(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
隣接する前記組のうちの一方の組の前記他方側同芯巻コイルと、他方の組の前記一方側同芯巻コイルとを接続し、前記第1接続部の長さと異なる長さを有する第2接続部をさらに備える、請求項3に記載の回転電機。
【背景技術】
【0002】
従来、互いに並列に接続された同相の同芯巻コイルを備える回転電機が知られている。
【0003】
従来では、丸線が同芯巻きされることにより形成され、互いに並列に接続された複数の同芯巻コイル(たとえば、第1丸線同芯巻コイル〜第4丸線同芯巻コイル)が知られている。ここで、第1丸線同芯巻コイル〜第4丸線同芯巻コイルは、各々、互いに直列に接続された複数のコイル(以下、コイル部分と呼ぶ)を含んでいる。そして、第1丸線同芯巻コイル〜第4丸線同芯巻コイルは、第1丸線同芯巻コイルの複数のコイル部分、第2丸線同芯巻コイルの複数のコイル部分、第3丸線同芯巻コイルの複数のコイル部分、および、第4丸線同芯巻コイルの複数のコイル部分の順(すなわち、隣極巻)で、ステータコアのスロットに配置されていた。
【0004】
ここで、ロータの軸の中心とステータの軸の中心とがずれた場合などにおいては、ロータに設けられた永久磁石と、第1丸線同芯巻コイル〜第4丸線同芯巻コイルの各々との位置関係が不均等になる場合がある。このため、同芯巻コイル内において循環電流が生じて、ノイズや振動が発生するなどの不都合があった。
【0005】
この不都合を解消するために、従来では、第1丸線同芯巻コイルの1つのコイル部分、第2丸線同芯巻コイルの1つのコイル部分、第3丸線同芯巻コイルの1つのコイル部分、および、第4丸線同芯巻コイルの1つのコイル部分の順でステータコアのスロットに配置すること(隔極巻)が行われていた。これにより、永久磁石と、第1丸線同芯巻コイル〜第4丸線同芯巻コイルの各々との位置関係の不均等が解消されて、同芯巻コイル内での循環電流に起因するノイズや振動の発生が低減されていた。
【0006】
また、従来、平角導線が同芯巻きされた同芯巻コイルを備える回転電機が知られている。このような回転電機は、たとえば、特開2012−125043号公報に開示されている。
【0007】
特開2012−125043号公報では、平角導線が同芯巻された第1同芯巻コイルおよび第2同芯巻コイルを備えるモータが開示されている。第1同芯巻コイルは、巻回された隣接する平角導線の間に、第2同芯巻コイルの平角導線が挿入可能なように隙間を有した状態で平角導線が巻回されている。すなわち、特開2012−125043号公報では、ステータコアの1つのスロットに、第1同芯巻コイルの平角導線と第2同芯巻コイルの平角導線とがステータコアの半径方向に沿って交互に配置されている。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
[本実施形態]
(回転電機の構造)
図1〜
図6を参照して、本実施形態による回転電機100の構造について説明する。
【0017】
図1に示すように、回転電機100は、ロータコア10を備えている。ロータコア10には、周方向に沿って複数(たとえば、16個)の永久磁石11が設けられている。また、本実施形態では、複数の永久磁石11は、ロータコア10の周方向に沿って略等角度間隔(約22.5度間隔)に設けられている。
【0018】
また、回転電機100は、ステータコア20を備えている。ステータコア20は、ロータコア10と半径方向に対向するように配置されている。また、ステータコア20には、複数(たとえば、96個)のスロット21が設けられている。また、隣接するスロット21の間には、ティース22が設けられている。
【0019】
また、回転電機100は、平角導線が同芯巻きされた同芯巻コイル30を備えている。同芯巻コイル30は、ステータコア20のスロット21に配置されている。
【0020】
ここで、同芯巻コイル30とは、
図4に示すように、所定のスロット21に収容される第1スロット収容部30aと、所定のスロット21とは異なるスロット21に収容される第2スロット収容部30bとが、コイルエンドの軸方向の一方側の第1コイルエンド部30cと、コイルエンドの軸方向の他方側の第2コイルエンド部30dとを介して、連続して巻回されるコイルである。具体的には、同芯巻コイル30とは、第1スロット収容部30a、第1コイルエンド部30c、第2スロット収容部30bおよび第2コイルエンド部30dが連続して1つの導線で巻回されているコイルである。
