(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記駆動回路の各々は、定電流電源回路を有するセンサ駆動電流供給回路と、予熱電流供給回路と、当該センサ駆動電流供給回路および当該予熱電流供給回路のいずれか一方をガス検知器に接続する、ガス検知器の各々に対応する複数のスイッチ手段とを具えており、
前記管理装置は、前記予熱電流供給回路に、センサ駆動電流の大きさとの関係において設定された大きさの定電圧を入力することを特徴とする請求項2に記載のガス漏洩監視システム。
【背景技術】
【0002】
近年、冷凍空調機器の使用時におけるフロンガスの漏洩について、従来考えられていたよりもはるかに多くの量のフロンガスが運転中に漏洩していることが報告されており、フロンガス漏洩の発生原因としては、例えば、冷凍空調機器の設置時または整備時の不備、冷凍空調機器の稼働による経年劣化などが考えられている。
【0003】
冷凍空調機器等の冷媒として使用されるフロンガスは温室効果が極めて大きく、気候変動対策の観点から大気への放出を防止すること必要とされており、冷凍空調機器の使用時において、フロンガスの漏洩を監視することが求められている。
【0004】
例えば特許文献1の特開2011−174685号公報には、冷凍サイクルからのガス漏れを検知可能な位置に配置された複数のガス検知器と、これらのガス検知器が適宜の通信線を介して接続された集中管理装置とにより構成されたガス漏洩監視システムにおいて、集中管理装置によってガス漏れの検知状態を常時監視することにより冷凍空調機器からのガス漏れを検知する方法が示されている。
【0005】
而して、フロンガスの検出にあっては、半導体式ガスセンサが広く利用されている。半導体式ガスセンサは、その検知原理上、ガス測定に際してセンサ素子を特定の温度に保つことが必要されている。従って、特許文献1のようなガス漏洩を常時監視するシステムにおいては、すべてのガス検知器におけるガスセンサに対して規定の大きさの電流供給が必要となり、また、ガス検知器の各々に対応した複数の電源回路が必要となるため、消費電力が増大する、という問題がある。
【0006】
このような問題に対して、例えば特許文献2には、各々半導体式ガスセンサを具えた複数のガス警報器によるガス漏れ監視システムにおいて、半導体式ガスセンサに対する通電を常時行うことなく、所定のパルス通電インターバルで、半導体式ガスセンサに通電を行うことにより、消費電力量を低減する技術が記載されている。
また、例えば、単一回のガス検知において、検知対象ガスの存在が検出された場合であっても、これが真に検知対象ガスの存在によるものなのか否かの判断は、必ずしも確実とは言えないため、検知対象ガスの存在が複数回繰り返し確認された場合に、警報を発する動作モードに移行されることが記載されており、また、このような警報動作の制御によっても、消費電力を低減することができることが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、このようなガス漏洩監視システムによって冷凍空調機器のガス漏れを監視する場合には、警報が発せられるには、検知対象ガスの存在が複数回確認される必要があることから、検知対象ガスの漏洩がある程度の時間の間継続して生じている場合には、高い信頼性が得られるものの、例えば突発的なガス漏洩に対しては、実際にガス漏洩が生じているにもかかわらず、警報が発せられないという不具合が生ずるおそれがある。
【0009】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、複数のガス検知器により構築されるガス漏洩監視システムにおいて、省電力化を図ることができると共に、検知対象ガスの存在を、速やかに、かつ、高い信頼性をもって確実に検出することのできるガス漏洩監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のガス漏洩監視システムは、
冷凍空調機器からの冷媒ガスの漏れを監視するガス漏洩監視システムであって、
冷凍空調機器における互いに異なる測定ポイントに設置された複数のガス検知器を1つのグループとする複数のガス検知器群と、
前記ガス検知器の各々を作動モードと休止モードとを繰り返すよう間欠的に駆動し、かつ、前記ガス検知器群毎に、同一のガス検知器群に属するガス検知器を順次に連続して作動モードとする動作シーケンスを実行する管理装置と
を具えてなり、
互いに異なるガス検知器群に属し、同時に作動モードとされる複数のガス検知器が同一の測定ポイントに設置されており、
前記管理装置は、当該同一の測定ポイントに設置された二以上のガス検知器が共に検知対象ガスの存在を検出したときに、当該測定ポイントにおけるガス漏洩を確認することを特徴とする。
