特許第6288503号(P6288503)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6288503
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】錠剤容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/20 20060101AFI20180226BHJP
   B65D 83/04 20060101ALI20180226BHJP
【FI】
   B65D47/20 210
   B65D83/04 H
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-39006(P2014-39006)
(22)【出願日】2014年2月28日
(65)【公開番号】特開2015-160663(P2015-160663A)
(43)【公開日】2015年9月7日
【審査請求日】2016年9月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100076598
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 一豊
(72)【発明者】
【氏名】古澤 光夫
【審査官】 佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−011763(JP,A)
【文献】 米国特許第03637109(US,A)
【文献】 特開2002−166959(JP,A)
【文献】 特開昭57−153877(JP,A)
【文献】 米国特許第03480182(US,A)
【文献】 特開2010−260613(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0267304(US,A1)
【文献】 特開2004−175426(JP,A)
【文献】 特開2003−231542(JP,A)
【文献】 特開平10−077059(JP,A)
【文献】 特開2006−248567(JP,A)
【文献】 実開平05−049648(JP,U)
【文献】 実公昭43−005743(JP,Y1)
【文献】 実開昭59−028061(JP,U)
【文献】 特開2000−109105(JP,A)
【文献】 特開平09−030542(JP,A)
【文献】 特開平11−208702(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/20
B65D 83/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
口筒部(2)、肩部(3)、胴部(4)および底部(5)から成る容器(1)と、
該口筒部(2)の外周面に組み付く組付き筒部(11)、該組付き筒部(11)の上端から径方向内側に延設された環状平坦部(13)、該環状平坦部(13)の内周縁から下方に垂下して延設された内筒部(12)、該内筒部(12)の内周部から延設された環状傾斜板(16)、ならびに該内筒部(12)を閉栓する天板部(14)を有するキャップ(10)とを備えた錠剤容器であって、
前記環状傾斜板(16)は径方向内側に向かって上方に傾斜するとともに、その中央部に内容物が通過可能な大きさの貫通穴(16a)が形成され、下方に傾斜した弾性変形が可能であることを特徴とする錠剤容器。
【請求項2】
前記環状傾斜板(16)は周方向に沿って薄肉部(16b)が形成されている請求項1に記載の錠剤容器。
【請求項3】
前記キャップ(10)の天板部(14)裏面には前記環状傾斜板(16)を押し下げる押下げ片(17)が形成されている請求項1又は2に記載の錠剤容器。
【請求項4】
前記押下げ片(17)の下端部には径方向外側に張り出したアンダーカット部(17a)が形成され、前記環状傾斜板(16)は該押下げ片(17)によって下方へ押し下げられながら該アンダーカット部(17a)を乗り越えるように構成されている請求項に記載の錠剤容器。
【請求項5】
前記キャップ(10)の天板部(14)は透明性を有する請求項1からの何れかに記載の錠剤容器。
【請求項6】
前記キャップ(10)はヒンジキャップである請求項1からの何れかに記載の錠剤容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、必要数の錠剤を安定して取り出すことが出来ると共に必要数以上の余った錠剤を容器内に確実・容易に戻すことが出来る錠剤容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
