(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
矩形状の保管品載置用平面と入出庫装置を備え、この入出庫装置が、前記保管品載置用平面の左右X方向の巾に対応する長さを有し且つ当該保管品載置用平面の前後Y方向に横動自在なY方向横動体、このY方向横動体に、左右X方向に移動自在に支持された台車、及びこの台車に昇降自在に支持された保管品把持手段を備え、前記Y方向横動体の前後Y方向の移動と前記台車の左右X方向の移動、及び前記保管品把持手段の昇降運動により、当該保管品把持手段が把持する保管品を、前記保管品載置用平面上に設定された各保管品載置点に対して入出庫出来るように構成された、平面保管設備における入出庫装置の制御方法において、前記Y方向横動体の左右X方向両端部間の下方への撓み変形量を求め、この撓み変形量に基づいて、前記各保管品載置点に対する前記保管品把持手段の下降量調整値を設定し、この下降量調整値だけ前記保管品把持手段の下降量を減じるように制御する平面保管設備における入出庫装置の制御方法において、
前記保管品把持手段の下端部に、保管品載置用平面までの垂直距離を計測する距離計測手段を支持させ、前記台車を、前記Y方向横動体の左右X方向両端部間の計測位置に移動させると共に、前記保管品把持手段を前記台車から一定距離下降させた状態で、前記距離計測手段により保管品載置用平面までの垂直距離を計測し、この計測値に基づいて前記下降量調整値を設定し、
前記距離計測手段が、前記保管品把持手段に把持させた支持部材に、当該保管品把持手段が把持する保管品の平面中心位置と一致するか又はその近傍に位置するように取り付けられる、平面保管設備における入出庫装置の制御方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような構成の平面保管設備では、保管品載置用平面の表面積を大きくして、保管量の大きな大規模な保管設備の実現を試みた場合、Y方向横動体のX方向長さ(前記台車のX方向の移動距離)を長大なものにする必要がある。而して、このY方向横動台は、そのX方向の両端部のみが一対のY方向ガイドレールによって支持される両持ち梁構造であるため、取り扱う保管品の予想される最大重量に照らして、X方向長さの中央部での下方への撓み変形量が許容範囲内に収まるように、十分な剛性を備えたものでなければならない。この結果、大型大重量のY方向横動体が必要になり、設備コストの大幅アップを免れない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記のような従来の問題点を解消することのできる平面保管設備における入出庫装置の制御方法を提案するものであって、その本発明に係る制御方法の特徴は、後述する実施例との関係を理解し易くするために、当該実施例の説明において使用した参照符号を括弧付きで付して示すと、矩形状の保管品載置用平面(1)と入出庫装置(2)を備え、この入出庫装置(2)が、前記保管品載置用平面(1)の左右X方向の巾に対応する長さを有し且つ当該保管品載置用平面(1)の前後Y方向に横動自在なY方向横動体(3)、このY方向横動体(3)に、左右X方向に移動自在に支持された台車(5)、及びこの台車(5)に昇降自在に支持された保管品把持手段(6)を備え、前記Y方向横動体(3)の前後Y方向の移動と前記台車(5)の左右X方向の移動、及び前記保管品把持手段(6)の昇降運動により、当該保管品把持手段(6)が把持する保管品(C)を、前記保管品載置用平面(1)上に設定された各保管品載置点(Cp)に対して入出庫出来るように構成された、平面保管設備における入出庫装置の制御方法において、前記Y方向横動体(3)の左右X方向両端部間の下方への撓み変形量(Dx3,Dx5)を求め、この撓み変形量(Dx3,Dx5)に基づいて、前記各保管品載置点(Cp)に対する前記保管品把持手段(6)の下降量調整値を設定し、この下降量調整値だけ前記保管品把持手段(6)の下降量を減じるように制御する
