特許第6288551号(P6288551)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6288551
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】リバーシブル型パッドタイプ吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/47 20060101AFI20180226BHJP
   A61F 13/514 20060101ALI20180226BHJP
   A61F 13/534 20060101ALI20180226BHJP
【FI】
   A61F13/47 100
   A61F13/514 300
   A61F13/534 100
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-268790(P2013-268790)
(22)【出願日】2013年12月26日
(65)【公開番号】特開2015-123183(P2015-123183A)
(43)【公開日】2015年7月6日
【審査請求日】2016年9月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082647
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 義久
(72)【発明者】
【氏名】水元 陽星
【審査官】 山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−185310(JP,A)
【文献】 特開2001−187078(JP,A)
【文献】 特開2009−291236(JP,A)
【文献】 特開2009−178235(JP,A)
【文献】 特開2011−072335(JP,A)
【文献】 実開平01−153308(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15−13/84
A61L 15/16−15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収体を内蔵し、表裏両面から吸収可能な本体部と、
前記本体部の表裏両面に対して着脱自在であり、かつ装着面を被覆可能な液不透過性のカバーシートと、を備え、
前記カバーシートは、その前後両端部が前記本体部の前後両端部にそれぞれ固定されており、
前記本体部における前記カバーシートの装着面を選択的に変更可能である、
ことを特徴とするリバーシブル型パッドタイプ吸収性物品。
【請求項2】
吸収体を内蔵し、表裏両面から吸収可能な本体部と、
前記本体部の表裏両面に対して着脱自在であり、かつ装着面を被覆可能な液不透過性のカバーシートと、を備え、
前記本体部における前記カバーシートの装着面を選択的に変更可能であり、
前記本体部の両側部に立体ギャザーがそれぞれ前後方向に沿って延在されており、
前記立体ギャザーは、本体部の側部に固定された付根部分と、この付根部分から本体部の使用側に突出する突出部分と、この突出部分のうち前後端部にそれぞれ設けられた倒伏部分と、前記突出部分のうち前後の前記倒伏部分間に位置する非固定の自由部分と、この自由部分の少なくとも先端部に、前後方向に伸張した状態で固定されたギャザー弾性部材とを有しており、
前記突出部分は、前記付根部分から幅方向中央側に向かって延出する基端側部分と、この基端側部分の先端から幅方向外側に折り返された先端側部分とからなり、
前記倒伏部分には、前記基端側部分の内面と前記本体部とを着脱可能に係止する基端側係止手段と、前記先端側部分の外面と前記基端側部分の外面とを着脱可能に係止する先端側係止手段とが設けられており、これら基端側係止手段及び先端側係止手段による係止により前記突出部分の前後端部が倒伏状態で本体部に対して固定される、
ことを特徴とするリバーシブル型パッドタイプ吸収性物品。
【請求項3】
吸収体を内蔵し、表裏両面から吸収可能な本体部と、
前記本体部の表裏両面に対して着脱自在であり、かつ装着面を被覆可能な液不透過性のカバーシートと、を備え、
前記本体部における前記カバーシートの装着面を選択的に変更可能であり、
前記カバーシートの表裏両面にズレ止め部が設けられている、
ことを特徴とするリバーシブル型パッドタイプ吸収性物品。
【請求項4】
吸収体を内蔵し、表裏両面から吸収可能な本体部と、
前記本体部の表裏両面に対して着脱自在であり、かつ装着面を被覆可能な液不透過性のカバーシートと、を備え、
