【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光化学反応方式を用いてオゾンを発生させる場合、これまでは、紫外線光源として低圧水銀ランプが用いられていた。しかしながら、この光源から放射される光には、オゾンを生成する波長と、オゾンを分解する波長が含まれる。このため、オゾンの生成と分解の反応が並列して発生し、更に、分解反応で生じた酸素原子がオゾンと反応してオゾンが減少するため、あまり高濃度のオゾンを発生することができないという課題がある。
【0006】
これに対し、オゾン発生用の光源として、オゾン分解波長を含まない光を放出するエキシマランプを用いることで、オゾン発生効率が高められると考えられる。そこで、本発明者らは、上記特許文献1に開示されている光照射装置をオゾン発生装置として利用することを検討した。
【0007】
図6は、特許文献1に開示されている光照射装置の模式的な斜視図である。光照射装置100は、筐体101の内部に区画壁103が設けられている。区画壁103によって、筐体101の内部は、電装体収容室110とランプ収容室120とに区画されている。区画壁103の端部103aは、筐体101の側壁101aに接触している。区画壁103の端部103bと、筐体101の側壁101bとの間には、連通路104が形成されている。
【0008】
電装体収容室110には、電装体111が収容されている。ランプ収容室120には、長尺状の発光管を含むエキシマランプ121が収容されている。筐体101の上壁101cには、エキシマランプ121に対応して光出射窓105が形成されている。電装体111は、エキシマランプ121を発光させるのに必要な電力をエキシマランプ121に対して供給する。
【0009】
筐体101の側壁101aのうち、電装体収容室110側の位置には送風機113が配置されている。また、筐体101の側壁101aのうち、ランプ収容室120側の位置には排気口123が設けられている。送風機113によって筐体101の外気(空気)が電装体収容室110内に吸引され、電装体111を冷却した後、区画壁103と筐体101の側壁101bとの間に設けられている連通路104に向けて流れる。その後、この空気は、連通路104を介してランプ収容室120内に流入し、エキシマランプ121の周囲を流れることで、エキシマランプ121を冷却した後、排気口123から排気される。
【0010】
エキシマランプ121から射出される光は、光出射窓105から外部に放射される。なお、エキシマランプ121の周囲では、空気に含まれる酸素からオゾンが一部不可避的に生成される。このオゾンは、エキシマランプ121を冷却した後の空気と共に、排気口123から排気される。つまり、ランプ収容室120内で発生されたオゾンは、電装体収容室110側に流入することなく、排気口123から外部へと放出されるため、オゾンによって電装体111が汚染、腐食することが防止される。
【0011】
ところで、上述したように、特許文献1はあくまで光照射装置に関するものであり、この点は、光出射窓105が設けられていることからも理解される。つまり、特許文献1に記載された装置において、オゾンは副次的に発生してしまうものである。本発明者らは、
図6に示す光照射装置100をオゾン発生装置として利用することを検討した。しかし、この構成では、排気口123から排出されるオゾンの量は、殺菌や脱臭といった、本来のオゾン発生装置が期待されている用途には不十分なものであった。
【0012】
単に排出されるオゾンの量を高めるという観点からは、送風機113のパワーを増大するという方法が考えられる。しかし、大型の送風機113を設置するためには、筐体101の表面積を大きくする必要があるため、
図6に示される光照射装置100よりも極めて大型化してしまう。
【0013】
本発明は、上記の課題に鑑み、大型の送風機を備えることなく、十分な量のオゾンを排出することのできるオゾン発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のオゾン発生装置は、
筐体と、
前記筐体で囲まれた空間を、少なくとも第一室と第二室とに隔てる壁体と、
前記筐体の一部に設けられ、前記筐体の外部と前記第一室とを連絡する第一開口部及び第二開口部と、
前記壁体内又は前記壁体の外側の位置に取り付けられ、前記第一室と前記第二室とを連絡する送風機と、
前記筐体の一部に設けられ、前記筐体の外部と前記第二室とを連絡する第三開口部と、
前記第二室内において、前記送風機と前記第三開口部との間に設けられ、紫外線の照射が可能な光源体と、
前記第一室内において、前記第一開口部と前記第二開口部との間の位置に設けられ、前記光源体を駆動するための電力を供給する電装体とを備えたことを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、送風機が駆動すると、第一開口部と第二開口部から第一室内に外気が取り込まれ、この外気は送風機によって第二室へ送り込まれる。第一開口部から取り込まれた外気は、電装体を冷却する。第一開口部から取り込まれ、電装体を冷却した後の外気と、第二開口部から取り込まれた外気は、送風機によって第二室へと送り込まれる。送風機は第一室と第二室を連絡する箇所に設けられているため、
