特許第6288656号(P6288656)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6288656振動アイソレータの共振周波数の調整方法及び調整システム、振動アイソレータ、並びに振動アイソレータの設計方法、設計システム、及び製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6288656
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】振動アイソレータの共振周波数の調整方法及び調整システム、振動アイソレータ、並びに振動アイソレータの設計方法、設計システム、及び製造方法
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/04 20060101AFI20180226BHJP
   F16F 15/02 20060101ALI20180226BHJP
   G05D 19/00 20060101ALN20180226BHJP
【FI】
   F16F15/04 A
   F16F15/02 A
   !G05D19/00
【請求項の数】39
【全頁数】92
(21)【出願番号】特願2016-145581(P2016-145581)
(22)【出願日】2016年7月25日
(65)【公開番号】特開2018-17253(P2018-17253A)
(43)【公開日】2018年2月1日
【審査請求日】2017年12月22日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】503361400
【氏名又は名称】国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100151987
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 信行
(72)【発明者】
【氏名】百束 泰俊
(72)【発明者】
【氏名】梶川 隆史
(72)【発明者】
【氏名】施 勤忠
(72)【発明者】
【氏名】戸高 大地
【審査官】 熊谷 健治
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−017240(JP,A)
【文献】 実開昭51−055193(JP,U)
【文献】 特開2001−082536(JP,A)
【文献】 特開昭61−088036(JP,A)
【文献】 米国特許第7743882(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 15/00−15/36
G05D 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の側において振動感受側構造体又は振動源側構造体と接する振動アイソレータの共振周波数の調整方法であって、
前記振動アイソレータは、その各々が1つ又はそれ以上の弾性部材を含む第1〜第n(nは3以上の整数)の弾性部材群及び/又は第n+1の弾性部材群を含み、
前記第1〜第nの弾性部材群及び/又は第n+1の弾性部材群は、xyz座標系のxy平面上に位置し、
前記第1〜第nの弾性部材群及び/又は第n+1の弾性部材群の一方の側は、前記振動感受側構造体又は振動源側構造体が接する側であり、
前記xyz座標系のxy座標系は、前記振動感受側構造体又は振動源側構造体の重心を原点とするXYZ座標系に対する慣性テンソルIを
[この文献は図面を表示できません]
としたとき、XY座標系をZ軸周りに
[この文献は図面を表示できません]
だけ回転させたものであり、前記xyz座標系のz軸は前記Z軸と同軸であり、
前記第1〜第nの弾性部材群の剛性Kiを(i=1,2,・・・,n)
[この文献は図面を表示できません]
、前記第n+1の弾性部材群の剛性Kn+1
[この文献は図面を表示できません]
、前記第1〜第nの弾性部材群の前記xy座標系のx座標、y座標をrpi_x、rpi_yとしたとき、
[この文献は図面を表示できません]
かつ
[この文献は図面を表示できません]
を満たしつつ、
(1)
[この文献は図面を表示できません]
の値が変化するように前記第1〜第nの弾性部材群の位置を調整して、x軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる第1のステップ、
(2)
[この文献は図面を表示できません]
の値が変化するように前記第1〜第nの弾性部材群の位置を調整して、y軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる第2のステップ、
(3)
[この文献は図面を表示できません]
の値が変化するように前記第1〜第nの弾性部材群の位置を調整して、z軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる第3のステップ、
(4)前記第n+1の弾性部材群を前記xyz座標の原点に配置し、kn+1_xxの値を調節して、x軸並進運動の共振周波数をシフトさせる第4のステップ、
(5)前記第n+1の弾性部材群を前記xyz座標の原点に配置し、kn+1_yyの値を調節して、y軸並進運動の共振周波数をシフトさせる第5のステップ、
(6)前記第n+1の弾性部材群を前記xyz座標の原点に配置し、kn+1_zzの値を調節して、z軸並進運動の共振周波数をシフトさせる第6のステップ、
のうちの少なくとも1つのステップを含む、
振動アイソレータの共振周波数の調整方法。
【請求項2】
n=4であり、
前記第1及び第3の弾性部材群は前記xyz座標系のx軸上に位置し、前記第2及び第4の弾性部材群は前記xyz座標系のy軸上に位置し、
前記第1のステップは、前記第2及び第4の弾性部材群の間の距離を調節して、x軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせるステップであり、
前記第2のステップは、前記第1及び第3の弾性部材群の間の距離を調節して、y軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせるステップであり、
前記第3のステップは、前記第2及び第4の弾性部材群の間の距離及び/又は前記第1及び第3の弾性部材群の間の距離を調節して、z軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせるステップである請求項1に記載の振動アイソレータの共振周波数の調整方法。
【請求項3】
前記第1及び第3の弾性部材群の剛性が等しく、前記第2及び第4の弾性部材群の剛性が等しく、
前記第1及び第3の弾性部材群を前記xyz座標系の前記x軸上に原点に対称に配置し、前記第2及び第4の弾性部材群を前記xyz座標系の前記y軸上に原点に対称に配置しつつ、前記第1〜第3のステップの少なくとも1つが行われる請求項2に記載の振動アイソレータの共振周波数の調整方法。
【請求項4】
一方の側において振動感受側構造体又は振動源側構造体と接する振動アイソレータであって、
その各々が1つ又はそれ以上の弾性部材を含む第1〜第n(nは3以上の整数)の弾性部材群及び/又は第n+1の弾性部材群を含み、
前記第1〜第nの弾性部材群及び/又は第n+1の弾性部材群は、xyz座標系のxy平面上に位置し、
前記第1〜第nの弾性部材群及び/又は第n+1の弾性部材群の一方の側は、前記振動感受側構造体又は振動源側構造体が接する側であり、
前記xyz座標系のxy座標系は、前記振動感受側構造体又は振動源側構造体の重心を原点とするXYZ座標系に対する慣性テンソルIを
[この文献は図面を表示できません]
としたとき、XY座標系をZ軸周りに
[この文献は図面を表示できません]
だけ回転させたものであり、前記xyz座標系のz軸は前記Z軸と同軸であり、
前記第1〜第nの弾性部材群の剛性Kiを(i=1,2,・・・,n)
[この文献は図面を表示できません]
、前記第n+1の弾性部材群の剛性Kn+1
[この文献は図面を表示できません]
、前記第1〜第nの弾性部材群の前記xy座標系のx座標、y座標をrpi_x、rpi_yとしたとき、
(1)
[この文献は図面を表示できません]
かつ
[この文献は図面を表示できません]
を満たしつつ、
[この文献は図面を表示できません]
の値が変化するように前記第1〜第nの弾性部材群の位置を調整して、x軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる手段、
(2)
[この文献は図面を表示できません]
かつ
[この文献は図面を表示できません]
を満たしつつ、
[この文献は図面を表示できません]
の値が変化するように前記第1〜第nの弾性部材群の位置を調整して、y軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる手段、
(3)
[この文献は図面を表示できません]
かつ
[この文献は図面を表示できません]
を満たしつつ、
[この文献は図面を表示できません]
の値が変化するように前記第1〜第nの弾性部材群の位置を調整して、z軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる手段、
(4)
[この文献は図面を表示できません]
かつ
[この文献は図面を表示できません]
を満たしつつ、
前記第n+1の弾性部材群を前記xyz座標の原点に配置し、kn+1_xxの値を調節して、x軸並進運動の共振周波数をシフトさせる手段、
(5)
[この文献は図面を表示できません]
かつ
[この文献は図面を表示できません]
を満たしつつ、
前記第n+1の弾性部材群を前記xyz座標の原点に配置し、kn+1_yyの値を調節して、y軸並進運動の共振周波数をシフトさせる手段、
(6)
[この文献は図面を表示できません]
かつ
[この文献は図面を表示できません]
を満たしつつ、
前記第n+1の弾性部材群を前記xyz座標の原点に配置し、kn+1_zzの値を調節して、z軸並進運動の共振周波数をシフトさせる手段、
のうちの少なくとも1つの手段を更に含む、
振動アイソレータ。
【請求項5】
n=4であり、
前記第1及び第3の弾性部材群は前記xyz座標系のx軸上に位置し、前記第2及び第4の弾性部材群は前記xyz座標系のy軸上に位置し、
前記x軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる手段は、前記第2及び第4の弾性部材群の間の距離を調節して、x軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせるものであり、
前記y軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる手段は、前記第1及び第3の弾性部材群の間の距離を調節して、y軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせるものであり、
前記z軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる手段は、前記第2及び第4の弾性部材群の間の距離及び/又は前記第1及び第3の弾性部材群の間の距離を調節して、z軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせるものである請求項4に記載の振動アイソレータ。
【請求項6】
前記第1及び第3の弾性部材群の剛性が等しく、前記第2及び第4の弾性部材群の剛性が等しく、
前記x軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる手段、前記y軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる手段、前記z軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる手段は、前記第1及び第3の弾性部材群を前記xyz座標系の前記x軸上に原点に対称に配置し、前記第2及び第4の弾性部材群を前記xyz座標系の前記y軸上に原点に対称に配置しつつ、共振周波数のシフトを行うものである請求項5に記載の振動アイソレータ。
【請求項7】
一方の側において振動感受側構造体又は振動源側構造体と接する振動アイソレータであって、回転軸線の周りに回転可能な回転部材と、前記回転部材上に移動可能に取り付けられた複数の弾性部材とを備える振動アイソレータの共振周波数の調整方法であって、
前記複数の弾性部材は、その各々が1つ又はそれ以上の弾性部材を含む第1〜第n(nは3以上の整数)の弾性部材群及び/又は第n+1の弾性部材群を含み、
前記第1〜第nの弾性部材群及び/又は第n+1の弾性部材群は、前記回転部材の前記回転軸線がz軸と同軸となるxyz座標系のxy平面上に位置し、
前記第1〜第nの弾性部材群及び/又は第n+1の弾性部材群の一方の側は、前記振動感受側構造体又は振動源側構造体が接する側であり、
前記振動感受側構造体又は振動源側構造体の重心を原点とするXYZ座標系に対する慣性テンソルを
[この文献は図面を表示できません]
としたとき、Z軸が前記回転部材の前記回転軸線と一致するように前記振動感受側構造体又は前記振動源側構造体が配置された場合に、
前記第1〜第nの弾性部材群の剛性Kiを(i=1,2,・・・,n)
[この文献は図面を表示できません]
、前記第n+1の弾性部材群の剛性Kn+1
[この文献は図面を表示できません]
、前記第1〜第nの弾性部材群の前記xy座標系のx座標、y座標をrpi_x、rpi_xとしたとき、XY座標系をZ軸周りに
[この文献は図面を表示できません]
だけ回転させた前記xy座標系において、
[この文献は図面を表示できません]
かつ
[この文献は図面を表示できません]
を満たしつつ、
(1)
[この文献は図面を表示できません]
の値が変化するように前記第1〜第nの弾性部材群の位置を調整して、x軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる第1のステップ、
(2)
[この文献は図面を表示できません]
の値が変化するように前記第1〜第nの弾性部材群の位置を調整して、y軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる第2のステップ、
(3)
[この文献は図面を表示できません]
の値が変化するように前記第1〜第nの弾性部材群の位置を調整して、y軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる第3のステップ、
(4)前記第n+1の弾性部材群を前記xyz座標の原点に配置し、kn+1_xxの値を調節して、x軸並進運動の共振周波数をシフトさせる第4のステップ、
(5)前記第n+1の弾性部材群を前記xyz座標の原点に配置し、kn+1_yyの値を調節して、y軸並進運動の共振周波数をシフトさせる第5のステップ、
(6)前記第n+1の弾性部材群を前記xyz座標の原点に配置し、kn+1_zzの値を調節して、z軸並進運動の共振周波数をシフトさせる第6のステップ、
のうちの少なくとも1つのステップを含む、
振動アイソレータの共振周波数の調整方法。
【請求項8】
一方の側において振動感受側構造体又は振動源側構造体と接する振動アイソレータであって、回転軸線の周りに回転可能な回転部材と、前記回転部材上に移動可能に取り付けられた複数の弾性部材とを備え、
前記複数の弾性部材は、その各々が1つ又はそれ以上の弾性部材を含む第1〜第4の弾性部材群を含み、
第1〜第4の弾性部材群の一方の側は、前記振動感受側構造体又は振動源側構造体が接する側であり、
前記第1及び第3の弾性部材群の間の距離と前記第2及び第4の弾性部材群の間の距離をそれぞれ独立に調節可能な位置調整機構を更に備え、
前記第1及び第3の弾性部材群を結ぶ線分と前記第2及び第4の弾性部材群を結ぶ線分は直交し、
前記回転軸線は、前記第1及び第3の弾性部材群を結ぶ線分と前記第2及び第4の弾性部材群を結ぶ線分の交点を通る振動アイソレータの共振周波数の調整方法であって、
前記複数の弾性部材は、その各々が1つ又はそれ以上の弾性部材を含む第1〜第4の弾性部材群及び/又は第5の弾性部材群を含み、
前記第1〜第4の弾性部材群及び/又は第5の弾性部材群は、前記回転部材の前記回転軸線がz軸と同軸となるxyz座標系のxy平面上に位置し、
前記第1〜第4の弾性部材群及び/又は第5の弾性部材群の一方の側は、前記振動感受側構造体又は振動源側構造体が接する側であり、
