(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1電極と前記水素ガスホルダの間に酸素ガスパッキンが配されていて、前記第2電極と前記酸素ガスホルダの間に水素ガスパッキンが配されている請求項2に記載のリバーシブル燃料電池蓄電池。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
二次電池は、蓄電することが可能である。また、出力特性に優れていて負荷追従性が良好である。しかし、負極及び正極の活物質の量は、電池の容積に依存する。このため、電池に蓄えることのできる電気容量には限界がある。そして、二次電池は、エネルギー密度を大幅に高めることは困難である。
【0008】
一方、燃料電池は、外部から供給される水素ガスあるいは酸素ガスを用いて発電(放電)する。このため、燃料電池は、二次電池が有するような、エネルギー密度の限界に関する問題はない。しかし、燃料電池は、放電時の負荷変動に対する追従性に劣るので、負荷変動の大きい用途に適用することが困難であり、通常は二次電池やキャパシタなどの蓄電装置と組み合わせて使用されることが多い。さらに、燃料電池はガス拡散電極という気体と液体と固体が同時に接触する線を反応の空間にしているため、反応空間が少なく、反応速度が遅いという構造的特徴がある。これを解決するために白金のような高価な触媒が必要であるなどの課題を抱えている。
【0009】
さらに、燃料電池に用いられる水素ガス等の燃料ガスは、水素製造装置(例えば特許文献1)から取り出されるのであるが、発生するガスは水素と酸素との比率が2:1となるブラウンガスである。このため、安全性の確保に注意が必要となる。
【0010】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、エネルギー密度が高く、負荷追従性に優れたリバーシブル燃料電池蓄電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記した目的を達成するために、本発明に係るリバーシブル燃料電池蓄電池は、水酸化ニッケルを含む第1電極と、水素吸蔵合金を含む第2電極と、標準電極電位が前記第1電極の標準電極電位より小さく、かつ、前記第2電極の標準電極電位よりも大きい第3電極と、前記各電極の間に介在するイオンは通すが電子は通さないセパレータとを備え、前記第1電極、前記第2電極および前記第3電極は穴を有している。
この構成において、第3電極は第1電極と前記第2電極に間に配置されている。なお、リバーシブル燃料電池蓄電池とは燃料ガスと電気エネルギーを可逆的に変換することができる蓄電が可能な燃料電池のことをいう。
【0012】
本発明に係るリバーシブル燃料電池蓄電池は、前記第1電極をアノードとする酸化反応と前記第3電極をカソードとする還元反応により、
前記第1電極から発生する酸素ガスを保有する酸素ガスホルダと、前記第2電極をカソードとする還元反応と前記第3電極をアノードとする酸化反応により、前記第2電極から発生する水素ガスを保有する水素ガスホルダとを備えている。
リバーシブル燃料電池蓄電池は、満充電状態の第1電極をアノードとする酸化反応により第1電極から酸素が発生し、満充電状態の第2電極をカソードとする
還元反応により第2電極から水素が発生する。電気的エネルギーを酸素および水素の化学的エネルギーに変換する。
この構成において、発生した水素ガスおよび酸素ガスは、混合することなく、それぞれ個別に水素ガスホルダおよび酸素ガスホルダに保存されるので、両者が接触してブラウンガスが発生することがなく、安全の確保がなされている。また、水素ガスホルダおよび酸素ガスホルダに貯蔵された水素ガスおよび酸素ガスの化学エネルギーは、電池の放電時に電気エネルギーに再変換して利用することができる。
【0013】
本発明に係るリバーシブル燃料電池蓄電池は、前記第2電極と、前記第3電極の間にガス不透過セパレータが配されている。また、本発明に係るリバーシブル燃料電池蓄電池は、前記ガス不透過セパレータが前記セパレータの間に挟まれている。更に、本発明に係るリバーシブル燃料電池蓄電池は、前記ガス不透過セパレータの開孔径が1μm以下である。
【0014】
本発明に係るリバーシブル燃料電池蓄電池は、前記第1電極と前記水素ガスホルダの間に酸素ガスパッキンが配されていて、前記第2電極と前記酸素ガスホルダの間に水素ガスパッキンが配されている。
【0015】
本発明に係るリバーシブル燃料電池蓄電池は、前記第1電極の穴に内接する第1電極集電体が設けられ、前記3電極の穴に内接する第3電極集電体が設けられ、前記第2電極の周縁に外接して第2電極集電体が設けられている。
【0016】
本発明に係るリバーシブル燃料電池蓄電池は、
