特許第6288630号(P6288630)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6288630
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】スクリュープレス
(51)【国際特許分類】
   B30B 9/14 20060101AFI20180226BHJP
【FI】
   B30B9/14 G
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-557020(P2017-557020)
(86)(22)【出願日】2017年4月5日
(86)【国際出願番号】JP2017014270
【審査請求日】2017年10月30日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000176752
【氏名又は名称】三菱化工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096910
【弁理士】
【氏名又は名称】小原 肇
(72)【発明者】
【氏名】大森 一樹
(72)【発明者】
【氏名】桶谷 尚史
(72)【発明者】
【氏名】駒路 龍
【審査官】 貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開平8−208(JP,A)
【文献】 実開平5−70785(JP,U)
【文献】 中国特許出願公開第101244349(CN,A)
【文献】 特開平8−57692(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B30B 9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の濾過面を有する回転ドラムと、上記回転ドラム内に軸心に沿って設けられたスクリュー羽根を有するスクリューと、を備え、上記回転ドラムと上記スクリューの回転時に、これら両者を介して上記回転ドラム内に供給される被処理物を圧搾して固形分と分離液に固液分離するスクリュープレスであって、上記濾過面に付着する固形分を除去するシュー機構を上記スクリュー羽根の外周縁部に沿って設け、上記シュー機構は、上記濾過面に弾力的に摺接するシューと、上記シューを収納する収納体と、上記収納体内で上記シューを上記濾過面に弾力的に摺接させる弾性部材と、上記シューの上記収納体からの飛び出しを防止する飛び出し防止部材と、を有し、上記飛び出し防止部材は、上記収納体に取り付けられて上記シューを上記収納体内で揺動自在に支持するネジ部材として構成されていることを特徴とするスクリュープレス。
【請求項2】
上記シュー機構は、上記スクリュー羽根の外周縁部全周に亘って設けられていることを特徴とする請求項1に記載のスクリュープレス。
【請求項3】
上記シュー機構は、複数の上記シューを有し、上記複数のシューはいずれも円弧状の樹脂によって形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のスクリュープレス。
【請求項4】
上記シュー機構は、複数の弾性部材を有し、上記複数の弾性部材はバネ部材または弾性体によって形成された弾性部材の少なくともいずれか一方を含むことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のスクリュープレス。
【請求項5】
上記シューは、上記ネジ部材が遊嵌する孔を有することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のスクリュープレス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚泥等の被処理物を圧搾して固液分離するスクリュープレスに関し、更に詳しくは、圧搾後の固形分の回転ドラムへの堆積を防止するシュー機構を備えたスクリュープレスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種のスクリュープレスとしては例えば図5に示すものが知られている。図5は特許文献1に記載されたスクリュープレスを模式的に示したものである。従来のスクリュープレスMは、図5に示すように、円筒状の濾過面1Aを有する回転ドラム1と、この回転ドラム1の軸心に従って貫通するスクリュー軸2A及びスクリュー軸2Aの外周面に螺旋状に形成されたスクリュー羽根2Bを有するスクリュー2と、を備え、被処理物(例えば、汚泥)を圧搾して分離液と固形分に固液分離するように構成されている。