前記振動感受側構造体又は前記振動源側構造体の重心を原点とするXYZ座標系に対する慣性テンソルを
[この文献は図面を表示できません]
としたとき、Z軸が前記回転部材の前記回転軸線と一致するように前記振動感受側構造体又は前記振動源側構造体が配置された場合に、
前記第1〜第nの弾性部材群の剛性Kiを(i=1,2,3,4)
[この文献は図面を表示できません]
、前記第n+1の弾性部材群の剛性K5
[この文献は図面を表示できません]
、前記第1〜第nの弾性部材群の前記xy座標系のx座標、y座標をrpi_x、rpi_xとしたとき、XY座標系をZ軸周りに
[この文献は図面を表示できません]
だけ回転させた前記xy座標系のx軸、y軸に、前記第1及び第3の弾性部材群を結ぶ線分、前記第2及び第4の弾性部材群を結ぶ線分が一致するように、Z軸周りに前記回転部材を回転させるステップと、
前記第1〜第4の弾性部材群の前記xy座標系のx座標、y座標をrpi_x、rpi_xとしたとき、
[この文献は図面を表示できません]
かつ
[この文献は図面を表示できません]
を満たしつつ、
(1)前記第2及び第4の弾性部材群の間の距離を調節して、x軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる第1のステップと、
(2)前記第1及び第3の弾性部材群の間の距離を調節して、y軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる第2のステップと、
(3)前記第2及び第4の弾性部材群の間の距離及び/又は前記第1及び第3の弾性部材群の間の距離を調節して、z軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる第3のステップと、
(4)前記第n+1の弾性部材群を前記xyz座標の原点に配置し、kn+1_xxの値を調節して、x軸並進運動の共振周波数をシフトさせる第4のステップ、
(5)前記第n+1の弾性部材群を前記xyz座標の原点に配置し、kn+1_yyの値を調節して、y軸並進運動の共振周波数をシフトさせる第5のステップ、
(6)前記第n+1の弾性部材群を前記xyz座標の原点に配置し、kn+1_zzの値を調節して、z軸並進運動の共振周波数をシフトさせる第6のステップ、
の第1〜第6のステップのうちの少なくとも1つのステップを含む、
振動アイソレータの共振周波数の調整方法。
【請求項9】
前記第1及び第3の弾性部材群の剛性が等しく、前記第2及び第4の弾性部材群の剛性が等しく、
前記第1及び第3の弾性部材群を前記xyz座標系の前記x軸上に原点に対称に配置し、前記第2及び第4の弾性部材群を前記xyz座標系の前記y軸上に原点に対称に配置しつつ、前記第1〜第3のステップの少なくとも1つが行われる請求項に記載の振動アイソレータの共振周波数の調整方法。
【請求項10】
一方の側において振動感受側構造体又は振動源側構造体と接する振動アイソレータの設計方法であって、
前記振動アイソレータは、その各々が1つ又はそれ以上の弾性部材を含む第1〜第n(nは3以上の整数)の弾性部材群及び/又は第n+1の弾性部材群を含み、
前記第1〜第nの弾性部材群及び/又は第n+1の弾性部材群が、xyz座標系のxy平面上に位置し、
前記第1〜第nの弾性部材群及び/又は第n+1の弾性部材群の一方の側は、前記振動感受側構造体又は振動源側構造体が接する側であり、
前記xyz座標系のxy座標系は、前記振動感受側構造体又は振動源側構造体の重心を原点とするXYZ座標系に対する慣性テンソルIを
[この文献は図面を表示できません]
としたとき、XY座標系をZ軸周りに
[この文献は図面を表示できません]
だけ回転させたものであり、前記xyz座標系のz軸は前記Z軸と同軸であり、
前記第1〜第nの弾性部材群の剛性Kiを(i=1,2,・・・,n)
[この文献は図面を表示できません]
、前記第n+1の弾性部材群の剛性Kn+1
[この文献は図面を表示できません]
、前記第1〜第nの弾性部材群の前記xy座標系のx座標、y座標をrpi_x、rpi_yとしたとき、
[この文献は図面を表示できません]
かつ
[この文献は図面を表示できません]
を満たすように、前記第1〜第nの弾性部材群及び/又は第n+1の弾性部材群の位置を設定する、
振動アイソレータの設計方法。
【請求項11】
前記振動感受側構造体又は振動源側構造体の質量をm、前記振動感受側構造体又は振動源側構造体の重心の前記xyz座標系のz座標をrpi_z、、前記xyz座標系に対する慣性テンソルI'を
[この文献は図面を表示できません]
としたとき、
対角線形化並進運動方程式
[この文献は図面を表示できません]
対角線形化回転運動方程式
[この文献は図面を表示できません]
から、x方向並進運動の共振周波数、y方向並進運動の共振周波数、z方向並進運動の共振周波数、x軸周り回転運動の共振周波数、y軸周り回転運動の共振周波数、z軸周り回転運動の共振周波数を算出するステップと、
算出された前記x方向並進運動の共振周波数、前記y方向並進運動の共振周波数、前記z方向並進運動の共振周波数、前記x軸周り回転運動の共振周波数、前記y軸周り回転運動の共振周波数、前記z軸周り回転運動の共振周波数が、共振の発生に関連する周波数と一致しないように、
(1)
[この文献は図面を表示できません]
の値が変化するように前記第1〜第nの弾性部材群の位置を調整して、x軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる第1のステップ、
(2)
[この文献は図面を表示できません]
の値が変化するように前記第1〜第nの弾性部材群の位置を調整して、y軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる第2のステップ、
(3)
[この文献は図面を表示できません]
の値が変化するように前記第1〜第nの弾性部材群の位置を調整して、z軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる第3のステップ、
(4)前記第n+1の弾性部材群を前記xyz座標の原点に配置し、kn+1_xxの値を調節して、x軸並進運動の共振周波数をシフトさせる第4のステップ、
(5)前記第n+1の弾性部材群を前記xyz座標の原点に配置し、kn+1_yyの値を調節して、y軸並進運動の共振周波数をシフトさせる第5のステップ、
(6)前記第n+1の弾性部材群を前記xyz座標の原点に配置し、kn+1_zzの値を調節して、z軸並進運動の共振周波数をシフトさせる第6のステップ、
の第1〜第6のステップのうちの少なくとも1つのステップを含む、
請求項10に記載の振動アイソレータの設計方法。
【請求項12】
n=4であり、
前記第1及び第3の弾性部材群は前記xyz座標系のx軸上に位置し、前記第2及び第4の弾性部材群は前記xyz座標系のy軸上に位置し、
前記第1のステップは、前記第2及び第4の弾性部材群の間の距離を調節して、x軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせるステップであり、
前記第2のステップは、前記第1及び第3の弾性部材群の間の距離を調節して、y軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせるステップであり、
前記第3のステップは、前記第2及び第4の弾性部材群の間の距離及び/又は前記第1及び第3の弾性部材群の間の距離を調節して、z軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせるステップである請求項11に記載の振動アイソレータの設計方法。
【請求項13】
前記第1及び第3の弾性部材群の剛性が等しく、前記第2及び第4の弾性部材群の剛性が等しく、
前記第1及び第3の弾性部材群を前記xyz座標系の前記x軸上に原点に対称に配置し、前記第2及び第4の弾性部材群を前記xyz座標系の前記y軸上に原点に対称に配置しつつ、前記第1〜第3のステップの少なくとも1つが行われる請求項12に記載の振動アイソレータの設計方法。
【請求項14】
コンピュータにより実行される、一方の側において振動感受側構造体又は振動源側構造体と接する振動アイソレータの設計方法であって、
前記振動アイソレータは、その各々が1つ又はそれ以上の弾性部材を含む第1〜第n(nは3以上の整数)の弾性部材群を含み、
前記第1〜第nの弾性部材群が、xyz座標系のxy平面上に位置し、
前記第1〜第nの弾性部材群及び/又は第n+1の弾性部材群の一方の側は、前記振動感受側構造体又は振動源側構造体が接する側であり、
前記xyz座標系のxy座標系は、前記振動感受側構造体又は振動源側構造体の重心を原点とするXYZ座標系に対する慣性テンソルIを
[この文献は図面を表示できません]
としたとき、XY座標系をZ軸周りに
[この文献は図面を表示できません]
だけ回転させたものであり、前記xyz座標系のz軸は前記Z軸と同軸であり、
前記振動感受側構造体又は振動源側構造体の重心を原点とするXYZ座標系に対する慣性テンソルIを設定するステップと、
前記弾性部材群の数nを設定するステップと、
前記第1〜第nの弾性部材群の剛性Ki(i=1,2,・・・,n)
[この文献は図面を表示できません]
を設定するステップと、
前記第1〜第nの弾性部材群の前記xy座標系のx座標、y座標をrpi_x、rpi_yとしたとき、
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かつ
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を満たすように、前記第1〜第nの弾性部材群の位置を設定するステップと、
を含む振動アイソレータの設計方法。
【請求項15】
前記振動感受側構造体又は振動源側構造体の質量mを設定するステップと、
前記振動感受側構造体又は振動源側構造体の重心の前記xyz座標系のz座標rpi_zを設定するステップと、
前記xyz座標系に対する慣性テンソルI'
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を設定ステップと、
共振の発生に関連する周波数を設定するステップと、
対角線形化並進運動方程式
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対角線形化回転運動方程式
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から、x方向並進運動の共振周波数、y方向並進運動の共振周波数、z方向並進運動の共振周波数、x軸周り回転運動の共振周波数、y軸周り回転運動の共振周波数、z軸周り回転運動の共振周波数を算出するステップと、
算出された前記x方向並進運動の共振周波数、前記y方向並進運動の共振周波数、前記z方向並進運動の共振周波数、前記x軸周り回転運動の共振周波数、前記y軸周り回転運動の共振周波数、前記z軸周り回転運動の共振周波数が、設定された前記共振の発生に関連する周波数と一致しないように、
(1)
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の値が変化するように前記第1〜第nの弾性部材群の位置を調整して設定し、x軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる第1のステップ、
(2)
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の値が変化するように前記第1〜第nの弾性部材群の位置を調整して設定し、y軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる第2のステップ、
(3)
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の値が変化するように前記第1〜第nの弾性部材群の位置を調整して設定し、z軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる第3のステップ、
(4)前記第n+1の弾性部材群の剛性Kn+1
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を設定し、前記第n+1の弾性部材群を前記xyz座標の原点に配置し、kn+1_xxの値を調節し、x軸並進運動の共振周波数をシフトさせる第4のステップ、
(5)前記第n+1の弾性部材群の剛性Kn+1
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を設定し、前記第n+1の弾性部材群を前記xyz座標の原点に配置し、kn+1_yyの値を調節し、y軸並進運動の共振周波数をシフトさせる第5のステップ、
(6)前記第n+1の弾性部材群の剛性Kn+1
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を設定し、前記第n+1の弾性部材群を前記xyz座標の原点に配置し、kn+1_zzの値を調節し、z軸並進運動の共振周波数をシフトさせる第6のステップ、
の第1〜第6のステップのうちの少なくとも1つのステップと、
を更に含む請求項14に記載の振動アイソレータの設計方法。
【請求項16】
前記振動感受側構造体又は振動源側構造体の質量mを設定するステップと、
前記振動感受側構造体又は振動源側構造体の重心の前記xyz座標系のz座標rpi_zを設定するステップと、
前記xyz座標系に対する慣性テンソルI
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を設定ステップと、
対角線形化並進運動方程式
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対角線形化回転運動方程式
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から、x方向並進運動の共振周波数、y方向並進運動の共振周波数、z方向並進運動の共振周波数、x軸周り回転運動の共振周波数、y軸周り回転運動の共振周波数、z軸周り回転運動の共振周波数を算出するステップと、
設定された前記第1〜第nの弾性部材群の位置と、算出された前記x方向並進運動の共振周波数、前記y方向並進運動の共振周波数、前記z方向並進運動の共振周波数、前記x軸周り回転運動の共振周波数、前記y軸周り回転運動の共振周波数、前記z軸周り回転運動の共振周波数を表示するステップと、
算出された前記x方向並進運動の共振周波数、前記y方向並進運動の共振周波数、前記z方向並進運動の共振周波数、前記x軸周り回転運動の共振周波数、前記y軸周り回転運動の共振周波数、前記z軸周り回転運動の共振周波数のうちから、シフトさせる共振周波数選択入力を促すステップと、
前記シフトさせる共振周波数の選択入力があった場合、選択された前記シフトさせる共振周波数に対応して、
(1)
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の値が変化するように前記第1〜第nの弾性部材群の位置を調整して設定し、x軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる第1のステップ、
(2)
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の値が変化するように前記第1〜第nの弾性部材群の位置を調整して設定し、y軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる第2のステップ、
(3)
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の値が変化するように前記第1〜第nの弾性部材群の位置を調整して設定し、z軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる第3のステップ、
(4)前記第n+1の弾性部材群の剛性Kn+1
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を設定し、前記第n+1の弾性部材群を前記xyz座標の原点に配置し、kn+1_xxの値を調節し、x軸並進運動の共振周波数をシフトさせる第4のステップ、
(5)前記第n+1の弾性部材群の剛性Kn+1
