【実施例】
【0037】
以下に本発明の方法の詳細について、細胞を処理する金属イオンの種類や濃度及びそのときの細胞生存率等を検討した実験方法及びその結果並びに典型的な細胞膜の切り出し方法である実施例等を挙げて説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0038】
[実施例1] NaClを用いたヒト細胞膜の切出し
MEM培地を用いて2×10
6個のHeLa細胞を10cmディッシュに播種した。約24時間後、300mMのTris-HCl(pH7.5)、100mMのNaCl、2mMのCaCl
2(緩衝液A)でディッシュ上の細胞を2回洗浄した。その後、緩衝液Aに1MのNaClを添加した浸漬液5mlをディッシュ上のHeLa細胞に添加して細胞を浸漬し、5%の炭酸ガス雰囲気下、37℃で30分間静置した。続いて、ディッシュ上において細胞の環境を、細胞から細胞膜の一部を切り出すための切出し液としての緩衝液A(5ml)で置換して、更に5%の炭酸ガス雰囲気下、37℃で30分間静置した。
【0039】
図1は、上記処理過程における細胞の形態を位相差顕微鏡(レンズ×20)で観察した結果を示す。左からMEM培地中のHeLa細胞の状態、これを浸漬液に30分浸漬した後の状態、及び緩衝液Aに置換して30分間静置した後の細胞の状態である。浸漬液に30分浸漬した後の状態では細胞の形態に大きな変化を生じないのに対し、その後に緩衝液Aで処理することで、細胞が破壊される一方で細胞膜の一部が切り出されて生じたと思われる球状物が生じた。
【0040】
上記球状物について確認を行うため、細胞膜染色用の色素により染色した細胞を用いて上記と同様の操作を行い、蛍光顕微鏡で観察した。つまり、MEM培地を用いて1×10
5個のHeLa細胞をガラスベースディッシュに播種し、約24時間後、細胞培養液MEM(1ml)に細胞膜蛍光ラベル試薬3,3’- ジオクタデシルオキサカルボシアニン過塩素酸塩(DiO)(1mg/ml)を10μl添加し、5%の炭酸ガス雰囲気下、37℃で10分間静置した。この細胞を使用して、上記と同様の操作で処理したものを、共焦点レーザー顕微鏡(対物レンズ60倍)(励起光488nm)で観察した。
図2には、その観察結果を示す。
図2から明らかなように、処理によって生じた球状物においては、その外縁に強い蛍光が観察されることから、立体的な球状の形態を有しており、細胞膜の一部が切出されてベシクル状となったものと推察された。
【0041】
[実施例2] 各種金属イオンを富化した浸漬液への浸漬後の細胞生存率
本発明において使用する浸漬液における各種金属イオンの細胞に対する影響を検証するため、以下の方法で各種金属イオンの濃度と浸漬後の細胞の生存率を検討した。MEM培地を用いてHeLa細胞をウェルプレートに播種した。約24時間後、300mMのTris-HCl(pH7.5)、100mMのNaCl、2mMのCaCl
2(緩衝液A)でウェルプレート上の細胞を2回洗浄した。その後、緩衝液Aに各種金属イオンの塩化物(NaCl,KCl、MgCl
2,CaCl
2,MnCl
2,CoCl
2,NiCl
2,CuCl
2,ZnCl
2,AlCl
3,FeCl
3)を添加して所定濃度とした浸漬液をそれぞれHeLa細胞に添加して細胞を浸漬し、5%の炭酸ガス雰囲気下、37℃で30分間静置した。続いて、ウェルプレート上においてMEM培地水溶液で細胞を洗浄して浸漬液を置換したのち、MTSアッセイキットのプロトコルに従って細胞の生存率を調べた。すなわち、所定量のMTS+PMSを含むMEMを細胞に加えて37℃、30分インキュベートした後、490nmの吸収光をマイクロプレートリーダで測定した。
