【実施例1】
【0015】
図1〜
図9は、本発明の実施例を示す。
【0016】
最初に、組み立ての対象となる軸状部品と環状部品を説明する。
【0017】
軸状部品としては、ボルト、回転軸、支持ロッドなど種々なものがあるが、ここでは鉄製のボルトである。
図9に示すように、ボルト1は頭部2と軸部3から構成され、軸部3に雄ねじ4が形成されている。頭部2には、回転工具を差し込む角孔5が設けてある。ボルト1の各部寸法は、軸部3の直径と長さがそれぞれ9mmと130mm、頭部2の直径と軸方向高さがそれぞれ16mmと11mmである。
【0018】
なお、軸部3の断面形状は、円形である。
【0019】
環状部品としては、ワッシャ、Oリング、ディスタンスピースなど種々なものがあるが、ここでは鉄製のワッシャである。
図9に示すように、円形のワッシャ6に軸部3が挿入される挿入孔7が形成されている。ワッシャ6の各部寸法は、外径と内径がそれぞれ20mmと9.4mm、厚さが2.8mmである。
【0020】
つぎに、装置全体の配置構造を説明する。
【0021】
組み立て装置全体は、符号100で示されている。支持部材8は、平面的に見た形状が四角くなっている分厚くて平たい鋼板製であり、水平に配置してある。この支持部材8は、床9から起立している支柱10に支持されている。仮想線Y−Yは支持部材8の対角線である。
【0022】
軸状部品を貯留しているパーツフィーダ、すなわちボルト用パーツフィーダ12は、円形のボウル13を有している。螺線形の搬送通路14から送り出されたボルト1を起立姿勢に変換するための構造は、一般的に採用されているものであり、簡略的に説明すると、円弧状の傾斜板15がボウル13の外周に沿って設けられているタイプのものである。搬送通路14から出たボルト1は、頭部2を上にして傾斜板15に案内され、移動にしたがって次第に起立するようになっている。この傾斜板15に連続した搬送レール16が出口通路とされている。この出口通路にも符号16が付してある。出口通路16においては、ボルト1は鉛直方向の首吊り状態になっている。これは、
図5(C)に示された首吊り構造と同じである。
【0023】
すなわち、2本の細長いレール部材17を平行に配置して、両レール部材17の上面を滑動面18とし、両レール部材17の間の空間を軸部3の通過空間19としてある。滑動面18上を頭部2の下面が滑動し、軸部3が通過空間19を通過する。符号20は、両レール部材17を一体化する結合部材であり、レール部材17の下部に溶接してある。
【0024】
上記のように
図5(C)に示す鉛直方向の吊り下げ構造は、後述のボルト用の各送出通路においても同じ構造である。
【0025】
ボルト用パーツフィーダ12は、その中心O1が対角線Y−Yから離隔した箇所に片寄せて配置してある。つまり、
図1や
図3において対角線Y−Yの上側にずらしてあり、このずらされた離隔距離は符号S1で示されている。
【0026】
環状部品を貯留しているパーツフィーダ、すなわちワッシャ用パーツフィーダ22は、円形のボウル23を有するもので、螺線形の搬送通路24から送り出されたワッシャ6が出口通路25から送出される。
【0027】
ワッシャ用パーツフィーダ22は、その中心O2が対角線Y−Yから離隔した箇所に片寄せて配置してある。つまり、
図1や
図3において対角線Y−Yの上側にずらしてあり、このずらされた離隔距離は符号S2で示されている。
【0028】
つぎに、送出通路について説明する。
【0029】
出口通路16の配置箇所は、ボルト用パーツフィーダ12の外周部が支持部材8の一辺26に最も接近した箇所とされている。この出口通路16に送出通路27が接続してある。送出通路27は水平な姿勢とされ、それを構成するレール部材、滑動面、通過空間、結合部材などは、前述の
図5(C)に示した構造と同じであり、同じ符号が
図1に記載してある。送出通路27は、一辺26と平行になって真っ直ぐに直線的に延びていて、一辺26に接近した箇所に配置してある。つまり、送出通路27の長手方向は、ボウル13の接線方向と同じとなっている。