【0003】
回転ドラム1は、濾過面1Aの一端(図では左端)を閉じる左端面1Bと、濾過面1Aの右端に濾過面1Aより拡径して連設された拡径部1Cと、拡径部1Cの右端を閉じる右端面1Dと、を備えている。スクリュー軸2Aは、左端部が回転ドラム1の左端面1Bの中心を貫通していると共に右端部が右端面1Dの中心を貫通している。また、スクリュー軸2Aは、図5に示すように左端部に形成された中空部2Cと、回転ドラム1内で中空部2Cから開口する開口部2Dと、を有し、スクリュー軸2Aの左端から中空部2C内に汚泥が矢印Aで示すように供給され、回転ドラム1内のスクリュー軸2Aの開口部2Dから回転ドラム1内に流入するようになっている。
【0004】
スクリュー軸2Aは、回転ドラム1の左端面1Bの近傍から濾過面1Aの右端まで徐々に拡径するテーパ形状部と、拡径部1C内でテーパ形状部の最大径と同一径に形成された直胴部を有している。スクリュー羽根2Bは、テーパ形状部に形成されており、その外周と濾過面との間には細隙が形成されている。そして、スクリュー羽根2Bは、濾過面1Aの左側から右側に向けて徐々に螺旋間隔が狭くなり、拡径部1C側ほど圧搾力を強くする。
【0005】
スクリュー軸2Aの左右両端部には第1、第2の軸受3A、3Bがそれぞれ設けられ、スクリュー軸2Aが第1、第2の軸受3A、3Bで回転自在に軸支されている。回転ドラム1の左端面1Bの中心孔とスクリュー軸2Aの間には第3の軸受4Aが設けられている。また、回転ドラム1の右端面1Dの中心部にはスクリュー軸2Aを被覆する筒体1Eが連結され、この筒体1Eとスクリュー軸2Aの間に第4の軸受4Bが設けられている。第2の軸受3Bは、回転ドラム1の筒体1Eから延設された薄肉部を介してスクリュー軸2Aを軸支している。
【0006】
スクリュー軸2Aの左端部端には第1のスプロケット5Aが取り付けられていると共に回転ドラム1の筒体1Eの薄肉部の右端部端には第2のスプロケット5Bが取り付けられ、これらのスプロケット5A、5Bを介してスクリュー2と回転ドラム1がそれぞれ回転する。回転ドラム1はスクリュー2とは回転速度が異なる差動回転をする。
【0007】
また、回転ドラム1の濾過面1Aの右端と拡径部1Cの左端の間には濾過面1Aと同一径の直胴部1Fがあり、この直胴部1Fの右端とスクリュー軸2Aの直胴部のリング状の隙間が汚泥の圧搾処理後の固形分の排出口になっている。また、排出口からの固形分は拡径部1Cを経由して外部に排出されるため、以下では拡径部1Cを排出部1Cとして説明する。
【0008】
回転ドラム1の排出部1C内にはリング状を呈するプレッサー6Aが設けられており、このプレッサー6Aで排出口を塞ぎ、固形分に背圧を付与する。このプレッサー6Aは、排出口を塞ぐテーパ面を有するリング状に形成され、スクリュー軸2Aの直胴部が中央孔を貫通している。排出部1Cの外側にはリング状を呈するプレッサー押板6Bがプレッサー6Aと所定の間隔を空けて平行に設けられている。このプレッサー押板6Bの中央孔を回転ドラム1の筒体1Eが貫通しており、プレッサー押板6Bが筒体1Eに従って左右方向に摺動する。また、このプレッサー押板6Bは、複数のロッド6Cを介してプレッサー6Aに連結されている。プレッサー押板6Bは、駆動機構6Dを介して筒体1Eを左右方向に往復移動する。駆動機構6Dは、例えば加圧空気で作動するエアシリンダ6Dと、プレッサー押板6Bの外周縁部を挟む摺動部材6Dと、摺動部材6Dを支持する支持体6Dと、を有し、エアシリンダ6Dが加圧空気によってシリンダロッド6Dを伸縮させてプレッサー押板6Bを操作するように構成されている。
【0009】
プレッサー6Aによって排出口を閉じる場合には、駆動機構6Dを介してプレッサー押板6Bを実線位置から左方向の二点鎖線で示す位置まで移動させ、プレッサー6Aによって排出口を閉じ、回転ドラム1内でスクリュー2によって搬送されてくる固形分に背圧を付与する。この背圧は駆動機構6Dのエアシリンダ6Dの空気圧によって適宜設定することができる。回転ドラム1が回転すると共にプレッサー6Aが筒体1Eに従って往復移動する間に、摺動部材6Dが回転中のプレッサー押板6Bの外周縁部を摺動する。スクリュー2によって搬送される固形分からの圧力がプレッサー6Aからの背圧に打ち勝つと、プレッサー6Aが二点鎖線で示す位置から右方へ移動し、排出口を徐々に開放して排出部1Cから固形分を矢印Bで示すように外部へ排出する。
【0010】