図3には、MEM中のHeLa細胞のMTS活性を100%として、上記の方法で測定された各濃度で各金属イオン種を含む浸漬液に浸漬した後の細胞の生存率を算出した結果を示す。
【0042】
図3に示すように、使用した金属イオンの種類や浸漬液中での濃度に応じて、測定されるMTS活性が変化した。30分間の浸漬の際に、1価のアルカリ金属イオンでは1000mM以上の高濃度の水溶液に浸漬した場合でも高い細胞生存率が観察されると共に、2価のアルカリ土類金属イオンの場合にも生体内での濃度に対して顕著に高い500〜1000mM程度まで細胞が生存することが確認された。
【0043】
一方、遷移金属等では金属イオン種によって浸漬によって細胞の生存が困難になる濃度が変化し、Mn
2+,Co
2+,Ni
2+では300〜500mM程度まで細胞の生存率が認められるのに対して、Cu
2+,Zn
2+,Al
3+,Fe
3+では25mM程度以上で細胞の生存が困難になる傾向が観察された。
以下、各金属イオン種について、浸漬後にMTS活性が残存する濃度範囲を中心に、細胞膜の切り出しについて検討を行った。
【0044】
[実施例3] 各種金属イオンを含む浸漬液を用いた細胞膜の切り出し
実施例2で検討した各金属イオン種について、主に浸漬後にMTS活性が残存する濃度範囲の浸漬液を用いて細胞膜の切り出しを試みた。
MEM培地を用いてHeLa細胞をウェルプレートに播種した。約24時間後、300mMのTris-HCl(pH7.5)、100mMのNaCl、2mMのCaCl
2(緩衝液A)でウェルプレート上の細胞を2回洗浄した。その後、緩衝液Aに各種金属イオンの塩化物を添加して所定濃度とした浸漬液をそれぞれHeLa細胞に添加して細胞を浸漬し、5%の炭酸ガス雰囲気下、37℃で30分間静置した。続いて、ウェルプレート上で緩衝液Aにより各浸漬液を置換して、5%の炭酸ガス雰囲気下、37℃で30分間静置して細胞膜の切り出しを試みた。
【0045】
図4及び
図5には、上記により浸漬液に浸漬後に緩衝液Aに置換して静置した後の、各条件における細胞を位相差顕微鏡(レンズ×20)で観察した結果を示す。図中に示した各塩の濃度は、浸漬液における濃度と緩衝液Aにおける金属塩濃度を示す。
図4より明らかなように、1価及び2価の金属塩を含む浸漬液に浸漬した細胞では、金属イオン種により頻度の違いは見られるが、すべての場合について球状物(ベシクル)が観察された。一方、
図5に示したように3価の金属塩を含む浸漬液に浸漬した場合は、検討を行ったいずれのイオン種や濃度においても細胞膜の切り出しが観察されず、細胞の凝集等が認められた。
上記の結果より、1価又は2価の金属イオンを含む浸漬液にMTS活性が残存する程度の条件で浸漬した場合には、その後に緩衝液等に細胞を保持することで細胞膜の切り出しを生じる一方、主に3価の金属イオンを含む浸漬液に浸漬した場合には、MTS活性の有無によらず緩衝液中での細胞膜の切り出しを生じにくいものと考えられた。
【0046】
[実施例4] 浸漬液における金属イオンの濃度と、細胞膜の切り出し頻度の関係
細胞膜の切り出しが観察された1価又は2価の金属イオン種について、主にMTS活性が残留する範囲内に関して、浸漬液における濃度を変化した際の細胞膜の切り出し頻度の変化を以下の方法で検討した。
【0047】
MEM培地を用いてHeLa細胞をウェルプレートに播種した。約24時間後、300mMのTris-HCl(pH7.5)、100mMのNaCl、2mMのCaCl