【0030】
一方、出口通路25の配置箇所は、ワッシャ用パーツフィーダ22の外周部が支持部材8の他辺28に最も接近した箇所とされている。この出口通路25に送出通路29が接続してある。送出通路29は水平な姿勢とされ、それを構成する細長いガイド部材30は、
図4(E)に示した断面形状とされ、その中をワッシャ6が滑動するようになっている。この滑動面は、符号32で示されている。
【0031】
ガイド部材30は、扁平な通過空間を有しており、その幅や厚さ寸法はワッシャ6の外形寸法よりも僅かに大きく設定されている。そして、中央部にワッシャ6の一部が見えるように、細長い空間31が設けてある。
送出通路29は、他辺28と平行になって真っ直ぐに直線的に延びていて、他辺28にできるだけ接近した箇所に配置してある。つまり、送出通路29の長手方向は、ボウル23の接線方向と同じとなっている。
【0032】
一辺26と他辺28は、支持部材8の端縁線であり、支持部材8の四角い形状により直交している。そして、ボルト送出通路27の長手方向とワッシャ送出通路29の長手方向も直交している。
【0033】
つぎに、機器配置スペースについて説明する。
【0034】
図1や
図3に示すように、ボルト用パーツフィーダ12の中心O1と、ワッシャ用パーツフィーダ22の中心O2が対角線Y−Yから片側へ離隔するようにずらされているので、すなわち離隔距離S1とS2が設定されているので、離隔方向とは反対側の支持部材8上に広いスペースが形成される。このスペースが機器配置スペース33である。
【0035】
この機器配置スペース33は、
図3に示すように、直角三角形の領域となっており、ここにボルト側の送出通路27とワッシャ側の送出通路29が進入している。
【0036】
機器配置スペース33に、両送出通路27、29からのボルト1およびワッシャ6を受け入れて、ワッシャ6にボルト1を挿入する挿入装置110が配置してある。ボルト1およびワッシャ6は、各送出通路27、29を移動するのであるが、この移動方法としては、傾斜を滑降させたり、エアシリンダのストロークで押し出したり、あるいは振動を付与したりするものがある。ここでは、両送出通路27、29に振動を付与する振動式直進フィーダが採用されている。
【0037】
図2に示すように、直進フィーダ34は、基台35上に傾斜した板ばね36を介して支持台37を取付け、この支持台37に前述したボルト吊り下げ用のレール部材17が取り付けられている。基台35上に電磁石38が取り付けられ、それに対向させて吸引片39が支持台37の下面に取り付けられている。電磁石38によって支持台37に電磁振動が付与されることにより、ボルト1がレール部材17の滑動面18上を滑動して
図2の右方へ移送される。
【0038】
送出通路29を形成するガイド部材30も上記の直進フィーダ34と同じ機構で振動が付与されてワッシャ6の移送がなされる。ワッシャ6は、
図1および
図4(A)の下方へ移動する。ガイド部材30の直進フィーダにも前述の直進フィーダと同じ34の符号が記載してある。
【0039】
つぎに、挿入装置のワッシャ移送構造について説明する。
【0040】
鉛直方向に吊り下げられたボルト1をワッシャ6の挿入孔7に差し込む方式であるから、ボルト1は高い箇所を移動し、ワッシャ6は低い箇所を移動する。そして、移動して停止する箇所は、挿入軸線O−Oと同軸になる箇所である。このような高低差を付与するために、
図2に示すように、ボルト用パーツフィーダ12は支柱41で高い箇所に配置され、ワッシャ用パーツフィーダ22は、支持部材8上に直接載置するか、短い支柱で支持されている。
【0041】
上記挿入軸線O−Oは、ワッシャ6と軸部3が同軸の状態になってワッシャ6に軸部3が挿入されるときの中心線である。
【0042】
ワッシャ6を挿入軸線O−Oと同軸状態で停止させて待機状態にするために、挿入基部材42が配置してある。この挿入基部材42の細部構造を