前記カバーシートは、その前後両端部が前記本体部の前後両端部にそれぞれ固定されるとともに、これら固定部間の部分における少なくとも一方の固定部側の端部にカバーシートを破断するためのミシン目が設けられており、
前記カバーシートの表裏両面にズレ止め部が設けられており、
前記ズレ止め部は前記カバーシートを前記本体部に着脱自在に固定するものであり、 前記本体部における前記カバーシートの装着面を選択的に変更可能である、
ことを特徴とするリバーシブル型パッドタイプ吸収性物品。
【請求項5】
前記カバーシートの両側部に弾性部材が取り付けられており、この弾性部材の収縮により前記カバーシートの両側部が前後方向に伸長可能に収縮されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のリバーシブル型パッドタイプ吸収性物品。
【請求項6】
前記本体部は、液不透過性シートと、この液不透過性シートの表裏両側にそれぞれ設けられた前記吸収体と、表側の吸収体の表側及び裏側の吸収体の裏側を覆う液透過性シートとを備えている、請求項1〜5のいずれか1項に記載のリバーシブル型パッドタイプ吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リバーシブル型パッドタイプ吸収性物品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
尿とりパッド等のパッドタイプ使い捨ておむつや生理用ナプキン等のようなパッドタイプ吸収性物品においては、一回限りの使い捨てが主流となっているが、使用者の経済的負担の軽減や、携帯する製品にあっては携帯数の低減を目的として、実質的に新しい状態での使用を複数回行い得る吸収性物品が提案されている。
【0003】
例えば特許文献1では、吸収性シートを一枚ずつ取り外し可能に積層した吸収性物品が開示されている。この吸収性物品は、取り外した吸収性シートを一々廃棄せねばならず、次ぐに廃棄できない場合は持ち運ぶ必要がある点が問題となる。
【0004】
これに対して、特許文献2記載の構造のものは、非通液性シートの両面に吸収体を配置し、両面からの吸収を可能ならしめたものであるが、表面及び裏面を順に使用する(以下、リバーシブルともいう)ものではなく、そのような使用も想定していない。仮に特許文献2記載のものをリバーシブル使用した場合、肌側の面は実質的に新しい状態となるが、反対面が排泄物により汚れた状態となり、そのまま使用すると外側に位置するアウター(テープタイプやパンツタイプの使い捨ておむつの内面や、下穿き、ズボン等の衣類)の内面を汚してしまうことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−72335号公報
【特許文献2】特開2009−178235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の主たる課題は、アウターを汚さずにリバーシブル可能なパッドタイプ吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
吸収体を内蔵し、表裏両面から吸収可能な本体部と、
前記本体部の表裏両面に対して着脱自在であり、かつ装着面を被覆可能な液不透過性のカバーシートと、を備え、
前記カバーシートは、その前後両端部が前記本体部の前後両端部にそれぞれ固定されており、
前記本体部における前記カバーシートの装着面を選択的に変更可能である、
ことを特徴とするリバーシブル型パッドタイプ吸収性物品。
【0008】
(作用効果)
本発明では、本体部が表裏両面から吸収可能であるため、表裏入れ替えて使用することで実質的に新しい状態で2回の使用が可能となる。しかも、カバーシートの装着面を選択的に変更可能であるため、カバーシートを使用済みの面に装着することで、使用済みの面を被覆することができ、使用済みの面がアウターを汚すのを防止することも可能となる。
【0009】
<請求項2記載の発明>
吸収体を内蔵し、表裏両面から吸収可能な本体部と、
前記本体部の表裏両面に対して着脱自在であり、かつ装着面を被覆可能な液不透過性のカバーシートと、を備え、
前記本体部における前記カバーシートの装着面を選択的に変更可能であり、
前記本体部の両側部に立体ギャザーがそれぞれ前後方向に沿って延在されており、
前記立体ギャザーは、本体部の側部に固定された付根部分と、この付根部分から本体部の使用側に突出する突出部分と、この突出部分のうち前後端部にそれぞれ設けられた倒伏部分と、前記突出部分のうち前後の前記倒伏部分間に位置する非固定の自由部分と、この自由部分の少なくとも先端部に、前後方向に伸張した状態で固定されたギャザー弾性部材とを有しており、
