特許第6288527号(P6288527)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6288527
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】真空ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04C 25/02 20060101AFI20180226BHJP
   F04C 23/00 20060101ALI20180226BHJP
   F04C 27/00 20060101ALI20180226BHJP
   F04C 29/00 20060101ALI20180226BHJP
【FI】
   F04C25/02 K
   F04C23/00 F
   F04C27/00
   F04C29/00 B
   F04C29/00 C
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-544526(P2015-544526)
(86)(22)【出願日】2013年10月24日
(65)【公表番号】特表2015-535572(P2015-535572A)
(43)【公表日】2015年12月14日
(86)【国際出願番号】GB2013052771
(87)【国際公開番号】WO2014083305
(87)【国際公開日】20140605
【審査請求日】2016年8月31日
(31)【優先権主張番号】1221599.2
(32)【優先日】2012年11月30日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】507261364
【氏名又は名称】エドワーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100157185
【弁理士】
【氏名又は名称】吉野 亮平
(72)【発明者】
【氏名】カイラサム シヴァバラン
(72)【発明者】
【氏名】ホルブルック アラン アーネスト キナード
【審査官】 北川 大地
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/127198(WO,A2)
【文献】 特表2004−507641(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 25/02
F04C 23/00
F04C 27/00
F04C 29/00
F01C 21/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多段真空ポンプであって、
複数個のポンプ輸送チャンバを画定していて、それぞれの長手方向フェースに沿って互いに組み立て可能な第1及び第2のハーフシェル形ステータコンポーネントと、
前記第1及び第2のハーフシェル形ステータコンポーネントのそれぞれの端フェースのところで組み立て可能な第1及び第2の端ステータコンポーネントと、
それぞれの長手方向フェースの長手方向凹部内に配置可能であって、相互組み立て時に前記第1のハーフシェル形ステータコンポーネントと前記第2のハーフシェル形ステータコンポーネントとの間を封止するガスケットと、
それぞれの端フェースに皿形に座ぐられた環状チャネル内に配置可能であって、組み立て時に前記第1及び前記第2の端ステータコンポーネントと前記第1及び前記第2のハーフシェル形ステータコンポーネントとの間を封止するOリングとを有し、
前記環状チャネルは、前記長手方向凹部と交差し、各長手方向凹部は、前記交差部に対して固定された停止部を有し、前記ガスケット及び前記長手方向凹部は、前記ガスケットが組み立ての際に前記凹部内に配置されると、前記ガスケットの端部分を前記交差部に対して位置決めするために前記ガスケットが前記停止部に押し付けられるよう構成されている、多段真空ポンプ。
【請求項2】
各ガスケットの前記端部分は、前記Oリングが前記チャネル内に受け入れられると、前記ガスケットと前記Oリングとの間の封止を行うために前記交差部と合致するよう形作られている、請求項1記載の多段真空ポンプ。
【請求項3】