前記第1電極、前記第2電極および前記第3電極は、いずれも略円板状であって、前記第2電極の周上の一部に切欠きが設けられていて、前記第2電極と前記第2集電体との間に前記水素ガスホルダが形成され、前記第1電極と前記第3電極に接続され、前記第1電極の穴と前記第3電極の穴で形成される内方空間を2分する隔壁を有していて、前記内方空間の一方が前記酸素ガスホルダであり他方が電解液を保有する電解液ホルダである。
【0017】
本発明に係るリバーシブル燃料電池蓄電池は、前記水素ガスを前記第2電極に供給し、前記酸素ガスを前記第3電極に供給することにより発電を行う。
この構成において、本発明に係るリバーシブル燃料電池蓄電池は、前述した酸化還元反応により発生する酸素ガスおよび水素ガスを用いて発電することが可能であり、外部から供給された酸素ガスおよび水素ガスでも発電することができる。
【0018】
本発明に係るリバーシブル燃料電池蓄電池は、前記第3電極が二酸化マンガンを含んでいる。また、本発明に係るリバーシブル燃料電池蓄電池は、前記第3電極が水酸化ニッケルを、更に、含んでいる。
この構成において、第3電極を二酸化マンガンとすることにより、安価にリバーシブル燃料電池蓄電池を構成することができる。また、第3電極に水酸化ニッケルを添加することにより、出力特性および寿命特性に優れた電極を得ることができる。
【0019】
本発明に係るリバーシブル燃料電池蓄電池は、前記第1電極の基板および前記第3電極の基板がニッケルメッキ鋼板であり、前記第2電極の基板がニッケルフォームである。
【0020】
本発明に係るリバーシブル燃料電池蓄電池は、前記第2電極の外周部に前記水素吸蔵合金が塗工されていない。また、本発明に係るリバーシブル燃料電池蓄電池は、前記第1電極および前記第3電極の内周部に活物質が塗工されていない。
【0021】
本発明に係るリバーシブル燃料電池蓄電池は、前記第1電極、前記第2電極及び前記第3電極に交流電源が接続されている。この構成によれば、第1電極および第2電極の表面に濃度勾配が成長する時間的余裕が少なく、濃度勾配による過電圧を抑制することができる。高効率の水電解を実現することが可能となる。
【0022】
本発明に係るリバーシブル燃料電池蓄電池は、前記交流電源の一方の端子に前記第3電極が接続され、前記交流電源の他方の端子と前記第1電極の間に前記交流電源への電流を阻止する方向に第1ダイオードが接続され、前記交流電源の他方の端子と前記第2電極の間に前記交流電源からの電流を阻止する方向に第2ダイオードが接続されている。
この構成によれば、第1ダイオードのアノードと交流電源の他方の端子とが接続され第1ダイオードのカソードと第1電極が接続され、第2ダイオードのカソードと交流電源の他方の端子とが接続され第2ダイオードのアノードと第2電極が接続されることになる。
【0023】
本発明に係るリバーシブル燃料電池蓄電池は、前記交流電源の周波数が0.01〜60Hzである。この構成において、交流電源の周波数が0.01〜2Hzであることがより好ましい。
【0024】
以上のように、本発明に係るリバーシブル燃料電池蓄電池によれば、水素ガスおよび酸素ガスを別個に蓄える空間、すなわちホルダを設けることにより充電時に供給された電気エネルギーをガスとして貯蔵し、電気エネルギーに再変換して利用することが可能となる。このため、本リバーシブル燃料電池蓄電池は、外部に取り出すことができる電気エネルギーは、各ホルダに化学エネルギーとして蓄えられており、電極材に含まれる活物質の量に依存しないので高エネルギー密度化を図ることが可能となる。
【0025】
また、従来の密閉型二次電池においては過充電時に熱として廃棄されていたエネルギーを電気エネルギーとして再利用できるので、エネルギー利用効率が向上する。
更に、二次電池の電極反応を介して電気エネルギーを入出力するので、従来の燃料電池と比較して、充電が可能となるとともに負荷変動に対する追従性が大幅に改善される。しかもこのような電池を、ガス供給のための追加の部材・装置を要しない簡単な構造を採用することによって、安価に製造・供給することが可能となる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の第3電極を備えたリバーシブル燃料電池蓄電池は、エネルギー密度が高く、負荷追従性に優れたことを特徴とする。また、酸素を発生する反応と水素を発生する反応を分けることにより、水素ガスと酸素ガスが混合することがなく、安全性が高い。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係る実施形態を図面に従って説明するが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、その他種々の変更が可能である。
【0029】
リバーシブル燃料電池蓄電池の詳細な説明に移る前に、主要な構成要素である電極および電池の基本部品について説明し、その後にリバーシブル燃料電池蓄電池について説明を行う。なお、以降説明の都合上、第1電極を正極と称し、第2電極を負極と称し、第3電極を中間電極と称することにより、課題を解決するための手段の記載と整合を図るものとする。