平面保管設備における入出庫装置の制御方法において、前記保管品把持手段(6)の下端部に、保管品載置用平面(1)までの垂直距離を計測する距離計測手段(12)を支持させ、前記台車(5)を、前記Y方向横動体(3)の左右X方向両端部間の計測位置に移動させると共に、前記保管品把持手段(6)を前記台車(5)から一定距離下降させた状態で、前記距離計測手段(12)により保管品載置用平面(1)までの垂直距離を計測し、この計測値に基づいて前記下降量調整値を設定し、前記距離計測手段(12)が、前記保管品把持手段(6)に把持させた支持部材(13,14)に、当該保管品把持手段(6)が把持する保管品の平面中心位置と一致するか又はその近傍に位置するように取り付けられる点にある。
【発明の効果】
【0006】
上記本発明の制御方法によれば、Y方向横動体の曲げ強度が不十分で、当該Y方向横動体の下方への撓み変形量が許容範囲を超えるような横動体であっても、保管品把持手段による保管品の把持吊上げ作用又は保管品の降ろし作用を、問題なく安全確実に行わせることが出来る。
【0007】
即ち、Y方向横動体上の台車の保管品把持手段を下降させて、保管品載置用平面上の保管品の把持吊上げ作用又は、保管品載置用平面上への保管品の降ろし作用を行わせるとき、当該台車に対する保管品把持手段の下降量が、Y方向横動体側から見て設定通り正常範囲内であったとしても、保管品載置用平面上から見たときの保管品把持手段の下降位置が、そのときの台車の位置でのY方向横動体の下方への撓み変形量分だけ低くなる。従って、保管品載置用平面上の保管品を把持して吊り上げるとき、その保管品の高さが最小であるために、保管品把持手段を保管品載置用平面に最接近する最低下降限高さまで下降させなければならない場合に、当該保管品把持手段の下端が保管品載置用平面に衝突する恐れが生じる。又この逆に、保管品を保管品載置用平面上に降ろす場合、又は保管品載置用平面上に載置されている保管品の上に保管品を段積みする場合には、降ろされる保管品が保管品載置用平面上や下側の保管品の上に、不当に強く押し付けられ、この結果、互いに水平方向に係合している保管品の被把持部と保管品把持手段の把持作用部との間に、許容範囲を超える圧接力が生じて破損を招いたり、場合によっては、保管品の被把持部から保管品把持手段の把持作用部を横側方に離脱させるとき、保管品を一緒に横方向に引きずって、正規の降ろし位置から保管品がずれてしまう恐れも生じる。
【0008】
しかしながら、上記本発明の制御方法によれば、保管品把持手段を昇降自在に支持する台車の高さが、この台車を支持するY方向横動体の下方への撓み変形分だけ低くなっていても、その低くなっている高さ分又はそれに近い高さ分だけ、当該保管品把持手段を保管品の把持吊上げ作用又は保管品の降ろし作用のために下降させるときの下降量を減少させることが出来るので、保管品載置用平面から見たときの保管品把持手段の下降位置が、Y方向横動体に撓み変形が生じていないときの正規の高さと等しくなるか又はそれに近い状態にすることが出来、上記のような問題を生じさせることなく、保管品の把持吊上げ作用又は保管品の降ろし作用を良好に且つ確実に行わせることが出来る。
【0009】
尚、前記Y方向横動体の下方への撓み変形量を検出する手段としては、種々考えられる。例えば、前記Y方向横動体に対してX方向に移動する台車に、保管品載置用平面までの垂直距離を計測する距離計測手段を取り付け、この台車を、前記Y方向横動体の両端部間の計測位置に移動させて、前記距離計測手段により保管品載置用平面までの垂直距離を計測し、この計測値に基づいて前記下降量調整値を設定することが出来る。