前記長手方向凹部は、直立壁を有し、各ガスケットは、前記長手方向凹部内に挿入されると、前記直立壁に作用して前記ガスケットを前記停止部に押し付ける付勢部材を有する、請求項1又は2記載の多段真空ポンプ。
【請求項4】
前記付勢部材は、前記直立壁に当接する突起を備えた側方に延びる横部材を有し、前記ガスケットが前記長手方向凹部内に挿入されると、前記当接により、前記横部材の弾性変形が生じる、請求項記載の多段真空ポンプ。
【請求項5】
前記停止部は、長手方向寸法における前記ガスケットの運動を拘束するよう配置されている、請求項1〜4のうちいずれか一に記載の多段真空ポンプ。
【請求項6】
前記停止部は、前記交差部の近くに位置する前記長手方向凹部の直立端部分を含み、前記ガスケットの前記端部分を前記交差部に対して位置決めするために前記ガスケットの肩が前記直立端部分に押し付けられる、請求項4記載の多段真空ポンプ。
【請求項7】
前記停止部は、前記長手方向凹部の第2の直立壁を含み、前記ガスケットの前記端部分を前記交差部に対して位置決めするために前記ガスケットの第2の横部材が前記第2の直立壁に押し付けられる、請求項4記載の多段真空ポンプ。
【請求項8】
前記長手方向凹部は、前記ガスケットが前記長手方向凹部内に嵌め込まれると、前記交差部に対する前記ガスケットの前記端部分の側方運動を拘束する長手方向に延びる直立壁を有する、請求項1〜7のうちいずれか一に記載の多段真空ポンプ。
【請求項9】
多段真空ポンプを組み立てる装置であって、ツールと、請求項1〜8のうちいずれか一に記載の多段真空ポンプとを有し、前記ツールは、前記ガスケットが前記長手方向凹部内に嵌め込まれた時点で且つ前記ハーフシェル形ステータコンポーネント相互間における前記ガスケットの圧縮に先立って、前記ガスケットの前記形作られた端部分を前記環状チャネルと前記長手方向凹部との対応して形作られた前記交差部と整列させるよう構成されている、装置。
【請求項10】
前記ツールは、前記ガスケットの前記形作られた端部分を付勢して該端部分を前記交差部と整列状態にするために前記交差部内に受け入れられるよう構成された付勢部材を有する、請求項9記載の装置。
【請求項11】
前記付勢部材は、前記交差部及び前記ガスケットの前記端部分の対応の形状と相補するよう形作られた丸形端部を有する、請求項10記載の装置。
【請求項12】
多段真空ポンプを組み立てる方法であって、前記真空ポンプは、
複数個のポンプ輸送チャンバを画定していて、それぞれの長手方向フェースに沿って互いに組み立て可能な第1及び第2のハーフシェル形ステータコンポーネントと、
前記第1及び第2のハーフシェル形ステータコンポーネントのそれぞれの端フェースのところで組み立て可能な第1及び第2の端ステータコンポーネントと、
それぞれの長手方向フェースの長手方向凹部内に配置可能であって、相互組み立て時に前記第1のハーフシェル形ステータコンポーネントと前記第2のハーフシェル形ステータコンポーネントとの間を封止するガスケットと、
それぞれの端フェースに皿形に座ぐられた環状チャネル内に配置可能であって、組み立て時に前記第1及び前記第2の端ステータコンポーネントと前記第1及び前記第2のハーフシェル形ステータコンポーネントとの間を封止するOリングとを有し、前記環状チャネルは、それぞれの交差部のところで前記長手方向凹部と交差する、方法において、前記方法は、
各ガスケットを前記長手方向凹部の各々内にそれぞれ嵌め込むステップと、
前記ガスケットを付勢して前記交差部に対して固定された停止部に当てて前記ガスケットの端部分を前記交差部に対して位置決めし、その結果、前記端部分が前記交差部から突き出るようにするステップと、
前記ハーフシェル形ステータコンポーネントが前記長手方向フェースに沿って互いに組み立てられているときにツールを用いて全体として前記ガスケットの前記端部分を押して前記ガスケットの圧縮中に前記端部分を前記交差部と整列させるステップと、
前記Oリングを前記環状チャネル内に嵌め込むステップと、
前記端ステータコンポーネントを前記ハーフシェル形ステータコンポーネントに組み付けるステップとを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空ポンプに関し、特に多段真空ポンプ及びかかるポンプのステータに関する。
