(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6288589
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】眼鏡の曇り防止具
(51)【国際特許分類】
A62B 18/02 20060101AFI20180226BHJP
A41D 13/11 20060101ALI20180226BHJP
【FI】
A62B18/02 C
A41D13/11 Z
【請求項の数】3
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2016-45155(P2016-45155)
(22)【出願日】2016年3月9日
(65)【公開番号】特開2017-158759(P2017-158759A)
(43)【公開日】2017年9月14日
【審査請求日】2017年9月22日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】716000916
【氏名又は名称】株式会社KDK
(72)【発明者】
【氏名】小林正
【審査官】
首藤 崇聡
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−171915(JP,A)
【文献】
実開平05−086360(JP,U)
【文献】
特開平11−128378(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3169177(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3115718(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62B 18/02
A41D 13/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスクと組み合わせて使用し、マスクの上部に装着する眼鏡の曇り防止具であって、前記マスクから漏出した呼気が、該マスクの前面を上昇する経路を遮断するために、不透過性の薄板からなる廂状の呼気上昇防止部材を備えることを特徴とする眼鏡の曇り防止具。
【請求項2】
前記呼気上昇防止部材をマスクと組み合わせて該マスク布面に装着するために、呼気上昇防止部材垂直部の前面に、面ファスナーのフック状起毛部、粘着テープ、針状の突起物、または挟み止め具等の装着部材を備えて、前記マスクの布面と略固定できることを特徴とする請求項1に記載の眼鏡の曇り防止具。
【請求項3】
前記呼気上昇防止部材の垂直部の背面に、呼気上昇防止部材と顔面との隙間を無くして呼気上昇防止部材と顔面との隙間から呼気が上昇することを防ぐために、弾力性と柔軟性の素材からなる漏れ防止部材を備えることを特徴とする請求項1に記載の眼鏡の曇り防止具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスクを着用したときに眼鏡が曇ることを防止する眼鏡の曇り防止具に関する。
【背景技術】
【0002】
眼鏡を使用している人がマスクを着用したときに、呼吸でマスクから排出された呼気が上昇し、呼気中の水蒸気が眼鏡のレンズに凝結して眼鏡を曇らせることがある。従来の眼鏡の曇り防止の多くは,マスクと顔面との隙間を無くしてマスクから漏れる呼気を止めることにより眼鏡の曇りを防止しようとするものである。
【0003】
また、呼気がマスク布面から漏出しないようにすることで眼鏡の曇りを防止しようとするものがある。特許文献1は、マスクの前面にカバーを取り付けてマスクとカバーの間に空間を作って空気の層で呼気の上昇を防ぐものである。特許文献2は、マスクの上半部分に空気遮断フィルムを被着して不透過性にしたものである。
【0004】
上記の眼鏡の曇り防止は、いずれもマスクの布面から漏出した呼気がマスクの前面を上昇して眼鏡に接触することを防がないので眼鏡が曇ることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実登3176570
【特許文献2】特開2009−066382
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これまでのマスク着用による眼鏡の曇り防止としては、マスクと顔面との隙間を無くすこととマスクの上部を不透過性にすることで、マスク上部から呼気が漏れ出さないようにしたものであり、マスクの布面から漏出した呼気がマスクの前面を上昇して眼鏡を曇らせることを防止するものは無かった。
【0007】
通常の呼吸で鼻から出た呼気は下方に吐き出されて拡散されるため