【0011】
本発明のガス漏洩監視システムにおいては、前記ガス検知器の各々は、半導体式ガスセンサを具えてなるものであり、
前記管理装置は、前記ガス検知器群の各々に対応する複数の駆動回路を具えており、当該駆動回路の各々は、同一のガス検知器群に属するガス検知器の各々に共有のものであって、作動モードにある一のガス検知器に、一定の大きさに制御されたセンサ駆動電流を供給しながら、休止モードにある他のガス検知器に、当該センサ駆動電流より小さい予熱電流を供給する構成とされていることが好ましい。
【0012】
さらにまた、本発明のガス漏洩監視システムにおいては、前記駆動回路の各々は、定電流電源回路を有するセンサ駆動電流供給回路と、予熱電流供給回路と、当該センサ駆動電流供給回路および当該予熱電流供給回路のいずれか一方をガス検知器に接続する、ガス検知器の各々に対応する複数のスイッチ手段とを具えており、
前記管理装置は、前記予熱電流供給回路に、センサ駆動電流の大きさとの関係において設定された大きさの定電圧を入力する構成とされていることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明のガス漏洩監視システムによれば、複数のガス検知器を1つのグループとしてグループ化された複数のガス検知器群毎に、ガス検知器におけるガスセンサの動作状態が制御されるので、規定の大きさのセンサ駆動電流を供給するための電源回路は、一のガス検知器群につき一のガス検知器に対するもののみでよく、従って、システム全体における電源回路の数を低減することができて、消費電力の低減を図ることができる。
しかも、同時に作動モードとされる互いに異なるガス検知器群に属する二以上のガス検知器が検知対象ガスの存在を検出したときに、当該ガス検知器が設置された測定ポイントにおけるガス漏洩が確認されるので、ガス漏洩を、速やかにかつ高い信頼性をもって確実に検出することができ、例えば突発的なガス漏洩にも対応することができる。
【0014】
また、作動モードとされる一のガス検知器におけるガスセンサにセンサ駆動電流が供給されながら、当該ガス検知器と同一のガス検知器群に属する他のガス検知器におけるガスセンサの各々に予熱電流が供給される構成とされていることにより、休止モードから作動モードに移行されたときに、ガスセンサの出力を安定させるために必要とされる暖機処理時間を大幅に短縮することができ、しかも、休止モード時に供給される予熱電流はセンサ駆動電流以下の大きさであるため、休止モード時にガスセンサに対する給電が停止されるよう間欠制御される構成のものに比して、システム全体として消費電力の低減を図ることができる。
【0015】
さらにまた、管理装置が、半導体式ガスセンサの休止モード時において、予熱電流供給回路に一定の大きさの電圧を入力する構成とされていることにより、ガスセンサに供給される予熱電流の大きさは、管理装置とガス検知器との設置位置との距離に応じた線路抵抗による電圧降下に依存することとなり、別個の電源回路を設けることなく、所期の大きさの予熱電流をガス検知器に供給することができ、消費電力が増大することを回避することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、例えば大型スーパーストアの冷蔵ショーケースなどの冷凍空調機器からの冷媒ガスの漏れを監視する場合を例に挙げて、詳細に説明する。
図1は、本発明のガス漏洩監視システムの一例における構成の概略を示すブロック図である。このガス漏洩監視システムは、例えば、互いに異なる測定ポイントに配置された複数のガス検知器10(a
1〜a
4,b
1〜b
4,c
1〜c
4,d
1〜d
4,e
1〜e
4)(以下、特定のものについて言及する場合を除いて、一部を省略して単に符号「10」を用いる。)と、これらのガス検知器10の各々が適宜の給電用/信号伝送用ケーブル18により接続された管理装置20とにより構成されている。
そして、このガス漏洩監視システムにおいては、各々複数のガス検知器10を1つのグループとする複数のガス検知器群15a〜15eが設定されている。この例においては、一のガス検知器群に属するガス検知器の数が4台、ガス検知器群の数が5つに設定されている。
【0018】
ガス検知器10としては、通電により加熱された状態において検知対象ガスに感応するガス感応素子を有するガスセンサ、例えば半導体式ガスセンサを具えたものが用いられている。
【0019】
管理装置20は、マイコン21と、ガス検知器群15a〜15eの各々に対応する複数のセンサ駆動回路30a〜30eと、警報報知機構55とを具えている。
【0020】
センサ駆動回路30aは、ガス検知器群15aに属するガス検知器10(a
1〜10a
