(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
円環状のステータコアの内周に設けられたスロットに収容されるスロット収容部と、前記円環状のステータコアの中心軸線の延びる方向である軸方向において前記ステータコアの端面の外側に配置されるコイルエンド部とを有するコイルを、複数組み合わせて前記ステータコアの内周側に配置する工程と、
前記ステータコアの内周側に配置された前記コイルの前記コイルエンド部を押圧部材により前記ステータコアの内周側から外周側へ押圧することにより、前記スロット収容部同士の間隔を拡げながら前記コイルを前記スロットに挿入する際に、前記コイルの前記コイルエンド部を倒れ抑制部材により前記ステータコアの径方向外側から支持して前記コイルエンド部の倒れを抑制しながら、前記押圧部材により前記コイルエンド部を前記ステータコアの内周側から径方向外側に押圧することにより、前記スロットに前記コイルを挿入する工程と、を備えた、ステータの組立方法。
前記コイルを挿入する工程は、前記押圧部材の押圧時の径方向外側への移動に伴って、前記倒れ抑制部材を径方向外側に移動させることを特徴とする、請求項1に記載のステータの組立方法。
前記コイルを挿入する工程は、前記押圧部材の径方向外側への移動に伴う前記スロットに挿入される前記コイルの形状の変化に応じて、前記押圧部材と前記倒れ抑制部材との間隔を異ならせることを特徴とする、請求項2に記載のステータの組立方法。
前記コイルを挿入する工程は、前記押圧部材により前記コイルエンド部を前記ステータコアの内周側から径方向外側に押圧しながら、前記押圧部材に対して前記ステータコアを前記中心軸線周りの回転方向に相対的に移動させる工程であり、
前記押圧部材は、前記ステータコアの前記回転方向への移動に伴って回転する押圧ローラであり、
前記倒れ抑制部材は、前記コイルエンド部を支持しながら前記コイルエンド部の前記回転方向への移動に伴って回転する倒れ抑制ローラである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のステータの組立方法。
前記コイルを前記ステータコアの内周側に配置する工程は、組み合わされた複数の前記コイルに、前記スロット収容部を前記スロットに案内するガイド部を含むガイド治具を取り付ける工程を含み、
前記コイルを挿入する工程は、前記押圧部材により前記コイルエンド部を径方向外側に押圧し、前記スロット収容部を前記ガイド治具の前記ガイド部に沿って径方向外側に移動させることにより、前記スロット収容部間の周方向の間隔を拡大させながら前記スロット収容部を前記スロット内に挿入することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のステータの組立方法。
円環状のステータコアの内周に設けられたスロットに収容されるスロット収容部と、前記円環状のステータコアの中心軸線の延びる方向である軸方向において前記ステータコアの端面の外側に配置されるコイルエンド部とを有するコイルが複数組み合わされた状態で、前記コイルの前記コイルエンド部を、前記ステータコアの内周側から径方向外側に押圧して、前記スロット収容部同士の間隔を拡げながら前記スロットに前記コイルを挿入する押圧部材と、
前記押圧部材により前記コイルエンド部が径方向外側に押圧される際に、前記コイルエンド部を径方向外側から支持して前記コイルエンド部の倒れを抑制する倒れ抑制部材と、を備えた、ステータの組立装置。
前記倒れ抑制部材は、前記押圧部材の押圧時の径方向外側への移動に伴って、前記コイルエンド部を支持しながら径方向外側に移動するように構成されている、請求項6に記載のステータの組立装置。
前記倒れ抑制部材は、前記押圧部材の径方向外側への移動に伴って前記スロットに挿入される前記コイルの形状の変化に応じて、前記押圧部材と前記倒れ抑制部材との間隔を異ならせるように構成されている、請求項7に記載のステータの組立装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
[第1実施形態]
(ステータの組立装置の構造)
図1〜
図5を参照して、第1実施形態によるステータ200(
図5参照)の組立装置100の構造について説明する。
【0017】
図1および
図2に示すように、ステータ200の組立装置100は、ステータコア110(
図2参照)に対してコイル120(
図2参照)を組み付けるための装置である。第1実施形態では、組立装置100には、ステータコア110と、ステータコア110に取り付けられた治具130と、治具130に取り付けられたコイル120とを含むコイルアッセンブリ140がセットされる。組立装置100は、コイルアッセンブリ140において治具130に保持されたコイル120を、ステータコア110のスロット113に挿入するように構成されている。
【0018】
組立装置100は、コイルアッセンブリ140のコイル120を押し出す押出装置10と、コイルアッセンブリ140を支持する支持台20とを備えている。
【0019】
押出装置10は、コイルアッセンブリ140の軸方向(ステータコア110の中心軸線Ax(
図2参照)の延びるX方向)の両側に配置される一対の腕部11と、一対の腕部11の上端部同士を接続する梁部12とを備える。
【0020】
第1実施形態では、押出装置10は、2つの押圧部材30を含んでいる。2つの押圧部材30は、円形状の外周面31aを有する2つの押圧ローラ31を含む。
図2に示すように、2つの押圧ローラ31は、コイルアッセンブリ140の軸方向の両側にそれぞれ配置されている。また、2つの押圧ローラ31は、一対の腕部11に両端を回転可能に支持された軸部材13に取り付けられている。これにより、2つの押圧ローラ31は、軸部材13を介して一対の腕部11に回転可能に支持されている。2つの押圧ローラ31は、それぞれ、コイルアッセンブリ140における軸方向の一方側および他方側のコイルエンド部123および124に対応する位置に配置されている。