尚、図5において、6Eは摺動部材6Dを円滑に直進させるガイド機構、7は回転ドラム1等を収納するハウジング、8は回転ドラム1の下方に形成された傾斜面からなる集水部、9は集水部8の中央部に形成された排水部である。また、回転ドラム1の濾過面1Aとハウジング7の上方の隙間には洗浄装置(図示せず)が濾過面1Aの全長に亘って設けられ、回転ドラムが回転している時に濾過面1Aを洗浄する。
【0011】
而して、スクリュープレスMの回転ドラム1及びスクリュー2が回転して汚泥を固液分離して固形分を徐々に強く圧搾しながら排出口へ搬送し、固形分がプレッサー6Aに達し、プレッサー6Aへの押圧力がその背圧に打ち勝った時、プレッサー6Aが排出口を開いて固形分を排出部1Cへ排出し、排出部1Cから矢印Bで示すように外部へ排出する。圧搾による分離水は、濾過面1Aから集水部8に集水され、排水部9から外部へ排出される。
【0012】
【特許文献1】特許第4373832号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、従来のスクリュープレスMが稼働し、汚泥の圧搾処理を長期間続けると、濾過面1Aに固形分が詰まり、やがて濾過面1Aの内面に堆積層が形成され、分離液の濾過が難しくなりその後の汚泥の圧搾ができなくなる虞があった。そのため、比較的短い時間でスクリュープレスMを止めて回転ドラム1内を清掃して堆積層を除去しなくてはならなかった。
【0014】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、濾過面への固形分の堆積を抑制、防止し、長時間に亘って連続運転することができるスクリュープレスを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の請求項1に記載のスクリュープレスは、円筒状の濾過面を有する回転ドラムと、上記回転ドラム内に軸心に沿って設けられたスクリュー羽根を有するスクリューと、を備え、上記回転ドラムと上記スクリューの回転時に、これら両者を介して上記回転ドラム内に供給される被処理物を圧搾して固形分と分離液に固液分離するスクリュープレスであって、上記濾過面に付着する固形分を除去するシュー機構を上記スクリュー羽根の外周縁部に沿って設け、上記シュー機構は、上記濾過面に弾力的に摺接するシューと、上記シューを収納する収納体と、上記収納体内で上記シューを上記濾過面に弾力的に摺接させる弾性部材と、上記シューの上記収納体からの飛び出しを防止する飛び出し防止部材と、を有し、上記飛び出し防止部材は、上記収納体に取り付けられて上記シューを上記収納体内で揺動自在に支持するネジ部材として構成されていることを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明の請求項2に記載のスクリュープレスは、請求項1に記載の発明において、上記シュー機構は、上記スクリュー羽根の外周縁部全周に亘って設けられていることを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明の請求項3に記載のスクリュープレスは、請求項1または請求項2に記載の発明において、上記シュー機構は、複数の上記シューを有し、上記各シューは円弧状の樹脂によって形成されていることを特徴とするものである。
【0018】
また、本発明の請求項4に記載のスクリュープレスは、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の発明において、上記シュー機構は、複数の弾性部材を有し、上記複数の弾性部材はバネ部材または弾性体によって形成された弾性部材の少なくともいずれか一方を含むことを特徴とするものである。
【0020】
また、本発明の請求項5に記載のスクリュープレスは、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の発明において、上記シューは、上記ネジ部材が遊嵌する孔を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、濾過面への固形分の堆積を抑制、防止し、長時間に亘って連続運転することができ、しかも長時間の使用でシュー機構のシューが損傷した場合には飛び出し防止部材として使用したネジ部材を介してシューを簡単に交換することができるスクリュープレスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明のスクリュープレスの一実施形態を全長に亘って示す断面図である。
図2図1に示すスクリュープレスのプレッサー駆動機構を示す断面図である。
図3】(a)、(b)はそれぞれ図1に示すシュー機構を拡大して示す図で、(a)は要部を示す正面図。(b)はスクリューの要部を拡大して示す軸方向の断面図である。