しかしながら本発明では、前記Y方向横動体の下方への撓み変形量を検出する手段として前記Y方向横動体に対してX方向に移動する台車に、保管品載置用平面までの垂直距離を計測する距離計測手段を取り付け、この台車を、前記Y方向横動体の両端部間の計測位置に移動させて、前記距離計測手段により保管品載置用平面までの垂直距離を計測し、この計測値に基づいて前記下降量調整値を設定
し、前記台車に対して昇降自在な保管品把持手段の下端部に、保管品載置用平面までの垂直距離を計測する距離計測手段を支持させ、前記台車を、前記Y方向横動体の両端部間の計測位置に移動させると共に、前記保管品把持手段を前記台車から一定距離下降させた状態で、前記距離計測手段により保管品載置用平面までの垂直距離を計測し、この計測値に基づいて前記下降量調整値を設定
している。
【0010】
前者の台車に距離計測手段を取り付ける構成と比較して、
本発明の、保管品把持手段の下端部に距離計測手段を支持させる構成では、距離計測手段による保管品載置用平面までの垂直距離を大幅に短くすることが出来るので、当該距離計測手段の計測軸の傾きによる計測誤差も含めて、保管品載置用平面までの垂直距離の計測誤差を小さくすることが容易になり、保管品把持手段の下降量の調整精度を高めることが出来る。
【0011】
更に
本発明では、保管品把持手段の下端部に距離計測手段
を直接支持させるのではなく、当該保管品把持手段の下端部に把持させた支持部材に、当該保管品把持手段が把持する保管品の平面中心位置と一致するか又はその近傍に位置するように取り付ける
のであるから、保管品載置用平面上に設定される各保管品載置点に、保管品の平面中心位置を一致させるように保管品を載置させる場合、保管品載置用平面上に設定される保管品載置点に正確に対応させて、Y方向横動体の下方への撓み変形量に基づく保管品把持手段の下降量調整が行えるので、より一層安全確実な保管品の把持吊上げ作用又は保管品の降ろし作用が行える。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1において、1は矩形状の保管品載置用平面、2は入出庫装置である。3はY方向横動体であって、X方向(左右方向)と平行な2本のガイドレール3a,3bを備えている。4a,4bは、保管品載置用平面1のX方向の両外側でY方向と平行に架設された一対の固定ガイドレールであって、Y方向横動体3のX方向の両端部を、保管品載置用平面1の一定高さ上方でY方向(前後方向)に平行移動自在に支持する。入出庫装置2は、Y方向横動体3の2本のガイドレール3a,3bによってX方向に移動自在に支持された台車5と、この台車5に昇降自在に支持された保管品把持手段6から構成されている。
【0014】
保管品把持手段6は、取り扱う保管品に適合するように構成された種々のものが考えられるが、この実施例における保管品把持手段6は、
図2Aに示すように、X方向に互いに接近離間移動自在なX方向一対の把持ユニット7A,7Bを備えている。両把持ユニット7A,7Bは、Y方向横動体3の2本のガイドレール3a,3b間を昇降するように、台車5に互いに同期昇降自在に支持されたもので、それぞれY方向一対の把持用柱状体8a〜9bと、把持用柱状体8a,8b間の中央位置及び把持用柱状体9a,9b間の中央位置に位置する吊上げ具10,11を備えている。この実施例において取り扱う保管品Cは、平面形状が、Y方向の巾WとX方向の長さLを有する矩形状のプラスチック製搬送用コンテナであって、その外側面には、全周にわたって連続する補強用張出しリブCxを備えている。
【0015】