図6(D)と
図4(A)、(C)にしたがって説明すると、ワッシャ6を受け入れる第1凹部43とそれに連なった状態で軸部3を受け入れる第2凹部44が形成されている。このように両凹部43、44を形成することにより、水平で平たい滑動面53が設けられる。第1凹部43の奥に、ワッシャ6を受止める円弧状の第1停止凹部45が形成され、第2凹部44の奥に軸部3を受け止める円弧状の第2停止凹部46が形成されている。第1凹部43、第2凹部44は、ボルト1とワッシャ6の抜け出しを許容するために、第1開放部47と第2開放部48が設けてある。
【0043】
挿入基部材42に、ワッシャ6やボルト1の軸部3に吸引力を付与するために、2つの永久磁石52が埋設してある。ワッシャ6や軸部3が永久磁石52で吸引されると、ワッシャ6は第1停止凹部45に密着して、挿入軸線O−Oと同軸位置に停止し、同時に、上から挿入された軸部3は第2停止凹部46に密着して、挿入軸線O−Oと同軸位置に停止する。
【0044】
永久磁石52は、ワッシャ6に対する吸引手段であり、
永久磁石に換えて空気吸引式にすることも可能である。
【0045】
すでに記載したが、ワッシャ6に軸部3が挿入された組み立て完了後の部品を「ワッシャ付きボルト」あるいは「環状部品付き軸状部品」と表現している。
【0046】
支持部材8に固定して起立させた取付け片49にエアシリンダ50が固定され、そのピストンロッド51に前記挿入基部材42が結合してある。エアシリンダ50の進退方向は、送出通路27の長手方向と直角に食い違った方向とされており、エアシリンダ50の進退動作で挿入基部材42が上記食い違った方向で水平方向に進退するようになっている。
【0047】
エアシリンダ50の後退位置が、挿入基部材42にワッシャ6やボルト1を受け入れる待機位置であり、この待機位置状態において挿入軸線O−Oが鉛直方向に存在している。
【0048】
エアシリンダ50は、後述の送出機構120へワッシャ付きボルトを搬送する移送駆動手段である。つまり、エアシリンダ50、すなわち移送駆動手段は、ワッシャ付きボルトを組み立て装置100外に設置した送出機構120へ送り出す役目を果たしている。
【0049】
ワッシャ用の送出通路29から出てきたワッシャ6の移送方向を変換し、挿入基部材42の第1凹部43へ向かうようになっている。このような移送方向の変換は、ワッシャ6の動きを直角に変向させるもので、そのために変向部材55が配置してある。
図4に示すように、変向部材55は、四角いブロック状の部材が支持部材8に固定されたもので、その上面に変向用の通過溝56が形成されている。この通過溝56は、深さ寸法と幅寸法がワッシャ6の厚さや直径よりも僅かに大きく設定してあり、入口溝57と送出溝58によって構成されている。ワッシャ6の送出通路29を形成するガイド部材30が入口溝57に合致し、送出溝58が第1開放部47に合致している。なお、変向部材55は、取付け部材64を介して支持部材8に固定してある。
【0050】
通過溝56の水平で平たい底面と、前述の滑動面53と、ガイド部材30の滑動面32は、1つの仮想平面上に存在している。一番目のワッシャ6を停止させるために、送出溝58の横側に永久磁石59が埋設してある。送出溝58の端部近傍に、細長い板部材で構成された押出し部材60が差し込んである。この押出し部材60は、その端部がエアシリンダ61のピストンロッド62に結合され、ワッシャ6を第1凹部43の方へ押し出すように進出する。
図4(A)は、ワッシャ6が押し出される前の状態を示しており、このときには一番目のワッシャ6は永久磁石59に吸引されて、送出溝58の内壁と押出し部材60の前端に形成された押出し面に圧接している。そして、このときに2番目のワッシャ6は、1番目のワッシャ6によって移動できないようになっている。なお、エアシリンダ61は、取付け部材63を介して支持部材8に固定されている。
【0051】
上記エアシリンダ61やそれによって押出し動作をする押出し部材60は移行手段であり、変向部材55に入ってきたワッシャ6を挿入基部材42へ移行させる。