【0021】
押圧部材30(押圧ローラ31)は、コイル120のコイルエンド部123および124をステータコア110の内周側から径方向外側に押圧して、スロット収容部121と122(
図6参照)との間隔を拡げながらスロット113にコイル120を挿入するように構成されている。詳細には、押出装置10が押圧駆動源10a(プレス機構)により上下方向(Z方向)に移動可能に構成されており、押圧ローラ31は、押出装置10の移動に伴って、上下方向(ステータコア110の径方向、Z方向)に移動する。押圧ローラ31は、コイルアッセンブリ140の内周側(径方向内側)に配置された状態で、径方向外側(Z2方向)に向けて移動することにより、コイルエンド部123(124)をステータコア110の内周側から径方向外側に押圧する。
【0022】
第1実施形態では、押出装置10は、
図2に示すように、倒れ抑制部材40を含んでいる。倒れ抑制部材40は、押出装置10の一対の腕部11の下端部に配置されている。倒れ抑制部材40は、一対の腕部11の下端部にそれぞれ設けられた一対の保持ブロック14に、それぞれ取り付けられている。それぞれの倒れ抑制部材40は、コイルアッセンブリ140の一方側のコイルエンド部123および他方側のコイルエンド部124に対して、径方向外側の位置に配置されている。
【0023】
倒れ抑制部材40は、押圧部材30の押圧時の径方向外側への移動に伴って、コイルエンド部123(124)を支持しながら径方向外側に移動するように構成されている。具体的には、倒れ抑制部材40は、コイルエンド部123(124)に対して径方向外側から接触(支持)する位置に配置されている。また、倒れ抑制部材40は、保持ブロック14を介して押出装置10の腕部11に取り付けられている。そのため、押圧部材30と倒れ抑制部材40とは、押出装置10(腕部11)の上下方向の移動(径方向外側への移動)に伴って、径方向外側に移動する。
【0024】
また、倒れ抑制部材40は、押圧部材30の径方向外側への移動に伴ってスロット113に挿入されるコイル120の形状(外径)の変化に応じて、押圧部材30と倒れ抑制部材40との間隔D(
図3参照)を異ならせるように構成されている。ここで、保持ブロック14は、上下方向に延びる長孔14aと、腕部11との連結部材14bとによって、腕部11との上下方向の相対位置を変更可能な状態で腕部11に取り付けられている。保持ブロック14は、保持ブロック駆動源15によって、腕部11に対して上下方向に相対移動可能に構成されている。保持ブロック14は、倒れ抑制部材40がコイルエンド部123(124)に対して径方向外側から接触する位置に配置されるように、上下方向の位置が調節される。これにより、倒れ抑制部材40は、保持ブロック14の移動によって、押圧部材30との径方向の間隔Dを変更する。
【0025】
図3に示すように、倒れ抑制部材40は、円形状の外周面41a(42a)を有する倒れ抑制ローラ41および42を含む。各保持ブロック14には、それぞれ2つの倒れ抑制ローラ41および42が設けられている。倒れ抑制ローラ41および42は、それぞれ、保持ブロック14に回転可能に取り付けられている。倒れ抑制ローラ41および42は、それぞれ、本発明の「第1倒れ抑制ローラ」および「第2倒れ抑制ローラ」の一例である。
【0026】
倒れ抑制ローラ41は、押圧部材30の回転中心Oを通り、押圧部材30のコイルエンド部123(124)に対する押圧方向(Z2方向)に延びる線分Pに対して、一方側(Y1方向側)に配置されている。倒れ抑制ローラ42は、線分Pに対して他方側(Y2方向側)に配置されている。
【0027】
また、組立装置100は、
図4に示すように、コイルエンド部124の移動規制部材50を含んでいる。移動規制部材50は、押圧部材30によりコイルエンド部124が径方向外側に押圧される際に、コイル120のリード線部125(126)とは反対側のコイルエンド部124の軸方向外側に配置され、コイルエンド部124の軸方向外側への移動を規制するように構成されている。
【0028】
移動規制部材50は、リード線部125(126)とは反対側のコイルエンド部124に対して、軸方向外側の位置に配置されている。移動規制部材50は、コイルエンド部124と軸方向に対向し、かつ、径方向に向けて延びる平坦な外表面51aを有する。第1実施形態では、移動規制部材50は、倒れ抑制部材40に一体的に形成されている。具体的には、移動規制部材50は、倒れ抑制ローラ41および42にそれぞれ一体的に形成されており、倒れ抑制ローラ41および42の外周面よりも大きい外径を有する円形状の鍔状部51および52である。鍔状部51と鍔状部52とは、それぞれ、径方向に向けて延びる平坦な外表面51aと外表面52a(
図2参照)とを有する。なお、リード線部125(126)側のコイルエンド部123を支持する倒れ抑制部材40には、鍔状部51(52)が設けられておらず、倒れ抑制ローラ41(42)のみが設けられている。
【0029】
移動規制部材50は、押圧部材30の押圧時の径方向外側への移動に伴って、径方向外側に移動するように構成されている。すなわち、倒れ抑制部材40と一体的に形成された移動規制部材50が、押出装置10(腕部11)の上下方向の移動または保持ブロック14の腕部11に対する上下方向の相対移動(径方向外側への移動)に伴って径方向外側に移動する。
【0030】
また、移動規制部材50は、コイル120のスロット113への挿入時のコイルエンド部124のステータコア110からの軸方向(X方向)の突出量の変化に応じて、軸方向(X方向)にも移動可能なように構成されている。具体的には、移動規制部材50は、規制部材駆動源16により、軸方向に移動可能に構成されている。