【0030】
<正極活物質>
正極活物質は、水酸化ニッケルが好ましい。また、高容量化を達成しやすいことから、正極活物質は、嵩密度が大きなもの、例えば球状のものが好ましい。
【0031】
<水素吸蔵合金>
負極に含まれる水素吸蔵合金は、水素の吸蔵・放出が行えるものであれば特に限定されない。例えば、希土類系合金であるAB5型、ラーベス相合金であるAB2型、チタン−ジルコニウム系合金であるAB型、マグネシウム系合金であるA2B型などの合金系が挙げられる。
【0032】
このうち、水素貯蔵容量、充放電特性、自己放電特性およびサイクル寿命特性の観点から、AB5型の希土類−ニッケル合金である、MmNiCoMnAlのミッシュメタルを含んだ5元系合金であることが好ましい。
【0033】
<中間電極の活物質>
中間電極の標準電極電位は正極と負極の標準電極電位の間となるような活物質が望ましい。正極活物質である水酸化ニッケルの標準電極電位は0.480Vであり、負極の水素吸蔵合金の標準電極電位は−0.828Vなので、中間電極の標準電極電位は−0.828〜0.480Vの範囲にあればよい。中間電極の活物質としてはカドミウム、亜鉛、鉛、二酸化マンガンなどを挙げることができる。この中でも価格、環境への負荷などを考慮すると、二酸化マンガンが最も適切である。二酸化マンガンを活物質とする中間電極の標準電極電位は0.15Vであり、上記範囲内に適合する。二酸化マンガンは埋蔵量も豊富で水酸化ニッケルの価格の1/5〜1/10である。後述するように、中間電極を導入することにより、反応に必要な水酸化ニッケルの量も大幅減らすことが可能である。
【0034】
中間電極は、二酸化マンガンに加えて水酸化ニッケルを含んでいてもよい。中間電極に水酸化ニッケルを添加することにより、出力特性および寿命特性に優れた電極を得ることができる。
【0035】
<結着剤>
結着剤としては、例えば、ポリアクリル酸ソーダ、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、エチレン−ビニルアルコール、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)を含む。結着剤は添加されなくてもよく、必要に応じて添加されればよい。
活物質、結着剤および導電助剤等の電極材料の合計を100重量%とした場合、各電極に配合される結着剤の重量比は、0.1〜10重量%で配合されていることが好ましい。
【0036】
<導電助剤>
導電助剤は、導電性を有する粉末であればよい。この導電助剤は、例えば、黒鉛粉末、アセチレンブラックおよびケッチェンブラックなどの、カーボン粉末であってもよい。ニッケルファイバーであってもよい。ニッケルファイバーは耐久性があり長寿命が期待できる。ニッケルファイバーは炭素繊維やオレフィン繊維にニッケルメッキを施して製作することができる。オキシ水酸化ニッケルであってもよい。オキシ水酸化ニッケルは過充電に強いが高価である。活物質、結着剤および導電助剤等の電極材料の合計を100重量%とした場合、各電極に配合される導電助剤の重量比は、0.1〜10重量%の範囲で配合されていることが好ましい。導電助剤は添加されなくてもよく、必要に応じて添加されればよい。
【0037】
<基板>
正極および負極の基板は電子の透過性があるがガス透過性がない金属であることが望ましい。一方、中間電極の基板は電子の透過性とガスの透過性を有していることが好ましい。そこで、正極の基板にニッケルメッキ鋼板を用い、負極の基板にニッケルメッキ鋼板を用い、中間電極の基板にニッケルフォームを用いた。
【0038】
[正極]
活物質として水酸化ニッケル、導電助剤としてニッケルファイバー、および、結着剤としてエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)を用い、その配合割合は重量比で100:5:5とした。粉末状の正極材料を混合してペースト状に混練して、このペーストを基板の両面に塗布または充填することにより塗工して、乾燥後にローラープレスで基板を圧延して正極を製作した。なお。基板としてニッケルメッキ鋼板を用いたが、ニッケルメタルやニッケルメッキ箔であってよく、形状も三次元形状もしくは板状であってもよく、活物質を両面に塗工してもよい。
【0039】
[負極]
活物質として水素吸蔵合金、導電助剤としてニッケルファイバー、および、結着剤としてエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)を用い、その配合割合は重量比で100:15:10とした。粉末状の負極材料を混合してペースト状に混練して、このペーストを基板の両面に塗布または充填することにより塗工して、乾燥後にローラープレスで基板を圧延して負極を製作した。なお。基板としてニッケルメッキ鋼板を用いたが、ニッケルメタルやニッケルメッキ箔であってよく、形状も三次元形状もしくは板状であってもよい。