【0052】
上述のようにして、ワッシャ6がボルト1の軸部下端よりも低い箇所の第1凹部43に位置決めがなされる。したがって、上記滑動面53などが存在する仮想平面は、送出通路27を移送されるボルト1よりも低い箇所に配置されている。
【0053】
つぎに、挿入装置のボルト移送構造について説明する。
【0054】
レール部材17に吊り下げられて移送されてきたボルト1は、受けヘッド66に移載される。受けヘッド66は、
図5に示すように、直方体の形状をしたブロック状の部材で構成され、一端側に軸部3を受け入れる受け凹部67が形成されている。この受け凹部67は、送出通路27に向かって開口しており、軸部3を引き込むための永久磁石68がブロック状部材に埋設してある。受けヘッド66の平たい上面69と滑動面18は、一仮想平面上に存在している。
【0055】
受け凹部67の奥には、軸部3が密着する円弧面が形成してある。また、永久磁石68は、吸引手段であり、永久磁石68に換えて空気吸引式にすることも可能である。軸部3が受け凹部67内へ吸引されると、軸部3は受け凹部67の円弧面に密着し、挿入軸線O−Oに沿ってしっかりと保持され、軸部3の下端が下降動作中に揺動することが防止される。
【0056】
受けヘッド66の他端側に、昇降アーム70が溶接などで結合され、その端部がエアシリンダ71のピストンロッド72に結合してある。このエアシリンダ71の進退方向は、送出通路27の長手方向と同方向とされている。受け凹部67に引き込まれたボルト1が挿入軸線O−Oと同軸となるように受け凹部67の位置が設定されている。
【0057】
鉛直方向に進退動作をする昇降エアシリンダ73が支持部材8上に起立した状態で固定してあり、そのピストンロッド74の上端に前記エアシリンダ71が水平方向に進退動作をするように取り付けてある。昇降エアシリンダ73とエアシリンダ71の進退動作を複合させることにより、受けヘッド66にスクエアーモーションを行わせる。
【0058】
上述のような動作をするエアシリンダ73は、受けヘッド66を昇降させるもので、軸部3を挿入基部材42上のワッシャ6に挿入する挿入作動手段である。
【0059】
1番目のボルト1が受け凹部67に入ったときに、2番目のボルト1を停止させておく必要がある。そのために、レール部材17の側面にブラケット75を介してエアシリンダ76を固定し、そのピストンロッド77の先端部で2番目のボルト1を停止させている。受け凹部67が空いているときに、ピストンロッド77が後退して軸部3が受け凹部67に引き込まれ、頭部2が上面69に載置され、首吊り状態になる。その後、再びピストンロッド77が進出して次のボルト1を停止し、待機させる。
【0060】
図2、
図6Cおよび同図(E)には、軸部3の下端を受け止めるストッパ片78が配置してある。このストッパ片78は、分厚い板材で構成し、その上面がストッパ面79とされている。ストッパ面79は、挿入軸線O−Oと同軸位置に形成されている受け面80と、後述のボルト送出時に機能する傾斜面81によって構成されている。
【0061】
つぎに、挿入装置の動作を説明する。
【0062】
ワッシャ用パーツフィーダ22から出たワッシャ6は、直進フィーダ34の動作で送出通路29を通過し、変向部材55の入口溝57に入り、永久磁石59の吸引力で送出溝58に引き込まれ、送出溝58の内面と押出し部材60の先端面に軽く圧接される。
【0063】
ついで、エアシリンダ61の動作で押出し部材60が進出し、これによって押し出されたワッシャ6は、挿入基部材42の第1凹部43内に押し込まれ、滑動面53上を滑動し、第1停止凹部45で受止められる。この受け止め状態でワッシャ6の中心が挿入軸線O−Oと同軸となる。
【0064】
第1停止凹部45に受け止められたワッシャ6は、永久磁石52によって吸引され、これによってワッシャ6を挿入基部材42に保持して移動できない状態で待機させることとなる。
【0065】