【背景技術】
【0002】
真空ポンプは、直列に連結された1つ又は2つ以上のポンプ輸送段を有する容積移送式ポンプ、例えば、ルーツ又はクローポンプによって形成される場合がある。多段ポンプは、かかる多段ポンプに要する製造費及び組み立て時間が直列の多数の単段ポンプと比較して少ないので、望ましい。
【0003】
多段ルーツ又はクローポンプは、製造されてクラムシェルの形態に組み立てられる場合がある。図1に示されているように、かかるポンプのステータ100は、第1及び第2のハーフシェル形ステータコンポーネント102,104を有し、これらハーフシェル形ステータコンポーネントは、一緒になって、複数個のポンプ輸送チャンバ106,108,110,112,114,116を構成している。ハーフシェルの各々は、第1及び第2の長手方向に延びるフェース(面)を有し、これら長手方向に延びるフェースは、ハーフシェルが互いに嵌め合わされたとき、他方のハーフシェルのそれぞれ対応の長手方向に延びるフェースと相互に係合する。ハーフシェル102の2つの長手方向に延びるフェース118,120だけが図に見える。組み立ての際、2つのハーフシェルを矢印Rで示された全体的に半径方向の方向に互いに結合する。
【0004】
ステータ100は、第1及び第2の端ステータコンポーネント122,124を更に有している。ハーフシェルを互いに嵌め合わせると、第1及び第2の端コンポーネントは、矢印Lで示された全体として軸方向又は長手方向に、接合状態のハーフシェルのそれぞれ対応の端フェース126,128に取り付けられる。端コンポーネントの内面130,132は、ハーフシェルのそれぞれ対応の端フェース126,128と相互に係合する。
【0005】
ポンプ輸送チャンバ106〜116の各々は、ハーフシェルの横方向壁134相互間に形成されている。ハーフシェル102の横方向壁だけが図1に見える。ハーフシェルを組み立てると、横方向壁は、1つのポンプ輸送チャンバとその隣のポンプ輸送チャンバとの間又は端に位置するポンプ輸送チャンバ106,116と端に位置するステータコンポーネントとの間の軸方向離隔を可能にする。この実施例は、ハーフシェルと互いに嵌め合わせると、横方向壁134に形成された孔136内に配置される2つの長手方向に延びるシャフト(図示せず)を備えたルーツ又はクローポンプのための典型的なステータ構造を示している。組み立てに先立って、ロータ(図示せず)は、2つのロータが各輸送チャンバ内に配置されるようシャフトに取り付けられる。この単純化された図では示されていないが、端コンポーネントは各々、シャフトを挿通させる2つの孔を有する。シャフトは、端コンポーネント内に設けられた軸受によって支持されると共にモータ・歯車機構体によって駆動される。
【0006】
多段真空ポンプは、ポンプ輸送チャンバ内で、大気圧よりも低く、潜在的には10-3mbarという低い圧力で動作する。したがって、大気圧とポンプの内側との間には圧力差が存在することになる。したがって、ポンプ中への周囲のガスの漏れ込みは、ステータコンポーネント相互間の継手のところでは阻止されなければならず、これらステータコンポーネントは、ハーフシェルの長手方向に延びるフェース又は面118,120との間及びハーフシェルの端フェース126,128と端コンポーネントの内面130,132との間に形成されている。典型的には、ハーフシェル相互間及びハーフシェルと端コンポーネントの間を封止するために接着剤が用いられているが、接着剤は、腐食性のポンプ輸送ガスによる損傷を特に受けやすく、首尾一貫して利用するのが困難であり、しかも時間がかかる。接着剤は又、分解及び保守を妨げる場合がある。
【0007】
2つの長手方向部分及び2つの環状部分を有する一体型封止部材を提供する公知の変形例としての封止構造体が米国特許出願公開第2002/155014号明細書に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2002/155014号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、封止部材は、一般に、定位置に嵌め込むのに極めて手が込んでおり、しかも製造費が高くつく。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、クラムシェルポンプを封止する改良型封止構造体を提供する。