【0021】
また、
図2に示すように、同芯巻コイル30は、U相の同芯巻コイル40と、V相の同芯巻コイル50と、W相の同芯巻コイル60とを含む。また、U相の同芯巻コイル40は、互いに並列に接続されたU相の第1同芯巻コイル41、第2同芯巻コイル42、第3同芯巻コイル43および第4同芯巻コイル44を含む。また、V相の同芯巻コイル50は、互いに並列に接続されたV相の第1同芯巻コイル51、第2同芯巻コイル52、第3同芯巻コイル53および第4同芯巻コイル54を含む。また、W相の同芯巻コイル60は、互いに並列に接続されたW相の第1同芯巻コイル61、第2同芯巻コイル62、第3同芯巻コイル63および第4同芯巻コイル64を含む。そして、本実施形態では、U相の同芯巻コイル40、V相の同芯巻コイル50およびW相の同芯巻コイル60は、Y結線されている。
【0022】
なお、U相の同芯巻コイル40、V相の同芯巻コイル50およびW相の同芯巻コイル60は、同様の構成によりスロット21に配置されている。そこで、以下では、U相の同芯巻コイル40について説明する。
【0023】
(U相の同芯巻コイルの構造)
〈第1同芯巻コイルの構造〉
図3および
図4を参照して、第1同芯巻コイル41(
図3および
図4の実線で示されたコイル)について説明する。
図4では、U相の同芯巻コイル40のうち、U相の第1同芯巻コイル41のみ示されている。また、
図4(a)では、スロット21と、スロット21に配置される第1同芯巻コイル41とを表している。また、
図4(b)では、磁極70の中心(二点鎖線)と、磁極70の中心(A1、A2、A3)に対するコイル中心(C11、C12)および接続中心(C2、C3)の位置を表している。また、
図4(c)では、スロット21に配置される平角導線より形成された第1同芯巻コイル41を表している。また、
図4(c)では、スロット21に対する永久磁石11の位置関係が示されている。また、
図4(c)のスロット21の番号は、スロット番号を表している。
【0024】
なお、コイル中心(C11、C12)とは、
図4に示すように、同芯巻コイル30において、所定のスロット21に収容される第1スロット収容部30aと、所定のスロット21とは異なるスロット21に収容される第2スロット収容部30bとの周方向の中央を通る軸方向に沿った線分を意味する。本実施形態では、同芯巻コイル30が略六角形形状を有するので、第1コイルエンド部30cおよび第2コイルエンド部30dの屈曲部がコイル中心となっているが、これに限るものではなく、あくまでも、所定のスロット21に収容される第1スロット収容部30aと、所定のスロット21とは異なるスロット21に収容される第2スロット収容部30bとの周方向の中央を通る軸方向に沿った線分を意味する。
【0025】
ここで、本実施形態では、
図4に示すように、第1同芯巻コイル41は、コイル中心C11が、第1磁極71の中心A1に対して、周方向の一方側(X1方向側)に位置する一方側同芯巻コイル41aと、第3磁極73の中心A3に対して、周方向の他方側(X2方向側)に位置する他方側同芯巻コイル41bとを有する。以下、具体的に説明する。なお、以下では、第1同芯巻コイル41の代表的な部分(1つの一方側同芯巻コイル41a、後述する1つの第1接続部41c、1つの他方側同芯巻コイル41b、および、後述する1つの第2接続部41d)について説明するが、他の部分も同様に構成されている。
【0026】
磁極の中心について説明する。まず、
図5に示すように、異なる同芯巻コイル30からなる複数の相(たとえば、3相であれば、U相、V相およびW相からなる3つの相)のうちの、同じ相の同芯巻コイルが隣り合うスロット21に収容される第1スロット収容部30aをそれぞれ有するとともに、周方向に所定の間隔を隔てた隣り合うスロット21にそれぞれ収容される第2スロット収容部30bを有し、第1スロット収容部30aおよび第2スロット収容部30bが同じ導線で連続して巻回される、周方向に隣り合う同じ相の同芯巻コイル30である、第1同芯巻コイル301およびの第2同芯巻コイル302がある。そして、磁極の中心(A1)とは、周方向に隣り合う同じ相の同芯巻コイル301およびの第2同芯巻コイル302のそれぞれのコイル中心の周方向の中央を通る軸方向に沿った線分を意味する。また、