図4】(a)〜(c)はそれぞれ本発明の他の実施形態に係るシュー機構を拡大して示す図で、(a)は要部を示す正面図。(b)は(a)のB−B線方向の断面図、(c)は(a)のC−C線方向の断面図である。
図5】従来のスクリュープレスを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図1図4に示す実施形態に基づいて本発明を説明する。
本実施形態のスクリュープレス10は、例えば図1に示すように、円筒状の濾過面11Aの左端に形成された第1の端面(以下、「左端面」と称す。)11Bを有し且つ濾過面11Aの右端から延設された拡径部11Cの右端に第2の端面(以下、「右端面」と称す。)11Dを有する回転ドラム11と、回転ドラム11内で軸心を共有し回転ドラム11の両端面11B、11Dから外方へ突出するスクリュー軸12A及びスクリュー軸12Aの周面に螺旋状に形成されたスクリュー羽根12Bを有するスクリュー12と、を備え、回転ドラム11とスクリュー12が協働して被処理物(例えば、汚泥)を圧搾して固形分と分離液に固液分離し、分離液を濾過面11Aから排出すると共に固形分をスクリュー羽根12Bによって圧搾しながら後述の排出口まで搬送するように構成されている。
【0024】
図1に示すように、スクリュー軸12Aの両端部にはそれぞれ第1、第2の軸受13A、13Bがそれぞれ設けられ、これらの軸受13A、13Bによってスクリュー軸12A、即ちスクリュー12を回転自在に軸支している。第1、第2の軸受13A、13Bは、いずれも支持体S1、S2に固定されている。第2の軸受13Bは、後述するように隣接するロータリージョイントに連結されている。回転ドラム11の両端面11B、11Dそれぞれの中心孔にはスクリュー軸12Aとの間に介在する第3、第4の軸受14A、14Bが設けられ、これらの軸受14A、14Bによってスクリュー軸12Aにおいて回転ドラム11が回転自在に軸支されている。
【0025】
図1に示すように、回転ドラム11の右端面11Dの外面には第4の軸受14Bを囲む筒体11Eが連結され、この筒体11Eの右端にスプロケット15Aが設けられている。このスプロケット15Aには第1の駆動装置16Aが無端状のチェーン17Aを介して連結され、第1の駆動装置16Aがチェーン17A、スプロケット15Aを介して回転ドラム11を回転させる。スクリュー軸12Aの右端部にはスプロケット15Bが設けられていると共にスプロケット15Bには第2の駆動装置16Bが無端状のチェーン17Bを介して連結され、第2の駆動装置16Bがチェーン17B、スプロケット15Bを介してスクリュー12を回転ドラム11よりも速い回転速度で回転させる。
【0026】
また、スクリュー軸12Aは、図1に示すように回転ドラム11の濾過面11A内において左端面11Bの近傍から右側の拡径部11Cの近傍まで徐々に拡径するテーパ形状部12Aと、テーパ形状部12Aの右端からそれと同一径で拡径部11C内に延設された直胴部12Aと、を有している。従って、第1、第2、第3、第4の軸受13A、13B、14A、14Bはいずれもスクリュー軸12の両端部に設けられており、回転ドラム11がスクリュー軸12によって回転自在に軸支されている。スクリュー羽根12Bは、テーパ形状部12Aに螺旋状に形成され、排出部11Cに向かうほど螺旋間隔が狭くなっている。また、スクリュー羽根12Bの外周面と濾過面11Aの内周面との間には細隙が形成され、スクリュー羽根12Bの外周と濾過面11A間の隙間の寸法管理が比較的ラフで、製作時の寸法管理がしやすい。
【0027】
また、回転ドラム11の左端面11Bを貫通するスクリュー軸12Aの左端部は中空軸として形成されている。中空軸には回転ドラム11の左端面11Bの内側近傍に位置する開口部12Cが形成されている。汚泥は中空軸の左端開口から供給され、開口部12Cから回転ドラム11内に流入するようになっている。
【0028】
回転ドラム11の濾過面11Aの右端とスクリュー軸12Aの直胴部12Aの間にはリング状の隙間があり、この隙間から固形分が排出される。このリング状の隙間を以下では排出口として説明する。また、この排出口から排出される固形分は拡径部11Cを経由して後述のように外部へ排出される。そこで、以下では拡径部11Cを排出部11Cとして説明する。
【0029】
排出部11C内には固形分の排出口を開閉するプレッサー18が設けられ、プレッサー18によって排出口で固形分に背圧を付与するように構成されている。排出口において固形分の押し出し圧がプレッサー18からの所定の背圧に打ち勝つと、プレッサー18が排出部11C内で二点鎖線位置から右端面11D側の実線位置までへ移動して出口を徐々に開いて固形分を排出部11Cへ排出する。