【0031】
支持台20は、コイルアッセンブリ140の下面側を支持するように構成されている。支持台20は、コイルアッセンブリ140の外周面を支持する支持ローラ21と、支持ローラ21を回転させる支持ローラ駆動源22とを含む。これにより、支持台20は、支持ローラ21によりコイルアッセンブリ140の下面側を支持したまま、支持ローラ21を回転させてコイルアッセンブリ140を中心軸線Ax周りに回転させることが可能に構成されている。コイル120の組付時には、押圧ローラ31と倒れ抑制ローラ41および42とが、コイルアッセンブリ140(ステータコア110)の中心軸線Ax周りの回転に伴って回転する。
【0032】
(コイルアッセンブリの構造)
次に、
図2〜
図6を参照して、コイルアッセンブリ140の各部の構造について説明する。
【0033】
図2および
図5に示すように、ステータコア110は、円環状形状を有する。詳細には、ステータコア110は、円環状のバックヨーク111と、バックヨーク111から径方向内側(中心軸線Ax側)へ向けて延びる複数のティース112とを含む。ティース112は、ステータコア110の周方向に沿って等間隔に配置されている。また、隣接する2つのティース112の間に、コイル120を保持するスロット113が形成されている。ステータコア110の内周には、複数のスロット113が周状に配列されている。
【0034】
図6に示すように、コイル120は、矩形状の断面を有する平角導線により構成され、平角導線を複数回(たとえば、5回)巻回して所定形状に成形することによって環形状に形成されている。
【0035】
コイル120は、円環状のステータコア110の内周に設けられたスロット113に収容されるスロット収容部121および122と、円環状のステータコア110の中心軸線Ax(
図4参照)の延びる方向である軸方向においてスロット113の外側に配置されるコイルエンド部123および124と、スロット収容部121および122からそれぞれ延びるリード線部125および126とを含む。
【0036】
スロット収容部121および122は、略直線状に形成され、それぞれ別々のスロット113内に軸方向に沿って配置される。コイルエンド部123および124は、略三角形状をなすように屈曲して形成され、周方向に離間したスロット収容部121および122の端部同士を接続している。コイルエンド部123および124は、ステータコア110に対して、ステータコア110の軸方向の両端部(両端面)からそれぞれ軸方向外側に突出するように配置される。リード線部125および126は、それぞれ、複数回巻回された平角導線の一方端(巻き始め)および他方端(巻き終わり)である。リード線部125および126は、共にコイル120のうち軸方向の片側(
図4ではX1方向側)に配置されており、ステータコア110の外側に引き出される。
【0037】
コイル120は、ステータ200の各スロット113に対して周方向に複数配置される。複数のコイル120は、全体としてステータコア110の内周に沿う円環形状を成すように周状に配列される。第1実施形態では、コイル120は、ステータコア110に対して、同心巻で、かつ、以下の(A)〜(C)を実現するように装着される。
【0038】
(A)複数のコイル120が、収容されるスロット113を周方向に1つずつずらしながら配置される。(B)互いに周方向に隣接する2つのコイル120同士の平角導線が、互いに積層方向(径方向)に交互に重なるように組み付けられる。(C)互いに周方向に所定距離離れて配置される同相の2つのコイル120同士は、スロット収容部121および122の平角導線が、同じスロット113において積層方向(径方向)に交互に並ぶように組み付けられる。
【0039】
なお、同相のコイル120とは、ステータ200がたとえば3相交流モータに適用される場合、U相コイル、V相コイル、W相コイルのいずれかのコイル120を意味する。この場合、コイルアッセンブリ140は、U相、V相およびW相のそれぞれについて、同相のコイル120が2つずつ周方向に並んで配置される。
【0040】
図2に示すように、治具130は、ステータコア110に対して固定されており、たとえば、
図2に示す複数のガイド治具131を含んで構成されている。ガイド治具131は、スロット収容部121(122)をスロット113に案内するガイド部131a(
図9参照)を含み、先端先細りのくさび形状を有する。ガイド部131a(
図9参照)は、先細りの先端部における周方向両側の縁部であり、径方向に沿って直線状に形成されている。複数のガイド治具131は、ステータコア110の軸方向の両端部において、それぞれステータコア110の各ティース112と軸方向に重なるように、周方向に沿って配列されている。また、ガイド治具131は、先細りの先端部がティース112の先端よりも径方向内側に位置するように設けられている。つまり、コイルアッセンブリ140は、各ガイド治具131によって、ステータコア110のティース112(ティース112間のスロット113)が径方向内側に向けて延長された構造を有している。隣接する2つのガイド治具131は、ステータコア110のティース面よりも径方向内側の位置に、対応するスロット113を延長した延長スロット部132(
図3参照)を形成している。
【0041】
コイルアッセンブリ140において各ガイド治具131によって形成される延長スロット部132には、それぞれコイル120が上述の配置ルールを実現するように組み付けられている。これにより、延長スロット部132に配置された各コイル120を径方向外側に向けて移動させると、各コイル120のスロット収容部121または122がガイド部131aに沿って径方向外側に案内(
図9参照)され、それぞれ対応するスロット113に挿入される。
【0042】
(ステータの組立方法)
図1〜