前記突出部分は、前記付根部分から幅方向中央側に向かって延出する基端側部分と、この基端側部分の先端から幅方向外側に折り返された先端側部分とからなり、
前記倒伏部分には、前記基端側部分の内面と前記本体部とを着脱可能に係止する基端側係止手段と、前記先端側部分の外面と前記基端側部分の外面とを着脱可能に係止する先端側係止手段とが設けられており、これら基端側係止手段及び先端側係止手段による係止により前記突出部分の前後端部が倒伏状態で本体部に対して固定される、
ことを特徴とするリバーシブル型パッドタイプ吸収性物品。
【0010】
(作用効果)
使い捨ておむつや生理用ナプキン等の吸収性物品においては、脚周りに対するフィット性を高めるために、幅方向両側部に、身体側に突出する立体ギャザーがそれぞれ前後方向に沿って延在しているものが一般的となっている。しかし、従来の立体ギャザーは表側にのみ突出する構造であり、リバーシブルとはなっていないため、そのままではリバーシブル型である本発明の吸収性物品には適用できない。これに対して、本項記載の構造を採用すると、基端側係止手段及び先端側係止手段による係止を外して、突出部分を本体部の反対側に裏返した状態で、再び基端側係止手段及び先端側係止手段をそれぞれ係止し、倒伏部分を形成することにより、反対側の面に立体ギャザーを移動させることができる。
【0011】
<請求項3記載の発明>
吸収体を内蔵し、表裏両面から吸収可能な本体部と、
前記本体部の表裏両面に対して着脱自在であり、かつ装着面を被覆可能な液不透過性のカバーシートと、を備え、
前記本体部における前記カバーシートの装着面を選択的に変更可能であり、
前記カバーシートの表裏両面にズレ止め部が設けられている、
ことを特徴とするリバーシブル型パッドタイプ吸収性物品。
【0012】
(作用効果)
このようなズレ止め部を有することにより、カバーシートが本体部の表裏いずれ側にあっても、カバーシート及び本体部間のズレ、並びに本体部及びアウター間のズレの両方を止めることができるようになる。
【0013】
<請求項4記載の発明>
吸収体を内蔵し、表裏両面から吸収可能な本体部と、
前記本体部の表裏両面に対して着脱自在であり、かつ装着面を被覆可能な液不透過性のカバーシートと、を備え、
前記カバーシートは、その前後両端部が前記本体部の前後両端部にそれぞれ固定されるとともに、これら固定部間の部分における少なくとも一方の固定部側の端部にカバーシートを破断するためのミシン目が設けられており、
前記カバーシートの表裏両面にズレ止め部が設けられており、
前記ズレ止め部は前記カバーシートを前記本体部に着脱自在に固定するものであり、 前記本体部における前記カバーシートの装着面を選択的に変更可能である、
ことを特徴とするリバーシブル型パッドタイプ吸収性物品。
【0014】
(作用効果)
カバーシートは全体を本体部から着脱自在とすることもできるが、カバーシートの装着面を変更するときにカバーシートを落としてしまうおそれや、適切な位置に装着できないおそれがある。これに対して、上述のようにミシン目を設けてズレ止め部によりカバーシートを本体部に着脱自在に固定可能な構造とすると、カバーシートを前後方向のいずれか一方の端部で切り離し、他方は繋げたまま、切り離した方の端部を掴んで本体部の反対面に回してズレ止め部で当該反対面に固定することにより、カバーシートの装着面を変更することができる。この際、カバーシートの全体を本体部から切り離さないため、カバーシートを落としてしまうおそれがなくなり、また、適切な位置に装着し易くなる。
【0015】
<請求項5記載の発明>
前記カバーシートの両側部に弾性部材が取り付けられており、この弾性部材の収縮により前記カバーシートの両側部が前後方向に伸長可能に収縮されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のリバーシブル型パッドタイプ吸収性物品。
【0016】
(作用効果)
このように弾性部材を設けて収縮力を作用させることによっても、本体部に対するカバーシートのズレを防止することができる。
【0017】
<請求項6記載の発明>
前記本体部は、液不透過性シートと、この液不透過性シートの表裏両側にそれぞれ設けられた前記吸収体と、表側の吸収体の表側及び裏側の吸収体の裏側を覆う液透過性シートとを備えている、請求項1〜5のいずれか1項に記載のリバーシブル型パッドタイプ吸収性物品。
【0018】
(作用効果)
このように吸収体を二層構造とし、吸収体間を液不透過性シートで遮断することにより、吸収液が表裏いずれか一方側の吸収体から他方側の吸収体に移行しないため、液不透過性シートの使用側で排泄物を吸収してもその反対側を確実に未使用の状態とすることができる。