【0030】
プレッサー18は、図1図2に示すように、リング状の排出口に先端側が侵入して排出口を閉じるテーパ面を有し、その中央孔をスクリュー軸12Aの直胴部12Aが貫通し、直胴部12Aを左右方向に移動するように構成されている。このプレッサー18は、回転ドラム11の外側に設けられた駆動機構19によって排出口において固形分に所定の背圧を付与すると共に排出口を開閉するように構成されている。
【0031】
駆動機構19は、図1図2に示すように、例えば回転ドラム11の右端面11Dの外側に互いに180°隔てた位置に設けられた2つのシリンダ機構(例えば、エアシリンダ)19Aと、これらのエアシリンダ19Aと配管19B、19Bを介して接続されたロータリージョイント19Cと、ロータリージョイント19Cと配管19Bを介して連結された空気源19Dと、を備えている。そして、2つのエアシリンダ19Aのシリンダロッド19Aの先端部にはそれぞれプレッサー18が連結されている。また、プレッサー18は、図1図2に示すように回転ドラム11の排出部11C内で右端面11Dとその対抗面との間に周方向等間隔を空けて配置された複数のガイドロッド19Eに連結され、これらのガイドロッド19Eを介して左右方向に円滑に移動案内するように構成されている。エアシリンダ19Aは、図1図2では一つだけ図示されている。また、本実施形態ではエアシリンダ19Aとして複動式エアシリンダが用いられている。本発明では単動式エアシリンダも用いることができる。
【0032】
従って、駆動機構19は、空気源19Dからロータリージョイント19Cを介してエアシリンダ19Aに加圧空気を供給するとシリンダロッド19Aが伸び、プレッサー18を固形分の排出口に向けて移動させて排出口を閉じる。この際、汚泥の種類等の特性に応じて加圧空気の圧力の大きさを適宜設定することにより固形分に付与する背圧を調整することができる。加圧空気の圧力を高く設定すればプレッサー18から固形分への背圧が大きくなって固形分の含水率が低下し、逆に加圧空気の圧力を低く設定すればプレッサー18から固形分への背圧が小さくなって固形分の含水率が高くなる。
【0033】
ロータリージョイント19Cは、図2に示すように第2の軸受13Bと第4の軸受14Bの間に介在している。このロータリージョイント19Cは、同図に示すように、第2の軸受13Bに連結された筒状の固定部19Cと、この固定部19Cに内面が摺接すると共に回転ドラム11の筒体11Eに連結された筒状の回転部19Cと、固定部19Cと回転部19Cの両端部間に介在する軸受19Cと、備え、回転部19Cが回転ドラム11と一緒に固定部19Cを中心にして固定部19Cに摺接しながら回転するように構成されている。筒状の固定部19Cとスクリュー軸12Aの間には細隙があり、スクリュー軸12Aが固定部19Cとの間に細隙を介して円滑に回転するようになっている。
【0034】
また、図2に示すように、筒状の固定部19Cには軸方向に加圧空気の通路が2本形成されていると共に、固定部19Cの外周面には2本の通路とそれぞれ連通する2つの環状溝が形成されている。即ち、通路と環状溝が連通路を介して連通している。また、回転部19Cには2つの環状溝とそれぞれ連通する2つの第1のポートが径方向に形成されていると共に、回転部19Cからはみ出した固定部19Cの右端部には固定部19Cの2本の通路それぞれに連通する第2のポートが径方向に2つ形成されている。固定部19Cの右端部の2つの第2のポートそれぞれには図1に示す空気源19Dの配管19Bに接続されたワンタッチ継手19C図2参照)が取り付けられ、回転部19Cの2つのポートにはエアシリンダ19Aとの2つの配管19Bにそれぞれ接続される2つのワンタッチ継手19Cが取り付けられている。エアシリンダ19Aの両端部には回転部19Cの2本の配管19B(図1参照)を接続するワンタッチ継手19Aが取り付けられ、空気源19D(図1参照)からの加圧空気がロータリージョイント19Cの第2のポート、通路及び第1のポートを介してエアシリンダ19Aの開閉用のポートに供給される。エアシリンダ19Aがプレッサー18を移動させて排出口を閉じ、排出口において固形分に背圧を付与する。
【0035】
ところで、回転ドラム11は、図1に示すようにハウジング20内に収納され、ハウジング20内の回転ドラム11の上方には濾過面11Aの全長に亘って洗浄装置21が設けられ、洗浄装置21から洗浄水を間欠的に噴霧して濾過面11Aを洗浄するようになっている。回転ドラム11の下方には傾斜面を有する集水部22が形成され、この集水部22の下端には排水管23が設けられている。従って、回転ドラム11からの分離水と洗浄水は集水部22において集水され、排水管23から外部へ排出される。