図10を参照して、ステータ200の組立方法について説明する。なお、
図1〜
図4および
図8は、ステータコア110のスロット113にコイル120が挿入された後の状態を示している。
図7は、スロット113にコイル120を挿入する工程の開始時点の状態を図示している。
【0043】
〈コイルをステータコアの内周側に配置する工程〉
まず、各コイル120が、ステータコア110の内周側に配置される。すなわち、ステータコア110、複数のコイル120および治具130を組み合わせて、コイルアッセンブリ140が組み立てられる。具体的には、まず、平角導線からなる複数のコイル120が周状に組み合わされる。そして、組み合わされた複数のコイル120に、複数のガイド治具131がそれぞれ取り付けられる。ガイド治具131は、隣接するコイル120のスロット収容部121または122の間に先端部が挿入されることにより各コイル120に取り付けられる。この結果、それぞれのコイル120は、隣接するガイド治具131により形成された延長スロット部132にセット(
図7参照)され、各コイル120のスロット収容部121または122(
図6参照)が各スロット113に対して径方向内側位置に配置される。また、各コイル120のコイルエンド部123および124が、ステータコア110(およびガイド治具131)の軸方向両端面から、軸方向外側にそれぞれ突出するように配置される。各コイル120のリード線部125および126は、軸方向の一方側(X1方向側)に配置される。
【0044】
〈コイルアッセンブリを組立装置に配置する工程〉
次に、
図1に示すように、組み立てられたコイルアッセンブリ140が、組立装置100の支持台20の支持ローラ21上に載置される。また、押圧部材30(押圧ローラ31)が取り付けられた軸部材13がコイルアッセンブリ140の内周側に挿入され、軸部材13の両端が押出装置10の一対の腕部11に取り付けられる。これにより、押圧部材30(押圧ローラ31)がコイルアッセンブリ140の内周側に配置される。押出装置10の上下方向位置が調節されることによって、押圧部材30(押圧ローラ31)は、押圧方向側(径方向外側、下方向)の外表面がコイルエンド部123(124)の径方向内側の表面と当接する位置(
図7参照)に配置される。
【0045】
この状態で、倒れ抑制部材40(倒れ抑制ローラ41および42)が取り付けられた保持ブロック14が、押出装置10の一対の腕部11に取り付けられる。この際、保持ブロック14の上下方向位置が調節されることによって、倒れ抑制部材40(倒れ抑制ローラ41および42)は、外表面がコイルエンド部123(124)の径方向外側の表面と当接する位置に配置される。この結果、
図7に示すように、径方向内側の押圧ローラ31と、径方向外側の倒れ抑制ローラ41および42とが、コイルエンド部123(124)を径方向に挟み込むように配置される。なお、
図7および
図8では、説明の便宜のため、コイルアッセンブリ140の一部のガイド治具131を取り除いて、ステータコア110を露出させて図示している。
【0046】
〈スロットにコイルを挿入する工程〉
次に、押出装置10および支持台20(
図3参照)が駆動され、各スロット113に各コイル120が挿入される。押出装置10が
図1に示した押圧駆動源10a(プレス機構)により下方向(Z2方向)に移動されることによって、コイルアッセンブリ140の内周側の押圧部材30(押圧ローラ31)により、コイルエンド部123(124)が径方向外側(下方向)に押圧される。押圧部材30(押圧ローラ31)によるコイルエンド部123(124)の押圧と並行して、支持台20の支持ローラ21が、支持ローラ駆動源22により回転されることによって、コイルアッセンブリ140が中心軸線Ax周りに回転される。すなわち、支持ローラ21は、押圧部材30に対してステータコア110を中心軸線Ax周りの回転方向に相対的に移動させる。
【0047】
これにより、コイルエンド部123(124)を径方向外側に押圧されたコイル120が、治具130の延長スロット部132からステータコア110のスロット113へ向けて、径方向外側に移動し始める。
【0048】
より具体的には、押圧部材30によりコイルエンド部123(124)を径方向外側に押圧することによって、
図9(A)および
図9(B)に示すように、スロット収容部121(122)をガイド治具131のガイド部131aに沿って径方向外側に移動させる。これにより、個々のコイル120は、スロット収容部121と122との間の周方向の間隔を拡大させながら、スロット収容部121(122)がスロット113内に挿入される。挿入の過程で、ガイド治具131は、スロット収容部121(122)がガイド部131aに沿って径方向外側に移動するようにコイル120を案内しながら、コイル120の径方向移動によってスロット収容部121と122との間を周方向(幅方向)に押し拡げるようにしてコイル120を変形させる。
【0049】
図7に示すように、押圧部材30(押圧ローラ31)による押圧と並行して、支持ローラ21によりコイルアッセンブリ140が回転されることによって、周状に配置された各コイル120が、それぞれ少しずつスロット113に向けて移動する。コイルアッセンブリ140(ステータコア110)の中心軸線Ax周りの回転に伴って、押圧ローラ31と倒れ抑制ローラ41および42とは回転する。
【0050】
第1実施形態では、倒れ抑制部材40(倒れ抑制ローラ41および42)は、押圧部材30(押圧ローラ31)の径方向外側への移動に伴って、コイルエンド部123(124)を径方向外側から支持してコイルエンド部123(124)の倒れを抑制する。押圧を継続している間、倒れ抑制ローラ41および42は、コイルエンド部123(124)を支持しながらコイルエンド部123(124)の回転方向への移動に伴って回転する。押圧部材30(押圧ローラ31)の押圧時の径方向外側(Z2方向)への移動に伴って、倒れ抑制部材40(倒れ抑制ローラ41および42)は径方向外側に移動する。