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を設定し、前記第n+1の弾性部材群を前記xyz座標の原点に配置し、kn+1_yyの値を調節し、y軸並進運動の共振周波数をシフトさせる第5のステップ、
(6)前記第n+1の弾性部材群の剛性Kn+1
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を設定し、前記第n+1の弾性部材群を前記xyz座標の原点に配置し、kn+1_zzの値を調節し、z軸並進運動の共振周波数をシフトさせる第6のステップ、
の第1〜第6のステップのうちの少なくとも1つのステップと、
を更に含む請求項14に記載の振動アイソレータの設計方法。
【請求項17】
n=4であり、
前記第1及び第3の弾性部材群は前記xyz座標系のx軸上に位置し、前記第2及び第4の弾性部材群は前記xyz座標系のy軸上に位置し、
前記第1のステップは、前記第2及び第4の弾性部材群の間の距離を調節して、x軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせるステップであり、
前記第2のステップは、前記第1及び第3の弾性部材群の間の距離を調節して、y軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせるステップであり、
前記第3のステップは、前記第2及び第4の弾性部材群の間の距離及び/又は前記第1及び第3の弾性部材群の間の距離を調節して、z軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせるステップである請求項15又は16に記載の振動アイソレータの共振周波数の設計方法。
【請求項18】
前記第1及び第3の弾性部材群の剛性が等しく、前記第2及び第4の弾性部材群の剛性が等しく、
前記第1及び第3の弾性部材群を前記xyz座標系の前記x軸上に原点に対称に配置し、前記第2及び第4の弾性部材群を前記xyz座標系の前記y軸上に原点に対称に配置しつつ、前記第1〜第3のステップの少なくとも1つが行われる請求項17に記載の振動アイソレータの共振周波数の設計方法。
【請求項19】
前記xyz座標系に対する慣性テンソルI'を設定するステップは、前記XYZ座標系に対する慣性テンソルIに基づいて算出するステップである請求項1518のいずれか1項に記載の振動アイソレータの設計方法。
【請求項20】
弾性部材群配置可能範囲を設定するステップを更に含み、
前記第1〜第nの弾性部材群の位置の設定は、前記弾性部材群配置可能範囲内で行われる請求項1419のいずれか1項に記載の振動アイソレータの設計方法。
【請求項21】
設定された前記第1〜第nの弾性部材群の位置は、前記弾性部材群配置可能範囲と共に表示される請求項20に記載の振動アイソレータの設計方法。
【請求項22】
設定された前記第1〜第nの弾性部材群の位置は、前記x軸及びy軸と共に表示される請求項1421のいずれか1項に記載の振動アイソレータの設計方法。
【請求項23】
n=4であり、
前記第1及び第3の弾性部材群は前記xyz座標系のx軸上に位置し、前記第2及び第4の弾性部材群は前記xyz座標系のy軸上に位置し、
前記第1のステップは、前記第2及び第4の弾性部材群の間の距離を調節して、x軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせるステップであり、
前記第2のステップは、前記第1及び第3の弾性部材群の間の距離を調節して、y軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせるステップであり、
前記第3のステップは、前記第2及び第4の弾性部材群の間の距離及び/又は前記第1及び第3の弾性部材群の間の距離を調節して、z軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせるステップであり、
選択された前記シフトさせる共振周波数をシフトさせるために位置調節が必要な弾性部材群を、その必要がない弾性部材群と区別可能に表示し、位置調整方向を示す線を表示するステップと、
を更に含む請求項1522のいずれか1項に記載の振動アイソレータの設計方法。
【請求項24】
前記第1及び第3の弾性部材群の剛性が等しく、前記第2及び第4の弾性部材群の剛性が等しく、
前記第1及び第3の弾性部材群の一方を前記x軸上で移動させる指示が入力された場合、他方の弾性部材群を原点に対称に配置し、表示し、前記第2及び第4の弾性部材群の一方を前記y軸上で移動させる指示が入力された場合、他方の弾性部材群を原点に対称に配置し、表示しつつ、前記第1〜第3のステップの少なくとも1つが行われる請求項23に記載の振動アイソレータの設計方法。
【請求項25】
請求項1424のいずれか1項に記載の振動アイソレータの設計方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項26】
請求項25に記載のプログラムを記憶した記憶媒体。
【請求項27】
請求項15〜24のいずれか1項に記載の設計方法に従って振動アイソレータを設計するステップと、
設計された前記振動アイソレータを製造するステップと、
を含む振動アイソレータの製造方法。
【請求項28】
請求項15〜24のいずれか1項に記載の設計方法に従って振動アイソレータを設計するステップと、
設計された前記振動アイソレータが取り付けられた構造物を製造するステップと、
を含む振動アイソレータの製造方法。
【請求項29】
一方の側において振動感受側構造体又は振動源側構造体と接する振動アイソレータの設計システムであって、
前記振動アイソレータは、その各々が1つ又はそれ以上の弾性部材を含む第1〜第n(nは3以上の整数)の弾性部材群を含み、
前記第1〜第nの弾性部材群が、xyz座標系のxy平面上に位置し、
前記第1〜第nの弾性部材群及び/又は第n+1の弾性部材群の一方の側は、前記振動感受側構造体又は前記振動源側構造体が接する側であり、
前記xyz座標系のxy座標系は、前記振動感受側構造体又は振動源側構造体の重心を原点とするXYZ座標系に対する慣性テンソルIを
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としたとき、XY座標系をZ軸周りに
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だけ回転させたものであり、前記xyz座標系のz軸は前記Z軸と同軸であり、
前記振動感受側構造体又は前記振動源側構造体の重心を原点とするXYZ座標系に対する慣性テンソルIを設定する慣性テンソル設定部と、
前記弾性部材群の数nを設定する弾性部材群数設定部と、
前記第1〜第nの弾性部材群の剛性Ki(i=1,2,・・・,n)
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を設定する剛性設定部と、
前記第1〜第nの弾性部材群の前記xy座標系のx座標、y座標をrpi_x、rpi_yとしたとき、
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かつ
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を満たすように、前記第1〜第nの弾性部材群の位置を設定する弾性部材群位置設定部と、
を含む振動アイソレータの設計システム。
【請求項30】
前記振動感受側構造体又は振動源側構造体の質量mを設定する剛体質量設定部と、
前記振動感受側構造体又は振動源側構造体の重心の前記xyz座標系のz座標rpi_zを設定する剛体重心座標設定部と、
前記xyz座標系に対する慣性テンソルI'
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を設定する変換慣性テンソル設定部と、
対角線形化並進運動方程式
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対角線形化回転運動方程式
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から、x方向並進運動の共振周波数、y方向並進運動の共振周波数、z方向並進運動の共振周波数、x軸周り回転運動の共振周波数、y軸周り回転運動の共振周波数、z軸周り回転運動の共振周波数を算出する共振周波数算出部と、
共振の発生に関連する周波数を設定する共振関連周波数設定部と、
算出された前記x方向並進運動の共振周波数、前記y方向並進運動の共振周波数、前記z方向並進運動の共振周波数、前記x軸周り回転運動の共振周波数、前記y軸周り回転運動の共振周波数、前記z軸周り回転運動の共振周波数が、設定された前記共振の発生に関連する周波数と一致しないように、
(1)
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の値が変化するように前記第1〜第nの弾性部材群の位置を調整して設定し、x軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる第1の処理、
(2)
[この文献は図面を表示できません]
の値が変化するように前記第1〜第nの弾性部材群の位置を調整して設定し、y軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる第2の処理、
(3)
[この文献は図面を表示できません]
の値が変化するように前記第1〜第nの弾性部材群の位置を調整して設定し、z軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる第3の処理、
(4)前記第n+1の弾性部材群の剛性Kn+1
[この文献は図面を表示できません]
を設定し、前記第n+1の弾性部材群を前記xyz座標の原点に配置し、kn+1_xxの値を調節し、x軸並進運動の共振周波数をシフトさせる第4の処理、
(5)前記第n+1の弾性部材群の剛性Kn+1
[この文献は図面を表示できません]
を設定し、前記第n+1の弾性部材群を前記xyz座標の原点に配置し、kn+1_yyの値を調節し、y軸並進運動の共振周波数をシフトさせる第5の処理、
(6)前記第n+1の弾性部材群の剛性Kn+1
[この文献は図面を表示できません]
を設定し、前記第n+1の弾性部材群を前記xyz座標の原点に配置し、kn+1_zzの値を調節し、z軸並進運動の共振周波数をシフトさせる第6の処理、
のうちの少なくとも1つの処理を行う弾性部材群位置調節部と、
を更に含む請求項29に記載の振動アイソレータの設計システム。
【請求項31】
前記振動感受側構造体又は振動源側構造体の質量mを設定する剛体質量設定部と、
前記振動感受側構造体又は振動源側構造体の重心の前記xyz座標系のz座標rpi_zを設定する剛体重心座標設定部と、
前記xyz座標系に対する慣性テンソルI
[この文献は図面を表示できません]
を設定する変換慣性テンソル設定部と、
対角線形化並進運動方程式
[この文献は図面を表示できません]
対角線形化回転運動方程式
[この文献は図面を表示できません]
から、x方向並進運動の共振周波数、y方向並進運動の共振周波数、z方向並進運動の共振周波数、x軸周り回転運動の共振周波数、y軸周り回転運動の共振周波数、z軸周り回転運動の共振周波数を算出する共振周波数算出部と、
設定された前記第1〜第nの弾性部材群の位置と、算出された前記x方向並進運動の共振周波数、前記y方向並進運動の共振周波数、前記z方向並進運動の共振周波数、前記x軸周り回転運動の共振周波数、前記y軸周り回転運動の共振周波数、前記z軸周り回転運動の共振周波数を表示する弾性部材群配置表示部と、
算出された前記x方向並進運動の共振周波数、前記y方向並進運動の共振周波数、前記z方向並進運動の共振周波数、前記x軸周り回転運動の共振周波数、前記y軸周り回転運動の共振周波数、前記z軸周り回転運動の共振周波数のうちから、シフトさせる共振周波数選択入力を促す共振周波数選択入力部と、
前記シフトさせる共振周波数の選択入力があった場合、選択された前記シフトさせる共振周波数に対応して、
(1)
[この文献は図面を表示できません]
の値が変化するように前記第1〜第nの弾性部材群の位置を調整して設定し、x軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる第1の処理、
(2)
[この文献は図面を表示できません]
の値が変化するように前記第1〜第nの弾性部材群の位置を調整して設定し、y軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる第2の処理、
(3)
[この文献は図面を表示できません]
の値が変化するように前記第1〜第nの弾性部材群の位置を調整して設定し、z軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる第3の処理、
(4)前記第n+1の弾性部材群の剛性Kn+1
[この文献は図面を表示できません]
を設定し、前記第n+1の弾性部材群を前記xyz座標の原点に配置し、kn+1_xxの値を調節し、x軸並進運動の共振周波数をシフトさせる第4の処理、
(5)前記第n+1の弾性部材群の剛性Kn+1
[この文献は図面を表示できません]
を設定し、前記第n+1の弾性部材群を前記xyz座標の原点に配置し、kn+1_yyの値を調節し、y軸並進運動の共振周波数をシフトさせる第5の処理、
(6)前記第n+1の弾性部材群の剛性Kn+1
[この文献は図面を表示できません]
を設定し、前記第n+1の弾性部材群を前記xyz座標の原点に配置し、kn+1_zzの値を調節し、z軸並進運動の共振周波数をシフトさせる第6の処理、
のうちの少なくとも1つの処理を実行する弾性部材群位置調節部と、
を更に含む請求項29に記載の振動アイソレータの設計システム。
【請求項32】
n=4であり、
前記第1及び第3の弾性部材群は前記xyz座標系のx軸上に位置し、前記第2及び第4の弾性部材群は前記xyz座標系のy軸上に位置し、
前記第1の処理は、前記第2及び第4の弾性部材群の間の距離を調節して、x軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる処理であり、
前記第2の処理は、前記第1及び第3の弾性部材群の間の距離を調節して、y軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる処理であり、
前記第3の処理は、前記第2及び第4の弾性部材群の間の距離及び/又は前記第1及び第3の弾性部材群の間の距離を調節して、z軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる処理である請求項30又は31に記載の振動アイソレータの設計システム。
【請求項33】
前記第1及び第3の弾性部材群の剛性が等しく、前記第2及び第4の弾性部材群の剛性が等しく、
前記第1及び第3の弾性部材群を前記xyz座標系の前記x軸上に原点に対称に配置し、前記第2及び第4の弾性部材群を前記xyz座標系の前記y軸上に原点に対称に配置しつつ、前記第1〜第3の処理の少なくとも1つが行われる請求項32に記載の振動アイソレータの設計システム。
【請求項34】
前記変換慣性テンソル設定部は、前記XYZ座標系に対する慣性テンソルIに基づいて慣性テンソルI'を算出する請求項3033のいずれか1項に記載の振動アイソレータの設計システム。
【請求項35】
弾性部材群配置可能範囲を設定する弾性部材群配置可能範囲設定部を更に含み、
前記第1〜第nの弾性部材群の位置の設定は、前記弾性部材群配置可能範囲内で行われる請求項2934のいずれか1項に記載の振動アイソレータの設計システム。
【請求項36】
設定された前記第1〜第nの弾性部材群の位置、前記弾性部材群配置可能範囲と共に表示される請求項35に記載の振動アイソレータの設計システム。
【請求項37】
設定された前記第1〜第nの弾性部材群の位置、前記x軸及びy軸と共に表示される請求項2936のいずれか1項に記載の振動アイソレータの設計システム。
【請求項38】
n=4であり、
前記第1及び第3の弾性部材群は前記xyz座標系のx軸上に位置し、前記第2及び第4の弾性部材群は前記xyz座標系のy軸上に位置し、
前記第1の処理は、前記第2及び第4の弾性部材群の間の距離を調節して、x軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる処理であり、