眼鏡を曇らせることは無いが、マスクを着用したときの呼気はマスクの布面から漏出して拡散すること無くマスクの前面を上昇する。このためにマスクから漏出した呼気中の水蒸気が眼鏡のレンズに凝結して眼鏡を曇らせている。このことを防ぐための眼鏡の曇り防止具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の眼鏡の曇り防止具は、マスクの布面から漏出してマスクの前面を上昇する呼気と、マスクと顔面の間から漏れて上昇する呼気の両方の上昇経路を遮断して、眼鏡に呼気が当たらないようにするものである。
【0009】
本発明は、マスクの布面から漏出してマスクの前面を上昇した呼気を眼鏡から遠ざけて拡散させることにより、眼鏡の曇りを防止できることを主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の眼鏡の曇り防止具の効果は、マスクの上部に装着された不透過性の薄板からなる廂状の呼気上昇防止部材で、呼気の上昇経路を遮断してマスクの前面を上昇する呼気を拡散させることにより、眼鏡のレンズに凝結する水蒸気が無くなることである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】眼鏡の曇り防止具の実施方法を示した断面図である。
【
図2】眼鏡の曇り防止具の実施方法を示した平面図である。
【
図3】眼鏡の曇り防止具をマスクに装着して着用した状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
眼鏡の曇り防止具は、呼気の上昇を防止するための水平部とマスクに取り付けるための垂直部によるL字型の不透過性素材からなる廂状の呼気上昇防止部材と、呼気上昇防止部材をマスクに装着させる装着部材と、呼気上昇防止部材と顔面との隙間を無くすための漏れ防止部材から構成される。
【0013】
呼気上昇防止部材の垂直部を、マスクの上部の顔面側に取り付けることにより眼鏡の曇り防止具はマスクの着用と同時に使用でき、マスクの耳掛けの張力で顔面に密着する。呼気上昇防止部材の水平部は、マスクから出た呼気の上昇経路を遮断して呼気を拡散させるため、眼鏡のレンズに呼気中の水蒸気が凝結することが無くなり、眼鏡の曇りを防止できる。
【0014】
眼鏡の曇り防止具は、通常使用されている様々な形状のマスクに装着が可能で有り、使い捨てのマスクに対して、脱着が可能なため繰り返して使用できる。
【実施例】
【0015】
本発明の眼鏡の曇り防止具10は、
図1及び
図2に示すように、廂状の呼気上昇防止部材1と、マスクに装着するための装着部材2と、顔面との隙間を無くすための漏れ防止部材3から構成される。
【0016】
眼鏡の曇り防止具10は、
図3に示すようにマスク20の顔面側に取り付けてマスクの着用と同時に顔面30にマスク20の耳掛けの張力で密着する。
【0017】
眼鏡の曇り防止具10をマスク20に装着する装着部材には、面ファスナーのフック状起毛部、粘着テープ、針状の突起物,挟み止め具などがある。これらのマスク20に装着するための装着部材2はいずれもマスク20の布面との脱着が可能であり、様々な形状のマスク20に繰り返して装着して使用できる。
【0018】
眼鏡の曇り防止具10と顔面30との隙間を無くすための漏れ防止部材3は、呼気上昇防止部材の垂直部1bと顔面30との間で、垂直部1bが鼻梁と頬の曲線に合わないことによる隙間をなくすように弾力性と柔軟性を持った適度な厚さの素材とする。また、マスク20の耳掛けの張力で変形するものとする。
【0019】
眼鏡の曇り防止具10の廂状の呼気上昇防止部材1は、垂直部1bを顔面に沿うような曲線形状にしておくとともに柔軟性を持って顔面との隙間が少なくなるように変形できるものとし、廂状の水平部1aは遮断した上昇する呼気が眼鏡から離れるように流れる形状であるとともに透明性の不透過素材からなる薄板で視界の支障にならずに軽量であることが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明の眼鏡の曇り防止具は、マスクを着用したときに眼鏡が曇ることで生じる視界不良を無くして、眼鏡を使用している人が運転中・仕事中・勉強中等の様々な状況で感じている危険・支障・不便・苛立ち等を解消させるものである。眼鏡が曇ることで生じる視界不良による、危険の防止・能率低下の防止・精神の安定に役立つものである。
市販されて使用して様々な形態のマスクに装着が可能で、繰り返して使用できるため使用範囲が広く便利で有用かつ経済的に活用できる。
【符号の説明】
【0021】
1 廂状の呼気上昇防止部材
2 廂状の呼気上昇防止部材をマスクに装着する装着部材。
3 廂状の呼気上昇防止部材と顔面との隙間を無くす漏れ防止部材。
1a 廂状の呼気上昇防止部材の水平部
1b 廂状の呼気上昇防止部材の垂直部
10 眼鏡の曇り防止具
20 マスク
30 横顔の輪郭