図6に示す従来の構成と比べてその風量は多く、速度を有した状態で第一室へと送り込まれる。この外気に含まれる酸素の少なくとも一部は、光源体から放射される光が照射されることで、オゾンに変化する。このオゾンは、第三開口部から排出される。上述したように、第二室内を流れる気体は風量が多く風速も高いため、オゾンを含む気体が十分な風量を有した状態で装置外へ排出される。
【0016】
よって、本発明の構成によれば、
図6に示す従来の構成と同等のサイズの送風機を備える場合であっても、十分な量のオゾンを含む気体を装置外へと排出することができるため、小型のオゾン発生装置が実現される。
【0017】
また、この構成によれば、第二室内において、送風機側から第三開口部へと向かう流路が形成され、その逆向きの流路は排除される。そして、第一室と第二室とは壁体によって隔てられている。よって、第二室内において生成されたオゾンが、電装体が収容されている第一室内に流入することが抑制される。つまり、オゾンによって電装体が汚染、腐食するということが抑制される。
【0018】
また、この構成によれば、第二開口部から取り込まれた外気が電装体の周辺部を経由することなく第二室内に供給されるため、従来の構成よりも光源体を冷却する機能を高めることができる。
【0019】
上記構成において、前記送風機が駆動すると、
前記第一開口部を介して前記筐体の外側から前記第一室内に流入した気体を、前記電装体の配置位置を経由して前記送風機に向ける第一流路と、
前記第二開口部を介して前記前記筐体の外側から前記第一室内に流入した気体を、前記電装体の配置位置を経由させることなく前記送風機に向ける第二流路とが形成されるものとして構わない。
【0020】
また、上記の構成において、
前記第一開口部と前記第二開口部は、前記筐体の同一の第一面上に設けられており、
前記送風機は、前記筐体の前記第一面と、前記筐体の前記第一面に対向し前記第二室の外側に位置する第二面との間に設けられ、前記第一室から前記第二室に向けて、前記第一面に非平行な方向に送風可能に構成されているものとしても構わない。
【0021】
このような構成によれば、第二開口部から取り込まれた外気を、高い風速を有した状態で第一室内へと送り込むことができる。このため、第二室内で生成されたオゾンを含むガスを、高い風速を有したまま第三開口部から排出することができる。
【0022】
特に、前記送風機は、前記第一室から前記第二室に向けて、前記第一面に直交する方向に送風可能に構成されているものとしても構わない。
【0023】
上記構成において、
前記第一室内において、前記電装体を収容する電装体収容部と、
前記電装体収容部の内側と前記送風機とを連絡する第四開口部とを有し、
前記第一開口部は、前記筐体の外側と前記電装体収容部の内側とを連絡するように設けられており、
前記第四開口部の面積は、前記送風機の開口面積よりも小さいものとしても構わない。
【0024】
この構成によれば、第一開口部から取り込まれて電装体を冷却した後の外気のみならず、第二開口部から取り込まれて電装体を経由せずに送風機に向かう外気を、確実に第一室に送り込むことができる。第二開口部は、第一開口部よりも送風機に近い位置に配置されているため、第一室内に向かう気流の風速を高めることができる。これにより、第一室内で生成されたオゾンを含むガスを、高い風速を有したまま第三開口部から排出することができる。
【0025】
送風機の一次側(第一室側)の開口領域の面積と、送風機の二次側(第二室側)の開口領域の面積とは、同一であっても構わないし、異なっていても構わない。後者の場合、前記第四開口部の面積は、前記送風機の一次側の開口領域の面積よりも小さいものとすることができる。
【0026】
上記構成において、
前記送風機の開口面積は、前記第二開口部の面積と前記第四開口部の面積の合計よりも小さいものとしても構わない。
【0027】
この構成によれば、送風機の一次側に向かう流路の断面積の合計よりも、送風機の開口面積が小さくなるため、送風機から第一室に向かう気流の風速を高めることができる。これにより、第一室内で生成されたオゾンを含むガスを、高い風速を有したまま第三開口部から排出することができる。
【0028】
送風機の一次側(第一室側)の開口領域の面積と、送風機の二次側(第二室側)の開口領域の面積とは、同一であっても構わないし、異なっていても構わない。後者の場合、前記送風機の二次側の開口領域の面積が、前記第二開口部の面積と前記第四開口部の面積の合計よりも小さいものとすることができる。
【0029】
上記構成において、
前記電装体から前記光源体に電力を供給するための電源線を有し、
前記電源線は、前記光源体から見て、前記第三開口部よりも前記送風機側に配置されているものとしても構わない。
【0030】
この構成によれば、第一室内で生成されたオゾンを含むガスによって、電源線が汚染、腐食する事態を抑制できる。
【0031】
また、前記光源体は、前記筐体によって覆われており、当該光源体から射出される光が前記筐体の外側に放射されない構成であるものとしても構わない。