(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の非接触電力供給手段は、アンペールの法則に基づく磁界の相互誘導を用いて電力伝送を行うため「電磁誘導方式」と呼ばれ、電力伝送効率が低いという問題がある。
それゆえ、送受信する電磁波のエネルギー損失を減らすために送信手段と受信手段との間隔をできるだけ小さくする必要があり、特許文献1には、送信手段と受信手段とを5〜10mmの間隔に配置することが記載されている。
また、エネルギー変換手段の寸法が大きくなるため、エネルギー変換手段が内蔵される風向調整ツマミが大型化し、意匠性が阻害されるという問題がある。
さらに、非接触電力供給手段の構成が複雑であるため、製造コストが高いという問題がある。
【0008】
特許文献2の技術は、特許文献1の「電磁誘導方式」に比べて、電力伝送効率が高いため、送電コイルと受電コイルとを数十cmの間隔で配置することが可能である。
また、特許文献2の技術では、特許文献1のエネルギー変換手段に比べて、受電装置をコンパクト化することが可能である。
さらに、特許文献2の技術では、特許文献1の非接触電力供給手段に比べて、製造コストを低くすることが可能である。
【0009】
本発明は前記問題を解決するためになされたものであって、その目的は、操作部に備えた発光部材に対して、高い電力伝送効率により非接触状態で電力を供給することが可能で、コンパクトかつ低コストな車両用空調装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、下記のように本発明の各局面に想到した。
【0011】
<第1の局面>
第1の局面は、
空調空気を車室内に吹き出す吹出口と、
吹出口に配設されて空調空気の風向きを調整するためのグリルと、
1個または複数個の操作部にそれぞれ配設された発光部材と、
発光部材に対して非接触状態で電力を供給する非接触電力供給手段と
を備えた車両用空調装置であって、
非接触電力供給手段は、
発光部材に直列接続された受電コイルおよびコンデンサを有する共振回路を備えた受電回路と、
直列接続された送電コイルおよびコンデンサを有する共振回路を備え、車載バッテリの直流電圧をスイッチング制御して送電コイルに交流電圧を印加する送電回路と、
受電コイルと送電コイルとを有する電磁界結合回路とを備え、
電磁界結合回路は、受電コイルと送電コイルの間で、相互インダクタンスを介した磁界結合と、相互キャパシタンスを介した電界結合とが混合した電磁界共鳴回路を構成し、
電磁界結合回路の漏れインダクタンスにより、各共振回路が共鳴し、電磁界結合回路の1次側である送電コイルから、電磁界結合回路の2次側である受電コイルへ電力が伝送される。
【0012】
第1の局面の非接触電力供給手段は、相互インダクタンスを介した磁界結合と相互キャパシタンスを介した電界結合とが混合した電磁界共鳴を用いて電力伝送を行うため、特許文献1の「電磁誘導方式」に比べて、電力伝送効率を高くすることが可能であり、送電コイルと受電コイルとを数十cmの間隔で配置することができる。
よって、第1の局面では、送電コイルを受電コイルに近接配置する必要が無くなり、送電コイルの配設箇所の制約が小さくなるため、送電コイルの配設箇所の制約により車両用空調装置の意匠性が阻害されるのを防止できる。
【0013】
また、第1の局面では、特許文献1のエネルギー変換手段に比べて、受電回路をコンパクト化することが可能であり、受電回路の配設箇所の制約が小さくなるため、受電回路の配設箇所の制約により車両用空調装置の意匠性が阻害されるのを防止できる。
さらに、第1の局面では、特許文献1に比べて、非接触電力供給手段の構成が単純であるため、製造コストを低くすることができる。
従って、第1の局面によれば、操作部に備えた発光部材に対して、高い電力伝送効率により非接触状態で電力を供給することが可能で、コンパクトかつ低コストな車両用空調装置を提供できる。
【0014】
<第2の局面>
第2の局面は、第1の局面において、
非接触電力供給手段は、直列接続された中継コイルおよびコンデンサを有する共振回路を備えた中継回路を更に含み、