【0011】
本発明は、多段真空ポンプであって、複数個のポンプ輸送チャンバを画定していて、それぞれの長手方向フェースに沿って互いに組み立て可能な第1及び第2のハーフシェル形ステータコンポーネントと、第1及び第2のハーフシェル形ステータコンポーネントのそれぞれの端フェースのところで組み立て可能な第1及び第2の端ステータコンポーネントと、それぞれの長手方向フェースの長手方向凹部内に配置可能であって、相互組み立て時に第1のハーフシェル形ステータコンポーネントと第2のハーフシェル形ステータコンポーネントとの間を封止するガスケットと、それぞれの端フェースに皿形に座ぐり加工によって形成された環状チャネル内に配置可能であって、組み立て時に第1及び第2の端ステータコンポーネントと第1及び第2のハーフシェル形ステータコンポーネントとの間を封止するOリングとを有し、環状チャネルは、長手方向凹部と交差し、各長手方向凹部は、交差部に対して固定された停止部を有し、ガスケット及び長手方向凹部は、ガスケットが組み立ての際に凹部内に配置されると、ガスケットの端部分を交差部に対して位置決めするためにガスケットが停止部に押し付けられるよう構成されていることを特徴とする多段真空ポンプを提供する。
【0012】
本発明は又、多段真空ポンプを組み立てる装置であって、多段真空ポンプは、ツールと、かかる多段真空ポンプの部品とを有し、ツールは、ガスケットが長手方向凹部内に嵌め込まれた時点で且つハーフシェル形ステータコンポーネント相互間におけるガスケットの圧縮に先立って、ガスケットの形作られた端部分を環状チャネルと長手方向凹部との対応して形作られた交差部と整列させるよう構成されていることを特徴とする装置を提供する。
【0013】
本発明は又、多段真空ポンプを組み立てる方法であって、真空ポンプは、複数個のポンプ輸送チャンバを画定していて、それぞれの長手方向フェースに沿って互いに組み立て可能な第1及び第2のハーフシェル形ステータコンポーネントと、第1及び第2のハーフシェル形ステータコンポーネントのそれぞれの端フェースのところで組み立て可能な第1及び第2の端ステータコンポーネントと、それぞれの長手方向フェースの長手方向凹部内に配置可能であって、相互組み立て時に第1のハーフシェル形ステータコンポーネントと第2のハーフシェル形ステータコンポーネントとの間を封止するガスケットと、それぞれの端フェースに皿形に座ぐられた環状チャネル内に配置可能であって、組み立て時に第1及び第2の端ステータコンポーネントと第1及び第2のハーフシェル形ステータコンポーネントとの間を封止するOリングとを有し、環状チャネルは、それぞれの交差部のところで長手方向凹部と交差する、方法において、この方法は、各ガスケットを長手方向凹部の各々内にそれぞれ嵌め込むステップと、ガスケットを付勢して交差部に対して固定された停止部に当ててガスケットの端部分を交差部に対して位置決めし、その結果、端部分が交差部から突き出るようにするステップと、ハーフシェル形ステータコンポーネントが長手方向フェースに沿って互いに組み立てられているときにツールを用いてガスケットの端部分を全体として押してガスケットの圧縮中に端部分を交差部と整列させるステップと、Oリングを環状チャネル内に嵌め込むステップと、端ステータコンポーネントをハーフシェル形ステータコンポーネントに組み付けるステップとを含むことを特徴とする方法を提供する。
【0014】
本発明の他の好ましい且つ/或いはオプションとしての特徴は、添付の特許請求の範囲に記載されている。
【0015】
本発明を良好に理解することができるようにするため、次に、添付の図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明するが、これは例示に過ぎない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】クラムシェル形ステータのコンポーネントを全体として示す図である。