【0036】
而して、本実施形態に用いられるスクリュー12のスクリュー羽根12Bには、例えば図1及び図3(a)、(b)に示すように回転ドラム11の濾過面11Aに付着する固形分を除去するシュー機構30が設けられている。このシュー機構30は、図3の(a)、(b)に示すように、濾過面11Aに弾力的に接触する樹脂シュー31と、樹脂シュー31を収納するようにスクリュー羽根12Bの外周縁部の左側面(左端面11Bと対向する側面、即ちスクリュー12の汚泥供給側の側面)に固定された収納体32と、収納体32内で濾過面11A方向の弾力を樹脂シュー31に付与する弾性部材33(例えば、板バネ33A及び/または弾性ゴム33B)と、樹脂シュー31の収納体32からの飛び出しを防止する飛び出し防止部材(例えば、ネジ部材)34と、を有し、樹脂シュー31が弾性部材33によって付勢されて濾過面11Aに弾力的に接触している。シュー機構30はスクリュー羽根12Bの汚泥搬送とは反対側の面に設けられているため、汚泥との接触が少なく、汚泥による損傷が抑制される。尚、弾性部材33は板バネ33A及び/または弾性ゴム33Bからなるが、図3の(b)では便宜上弾性部材33をバネ状に示してある。
【0037】
シュー機構30は図3の(a)から想定されるようにスクリュー羽根12Bの外周縁部の左側面全長に亘って設けられていることが好ましい。従って、樹脂シュー31は、互いに隙間を介してスクリュー羽根12Bの全長に亘って複数配列されていることが好ましい。また、個々の樹脂シュー31はそれぞれの下面と収納体32間に介在する弾性部材33よって弾力が付与されている。
【0038】
樹脂シュー31は、図3の(a)、(b)に示すようにスクリュー羽根12Bの外周縁部に合わせた円弧状に形成され、例えば超高分子ポリエチレン等の合成樹脂によって形成されている。樹脂シュー31は摩耗し難い材料が好ましい。樹脂シュー31には左右の二か所に径方向の長孔31Aが形成されており、これらの長孔31Aはネジ部材34が遊嵌する大きさに形成されている。また、樹脂シュー31の両端の下部には切欠き部31Bが形成され、この切欠き部31Bに後述する板バネ33Aの一部が侵入するようになっている。このように板バネ33Aが樹脂シュー31と一体化しているため、シュー機構30をスクリュー羽根12Bに取り付ける際に樹脂シュー31及び板バネ33Aを一体化した状態で簡単に取り付けることができる。
【0039】
収納体32は、図3の(b)に示すように断面がコ字状でスクリュー羽根12Bの外周縁部の長さに合わせて形成されている。収納体32のスクリュー羽根12Bからの突出面には樹脂シュー31が収納体32内から飛び出さないようにするネジ部材34を通す孔が形成され、その奥の側面には孔に対応するネジ孔が形成されている。収納体32は、スクリュー羽根12Bの始端から終端まで連続的に形成されたものであっても複数に分割されたものであっても良い。本実施形態では収納体32はステンレス等の金属によって形成され、スクリュー羽根12Bの外周縁部に溶接等によって固定されている。複数の樹脂シュー31は、図3の(a)に示すように互いに隙間を空けて収納体32内に配列され、ネジ部材34を介して収納体32内に拘束された各樹脂シュー31がそれぞれ弾性部材33を介して濾過面11Aに弾接し、濾過面11Aに従って上下左右に円滑に摺動するようになっている。
【0040】
弾性部材33は、上述のように板バネ33A及び/または弾性ゴム33Bによって形成されている。弾性部材33としては、板バネ33A単独でも良いが、図3の(a)に示すように弾性ゴム33Bを板バネ33Aの間に所定間隔を空けて設けたものであっても良い。また、板バネ33Aは弾性部材であればコイルバネであっても良い。
【0041】
板バネ33Aは、側面形状が山形に波打って形成されていると共にその両端が山形の谷から上方に折り曲げてほぼコ字状に形成され、一つの樹脂シュー31に対して一つ用いられている。板バネ33Aは、図3の(a)に示すように2カ所の山が樹脂シュー31の下面に接すると共に中央の谷が収納体32の底に接して樹脂シュー31を弾力的に支持している。そして、板バネ33Aの両端のコ字状部が樹脂シュー31両端の切欠き部31Bに陥入するようになっている。板バネ33Aの側面形状は樹脂シュー31の切欠き部31Bの形状に即して変わる。
【0042】