電磁界結合回路は、受電コイルおよび送電コイルに加えて、中継コイルを有し、
電磁界結合回路は、受電コイルと中継コイルの間と、中継コイルと送電コイルの間とで、相互インダクタンスを介した磁界結合と、相互キャパシタンスを介した電界結合とが混合した電磁界共鳴回路を構成し、
電磁界結合回路の漏れインダクタンスにより、各共振回路が共鳴し、電磁界結合回路の1次側である送電コイルから、中継コイルを介して、電磁界結合回路の2次側である受電コイルへ電力が伝送される。
【0015】
第2の局面では、送電コイルと受電コイルの距離が大きい場合でも、送電コイルと受電コイルの間の適宜な箇所に中継コイルを配設することにより、磁界結合および電界結合が良好に得られるようになるため、電力伝送効率を高めることができる。
【0016】
<第3の局面>
第3の局面は、第1の局面または第2の局面において、操作部は空調空気の風向きを調整するための風向調整操作部である。
第3の局面では、風向調整操作部に配設された発光部材の発光を視認することにより、風向調整操作部の配設箇所を夜間でも確実に認識することができる。
【0017】
<第4の局面>
第4の局面は、第3の局面において、グリルは格子状に配設された複数枚のフィンを備え、風向調整操作部は複数枚のフィンの内の少なくとも1個のフィンに配設され、発光部材は風向調整操作部の前面に配設される。
【0018】
第4の局面では、フィンの傾斜角度を調整することにより、空調空気の風向きをフィンの傾斜角度の方向にすることが可能であり、空調空気の風向きを確実に調整できる。
また、第4の局面では、風向調整操作部がフィンに配設されるため、意匠性を高めることができる。
そして、第4の局面では、発光部材は風向調整操作部の前面に配設されるため、発光部材の発光を視認し易い。
【0019】
<第5の局面>
第5の局面は、第1〜第4の局面において、操作部は空調空気の風量を調整するための風量調整操作部である。
第5の局面では、風量調整操作部に配設された発光部材の発光を視認することにより、風量調整操作部の配設箇所を夜間でも確実に認識することができる。
【0020】
<第6の局面>
第6の局面は、第1〜第5の局面において、受電回路は操作部に配設されている。
第6の局面では、受電回路を操作部に配設することにより、車両用空調装置をコンパクトにまとめることができる。
【0021】
<第7の局面>
第7の局面は、第1〜第6の局面において、吹出口はインストルメントパネルに配設され、送電コイルはインストルメントパネルの外周縁に沿って配設される。
第7の局面では、送電コイルがインストルメントパネルの外周縁に沿って配設されるため、インストルメントパネルのどの箇所に受電コイルを配設した場合でも、受電コイルと送電コイルの間における磁界結合および電界結合が良好に得られることから、電力伝送効率を高めることができる。
【0022】
<第8の局面>
第8の局面は、第1〜第6の局面において、吹出口はインストルメントパネルに配設され、送電コイルはインストルメントパネルの内部に配設される。
第8の局面では、前記磁界結合および前記電界結合が良好に得られるように、受電コイルの配設箇所に合わせて送電コイルの配設箇所を適宜設定すればよい。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を具体化した各実施形態について図面を参照しながら説明する。尚、各実施形態において、同一の構成部材および構成要素については符号を等しくすると共に、同一内容の箇所については重複説明を省略する。
また、各図面では、説明を分かり易くするために、各実施形態の構成部材の寸法形状および配置箇所を誇張して模式的に図示してあり、各構成部材の寸法形状および配置箇所が実物とは必ずしも一致しないことがある。
【0025】
<第1実施形態>
図1〜
図3に示すように、第1実施形態の車両用空調装置(レジスタ)10は、空調装置本体部20a〜20c(ケース21、吹出口22、グリル23、フィン24a〜24e、風向調整操作部25、風量調整操作部26、LED27,28)、非接触電力供給手段40(受電回路41,42、送電回路43、受電コイル44,45、送電コイル46、コンデンサ47〜49、共振回路50〜52、電磁界結合回路53、制御回路54、車載バッテリ55)を備え、自動車のインストルメントパネル60に配設されている。