図4に示すように、磁極の中心(A2)とは、第1同芯巻コイル301が、さらに周方向に離間したスロット21に収容される同じ相の第1同芯巻コイル303と第1接続部41cを介して接続され、第1接続部41cを含めた同芯巻コイルの中心同士の周方向の中央を通る軸方向に沿った線分を意味する。
【0027】
一方側同芯巻コイル41aは、スロット番号24のスロット21と、スロット番号18のスロット21とに配置されている。すなわち、一方側同芯巻コイル41aが配置されるスロット21のピッチは、6である。他方側同芯巻コイル41bは、スロット番号13のスロット21と、スロット番号7のスロット21とに配置されている。すなわち、他方側同芯巻コイル41bが配置されるスロット21のピッチは、6である。
【0028】
また、本実施形態では、一方側同芯巻コイル41aのコイル中心C11は、隣接する3つの第1磁極71、第2磁極72および第3磁極73のうち、第1磁極71の中心A1の一方側(X1方向側)に位置する。すなわち、第1磁極71の中心A1(スロット番号22とスロット番号21との間の位置)からX1方向側に略1/2スロット分ずれたスロット番号21のスロット21に位置する。
【0029】
また、他方側同芯巻コイル41bのコイル中心C12は、第3磁極73の中心A3の他方側(X2方向側)に位置する。すなわち、第3磁極73の中心A3(スロット番号10とスロット番号9との間の位置)からX2方向側に略1/2スロット分ずれたスロット番号10のスロット21に位置する。
【0030】
また、一方側同芯巻コイル41aと他方側同芯巻コイル41bとを接続する第1接続部41cが設けられている。そして、第1接続部41cは、スロット番号18のスロット21と、スロット番号13のスロット21とに跨るように配置されている。すなわち、第1接続部41cが配置されるスロット21のピッチは、5である。そして、一方側同芯巻コイル41aと他方側同芯巻コイル41bとを接続する第1接続部41cの接続中心C2は、第2磁極72の中心A2(スロット番号16とスロット番号15との間の位置)に位置する。
【0031】
そして、本実施形態では、一方側同芯巻コイル41a、第1接続部41c、および、他方側同芯巻コイル41bの組41eは、周方向に沿って複数組(4組)配置されている。また、第1同芯巻コイル41は、隣接する組41eのうちの一方の組41eの他方側同芯巻コイル41bと、他方の組41eの一方側同芯巻コイル41aとを接続する第2接続部41dを含む。第2接続部41dは、第1接続部41cの長さと異なる長さを有する。具体的には、第2接続部41dは、スロット番号31のスロット21と、スロット番号24のスロット21とに跨るように配置されている。すなわち、第2接続部41dが配置されるスロット21のピッチは、7である。つまり、第2接続部41dの長さ(ピッチ7)は、第1接続部41cの長さ(ピッチ5)よりも長い。また、第2接続部41dの接続中心C3は、第4磁極74の中心A4(スロット番号28とスロット番号27との間の位置)に位置する。
【0032】
そして、第1同芯巻コイル41では、第1同芯巻コイル41の全領域に渡って、一方側同芯巻コイル41a、第1接続部41c、他方側同芯巻コイル41b、第2接続部41dが、この順で配置されるように構成されている。
【0033】
〈第2〜第4同芯巻コイルの構造〉
第2同芯巻コイル42、第3同芯巻コイル43、および、第4同芯巻コイル44は、それぞれ、第1同芯巻コイル41と同様の構成を有する。すなわち、
図5に示すように、第2同芯巻コイル42(
図5の破線で示されたコイル)は、一方側同芯巻コイル42aと、他方側同芯巻コイル42bと、第1接続部42cと、第2接続部42dとを含む。また、第3同芯巻コイル43(
図5の一点鎖線で示されたコイル)は、一方側同芯巻コイル43aと、他方側同芯巻コイル43bと、第1接続部43cと、第2接続部43dとを含む。また、第4同芯巻コイル44(
図5の点線で示されたコイル)は、一方側同芯巻コイル44aと、他方側同芯巻コイル44bと、第1接続部44cと、第2接続部44dとを含む。
【0034】
以下、
図6を参照して、第2同芯巻コイル42、第3同芯巻コイル43、および、第4同芯巻コイル44の代表的な部分について具体的に説明する。なお、
図6(c)では、第1同芯巻コイル41〜第4同芯巻コイル44の配置状態を模式的に示している。また、複数のスロット21に跨るように配置される一方側同芯巻コイルおよび他方側同芯巻コイルを「長円」で表し、第1接続部および第2接続部を「直線」で表している。
【0035】