各把持用柱状体8a〜9bは、保管品Cの四隅に外側から嵌合可能な、横断面L字形の柱状体であり、吊上げ具10,11は、保管品CのY方向と平行な両側辺の中央部における補強用張出しリブCaに係脱自在な剣山構造の係合具10a,11aが、昇降柱状体10b,11bの少なくとも下端部内側に設けられたものである。剣山構造の係合具10a,11aは、Y方向と平行な垂直矩形面から突出する多数のX方向と平行なピンを備え、各ピンは、バネにより内側へ突出した突出姿勢に保持されている。
【0016】
上記構成の保管設備によれば、Y方向横動体3のY方向の横動と、このY方向横動体3上での台車5のX方向の移動とにより、保管品把持手段6を、保管品載置用平面1上の任意の位置(図示省略しているが、入庫用コンベヤの搬送終端部と出庫用コンベヤの搬送始端部を含む)の上方一定高さに移動させることが出来る。一方、この保管品把持手段6は、把持作用解除状態と把持作用状態とに切り換えることが出来る。保管品把持手段6の把持作用解除状態では、把持ユニット7A,7Bが、X方向に互いに離間したX方向後退限位置にあると共に、把持用柱状体8a〜9bが、吊上げ具10,11に対してY方向に互いに離間したY方向後退限位置にある。保管品把持手段6の把持作用状態では、把持ユニット7A,7Bが、保管品CのX方向長さLに対応する間隔まで、X方向に互いに接近移動すると同時に、各把持用柱状体8a〜9bが、保管品CのY方向巾Wに対応する間隔まで、吊上げ具10,11に対してY方向に互いに接近移動して、
図2Bに示すように、4本の把持用柱状体8a〜9bが、保管品Cの四隅に外から嵌合して、当該保管品Cを位置決めすると同時に、一対の吊上げ具10,11の各係合具10a,11aが、保管品CのY方向と平行な外側面の補強用張出しリブCaに係合することになる。この係合具10a,11aが、保管品Cの補強用張出しリブCaに係合した状態では、各係合具10a,11aの少なくとも同一高さの2本の突出姿勢のピンが保管品Cの補強用張出しリブCaの下側に入り込み、当該補強用張出しリブCaに衝突するピンは、付勢力に抗して後退した状態になる。
【0017】
保管品把持手段6によって保管品Cを搬送するときは、保管品把持手段6を、Y方向横動体3のY方向の横動と、このY方向横動体3上での台車5のX方向の移動とにより、入出庫対象の保管品Cの真上位置まで移動させる。次に、前記把持作用解除状態にある保管品把持手段6の把持ユニット7A,7Bを、台車5に対して入出庫対象の保管品Cの高さまで下降させた後、保管品把持手段6を前記把持作用状態に切り換える。この結果、
図2Bに示すように、4本の把持用柱状体8a〜9bが、保管品Cの四隅に外から嵌合して、当該保管品Cを位置決めすると同時に、一対の吊上げ具10,11の各係合具10a,11aが、保管品Cの補強用張出しリブCaに係合することになるので、次に、この把持作用状態にある保管品把持手段6を、台車5に対して上昇限高さ又は保管品Cの水平搬送に支障のない高さまで上昇させる。
【0018】
上記のようにして入出庫対象の保管品Cを所定高さまで吊り上げたならば、次に保管品把持手段6によって把持されている保管品Cを、Y方向横動体3のY方向の横動と、このY方向横動体3上での台車5のX方向の移動とにより、目的の降ろし位置まで水平搬送させる。このY方向横動体3の横動と台車5の移動とは、入出庫対象の保管品Cを所定高さまで吊り上げる過程で同時に行わせても良い。この後、保管品Cを把持している保管品把持手段6を台車5に対して所定高さまで下降させ、続いて、把持作用状態の保管品把持手段6を前記把持作用解除状態に切り換えることにより、この保管品把持手段6から保管品Cを開放して、目的の位置に降ろすことが出来る。この後は、把持作用解除状態の保管品把持手段6を台車5に対して所定高さまで上昇させることにより、一連の保管品吊上げ搬送が完了する。
【0019】