図2】説明の目的上提供されているに過ぎないハーフシェル形ステートコンポーネント及び2つのステータ端コンポーネントのための理論的には可能であるが、望ましくはない封止構造体を示す図である。
図3図2の封止構造体を有するハーフシェルを示す図である。
図4図2の封止構造体を有する端コンポーネントを示す図である。
図5】本発明の実施形態としての1つのハーフシェル形ステータコンポーネントの一部を示す図である。
図6図5に示されたハーフシェル形コンポーネント内に嵌め込まれたガスケット構造体を示す図である。
図7】整列に先立ってガスケットを整列させるためのツールを更に示す図である。
図8】整列後における構造体を示す図である。
図9】ハーフシェル相互間における圧縮及びツールの取り外し後における嵌め込み状態のガスケットを示す図である。
図10】ハーフシェル形コンポーネントに取り付けられたOリング及び端プレートを更に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明にとっての背景技術として、米国特許出願公開第2002/155014号明細書は、クラムシェル形ステータを封止する上での問題を記載している。具体的に説明すると、周辺半径方向封止を可能にする長手方向ガスケットと端部のところでの軸方向封止を可能にするOリングとの間に漏れ線が存在するらしいことが分かり、その結果、満足のゆく成果が得られない封止が生じる。その結果、この米国特許出願公開は、上述したように一体型封止部材を提案している。
【0018】
今この問題を詳細に検討するに、図2は、ハーフシェル102の平面図であり、端コンポーネント122,124の断面図を示している。図3は、接合されたハーフシェル102,104の一方の端フェース126の図、図4は、端コンポーネント124の内面132の図である。
【0019】
図2図4を参照すると、2つの長手方向シール部材138が第1及び第2のハーフシェル102,104のそれぞれ長手方向に延びるフェース118,120及び長手方向に延びるフェース142,144に形成されているチャネル140内に配置されている。長手方向シール部材138は、ハーフシェルの長さ全体にわたり矢印G1により示されているようにポンプ中への周囲ガスの漏れ込みが生じにくいようにする。
【0020】
2つの全体として環状のシール部材146は、端コンポーネント122,124の内面130,132のそれぞれ全体として環状のチャネル148内に配置されている。シール部材146は、端コンポーネントとハーフシェルとの間の継手の周辺全体にわたり矢印G2で示されているようにポンプ中への周囲ガスの漏れが生じにくいようにする。したがって、端コンポーネントに設けられた孔150を通るガスの漏れ又は接合状態のハーフシェルの端部のところに設けられた孔134を通るガスの流れは、一般に阻止される。
【0021】
この封止構造体に関する問題は、図2に示されているように空間Sによって示されているように長手方向シール部材138と環状シール部材146との間には首尾一貫しないシールがもたらされるということにある。この首尾一貫していないシールにより、2つのシール部材138,146相互間におけるガスの漏れが生じる恐れがある。長手方向シール部材138は、2つのハーフシェルがぴったりとした嵌合を提供するよう互いに組み付けられたときに2つのハーフシェル相互間で圧縮されるよう構成されている。しかしながら、圧縮時、シール部材138がチャネル140内で幾分動く傾向があり、それにより空間Sが作られ又は広くなる場合がある。長手方向シール部材をチャネル140の長さよりも長い長さの状態で製造することができるが、この場合、ハーフシェル相互間における圧縮により、シール部材にキンク(kinking )が生じる場合があり、それにより漏れが発生する。
【0022】