図6に示すように、第2同芯巻コイル42の一方側同芯巻コイル42aは、スロット番号36のスロット21と、スロット番号30のスロット21(6ピッチ)とに配置されている。他方側同芯巻コイル42bは、スロット番号25のスロット21と、スロット番号19のスロット21(6ピッチ)とに配置されている。第1接続部42cは、スロット番号30のスロット21と、スロット番号25のスロット21(5ピッチ)とに跨るように配置されている。第3接続部42dは、スロット番号19のスロット21と、スロット番号12のスロット21(7ピッチ)とに跨るように配置されている。
【0036】
また、第3同芯巻コイル43の一方側同芯巻コイル43aは、スロット番号18のスロット21と、スロット番号12のスロット21(6ピッチ)とに配置されている。他方側同芯巻コイル43bは、スロット番号31のスロット21と、スロット番号25のスロット21(6ピッチ)とに配置されている。第1接続部43cは、スロット番号36のスロット21と、スロット番号31のスロット21(5ピッチ)とに跨るように配置されている。第2接続部43dは、スロット番号25のスロット21と、スロット番号18のスロット21(7ピッチ)とに跨るように配置されている。
【0037】
また、第4同芯巻コイル44の一方側同芯巻コイル44aは、スロット番号30のスロット21と、スロット番号24のスロット21(6ピッチ)とに配置されている。他方側同芯巻コイル44bは、スロット番号19のスロット21と、スロット番号13のスロット21(6ピッチ)とに配置されている。第1接続部44cは、スロット番号24のスロット21と、スロット番号19のスロット21(5ピッチ)とに跨るように配置されている。第2接続部44dは、スロット番号37のスロット21と、スロット番号30のスロット21(7ピッチ)とに跨るように配置されている。
【0038】
このように、回転電機100では、1つのスロット21に、第1同芯巻コイル41、第2同芯巻コイル42、第3同芯巻コイル43、および、第4同芯巻コイル44のうちの2つの同芯巻コイルが混在している。
【0039】
そして、本実施形態では、同芯巻コイル40は、第1同芯巻コイル41の他方側同芯巻コイル41b、第2同芯巻コイル42の一方側同芯巻コイル42a、第3同芯巻コイル43の他方側同芯巻コイル43b、および、第4同芯巻コイル44の一方側同芯巻コイル44aがこの順でスロット21に配置される第1グループ45aを含む。また、同芯巻コイル40は、第2同芯巻コイル42の他方側同芯巻コイル42b、第1同芯巻コイル41の一方側同芯巻コイル41a、第4同芯巻コイル44の他方側同芯巻コイル44b、および、第3同芯巻コイル43の一方側同芯巻コイル43aがこの順でスロット21に配置される第2グループ45bを含む。そして、第1グループ45aと、第2グループ45bとが、周方向(X方向)に沿って交互にスロット21に配置されている。
【0040】
また、
図3に示すように、第1同芯巻コイル41、第2同芯巻コイル42、第3同芯巻コイル43、および、第4同芯巻コイル44には、動力線46が接続されている。また、第1同芯巻コイル41と第2同芯巻コイル42とが、中性線47aに接続されている。また、第3同芯巻コイル43と第4同芯巻コイル44とが、中性線47bに接続されている。具体的には、複数の第1同芯巻コイル41のうち、一方の端部に設けられる第1同芯巻コイル41に接続される第1接続部41c(または、第2接続部41d)に相当する部分が動力線46に接続されている。また、複数の第1同芯巻コイル41のうち、他方の端部に設けられる第1同芯巻コイル41に接続される第1接続部41c(または、第2接続部41d)に相当する部分が中性線47a(47b)に接続されている。なお、第2同芯巻コイル42、第3同芯巻コイル43、および、第4同芯巻コイル44についても同様である。
【0041】
(V相およびW相の同芯巻コイルの構造)
また、V相の同芯巻コイル50、および、W相の同芯巻コイル60は、U相の同芯巻コイル40と同様の構成を有する。すなわち、本実施形態では、V相の同芯巻コイル50の第1同芯巻コイル51、第2同芯巻コイル52、第3同芯巻コイル53、および、第4同芯巻コイル54は、それぞれ、コイル中心が、磁極70の中心に対して、周方向の一方側に位置する一方側同芯巻コイルと、周方向の他方側に位置する他方側同芯巻コイルとを有する。また、W相の同芯巻コイル60の第1同芯巻コイル61、第2同芯巻コイル62、第3同芯巻コイル63、および、第4同芯巻コイル64は、それぞれ、コイル中心が、磁極70の中心に対して、周方向の一方側に位置する一方側同芯巻コイルと、周方向の他方側に位置する他方側同芯巻コイルとを有する。