飲食し易いように予め所定の形状(例えば球形、長球形、円板形、膨出円板形等)に加工された粒状の医薬品や食品(以下、「錠剤」という。)を収納容器から取り出す方法としては、キャップを開き容器内に指を挿入して取り出すか、或いは容器を反転傾斜させて容器に軽い振動を加え錠剤を容器開口近傍まで移動させ、その状態から更に軽い振動を加え必要数を落下させ手で受け取ることが一般的な方法である。特に、指を容器内部へ挿入して取り出す場合、使用始めにおいては錠剤は胴部上方近傍まで満たされている為、指を容器内部へ深く挿入しなくても取り出すことは容易であるが、残量が少なくなるにつれて、指を容器内部深く挿入する必要が生じてくる。特に、残量が終局間際には、容器内部深く例えば容器の底部付近まで指を挿入する必要が生じてくる。この場合、指先の感覚で錠剤を探し出し摘み出さなければならない為、錠剤を取り出すことは簡単ではなくなる。また、容器の底部付近まで指を挿入する為、指が錠剤だけでなく容器内面にも触れることになり、衛生面の観点からあまり好ましくなかった。
ところで、指を容器内部へ挿入することなく所定量の錠剤を取り出すことが出来るとした容器が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。この容器では、容器本体と蓋体との間に筒状の中間連結体が設けられ、その中間連結体の内側開口には、錠剤が貯留する底板が設けられている。その底板は、縦断面で見た場合、底板が先端部分において2つに分岐し蓋体側に反った円弧形状(第1延出部および第2延出部)を成して構成されている。
この容器において錠剤を取り出すには、蓋体が締まった状態で第1延出部(第2延出部)が中間連結体の中で下方に来るように容器を反転傾斜させ、錠剤が蓋体の天板と底板との間に入り込むようにする。そして、容器を元の姿勢に戻すことにより、蓋体と中間連結体との間にあった錠剤の内、第1延出部側にあった錠剤は底板に配置される一方、それ以外の錠剤は容器本体の収納部内へ戻されることになる。そして、蓋体を開け、指で摘んで取り出すか、或いは容器を再度傾斜させることにより錠剤を取り出すこととしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−248567号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した通り、上記錠剤容器では、蓋体が締まった態様で容器を反転傾斜させ元の姿勢に戻すことにより、所定量の錠剤だけが底板上に取り上げられこととしている。
しかし、上記錠剤容器では、容器を反転傾斜させる際、底板(第1または第2延出部)が中間連結体の中で下方に来るように容器を反転傾斜させる必要がある。なぜなら、それ以外の向きに容器を反転傾斜させる場合、錠剤が蓋体と底板の間に入り込むことが出来ないため、蓋体が締まった態様で容器を反転傾斜させ元の姿勢に戻したとしても、所定量の錠剤を取り出すことが出来ない虞がある。つまり、上記錠剤容器では、錠剤を取り出す際、容器を反転傾斜させる方向が厳密に規定され、それ以外の向きに容器を反転傾斜させる場合、所定量の錠剤を取り出すことが出来ない虞がある。
他方、必要数以上の余った錠剤については、蓋体が締まった態様で容器を傾斜させ底板から下方へ落として容器内へ戻すものと考えられるが、今度は底板(第1または第2延出部)が中間連結体の中で上方に来るように容器を傾斜させる必要がある。つまり、上記錠剤容器では、余った錠剤を容器内へ戻す際、容器を傾斜させる方向が厳密に規定され、それ以外の向きに容器を傾斜させる場合、余った錠剤を容器内へ戻すことが出来ない虞がある。
そこで、本発明は、上記従来技術の課題に鑑みなされたものであって、必要数の錠剤を安定して取り出すことが出来ると共に必要数以上の余った錠剤を容器内に確実・容易に戻すことが出来る錠剤容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記技術的課題を解決するための本発明のうち、請求項1記載の発明の手段は、口筒部、肩部、胴部および底部から成る容器と、
該口筒部の外周面に組み付く組付き筒部、該組付き筒部の上端から径方向内側に延設された環状平坦部、該環状平坦部の内周縁から下方に垂下して延設された内筒部、該内筒部の内周部から延設された環状傾斜板、ならびに該内筒部を閉栓する天板部を有するキャップとを備えた錠剤容器であって、