尚、
図2(A)と
図2(B)の縮尺は同一であるが、
図2(C)は
図2(A)(B)の縮尺よりも大きく図示してある。
【0026】
図1および
図2に示すように、同一構成の3個の空調装置本体部20a〜20cは、インストルメントパネル60の前面において水平方向に間隔を空けて配設されている。
各空調装置本体部20a〜20cの配設箇所は、運転席および助手席の乗員の上半身に向けて空調空気を車室内に吹き出すのに好適な箇所に設定されている。
図2に示すように、空調装置本体部20a〜20cは、ケース21、吹出口22、グリル23、フィン24a〜24e、風向調整操作部25、風量調整操作部26、LED(Light Emitting Diode)27,28などを備える。
【0027】
合成樹脂製のケース21の前面側(車室内側)には、空調空気を車室内に吹き出す略矩形状の吹出口22が開口している。すなわち、吹出口22はインストルメントパネル60に配設されている。
吹出口22には、空調空気の風向きを調整するためのグリル23が配設されている。
【0028】
グリル23は、複数個(図示例では5個)のフィン(横桟、羽板)24a〜24eを備えた横格子のルーバー状である。
合成樹脂製の各フィン24a〜24eは略矩形平板状であり、各フィン24a〜24eの長手方向は横方向(
図1に示すインストルメントパネル60の横方向(車幅方向))に延出されている。
各フィン24a〜24eは上下方向に所定距離離間して配設され、各フィン24a〜24e間の隙間部分によりグリル23の開口部が形成されている。
【0029】
合成樹脂製の風向調整操作部25は略直方体状であり、各フィン24a〜24eの内の少なくとも1個のフィン(図示例ではフィン24c)の横方向略中央部に配設されている。
各フィン24a〜24eはリンク機構(図示略)を介して連結されており、風向調整操作部25をユーザーが摘んで手動操作し、各フィン24a〜24eの上下方向に対する傾斜角度を任意調整することにより、空調空気の上下方向の風向きを調整することができる。
LED27は風向調整操作部25の前面に配設されている。
【0030】
ケース21の前面側における吹出口22の右側には、吹出口22から吹き出される空調空気の風量を調整するための風量調整操作部26が配設されている。
合成樹脂製の風量調整操作部26は、ケース21に内蔵されている送風ファン(図示略)の回転数を調整するためのスライドスイッチにより構成されている。
風量調整操作部26をユーザーが摘んで手動操作すると、風量調整操作部26の上下方向の位置に応じて送風ファンの回転数が変化し、そのファンの回転数に応じた風量の空調空気を吹出口22から吹き出すことができる。
LED28は風量調整操作部26の前面に配設されている。
【0031】
図1〜
図3に示すように、非接触電力供給手段40は、受電回路(受電装置)41,42、送電回路(送電装置)43、受電コイル44,45、送電コイル46、コンデンサ(キャパシタ)47〜49、共振回路50〜52、電磁界結合回路53、制御回路54、車載バッテリ55などを備える。
【0032】
図2および
図3に示すように、受電回路41は、LED27に直列接続された受電コイル44およびコンデンサ47を有する共振回路50を備え、各空調装置本体部20a〜20cの風向調整操作部25に内蔵されている。
受電回路42は、LED28に直列接続された受電コイル45およびコンデンサ48を有する共振回路51を備え、各空調装置本体部20a〜20cの風量調整操作部26に内蔵されている。
受電回路41,42はそれぞれ、1枚のプリント配線基板(図示略)に搭載されている。
受電コイル44,45はそれぞれ、プリント配線基板の配線パターンによって形成されたワンターン(一回巻)の薄膜コイルであり、略水平に配置されている。
【0033】
図1および
図3に示すように、送電回路43は、直列接続された送電コイル46およびコンデンサ49を有する共振回路52と、車載バッテリ55の直流電圧をスイッチング制御する制御回路54とを備え、車載バッテリ55の直流電圧をスイッチング制御して送電コイル46に交流電圧を印加する。