【0040】
[中間電極]
活物質として二酸化マンガン、導電助剤としてニッケルファイバー、および、結着剤としてエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)を用い、その配合割合は重量比で100:15:10とした。粉末状の中間電極材料を混合してペースト状に混練して、このペーストをニッケルフォームの基板に充填することにより塗工して、乾燥後にローラープレスで基板を圧延して中間電極を製作した。なお。基板としてニッケルファイバーを用い、形状を箔状もしくは板状としてもよい。
【0041】
[電解質]
本発明で用いられる電解液は、水電解で通常用いられているアルカリ水溶液であれば特に限定されないが、例えば、水酸化カリウム(KOH)、水酸化リチウム(LiOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)等のアルカリ物質を一種単独もしくは二種以上を水に溶かしたものが好適である。電池の出力特性の観点から、電解液は水酸化カリウム水溶液であることが好ましい。これらの電解液におけるアルカリ物質の濃度は、1〜10mol/Lであることが好ましく、3〜8mol/Lがより好ましい。
【0042】
[セパレータ]
セパレータは、電子は通さずプロトンを透過させる。セパレータの形態としては、微多孔膜、織布、不織布、圧粉体が挙げられ、このうち、出力特性と作製コストの観点から不織布が好ましい。セパレータの材質としては、特に限定されないが、耐アルカリ性を有し、耐酸化性、耐還元性を有するセパレータであることが好ましい。例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリイミド(PI)、ポリアミド、ポリアミドイミド、アラミド、ポリエチレン、ポリプロピレン等の材料が挙げられる。
【0043】
厚さは10〜500μmの範囲のものが好ましく、20〜100μmの範囲のものがより好ましい。厚さが10μm以下であるとレアショートの可能性が大きくなり、500μm以上であると電気抵抗が大きくなり、熱損失が増加する。本実施例においては厚さ150μmのポリプロピレン製の不織布を採用した。セパレータは、負極で発生する水素ガスが透過するために、開孔径は10μm以上であることが好ましい。
【0044】
ガス不透過セパレータは、水素ガスや酸素ガス、特に水素ガスを透過させない。形態としては、微多孔膜、不織布、圧粉体が挙げられ、このうち、出力特性と作製コストの観点から不織布が好ましい。セパレータの材質としては、特に限定されないが、耐アルカリ性を有し、耐酸化性、耐還元性を有するセパレータであることが好ましい。例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリイミド(PI)、ポリアミド、ポリアミドイミド、アラミド、ポリエチレン、ポリプロピレン等の材料が挙げられる。
【0045】
ガス不透過セパレータは、開孔径が1μm以下であることが好ましい。繊維径が1μm程度の不織布をプレスにより圧縮して、厚さ24μmとしたが、21〜27μmの範囲で適宜選定してもよい。繊維径が小さい不織布を圧縮しているので、開孔径は小さく電解液に濡れるとガスを通さない。不織布の代わりにイオン交換樹脂膜を用いてもよい。
【0046】
[電池本体]
本発明に係るリバーシブル燃料電池蓄電池の構造について図を用いて説明する。
図1はリバーシブル燃料電池蓄電池の側面図である。リバーシブル燃料電池蓄電池1は、直方体の内部に電池本体が格納されてなる。すなわち、角形の合成樹脂製の筒状の外装3と外装3の両端に取付けた蓋部材4により覆われた空間の内部に、円筒形の電池本体が収納されている。蓋部材4a、4bは、外装3の両端の開口部を塞ぐ形で取り付けられていて、左右の蓋部材4と外装3は4本のボルト5により一体に組み立てられている。
【0047】
左右の蓋部材4の正面図をそれぞれ
図2A、
図2Bに示す。一方の蓋部材4aには、後述する酸素ホルダ、水素ホルダおよび電解液ホルダに連通する各接続口6a,b,cが設けられている。他方の蓋部材4bには、正極、負極および中間電極と電気的に接続された各端子7a,b,cがそれぞれ設けられていて、これら端子7を介して外部機器と接続する。
【0048】
リバーシブル燃料電池蓄電池の電池本体2の構造について
図3〜5を用いて説明する。なお
図3は、
図1におけるA−A断面であって、電池本体2の軸方向に直角な断面を模式的に表した図面である。
図5Aおよび
図5Bは、それぞれ、
図3におけるB−B断面およびC−C断面図であって、電池本体2の軸方向の断面を模式的に表した図面である。
【0049】