前記環状傾斜板は径方向内側に向かって上方に傾斜するとともに、その中央部に内容物が通過可能な大きさの貫通穴が形成され、下方に傾斜した弾性変形が可能であることを特徴とする。
【0006】
請求項1記載の上記構成では、キャップが締まった状態でユーザーが容器を正立状態から反転傾斜(例えば180度近く反転傾斜)させて再び正立状態に戻すことにより、容器内の錠剤が環状傾斜板の中央部の貫通穴を通過してキャップ側に入り込み、環状傾斜板の貫通穴方向に向けた上方への傾斜によって必要数を含む所定量の錠剤が環状傾斜板上に貯留されることになる。そして、ユーザーがキャップを開くと、錠剤は容器口筒部内側に設けられた環状傾斜板上に貯留されている為、必要数の錠剤を指先で摘んで容易に取り出すことが出来る。このように、容器を正立状態から反転傾斜させて再び正立状態に戻す動作は、錠剤残量の多少に拘わらず、更には容器の深さにも関係なく、必要数の錠剤を指先で摘んで容易に取り出すことが出来る。なお、環状傾斜板はキャップの内筒部下端で周方向に沿って設けられている為、容器を反転傾斜させる向きに関係なく、必要数の錠剤を安定して取り出すことが出来る。
また、必要数を超えて余った錠剤については、環状傾斜板の中央部に貫通穴が形成されている為、例えば環状傾斜板上にある錠剤を指先で軽く押すか、或いは容器を傾斜させて貫通穴へ誘導し、貫通穴を通過させて容器内に確実・容易に戻すことが出来る。
【0008】
特に、上記構成では、必要数を超えて余った錠剤について、上記方法に加え、弾性変形が可能な環状傾斜板を下方に傾斜した状態に変位させることにより指先が錠剤に触れることなく環状傾斜板上に貯留している必要数以上の余った錠剤を容器内に確実・容易に戻すことが出来るようになる。
【0009】
請求項記載の発明の手段は、前記環状傾斜板周方向に沿って薄肉部形成したものである、ことにある。
【0010】
上記構成では、環状傾斜板の上下方向に対する弾性的な変位を容易にすることが出来るようになる。
【0011】
請求項記載の発明の手段は、前記キャップの天板部裏面に前記環状傾斜板を押し下げる押下げ片が形成した、ことにある。
【0012】
上記構成では、キャップを閉じる過程で、押下げ片が環状傾斜板を押し下げ下方に傾斜した状態に変位させることで、環状傾斜板上に貯留している必要数以上の余った錠剤を容器内に確実・容易に戻すことが出来るようになる。つまり、キャップを閉じることにより、必要数以上の余った錠剤を容器内に確実・容易に戻すことが出来るようになる。
【0013】
請求項記載の発明の手段は、前記押下げ片の下端部に径方向外側に張り出したアンダーカット部(凸部)形成、前記環状傾斜板該押下げ片によって下方へ押し下げられながら該凸部を乗り越えるように構成した、ことにある。
【0014】
上記構成では、例えばキャップを閉じた際に、環状傾斜板元の位置(元の形状)に自動的に復元させることが出来る。従って、ユーザーは同一の動作(正立状態から反転傾斜させて再び正立状態に戻すという動作)を単に繰り返すことにより、再びキャップを開けて必要数の錠剤を容易に取り出すことが出来ると共に、必要数以上の余った錠剤を容器内に確実・容易に戻すことが出来るようになる。つまり、反復繰り返し性を有するようになる。
【0015】
請求項記載の発明の手段は、前記キャップの天板部透明性を有する、ことにある。
【0016】
上記構成では、環状傾斜板上に貯留された錠剤をキャップを開けることなく外部から確認することが出来る。これにより、容器の反転傾斜および正立復帰の動作を効率良く行うことができ、その結果、必要数の錠剤を安定に環状傾斜板上に載せることが出来ると共に必要数以上の余った錠剤を確実・容易に容器内に戻すことが出来るようになる。
【0017】
請求項記載の発明の手段は、前記キャップヒンジキャップとしたことにある。
【0018】
上記構成では、天板部組付き筒に一体に連結され、その結果、キャップを容器から分離する必要がなくなり、キャップの紛失好適に防止ると共にキャップ開閉操作が容易となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、容器を反転傾斜させる向きに依らずに、キャップを閉じた状態で容器全体を正立状態から反転傾斜させて再び正立状態に戻す動作により、必要数を含む所定量の錠剤が環状傾斜板上に貯留され、キャップを開けて必要数の錠剤を容易に取り出すことが出来ると共に、指先で錠剤を軽く押して又は環状傾斜板を押し下げて或いは押下げ片が裏面に立設されたキャップを閉じて、必要数以上の余った錠剤を貫通穴へ誘導して容器内に確実・容易に戻すことが出来るようになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1参考例に係る錠剤容器を示す断面説明図である。