【0034】
送電コイル46は、インストルメントパネル60の表面の外周縁に沿って配設された金属製装飾材またはメッキ装飾材を流用したワンターンコイルである。
尚、送電コイル46をフレキシブル・プリント配線基板の配線パターンによって形成されたワンターンの薄膜コイルとし、そのフレキシブル・プリント配線基板をインストルメントパネル60に内蔵するか又はインストルメントパネル60の裏面に配設することにより、送電コイル46がインストルメントパネル60の外周縁に沿って配設されるようにしてもよい。
また、送電コイル46を配線ケーブルによって形成されたワンターンのコイルとし、その配線ケーブルをインストルメントパネル60に内蔵するか又はインストルメントパネル60の裏面に配設することにより、送電コイル46がインストルメントパネル60の外周縁に沿って配設されるようにしてもよい。
【0035】
図3に示すように、電磁界結合回路53は、受電コイル44,45と送電コイル46とを有し、受電コイル44,45と送電コイル46の間で、相互インダクタンスを介した磁界結合と、相互キャパシタンスを介した電界結合とが混合した電磁界共鳴回路を構成する。
【0036】
そして、電磁界結合回路53の漏れインダクタンスにより、各共振回路50〜52が共鳴し、電磁界結合回路53の1次側である送電コイル46から、電磁界結合回路53の2次側である各受電コイル44,45へ電力が伝送される。
すると、各受電回路41,42において、各受電コイル44,45に直列接続されたLED27,28に対して、非接触状態で電力が供給され、各LED27,28が発光する。
尚、非接触電力供給手段40の詳細な動作については、特許文献2に記載されているため説明を省略する。
【0037】
ここで、送電コイル46はインストルメントパネル60の表面または裏面の外周縁に沿って配設され、各空調装置本体部20a〜20cはインストルメントパネル60に配設されている。
よって、各空調装置本体部20a〜20cの受電コイル44,45は送電コイル46に囲繞された状態になるため、受電コイル44,45と送電コイル46の間における磁界結合および電界結合が良好に得られることから、電力伝送効率を高めることができる。
【0038】
ところで、送電回路43の制御回路54は、予め設定されている適宜な状況(例えば、イグニッションスイッチのオン操作時、自動車の前照灯や室内灯を点灯させたとき、車両用空調装置10の送風ファン(図示略)を作動させたとき、車室内に設けられた明暗センサ(図示略)により車室内が暗いと判断されたとき等)にて前記動作を行い、個々の車両用空調装置10の各LED27,28を発光させる。
【0039】
[第1実施形態の作用・効果]
第1実施形態によれば、以下の作用・効果を得ることができる。
【0040】
[1−1]第1実施形態の非接触電力供給手段40は、相互インダクタンスを介した磁界結合と相互キャパシタンスを介した電界結合とが混合した電磁界共鳴を用いて電力伝送を行うため、特許文献1の「電磁誘導方式」に比べて、電力伝送効率を高くすることが可能であり、送電コイル46を受電コイル44,45に近接配置する必要が無くなり、送電コイル46と受電コイル44,45とを数十cmの間隔で配置することができる。
【0041】
また、第1実施形態では、特許文献1のエネルギー変換手段に比べて、受電回路41,42をコンパクト化することが可能であり、受電回路41,42の配設箇所の制約が小さくなるため、受電回路41,42の配設箇所の制約により車両用空調装置10の意匠性が阻害されるのを防止できる。
すなわち、受電回路41,42が内蔵される風向調整操作部25および風量調整操作部26を小型化可能であるため、風向調整操作部25および風量調整操作部26の意匠性が阻害されることがない。
さらに、第1実施形態では、特許文献1に比べて、非接触電力供給手段40の構成が単純であるため、製造コストを低くすることができる。
【0042】
従って、第1実施形態によれば、風向調整操作部25および風量調整操作部26に備えた各LED27,28(発光部材)に対して、高い電力伝送効率により非接触状態で電力を供給することが可能で、コンパクトかつ低コストな車両用空調装置10を提供できる。