図3に示すように、電池本体2は、正極11、負極12、中間電極13と、これら電極の間に介在するセパレータ14を主な構成要素として、筒形の負極集電体27の内部に収納されて構成されている。
【0050】
正極11、負極12と中間電極13はセパレータ14を介して電池本体2の軸方向に積層して負極集電体27の内方空間に収納されている(
図5参照)。セパレータ14は電解液を保持していて、各電極間の絶縁を図るとともに、イオンの透過を可能にしている。中間電極12は、ガスが透過できるようニッケルフォームの基板に水素吸蔵合金を充填して成形されている。負極12は、外径が負極集電体27の内径より少し大きい略円板状であって、180度離れた周上の一部を切り取った形状を有している。負極12の外周は、切り取った部分を除き負極集電体27の内面に当接して、両者は電気的に接続されている。負極12の切り取った部分と負極集電体12の間の切欠部には水素ガスホルダ24が形成されている。
【0051】
正極11および中間電極13は、共に、中央に穴のあいた略円板状である。正極11の穴の周縁には、正極11と当接するように正極集電体26が配されている。また、中間電極13の穴の周縁には、中間電極13と当接するように中間電極集電体28が配されている。正極集電体26および中間電極集電体28は、共に、半円より小さい円筒の一部で構成されている。そして、正極集電体26と中間電極集電体28とが位置的に干渉しないように取り付けられているので、正極11と中間電極13が接触して電気的に短絡を生ずることはない。
【0052】
正極集電体26と180度離れた位置に取付けられた中間電極集電体28とは、絶縁性の隔壁21により機械的に互いに接続されている。隔壁21は、両者の位置を保持する役割を果たす。正極11の穴と中間電極13の穴で形成される内方空間は、隔壁21により2分され、一方の空間が酸素ガスホルダ22を、他方の空間が電解液ホルダ23を形成する。
【0053】
負極12で発生する水素ガスと正極11で発生する酸素ガスが互いに接触しないように、水素ガスホルダ24の内方と正極11の外方の間にリング状の
酸素ガスパッキン18が設けられている。同様に、酸素ガスホルダ22の外方と負極12の間にリング状の水素ガスパッキン17が設けられている。
【0054】
従来技術の電極は基板の両側全面に渡って活物質が塗工されているが、充放電により活物質が膨張すると、塗工部が基板端面より膨出して、電気抵抗の高い塗工部が集電面となるという問題があった。この問題を解決するために、本実施例では塗工方法を工夫した。
【0055】
正極11、中間電極13および負極12の平面図を、それぞれ、
図4A、
図4B、および、
図4Cに示す。正極11および中間電極13は、いずれも、穴の一部が穴の内方に伸びる突出部11p、13pを有している。突出部11p、13pは半円よりも小さい。正極11および中間電極13は、突出部11p、13pを除き活物質が塗工されている。すなわち、正極11および中間電極13は、活物質が塗工された部分11a,13aと基板の状態で未塗工の部分11p、13pとを有している。
【0056】
そして、正極11の突出部11pと正極集電体26が当接するように組み立てられ、中間電極13の突出部13pと中間電極集電体28が当接するように組み立てられる。電極の突出部11b、13bは活物質が未塗工なので、活物質の体積が変動しても、塗工部が基板を超えて移動することがない。正極11および中間電極13の集電は電気抵抗の小さい基板において行われる。
【0057】
負極12は水素吸蔵合金が塗工された部分12aと基板の状態で未塗工の部分12pを有している。すなわち、負極12の外周は未塗工なので、水素吸蔵合金の体積が変動しても、塗工部が基板の切断面を超えて移動することがなく、集電は電気抵抗の低い基板の切断面にて行われる。
【0058】
各電極は、
図5Aに示すように、正極11、中間電極13、負極12、正極11の順に電池本体2の軸方向(
図5Aの上下方向)に積層されている。各電極11,12,13は、基板11p、12p,13pとその上に塗工された活物質層11a,12a,13aから構成されている。正極11と負極12、および、正極11と中間電極13の間にはセパレータ14が配置されていて、イオンの透過を許容しつつこれら電極間の絶縁を図っている。負極12と中間電極13の間には、2枚のセパレータ14にサンドイッチされた形でガス不透過セパレータ15が配されている。ガス不透過セパレータ15は、負極12で発生する水素ガスが中間電極13に流れるのを防ぐ。これは、正極11と中間電極13との反応により中間電極13から発生する酸素ガスと、負極12で発生する水素ガスが触れるのを防ぐ役割を果たす。
【0059】
正極11および中間電極13の外周端部は、リング状の酸素ガスパッキン17により覆われている。これは、中間電極13で発生する酸素ガスが水素ガスホルダ24の水素ガスと直接接触するのを防ぐと共に、中間電極13と正極11の間のセパレータ14を介して中間電極13で発生する酸素ガスが水素ガスホルダ24の水素ガスと接触するのを防ぐ。