図2参考例に係る錠剤容器の錠剤取り出し方法を示す説明図である。
図3】本発明の実施例に係る錠剤容器を示す断面説明図である。
図4】本発明の実施例に係る錠剤容器の錠剤取り出し方法を示す説明図である。
図5】本発明の実施例に係る錠剤容器を示す断面説明図である。
図6】本発明の実施例に係る錠剤容器の錠剤取り出し方法を示す説明図である。
図7】本発明の実施例に係る錠剤容器の錠剤取り出し方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図に示す実施の形態により本発明をさらに詳細に説明する。
【0022】
図1は、参考例に係る錠剤容器100を示す断面説明図である。
この錠剤容器100は、錠剤を収容する容器1と、容器1を開・閉栓するキャップ10とを具備して構成されている。この錠剤容器100は、キャップ10を閉じた状態で容器1の全体を正立状態から反転傾斜させて再び正立状態に戻すという動作により、必要数を含む所定量の錠剤が後述する環状傾斜板16上に貯留され、キャップ10を開けて必要数の錠剤を容易に取り出すことが出来ると共に、指先で軽く押すか、或いは容器1を傾斜させて貫通穴16aへ誘導し、必要数を超えて余っている錠剤を確実・容易に容器1内に戻すことが出来るように構成されている。
【0023】
容器1は、例えばポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂などの合成樹脂材料をブロー成形法または射出成形法などにより所定の形状に成形たもので、口筒部2、肩部3、胴部4および底部から成る。口筒部2の外周面には、キャップ10を螺合により装着するための雄ねじ部2aが形成されている。また、口筒部2の開口は、ユーザーが錠剤を取り出し易いように、径の大きい、いわゆる広口を成している。
【0024】
キャップ10は、例えばポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂または透明性を有する合成樹脂材料を射出成形法により所定の形状に成形たもので、容器1の口筒部2に螺合する組付き筒部11と、口筒部2の上端面に当接する内筒部12と、組付き筒部11と内筒部12を一体に連結する環状平坦部13と、内筒部12の開口を閉栓する天板部14と、組付き筒部11と天板部14を開閉自在に連結するヒンジ部15と、そして所定量の錠剤が貯留される本発明に係る環状傾斜板16とから成る。
【0025】
キャップ10は透明性を有することが好ましく、この場合、キャップ10を開けずに環状傾斜板16上に貯留された錠剤を外部から確認することが出来る。
【0026】
組付き筒部11の内周面には口筒部2の雄ねじ部2aと螺合する雌ねじ部11aが形成されている。また、組付き筒部11の上部外周縁には天板部14の内周縁が嵌る周条段差11bが形成されている。
【0027】
内筒部12は、上端において環状平坦部13と、下端において環状傾斜板16とそれぞれ一体に連結し、組付き筒部11を口筒部2にねじ込んだ際、口筒部2の上端面に当接するように構成されている。なお、容器1の口筒部2に対するキャップ10の内筒部12の結合形態は、環状傾斜板16が容器1の高い位置に保持されるような螺合による接合形態であるが、嵌入形態でもあっても良い。
【0028】
天板部14は組付き筒部11に対して、ヒンジ部15によって一体に連結され、キャップ10が容器1から分離することがないように構成されている。また、天板部14は、二段円筒構造を成して周条段差14aが設けられ、ユーザーがキャップ10を開閉する際、天板部14が容易に変形することがないようにしている。
【0029】
ヒンジ部15は、ヒンジ15a(図2(c))とL字状ヒンジ15bにより構成されている。特に、L字状ヒンジ15bは天板部14の開姿勢(キャップ10が開いた時)または閉姿勢(キャップ10が閉じた時)を安定に保持するように機能する。なお、キャップ10の姿勢を安定に保持するヒンジはL字状に限定されない。
【0030】
環状傾斜板16は、内筒部12の下端から滑らかに連続して径方向内側、すなわち中心に向かって上方に傾斜し、さらにその中央部に貫通穴16aが形成され構成である。なお、貫通穴16aの径は、錠剤が通過することができ且つ所定量の錠剤が、貫通穴16aを囲む環状傾斜板16の上面に貯留することが出来る大きさであれば良く、それ以外貫通穴16aの径は特に限定されない。また、環状傾斜板16の上向きの傾斜角についても所定量の錠剤が環状傾斜板16上に貯留することが出来る傾斜状態であれば良く、それ以外傾斜角は特に限定されない。