尚、保管品Cが段積み可能なものであるときは、段積み状態の複数の保管品Cを、その最下段の保管品Cに対する保管品把持手段6の把持作用により、まとめて吊上げ搬送することが出来る。このとき、最下段の保管品Cのみが保管品把持手段6の吊上げ具10,11によって吊り上げられるが、当該最下段の保管品Cを含めて、段積み状態の全ての保管品Cは、4つの把持用柱状体8a〜9bによって四隅を位置決めされるので、段積み状態は安定的に保持される。勿論、数多く段積みされた保管品を取り扱えるように、吊上げ具10,11には、その昇降柱状体10b,11bに上下複数段に係合具10a,11aを設けることも出来る。又、上記の保管品把持手段6の運用により、段積み状態の複数の保管品Cの内の特定の保管品Cのみを搬出することや、保管品載置用平面1上に保管されている保管品Cの上に新たに別の保管品Cを段積みすることも可能である。
【0020】
以上のように使用出来る保管設備であるが、この保管設備を実稼働させる前に次の計測・設定作業が行われる。即ち、
図3に示すように、台車5又は保管品把持手段6の下端部には、前記計測・設定作業のために、保管品載置用平面1までの垂直距離を計測する距離計測手段12が一時的に取り付けられ、この距離計測手段12を利用して、Y方向横動体3の両端部間の下方への撓み変形量が計測される。
【0021】
以下、具体的に説明すると、この実施例に係る保管設備では、
図4Bに示すように、保管品載置用平面1上には、保管品Cを載置する保管品載置点CpがX方向とY方向に関して所定間隔おきに設定されている。各保管品載置点Cpは、この保管品載置点Cpと保管品Cの平面視における中心点とが一致する状態で保管品Cを支持する位置であって、全ての保管品載置点Cpには、この保管品載置用平面1上での位置を特定するX−Y座標値が付されている。図では、X方向に関してx1〜x9の座標値が設定され、Y方向に関してy1〜y13の座標値が設定され、両座標値を組み合わせて、例えばx3,y2のように、全ての保管品載置点CpにX−Y座標値が付されている。
【0022】
各保管品載置点Cpに一致させる保管品Cの平面視における中心点は、
図4Aに示すように、保管品Cの四隅に嵌合して位置決めする保管品把持手段6の、4本の把持用柱状体8a〜9bで囲まれた四角形の中心位置と一致するので、前記距離計測手段12は、4本の把持用柱状体8a〜9bで囲まれた四角形の垂直中心線と一致させるように取り付けるのが望ましい。具体的には、
図3Aに示すように、距離計測手段12を台車5に支持させるときは、4本の把持用柱状体8a〜9bで囲まれた四角形の中心部又はその近傍位置を通る着脱自在な支持部材13を、計測時のみ台車5に取り付け、この支持部材13に距離計測手段12を、4本の把持用柱状体8a〜9bで囲まれた四角形の垂直中心線と一致させるように取り付ける。又、
図3Bに示すように、保管品把持手段6の下端部に距離計測手段12を支持させるときは、例えば保管品Cと同様に、保管品把持手段6の下端部で把持させることが出来る、平面形状が四角形の支持部材14(保管品Cを転用しても良い)を準備し、この支持部材14の中心位置に距離計測手段12を取り付けた状態で、当該支持部材14を4本の把持用柱状体8a〜9bの下端部と吊上げ具10,11で、計測時のみ保管品Cと同様に把持させれば良い。尚、距離計測手段12としては、レーザー光や超音波利用の距離センサーや、機械式距離計測器、即ち、前記支持部材13,14、或いは把持用柱状体8a〜9bの内の任意の1本に取り付けられた本体に垂直昇降自在に支持された計測棒状体と、前記本体に取り付けられて、計測棒状体の下端が保管品載置用平面1に当接するまでの当該計測棒状体の下降距離を検出する検出器から成る機械式距離計測器など、従来周知の各種のものが利用出来る。
【0023】