前記第2の処理は、前記第1及び第3の弾性部材群の間の距離を調節して、y軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる処理であり、
前記第3の処理は、前記第2及び第4の弾性部材群の間の距離及び/又は前記第1及び第3の弾性部材群の間の距離を調節して、z軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる処理であり、
選択された前記シフトさせる共振周波数をシフトさせるために位置調節が必要な弾性部材群、その必要がない弾性部材群と区別可能に表示され、位置調整方向を示す線表示される請求項3034のいずれか1項に記載の振動アイソレータの設計システム。
【請求項39】
前記第1及び第3の弾性部材群の剛性が等しく、前記第2及び第4の弾性部材群の剛性が等しく、
前記第1及び第3の弾性部材群の一方を前記x軸上で移動させる指示が入力された場合、他方の弾性部材群を原点に対称に配置し、表示し、前記第2及び第4の弾性部材群の一方を前記y軸上で移動させる指示が入力された場合、他方の弾性部材群を原点に対称に配置し、表示しつつ、前記第1〜第3の処理の少なくとも1つが行われる請求項38に記載の振動アイソレータの設計システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動アイソレータの共振周波数の調整方法及び調整システム、振動アイソレータ、並びに振動アイソレータの設計方法、設計システム、及び製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
振動アイソレータとは、振動源側と振動感受側の間に設置され、振動の伝達を抑制するものである。
【0003】
振動アイソレータとして、例えば、共振における減衰を大きくすることでアイソレータの共振の影響を低減するものが提案されている(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2014−535026公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の振動アイソレータは、高周波域での振動絶縁を行いつつ、共振による影響を粘弾性材料で減衰させるものであるが、対象物の寸法・重量に応じて振動アイソレータ自体の数量・重量が増え、共振を減衰させたとしても一定レベルの共振は避けられない。
【0006】
また、従来の複数の弾性部材を備える振動アイソレータにおいては、所望の振動抑制を達成するためには、弾性部材の選択、個数、配置等の変更を試行錯誤で何度も行う必要があった。
【0007】
そこで、本発明は、振動アイソレータの共振を防止し、しかもそのために、振動アイソレータの数量・重量が増えることなく、また振動アイソレータを構成する弾性部材の選択、個数、配置等の変更を何度も行う必要のない振動アイソレータの共振周波数の調整方法及び調整システム、並びに振動アイソレータを提供することを目的の1つとする。
【0008】
また、本発明は、共振が発生しない振動アイソレータの設計及び製造を容易に行うことができる振動アイソレータの設計方法、設計システム、及び製造方法を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の1つの態様は、一方の側において振動感受側構造体又は振動源側構造体と接する振動アイソレータの共振周波数の調整方法であって、
前記振動アイソレータは、その各々が1つ又はそれ以上の弾性部材を含む第1〜第n(nは3以上の整数)の弾性部材群及び/又は第n+1の弾性部材群を含み、
前記第1〜第nの弾性部材群及び/又は第n+1の弾性部材群は、xyz座標系のxy平面上に位置し、
前記第1〜第nの弾性部材群及び/又は第n+1の弾性部材群の一方の側は、前記振動感受側構造体又は振動源側構造体が接する側であり、
前記xyz座標系のxy座標系は、前記振動感受側構造体又は振動源側構造体の重心を原点とするXYZ座標系に対する慣性テンソルIを
[この文献は図面を表示できません]
としたとき、XY座標系をZ軸周りに
[この文献は図面を表示できません]
だけ回転させたものであり、前記xyz座標系のz軸は前記Z軸と同軸であり、
前記第1〜第nの弾性部材群の剛性Kiを(i=1,2,・・・,n)
[この文献は図面を表示できません]
、前記第n+1の弾性部材群の剛性Kn+1
[この文献は図面を表示できません]
、前記第1〜第nの弾性部材群の前記xy座標系のx座標、y座標をrpi_x、rpi_yとしたとき、
[この文献は図面を表示できません]
かつ
[この文献は図面を表示できません]
を満たしつつ、
(1)
[この文献は図面を表示できません]
の値が変化するように前記第1〜第nの弾性部材群の位置を調整して、x軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる第1のステップ、
(2)
[この文献は図面を表示できません]
の値が変化するように前記第1〜第nの弾性部材群の位置を調整して、y軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる第2のステップ、
(3)
[この文献は図面を表示できません]
の値が変化するように前記第1〜第nの弾性部材群の位置を調整して、z軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる第3のステップ、
(4)前記第n+1の弾性部材群を前記xyz座標の原点に配置し、kn+1_xxの値を調節して、x軸並進運動の共振周波数をシフトさせる第4のステップ、
(5)前記第n+1の弾性部材群を前記xyz座標の原点に配置し、kn+1_yyの値を調節して、y軸並進運動の共振周波数をシフトさせる第5のステップ、
(6)前記第n+1の弾性部材群を前記xyz座標の原点に配置し、kn+1_zzの値を調節して、z軸並進運動の共振周波数をシフトさせる第6のステップ、
のうちの少なくとも1つのステップを含む、
振動アイソレータの共振周波数の調整方法を提供するものである。なお、振動アイソレータの一方の側が、振動感受側構造体が接する側であるときは、振動アイソレータの他方の側は、振動源側構造体が接する側となり、振動アイソレータの一方の側が、振動源側構造体が接する側であるときは、振動アイソレータの他方の側は、振動感受側構造体が接する側となる。
【0010】
前記調整方法において、n=4であり、
前記第1及び第3の弾性部材群は前記xyz座標系のx軸上に位置し、前記第2及び第4の弾性部材群は前記xyz座標系のy軸上に位置し、
前記第1のステップは、前記第2及び第4の弾性部材群の間の距離を調節して、x軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせるステップであり、
前記第2のステップは、前記第1及び第3の弾性部材群の間の距離を調節して、y軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせるステップであり、
前記第3のステップは、前記第2及び第4の弾性部材群の間の距離及び/又は前記第1及び第3の弾性部材群の間の距離を調節して、z軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせるステップであるものとすることができる。
【0011】
前記第1及び第3の弾性部材群の剛性が等しく、前記第2及び第4の弾性部材群の剛性が等しく、
前記第1及び第3の弾性部材群を前記xyz座標系の前記x軸上に原点に対称に配置し、前記第2及び第4の弾性部材群を前記xyz座標系の前記y軸上に原点に対称に配置しつつ、前記第1〜第3のステップの少なくとも1つが行われるものとすることができる。
【0012】
本発明の1つの態様は、一方の側において振動感受側構造体又は振動源側構造体と接する振動アイソレータであって、
その各々が1つ又はそれ以上の弾性部材を含む第1〜第n(nは3以上の整数)の弾性部材群及び/又は第n+1の弾性部材群を含み、
前記第1〜第nの弾性部材群及び/又は第n+1の弾性部材群は、xyz座標系のxy平面上に位置し、
前記第1〜第nの弾性部材群及び/又は第n+1の弾性部材群の一方の側は、前記振動感受側構造体又は振動源側構造体が接する側であり、
前記xyz座標系のxy座標系は、前記振動感受側構造体又は前記振動源側構造体の重心を原点とするXYZ座標系に対する慣性テンソルIを
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としたとき、XY座標系をZ軸周りに
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だけ回転させたものであり、前記xyz座標系のz軸は前記Z軸と同軸であり、
前記第1〜第nの弾性部材群の剛性Kiを(i=1,2,・・・,n)
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、前記第n+1の弾性部材群の剛性Kn+1
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、前記第1〜第nの弾性部材群の前記xy座標系のx座標、y座標をrpi_x、rpi_yとしたとき、
(1)
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かつ
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を満たしつつ、
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の値が変化するように前記第1〜第nの弾性部材群の位置を調整して、x軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる手段、
(2)
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かつ
[この文献は図面を表示できません]
を満たしつつ、
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の値が変化するように前記第1〜第nの弾性部材群の位置を調整して、y軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる手段、
(3)
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かつ
[この文献は図面を表示できません]
を満たしつつ、
[この文献は図面を表示できません]
の値が変化するように前記第1〜第nの弾性部材群の位置を調整して、z軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる手段、
(4)
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かつ
[この文献は図面を表示できません]
を満たしつつ、
前記第n+1の弾性部材群を前記xyz座標の原点に配置し、kn+1_xxの値を調節して、x軸並進運動の共振周波数をシフトさせる手段、
(5)
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かつ
[この文献は図面を表示できません]
を満たしつつ、
前記第n+1の弾性部材群を前記xyz座標の原点に配置し、kn+1_yyの値を調節して、y軸並進運動の共振周波数をシフトさせる手段、
(6)
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かつ
[この文献は図面を表示できません]
を満たしつつ、
前記第n+1の弾性部材群を前記xyz座標の原点に配置し、kn+1_zzの値を調節して、z軸並進運動の共振周波数をシフトさせる手段、
のうちの少なくとも1つの手段を更に含む、
振動アイソレータを提供するものである。なお、振動アイソレータの一方の側が、振動感受側構造体が接する側であるときは、振動アイソレータの他方の側は、振動源側構造体が接する側となり、振動アイソレータの一方の側が、振動源側構造体が接する側であるときは、振動アイソレータの他方の側は、振動感受側構造体が接する側となる。
【0013】
前記振動アイソレータにおいて、n=4であり、
前記第1及び第3の弾性部材群は前記xyz座標系のx軸上に位置し、前記第2及び第4の弾性部材群は前記xyz座標系のy軸上に位置し、
前記x軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる手段は、前記第2及び第4の弾性部材群の間の距離を調節して、x軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせるものであり、
前記y軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる手段は、前記第1及び第3の弾性部材群の間の距離を調節して、y軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせるものであり、
前記z軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる手段は、前記第2及び第4の弾性部材群の間の距離及び/又は前記第1及び第3の弾性部材群の間の距離を調節して、z軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせるものとすることができる。
【0014】
前記第1及び第3の弾性部材群の剛性が等しく、前記第2及び第4の弾性部材群の剛性が等しく、
前記x軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる手段、前記y軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる手段、前記z軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる手段は、前記第1及び第3の弾性部材群を前記xyz座標系の前記x軸上に原点に対称に配置し、前記第2及び第4の弾性部材群を前記xyz座標系の前記y軸上に原点に対称に配置しつつ、共振周波数のシフトを行うものとすることができる。
【0015】
本発明の1つの態様は、一方の側において振動感受側構造体又は振動源側構造体と接する振動アイソレータであって、
回転軸線の周りに回転可能な回転部材と、
前記回転部材上に移動可能に取り付けられた複数の弾性部材と、
を備える振動アイソレータを提供するものである。なお、振動アイソレータの一方の側が、振動感受側構造体が接する側であるときは、振動アイソレータの他方の側は、振動源側構造体が接する側となり、振動アイソレータの一方の側が、振動源側構造体が接する側であるときは、振動アイソレータの他方の側は、振動感受側構造体が接する側となる。
【0016】
前記回転部材上且つ前記回転軸線上付近の位置に1つ又はそれ以上の弾性部材を取付可能とすることができる。
【0017】
前記複数の弾性部材は、その各々が1つ又はそれ以上の弾性部材を含む第1〜第4の弾性部材群を含み、
第1〜第4の弾性部材群の一方の側は、前記振動感受側構造体又は前記振動源側構造体が接する側であり、
前記第1及び第3の弾性部材群の間の距離と前記第2及び第4の弾性部材群の間の距離をそれぞれ独立に調節可能な位置調整機構を更に備え、
前記第1及び第3の弾性部材群を結ぶ線分と前記第2及び第4の弾性部材群を結ぶ線分は直交し、
前記回転軸線は、前記第1及び第3の弾性部材群を結ぶ線分と前記第2及び第4の弾性部材群を結ぶ線分の交点を通るものとすることができる。
【0018】
前記位置調整機構は、前記第1及び第3の弾性部材群の間の距離と前記第2及び第4の弾性部材群の間の距離の少なくとも一方を、前記交点の中心から各弾性部材群の距離が等しくなるように調整可能とすることができる。
【0019】
1つ又はそれ以上の弾性部材を含む第5の弾性部材群を前記交点付近において取付可能とすることができる。
【0020】
本発明の1つの態様は、前記振動アイソレータの共振周波数の調整方法であって、
前記複数の弾性部材は、その各々が1つ又はそれ以上の弾性部材を含む第1〜第n(nは3以上の整数)の弾性部材群及び/又は第n+1の弾性部材群を含み、