【0060】
また、負極12の穴の周縁部は、リング状の水素ガスパッキン18により覆われている。これは、負極12で発生する水素ガスが酸素ガスホルダ22の酸素と接触するのを防ぐ。このようなガスパッキン17,18にはポリプロピレンを素材とするものを用いた。絶縁性を有し、耐アルカリ性、耐酸化性、耐還元性を有する素材であればポリプロピレンに限定されない。
【0061】
正極11の基板11pはニッケルメッキ鋼板でありガスを透過しないので、基板の外周端部を酸素ガスパッキン17により覆う必要がない。また、負極12の基板12pはニッケルメッキ鋼板でありガスを透過しないので、基板の穴の周縁部を水素ガスパッキン18により覆う必要がない。
【0062】
正極11および中間電極13の内方空間は隔壁21により区分されていて、一方が酸素ガスホルダ22であり、他方が電解液ホルダ23であることは前述した通りである。なお、
図5Aは、正極集電体26の方向を見た図であり、
図5Bは、中間電極集電体28の方を見た図である。
【0063】
上記のように構成されたリバーシブル燃料電池蓄電池の動作について、水電解モード、燃料電池作動モードおよび二次電池作動モードに分けて説明する。
【0064】
(水電解モード)
水電解モードは、水の電気分解と電極反応を利用して水素ガスと酸素ガスが発生するモードである。このモードでは、負極12からは水素ガスが、正極11からは酸素ガスがそれぞれ発生するが、これら水素ガスおよび酸素ガスは、互いに接触することなく、別個に酸素ガスホルダ22および水素ガスホルダ24にそれぞれ貯蔵される。
水電解モードについて、酸素ガスの発生ステップと水素ガス発生ステップに分けて、反応式を用いて説明を行う。
【0065】
(STEP1)
このステップは酸素発生反応ステップである。正極11に直流電源(図示せず)のプラス極(以下、単にプラス極という)を接続し、中間電極13に直流電源のマイナス極(以下、単にマイナス極という)を接続して正極11の充電を行った場合、正極11の反応式は(1)式となる。
Ni(OH)
2 + OH
- → NiOOH + H
2O + e
- (1)
そして、正極11が満充電になると、(2)式の反応式により正極11から酸素が発生する。
2OH
- → 2e
- + H
2O + 1/2O
2 (2)
一方、中間電極の反応式は(3)式となる。
MnO
2 + H
2O + e
- → MnOOH + OH
- (3)
そして、正極と中間電極の満充電前の全反応式は、
(1)式と(3)式から(4)式となる。
MnO
2 + Ni(OH)
2 → MnOOH + NiOOH (4)
ここで、中間電極13の放電が進むと不可逆物質である四三酸化マンガン(Mn
3O
4)が発生するので、四三酸化マンガンの発生する手前で反応を停止する。中間電極13の寿命を考慮した措置である。
満充電後の全反応式は(2)式と(3)式から(5)式となる。
2MnO
2 + H
2O → 2MnOOH + 1/2O
2 (5)
【0066】
(STEP2)
このステップは水素生成反応ステップである。中間電極13にプラス極を接続し、負極12にマイナス極を接続して負極12の充電を行った場合、負極12の反応式は水素吸蔵合金をMで表すと(6)式となる。
2M + 2H
2O +2e
- → 2MH + 2OH
- (6)
そして、負極12が満充電になり水素吸蔵合金が水素を吸蔵しなくなると、(7)式の反応式により負極12から水素が発生する。
2H
2O + 2e
- → 2OH
- + H
2 (7)
一方、中間電極13は、水酸化イオンを取り込んで充電され、反応式は(8)式となる。
2MnOOH + 2OH
- → 2MnO
2 + 2H
2O + 2e
- (8)
中間電極13が満充電となると、反応を停止する。
このとき、中間電極13と負極12の全反応式は(9)式となる。
2MnOOH → 2MnO
2 + H
2 (9)
STEP1とSTEP2を含めた、正極11、中間電極13および負極12の全反応は(10)式となる。
H
2O → H
2 + 1/2O
2 (10)
【0067】
以降、STEP1を実施することにより正極11からは酸素ガスが発生し、発生した酸素ガスは酸素ガスホルダ22に貯えられる。つぎに、STEP2を実施することにより負極12からは水素ガスが発生し、発生した水素ガスは水素ガスホルダ24に貯えられる。
上記水素生成反応の特徴は、酸素生成反応において水を電気分解して生じた水素を水素吸蔵合金に貯えておき、電極の酸化還元反応を利用して水素を取り出すことにある。
【0068】