4)の各々を、それぞれ、半導体式ガスセンサの暖機処理および当該暖機処理に連続してガス測定が行われる作動モードと休止モードとが繰り返して行われるよう、間欠的に駆動する機能を有する。センサ駆動回路30aは、作動モード時には、所定の大きさの定電流であるセンサ駆動電流をガス検知器10における半導体式ガスセンサに供給すると共に、休止モード時には、センサ駆動電流より小さい電流である予熱電流をガス検知器10における半導体式ガスセンサに供給する。
【0021】
センサ駆動回路30aは、
図2に示すように、ガス検知器10(a
1〜a
4)における半導体式ガスセンサ11にセンサ駆動電流を供給する定電流電源回路31を有するセンサ駆動電流供給回路35と、休止モードにあるガス検知器における半導体式ガスセンサ11に予熱電流を供給する予熱電流供給回路38と、センサ駆動電流供給回路35および予熱電流供給回路38のいずれか一方を選択的にガス検知器10a
1〜10a
4に接続する動作モード切り替えスイッチ401〜404とを具えている。
【0022】
センサ駆動電流供給回路35には、定電流電源回路31より供給すべきセンサ駆動電流(半導体式ガスセンサに供給される電流)の大きさを監視する電流検出回路32が接続されている。電流検出回路32の出力端子はマイコン21に接続されており、電流検出回路32よりの電流検知信号がマイコン21における電流検知信号入力端子21aに入力される。そして、電流検知信号に基づいて設定された電流調整信号がマイコン21より定電流電源回路31に入力されて供給電流の調整がなされる。21bは、マイコン21における電流調整信号出力端子である。
【0023】
予熱電流供給回路38における電源入力端子39には、ガス検知器10(a
1〜a
4)における半導体式ガスセンサ11に供給される予熱電流が、管理装置20とガス検知器10(a
1〜a
4)との間の線間抵抗による電圧降下によって、センサ駆動電流以下の大きさとなるよう設定された所定の大きさの定電圧が入力される。
【0024】
動作モード切り替えスイッチ401〜404は、ガス検知器群15aに属する複数のガス検知器10a
1〜10a
4の各々に対応して設けられている。各動作モード切り替えスイッチ401〜404は、a接点(常時開成)41およびb接点(常時閉成)42を具備しており、ガス検知器10(a
1〜a
4)は、a接点41を介してセンサ駆動電流供給回路35に接続されていると共にb接点42を介して予熱電流供給回路38に接続されている。そして、各ガス検知器10a
1〜10a
4は、対応する動作モード切り替えスイッチ401〜404を介して、センサ駆動電流供給回路35および予熱電流供給回路38に対して並列に接続されている。
各動作モード切り替えスイッチ401〜404におけるa接点41およびb接点42は、マイコン21より入力される動作モード切り替え信号によって、いずれか一方が閉成されるよう互いに連動して制御される。21c〜21fは、マイコン21における動作モード切り替え信号出力端子である。
【0025】
各ガス検知器10a
1〜10a
4におけるセンサ信号出力端子121〜124は、それぞれ、スイッチ手段45を介して信号処理回路50に接続されている。
各スイッチ手段45は、対応するガス検知器に係る動作モード切り替えスイッチのa接点41と連動して動作され、当該a接点41が閉成されることに伴って、スイッチ手段45が閉成される。そして、信号処理回路50よりの作動モードにあるガス検知器に係るガス検知信号は、マイコン21におけるガス検知信号入力端子21gに入力される。
【0026】
また、ガス検知器群15b〜ガス検知器群15eに係るセンサ駆動回路30b〜30eは、センサ駆動回路30aと同一の構成とされており、説明は省略する。
【0027】
而して、上記構成のガス漏洩監視システムにおいては、ガス検知器10は、例えば、冷凍サイクルにおける高温高圧ガス冷媒や高圧液冷媒が流れる配管及び機器の継手部分の近傍位置などに配置されるが、互いに同時に作動モードとされる互いに異なるガス検知器群に属する複数のガス検知器が同一の測定ポイントに設置されている。ここに、同一の測定ポイントに設置されるガス検知器は、少なくとも二台以上であればよく、各ガス検知器群15a〜15eのガス検知器(5台)が設置される必要はない。
【0028】
管理装置20は、同一の測定ポイントに設置された二以上のガス検知器が検知対象ガスの存在を検出したときに、当該測定ポイントにおけるガス漏洩を確認し、警報報知機構55に警報動作指令信号を出力する機能を有する。
ここに、ガス漏洩の確認は、同一の測定ポイントに設置されたすべてのガス検知器によって検知対象ガスの存在が検出される必要はないが、すべてのガス検知器によって検知対象ガスの存在が検出されることによって警報動作指令信号が発せられる構成とされることにより、警報動作について一層高い信頼性が得られる。
