の形成開始のきっかけとして不十分な場合に関するものである。
図22(B)を参照して、ガラス基板4へ、曲げモーメントなどを発生させる外力を加えることで、アシストラインALに沿ってガラス基板4が分離される。これによりクラックラインCLの形成が開始される。
【0070】
なお、
図22(A)においてはアシストラインALがガラス基板4の上面SF1上に形成されるが、ガラス基板4を分離するためのアシストラインALはガラス基板4の下面SF2上に形成されてもよい。この場合、アシストラインALおよびトレンチラインTLは、平面レイアウト上、位置N2で互いに交差するが、互いに直接接触はしない。
【0071】
また第1の変形例においては、ガラス基板4の分離によりトレンチラインTL付近の内部応力の歪みが解放され、それによりクラックラインCLの形成が開始される。したがってアシストラインAL自身が、トレンチラインTLに応力を加えることで形成されたクラックラインCLであってもよい。
【0072】
図23を参照して、第2の変形例においては、ステップS20(
図8)にて、ガラス基板4の上面SF1に刃先51が位置N3で押し付けられる。ステップS30(
図8)にて、トレンチラインTLが形成される際には、本変形例においては、位置N3から位置N2へ刃先51が変位させられ、さらに位置N2から位置N1へ変位させられる。すなわち、
図20を参照して、刃先51が、辺ED2から辺ED1へ向かう方向である方向DBへ変位させられる。方向DBは、刃先51から延びる軸AXを上面SF1上へ射影した方向と反対方向に対応している。この場合、刃先51はシャンク52によって上面SF1上を押し進められる。
【0073】
図24を参照して、第3の変形例においては、ステップS30(
図8)にてトレンチラインTLが形成される際に、刃先51はガラス基板4の上面SF1に位置N1に比して位置N2でより大きな力で押し付けられる。具体的には、位置N4を位置N1およびN2の間の位置として、トレンチラインTLの形成が位置N4に至った時点で、刃先51の荷重が高められる。言い換えれば、トレンチラインTLの荷重が、位置N1に比して、トレンチラインTLの終端部である位置N4およびN3の間で高められる。これにより、終端部以外での荷重を軽減しつつ、位置N2からのクラックラインCLの形成を誘起されやすくすることができる。
【0074】
本実施の形態によれば、トレンチラインTLからクラックラインCLを、より確実に形成することができる。
【0075】
また、後述する実施の形態4と異なり本実施の形態においては、トレンチラインTLが形成された時点(
図21(A))ではアシストラインALは未だ形成されていない。よってクラックレス状態を、アシストラインALからの影響なく、より安定的に維持することができる。なお、クラックレス状態の安定性が問題とならない場合は、アシストラインALが形成されていない
図21(A)の状態の代わりに、アシストラインALが形成された
図22(A)の状態でクラックレス状態が維持されてもよい。
【0076】
(実施の形態4)
本実施の形態における脆性基板の分断方法について、
図25〜
図27を用いつつ、以下に説明する。
【0077】
図25を参照して、本実施の形態においてはアシストラインALがトレンチラインTLの形成前に形成される。アシストラインALの形成方法自体は、
図21(B)(実施の形態3)と同様である。
【0078】
図26を参照して、次に、ステップS20(
図8)にて上面SF1に刃先51が押し付けられ、そしてステップS30(
図8)にて、トレンチラインTLが形成される。トレンチラインTLの形成方法自体は、
図21(A)(実施の形態3)と同様である。アシストラインALおよびトレンチラインTLは位置N2で互いに交差する。次に、実施の形態3と同様、ステップS40(
図8)として、実施の形態1と同様に膜21が形成されるか(
図3(A)および(B))、または実施の形態2と同様に膜22が形成される(
図11(A)および(B))。後者の場合は上記の間にさらに、実施の形態2またはその変形例で説明したように、トレンチラインTLに沿って(
図12(A)中の矢印参照)膜22に切り込み(たとえば、
図13(B)中の切り込みHL参照)が入れられる。
【0079】
図27を参照して、次に、ガラス基板4へ曲げモーメントなどを発生させる外力を加える通常のブレーク工程によって、アシストラインALに沿ってガラス基板4が分離される。これにより、ステップS50(
図20)として、クラックラインCL(
図7(B))の形成が開始される(図中、破線矢印参照)。なお、
図25においてはアシストラインALがガラス基板4の上面SF1上に形成されるが、ガラス基板4を分離するためのアシストラインALはガラス基板4の下面SF2上に形成されてもよい。この場合、アシストラインALおよびトレンチラインTLは、平面レイアウト上、位置N2で互いに交差するが、互いに直接接触はしない。
【0080】
なお、上記以外の構成については、上述した実施の形態3の構成とほぼ同じである。
【0081】
図28(A)を参照して、第1の変形例においては、アシストラインALはガラス基板4の下面SF2上に形成される。そして、
図23(実施の形態3)と同様に、トレンチラインTLの形成が位置N3から位置N1へ行なわれる。
図28(B)を参照して、ガラス基板4へ曲げモーメントなどを発生させる外力を加えることでアシストラインALに沿ってガラス基板4が分離される。これによりクラックラインCLの形成が開始される(図中、破線矢印参照)。
【0082】
図29を参照して、第2の変形例においては、ステップS30(