【0043】
[1−2]LED27が風向調整操作部25の前面に配設されているため、車室内の乗員はLED27の発光を視認することにより、風向調整操作部25の配設箇所を夜間でも確実に認識することができる。
【0044】
[1−3]グリル23のフィン24a〜24eの傾斜角度を調整することにより、空調空気の風向きをフィン24a〜24eの傾斜角度の方向にすることが可能であり、空調空気の風向きを確実に調整できる。
また、風向調整操作部25がフィン24cに配設されるため、意匠性を高めることができる。
【0045】
[1−4]LED28が風量調整操作部26の前面に配設されているため、車室内の乗員はLED28の発光を視認することにより、風量調整操作部26の配設箇所と、風量調整操作部26の上下方向の位置に対応した空調空気の風量とを、夜間でも確実に認識することができる。
【0046】
[1−5]受電回路41は風向調整操作部25に内蔵され、受電回路42は風量調整操作部26に内蔵されているため、車両用空調装置10をコンパクトにまとめることができる。
【0047】
[1−6]第1実施形態の非接触電力供給手段40では、送電コイル46を受電コイル44,45に近接配置する必要が無くなり、送電コイル46の配設箇所の制約が小さくなるため、送電コイル46の配設箇所の制約により車両用空調装置10の意匠性が阻害されるのを防止できる。
【0048】
そこで、第1実施形態では、送電コイル46をインストルメントパネル60の外周縁に沿って配設しているため、インストルメントパネル60のどの箇所に空調装置本体部20a〜20c(受電コイル44,45)を配設した場合でも、受電コイル44,45と送電コイル46の間における磁界結合および電界結合が良好に得られることから、電力伝送効率を高めることができる。
【0049】
特に、インストルメントパネル60の外周縁に沿って配設された金属製装飾材(モール材)またはメッキ装飾材を、送電コイル46として流用した場合には、送電コイル46の製造コストを削減することが可能になるため、更なる低コスト化を図ることができる。
【0050】
<第2実施形態>
図1,
図4,
図5に示すように、第2実施形態の車両用空調装置100は、空調装置本体部20a〜20c(ケース21、吹出口22、グリル23、フィン24a〜24e、風向調整操作部25、風量調整操作部26、LED27)、非接触電力供給手段110(受電回路41、送電回路43、中継回路111、受電コイル44、送電コイル46、中継コイル112、コンデンサ47,49,113、共振回路50,52,114、電磁界結合回路115、制御回路54、車載バッテリ55)を備え、自動車のインストルメントパネル60に配設されている。
【0051】
第2実施形態の車両用空調装置100において、第1実施形態の車両用空調装置10と異なるのは以下の点である。
【0052】
[2−1]風量調整操作部26のLED28および受電回路42(受電コイル45、コンデンサ48、共振回路51)が省かれている。
【0053】
[2−2]
図1,
図4,
図5に示すように、非接触電力供給手段110は、受電回路41、送電回路43、中継回路111、受電コイル44、送電コイル46、中継コイル112、コンデンサ47,49,113、共振回路50,52,114、電磁界結合回路115、制御回路54、車載バッテリ55などを備える。
【0054】
[2−3]
図4および
図5に示すように、中継回路111は、直列接続された中継コイル112およびコンデンサ113を有する共振回路114を備え、各空調装置本体部20a〜20cの各フィン24a,24b,24d,24eの内の少なくとも1個のフィン(図示例ではフィン24d)に内蔵されている。
中継回路111は、1枚のプリント配線基板(図示略)に搭載されている。
中継コイル112は、プリント配線基板の配線パターンによって形成されたワンターンの薄膜コイルであり、フィン24dに沿って配置されている。
【0055】
[2−4]