上記STEP1とSTEP2の反応を繰り返し行うことにより、水素ガスと酸素ガスとを時間差をおいて発生させることができる。時間差を設けることにより、水素と酸素を高い純度を維持した状態で簡単かつ安全に分離・捕集することができる。ここで注目すべきことは、酸素および水素の発生量はそれぞれ(5)式および(7)式で示す通り、水酸化ニッケルおよび水素吸蔵合金の量により規制されるところ、ステップ1とステップ2とを繰り返すことにより、酸素および水素の発生を継続的に行うことができる。つまり、安価な第3電極(中間電極)を導入することにより、反応に必要な正極活物質と負極活物質の量を減らすことが可能となる。
【0069】
(燃料電池作動モード)
燃料電池作動モードは、水素ガスホルダ24および酸素ガスホルダ22にそれぞれ貯蔵された水素ガスおよび酸素ガスにより発電を行うモードである。また、各ホルダに貯蔵された水素ガスおよび酸素ガスにより、負極12および正極11をそれぞれ充電するモードも含まれる。水素ガスおよび酸素ガスは燃料ガス発生モードで蓄えた水素ガスおよび酸素ガスを使用してもよく、他所で製造された燃料ガスを使用してもよい。以下、燃料電池作動モードについて、反応式を用いて説明を行う。
【0070】
負極12は水素ガスホルダ24に貯えられた水素ガスにより充電することができる。その反応式を(11)式に示す。
2M + H
2 → 2MH (11)
また中間電極13は酸素ガスホルダ22に貯えられた酸素ガスにより充電することができる。その反応式を(12)式に示す。
4MnOOH + O
2 → 4MnO
2 + 2H
2O (12)
負極12および中間電極13が充電状態にあれば、電池ユニット20は燃料電池として発電することができる。
このとき、負極12および中間電極13の反応式は、それぞれ、(13)式および(14)式となる。
2MH + 2OH
- → 2M + 2H
2O + 2e
- (13)
2MnO
2 + 2H
2O + 2e
- → 2MnOOH + 2OH
- (14)
酸素還元反応速度は水素酸化反応速度よりも遅く、反応速度に差がある。しかし、ここで述べているリバーシブル燃料電池蓄電池は、二酸化マンガンを活物質とする中間電極の電極容量は、水素吸蔵合金を活物質とする負極の電極容量より大きく調製されているので、全体の反応速度は負極および中間電極においてバランスがとれたものとなる。
【0071】
負極および中間電極は、それぞれ、水素ガスおよび酸素ガスにより充電されると同時に、充電状態にある負極および中間電極が放電することにより燃料電池は発電を行うことができる。すなわち、負極において(11)式の充電反応が生じると共に、(13)式の放電反応が生じて、負極全体として(15)式に示す反応となる。
H
2+ 2OH
- → 2H
2O + 2e
- (15)
このとき負極の水素吸蔵合金は触媒的な働きをすることになる。
また、中間電極において(12)式の充電反応が生じると共に、(14)式の放電反応が生じて、中間電極全体として(16)式に示す反応となる。
1/2O
2 + H
2O + 2e
- → 2OH
- (16)
このとき中間電極の二酸化マンガンは触媒的な働きをすることになる。
【0072】
(二次電池作動モード)
二次電池作動モードは、二次電池として充放電を行うモードである。自然エネルギー発電等の外部電源を利用して充電して、自然エネルギーの発電量が低下したときに放電して電力需給調整を行う用途に用いることができる。以下、二次電池作動モードについて、反応式を用いて説明を行う。
正極および負極は、外部電源により充電することができる。正極の反応式を(17)式に、また負極の反応式を(18)式に示す。
Ni(OH)
2 + OH
- → NiOOH + H
2O + e
- (17)
2M + 2H
2O +2e
- → 2MH + 2OH
- (18)
充電状態の正極および負極は放電により外部負荷に対して電力を供給することができる。その反応式は、上記(17)式と(18)式の逆の反応となる。
【0073】
更に、水電解モードのSTEP1とそれに続くSTEP2の反応が終了した状態において、正極および負極は共に充電状態にあり、放電により外部負荷に対して電力を供給することができる。このときの正極の反応式を(19)式に、負極の反応式を(20)式に示す。
NiOOH + H
2O + e
- → Ni(OH)
2 + OH
- (19)
MH + OH
- → M + H
2O + e
- (20)
【0074】
本実施形態に係るリバーシブル燃料電池蓄電池は、二次電池として電気による充電により電極に蓄えることのできるエネルギーに加えて、過充電時に供給される電気エネルギーを、各ガスホルダ23,24にガスとして蓄え、これを電気エネルギーに再変換して利用することが可能である。よって、従来の二次電池とは異なり、リバーシブル燃料電池蓄電池の電気容量は、活物質の量による制限を受けないので、リバーシブル燃料電池蓄電池のエネルギー密度を、従来の二次電池と比較して、大幅に(例えば数十倍に)向上することが可能となる。しかもガスホルダ23および24には、過充電時に、正極11で発生した酸素ガスおよび負極12で発生した水素ガスが、直接貯蔵されるので、ガスの昇圧装置あるいは連通路を追加で設ける必要がなく、簡素な構造とすることができる。