なお、ワッシャ6は上記のように、ガイド部材30、変向部材55を経て第1停止凹部45へ移送されるが、これに換えて変向部材55や押出し部材60を廃止し、ガイド部材30の先端近傍を
図4(A)の左方へ湾曲させて、その開口部が第1開放部47(
図6(D)参照)に合致するように構成してもよい。このようにすると、ワッシャ6は、湾曲した移動軌跡を描いてガイド部材30から直接第1凹部43内に送り込まれる。
【0066】
一方、ボルト用パーツフィーダ12から出たボルト1は、直進フィーダ34の動作で送出通路27を通過し、エアシリンダ76の動作でピストンロッド77が後退すると、永久磁石68の吸引力で1番目のボルト1が受けヘッド66に引き込まれる。この状態でボルト1の中心が挿入軸線O−Oと同軸となる。
【0067】
このようにボルト1の軸部3が受け凹部67の円弧面に密着して、挿入軸線O−O上のボルト1と受けヘッド66の相対位置が変化しない状態になる。
【0068】
図6(A)は、挿入軸線O−Oと同軸の状態でボルト1が受けヘッド66に支持されているとともに、ワッシャ6が挿入基部材42に待機状態で支持され、同様に、挿入軸線O−Oと同軸となった状態を示している。そして、エアシリンダ73のピストンロッド74は延びており、また、エアシリンダ71のピストンロッド72は縮小位置にある。
【0069】
ここで、エアシリンダ73が縮小動作をすると、受けヘッド66が鉛直方向に下降し、
図6(B)に示すように、軸部3がワッシャ6の挿入孔7と第2凹部44に差し込まれる。
【0070】
そして、受けヘッド66が挿入基部材42の直前まで来ると、エアシリンダ73の下降動作は停止し、ついで、エアシリンダ71のピストンロッド72が進出して受けヘッド66を後退させ、
図6(C)に示すように、受けヘッド66はボルト1から離れる。
【0071】
このように受けヘッド66がボルト1から離れると、ボルト1は自重で鉛直方向に落下し、軸部3の下端がストッパ片78の受け面80に着地する。この自重落下の高さは、10〜15mmが適当であり、ここでは12mmである。受け面80の上下位置を調節することにより、落下量が上記のように12mmとなり、軸部3の下端が受け面80に受け止められた状態では、
図6(C)に示すように、頭部2とワッシャ6の間に僅かな間隙Lが形成されている。
【0072】
このように受けヘッド66がボルト1を保持して低い箇所までボルト1を下降させてからボルトを開放するので、ボルト1の落下距離が短くなり、受け面80への衝撃力が最小化されて、受け面80のへたり変形を防止することができる。上記のような間隙Lを設けることと、軸部3が受け面80に着座していることが輻輳して、ワッシャ6に頭部2が衝撃的に当たるようなことが回避でき、挿入基部材42の各部の形状が異常に変形することがない、という効果が得られる。
【0073】
動作説明に戻ると、受けヘッド66がボルト1から離れた位置でエアシリンダ71の進出が停止し、これに引き続いて、エアシリンダ73のピストンロッド74が伸長し、受けヘッド66がレール部材17と同じ元の高さに戻り、最後に、エアシリンダ71のピストンロッド72が縮小して、受けヘッド66は送出通路27に合致した位置に復帰し、次のボルト1の受け入れに備える。上述の受けヘッド66の下降、水平移動、上昇、水平移動の動作軌跡は、スクエアーモーションの形態をなしている。
【0074】
上述のように、
図6(B)の段階で受けヘッド66が右方へ後退するときに、軸部3も一緒に挿入基部材42から引き出される恐れがある。このような問題を解消するために、変向部材55の横側面65で軸部3の移動を拘束している。つまり、変向部材55の横側面65が軸部32に対する規制面の役割を果たしている。
【0075】
軸部3の下端が受け面80に支持されている状態から、前述のエアシリンダ50の動作で組み立て済みのボルト1とワッシャ6が押し出されると、軸部3の下端が傾斜面81を滑降しながら傾斜面81から離れ、この離れるときには頭部2がワッシャ6に密着する。