図5に示すように、電磁界結合回路115は、受電コイル44および送電コイル46に加えて中継コイル112を有し、受電コイル44と中継コイル112の間と、中継コイル112と送電コイル46の間とで、相互インダクタンスを介した磁界結合と、相互キャパシタンスを介した電界結合とが混合した電磁界共鳴回路を構成する。
【0056】
そして、電磁界結合回路115の漏れインダクタンスにより、各共振回路50,52,114が共鳴し、電磁界結合回路115の1次側である送電コイル46から、中継コイル112を介して、電磁界結合回路115の2次側である受電コイル44へ電力が伝送される。
すると、受電回路41において、受電コイル44に直列接続されたLED27に対して、非接触状態で電力が供給され、LED27が発光する。
【0057】
ここで、送電コイル46はインストルメントパネル60の外周縁に沿って配設され、各空調装置本体部20a〜20cはインストルメントパネル60に配設され、受電コイル44は各空調装置本体部20a〜20cのフィン24cに配設された風向調整操作部25に内蔵され、中継コイル112は各空調装置本体部20a〜20cのフィン24dに内蔵されている
【0058】
よって、各空調装置本体部20a〜20cの受電コイル44および中継コイル112は送電コイル46に囲繞された状態になると共に、受電コイル44と中継コイル112は近接して平行に配置されているため、受電コイル44と中継コイル112と送電コイル46の間における磁界結合および電界結合が良好に得られることから、電力伝送効率を高めることができる。
【0059】
第2実施形態の車両用空調装置100によれば、第1実施形態と同様の作用・効果を得ることができる。
加えて、第2実施形態では、送電コイル46と受電コイル44の距離が大きい場合でも、送電コイル46と受電コイル44の間の適宜な箇所に中継コイル112を配設することにより、磁界結合および電界結合が良好に得られるようになるため、電力伝送効率を高めることができる。
【0060】
<第3実施形態>
図6に示すように、第3実施形態の車両用空調装置200は、空調装置本体部20a〜20cおよび非接触電力供給手段40を備え、自動車のインストルメントパネル60に配設されている。
第3実施形態の車両用空調装置200において、第1実施形態の車両用空調装置10と異なるのは、非接触電力供給手段40が2個の送電コイル211,212を備える点である。
【0061】
送電コイル211は、インストルメントパネル60に内蔵されたワンターンコイルであり、略垂直に配置され、空調装置本体部20aに近接して囲繞するように配設されている。
送電コイル212は、インストルメントパネル60に内蔵されたワンターンコイルであり、略垂直に配置され、各空調装置本体部20b,20cに近接して囲繞するように配設されている。
各送電コイル211,212は、非接触電力供給手段40の制御回路54(
図3参照)に対して並列に接続されている。
尚、各送電コイル211,212毎に個別の制御回路54を設けてもよい。
【0062】
第3実施形態の車両用空調装置200によれば、第1実施形態の前記[1−1]〜[1−5]と同様の作用・効果を得ることができる。
そして、第3実施形態では、送電コイル211が空調装置本体部20aに近接して囲繞するため、送電コイル211と空調装置本体部20aの受電コイル44,45との距離が近くなり、受電コイル44,45と送電コイル211の間における磁界結合および電界結合が更に良好に得られることから、空調装置本体部20aへの電力伝送効率を第1実施形態よりも高めることができる。
【0063】
また、第3実施形態では、送電コイル212が空調装置本体部20b,20cに近接して囲繞するため、送電コイル212と空調装置本体部20b,20cの受電コイル44,45との距離が近くなり、受電コイル44,45と送電コイル211の間における磁界結合および電界結合が更に良好に得られることから、空調装置本体部20b,20cへの電力伝送効率を第1実施形態よりも高めることができる。
【0064】
<第4実施形態>
図7に示すように、第4実施形態の車両用空調装置300は、空調装置本体部20a〜20cおよび非接触電力供給手段40を備え、自動車のインストルメントパネル60に配設されている。