警報報知機構55としては、例えば警報音により警報を発するもの、発光により警報を発するものなどを用いることができ、また、複数の種類の警報報知機構が設けられた構成とされていてもよい。
【0029】
以下、上記のガス漏洩監視システムにおけるガス漏洩監視動作について説明する。
図3は、
図1に示すガス漏洩監視システムにおける各ガス検知器10の動作シーケンスを示すタイミングチャートである。
この例の動作シーケンスにおいては、例えば、すべてのガス検知器10の動作条件が同一であって、同一のガス検知器群に属するガス検知器が順次に連続して作動モードとされると共に、各ガス検知器群における一のガス検知器が同時に作動モードとされる。
【0030】
動作シーケンスについて、一のガス検知器群15aに着目して具体的に説明すると、マイコン21より動作モード切り替え信号が各動作モード切り替えスイッチ401〜404に入力される。例えば、作動モードとされるべき一のガス検知器10a
1に係る動作モード切り替えスイッチ401においては、a接点41が閉成されると共にb接点42が開成され、また、他のガス検知器10a
2〜10a
4に係る動作モード切り替えスイッチ402〜404においては、a接点41が開成され、b接点42が閉成される。
これにより、センサ駆動電流供給回路35における定電流電源回路31よりガス検知器10a
1に対してのみセンサ駆動電流が供給されて当該ガス検知器10a
1が作動モードされると共に、予熱電流供給回路38における電源入力端子39より定電圧が入力されることにより、同一のガス検知器群15aに属する他のガス検知器10(a
2〜a
4)の各々に対して予熱電流が供給されて当該ガス検知器10(a
2〜a
4)が休止モードとされる。
【0031】
そして、作動モードにあるガス検知器10a
1にあっては、先ず、半導体式ガスセンサ11の暖機処理が所定時間t1の間行われる。その後、半導体式ガスセンサ11の暖機処理に連続してガス測定が所定時間t2の間行われ、当該ガス検知器10a
1よりのガス検知信号がマイコン21に入力される。一方、休止モードにあるガス検知器10(a
2〜a
4)にあっては、半導体式ガスセンサ11の予熱処理が行われる。
【0032】
次いで、所定時間T
0が経過した後、マイコン21より動作モード切り替え信号が各動作モード切り替えスイッチ401〜404に入力されて、作動モードにあるガス検知器10a
1が休止モードに移行されるのと同時に、休止モードにある他のガス検知器の一が作動モードに移行される。すなわち、作動モードにあるガス検知器10a
1に係る動作モード切り替えスイッチ401においては、a接点41が開成されると共にb接点42が閉成され、また、休止モードにあるガス検知器10a
2に係る動作モード切り替えスイッチ402においては、a接点41が閉成され、b接点42が開成される。また、他のガス検知器10a
3,10a
4に係る動作モード切り替えスイッチ403,404においては、a接点41が開成されると共にb接点42が閉成された状態が維持される。
これにより、センサ駆動電流供給回路35における定電流電源回路31よりガス検知器10a
2に対してセンサ駆動電流が供給されて当該ガス検知器10a
2が作動モードされると共に、予熱電流供給回路38における電源入力端子39より定電圧が入力されることにより、同一のガス検知器群15aに属する他のガス検知器10(a
1,a
3,a
4)に対して予熱電流が供給されて当該ガス検知器10(a
1,a
3,a
4)が休止モードとされる。
【0033】
以上のような制御が繰り返して行われ、ガス検知器群15aに属するガス検知器10(a
1〜a
4)の各々が順次に連続して作動モードとされるよう間欠的に駆動される。
【0034】
また、他のガス検知器群15b〜15eについても、同一の動作シーケンスで各ガス検知器が動作される。
そして、この例においては、各ガス検知器群15a〜15eにおける一のガス検知器が同時に作動モード、より具体的にはガス測定状態とされるよう、同期がとられた状態(動作モードの切り替えタイミングが同一となる状態)で、各ガス検知器10の動作状態が制御される。
このように、このガス漏洩監視システムにおいては、ガス検知器群の各々において、一のガス検知器によるガス測定が行われながら、他のガス検知器に対する予熱処理が行われる。従って、ガス検知器10が休止モードから作動モードに移行されたときに、半導体式ガスセンサ11の検知原理上必要とされる半導体式ガスセンサ11の暖機処理に要する時間を短縮することができる。
【0035】
そして、同一の測定ポイントに設置された二以上のガス検知器によって検知対象ガスの存在が検出されたときに、管理装置20によって、当該測定ポイントにおけるガス漏洩が確認されて、警報報知機構55に対して警報動作指令信号が出力される。これにより、警報報知機構55が動作されて警報が発せられる。