2(緩衝液A)でウェルプレート上の細胞を2回洗浄した。その後、緩衝液Aに各種金属イオンの塩化物(6種類)を添加して所定濃度とした浸漬液をそれぞれHeLa細胞に添加して細胞を浸漬し、5%の炭酸ガス雰囲気下、37℃で30分間静置した。続いて、ウェルプレート上で緩衝液Aにより各浸漬液を置換して、5%の炭酸ガス雰囲気下、37℃で30分間静置し、それぞれの条件でウェルプレート上に観察された細胞について、形態に変化がないもの、細胞の切り出しに伴う球状物を生じたもの、その他の形態変化を生じたものに分けて細胞数を計測した。
【0048】
図6には、その結果を示した。
図6より、1価又は2価の金属イオンを含む浸漬液に浸漬した後に緩衝液に保持した際に、一般に浸漬液中の金属イオンの濃度が高まるに従って形態変化が見られない頻度が低下して細胞膜の切り出しとその他の形態変化が拮抗し、細胞膜の切り出しを生じる割合が増加する傾向が見られた。また、特にZn
2+の場合には、MTS活性が消失する50mM以上の濃度においても良好な細胞膜の切り出しが観察され、例えば、50mMでは90%以上の細胞から球状物(ベシクル)が得られることが明らかになった。
【0049】
[実施例5] 金属イオンの対イオン(陰イオン)の影響
本発明においては、浸漬液に金属イオン種とその対イオンである陰イオンが存在する。このため、上記で検討したCl
−イオン以外の陰イオンが浸漬液に存在する場合に関して、以下の検討を行った。
MEM培地を用いてHeLa細胞をウェルプレートに播種した。約24時間後、300mMのTris-HCl(pH7.5)、100mMのNaCl、2mMのCaCl
2(緩衝液A)でウェルプレート上の細胞を2回洗浄した。その後、緩衝液AにNaとKのそれぞれの臭化物とヨウ化物を添加して所定濃度とした浸漬液をそれぞれHeLa細胞に添加して細胞を浸漬し、5%の炭酸ガス雰囲気下、37℃で30分間静置した。
続いて、ウェルプレート上においてMEM培地水溶液で細胞を洗浄して浸漬液を置換したのち、MTSアッセイキットのプロトコルに従って実施例2と同様に細胞の生存率を調べた。
【0050】
また、上記浸漬液への浸漬後にウェルプレート上で緩衝液Aにより各浸漬液を置換して、5%の炭酸ガス雰囲気下、37℃で30分間静置し、それぞれの条件でウェルプレート上の細胞について位相差顕微鏡(レンズ×20)で観察した。
図7には、上記の結果を合わせて示す。
図7に示すように、Na,K共に、臭化物塩、ヨウ化物塩を用いた場合にも、上記で示した塩化物塩を用いた場合と同様の浸漬後の細胞生存率が観察された。また、細胞膜の切り出しに関しても、塩化物塩と同様に良好な切り出しが観察された。以上の結果から、本発明によって細胞膜の切り出しを行う際に使用する金属塩に関して、特に金属イオンの対イオンである陰イオンの種類は特に限定されないものと推察された。
【0051】
[実施例6] 浸漬液への浸漬による細胞膜中の酵素活性への影響の評価
本発明により切り出した細胞膜は、生存している細胞において細胞膜が果たす機能を体外において評価する際に使用されることが望まれる。この観点から、本発明による浸漬液への浸漬を行った後の細胞膜が有する酵素活性(ATPase活性)を以下の方法で評価し、浸漬液への浸漬を行わない未処理の場合と比較した。
【0052】
6−1 培養細胞からの細胞膜成分の回収
6−1−1 未処理の細胞からの細胞膜成分の回収
以下の方法により、本発明における浸漬液に浸漬しない未処理のHeLa細胞の細胞膜成分を回収した。つまり、MEM培地を用いて90%程度のコンフルエンシーに達したHeLa細胞(MEM培地)をディッシュ上に準備し、これを氷上で冷やした緩衝液B(50mMのTris−HCl(pH7.5)、50mMのNaCl)で2回洗浄した。続いて、緩衝液Bを加えてセルスクレーパーで細胞をプラスチックチューブに回収し、フレンンチプレス機(圧力:24000PSI)により細胞を破砕した。細胞破砕物を、4℃にて3500g×10分間遠心処理し、上澄みを回収した。この上澄み液を、540,000g×60分間、4℃で超遠心処理し、上澄みを除いた。遠心チューブ底に溜まった細胞膜成分のペレットを、緩衝液Bで2回洗浄した後に、500μlの緩衝液Bで再懸濁後、氷上でホモジナイズ処理した。