【発明の効果】
【0019】
以上の通り本発明によれば、アウターを汚さずにリバーシブル可能なパッドタイプ吸収性物品となる、等の利点がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】パッドタイプ吸収性物品の展開状態の表面側を示す平面図である。
図2】パッドタイプ吸収性物品の展開状態の裏面側を示す平面図である。
図3図1のA−A断面図である。
図4図1のA−A断面図である。
図5図1のB−B断面図である。
図6図1のC−C断面図である。
図7】他のパッドタイプ吸収性物品を示す図1のA−A断面相当の断面図である。
図8】他のパッドタイプ吸収性物品を示す図1のB−B断面相当の断面図である。
図9】他のパッドタイプ吸収性物品を示す図1のC−C断面相当の断面図である。
図10】使用における状態変化を概略的に示す説明図である。
図11】使用における状態変化を概略的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態について添付図面を参照しつつ説明する。
図1図6は、リバーシブル型パッドタイプ吸収性物品を示している。素材の貼り合わせ部分は、ホットメルト接着剤、ヒートシール、超音波シールにより形成でき、図示形態では接着剤部分を点模様で示されている。
【0022】
このパッドタイプ吸収性物品は、使い捨ておむつや布の下着等のアウターの内面に敷いて使用されることを想定したものであり、股間部C、その前後両側に延在する腹側部分F及び背側部分Bを有するものである。なお、「股間部」とは使用時に身体の股間と対応させる部分を意味し、殆ど多くの製品では前後方向中央部及びその前後近傍の部分である。各部の寸法は適宜定めることができ、例えば成人向け製品の場合、物品全長L(前後方向長さ)は450〜630mm程度、物品全幅Wは135〜320mm程度とすることができる。
【0023】
特徴的には、パッドタイプ吸収性物品は、吸収体23を内蔵し、表裏両面から吸収可能な本体部1と、本体部1の表裏両面に対して着脱自在であり、かつ装着面を被覆可能な液不透過性のカバーシート40と、を備えており、本体部1におけるカバーシート40の装着面を選択的に変更可能となっている。使用に際しては、図10(a)に示すように、裏面にカバーシート40が装着され、表面側に汚れ100が付着した場合、図4及び図10(b)に示すように、カバーシート40を使用済みの面の上に移動して使用済みの面を被覆するとともに、使用済みの面と反対側の面を露出させ、図10(c)に示すように裏返して、肌側の面を実質的に新しい吸収面として装着し、使用する。よって、使用済みの面はカバーシート40により被覆されるため、使用済みの面によりアウターが汚れるのは防止される。
【0024】
カバーシート40の素材は液不透過性である限り特に限定されず、ポリエチレンフィルム等の他、ムレ防止の点から遮水性を損なわずに透湿性を備えたシートも用いることができる。この遮水・透湿性シートは、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン樹脂中に無機充填材を溶融混練してシートを形成した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートを用いることができる。
【0025】
カバーシート40の本体部1に対するズレを防止するために、図2及び図3に示すように、カバーシート40の表裏両面にズレ止め部30が設けられているのは一つの好ましい形態である。これにより、図3及び図4に示すように、カバーシート40が本体部1の表裏いずれ側にあっても、カバーシート40及び本体部1間のズレ、並びに本体部1及びアウター間のズレの両方を止めることができるようになる。
【0026】
ズレ止め部30は、メカニカルファスナー(面ファスナー)のフック材(雄材)や粘着剤等のように、本体部1やアウターに着脱自在に固定可能なものの他、ゴム等のように滑り止め機能のみとすることもできる。粘着剤としては、不織布やシートに着脱しても粘着力が低下し難いものが好ましい。また、フック材や粘着剤を用いる場合、本体部1におけるズレ止め部30の対向部位に、着脱に適した素材を用いることができる。図示形態において、ズレ止め部30をフック材により形成する場合は、本体部1の外面を不織布で形成するだけでも良いが、本体部1におけるズレ止め部30の対向部位にはフック材の着脱に適したループ材(雌材)や、粘着剤の着脱に適した樹脂シート等の専用のターゲット部材を設けておくこともできる。
【0027】