【0031】
なお、環状傾斜板16は内筒部12一体に成形されているが、別体(二体)に成形することも可能である。
【0032】
図2は、参考例に係る錠剤容器100の錠剤取り出し方法を示す説明図である。なお、図1に示すように、キャップ10は閉じた状態にあるとする。
先ず、図2(a)に示すように、容器1の全体を反転傾斜させる。容器1内にある錠剤が貫通穴16aを通ってキャップ10側の天板部14と環状傾斜板16の間の空間に入り込む。
次に、図2(b)に示すように、容器1を正立状態に戻す。天板部14と環状傾斜板16の間に入り込んだ錠剤は、環状傾斜板16の上方への傾斜および貫通穴16aによって、必要数を含む所定量の錠剤のみが環状傾斜板16上に貯留され、それ以外の錠剤は容器1内に戻る。
そして、図2(c)に示すように、キャップ10(天板部14)を開栓し、環状傾斜板16上に貯留する所定量の錠剤の内、必要数の錠剤を指先で摘んで取り出す。なお、必要数を超えて余っている錠剤は、指先で軽く押すか、或いは容器1を傾斜させることにより、貫通穴16aへ誘導し、貫通穴16aから落下させて容器1内に戻すことになる。なお、容器1を傾けて容器1内に錠剤を戻す際、キャップ10は閉じた状態であっても開いた状態であっても良い。
【0033】
図3は、本発明の実施例に係る錠剤容器200を示す断面説明図である。
この錠剤容器200は、環状傾斜板16の基端部付近に薄肉部16bが周設され、この薄肉部16bをヒンジとして自由端側(貫通穴16a側)が上下方向に対して弾性的に変位可能に構成されている。すなわち、ユーザーが環状傾斜板16を押圧することにより自由端側が下方に変位し、押圧を解除すると元の形状に復元変形(弾性変形)するように構成されている。上記参考例に係る錠剤容器100では、環状傾斜板16上に残った錠剤をユーザーが指先で軽く押すか、或いは容器1を傾斜させて貫通穴16aへと誘導し、貫通穴16aから落下させて容器1内に戻していたが、実施例1の本錠剤容器200では、図4にて詳述する通りユーザーが環状傾斜板16を指などで押し下げ、貫通穴16aに向けて下方に傾斜した状態とし、錠剤の自重により貫通穴16aから落下させて容器1内に戻すことになる。
【0034】
なお、必要数の錠剤を取り出すためには、上記参考例に係る錠剤容器100と同じように、キャップ10を閉じた状態で容器全体を正立状態から反転傾斜させて再び正立状態に戻した後、キャップ10を開けて必要数の錠剤を取り出すことになる。従って、薄肉部16b以外の構成は、上記参考例に係る錠剤容器100と同じである。
【0035】
図4は、本発明の実施例に係る錠剤容器200の錠剤取り出し方法を示す説明図である。なお、必要数の錠剤を取り出す方法は、上記錠剤容器100と同一であるので、ここでは、必要数を超えた錠剤を容器1内に戻す方法について説明する。
ユーザーが指先で環状傾斜板16を押し下げ、その傾斜面を上方から下方へ変位させると、環状傾斜板16の上面に残っている錠剤は、自重により傾斜面を転がり、中央の貫通穴16aから落下して容器1内に戻る。このように、ユーザーは錠剤に触れることなく環状傾斜板16の自由端側(貫通穴16a側)を下方へ変位させることにより、環状傾斜板16上に残った錠剤を容器1内に確実・容易に戻すことが出来るようになる。なお、ユーザーが環状傾斜板16に対する押圧を解除すると、環状傾斜板16は、その弾性力により元の位置(元の形状)に復元変形することになる。
【0036】
図5は、本発明の実施例に係る錠剤容器300を示す断面説明図である。
この錠剤容器300は、キャップ10を閉栓する時に環状傾斜板16の自由端側(貫通穴16a側)を押し下げる押下げ片17が天板部14の裏面に立設された構成である。上記実施例に係る錠剤容器200では、ユーザーが指先で環状傾斜板16を押して下方に傾斜させることにより、錠剤を貫通穴16aから落下させて容器1内に戻していたが、本錠剤容器300では、図6にて詳述する通り、ユーザーの代わりに押下げ片17が環状傾斜板16を押して下方に傾斜した状態へ変位させ、余った錠剤を貫通穴16aから落下させて容器1内に戻すことになる。このように、ユーザーは錠剤に触れることなく、余った錠剤を容器1内に戻すことが出来るようになる。
【0037】