【0051】
ここで、
図7および
図8に示すように、周状に配列されたコイル120の径方向外側への移動に伴って、コイルエンド部123(124)の外径R(曲率半径)は、徐々に大きくなる。そのため、倒れ抑制ローラ41および42は、保持ブロック駆動源15によって保持ブロック14が腕部11に対して相対的に下方向に移動されることにより、押圧ローラ31と倒れ抑制ローラ41および42との間隔Dを異ならせる。言い換えると、押圧ローラ31とコイルエンド部123(124)との接点の位置と、倒れ抑制ローラ41および42とコイルエンド部123(124)との接点の位置との相対位置(間隔)が、コイルエンド部123(124)の外径Rの変化(コイルエンド部123(124)の形状の変化)に合わせて変化する。具体的には、押圧開始時(
図7)における押圧ローラ31と倒れ抑制ローラ41(42)との間隔D1(中心間の間隔)が、押圧終了時(
図8)には間隔D2となる(D2>D1)。
【0052】
また、
図10に示すように、コイル120の径方向外側への移動に伴って、各々のコイル120では、スロット113内に挿入されるスロット収容部121および122の間の周方向の間隔が大きくなっていく。そのため、コイル120にはコイルエンド部123(124)の両端を引っ張る引張力Fが作用する。この際、コイル120の端部であるリード線部125は巻回されずに自由端となっているため、
図10(B)の二点鎖線で示すように、リード線部125とは軸方向の反対側のコイルエンド部124を構成する平角導線が、引張力Fによって軸方向外側に移動しようとする。言い換えると、リード線部125が、軸方向反対側のコイルエンド部124により、スロット113内に引き込まれる方向(X2方向)に軸方向に引っ張られる。図示していないが、リード線部126についても同様である。
【0053】
そのとき、コイルエンド部124側に配置された移動規制部材50(
図4参照)が、コイル120のリード線部125および126とは反対側のコイルエンド部124を軸方向外側位置で受け止めて、二点鎖線(
図10(B)参照)で示したコイルエンド部124の軸方向移動を規制する。つまり、移動規制部材50は、外表面51a(52a)がコイルエンド部124の頂点部124aに接触して、軸方向外側への移動を受け止める。
【0054】
なお、コイルエンド部124を構成する平角導線のうち、リード線部125または126と直接つながっている巻き始め部分または巻き終わり部分以外の中間部分は、スロット113を構成するティース112に巻回されて両端が固定された状態になるため、移動しない。
【0055】
また、
図10(A)および(B)に示すように、コイル120のスロット113への挿入に伴って、各々のコイル120のコイルエンド部123(124)は、全体的にステータコア110の端面からの軸方向の突出量Lが小さくなっていく。移動規制部材50は、規制部材駆動源16(
図4参照)によって、コイルエンド部123(124)の軸方向の突出量Lの変化に応じて、軸方向(ステータコア110に近付く方向)に移動される。
【0056】
図8に示すように、全てのコイル120がステータコア110の各スロット113内に挿入されると、スロットにコイルを挿入する工程が終了する。組立装置100からコイルアッセンブリ140が取り外され、ステータコア110から治具130(ガイド治具131)が取り外される。その結果、
図5に示すステータ200が得られる。以上のようにして、ステータ200の組立が行われる。
【0057】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0058】
第1実施形態では、上記のように、ステータコア110の内周側に配置されたコイル120のコイルエンド部123(124)を倒れ抑制部材40によりステータコア110の径方向外側から支持してコイルエンド部123(124)の倒れを抑制しながら、押圧部材30によりコイルエンド部123(124)をステータコア110の内周側から径方向外側に押圧することにより、スロット113にコイル120を挿入する。これにより、組付時に押圧部材30によりコイルエンド部123(124)に径方向外側への大きな力が作用する場合にも、コイルエンド部123(124)が径方向外側へ倒れるのを倒れ抑制部材40により抑制することができる。その結果、コイルエンド部123(124)を径方向外側に押圧してコイル120を組み付ける場合において、ステータコア110へのコイル120の組付時にコイルエンド部123(124)が径方向外側へ倒れてしまうのを抑制することができる。
【0059】
また、第1実施形態では、上記のように、倒れ抑制部材40を、押圧部材30の押圧時の径方向外側への移動に伴って、コイルエンド部123(124)を支持しながら径方向外側に移動するように構成する。これにより、押圧部材30によってスロット113内に挿入されるコイル120を、倒れ抑制部材40によって支持し続けることができる。その結果、スロット113にコイル120を挿入する工程の間のコイル120の移動に応じて、コイルエンド部123(124)の倒れを抑制し続けることができる。
【0060】
また、第1実施形態では、上記のように、倒れ抑制部材40を、押圧部材30の径方向外側への移動に伴ってスロット113に挿入されるコイル120の外径Rの変化(形状の変化)に応じて、押圧部材30と倒れ抑制部材40との間隔Dを異ならせるように構成する。これにより、スロット113への挿入に伴って大きくなるコイル120の外径R(曲率半径)に合わせた適切な間隔Dとなるように、押圧部材30と倒れ抑制部材40との相対位置関係を調節することができる。その結果、スロット113にコイル120を挿入する工程の間に、コイルエンド部123(124)に過大な力が加わることを抑制することができる。