ズレ止め部30の位置は適宜定めることができるが、図示形態のように、カバーシート40の少なくとも前後端部に設けることが望ましい。前端部から後端部にわたり連続する帯状のズレ止め部30を幅方向に複数本設けたり、幅の広いものを一本設けたりすることも可能である(図示略)。ズレ止め部30は、剥離シート(図示略)により剥離可能に被覆しておき、使用時に剥離シートを剥離することにより露出させる構成としても良い。
【0028】
カバーシート40は全体を本体部1から着脱自在とすることもできるが、カバーシート40の装着面を変更するときにカバーシート40を落としてしまうおそれや、適切な位置に装着できないおそれがある。そこで、図示形態のように、ズレ止め部30を、フック材や粘着剤等のように本体部1に着脱自在に固定可能なものとするとともに、カバーシート40の前後両端部を本体部1の前後両端部にそれぞれ固定し、これら固定部間の部分における少なくとも一方の固定部側の端部にカバーシート40を破断するためのミシン目41を設けることも提案する。この場合、図11に示すように、カバーシート40を前後方向のいずれか一方の端部でミシン目41により切り離し、他方は繋げたまま、切り離した方の端部を掴んで本体部1の反対面に回してズレ止め部30で当該反対面に固定することにより、カバーシート40の装着面を変更することができる。この際、カバーシート40の全体を本体部1から切り離さないため、カバーシート40を落としてしまうおそれがなくなり、また、適切な位置に装着し易くなる。カバーシート40を本体部1に固定する場合、その固定手段は特に限定されないが、ホットメルト接着剤、又はヒートシールや超音波溶着等の溶着加工とすることが望ましい。
【0029】
また、カバーシート40の両側部に、細長状弾性部材等からなるカバーシート弾性部材42を前後方向に伸長した状態でそれぞれ取り付けるのも好ましい形態である。特に図示形態のように、吸収体23の股間部Cに前後両側よりも幅の狭い括れ部分23Nが形成されている場合、この括れ部分23Nと重なる位置にカバーシート弾性部材42を配置することが望ましい。これにより、各カバーシート弾性部材42弾性部材の収縮によりカバーシート40の両側部が前後方向に伸長可能に収縮し、カバーシート40が本体部1に対してフィットし、本体部1に対するカバーシート40のズレが防止される。
【0030】
本体部1は表裏両面から吸収可能である限り、その構造は特に限定されないが、図3図6に示すように、液不透過性シート21の表裏両側に吸収体23を設け、表側の吸収体23の表側、及び裏側の吸収体23の裏側を液透過性シート22によりそれぞれ被覆した構造を採用することが望ましい。このように吸収体23を二層構造とし、吸収体23間を液不透過性シート21で遮断することにより、吸収液が表裏いずれか一方側の吸収体23から他方側の吸収体23に移行しないため、液不透過性シート21の使用側で排泄物を吸収してもその反対側を確実に未使用の状態とすることができる。もちろん、図7図9に示すように吸収体23を二層構造としつつ、その間に液不透過性シート21を介在させない形態や、この形態の吸収体23を一層構造とした形態(図示略)を採用することもできる。
【0031】
吸収体23としては、パルプ繊維の積繊体、セルロースアセテート等のフィラメントの集合体、あるいは不織布を基本とし、必要に応じて高吸収性ポリマーを混合、固着等してなるもの等、公知のものを特に限定無く用いることができる。必要に応じて、吸収体23はクレープ紙等の液透過性の包装シート23Lにより包むことができる。また、吸収体23の形状は、相対的に前側の部分が後側の部分よりも幅広な帯状、あるいは長方形状、砂時計状等、適宜の形状とすることができる。吸収体23における繊維目付け及び吸収性ポリマーの目付けは適宜定めることができるが、繊維目付けは200〜600g/m2程度とするのが好ましく、また吸収性ポリマーの目付けは100〜300g/m2程度とするのが好ましい。
【0032】
吸収体23の間に介在される液不透過性シート21としては、カバーシート40同様の素材から選択することができる。液不透過性シート21の寸法は、吸収体23と同じか又は周縁よりある程度食み出す程度とすることが望ましいが、吸収体23と重なる部分の一部(例えば股間部C)のみに設けることもできる。
【0033】
液透過性シート22は吸収体23を覆って吸収面を形成するものである。図示形態では液透過性シート22は吸収体23の側縁を回り込んで反対側に達しているが、吸収体23の側方に延在して、液不透過性シート21等の他の部材に接合される構造とすることもできる。液透過性シート22としては、有孔または無孔の不織布や穴あきプラスチックシートなどが用いられる。不織布を構成する素材繊維としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができる。