図5図10は、一方のハーフシェル形ステータコンポーネントの長手方向フェースの端部を示す本発明の実施形態を記載している。ハーフシェルは、封止構造体が異なる点を除き、図1図4を参照して詳細に説明したクラムシェル形ポンプと全体として同じである。この実施形態は、複数個のポンプ輸送チャンバを画定していて、それぞれの長手方向フェースに沿って互いに組み立て可能な第1及び第2のハーフシェル形ステータコンポーネントを有する多段真空ポンプを含む。第1及び第2の端ステータコンポーネントが第1及び第2のハーフシェル形ステータコンポーネントのそれぞれの端フェースのところで組み立て可能に配置されている。ガスケットが、相互組み立て時に第1のハーフシェル形ステータコンポーネントと第2のハーフシェル形ステータコンポーネントとの間を封止するためにそれぞれの長手方向フェースの長手方向凹部内に配置可能に構成され、Oリングが、組み立て時に第1及び第2の端ステータコンポーネントと第1及び第2のハーフシェル形ステータコンポーネントとの間を封止するためにそれぞれの端フェースに皿形に座ぐられた環状チャネル内に配置されている。この構成例では、環状チャネルは、長手方向凹部と交差している。
【0023】
より詳細に説明すると、図5は、ハーフシェル12の一方の長手方向フェース10の端部を示している。長手方向フェースの他端部は、ほぼ同じ形態を有するのが良く、他方の長手方向フェースの端部は、同様な形態を有するのが良い。
【0024】
長手方向フェース10の表面内には、ガスケット(図6図10に示されている)を位置決めするための長手方向凹部又はチャネル14が皿形に座ぐられた状態で形成されている。この凹部から全体として垂直に直立して2つの壁16,18が設けられており、壁16,18は、フェース10と面一をなす上面を有している。別の構成例では、壁は、対向したフェースが凹部を有する場合、対向したハーフシェルの凹部内に延びても良い。ハーフシェルの端フェース20には、環状シール部材(図10に示されている)を受け入れる全体として環状のチャネル22が皿形に座ぐられた状態で設けられている。図5図10には、環状チャネル22が凹部14に全体として垂直に延びている長手方向凹部14との交差部のところに環状チャネル22の断面だけが示されている。環状チャネル22は、この交差部のところで凹部14内に形成され、この環状チャネルは、全体として半円形の断面を備えている。
【0025】
長手方向凹部は、以下に説明するように長手方向寸法におけるガスケットの運動を拘束する停止部を形成するための直立端部分24を有している。横チャネル26が直立壁16,18相互間に延び、この横チャネルは、この場合も又以下に説明するようにガスケットを停止部に押し付けるために付勢力を生じさせることができるよう構成されている。
【0026】
図6を参照すると、ガスケット28は、フェース10との区別を助けるためにハッチングが施された状態で示されている。ガスケットは、形状が全体として凹部14と同じであり、このガスケットは、その上面が組み立ての際、凹部内に嵌め込まれたときに第2のハーフシェルの対向した長手方向フェースによる圧縮のために例えば1mmの約数分の一(例えば、0.2mm)だけフェース10から突き出るようにする厚さを備えている。ガスケットは、ポンプを組み立てたときにフェース10の長さに沿って封止を行う2つの全体として平行な長手方向部分30を有している。長手方向部分30は、凹部14の端部分24に当接する肩32で終端している。ガスケットの端部分は、Oリングがチャネル内に受け入れられると、ガスケットとOリングとの間を封止するために環状溝と凹部14との交差部22(破線で示されている)に合致するよう形作られている。図示のように、封止表面は、180°を超えて延び、この封止表面は、箇所23のところで終端している。
【0027】
ガスケット28及び長手方向凹部14は、組み立ての際にガスケットが凹部内に配置されると、ガスケットが付勢されて停止部24に当たって、それにより交差部に対してガスケットの端部分及び封止表面34を位置決めするよう構成されている。この実施例では、ガスケット18は、長手方向凹部14内に挿入されると、直立壁18に作用してガスケットの肩32を停止部24に当てるよう付勢する付勢部材36を有している。付勢部材は、直立壁に当接する突起38を備えていて横チャネル26内に受け入れられる側方に延びる横部材を有し、ガスケットが長手方向凹部内に挿入されると、当接により、横部材の弾性変形が生じる。図示の実施例における突起は、必要な変形を生じさせる横部材の球状部分から成っている。
【0028】