【0061】
また、第1実施形態では、上記のように、押圧部材30に対するステータコア110の中心軸線Ax周りの回転方向への相対移動に伴って回転する押圧ローラ31を押圧部材30として設け、コイルエンド部123(124)を支持しながらコイルエンド部123(124)の回転方向への移動に伴って回転する倒れ抑制ローラ41および42を倒れ抑制部材40として設ける。これにより、押圧ローラ31を用いて押圧部材30とステータコア110とを相対回転させる構造をとることができるので、ステータコア110の全周を同時に径方向外側に押圧するような押圧部材を設ける場合に比べて、コイル120を押圧するための構造を簡素かつ小型にできる。そのため、組立装置100を小型化することができる。また、コイルエンド部123(124)の回転方向への移動(ステータコア110の相対回転)に伴って倒れ抑制ローラ41および42を回転させることで、コイルエンド部123(124)との接触抵抗を低減できる。
【0062】
また、第1実施形態では、上記のように、押圧部材30のコイルエンド部123(124)に対する押圧方向に延びる線分に対して一方側に配置される倒れ抑制ローラ41と、線分に対して他方側に配置される倒れ抑制ローラ42とを組立装置100に設ける。これにより、コイルエンド部123(124)を複数個所で支持することができるので、倒れ抑制部材40からコイルエンド部123(124)へ局所的な荷重(支持力)が加わることを抑制することができる。また、各コイル120は周状に組み合わされてつながっている。そのため、コイルエンド部123(124)が倒れる場合、実際に押圧部材30が押圧している部位のみならず、押圧している部位の近傍の部位も、引っ張られるようにして倒れる可能性がある。そこで、倒れ抑制ローラ41および42によって、押圧している部位の近傍の部位を支持して広い範囲でのコイルエンド部123(124)の倒れを抑制することができる。
【0063】
また、第1実施形態では、上記のように、円形状の外周面を有する押圧ローラ31を押圧部材30に設け、円形状の外周面を有する倒れ抑制ローラ41および42を倒れ抑制部材40に設ける。これにより、コイルエンド部123(124)との接触によるコイルエンド部123(124)のダメージを抑制することができる。すなわち、スロット113にコイル120を挿入する工程では、押圧部材30に対してステータコア110を中心軸線周りの回転方向に相対的に移動させ、周状に配置された各コイル120を徐々に各スロット113に挿入していく。そのため、押圧ローラ31および倒れ抑制ローラ41および42が回転方向の相対移動に合わせて回転することによって接触抵抗を低減することができるので、コイルエンド部123(124)のダメージを抑制することができる。
【0064】
また、第1実施形態では、上記のように、押圧部材30によりコイルエンド部123(124)を径方向外側に押圧し、スロット収容部121(122)をガイド治具131のガイド部131aに沿って径方向外側に移動させることにより、スロット収容部121と122との間の周方向の間隔を拡大させながらスロット収容部123(124)をスロット113内に挿入するように組立装置100を構成する。これにより、ガイド治具131によって、スロット収容部123(124)をスロット113内に確実に案内することができる。また、ガイド部131aに沿ってスロット収容部121(122)を移動させる際に、過大な力がコイル120に加わることを抑制しつつ徐々にコイル120を変形させることができるので、挿入時のコイル120のダメージを抑制できる。
【0065】
[第2実施形態]
次に、
図1、
図4、
図5および
図11を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態では、押圧部材30と倒れ抑制部材40とを、共に押出装置10によって上下方向に移動可能に構成した上記第1実施形態とは異なり、倒れ抑制部材40を押圧部材30とは別個に径方向に移動可能に構成した例について説明する。なお、第2実施形態において、上記第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を用いると共に説明を省略する。
【0066】
(ステータの組立装置の構造)
図11に示すように、第2実施形態によるステータ200(
図5参照)の組立装置300は、押圧部材30を保持する押出装置210と、倒れ抑制部材40(および移動規制部材50)を保持する保持装置220とを含んでいる。
【0067】
押出装置210の腕部11には、上記第1実施形態の保持ブロック14(
図1参照)が設けられておらず、腕部11には、押圧部材30(押圧ローラ31)のみが軸部材13を介して回転可能に保持されている。押出装置210の上下移動によって、押圧部材30がコイルエンド部123(124)を径方向外側に押圧する。
【0068】
保持装置220には、倒れ抑制部材40が取り付けられている。図示しないが、上記第1実施形態(
図4参照)と同様に、倒れ抑制部材40は、軸方向の両側のコイルエンド部123(124)に対応して、コイルアッセンブリ140に対して軸方向の両側にそれぞれ配置される。そのため、保持装置220もコイルアッセンブリ140に対して軸方向の両側にそれぞれ配置される。
【0069】
保持装置220は、倒れ抑制部材40をステータコア110(コイルアッセンブリ140)の径方向に向けて移動可能に構成されている。ここで、この第2実施形態では、上記第1実施形態と異なり、保持装置220は、一方側(Y1方向側)および他方側(Y2方向側)の倒れ抑制部材40を、それぞれ、ステータコアの中心軸線Axから径方向に延びる直線L1およびL2に沿って移動させることが可能である。保持装置220は、一方側(Y1方向側)の倒れ抑制ローラ41と他方側(Y2方向側)の倒れ抑制ローラ42とを、それぞれ独立して移動させるように構成されている。