【0034】
パッドタイプ吸収性物品の前後方向両端部では、図3に示すように、液透過性シート22が吸収体23の前後端よりも前後両側にそれぞれ延在されて貼り合わされ、吸収体23の存在しないエンドフラップ部EFが形成されている。図示形態では、このエンドフラップ部EFのシート間にカバーシート40の前後端部が挟持されて、カバーシート40の前後端部が本体部1に着脱しないように固定されているが、カバーシート40をエンドフラップ部EFの表面又は裏面に固定したり、エンドフラップ部EF以外の部分に固定したりすることも可能である。前述のようにカバーシート40全体を着脱可能とする場合には、このような本体部1に対する固定は省略することができる。
【0035】
本形態のパッドタイプ吸収性物品においては、脚周りに対するフィット性を高めて横漏れを防止するために、本体部1の両側部に立体ギャザー24がそれぞれ前後方向に沿って延在されている。より詳細には、この立体ギャザー24は、折り返して二重にしたギャザーシート24s、及びギャザーシート24s間に設けられたギャザー弾性部材24gを構成要素とし、本体部1の側部に固定された付根部分24Aと、この付根部分24Aから本体部1の使用側に突出する突出部分24Bと、この突出部分24Bのうち前後端部にそれぞれ設けられた倒伏部分24Cと、突出部分24Bのうち前後の倒伏部分24C間に位置する非固定の自由部分24Fとを有しており、この自由部分24Fの少なくとも先端部に、ギャザー弾性部材24gを前後方向に伸張した状態で固定してなるものとなっている。
【0036】
ギャザーシート24sの素材としては、プラスチックシートやメルトブローン不織布を使用することもできるが、肌への感触性の点で、不織布にシリコンなどにより撥水処理をしたものが好適に使用される。また、ギャザー弾性部材24gとしては、糸状、紐状、帯状等に形成された、スチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコン、ポリエステル等、通常使用される素材を用いることができる。
【0037】
特徴的には、突出部分24Bは、付根部分24Aから幅方向中央側に向かって延出する基端側部分B1と、この基端側部分B1の先端から幅方向外側に折り返された先端側部分B2とからなっており、倒伏部分24Cには、基端側部分B1の内面と本体部1とを着脱可能に係止する基端側係止手段M1と、先端側部分B2の外面と基端側部分B1の外面とを着脱可能に係止する先端側係止手段M2とが設けられており、これら基端側係止手段M1及び先端側係止手段M2による係止により突出部分24Bの前後端部が倒伏状態で本体部1に対して固定される。
【0038】
基端側係止手段M1及び先端側係止手段M2としては、メカニカルファスナー(面ファスナー)のフック材(雄材)や粘着剤等を用いることができる。基端側係止手段M1は、基端側部分B1の内面に設けることが望ましいが、本体部1の外面(図示形態では液透過性シート22)に設けたり、双方に設けたりすることもできる。また、先端側係止手段M2は、先端側部分B2の外面に設けることが望ましいが、基端側部分B1の外面に設けたり、双方に設けたりすることもできる。
【0039】
使用後に使用面を変更する際には、図6及び図10に示すように、立体ギャザー24の基端側係止手段M1及び先端側係止手段M2による係止を外して、突出部分24Bを本体部1の反対側に裏返した状態で、再び基端側係止手段M1及び先端側係止手段M2をそれぞれ係止し、倒伏部分24Cを形成することにより、反対側の面に立体ギャザー24を移動させることができる。もちろん、立体ギャザー24は省略することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、パッドタイプ吸収性物品である限り、尿とりパッド等のパッドタイプ使い捨ておむつの他、生理用ナプキンにも利用可能である。
【符号の説明】
【0041】
B…背側部分、C…股間部、EF…エンドフラップ部、F…腹側部分、1…本体部、 21…液不透過性シート、22…液透過性シート、23…吸収体、23L…包装シート、23N…括れ部分、24…立体ギャザー、24A…付根部分、24B…突出部分、24C…倒伏部分、24g…ギャザー弾性部材、24s…ギャザーシート、30…ズレ止め部、40…カバーシート、41…ミシン目、42…カバーシート弾性部材。
図1
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図11