【0053】
6−1−2 金属塩を含む浸漬液に浸漬した細胞からの細胞膜成分の回収
以下の方法により、各種の金属塩を含む浸漬液に浸漬したHeLa細胞の細胞膜成分を回収した。つまり、MEM培地を用いて90%程度のコンフルエンシーに達したHeLa細胞をディッシュ上に準備し、この細胞を、300mMのTris−HCl(pH7.5)、100mMのNaCl、2mMのCaCl
2(緩衝液A)で2回洗浄した。続いて、緩衝液AにKCl,NaCl,ZnCl
2を、それぞれKCl:1M、NaCl:1M、ZnCl
2:20mMの濃度となるように添加した浸漬液を上記HeLa細胞に添加して浸漬し、5%の炭酸ガス雰囲気下、37℃で30分間静置して浸漬処理を行った。その後、処理した細胞の環境を緩衝液Bに置換したのち、セルスクレーパーで細胞をプラスチックチューブに回収し、上記未処理の細胞と同様に細胞を破砕して、細胞膜成分と緩衝液Bのホモジネートを得た。
【0054】
6−1−3 ホルムアルデヒドを用いて処理をした細胞からの細胞膜成分の回収
非特許文献1に記載の方法でホルムアルデヒドを含む溶液を用いて処理を行ったHeLa細胞について、上記未処理の細胞と同様の操作により、細胞膜成分と緩衝液Bのホモジネートを得た。
【0055】
6−2 細胞膜成分のタンパク質の定量
上記で得られたそれぞれの細胞の細胞膜成分の再懸濁液50μlについて、サーモサイエンティッフィック社のModified Lowry Protein Assay Kitを用いて、Lowry法により、各再懸濁液に含まれる細胞膜成分のタンパク量を定量した。
【0056】
6−3 ATPase活性の測定
細胞膜成分中のATPase活性は、ATPase酵素がATP加水分解により放出するリン酸を、マラカイトグリーンリン酸塩検出方法により検出した。すなわち、50mMのTris−HCl(pH7.5)、50mMのNaCl、5mMのATPを含む反応溶液200μlを準備し、上記6−2の定量結果に基づいて細胞膜成分25μgに相当する量の各再懸濁液を加え、37℃で反応を行った。反応時間経過後、マラカイトグリーン溶液に上記反応液50μlを加え、630nmの吸光度を測定し、計測した吸光度から遊離したリン酸の濃度を求めた。
求めた遊離リン酸の濃度から、単位細胞膜成分量あたりのATP活性を求めて、その結果を
図8に示す。
【0057】
図8に示すとおり、従来知られるように、本発明に係る処理を行わない未処理の細胞から取り出した細胞膜成分は、その取り出し後においても一定のATPase活性を示した。一方、本発明における浸漬液への浸漬を行った後の細胞から取り出した細胞膜成分においても一定のATPase活性を示すこと明らかである。つまり、1MのNa
+イオンを含む浸漬液中に30分の浸漬を行った細胞は、未処理の細胞に比べて80%以上のATP活性(酵素活性)を保持していることから、本発明により特にNa
+イオンを用いて切り出された細胞膜が高い膜タンパクの機能を維持していることが推察された。また、K
+を用いた場合には50%以上、比較的低濃度で細胞活性を消失させるZn
2+の場合でも約15%以上の酵素活性が維持されている。これに対して、従来知られたベシクル状の細胞膜の切り出しに用いられる条件でホルムアルデヒドを作用させた細胞においては、当該処理後に取り出された細胞膜において実質的にATP活性が観察されないことが示された。