【0076】
したがって、傾斜面81の長手方向は、エアシリンダ50の進出方向と同じ方向になっており、エアシリンダ50の進出側が低くなっている。
【0077】
つぎに、送出機構について説明する。
【0078】
挿入装置110で組み立てられたボルト1とワッシャ6は、送出機構120へ移送され、目的箇所へ送り出される。組み立てられたボルト1とワッシャ6は挿入基部材42に係止された状態で、
図1に示すように、エアシリンダ50の動作により送出通路27とは直角に食い違った方向へ送り出される。ここでは、平面的に見て支持部材8の外側に送り出される。
【0079】
挿入基部材42に支持されたボルト1とワッシャ6は、先の送出通路27や29と同じ構造の送出通路83に移載される。この送出通路83を構成する部材には、
図1や
図7に示すように、先のものと同じ符号が記載してある。そして、レール部材17は、先のものと同じ直進フィーダ34で駆動され移送機能を果たすようになっている。
【0080】
挿入基部材42に支持されたボルト1とワッシャ6を送出通路83のレール部材17へ移載するために、
図7に示すように、押出し部材84が配置してある。この押出し部材84は、前述の押出し部材60を動作させる機構と同じ機構で進退する。したがって、エアシリンダやピストンロッドには前述のものと同じ符号が記載してある。なお、
図1に示した符号85および86は、直進フィーダ34とエアシリンダ61を支持部材8の端部に結合するブラケットである。押出し部材84の押出し方向と送出通路83の移送方向はいずれも、送出通路27と平行になっている。
【0081】
送出通路83の端部に送られたボルト1とワッシャ6は、次の工程に応じた搬送手段で移送される。例えば、図示していないが、送出通路83の端部に待機しているボルト1をねじ締め機のチャックで掴むようにする。
【0082】
なお、支持部材8を
図1の下方へ拡張するとともに、ブラケット85および86を廃止して、送出機構120を支持部材8上に配置することも可能である。
【0083】
図8は、部品の移動経路を立体的に示した線図である。各移送に関連する送出通路や部材の符号が記載されている。この図の2点鎖線図示の四角い移動軌跡は、受けヘッド66の移動軌跡であり、前述のスクエアーモーションを示している。
【0084】
支持部材8は支柱10に支持された鋼板製であるが、これに換えて骨材を櫓状に四角く組み、さらに他の骨材を水平方向に架設し、その上にパーツフィーダ12、22や挿入装置110などの機器類を載置することも可能である。また、軸部3に形成した雄ねじ4は、
図9にのみ図示し、他の図においては図示を省略してある。さらに、各エアシリンダへの作動空気の給排管の図示は省略してある。
【0085】
なお、上記各種のエアシリンダに換えて、進退出力をする電動モータを採用することもできる。また、上記各種の永久磁石を電磁石に置き換えることも可能である。
【0086】
上述の各種エアシリンダを上述の作動順序にしたがって動作させたり、パーツフィーダの動作を断続させたりする種々な動作は、一般的に採用されている制御手法で容易に行うことが可能である。簡単なコンピュータ装置で構成される制御装置またはシーケンス回路などからの信号で動作する空気切換弁や、エアシリンダの所定位置で信号を発して前記制御装置に送信するセンサー等を組み合わせることによって、所定の動作を確保することができる。
【0087】
なお、上記実施例は、装置発明を前提にしているが、これに換えて、
図8に示すような各移動要素を組み合わせた方法発明として存在させることができる。ピストンロッド74の進退方向、すなわち挿入軸線O−O方向をX方向、送出通路27の移送方向をY方向、送出通路29の移送方向を2方向に設定して、X、YおよびZなる3次元的な移送変位を含めた方法発明を構成する。
【0088】
以上に説明した実施例の作用効果は、つぎのとおりである。
【0089】