前記第1〜第nの弾性部材群及び/又は第n+1の弾性部材群は、前記回転部材の前記回転軸線がz軸と同軸となるxyz座標系のxy平面上に位置し、
前記第1〜第nの弾性部材群及び/又は第n+1の弾性部材群の一方の側は、前記振動感受側構造体又は振動源側構造体が接する側であり、
前記振動感受側構造体又は振動源側構造体の重心を原点とするXYZ座標系に対する慣性テンソルを
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としたとき、Z軸が前記回転部材の前記回転軸線と一致するように前記振動感受側構造体又は前記振動源側構造体が配置された場合に、
前記第1〜第nの弾性部材群の剛性Kiを(i=1,2,・・・,n)
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、前記第n+1の弾性部材群の剛性Kn+1
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、前記第1〜第nの弾性部材群の前記xy座標系のx座標、y座標をrpi_x、rpi_xとしたとき、XY座標系をZ軸周りに
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だけ回転させた前記xy座標系において、
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かつ
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を満たしつつ、
(1)
[この文献は図面を表示できません]
の値が変化するように前記第1〜第nの弾性部材群の位置を調整して、x軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる第1のステップ、
(2)
[この文献は図面を表示できません]
の値が変化するように前記第1〜第nの弾性部材群の位置を調整して、y軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる第2のステップ、
(3)
[この文献は図面を表示できません]
の値が変化するように前記第1〜第nの弾性部材群の位置を調整して、y軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる第3のステップ、
(4)前記第n+1の弾性部材群を前記xyz座標の原点に配置し、kn+1_xxの値を調節して、x軸並進運動の共振周波数をシフトさせる第4のステップ、
(5)前記第n+1の弾性部材群を前記xyz座標の原点に配置し、kn+1_yyの値を調節して、y軸並進運動の共振周波数をシフトさせる第5のステップ、
(6)前記第n+1の弾性部材群を前記xyz座標の原点に配置し、kn+1_zzの値を調節して、z軸並進運動の共振周波数をシフトさせる第6のステップ、
のうちの少なくとも1つのステップを含む、
振動アイソレータの共振周波数の調整方法を提供するものである。
【0021】
本発明の1つの態様は、前記振動アイソレータの共振周波数の調整方法であって、
前記複数の弾性部材は、その各々が1つ又はそれ以上の弾性部材を含む第1〜第4の弾性部材群及び/又は第5の弾性部材群を含み、
前記第1〜第4の弾性部材群及び/又は第5の弾性部材群は、前記回転部材の前記回転軸線がz軸と同軸となるxyz座標系のxy平面上に位置し、
前記第1〜第4の弾性部材群及び/又は第5の弾性部材群の一方の側は、前記振動感受側構造体又は振動源側構造体が接する側であり、
前記振動感受側構造体又は前記振動源側構造体の重心を原点とするXYZ座標系に対する慣性テンソルを
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としたとき、Z軸が前記回転部材の前記回転軸線と一致するように前記振動感受側構造体又は前記振動源側構造体が配置された場合に、
前記第1〜第nの弾性部材群の剛性Kiを(i=1,2,3,4)
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、前記第n+1の弾性部材群の剛性K5
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、前記第1〜第nの弾性部材群の前記xy座標系のx座標、y座標をrpi_x、rpi_xとしたとき、XY座標系をZ軸周りに
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だけ回転させた前記xy座標系のx軸、y軸に、前記第1及び第3の弾性部材群を結ぶ線分、前記第2及び第4の弾性部材群を結ぶ線分が一致するように、Z軸周りに前記回転部材を回転させるステップと、
前記第1〜第4の弾性部材群の前記xy座標系のx座標、y座標をrpi_x、rpi_xとしたとき、
[この文献は図面を表示できません]
かつ
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を満たしつつ、
(1)前記第2及び第4の弾性部材群の間の距離を調節して、x軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる第1のステップと、
(2)前記第1及び第3の弾性部材群の間の距離を調節して、y軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる第2のステップと、
(3)前記第2及び第4の弾性部材群の間の距離及び/又は前記第1及び第3の弾性部材群の間の距離を調節して、z軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる第3のステップと、
(4)前記第n+1の弾性部材群を前記xyz座標の原点に配置し、kn+1_xxの値を調節して、x軸並進運動の共振周波数をシフトさせる第4のステップ、
(5)前記第n+1の弾性部材群を前記xyz座標の原点に配置し、kn+1_yyの値を調節して、y軸並進運動の共振周波数をシフトさせる第5のステップ、
(6)前記第n+1の弾性部材群を前記xyz座標の原点に配置し、kn+1_zzの値を調節して、z軸並進運動の共振周波数をシフトさせる第6のステップ、
の第1〜第6のステップのうちの少なくとも1つのステップを含む、
振動アイソレータの共振周波数の調整方法を提供するものである。
【0022】
前記第1及び第3の弾性部材群の剛性が等しく、前記第2及び第4の弾性部材群の剛性が等しく、
前記第1及び第3の弾性部材群を前記xyz座標系の前記x軸上に原点に対称に配置し、前記第2及び第4の弾性部材群を前記xyz座標系の前記y軸上に原点に対称に配置しつつ、前記第1〜第3のステップの少なくとも1つが行われるものとすることができる。
【0023】
本発明の1つの態様は、一方の側において振動感受側構造体又は振動源側構造体と接する振動アイソレータの設計方法であって、
前記振動アイソレータは、その各々が1つ又はそれ以上の弾性部材を含む第1〜第n(nは3以上の整数)の弾性部材群及び/又は第n+1の弾性部材群を含み、
前記第1〜第nの弾性部材群及び/又は第n+1の弾性部材群が、xyz座標系のxy平面上に位置し、
前記第1〜第nの弾性部材群及び/又は第n+1の弾性部材群の一方の側は、前記振動感受側構造体又は振動源側構造体が接する側であり、
前記xyz座標系のxy座標系は、前記振動感受側構造体又は振動源側構造体の重心を原点とするXYZ座標系に対する慣性テンソルIを
[この文献は図面を表示できません]
としたとき、XY座標系をZ軸周りに
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だけ回転させたものであり、前記xyz座標系のz軸は前記Z軸と同軸であり、
前記第1〜第nの弾性部材群の剛性Kiを(i=1,2,・・・,n)
[この文献は図面を表示できません]
、前記第n+1の弾性部材群の剛性Kn+1
[この文献は図面を表示できません]
、前記第1〜第nの弾性部材群の前記xy座標系のx座標、y座標をrpi_x、rpi_yとしたとき、
[この文献は図面を表示できません]
かつ
[この文献は図面を表示できません]
を満たすように、前記第1〜第nの弾性部材群及び/又は第n+1の弾性部材群の位置を設定する、
振動アイソレータの設計方法を提供するものである。なお、振動アイソレータの一方の側が、振動感受側構造体が接する側であるときは、振動アイソレータの他方の側は、振動源側構造体が接する側となり、振動アイソレータの一方の側が、振動源側構造体が接する側であるときは、振動アイソレータの他方の側は、振動感受側構造体が接する側となる。
【0024】
前記振動感受側構造体又は振動源側構造体の質量をm、前記振動感受側構造体又は振動源側構造体の重心の前記xyz座標系のz座標をrpi_z、、前記xyz座標系に対する慣性テンソルI'を
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としたとき、
対角線形化並進運動方程式
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対角線形化回転運動方程式
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から、x方向並進運動の共振周波数、y方向並進運動の共振周波数、z方向並進運動の共振周波数、x軸周り回転運動の共振周波数、y軸周り回転運動の共振周波数、z軸周り回転運動の共振周波数を算出するステップと、
算出された前記x方向並進運動の共振周波数、前記y方向並進運動の共振周波数、前記z方向並進運動の共振周波数、前記x軸周り回転運動の共振周波数、前記y軸周り回転運動の共振周波数、前記z軸周り回転運動の共振周波数が、共振の発生に関連する周波数と一致しないように、
(1)
[この文献は図面を表示できません]
の値が変化するように前記第1〜第nの弾性部材群の位置を調整して、x軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる第1のステップ、
(2)
[この文献は図面を表示できません]
の値が変化するように前記第1〜第nの弾性部材群の位置を調整して、y軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる第2のステップ、
(3)
[この文献は図面を表示できません]
の値が変化するように前記第1〜第nの弾性部材群の位置を調整して、z軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる第3のステップ、
(4)前記第n+1の弾性部材群を前記xyz座標の原点に配置し、kn+1_xxの値を調節して、x軸並進運動の共振周波数をシフトさせる第4のステップ、
(5)前記第n+1の弾性部材群を前記xyz座標の原点に配置し、kn+1_yyの値を調節して、y軸並進運動の共振周波数をシフトさせる第5のステップ、
(6)前記第n+1の弾性部材群を前記xyz座標の原点に配置し、kn+1_zzの値を調節して、z軸並進運動の共振周波数をシフトさせる第6のステップ、
の第1〜第6のステップのうちの少なくとも1つのステップを含むものとすることができる。
【0025】
前記設計方法において、n=4であり、
前記第1及び第3の弾性部材群は前記xyz座標系のx軸上に位置し、前記第2及び第4の弾性部材群は前記xyz座標系のy軸上に位置し、
前記第1のステップは、前記第2及び第4の弾性部材群の間の距離を調節して、x軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせるステップであり、
前記第2のステップは、前記第1及び第3の弾性部材群の間の距離を調節して、y軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせるステップであり、
前記第3のステップは、前記第2及び第4の弾性部材群の間の距離及び/又は前記第1及び第3の弾性部材群の間の距離を調節して、z軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせるステップであるものとすることができる。
【0026】
前記第1及び第3の弾性部材群の剛性が等しく、前記第2及び第4の弾性部材群の剛性が等しく、
前記第1及び第3の弾性部材群を前記xyz座標系の前記x軸上に原点に対称に配置し、前記第2及び第4の弾性部材群を前記xyz座標系の前記y軸上に原点に対称に配置しつつ、前記第1〜第3のステップの少なくとも1つが行われるものとすることができる。
【0027】
本発明の1つの態様は、コンピュータにより実行される、一方の側において振動感受側構造体又は振動源側構造体と接する振動アイソレータの設計方法であって、
前記振動アイソレータは、その各々が1つ又はそれ以上の弾性部材を含む第1〜第n(nは3以上の整数)の弾性部材群を含み、
前記第1〜第nの弾性部材群が、xyz座標系のxy平面上に位置し、
前記第1〜第nの弾性部材群及び/又は第n+1の弾性部材群の一方の側は、前記振動感受側構造体又は振動源側構造体が接する側であり、
前記xyz座標系のxy座標系は、前記振動感受側構造体又は振動源側構造体の重心を原点とするXYZ座標系に対する慣性テンソルIを
[この文献は図面を表示できません]
としたとき、XY座標系をZ軸周りに
[この文献は図面を表示できません]
だけ回転させたものであり、前記xyz座標系のz軸は前記Z軸と同軸であり、
前記振動感受側構造体又は振動源側構造体の重心を原点とするXYZ座標系に対する慣性テンソルIを設定するステップと、
前記弾性部材群の数nを設定するステップと、
前記第1〜第nの弾性部材群の剛性Ki(i=1,2,・・・,n)
[この文献は図面を表示できません]
を設定するステップと、
前記第1〜第nの弾性部材群の前記xy座標系のx座標、y座標をrpi_x、rpi_yとしたとき、
[この文献は図面を表示できません]
かつ
[この文献は図面を表示できません]
を満たすように、前記第1〜第nの弾性部材群の位置を設定するステップと、
を含む振動アイソレータの設計方法を提供するものである。なお、振動アイソレータの一方の側が、振動感受側構造体が接する側であるときは、振動アイソレータの他方の側は、振動源側構造体が接する側となり、振動アイソレータの一方の側が、振動源側構造体が接する側であるときは、振動アイソレータの他方の側は、振動感受側構造体が接する側となる。
【0028】
前記振動感受側構造体又は振動源側構造体の質量mを設定するステップと、
前記振動感受側構造体又は振動源側構造体の重心の前記xyz座標系のz座標rpi_zを設定するステップと、
前記xyz座標系に対する慣性テンソルI'
[この文献は図面を表示できません]
を設定ステップと、
共振の発生に関連する周波数を設定するステップと、
対角線形化並進運動方程式
[この文献は図面を表示できません]
対角線形化回転運動方程式
[この文献は図面を表示できません]
から、x方向並進運動の共振周波数、y方向並進運動の共振周波数、z方向並進運動の共振周波数、x軸周り回転運動の共振周波数、y軸周り回転運動の共振周波数、z軸周り回転運動の共振周波数を算出するステップと、
算出された前記x方向並進運動の共振周波数、前記y方向並進運動の共振周波数、前記z方向並進運動の共振周波数、前記x軸周り回転運動の共振周波数、前記y軸周り回転運動の共振周波数、前記z軸周り回転運動の共振周波数が、設定された前記共振の発生に関連する周波数と一致しないように、
(1)
[この文献は図面を表示できません]
の値が変化するように前記第1〜第nの弾性部材群の位置を調整して設定し、x軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる第1のステップ、
(2)
[この文献は図面を表示できません]
の値が変化するように前記第1〜第nの弾性部材群の位置を調整して設定し、y軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる第2のステップ、
(3)
[この文献は図面を表示できません]
の値が変化するように前記第1〜第nの弾性部材群の位置を調整して設定し、z軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる第3のステップ、
(4)前記第n+1の弾性部材群の剛性Kn+1
[この文献は図面を表示できません]
を設定し、前記第n+1の弾性部材群を前記xyz座標の原点に配置し、kn+1_xxの値を調節し、x軸並進運動の共振周波数をシフトさせる第4のステップ、