【0070】
ステータ200の組立時には、押出装置210と保持装置220とは、互いに同期して動作する。その結果、倒れ抑制部材40は、押圧部材30の押圧時の径方向外側への移動に伴って、コイルエンド部123(124)を支持しながら径方向外側に移動する。また、保持装置220は、押圧部材30の径方向外側への移動に伴ってスロット113に挿入されるコイル120の外径Rの変化に応じて、押圧部材30と倒れ抑制部材40との間隔Dを異ならせる。
【0071】
第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0072】
(第2実施形態の効果)
この第2実施形態においても、上記第1実施形態と同様、倒れ抑制部材40によって、ステータコア110へのコイル120の組付時にコイルエンド部123(124)が径方向外側へ倒れてしまうのを抑制することができる。
【0073】
また、第2実施形態では、上記のように、一方側(Y1方向側)の倒れ抑制ローラ41と他方側(Y2方向側)の倒れ抑制ローラ42とを、それぞれ独立して移動可能に構成されている。これにより、押圧部材30によるコイル120のスロット113への挿入に伴ってコイルエンド部123(124)の外径が拡大していく過程で、コイルエンド部123(124)の外形形状が一時的にゆがむ場合にも、押圧部材30と倒れ抑制ローラ41および倒れ抑制ローラ42のそれぞれとの間の間隔を個別に制御できるので、局所的な荷重(支持力)がコイルエンド部123(124)に加わることを効果的に抑制することができる。
【0074】
第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0075】
[第3実施形態]
次に、
図12を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態では、倒れ抑制部材40と移動規制部材50とを一体的に設けた上記第1実施形態とは異なり、倒れ抑制部材340と移動規制部材350とを別個に設けた例について説明する。なお、第3実施形態において、上記第2実施形態と同様の構成については、同一の符号を用いると共に説明を省略する。
【0076】
(ステータの組立装置の構造)
図12に示すように、第3実施形態によるステータ200(
図5参照)の組立装置400は、押圧部材30を保持する押出装置210と、倒れ抑制部材340を保持する保持装置220と、移動規制部材350を保持する保持装置330とを含んでいる。保持装置220と保持装置330とは、互いに独立して移動可能に構成されている。
【0077】
保持装置220の倒れ抑制部材340は、鍔状部51を有しない単独のローラである倒れ抑制ローラ41(42)のみを含んでいる。保持装置220は、倒れ抑制ローラ41(42)を径方向に移動させることが可能である。
【0078】
保持装置330は、たとえば、一方側(Y1方向側)および他方側(Y2方向側)の保持装置220の間に配置されている。移動規制部材350は、たとえば、平坦な円盤状形状を有する。移動規制部材350には、倒れ抑制ローラ41(42)は設けられていない。保持装置330は、移動規制部材350を、径方向(上下方向)に移動可能で、かつ、軸方向(中心軸線Axの延びる方向)にも移動可能に保持している。
【0079】
これにより、移動規制部材350は、押圧部材30の押圧時の径方向外側への移動に伴って、保持装置330により径方向外側(線分Pの延びる方向)に移動するように構成されている。また、移動規制部材350は、保持装置330によって、上記第1実施形態(
図4参照)と同様にコイルエンド部124のステータコア110からの軸方向の突出量L(
図10参照)の変化に応じて、軸方向(X方向)にも移動可能なように構成されている。
【0080】
ステータ200の組立時には、押出装置210と、保持装置220と、保持装置330とが、互いに同期して動作する。その結果、押圧部材30によるコイルエンド部123(124)の押圧と、倒れ抑制部材340によるコイルエンド部123(124)の支持と、移動規制部材350によるコイルエンド部124の移動規制とが、それぞれ並行して行われる。
【0081】
第3実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0082】
(第3実施形態の効果)
この第3実施形態においても、上記第1実施形態と同様、倒れ抑制部材340によって、ステータコア110へのコイル120の組付時にコイルエンド部123(124)が径方向外側へ倒れてしまうのを抑制することができる。
【0083】
また、第3実施形態では、上記のように、倒れ抑制部材340と移動規制部材350とが別個に設けられ、倒れ抑制部材340と移動規制部材350とがそれぞれ保持装置220と保持装置330とにより独立して移動可能に構成されている。これにより、倒れ抑制部材340を含む保持装置220と、移動規制部材350を含む保持装置330とを個別にユニット化して、組立装置400における各ユニットの配置の自由度を向上させることができる。そのため、ステータ200のサイズに応じて、たとえば3つ以上の倒れ抑制部材340を組立装置400に設けたり、2つ以上の移動規制部材350を組立装置400に設けたりすることが容易にできるようになる。
【0084】
第3実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0085】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0086】