横部材36の付勢力により、ガスケットは、停止部に当接し、それにより、長手方向寸法におけるガスケットの運動が拘束される。停止部と交差部22との間における固定された相対的位置決めは、ガスケットの封止表面34が交差部に対して確実に位置決めされるということを意味している。図示のように、端部分は、僅かな程度、端フェース20及び交差部22から突き出るほど延びている。
【0029】
長手方向凹部の直立端部分24は、交差部の近くに位置し、このことは、ガスケットの端部分を交差部に対して位置決めする上で好ましい。変形例では、停止部は、長手方向凹部の第2の直立壁を有しても良く、ガスケットの端部分を交差部に対して位置決めするためにガスケットの第2の横部材が付勢されてこれが第2の直立壁に当てられる。
【0030】
直立壁16,18は、凹部内に嵌め込まれたときにガスケットを横方向寸法において位置決めするのにも役立つ。この点に関し、直立壁の長手方向に延びる表面40は、ガスケットの長手方向に延びる表面42に係合する。直立壁16は、この組み立ての段階中、ガスケットの側方に延びる表面46から間隔を置いて位置する側方に延びる表面44を有する。ハーフシェルを互いに組み付けることによってガスケットを圧縮すると、ガスケットは、表面44,46相互間の空間中に側方に延びるが、後には、ポンプの使用中、熱膨張を可能にするのに十分な空間が残る。
【0031】
ガスケット28が凹部14内に嵌め込まれると、封止表面34は、ツール48により、図7では非整列状態で、図8では整列状態で交差部と整列する。ツールは、図の矢印で示されているように長手方向寸法におけるガスケットの端部分の圧縮を生じさせるためにばね52によって付勢されるばね押し部材50を有する。ばね押し部材50は、封止表面及び交差部の形状と一致するよう丸形端部を有している。ばね52及び部材50は、ジグ54によって支持され、ジグ54は、ステータハーフシェルに対して固定されている。
【0032】
ガスケットの端部分をステータ交差部と整列させると、ツールは、対向したハーフシェルと図示のハーフシェルの組み立て中、定位置に維持される。組み立てられると、ガスケットは、圧縮されて拡張を生じるが、ツール48は、封止表面34を交差部22との整列状態に維持する。ハーフシェルをいったん互いに締結すると、ツールは、取り外される。ハーフシェル相互間の圧縮は、ガスケットを定位置に維持すると共にツールが取り外された状態で図9に示されているように整列状態を保つ。圧縮中、ガスケットは、長手方向拡張を生じて側方に延びる表面44,46相互間の空間中に入る。
【0033】
組み立ての次の段階では、Oリング56を環状チャネル内に配置し、ヘッドプレート58を定位置に固定する。理解されるように、Oリングは、端フェース相互間での圧縮時に変形して封止表面34及び交差部の形状を取り、それにより、ポンプ中への周囲ガスの漏れ込みが生じにくいようにするために実質的に180°にわたる広げられた封止表面が作られる。
【0034】
したがって、本発明は、多段真空ポンプを組み立てる方法を提供し、この方法は、図6に示されているようにガスケット28を長手方向凹部14内に嵌め込むステップを含む。次の段階では、ガスケットを付勢してこれを交差部に対して固定されている停止部に当ててガスケットの端部分を交差部に対して位置決めし、その結果、端部分が交差部から突き出るようにする。次の方法ステップでは、図7及び図8に示されているように、ハーフシェル形コンポーネントが長手方向フェースに沿って互いに組み立てられているときにツールを用いて全体としてガスケットの端部分を押してガスケットの圧縮中に端部分を交差部と整列させる。次のステップでは、Oリング56を環状チャネル22内に嵌め込み、端ステータコンポーネント58をハーフシェル形ステータコンポーネントに組み付ける。
【0035】
ガスケットは、比較的硬質の材料、例えば金属又は硬質エラストマーで作られるのが良い。この場合、ガスケットと環状シール部材との間に働く封止力を制御してガスケットと環状シール部材を互いに圧縮したときにガスケットが環状シール部材を損傷させることがないようにすることが重要である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10