上記のように距離計測手段12を取り付けたならば、Y方向横動体3上での台車5の移動経路の一端から他端に向けて台車5を移動させ、予め設定した計測位置で台車5を停止させて、距離計測手段12により真下の保管品載置用平面1までの垂直距離を計測し、この計測値から、Y方向横動体3の下方への撓み変形量を演算する。距離計測手段12が保管品把持手段6の下端部に支持部材14を介して支持されているときは、台車5を所定の計測位置で停止させると共に保管品把持手段6を下降させて、距離計測手段12を保管品載置用平面1に接近させた状態で、計測を行う。
図3及び
図4Bに基づいて具体例を説明すると、Y方向横動体3上での台車5の移動経路の一端に台車5があって、距離計測手段12が、保管品載置用平面1上のX方向座標値=x1の真上にある状態で当該距離計測手段12により、保管品載置用平面1までの垂直距離L1(又はL2)を計測し、その計測値を撓み変形ゼロの基準値とする。そして台車5を移動させて、Y方向横動体3の両端部間の中央位置、即ち、保管品載置用平面1上のX方向座標値=x5の真上に距離計測手段12を位置させた状態で当該距離計測手段12により、保管品載置用平面1までの垂直距離L1(又はL2)を計測し、その計測値を前記基準値から減算した値を、Y方向横動体3の下方への最大撓み変形量Dx5として取り込む。
【0024】
仮に、前記最大撓み変形量Dx5が6mmであって、Y方向横動体3のX方向座標値=x1に対応する一端部からX方向座標値=x5に対応する中央部までの領域で、Y方向横動体3の下方への撓み変形量が、0mmから6mmまで、距離に比例して漸増していると考えると、X方向座標値のx2、x3、x4のそれぞれに対応する位置での距離計測手段12による計測を行わないで、X方向座標値=x2に対応する位置での撓み変形量Dx2を1.5mm、X方向座標値=x3に対応する位置での撓み変形量Dx3を3mm、X方向座標値=x4に対応する位置での撓み変形量Dx4を4.5mmというように、演算して取り込むことが出来る。X方向座標値=x5に対応する中央部から、反対側のX方向座標値=x9に対応する端部までの領域のY方向横動体3の撓み変形は、X方向座標値=x1に対応する一端部からX方向座標値=x5に対応する中央部までの領域での撓み変形と対称形に現れるものと考えられるので、X方向座標値のx6、x7、x8のそれぞれに対応する位置での距離計測手段12による計測を行わないで、X方向座標値=x6に対応する位置での撓み変形量Dx6を4.5mm、X方向座標値=x7に対応する位置での撓み変形量Dx7を3mm、X方向座標値=x8に対応する位置での撓み変形量Dx8を1.5mmというように演算して、取り込むことが出来る。
【0025】
上記の実施例による計測演算結果によれば、Y方向横動体3のX方向座標値=x1及びx9に対応する両端部から、X方向座標値=x5に対応する中央部に至る左右両領域で、Y方向横動体3が直線的に中央下がりに撓んでいることになるが、実際には、Y方向横動体3の両端部からX方向座標値=x5に近づくにつれて緩やかに湾曲しながら下方に撓むことになるので、前記中央部での最大撓み変形量Dx5が大きくなるような状況では、Y方向横動体3の両端部から中央部に至る左右両領域内での、実際の撓み変形量と、上記のように演算された撓み変形量との差が大きくなる。従ってこのような場合には、Y方向横動体3の両端部から中央部に至る左右両領域内でも、距離計測手段12による計測値に基づいて判定した撓み変形量を追加するのが望ましい。具体的には、
図3A及び
図4Bに示すX方向座標値=x3に対応する中間点においても、距離計測手段12により保管品載置用平面1までの垂直距離L1(又はL2)を計測し、その計測値を前記基準値から減算した値を、X方向座標値=x3及びx7に対応する位置での撓み変形量Dx3及びDx7として取り込むことが出来る。
【0026】