【0075】
さらに、上述のように、リバーシブル燃料電池蓄電池の放電時には、電池反応に基づき、電気エネルギーが出力される。このため、従来の燃料電池と比較して、負荷に対する追従性およびパワーが、大幅に向上する。これにより、リバーシブル燃料電池蓄電池は、瞬間的な高出力を要求される負荷変動の大きい用途に使用されることも可能である。この際、リバーシブル燃料電池蓄電池は、追加の二次電池あるいはキャパシタなどの蓄電デバイスを必要とすることなく、単独で使用することが可能となる。
【0076】
水素ガスホルダに貯蔵された水素ガスおよび酸素ガスホルダに貯蔵された酸素ガスは、電池の放電時に電気エネルギーに再変換して利用することができる。酸素ガスと水素ガスはガスパッキンにより区分されているので、燃料ガス(酸素ガス、水素ガス)の取り扱いの安全性が向上する。
【0077】
交流電源を用いて充放電する場合について説明する。
図6はリバーシブル燃料電池蓄電池に交流電源を接続したときの回路接続図である。正極11、負極12および中間電極13の各電極は、交流電源45から交流電流の供給を受ける。交流電流の波形は
図6の右側に示すように、正側と負側の振れ幅が等しい矩形となっている。
【0078】
交流電源15の一方の端子と正極11との間には第1ダイオード16が接続されていて、正極11から交流電源15への電流が遮断されるようになっている。また、交流電源15の一方の端子と負極12との間には第2ダイオード17が接続されていて、交流電源15から負極12への電流が遮断されるようになっている。交流電源15の他方の端子は直接中間電極13に接続されている。
【0079】
正の半サイクルにおいて、交流電源15からの電流は第1ダイオード16を経由して正極12に流れ、中間電極13を経由して交流電源15に戻る。負の半サイクルにおいて、交流電源15からの電流は中間電極13に流れ、負極12を経由して第2ダイオード17から交流電源15に戻る。プラスの電流が流れる正の半サイクルでは、酸素発生反応(
前述のSTEP1)が起こり、マイナスの電流が流れる負の半サイクルでは、水素発生反応(
前述のSTEP2)が起こる。
【0080】
本実施形態では、
STEP1と
STEP2とに時間的に分けて、交互に反応ステップを切り替えて運転する、いわゆるバッチ運転である。一方、本実施形態では交流電流を用いるので、交互に電流が各電極に流れるので連続運転が可能となる。
水電解システムにおいて、正極および負極での反応はOH
-イオンの拡散により起こり、電極の周りに濃度勾配層が生成される。この濃度勾配層は電極反応において抵抗となり、電極間の電圧はこの抵抗により大きくなる。従来の水電解システムでは、電流の流れる向きは負極から正極と一定であるので、反応が継続して進むことにより濃度勾配層が分厚くなり、電極間の電圧は過大となる。
【0081】
一方、本実施形態では、プラスの電流が流れるサイクルでは正極で反応が起こり、この間負極は休止状態になる。マイナスの電流が流れるサイクルではこの逆の状態になる。これにより、電極の表面では濃度勾配が成長する時間的余裕を与えないので、濃度勾配による過電圧を小さく抑えることができる。
【0082】
図7および図8に矩形波の電流をパルス状に流した場合の電圧変化を示す。横軸は時間を秒単位で示し、縦軸に電位をV(ボルト)単位で示す。左側の目盛が中間電極−負極間の電位であり、右側の目盛が正極−中間電極間の電位である。実線は中間電極と負極の間の電圧を示すグラフで水素発生反応過程である。一方、破線は正極と中間電極の間の電圧を示すグラフで酸素発生反応過程である。
図7は600秒周期で5mAのパルス状の電流を流した場合の電圧変化を示すグラフである。実線、破線いずれの曲線も、電流を流すと、電気抵抗(IRドロップ)により急激に電圧が立ち上がる(A示す範囲)。その後、電解液での濃度勾配によるイオン拡散律速による抵抗が増えて電圧が徐々に上昇してゆく(Bで示す範囲)。通電時間が長くなれば、イオン拡散による抵抗が大きくなる。
【0083】
図8は2秒周期で5mAのパルス状の電流を流した場合の電圧変化を示すグラフである。
図7に比べて、周期を短くすることによりイオン拡散による抵抗を減らすことができることを確かめた。これにより電解効率は向上する。
【0084】
本発明で用いる交流電源は0.5Hzの矩形状には限定されない。正弦波の交流電源であってもよく波形の形状は限定されない。交流電源の周波数は
0.01Hz〜60Hzが好ましい。0.01Hzより低くなると濃度勾配層が成長する時間的余裕をあたえるし、60Hz以上になると電極間のコンダクタンス分が問題となる。50Hzおよび60Hzであれば系統の電力を使用することができるので電源の準備が簡便となる。