【0042】
[本実施形態の効果]
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。なお、以下では、U相の同芯巻コイル40についての効果を記載しているが、V相の同芯巻コイル50、および、W相の同芯巻コイル60についても同様の効果を奏する。
【0043】
本実施形態では、上記のように、第1同芯巻コイル41、第2同芯巻コイル42、第3同芯巻コイル43および第4同芯巻コイル44は、それぞれ、コイル中心C11およびC12が、磁極70の中心(第1磁極71の中心A1および第3磁極73の中心A3)に対して、周方向の一方側に位置する一方側同芯巻コイル41a(42a、43a、44a)と、周方向の他方側に位置する他方側同芯巻コイル41b(42b、43b、44b)とを有する。これにより、同芯巻コイル40が、磁極70の中心に対して周方向の一方側のみ、または、他方側のみに偏ることが防止されるので、永久磁石11と同芯巻コイル40との位置関係の不均等を解消することができる。その結果、平角導線が同芯巻きされた同芯巻コイル40を備える回転電機100において、同芯巻コイル40内での循環電流に起因するノイズや振動の発生を低減することができる。また、同芯巻コイル40内での循環電流に起因する回転電機100のトルクへの悪影響を低減することができる。
【0044】
以下では、第1同芯巻コイル41の効果について説明するが、第2同芯巻コイル42、第3同芯巻コイル43および第4同芯巻コイル44も同様の効果を奏する。
【0045】
本実施形態では、上記のように、一方側同芯巻コイル41aと他方側同芯巻コイル41bとを接続する第1接続部41cを設けて、一方側同芯巻コイル41aのコイル中心C11は、隣接する3つの第1磁極71、第2磁極72および第3磁極73のうち、第1磁極71の中心A1の一方側に位置し、他方側同芯巻コイル41bのコイル中心C12は、第3磁極73の中心A3の他方側に位置し、第1接続部41cの接続中心C2は、第2磁極72の中心A2上に位置する。これにより、一方側同芯巻コイル41a、第1接続部41c、および、他方側同芯巻コイル41bを1つの組41eとした場合、1つの組41eの中心は、第2磁極72の中心A2上に位置するので、永久磁石11と1つの組41eとの位置関係とのバランスを保持することができる。
【0046】
また、本実施形態では、上記のように、一方側同芯巻コイル41a、第1接続部41c、および、他方側同芯巻コイル41bの組41eを、周方向に沿って複数組(4組)配置する。これにより周方向の全周にわたって、永久磁石11と同芯巻コイル40との位置関係の不均等を解消することができる。
【0047】
また、本実施形態では、上記のように、隣接する組41eのうちの一方の組41eの他方側同芯巻コイル41bと、他方の組41eの一方側同芯巻コイル41aとを接続し、第1接続部41cの長さと異なる長さを有する第2接続部41dを設ける。これにより、第1接続部41cの長さと第2接続部41dの長さとを平均した場合、平均した長さは、コイル中心を磁極70の中心に対してずらさない場合における接続部の長さと同じになる。すなわち、コイル中心C11およびC12を磁極70の中心に対して周方向の一方側と他方側とにずらした場合でも、接続部の全体の長さを変化させないように構成することができる。
【0048】
また、本実施形態では、上記のように、同芯巻コイル40は、第1同芯巻コイル41の他方側同芯巻コイル41b、第2同芯巻コイル42の一方側同芯巻コイル42a、第3同芯巻コイル43の他方側同芯巻コイル43b、および、第4同芯巻コイル44の一方側同芯巻コイル44aがこの順でスロット21に配置される第1グループ45aを含む。また、同芯巻コイル40は、第2同芯巻コイル42の他方側同芯巻コイル42b、第1同芯巻コイル41の一方側同芯巻コイル41a、第4同芯巻コイル44の他方側同芯巻コイル44b、および、第3同芯巻コイル43の一方側同芯巻コイル43aがこの順でスロット21に配置される第2グループ45bを含む。そして、第1グループ45aと、第2グループ45bとを、周方向に沿って交互にスロット21に配置する。これにより、永久磁石11と同芯巻コイル40との位置関係の不均等を、周方向に沿って(全周において)、解消することができる。