【0036】
以上において、ガス検知器10の動作条件を示すと、作動モード時に供給されるセンサ駆動電流は、例えば130〜280mAの範囲内の大きさ、例えば167mAであり、暖機処理の時間t1は、例えば2〜10分間、例えば3分間であり、ガス測定の時間t2は、例えば1〜5分間、例えば2分間、作動モードの時間T0が3〜15分間、例えば5分間である。また、休止モード時に供給される予熱電流は、例えばセンサ駆動電流の60〜100%の範囲内の大きさである。一のガス検知器10についての間欠動作の周期Tは、例えば10〜60分間、例えば20分間である。
【0037】
而して、上記構成のガス漏洩監視システムによれば、複数のガス検知器10が1つのグループとしてグループ化された複数のガス検知器群15a〜15e毎に、ガス検知器10における半導体式ガスセンサ11の動作状態が制御されるので、センサ駆動電流を供給するための電源回路は、一のガス検知器群につき一のガス検知器に対するもののみでよく、従って、システム全体における電源回路の数を低減することができて、消費電力の低減を図ることができる。
しかも、同時に作動モードとされる互いに異なるガス検知器群に属する二以上のガス検知器が検知対象ガスの存在を検出したときに、当該ガス検知器が設置された測定ポイントにおけるガス漏洩が管理装置20によって確認されるので、ガス漏洩の有無を、速やかにかつ高い信頼性をもって確実に検出することができ、ある程度の時間の間継続して生じるガス漏洩だけでなく、突発的なガス漏洩にも対応することができる。
【0038】
また、作動モードとされる一のガス検知器における半導体式ガスセンサ11にセンサ駆動電流が供給されながら、当該ガス検知器と同一のガス検知器群に属する他のガス検知器における半導体式ガスセンサ11の各々に予熱電流が供給されるので、休止モードから作動モードに移行されたときに、半導体式ガスセンサ11の出力を安定させるために必要とされる暖機処理時間を大幅に短縮することができ、しかも、休止モード時に供給される予熱電流はセンサ駆動電流以下の大きさであるため、休止モード時に半導体式ガスセンサ11に対する給電が停止されるよう間欠制御される構成のものに比して、システム全体として消費電力の低減を図ることができる。
具体的には例えば、休止モード時に半導体式ガスセンサ11に対する給電が停止されるよう間欠制御されることの他は、本発明に係るガス漏洩監視システムと同一の構成を有するガス漏洩監視システム(参照ガス漏洩監視システム)においては、センサ駆動電流を167mAとしたとき、例えば120分間以上の暖機処理が必要となるのに対して、上述したように、本発明に係るガス漏洩監視システムにおいては、暖機処理時間は例えば3分間でよく、従って、システム全体では、本発明に係るガス漏洩監視システムは、参照ガス漏洩監視システムの30〜60%の消費電力に抑えることができる。
【0039】
そして、半導体式ガスセンサ11にあっては、その特性上、無通電時間が長くなるに従って必要とされる暖機処理時間が長くなる。従って、ガス検知器を上記の特定の動作シーケンスで動作させるガス漏洩監視システムは、半導体式ガスセンサ11を具えたガス検知器を用いた場合に極めて有用なものとなる。
【0040】
さらにまた、管理装置20が、ガス検知器10が設置される測定ポイントの各々と離れた位置に設置されており、半導体式ガスセンサ11の休止モード時において、予熱電流供給回路38に一定の大きさの電圧を入力する構成とされていることにより、半導体式ガスセンサ11に供給される予熱電流の大きさは、管理装置20とガス検知器10との設置位置との距離に応じた線間抵抗による電圧降下に依存することとなり、別個の電源回路を設けることなく、所期の大きさの予熱電流をガス検知器に供給することができ、消費電力が増大することを回避することができる。
【0041】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
例えば、一のガス検知器群に属するガス検知器の数は、ガス検知器群間で異なっていてもよい。
また、実際のガス漏洩監視システムにおいて、ガス検知器群の設定方法(グループ設定方法)は特に制限されるものではないが、例えば、給電用/信号伝送用ケーブルの長さが同等のものが同一のグループに含まれるよう設定することができる。
さらにまた、ガス検知器の具体的な制御条件は適宜に変更可能である。
さらにまた、本発明におけるガス検知器としては、通電により加熱された状態において検知対象ガスに感応するガス感応素子(検出素子)を有するガスセンサ、例えば、接触燃焼式ガスセンサなどを具えたガス検知器を用いることができる。また、検知対象ガスも、フロンガスに限定されるものではない。