図8)にてトレンチラインTLが形成される際に、刃先51はガラス基板4の上面SF1に位置N1に比して位置N2でより大きな力で押し付けられる。具体的には、位置N4を位置N1およびN2の間の位置として、トレンチラインTLの形成が位置N4に至った時点で、刃先51の荷重が高められる。言い換えれば、トレンチラインTLの荷重が、位置N1に比して、トレンチラインTLの終端部である位置N4およびN3の間で高められる。これにより、終端部以外での荷重を軽減しつつ、位置N2からのクラックラインCLの形成を誘起されやすくすることができる。
【0083】
(実施の形態5)
図30(A)を参照して、本実施の形態における脆性基板の分断方法においては、ステップS30(
図8)にて、位置N1から位置N2を経由して辺ED2へ達するトレンチラインTLが形成される。次に、実施の形態1で説明したクラックレス状態(
図7(A))が所望の時間に渡って維持される。その間に、ステップS40(
図8)として、実施の形態1と同様に膜21が形成されるか(
図3(A)および(B))、または実施の形態2と同様に膜22が形成される(
図11(A)および(B))。後者の場合は上記の間にさらに、実施の形態2またはその変形例で説明したように、トレンチラインTLに沿って(
図12(A)中の矢印参照)膜22に切り込み(たとえば、
図13(B)中の切り込みHL参照)が入れられる。
【0084】
図30(B)を参照して、次に位置N2と辺ED2との間に、トレンチラインTL付近の内部応力の歪みを解放させるような応力が加えられる。これによりトレンチラインTLに沿ったクラックラインの形成が誘起される(
図8:ステップS50)。
【0085】
応力の印加として具体的には、上面SF1上において位置N2と辺ED2との間(図中、破線および辺ED2の間の領域)で、押し付けられた刃先51が摺動させられる。この摺動は辺ED2に達するまで行なわれる。刃先51は好ましくは最初に形成されたトレンチラインTLの軌道に交差するように、より好ましくは最初に形成されたトレンチラインTLの軌道に重なるように摺動される。この再度の摺動の長さは、たとえば0.5mm程度である。またこの再度の摺動は、複数のトレンチラインTL(
図30(A))が形成された後にそれぞれに対して行なわれてもよく、あるいは、1つのトレンチラインTLの形成および再度の摺動を行なう工程がトレンチラインTLごとに順次行なわれてもよい。
【0086】
変形例として、位置N2と辺ED2との間に応力を加えるために、上述した刃先51の再度の摺動に代えて、上面SF1上において位置N2と辺ED2との間にレーザ光が照射されてもよい。これにより生じた熱応力によっても、トレンチラインTL付近の内部応力の歪みが解放され、それによりクラックラインの形成開始を誘起することができる。
【0087】
なお、上記以外の構成については、上述した実施の形態3の構成とほぼ同じである。
【0088】
(実施の形態6)
図31(A)を参照して、本実施の形態における脆性基板の分断方法においては、ステップS30(
図8)にて、位置N1から位置N2へ、そしてさらに位置N3へ刃先51を変位させることによって、上面SF1の縁から離れたトレンチラインTLが形成される。トレンチラインTLの形成方法自体は
図21(A)(実施の形態3)とほぼ同様である。
【0089】
次に、実施の形態1で説明したクラックレス状態(
図7(A))が所望の時間に渡って維持される。その間に、ステップS40(
図8)として、実施の形態1と同様に膜21が形成されるか(
図3(A)および(B))、または実施の形態2と同様に膜22が形成される(
図11(A)および(B))。後者の場合は上記の間にさらに、実施の形態2またはその変形例で説明したように、トレンチラインTLに沿って(
図12(A)中の矢印参照)膜22に切り込み(たとえば、
図13(B)中の切り込みHL参照)が入れられる。
【0090】
図31(B)を参照して、
図30(B)(実施の形態5またはその変形例)と同様の応力印加が行なわれる。これによりトレンチラインTLに沿ったクラックラインの形成が誘起される(
図8:ステップS50)。
【0091】
図32を参照して、
図31(A)の工程の変形例として、トレンチラインTLの形成において、刃先51が位置N3から位置N2へそして位置N2から位置N1へ変位させられてもよい。
【0092】
なお、上記以外の構成については、上述した実施の形態3の構成とほぼ同じである。
【0093】
(実施の形態7)
図33(A)および(B)を参照して、上記各実施の形態において、刃先51(
図20(A)および(B))に代わり、刃先51vが用いられてもよい。刃先51vは、頂点と、円錐面SCとを有する円錐形状を有する。刃先51vの突起部PPvは頂点で構成されている。刃先の側部PSvは頂点から円錐面SC上に延びる仮想線(
図33(B)における破線)に沿って構成されている。これにより側部PSvは、線状に延びる凸形状を有する。
【0094】
上記各実施の形態においてはガラス基板の縁の第1および第2の辺が長方形の短辺であるが、第1および第2の辺は長方形の長辺であってもよい。また縁の形状は長方形に限定されるものではなく、たとえば正方形であってもよい。また第1および第2の辺は直線状のものに限定されるものではなく曲線状であってもよい。また上記各実施の形態においてはガラス基板の面が平坦であるが、ガラス基板の面は湾曲していてもよい。
【0095】
上述した分断方法に特に適した脆性基板としてガラス基板が用いられるが、脆性基板はガラス基板に限定されるものではない。脆性基板は、ガラス以外に、たとえば、セラミックス、シリコン、化合物半導体、サファイア、または石英から作られ得る。
【0096】
本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。