上記のようにして追加で取り込んだ撓み変形量Dx3及びDx7が、仮に4mmであったとすると、X方向座標値=x2及びx8に対応する位置での撓み変形量Dx2及びDx8を2mm、X方向座標値=x4及びx6に対応する位置での撓み変形量Dx4及びx6を5mmというように、計測値の平均値を演算して取り込むことが出来る。勿論、X方向座標値=x1〜x5の全てのX方向座標値に対応する位置でのY方向横動体3の下方への撓み変形量を、距離計測手段12を利用して計測した計測値に基づいて取り込むことも可能である。更に、Y方向横動体3は、中央部から両端に至る左右両領域の撓み変形が対称形に生じるものとして、半分の領域内に対する距離計測手段12を使用した計測を省略したが、Y方向横動体3の全長域内のX方向座標値=x1〜x9の全てに対応する位置で、距離計測手段12を使用した計測を行い、この計測値を、前記X方向座標値=x1〜x9の全てに対応する各位置でのY方向横動体3の撓み変形量として取り込むことも可能である。
【0027】
以上のようにして、Y方向横動体3のX方向適当間隔おきの複数位置(この実施例では、X方向座標値x1〜x9に対応する位置)における下方への撓み変形量が計測・演算により取り込まれたならば、この撓み変形量を、保管品載置用平面1上の各保管品載置点Cpに対する保管品把持手段6の下降量調整値として設定し、この下降量調整値だけ前記保管品把持手段6の下降量を減じるように、前記保管品把持手段6の下降駆動を制御する。
【0028】
具体的には、Y方向横動体3のX方向座標値xn(
図4Bでは、X方向座標値x1〜x9の何れか)に対応する位置での撓み変形量がxmmであったとすれば、保管品載置用平面1上の保管品載置点Cpの内、X方向座標値xn上にあるY方向全ての保管品載置点Cp(
図4Bでは、Y方向座標値がy1〜y13の各保管品載置点Cp)に対する下降量調整値が−xmmに設定され、当該X方向座標値xn上にあるY方向全ての保管品載置点Cpに対して入出庫作業を行う場合は、保管品把持手段6の下降量を規定量よりxmmだけ少なくする。この下降量調整値を採り入れた制御を行うことにより、X方向座標値xn上にあるY方向全ての保管品載置点Cpに対して、保管品把持手段6が「規定値−下降量調整値」だけ下降して、保管品載置用平面1側から見たときの保管品把持手段6の高さが、常に、Y方向横動体3の撓み変形が生じていないときの規定高さとなり、保管品把持手段6により所期通りの入出庫作業を行わせることが出来る。
【0029】
尚、上記実施例では、Y方向横動体3の下方への撓み変形量の、左右X方向に関する取込み位置を、保管品載置用平面1上のX方向に並ぶ各保管品載置点Cp各々に対応する位置(X方向座標値x1〜x9)としているが、実際には、保管品載置用平面1上の各保管品載置点Cpの左右X方向の間隔が、保管品載置用平面1の左右X方向の全巾に比較して大幅に小さいので、保管品載置用平面1の左右X方向の全巾を、各区画が左右X方向に複数に並ぶ複数の保管品載置点Cpを含むように、複数区画に分割し、各区画の左右X方向の中央位置に対応する計測位置をY方向横動体3上に設定し、これら各計測位置に台車5が位置する状態で、距離計測手段12により保管品載置用平面1までの垂直距離を計測し、この計測値を前記基準値から減算した値を、前記各区画に対する下降量調整値として設定し、この区画ごとの下降量調整値を、各区画内に位置する左右X方向複数の保管品載置点Cpに対する入出庫作業時の保管品把持手段6の規定下降量に減算適用するように制御することが出来る。
【0030】
又、距離計測手段12の取付け位置を、保管品把持手段6の4本の把持用柱状体8a〜9bで取り囲まれる四角形の中心位置としたが、これに限定されるものではない。例えば、Y方向横動体3の下方への撓み変形量が少ないときは、
図3Bや
図4Aに仮想線で示すように、把持用柱状体8a〜9bの内の1本の下端部に取り付けても、実用上、殆ど問題はない。