(5)前記第n+1の弾性部材群の剛性Kn+1
[この文献は図面を表示できません]
を設定し、前記第n+1の弾性部材群を前記xyz座標の原点に配置し、kn+1_yyの値を調節し、y軸並進運動の共振周波数をシフトさせる第5のステップ、
(6)前記第n+1の弾性部材群の剛性Kn+1
[この文献は図面を表示できません]
を設定し、前記第n+1の弾性部材群を前記xyz座標の原点に配置し、kn+1_zzの値を調節し、z軸並進運動の共振周波数をシフトさせる第6のステップ、
の第1〜第6のステップのうちの少なくとも1つのステップと、
を更に含むものとすることができる。
【0029】
前記振動感受側構造体又は振動源側構造体の質量mを設定するステップと、
前記振動感受側構造体又は振動源側構造体の重心の前記xyz座標系のz座標rpi_zを設定するステップと、
前記xyz座標系に対する慣性テンソルI’
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を設定ステップと、
対角線形化並進運動方程式
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対角線形化回転運動方程式
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から、x方向並進運動の共振周波数、y方向並進運動の共振周波数、z方向並進運動の共振周波数、x軸周り回転運動の共振周波数、y軸周り回転運動の共振周波数、z軸周り回転運動の共振周波数を算出するステップと、
設定された前記第1〜第nの弾性部材群の位置と、算出された前記x方向並進運動の共振周波数、前記y方向並進運動の共振周波数、前記z方向並進運動の共振周波数、前記x軸周り回転運動の共振周波数、前記y軸周り回転運動の共振周波数、前記z軸周り回転運動の共振周波数を表示するステップと、
算出された前記x方向並進運動の共振周波数、前記y方向並進運動の共振周波数、前記z方向並進運動の共振周波数、前記x軸周り回転運動の共振周波数、前記y軸周り回転運動の共振周波数、前記z軸周り回転運動の共振周波数のうちから、シフトさせる共振周波数選択入力を促すステップと、
前記シフトさせる共振周波数の選択入力があった場合、選択された前記シフトさせる共振周波数に対応して、
(1)
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の値が変化するように前記第1〜第nの弾性部材群の位置を調整して設定し、x軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる第1のステップ、
(2)
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の値が変化するように前記第1〜第nの弾性部材群の位置を調整して設定し、y軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる第2のステップ、
(3)
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の値が変化するように前記第1〜第nの弾性部材群の位置を調整して設定し、z軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる第3のステップ、
(4)前記第n+1の弾性部材群の剛性Kn+1
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を設定し、前記第n+1の弾性部材群を前記xyz座標の原点に配置し、kn+1_xxの値を調節し、x軸並進運動の共振周波数をシフトさせる第4のステップ、
(5)前記第n+1の弾性部材群の剛性Kn+1
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を設定し、前記第n+1の弾性部材群を前記xyz座標の原点に配置し、kn+1_yyの値を調節し、y軸並進運動の共振周波数をシフトさせる第5のステップ、
(6)前記第n+1の弾性部材群の剛性Kn+1
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を設定し、前記第n+1の弾性部材群を前記xyz座標の原点に配置し、kn+1_zzの値を調節し、z軸並進運動の共振周波数をシフトさせる第6のステップ、
の第1〜第6のステップのうちの少なくとも1つのステップと、
を更に含むものとすることができる。
【0030】
前記設計方法において、n=4であり、
前記第1及び第3の弾性部材群は前記xyz座標系のx軸上に位置し、前記第2及び第4の弾性部材群は前記xyz座標系のy軸上に位置し、
前記第1のステップは、前記第2及び第4の弾性部材群の間の距離を調節して、x軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせるステップであり、
前記第2のステップは、前記第1及び第3の弾性部材群の間の距離を調節して、y軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせるステップであり、
前記第3のステップは、前記第2及び第4の弾性部材群の間の距離及び/又は前記第1及び第3の弾性部材群の間の距離を調節して、z軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせるステップであるものとすることができる。
【0031】
前記第1及び第3の弾性部材群の剛性が等しく、前記第2及び第4の弾性部材群の剛性が等しく、
前記第1及び第3の弾性部材群を前記xyz座標系の前記x軸上に原点に対称に配置し、前記第2及び第4の弾性部材群を前記xyz座標系の前記y軸上に原点に対称に配置しつつ、前記第1〜第3のステップの少なくとも1つが行われるものとすることができる。
【0032】
前記xyz座標系に対する慣性テンソルI'を設定するステップは、前記XYZ座標系に対する慣性テンソルIに基づいて算出するステップとすることができる。
【0033】
前記設計方法は、弾性部材群配置可能範囲を設定するステップを更に含み、
前記第1〜第nの弾性部材群の位置の設定は、前記弾性部材群配置可能範囲内で行われるものとすることができる。
【0034】
設定された前記第1〜第nの弾性部材群の位置は、前記弾性部材群配置可能範囲と共に表示されるものとすることができる。
【0035】
設定された前記第1〜第nの弾性部材群の位置は、前記x軸及びy軸と共に表示されるものとすることができる。
【0036】
前記設計方法において、n=4であり、
前記第1及び第3の弾性部材群は前記xyz座標系のx軸上に位置し、前記第2及び第4の弾性部材群は前記xyz座標系のy軸上に位置し、
前記第1のステップは、前記第2及び第4の弾性部材群の間の距離を調節して、x軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせるステップであり、
前記第2のステップは、前記第1及び第3の弾性部材群の間の距離を調節して、y軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせるステップであり、
前記第3のステップは、前記第2及び第4の弾性部材群の間の距離及び/又は前記第1及び第3の弾性部材群の間の距離を調節して、z軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせるステップであり、
選択された前記シフトさせる共振周波数をシフトさせるために位置調節が必要な弾性部材群を、その必要がない弾性部材群と区別可能に表示し、位置調整方向を示す線を表示するステップと、
を更に含むものとすることができる。
【0037】
前記第1及び第3の弾性部材群の剛性が等しく、前記第2及び第4の弾性部材群の剛性が等しく、
前記第1及び第3の弾性部材群の一方を前記x軸上で移動させる指示が入力された場合、他方の弾性部材群を原点に対称に配置し、表示し、前記第2及び第4の弾性部材群の一方を前記y軸上で移動させる指示が入力された場合、他方の弾性部材群を原点に対称に配置し、表示しつつ、前記第1〜第3のステップの少なくとも1つが行われるものとすることができる。
【0038】
本発明の1つの態様は、前記振動アイソレータの設計方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを提供するものである。
【0039】
本発明の1つの態様は、前記プログラムを記憶した記憶媒体を提供するものである。
【0040】
本発明の1つの態様は、前記設計方法に従って振動アイソレータを設計するステップと、
設計された前記振動アイソレータを製造するステップと、
を含む振動アイソレータの製造方法を提供するものである。
【0041】
本発明の1つの態様は、前記設計方法に従って振動アイソレータを設計するステップと、
設計された前記振動アイソレータが取り付けられた構造物を製造するステップと、
を含む振動アイソレータの製造方法を提供するものである。
【0042】
本発明の1つの態様は、一方の側において振動感受側構造体又は振動源側構造体と接する振動アイソレータの設計システムであって、
前記振動アイソレータは、その各々が1つ又はそれ以上の弾性部材を含む第1〜第n(nは3以上の整数)の弾性部材群を含み、
前記第1〜第nの弾性部材群が、xyz座標系のxy平面上に位置し、
前記第1〜第nの弾性部材群及び/又は第n+1の弾性部材群の一方の側は、前記振動感受側構造体又は前記振動源側構造体が接する側であり、
前記xyz座標系のxy座標系は、前記振動感受側構造体又は振動源側構造体の重心を原点とするXYZ座標系に対する慣性テンソルIを
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としたとき、XY座標系をZ軸周りに
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だけ回転させたものであり、前記xyz座標系のz軸は前記Z軸と同軸であり、
前記振動感受側構造体又は前記振動源側構造体の重心を原点とするXYZ座標系に対する慣性テンソルIを設定する慣性テンソル設定部と、
前記弾性部材群の数nを設定する弾性部材群数設定部と、
前記第1〜第nの弾性部材群の剛性Ki(i=1,2,・・・,n)
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を設定する剛性設定部と、
前記第1〜第nの弾性部材群の前記xy座標系のx座標、y座標をrpi_x、rpi_yとしたとき、
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かつ
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を満たすように、前記第1〜第nの弾性部材群の位置を設定する弾性部材群位置設定部と、
を含む振動アイソレータの設計システムを提供するものである。なお、振動アイソレータの一方の側が、振動感受側構造体が接する側であるときは、振動アイソレータの他方の側は、振動源側構造体が接する側となり、振動アイソレータの一方の側が、振動源側構造体が接する側であるときは、振動アイソレータの他方の側は、振動感受側構造体が接する側となる。
【0043】
前記振動感受側構造体又は振動源側構造体の質量mを設定する剛体質量設定部と、
前記振動感受側構造体又は振動源側構造体の重心の前記xyz座標系のz座標rpi_zを設定する剛体重心座標設定部と、
前記xyz座標系に対する慣性テンソルI'
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を設定する変換慣性テンソル設定部と、
対角線形化並進運動方程式
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対角線形化回転運動方程式
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から、x方向並進運動の共振周波数、y方向並進運動の共振周波数、z方向並進運動の共振周波数、x軸周り回転運動の共振周波数、y軸周り回転運動の共振周波数、z軸周り回転運動の共振周波数を算出する共振周波数算出部と、
共振の発生に関連する周波数を設定する共振関連周波数設定部と、
算出された前記x方向並進運動の共振周波数、前記y方向並進運動の共振周波数、前記z方向並進運動の共振周波数、前記x軸周り回転運動の共振周波数、前記y軸周り回転運動の共振周波数、前記z軸周り回転運動の共振周波数が、設定された前記共振の発生に関連する周波数と一致しないように、
(1)
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の値が変化するように前記第1〜第nの弾性部材群の位置を調整して設定し、x軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる第1の処理、
(2)
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の値が変化するように前記第1〜第nの弾性部材群の位置を調整して設定し、y軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる第2の処理、
(3)
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の値が変化するように前記第1〜第nの弾性部材群の位置を調整して設定し、z軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる第3の処理、
(4)前記第n+1の弾性部材群の剛性Kn+1
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を設定し、前記第n+1の弾性部材群を前記xyz座標の原点に配置し、kn+1_xxの値を調節し、x軸並進運動の共振周波数をシフトさせる第4の処理、
(5)前記第n+1の弾性部材群の剛性Kn+1
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を設定し、前記第n+1の弾性部材群を前記xyz座標の原点に配置し、kn+1_yyの値を調節し、y軸並進運動の共振周波数をシフトさせる第5の処理、
(6)前記第n+1の弾性部材群の剛性Kn+1
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を設定し、前記第n+1の弾性部材群を前記xyz座標の原点に配置し、kn+1_zzの値を調節し、z軸並進運動の共振周波数をシフトさせる第6の処理、
のうちの少なくとも1つの処理を行う弾性部材群位置調節部と、
を更に含むものとすることができる。
【0044】
前記振動感受側構造体又は振動源側構造体の質量mを設定する剛体質量設定部と、
前記振動感受側構造体又は振動源側構造体の重心の前記xyz座標系のz座標rpi_zを設定する剛体重心座標設定部と、
前記xyz座標系に対する慣性テンソルI’
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を設定する変換慣性テンソル設定部と、
対角線形化並進運動方程式
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対角線形化回転運動方程式
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から、x方向並進運動の共振周波数、y方向並進運動の共振周波数、z方向並進運動の共振周波数、x軸周り回転運動の共振周波数、y軸周り回転運動の共振周波数、z軸周り回転運動の共振周波数を算出する共振周波数算出部と、
設定された前記第1〜第nの弾性部材群の位置と、算出された前記x方向並進運動の共振周波数、前記y方向並進運動の共振周波数、前記z方向並進運動の共振周波数、前記x軸周り回転運動の共振周波数、前記y軸周り回転運動の共振周波数、前記z軸周り回転運動の共振周波数を表示する弾性部材群配置表示部と、
算出された前記x方向並進運動の共振周波数、前記y方向並進運動の共振周波数、前記z方向並進運動の共振周波数、前記x軸周り回転運動の共振周波数、前記y軸周り回転運動の共振周波数、前記z軸周り回転運動の共振周波数のうちから、シフトさせる共振周波数選択入力を促す共振周波数選択入力部と、