弾性ゴム33Bは、図3の(a)に示すように収納体32内に装着された状態で樹脂シュー31の底面に沿って円弧状に湾曲していると共に上面中央に突起部が形成され、例えば樹脂シュー31二つに対して一つの弾性ゴムが用いられている。弾性ゴム33Bは、その突起部が左右の樹脂シュー31の切欠き部31Bによって形成された凹部に陥入し、その上面が左右の樹脂シュー31の底面に接するようになっている。つまり、弾性ゴム33Bで支持する樹脂シュー31と板バネ33Aで支持する樹脂シュー31は同一の樹脂シューを用いることができる。
【0043】
樹脂シュー31は、弾性部材33(板バネ33A及び/または弾性ゴム33B)を介して濾過面11Aに弾力的に摺接するように収納体32内で収納されているため、濾過面11Aと摺接する上面が経時的に摩耗する。樹脂シュー31の濾過面11Aとの摺接面は、その面が摩耗するほど濾過面11Aに馴染み、その後の摩耗を抑制することができる。樹脂シュー31が摩耗すれば弾性部材33によって徐々に上方に持ち上げられる。そして、樹脂シュー31の長孔の下面がネジ部材34に接触すれば、その後弾性部材33(板バネ33A及び/または弾性ゴム33B)が機能しないため、そうなる前に樹脂シュー31は適時新規の樹脂シュー31に交換される。
【0044】
次いで、本実施形態のスクリュープレス10の動作について説明する。
スクリュープレス10を始動させると、第1、第2の駆動装置16A、16Bが回転ドラム11及びスクリュー12を差動回転させると共に、プレッサー18が駆動機構19のエアシリンダ19Aを介して排出口に近づき、所定の圧力で排出口を閉じる。この間、図1に矢印Aで示すように汚泥がスクリュー軸12Aの中空軸から供給されて中空軸の開口部12Cから回転ドラム11内に流入する。汚泥が回転ドラム11内でスクリュー12のスクリュー羽根12Bを介して排出口に向けて搬送される間に徐々に狭くなるスクリュー羽根12Bの働きで徐々に強く圧搾されて固形分と分離水に固液分離される。固液分離後の固形分はスクリュー羽根12Bによって排出口へ搬送されると共に分離水は濾過面11Aから集水部22へ排出される。
【0045】
スクリュープレス10が駆動している間に、回転ドラム11の濾過面11Aの内周面に固形分が付着しようとするが、シュー機構30の樹脂シュー31が濾過面11Aに弾力的に摺接しているため、樹脂シュー31によって固形分が拭い取られて固形分が濾過面11Aの内周面に付着、堆積することが抑制、防止される。濾過面11Aでは固形分が除去されて濾過面11Aが清掃されるため、濾過面11Aの目詰まりが抑制され、濾過面積が長時間に亘って減少せず、分離液が濾過面11Aを円滑に透過して集水部22に排出される。そのため、濾過面11Aを洗浄する洗浄装置21の負荷が軽減される。
【0046】
スクリュープレス10がシュー機構30によって濾過面11Aでの固形分を除去しながら固液分離すると、固形分が回転ドラム11内に徐々に蓄積、搬送されてプレッサー18に達し、プレッサー18を押圧する。固形分の押圧力が徐々に増加してプレッサー18からの背圧に打ち勝つと、固形分の押圧力でプレッサー18が後退して排出口を開く。これにより、固形分が排出口から排出部11C内へ排出され、更に排出部から図1に矢印Bで示すように外部へ排出される。固形分の排出が終了すると、駆動機構19が駆動してプレッサー18が排出口へ進出し、排出口を閉じる。そして、汚泥の圧搾が継続される。
【0047】
固液分離が長時間継続するとシュー機構30の樹脂シュー31が徐々に摩耗する。しかし、樹脂シュー31は弾性部材33によって濾過面11Aに向けて弾力的に持ち上げられているため、樹脂シュー31は依然として濾過面11Aに弾力的に摺接し、しかも樹脂シュー31の摩耗によりその接触面が濾過面11Aに良く馴染んで濾過面11Aから固形分をより確実に除去することができ、樹脂シュー31自体の寿命が長くなる。樹脂シュー31の摩耗が進んだ場合には樹脂シュー31が適時交換される。
【0048】
以上説明したように本実施形態によれば、スクリュー羽根12Bの外周縁部にシュー機構30を設け、シュー機構30が樹脂シュー31、その収納体32、弾性部材33及びネジ部材34によって構成されているため、汚泥の固液分離によって生成した固形分が回転ドラム11の濾過面11Aに付着、堆積しようとしても、シュー機構30によって固形分が濾過面11Aから除去され、濾過面11Aでの固形分の堆積が抑制、防止され、濾過面11Aの安定した透過性を長く維持することができ、スクリュープレス10を長時間に亘って安定した運転を継続することができる。
【0049】