【0058】
このことから、本発明により切り出された細胞膜においては実質的に膜タンパクの機能が維持されており、特にATPase活性の点からは本発明における浸漬液への浸漬を行わない細胞と比較して15%以上の活性を維持していることが示され、生体内における細胞膜の機能を体外において評価する際に有用であると推察される。
【0059】
[実施例7]細胞膜のGFPを用いた評価
本発明により切り出された細胞膜における膜タンパク質の機能を評価するため、GFP(緑色蛍光タンパク質)を用いた評価を以下のように行った。つまり、細胞膜に取り込まれたGFPが、膜タンパク質の立体構造や蛍光団が正常状態の時に蛍光を呈することを利用して、本発明により切り出された細胞膜の膜タンパク質を評価した。
【0060】
7−1 細胞膜移行シグナル融合GFPを発現したHeLa細胞の準備
MEM培地を用いてHeLa細胞をガラスボトムディッシュに播種した。24時間後、パルミトイル化膜移行シグナルを結合したGFPタンパク質をコードするプラスミドベクター(pAcGFP1−Mem Vector(登録商標)クローンテック社)を、遺伝子導入試薬FuGENE(登録商標)HD&6を用いて細胞に導入し、24時間後にパルミトイル修飾GFPの発現した細胞として、細胞膜切り出し実験に用いた。なお、
図9には、上記細胞を共焦点レーザー顕微鏡にて蛍光観察した結果を示す。GFPを発現させることにより、細胞の各部分に蛍光が生じることを確認した。
【0061】
7−2 ホルムアルデヒド処理をした細胞におけるパルミトイルGFPの蛍光観察
上記で準備した細胞を、非特許文献1に記載の方法でホルムアルデヒドを含む溶液を用いて処理を行ったHeLa細胞について、共焦点レーザー顕微鏡による観察を実施した。その結果、ホルムアルデヒドを添加直後にGFPの蛍光強度が減少し、30分程度で蛍光が消失することが観察された。
【0062】
7−3 本発明により切り出された細胞膜におけるパルミトイルGFPの蛍光観察
上記で準備した細胞を、300mMのTris-HCl(pH7.5)、100mMのNaCl、2mMのCaCl
2(緩衝液A)でガラスボトムディッシュ上で2回洗浄した。その後、緩衝液Aに20mMのZnCl
2を添加して所定濃度とした浸漬液を添加して細胞を浸漬し、5%の炭酸ガス雰囲気下、37℃で30分間静置した。細胞から細胞膜の一部を切り出すための切出し液としての緩衝液Aで置換して、更に5%の炭酸ガス雰囲気下、37℃で30分間静置して細胞膜の切り出しをおこなった。その後、ヴォルテックスによる振動処理を加えて細胞膜ベシクル懸濁液を得た。
【0063】
図10には、カバーガラスに載せた細胞膜ベシクル懸濁液中のベシクルを、共焦点レーザー顕微鏡にて蛍光観察を行った結果を示す。
図10に示されるように、ベシクル状の細胞膜にパルミトイルGFP由来と考えられる蛍光が観察された。なお、
図10(a)は、ベシクルがカバーガラスに接触して平面上になった部分、
図10(b)は、それ以外の部分に合焦して観察した結果である。
【0064】
以上の結果から、本発明によってパルミトイル修飾GFPの発現した細胞からベシクル状に切り出した細胞膜においては、切り出し後においてもGFPの蛍光が観察されることから、本発明により切り出された細胞膜においては膜タンパク質の構造や機能が維持されていると推察された。一方、公知例であるホルムアルデヒドを用いた細胞膜の切り出しによっては、パルミトイル修飾GFPの発現した細胞をホルムアルデヒドで処理した段階でGFPの蛍光が消失することから、切り出された後の細胞膜に含まれる膜タンパク質が失活するものと推察された。