第4実施形態の車両用空調装置300において、第3実施形態の車両用空調装置10と異なるのは、非接触電力供給手段40が3個の送電コイル211,213,214を備える点である。
【0065】
送電コイル213は、インストルメントパネル60に内蔵されたワンターンコイルであり、略垂直に配置され、空調装置本体部20bに近接して囲繞するように配設されている。
送電コイル214は、インストルメントパネル60に内蔵されたワンターンコイルであり、略垂直に配置され、空調装置本体部20cに近接して囲繞するように配設されている。
各送電コイル211,213,214は、非接触電力供給手段40の制御回路54(
図3参照)に対して並列に接続されている。
尚、各送電コイル211,213,214毎に個別の制御回路54を設けてもよい。
【0066】
第4実施形態では、各空調装置本体部20a〜20c毎に個別の送電コイル211,213,214を備え、各送電コイル211,213,214が各空調装置本体部20a〜20cに近接して囲繞するため、空調装置本体部20b,20cへの電力伝送効率を第3実施形態よりも更に高めることができる。
【0067】
<第5実施形態>
第5実施形態は、第3実施形態または第4実施形態における送電コイル211の配置を変更した変更例である。
図8(A)に示すように、第3実施形態または第4実施形態では、送電コイル211が略垂直に配置されると共に、送電コイル211が空調装置本体部20aのケース21を囲繞するように配設されている。
図2に示すように、空調装置本体部20aにおいて、受電コイル44は風向調整操作部25に内蔵されて略水平に配置され、受電コイル45は風量調整操作部26に内蔵されて略水平に配置されている。
すなわち、第3実施形態または第4実施形態では、送電コイル211が略垂直に配置され、空調装置本体部20aの各受電コイル44,45が略水平に配置されている。
【0068】
図8(B)に示すように、第5実施形態の第1変更例では、送電コイル211が略垂直に配置され、送電コイル211が空調装置本体部20aのケース21の右側方に隣接して配設されると共に、送電コイル211の巻回面と、空調装置本体部20aの各受電コイル44,45の巻回面とが直交するように配設されている。
【0069】
図8(C)に示すように、第5実施形態の第2変更例では、送電コイル211が略水平に配置され、送電コイル211が空調装置本体部20aのケース21の上方に隣接して配設されると共に、送電コイル211の巻回面と、空調装置本体部20aの各受電コイル44,45の巻回面とが平行に配設されている。
【0070】
図8(B)(C)に示す配置例においても、
図8(A)に示す配置例と同様に、空調装置本体部20aの受電コイル44,45と送電コイル211の間における磁界結合および電界結合が良好に得られ、空調装置本体部20aへの電力伝送効率を高めることができる。
【0071】
ここで、受電コイル44,45と送電コイル211の間における磁界結合および電界結合は、受電コイル44,45と送電コイル211の距離が小さいほど強い結合が得られ、受電コイル44,45の巻回面と送電コイル211の巻回面とが平行に近づくほど強い結合が得られる。
そして、前記磁界結合および前記電界結合が強くなるほど、電力伝送効率を高めることができる。
【0072】
従って、
図8(C)に示す配置例によれば、
図8(A)(B)に示す配置例よりも、受電コイル44,45と送電コイル211の間における磁界結合および電界結合を強くすることが可能であり、
図8に示す3つの配置例の中で最も高い電力伝送効率を得ることができる。
【0073】
ところで、受電コイル44,45と送電コイル211の配置関係には、
図9(A)〜
図9(C)に示す各配置例がある。
図9(A)に示す配置例では、
図8(C)に示す配置例と同じく、受電コイル44,45を送電コイル211が囲繞し、受電コイル44,45の全体が送電コイル211のループ内に位置している。
図9(B)に示す配置例では、受電コイル44,45の一部が送電コイル211のループ内に位置している。
図9(C)に示す配置例では、受電コイル44,45が送電コイル211のループ内に位置していない。