たとえば、上記第1〜第3実施形態では、倒れ抑制部材40(340)が押圧部材30とともに径方向に移動する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、倒れ抑制部材が押圧部材とともに径方向に移動しなくともよい。倒れ抑制部材の径方向位置を固定した状態である程度までコイルの挿入(押圧部材による押圧)を行い、その後押圧を停止して、倒れ抑制部材の径方向位置を調節した後にコイルの挿入を再開してもよい。このような作業を繰り返すことでコイルの挿入を行ってもよい。
【0087】
また、上記第1〜第3実施形態では、倒れ抑制部材40(340)を押圧部材30に対して径方向に相対移動させることにより、押圧部材30と倒れ抑制部材40(340)との間隔を異ならせる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、倒れ抑制部材を押圧部材に対して径方向に相対移動させなくともよい。押圧部材に対する倒れ抑制部材の径方向の相対位置を固定した状態である程度までコイルの挿入(押圧部材による押圧)を行い、その後押圧を停止して、押圧部材に対する倒れ抑制部材の径方向の相対位置を調節した後にコイルの挿入を再開してもよい。このような作業を繰り返すことでコイルの挿入を行ってもよい。
【0088】
また、上記第1〜第3実施形態では、押圧ローラ31、倒れ抑制ローラ41(42)および移動規制部材350について、それぞれコイルアッセンブリ140の回転に伴って駆動源なしで従動的に回転可能に構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、これらの押圧ローラ、倒れ抑制ローラおよび移動規制部材をコイルエンド部の回転移動に合わせて回転させるための駆動源を、組立装置に設けてもよい。この場合には、押圧ローラ、倒れ抑制ローラおよび移動規制部材の各々と、コイルエンド部との接触抵抗を極力低減することができるので、ステータの組立時にコイルエンド部が受けるダメージを抑制することができる。
【0089】
また、上記第1〜第3実施形態では、倒れ抑制部材40(340)が倒れ抑制ローラ41(42)を含む構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、倒れ抑制部材がローラ以外の板部材などでもよい。
【0090】
また、上記第1〜第3実施形態では、組立装置100(300、400)に移動規制部材50(350)を設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、組立装置に移動規制部材を設けなくともよい。
【0091】
また、上記第1〜第3実施形態において説明したコイルアッセンブリ140の構造は、あくまで一例であり、本発明はこれに限られない。たとえば、治具130(ガイド治具131)とは異なる形状の治具をコイルアッセンブリに用いてもよい。
【0092】
また、上記第1〜第3実施形態では、導線を複数周回巻いた同心巻のコイル120の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、導線を波形状に複数回折り曲げたいわゆる波巻きのコイルであってもよい。たとえば、特開2009−268158号公報に開示されているような波巻きのコイルを径方向外側に押圧してスロットに挿入する構成にも、本発明は適用可能である。
【0093】
また、上記第1〜第3実施形態では、平角導線からなるコイル120を用いた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、平角導線以外の多角形断面の導線からなるコイルや、丸線からなるコイルを用いてもよい。
【0094】
また、上記第1〜第3実施形態では、押圧部材30が押圧ローラ31を含む構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、押圧部材がローラ以外の板部材などでもよい。
【0095】
また、上記第1〜第3実施形態では、押圧部材30(押圧ローラ31)によるコイルエンド部123(124)の局所的な押圧と並行して、支持ローラ21によりコイルアッセンブリ140を回転させることにより、各々のコイル120を径方向外側に移動させる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、
図13に示す変形例のように、円環状に配列された各コイル120を、周方向の全周にわたって一括してスロット113に挿入してもよい。
【0096】
図13に示す変形例では、円環状に配列されたコイル120(コイルエンド部124)の内周側の押圧部材430と、外周側の倒れ抑制部材440とが、ペアで設けられている。押圧部材430および倒れ抑制部材440のペアは、たとえば保持装置420によって径方向に移動可能に保持されている。押圧部材430は内周側からコイルエンド部124の内周面と接触し、倒れ抑制部材440は外周側からコイルエンド部124の外周面と接触する。なお、
図13では、説明の便宜のため、押圧部材430および倒れ抑制部材440をコイルエンド部124から僅かに離間させて図示している。押圧部材430および倒れ抑制部材440のペアは、周方向の全周にわたって、等角度間隔で複数組(
図13では8組)配置されている。8組の押圧部材430および倒れ抑制部材440のペアがそれぞれ径方向外側に向けて移動することにより、各倒れ抑制部材440がコイルエンド部124を径方向外側から全周にわたって支持しながら、各押圧部材430がコイルエンド部124を全周にわたって径方向外側へ押圧する。その結果、
図14に示すように、コイルアッセンブリ140に周状に配列された各コイル120が、ステータコア110(
図7参照)の各スロット113(
図7参照)に対して、全周にわたって一括して挿入される。