ワッシャ6にンボルト1を挿入する際の基準的な位置決め機能を果たす挿入基部材42に、ワッシャ6が挿入軸線O−Oと同軸状態で予め支持される。一方、ボルト1は受けヘッド66に挿入軸線O−Oと同軸状態で保持されるとともに、受けヘッド66の吸引手段である永久磁石68により揺動しないように位置決めがなされる。そして、ボルト1は受けヘッド66との相対位置が変化しない状態で保持されたまま、挿入作動手段であるエアシリンダ73により挿入軸線O−Oに沿ってワッシャ6に挿入される。
【0090】
上記のような動作であるから、挿入基部材42で位置決めされたワッシャ6に、ボルト1が確実に挿入され、組み立て装置100としての作動信頼性が完全なものとなる。つまり、ワッシャ6を挿入基部材42に保持して移動できない状態で待機させることができ、ボルト1は受けヘッド66に永久磁石68で位置決めされた状態になっているので、ワッシャ6とボルト1を挿入軸線O−Oからずれることができない状態とすることができ、上記のように、作動信頼性が完全なものとなる。したがって、ワッシャ6とボルト1の軸心合致を、挿入組み立て前の段階から組み立て完了まで正確に維持して、高い組み立て信頼性を求めることが実現する。
【0091】
上記の挿入動作を行う挿入作動手段73として、エアシリンダや進退出力式の電動モータなどを採用することにより、これらの進退動作が完全な直線的動作となるので、挿入軸線O−Oに沿ってボルト1を正確に移動させることが確実に達成できる。
【0092】
組み立て完了後のワッシャ付きボルトが、挿入基部材42に保持された状態で移送駆動手段であるエアシリンダ50によって送出機構120へ移送される。したがって、ワッシャ6とボルト1の相対位置が狂うことなく、正しい挿入状態で送出機構120から目的箇所へ移送することができる。
【0093】
受けヘッド66がボルト1を保持して、頭部2がワッシャ6の近くまで挿入動作が進行した段階で、ボルト1を受けヘッド66から開放するので、ボルト1の落下距離が短くなり、ストッパ片78の受け面80への衝撃力が最小化されて、受け面80のへたり変形を防止することができる。受け面80の配置位置を選定して、上記のような間隙Lを頭部2とワッシャ6の間に設けることと、軸部3が受け面80に着座していることが輻輳して、ワッシャ6に頭部2が衝撃的に当たるようなことが回避でき、挿入基部材42の滑動面53など各部の形状が異常に変形することがない、という効果が得られる。
【0094】
下降した受けヘッド66がボルト1から離れた位置でエアシリンダ71の進出が停止し、これに引き続いて、エアシリンダ73のピストンロッド74が伸長し、受けヘッド66がレール部材17と同じ元の高さに戻り、最後に、エアシリンダ71のピストンロッド72が縮小して、受けヘッド66は送出通路27に合致した位置に復帰し、次のボルト1の受け入れに備える。上述の受けヘッド66の下降、水平後退移動、上昇、水平進出移動の動作軌跡は、スクエアーモーションの形態をなしている。
【0095】
受けヘッド66によるボルト1の把握と、ボルト1のワッシャ6への挿入と、この挿入後の受けヘッド66の後退と、受けヘッド66が元の高さに復帰することと、受けヘッド66が送出通路27に合致・接合することの一連の動作が、上記スクエアーモーションによって遂行されている。このため、ボルト1の受け取り、挿入、開放落下が一連性をもって確実になされ、挿入装置110が確実に動作する。合わせて、前記開放落下後の移動動作軌跡も確実に形成される。
【0096】
鉛直方向に進退動作をする昇降エアシリンダ73が支持部材8上に起立した状態で固定してあり、そのピストンロッド74の上端に前記エアシリンダ71が水平方向に進退動作をするように取り付けてある。昇降エアシリンダ73とエアシリンダ71の進退動作を複合させることにより、受けヘッド66にスクエアーモーションを行わせる。このように昇降エアシリンダ73と水平方向に動作するエアシリンダ71をユニットのように組み合わせることにより、簡単な構造で正確なスクエアーモーションを受けヘッド66に行わせることができる。