また、樹脂シュー31が濾過面11Aに弾力的に摺接し、樹脂シュー31の上端面が摩耗することがあっても、樹脂シュー31が弾性部材33(板バネ33A及び/または弾性ゴム33B)によって常に濾過面11Aに向けて弾力的に持ち上げられているため、樹脂シュー31が濾過面11Aに弾力的に摺接して固形分を安定的に除去し、濾過面11Aへの固形分の堆積が確実に抑制、防止される。樹脂シュー31の摩耗が進めば、適時ネジ部材34を外すことで樹脂シュー31が簡単に交換される。また、シュー機構30は複数に分割されることで回転ドラム11やスクリュー12に撓みが発生してもその形状に馴染み、そのまま汚泥処理を持続することができる。
【0050】
ネジ部材34が樹脂シュー31の長孔31Aに遊嵌して樹脂シュー31がネジ部材34を中心にして左右前後に自由に揺動するため、樹脂シュー31の全長に亘っ安定した弾力を維持して濾過面11Aに摺接することによって固形分が長時間に亘って万遍なく除去される。
【0051】
また、図4の(a)〜(c)はそれぞれ本発明の他の実施形態に係るシュー機構を示す図である。本実施形態に係るシュー機構40は、図4の(a)〜(c)に示すように、濾過面11Aに弾力的に接触する樹脂シュー41と、樹脂シュー41を収納するようにスクリュー羽根12Bの外周縁部の左側面に固定された収納体42と、収納体42内で樹脂シュー41に弾力を付与するように山形に形成された弾性部材(例えば、板バネ)43と、樹脂シュー41の収納体42からの飛び出しを防止するネジ部材44と、を有し、樹脂シュー41が板バネ43によって付勢されて濾過面11Aに弾力的に接触している。
【0052】
樹脂シュー41はスクリュー羽根12Bの外周縁に沿う円弧状に形成されており、左右の離間した位置に二つの長孔41Aが形成されている。これらの長孔41Aは、図3に示すものと同様にスクリュー羽根12Bの径方向に細長く形成されている。図4の(a)に示すように樹脂シュー41の下端中央には半円状の切欠き部41Bが形成され、この切欠き部41Bに山形の板バネ43の山部が侵入し、その頂部が切欠き部41Bの最奥部に弾接している。頂部の左右には谷部が形成され、これらの谷部が収納体42の底面に弾接している。従って、樹脂シュー41は収納体42内で板バネ43を介して常に上方に付勢されて、図4の(b)、(c)に示すように濾過面11Aに弾接している。
【0053】
樹脂シュー41は、図4の(a)〜(c)に示すように、図3に示す樹脂シュー31と同様に収納体42内で長孔41Aを介してネジ部材44に遊嵌し、収納体42内に揺動自在に拘束されている。この樹脂シュー41は、図3の(a)、(b)に示す樹脂シュー31と同様に収納体42内で板バネ43によって常時上方に付勢されているため、常時濾過面11Aに弾接し、樹脂シュー31と同様の性能を発揮する。また、樹脂シュー41の底面に切欠き部41Bを設け、この切欠き部41B内に板バネ43の山部が侵入するようにしたため、樹脂シュー41の幅を狭くして小型のスクリュー羽根12Bであってもシュー機構40を適合させることができる。
【0054】
図4の(a)〜(c)に示すシュー機構40は、一種類の樹脂シュー41と板バネ43を有するものについて説明したが、図3に示すシュー機構30のように弾性ゴム33Bを用いる樹脂シュー31を混在させたものであっても良い。本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果を期することができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、汚泥やスラリー等の被処理物を圧搾して固液分離する固液分離装置スとして利用することができる。
【符号の説明】
【0056】
10 スクリュープレス
11 回転ドラム
11A 濾過面
12 スクリュー
12B スクリュー羽根
30、40 シュー機構
31、41 樹脂シュー
31A、41A 長孔(孔)
32、42 収納体
33 弾性部材
33A、43 板バネ(弾性部材)
33B 弾性ゴム(弾性部材)
34、44 ネジ部材(飛び出し防止部材)
【要約】
濾過面への固形分の堆積を抑制、防止し、長時間に亘って連続運転することができるスクリュープレスを提供する。
本発明のスクリュープレスは、円筒状の濾過面11Aを有する回転ドラム11と、回転ドラム内11に軸心に沿って設けられたスクリュー羽根12Bを有するスクリュー12と、を備え、濾過面11Aに付着する固形分を除去するシュー機構30をスクリュー羽根12Bの外周縁部に沿って設け、シュー機構30は、濾過面11Aに弾力的に摺接する樹脂シュー31と、樹脂シュー31を収納する収納体32と、収納体32内で樹脂シュー31に弾力を付与する弾性部材33と、樹脂シュー31の収納体32からの飛び出しを防止する飛び出し防止部材(ネジ部材34と、を有する。
図1
図2
図3
図4
図5