押下げ片17は下端にアンダーカット部17aが形成され、キャップ10が閉栓される直前まで環状傾斜板16がアンダーカット部17aを乗り越えることが出来ないように構成されている。キャップ10が閉じた状態では、図5に示すように、環状傾斜板16がその弾性により、アンダーカット部17aを既に乗り越えて元の位置(元の形状)に復元された状態にある。
【0038】
なお、押下げ片17の形状については、ユーザーがキャップ10を閉じる過程において環状傾斜板16をある一定距離下方へ押し下げることができる形状であれば良く、例えば、単一の棒状物または片状物、或いはこれらが複数個周方向に間欠的に並んだ物が挙げられる。また、アンダーカット部17aは省略することも可能である。
【0039】
なお、必要数の錠剤を取り出すためには、上記実施例に係る錠剤容器200と同じように、キャップ10を閉じた状態で容器全体を正立状態から反転傾斜させて再び正立状態に戻した後、キャップ10を開けて必要数の錠剤を取り出すことになる。従って、押下げ片17以外の構成は、上記実施例に係る錠剤容器200と同じである。
【0040】
図6−7は、本発明の実施例に係る錠剤容器300の錠剤取り出し方法を示す説明図である。なお、図5に示すように、キャップ10は閉じた状態にあるとする。
先ず、図6(a)に示すように、容器1を反転傾斜させる。容器1内にある錠剤が貫通穴16aを通ってキャップ10側の天板部14と環状傾斜板16の間に入り込む。
次に、図6(b)に示すように、容器全体を正立状態に戻す。天板部14と環状傾斜板16の間に入り込んだ錠剤は、環状傾斜板16の上方への傾斜および貫通穴16aによって、必要数を含む所定量の錠剤が環状傾斜板16上に貯留され、その他の錠剤は容器1内に戻る。
そして、図6(c)に示すように、キャップ10(天板部14)を開栓し、環状傾斜板16上に貯留する所定量の錠剤の内、必要数の錠剤を指先で摘んで取り出す。
なお、必要数を超えて余っている錠剤は、図7に示すように、キャップ10(天板部14)を閉じ始めると、押下げ片17の先端が環状傾斜板16を押して下方に傾斜した状態へ変位させ、自重により錠剤を貫通穴16aから落下させて容器1内に戻すことになる。そして、キャップ10が閉じる直前あるいは閉じるのと同時に環状傾斜板16が、その弾性力により押下げ片17のアンダーカット部17aを乗り越えて元の位置(元の形状)に復元することになる。
【0041】
本発明の錠剤容器200,300によれば、容器1を反転傾斜させる向きに依らずに、キャップ10を閉じた状態で容器全体を正立状態から反転傾斜させて再び正立状態に戻す動作により、必要数を含む所定量の錠剤が環状傾斜板16上に貯留され、キャップ10を開けて必要数の錠剤を容易に取り出すことが出来ると共に、指先で錠剤を軽く押すか、又は環状傾斜板16を押し下げ、或いは押下げ片17が裏面に立設されたキャップ10を閉じることにより、必要数を超えて余っている錠剤を中央の貫通穴16aへと誘導して容器1内に確実・容易に戻すことが出来るようになる。
【0042】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。例えば、実施例では環状傾斜板16の自由端側を上下方向に対して弾性的に変位可能にするため薄肉部16aを設けているが、インサート成形等によりキャップ10の全体とは別に環状傾斜板16のみを軟質材で成形することも可能である。また、容器1とキャップ10はねじ結合しているが、凹凸嵌合して組み付けるようにしても良い。
【0043】
また、実施例ではユーザーがキャップ10を閉じると環状傾斜板16がアンダーカット部17aを乗り越えて元の位置(元の形状)に復元するように構成されているが、環状傾斜板16はアンダーカット部17aを乗り越えずに押下げ片17によって押し下げられた状態を維持するようにすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の錠剤容器は、錠剤を収納する容器に好適に適用される。
【符号の説明】
【0045】
1 容器
2 口筒部
2a 雄ねじ部
3 肩部
4 胴部
5 底部
10 キャップ
11 組付き筒部
11a 雌ねじ部
11b 周条段差
12 内筒部
13 環状平坦部
14 天板部
15 ヒンジ部
15a ヒンジ
15b L字状ヒンジ
16 環状傾斜板
16a 貫通穴
16b 薄肉部
17 押下げ片
17a アンダーカット部
100、200、300 錠剤容器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7