前記シフトさせる共振周波数の選択入力があった場合、選択された前記シフトさせる共振周波数に対応して、
(1)
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の値が変化するように前記第1〜第nの弾性部材群の位置を調整して設定し、x軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる第1の処理、
(2)
[この文献は図面を表示できません]
の値が変化するように前記第1〜第nの弾性部材群の位置を調整して設定し、y軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる第2の処理、
(3)
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の値が変化するように前記第1〜第nの弾性部材群の位置を調整して設定し、z軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる第3の処理、
(4)前記第n+1の弾性部材群の剛性Kn+1
[この文献は図面を表示できません]
を設定し、前記第n+1の弾性部材群を前記xyz座標の原点に配置し、kn+1_xxの値を調節し、x軸並進運動の共振周波数をシフトさせる第4の処理、
(5)前記第n+1の弾性部材群の剛性Kn+1
[この文献は図面を表示できません]
を設定し、前記第n+1の弾性部材群を前記xyz座標の原点に配置し、kn+1_yyの値を調節し、y軸並進運動の共振周波数をシフトさせる第5の処理、
(6)前記第n+1の弾性部材群の剛性Kn+1
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を設定し、前記第n+1の弾性部材群を前記xyz座標の原点に配置し、kn+1_zzの値を調節し、z軸並進運動の共振周波数をシフトさせる第6の処理、
のうちの少なくとも1つの処理を実行する弾性部材群位置調節部と、
を更に含むものとすることができる。
【0045】
前記設計システムにおいて、n=4であり、
前記第1及び第3の弾性部材群は前記xyz座標系のx軸上に位置し、前記第2及び第4の弾性部材群は前記xyz座標系のy軸上に位置し、
前記第1の処理は、前記第2及び第4の弾性部材群の間の距離を調節して、x軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる処理であり、
前記第2の処理は、前記第1及び第3の弾性部材群の間の距離を調節して、y軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる処理であり、
前記第3の処理は、前記第2及び第4の弾性部材群の間の距離及び/又は前記第1及び第3の弾性部材群の間の距離を調節して、z軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる処理であるものとすることができる。
【0046】
前記第1及び第3の弾性部材群の剛性が等しく、前記第2及び第4の弾性部材群の剛性が等しく、
前記第1及び第3の弾性部材群を前記xyz座標系の前記x軸上に原点に対称に配置し、前記第2及び第4の弾性部材群を前記xyz座標系の前記y軸上に原点に対称に配置しつつ、前記第1〜第3の処理の少なくとも1つが行われるものとすることができる。
【0047】
前記変換慣性テンソル設定部は、前記XYZ座標系に対する慣性テンソルIに基づいて慣性テンソルI'を算出するものとすることができる。
【0048】
前記設計システムは、弾性部材群配置可能範囲を設定する弾性部材群配置可能範囲設定部を更に含み、
前記第1〜第nの弾性部材群の位置の設定は、前記弾性部材群配置可能範囲内で行われるものとすることができる。
【0049】
前記弾性部材群配置表示部は、設定された前記第1〜第nの弾性部材群の位置を、前記弾性部材群配置可能範囲と共に表示するものとすることができる。
【0050】
前記弾性部材群配置表示部は、設定された前記第1〜第nの弾性部材群の位置を、前記x軸及びy軸と共に表示するものとすることができる。
【0051】
前記設計システムにおいて、n=4であり、
前記第1及び第3の弾性部材群は前記xyz座標系のx軸上に位置し、前記第2及び第4の弾性部材群は前記xyz座標系のy軸上に位置し、
前記第1の処理は、前記第2及び第4の弾性部材群の間の距離を調節して、x軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる処理であり、
前記第2の処理は、前記第1及び第3の弾性部材群の間の距離を調節して、y軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる処理であり、
前記第3の処理は、前記第2及び第4の弾性部材群の間の距離及び/又は前記第1及び第3の弾性部材群の間の距離を調節して、z軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる処理であり、
前記弾性部材群配置表示部は、選択された前記シフトさせる共振周波数をシフトさせるために位置調節が必要な弾性部材群を、その必要がない弾性部材群と区別可能に表示し、位置調整方向を示す線を表示するものとすることができる。
【0052】
前記第1及び第3の弾性部材群の剛性が等しく、前記第2及び第4の弾性部材群の剛性が等しく、
前記第1及び第3の弾性部材群の一方を前記x軸上で移動させる指示が入力された場合、他方の弾性部材群を原点に対称に配置し、表示し、前記第2及び第4の弾性部材群の一方を前記y軸上で移動させる指示が入力された場合、他方の弾性部材群を原点に対称に配置し、表示しつつ、前記第1〜第3の処理の少なくとも1つが行われるものとすることができる。
【0053】
本明細書及び特許請求の範囲において、「共振の発生に関連する周波数」とは、振動源側構造体−振動アイソレータ−振動感受側構造体の系において振動源を作動させたときの振動感受側構造体の振動応答において共振現象が発生する又は発生すると想定される周波数を意味する。
【発明の効果】
【0054】
本発明に係る振動アイソレータの共振周波数の調整方法及び調整システム、並びに振動アイソレータによれば、振動アイソレータの共振を防止することができ、しかもそのために、振動アイソレータの数量・重量が増えることなく、また振動アイソレータを構成する弾性部材の選択、個数、配置等の変更を何度も行う必要がなくなる。
【0055】
また、本発明に係る振動アイソレータの設計方法、設計システム、及び製造方法によれば、共振が発生しない振動アイソレータの設計及び製造を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
図1】振動アイソレータの解析モデルを示す図である。
図2】XYZ座標系の定義を示す図である。
図3】xy座標系の定義を示す図である。
図4】条件2を満たす配置の一例を示す図である。
図5】(a)〜(c)は、条件2を満たす配置の一例を示す図である。
図6】(a)は、xy平面の原点付近にx方向の剛性が支配的な弾性部材を追加配置した構成を示す図であり、(b)は、xy平面の原点付近に配置する弾性部材の数と、x方向並進運動の共振周波数の関係を示すグラフの一例である。
図7】xy平面の原点付近に配置する弾性部材の数と、y方向並進運動の共振周波数の関係を示すグラフの一例である。
図8】xy平面の原点付近に配置する弾性部材の数と、z方向並進運動の共振周波数の関係を示すグラフの一例である。
図9】(a)は、y軸上の弾性部材間の距離の調整を示す図であり、(b)は、y軸上の弾性部材間距離とx軸周り回転運動の共振周波数との関係を示すグラフの一例である。
図10】(a)は、x軸上の弾性部材間の距離の調整を示す図であり、(b)は、x軸上の弾性部材間距離とx軸周り回転運動の共振周波数との関係を示すグラフの一例である。
図11】(a)は、菱形の大きさの調整を示す図であり、(b)は、菱形の一辺の長さとz軸周り回転運動の共振周波数との関係を示すグラフの一例である。
図12】振動伝達率と振動入力の関係を周波数に関して示すグラフの一例である。
図13】本発明の第1の実施形態に係る振動アイソレータ1の上面模式図である。
図14A】本発明の第1の実施形態に係る振動アイソレータの共振周波数の調整方法のフローチャートである。
図14B】本発明の第1の実施形態に係る振動アイソレータの共振周波数の調整方法のフローチャートである。
図15】本発明の第2の実施形態に係る振動アイソレータ5の斜視図である。
図16】本発明の第2の実施形態に係る振動アイソレータ5のA−A断面図である。
図17】本発明の第2の実施形態に係る振動アイソレータに振動感受側構造体と振動源側構造体を取り付けた状態の側面図である。
図18】本発明の第2の実施形態に係る振動アイソレータの回転部材の回転方法の一例を示す図である。
図19A】本発明の第2の実施形態に係る振動アイソレータの共振周波数の調整方法のフローチャートである。
図19B】本発明の第2の実施形態に係る振動アイソレータの共振周波数の調整方法のフローチャートである。
図20A】本発明の第3の実施形態に係る振動アイソレータの設計方法のフローチャートである。
図20B】本発明の第3の実施形態に係る振動アイソレータの設計方法のフローチャートである。
図21】本発明の第4の実施形態に係る振動アイソレータの設計システムの全体構成を示す図である。
図22】本発明の第4の実施形態に係る振動アイソレータ設計システムのハードウエア構成の例を示す図である。
図23A】本発明の第4の実施形態に係る振動アイソレータ設計システムの設計処理のフローチャートである。
図23B】本発明の第4の実施形態に係る振動アイソレータ設計システムの設計処理のフローチャートである。
図23C】本発明の第4の実施形態に係る振動アイソレータ設計システムの設計処理のフローチャートである。
図24】本発明の第5の実施形態に係る振動アイソレータの設計システムの全体構成を示す図である。
図25A】本発明の第5の実施形態に係る振動アイソレータ設計システムの設計処理のフローチャートである
図25B】本発明の第5の実施形態に係る振動アイソレータ設計システムの設計処理のフローチャートである
図25C】本発明の第5の実施形態に係る振動アイソレータ設計システムの設計処理のフローチャートである
図26】本発明の第5の実施形態に係る振動アイソレータ設計システムの表示画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
以下に、図面を参照しながら、本発明の例示的な実施形態のいくつかについて説明する。
【0058】
(振動アイソレータの共振周波数の調整方法の原理)
まず、本発明の振動アイソレータの共振周波数の調整方法の原理について図1を参照して説明する。
【0059】
<解析モデルと運動方程式>
図1は、振動アイソレータの解析モデルを示す図である。この解析モデルにおいて、振動アイソレータを構成する弾性部材の一端は、振動アイソレータの固定されたベースマウントに接している。そして弾性部材の他端には、剛体である振動感受側構造体が接している。剛体は、振動源側構造体であってもよい。
【0060】
ここで、以下で用いる各記号の定義を表1に示す。
【表1】
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【0061】
<ラグランジュの運動方程式の導出>
図1で示す解析モデルにおいて、系の運動エネルギーT、系のポテンシャルエネルギーUはそれぞれ、以下の通りである。
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これより、ラグランジアンLは
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となる。よって、ラグランジュの運動方程式は以下のように導出できる。
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【0062】
各項を計算すると、
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となる。ただし、式展開の際には以下の定義を用いた。
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特に、E(Θ)は振動感受側構造体座標系から慣性座標系への座標変換行列を表し、Eu(Θ)は、角速度ωとオイラー角の時間微分の関係を表す変換行列である。
【0063】
ここで、Iに時間変化はないものとし、さらに数式の簡略化のため、便宜上Er(Θ)を以下の通り定義する。
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また、式を展開して計算すれば、
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であることから、系の並進運動方程式、回転運動方程式はそれぞれ次のように導出できる。
<並進運動方程式>
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<回転運動方程式>
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【0064】
<運動方程式の線形化>
前項で導出したラグランジュの運動方程式に対し、[rg]<<1、[Θ]<<1の微小変位を仮定し、運動方程式を線形化する。二次以上の微小量を無視すると運動方程式は以下の形で記述できる。
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ただし、
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より、
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である。また、微小変位の条件より、
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とみなすこともできる。
【0065】
<固有値の導出>
前項の線形化された運動方程式を行列の形で整理すると、以下の形で運動方程式を導出でる。この、MeffとKeffに対し、固有値を算出することで、系の固有振動数が求まる。
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ただし、
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また、[0]は3行3列の零行列、[1]は3行3列の単位行列を表す。
【0066】
<線形運動方程式の対角化>
前項の運動方程式より、弾性部材を単に配置しただけでは個々弾性部材の運動が連成するため、共振周波数を自由に設計することができないことが分かる。そこで、弾性部材の剛性と振動感受側構造体の質量特性を以下のように定義し、さらに式を展開していく。
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【0067】
各軸の運動を可能な限り独立にするために、導出した以下の運動方程式を可能な限り対角化する。
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【0068】
まず、並進運動方程式に関する項について
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を対角化、
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を零行列化することを考えると、
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である。弾性部材の配置制約から、
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であるが、
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となるように配置することができれば、
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とすることができる。これにより、並進運動に関する項を可能な限り対角化できる。