【0074】
受電コイル44,45と送電コイル211の間における磁界結合および電界結合の強さは、
図9(A)に示す配置例が最も大きくなり、
図9(C)に示す配置例が最も小さくなり、
図9(B)に示す配置例は
図9(A)(C)に示す配置例の中間になる。
従って、
図9(A)に示す配置例によれば、
図9に示す3つの配置例の中で最も高い電力伝送効率を得ることができる。
【0075】
<第6実施形態>
第6実施形態は、第1実施形態における受電コイル44,45の配置を変更した変更例である。
図10に示すように、第6実施形態の空調装置本体部20a〜20cでは、風向調整操作部25に内蔵された受電コイル44が略垂直に配置され、風量調整操作部26に内蔵された受電コイル45も略垂直に配置されている。
尚、
図10(A)と
図10(C)の縮尺は同一であるが、
図10(B)は
図10(A)(C)の縮尺よりも大きく図示してある。
【0076】
それに対して、
図2に示すように、第1実施形態の空調装置本体部20a〜20cでは、風向調整操作部25に内蔵された受電コイル44が略水平に配置され、風量調整操作部26に内蔵された受電コイル45も略水平に配置されている。
【0077】
第6実施形態においても、第1実施形態と同様に、インストルメントパネル60の外周縁に沿って配設された送電コイル46(
図1参照)と、受電コイル44,45の間における磁界結合および電界結合が良好に得られ、空調装置本体部20a〜20cへの電力伝送効率を高めることができる。
【0078】
ところで、第5実施形態と第6実施形態を組み合わせた場合、第5実施形態の第1変更例(
図8(B)参照)では送電コイル211が略垂直に配置されているため、送電コイル211の巻回面と受電コイル44,45の巻回面とが平行になることから、受電コイル44,45と送電コイル211の間における磁界結合および電界結合を強くすることが可能であり、第5実施形態よりも電力伝送効率を高めることができる。
すなわち、前記磁界結合および前記電界結合が良好に得られるように、受電コイル44,45および送電コイル46,211〜214のそれぞれの巻回面の向き及び配設箇所は適宜設定すればよい。
【0079】
<別の実施形態>
本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよく、その場合でも、前記各実施形態と同等もしくはそれ以上の作用・効果を得ることができる。
【0080】
[A]前記各実施形態の風量調整操作部26はスライドスイッチにより構成されているが、スライドスイッチに限らず、どのような形式のスイッチ(例えば、ダイヤルスイッチ、スティックスイッチなど)により構成してもよい。
【0081】
[B]LED27,28は、どのような発光部材(例えば、EL(Electro Luminescence)素子などの半導体発光素子、電球など)に置き換えてもよい。
【0082】
[C]前記各実施形態のグリル23は横格子のルーバー状であるが、縦格子のルーバー状にすることにより、空調空気の横方向の風向きを調整するようにしてもよい。
また、グリル23の内部に、縦格子のルーバー状のグリルを追加し、グリル23により空調空気の上下方向の風向きを調整することに加えて、縦格子のルーバー状のグリルにより、空調空気の横方向の風向きを調整するようにしてもよい。
【0083】
[D]前記各実施形態の受電コイル44,45および送電コイル46,211〜214はワンターンコイルであるため、コンパクト化することができる。
しかし、受電コイル44,45および送電コイル46,211〜214は、ワンターンコイルに限らず、複数回巻回したコイルに置き換えてもよい。
【0084】
[E]前記各実施形態を適宜組み合わせて実施してもよく、その場合には組み合わせた実施形態の作用・効果を合わせもたせたり、相乗効果を得ることができる。
【0085】
本発明は、前記各局面および前記各実施形態の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様も本発明に含まれる。本明細書の中で明示した公報などの内容は、その全ての内容を援用によって引用することとする。