【0049】
また、本実施形態では、上記のように、永久磁石11を、ロータコア10の周方向に沿って略等角度間隔に複数設ける。これにより、永久磁石11と同芯巻コイル40との位置関係が、永久磁石11毎に異なるのが防止されるので、第1同芯巻コイル41を一方側同芯巻コイル41aと他方側同芯巻コイル41bとを有するように構成することによって、複数の永久磁石11の各々と同芯巻コイル40との位置関係の不均等を、解消することができる。
【0050】
以下では、3相の同芯巻コイル40、50および60の効果について説明する。
【0051】
本実施形態では、上記のように、同芯巻コイル30は、3相の同芯巻コイル40、50および60を含み、3相の同芯巻コイル40、50および60のそれぞれが、互いに並列に接続された同相の第1同芯巻コイル41、51および61、第2同芯巻コイル42、52および62、第3同芯巻コイル43、53および63、および、第4同芯巻コイル44、54および64を含む。そして、3相の同芯巻コイル40、50および60の各々の第1同芯巻コイル41、51および61、第2同芯巻コイル42、52および62、第3同芯巻コイル43、53および63、および、第4同芯巻コイル44、54および64は、それぞれ、コイル中心が、磁極70の中心に対して、周方向の一方側に位置する一方側同芯巻コイルと、周方向の他方側に位置する他方側同芯巻コイルとを有する。これにより、3相の同芯巻コイル40、50および60の全てにおいて、永久磁石11と同芯巻コイル40、50および60との位置関係の不均等を解消することができる。
【0052】
また、本実施形態では、上記のように、同芯巻コイル30は、3相の同芯巻コイル40、50および60を含み、3相の同芯巻コイル40、50および60をY結線する。これにより、Y結線された3相の同芯巻コイル40、50および60において、永久磁石11と同芯巻コイル40、50および60との位置関係の不均等を解消することができる。
【0053】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0054】
たとえば、上記実施形態では、一方側同芯巻コイルおよび他方同芯巻コイルが、それぞれ、磁極の中心の一方側および他方側に略1/2スロット分ずれた位置に位置する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、一方側同芯巻コイルおよび他方同芯巻コイルが、それぞれ、磁極の中心の一方側および他方側に略1/2スロット分以外の距離分、ずれた位置に位置してもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、ステータコアに96個のスロットが設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、スロットの数は、96個以外でもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、一方側同芯巻コイルのピッチおよび他方側同芯巻コイルのピッチが6である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、一方側同芯巻コイルのピッチおよび他方側同芯巻コイルのピッチは、6以外でもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、第1接続部のピッチが5であり、第2接続部のピッチが7である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1接続部のピッチが5以外のピッチであり、第2接続部のピッチが7以外のピッチでもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、同芯巻コイルは、3相の同芯巻コイルを含む例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、同芯巻コイルが3相以外の相の同芯巻コイルを含んでいてもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、3相の同芯巻コイルがY結線されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、3相の同芯巻コイルがΔ結線されていてもよい。