【0069】
次に、回転運動方程式の項である
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を零行列化し、
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を対角化することを考えると、上述の通り
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とすることを前提とすれば、
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となる。上記において、慣性乗積=0とすることができれば、
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とすることが可能である。しかし、振動感受側構造体の設計のみですべての慣性乗積をゼロとすること(機械軸と慣性主軸を完全に一致させること)は現実的ではない。そこで、振動アイソレータの設計により少なくとも1つの慣性乗積を主軸の値よりも十分小さくする。アイソレータの設計により小さくできなかった慣性乗積は、振動感受側構造体の設計により主軸の値よりも十分小さく設計する。
【0070】
振動感受側構造体の設計とアイソレータの設計により、
x'x'、Iy'y'、Iz'z'>>Ix'y'、Iy'z'、Iz'z'
とした場合を考えると、この時、二次の微小量として、
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(k,l,m,n=x,y,zかつm≠n)

とすることができる。上式より、慣性テンソルとその逆行列は
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と近似することができる。よって、
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となる。
【0071】
さらに、同様の前提においては、
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とすることができる。ここで
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であれば、
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となる。
【0072】
各軸方向の並進運動と各軸周りの回転運動の連成を可能な限り排除した結果、
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と変形させることができ、並進運動方程式と回転運動方程式をそれぞれ整理すると以下のように導出できる。

<対角線形化並進運動方程式>
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<対角線形化回転運動方程式>
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なお、運動方程式中で、m、Ixx、Iyy、Izzは振動感受側構造体の質量特性によって決定されるパラメータである。
【0073】
更に、剛体の重心位置が十分低い(
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)場合を考え、(3)、(4)式を解いてみる。この時、運動方程式は完全に対角化でき、
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となる。これは6自由度の運動方程式が独立な1自由度系の運動方程式
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で書き直すことができたことを意味し、この共振周波数fは、
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である。
【0074】
よって、6自由度運動の共振周波数はそれぞれ、下記の表2に示されるよう求められる。
【表2】
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【0075】
上記パラメータは、剛体の重心位置が十分低い場合から導出したものであるが、重心高さが無視できない場合においても同様に、共振周波数の値を決定するにあたり支配的なパラメータである。
【0076】
したがって、
(1)アイソレータの機能により少なくとも1つの慣性乗積を主軸の値よりも十分小さく(感受性機器の設計とアイソレータ設計によりIxx、Iyy、Izz>> Ixy、Ixz、Iyzとする)(条件1)、
(2)
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且つ
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(条件2)
の条件を満たす場合、m、Ixx、Iyy、Izzは振動感受側構造体の質量特性によって決定される値であるから、x方向並進運動の共振周波数、y方向並進運動の共振周波数、z方向並進運動の共振周波数、x軸周り回転運動の共振周波数、y軸周り回転運動の共振周波数、z軸周り回転運動の共振周波数はそれぞれ、上記の表2に示すような項の値を設定・調整することによりシフトさせることができることが分かる。
【0077】
そこで、上記条件1、条件2についてそれぞれ検討する。
【0078】
<条件1について>
今、各弾性部材が配置される平面をXY平面と規定する。また、XY平面に垂直な軸をZ軸方向とし、振動感受側構造体の重心位置をXY平面に対しZ軸に平行に投影した点を原点とするXYZ座標系を規定する(図2参照)。
XYZ座標系に対して規定した振動感受側構造体の慣性テンソルを
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と定義し、Z軸に対しθ回転する座標変換を考慮する。この時、
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となるθをとれば、擾乱感受性機器に対しIXYをゼロにする座標軸を定義することができる。
【0079】
よって、XY軸をθ回転した軸をxy軸と定義すると、xy平面上で各弾性部材を配置することで、条件1を満たすことができる(図3参照)
【0080】
<条件2について>
弾性部材の配置は上記条件2を満たすように配置すればよい。なお、弾性部材は取り付け面を規定するために3個以上が必要である。具体的な配置について、すべて同一の弾性部材を用いると仮定した場合の例を以下に示す。
【0081】
(1)弾性部材を3個用いる場合
例えば、図4に示されるような配置が条件2を満たすことになる。弾性部材の個数は最小となるが、例えばx軸周りの回転運動の共振周波数を調整する際には、3個全ての配置を変える必要が生じる。
【0082】
(2)4個の場合
例えば、図5(a)に示される菱形配置、図5(b)に示される長方形配置、図5(c)に示される台形配置のような配置が条件2を満たすことになる。この時、x軸及びy軸周りの回転運動の共振周波数を個別にシフトさせるために、配置を変更する必要がある弾性部材の数は最小であることが望ましい。そのような配置は、図5(a)に示されるようなの菱形配置であり、対角を成す2個の弾性部材の間の距離を変えることで調整を行うことができる。
【0083】
続いて、各共振周波数の調整手法について検討していく。
【0084】
(1) x方向並進運動共振周波数の調整
上記の表2に示されるように、x方向並進運動の共振周波数をシフトさせるためには、
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の値を調整すればよい。xy平面の原点に配置される弾性部材は上記条件1を満たすから、この値を調整する方法の1つとして、x方向の剛性が支配的な弾性部材を1つ又はそれ以上、xy平面の原点付近に配置することが考えられる。この場合、所望する共振周波数の調整幅に応じたx方向の剛性を有する弾性部材を配置したり、所望する共振周波数の調整幅に応じた数の弾性部材を配置すればよい。なお、この方法においては、共振周波数を大きくする方向にのみ調整できる。
【0085】
図6(a)は、弾性部材が菱形配置されているところに、xy平面の原点付近にx方向の剛性が支配的な弾性部材を追加配置した構成を示す図である。また、図6(b)は、xy平面の原点付近に配置する弾性部材の数と、x方向並進運動の共振周波数の関係を示すグラフの一例である。
【0086】
(2) y方向並進運動共振周波数の調整
上記の表2に示されるように、x方向並進運動の共振周波数をシフトさせるためには、
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の値を調整すればよい。xy平面の原点に配置される弾性部材は上記条件1を満たすから、この値を調整する方法の1つとして、y方向の剛性が支配的な弾性部材を1つ又はそれ以上、xy平面の原点付近に配置することが考えられる。この場合、所望する共振周波数の調整幅に応じたy方向の剛性を有する弾性部材を配置したり、所望する共振周波数の調整幅に応じた数の弾性部材を配置すればよい。なお、この方法においては、共振周波数を大きくする方向にのみ調整できる。図7は、xy平面の原点付近に配置する弾性部材の数と、y方向並進運動の共振周波数の関係を示すグラフの一例である。
【0087】
(3) z方向並進運動共振周波数の調整
上記の表2に示されるように、x方向並進運動の共振周波数をシフトさせるためには、
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の値を調整すればよい。xy平面の原点に配置される弾性部材は上記条件1を満たすから、この値を調整する方法の1つとして、z方向の剛性が支配的な弾性部材を1つ又はそれ以上、xy平面の原点付近に配置することが考えられる。この場合、所望する共振周波数の調整幅に応じたz方向の剛性を有する弾性部材を配置したり、所望する共振周波数の調整幅に応じた数の弾性部材を配置すればよい。なお、この方法においては、共振周波数を大きくする方向にのみ調整できる。図8は、xy平面の原点付近に配置する弾性部材の数と、z方向並進運動の共振周波数の関係を示すグラフの一例である。
【0088】
(4)x軸周り回転運動共振周波数の調整
上記の表2に示されるように、x軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせるためには、
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の値を調整すればよいが、これは、xy平面に配置された各弾性部材のz方向の剛性ki_zz及び/又はy座標rpi_yを調整することによって達成される。
【0089】
例えば、上述の図5(a)に示されるような同じ弾性部材の菱形配置において、図9(a)に示されるように、x軸上の弾性部材は初期状態のまま固定し、y軸上の弾性部材間の距離を調整することによって
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を調整することを考えると、y軸上の弾性部材間距離とx軸周り回転運動の共振周波数との関係は、図9(b)に示されるようになる。すなわち、弾性部材間距離を小さくすれば共振周波数は小さくなり、弾性部材間距離を大きくすれば共振周波数は大きくなる。
【0090】
ここで、剛体の重心高さによってはモード形状(回転モードと並進モード)の入れ替わりに伴って、共振周波数の設定が困難な領域(設定不可領域)が存在する。
【0091】
(5)y軸周り回転運動共振周波数の調整
上記の表2に示されるように、y軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせるためには、
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の値を調整すればよいが、これは、xy平面に配置された各弾性部材のz方向の剛性ki_zz及び/又はx座標rpi_xを調整することによって達成される。
【0092】
例えば、上述の図5(a)に示されるような同じ弾性部材の菱形配置において、図10(a)に示されるように、y軸上の弾性部材は初期状態のまま固定し、x軸上の弾性部材間の距離を調整することによって
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を調整することを考えると、x軸上の弾性部材間距離とy軸周り回転運動の共振周波数との関係は、図10(b)に示されるようになる。すなわち、弾性部材間距離を小さくすれば共振周波数は小さくなり、弾性部材間距離を大きくすれば共振周波数は大きくなる。
【0093】
ここで、剛体の重心高さによってはモード形状(回転モードと並進モード)の入れ替わりに伴って、共振周波数の設定が困難な領域(設定不可領域)が存在する。
【0094】
(6)z軸周り回転運動共振周波数の調整
上記の表2に示されるように、z軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせるためには、
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の値を調整すればよいが、これは、xy平面に配置された各弾性部材のx方向の剛性ki_xx、y方向の剛性ki_yy、x座標rpi_x及び/又はy座標rpi_yを調整することによって達成される。
【0095】
簡単のために、例えば、上述の図5(a)に示されるような同じ弾性部材の菱形配置において、図11(a)に示されるように、初期状態の菱形配置を相似な形状で変化させることによって
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を調整することを考えると、初期状態の菱形配置を相似な形状で菱形の一辺の長さとz軸周り回転運動の共振周波数との関係は、図11(b)に示されるようになる。すなわち、初期状態の菱形配置を相似な形状で、菱形の一辺の長さを小さくすれば共振周波数は小さくなり、菱形の一辺の長さを大きくすれば共振周波数は大きくなる。
【0096】
上述の調整手法によって、各共振周波数をそれぞれ個別に調整することができるが、これらの調整手法を用いて、振動アイソレータの共振を防止するための共振周波数の調整方法の例について述べる。
【0097】
図12は、振動アイソレータを適用したときの振動伝達率と振動入力の関係を周波数に関して示すグラフの一例である。実線は振動アイソレータを適用したときの振動伝達率、破線は振動入力を示す。
【0098】
振動アイソレータの適用によって高周波域においては大きな絶縁特性が得られるものの、原理上、低周波域には、x方向並進運動の共振周波数、y方向並進運動の共振周波数、z方向並進運動の共振周波数、x軸周り回転運動の共振周波数、y軸周り回転運動の共振周波数、z軸周り回転運動の共振周波数の6つの共振周波数が現れる。一方、低周波域の振動入力においてA、B、Cの3つのピークが存在する。
【0099】
振動入力のピークAは全ての共振周波数から外れているため問題とならないが、振動入力のピークBはy軸周り回転共振周波数と、振動入力のピークCはy方向並進共振周波数と一致している。そのため、振動応答=振動入力×振動伝達率であることから、結果として大きな応答が出現する。
【0100】
そこで、個別に各共振周波数を調整するという手法が有効となる。本例においては、上記(2)の調整手法を用いてy軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせるとともに、上記(5)の調整手法を用いてy方向並進運動の共振周波数をシフトさせることによって、増幅域による振動応答を最小限に抑えることができる。
【0101】
(第1の実施形態)
図13は本発明の第1の実施形態に係る振動アイソレータ1の上面模式図である。振動アイソレータ1は、フレーム10、第1のスライド部材11、第2のスライド部材12、第3のスライド部材13、第4のスライド部材14、第1の弾性部材15、第2の弾性部材16、第3の弾性部材17、第4の弾性部材18を備える。
【0102】
フレーム10は、第1のフレーム部101、第2のフレーム部102、第3のフレーム部103、第4のフレーム部104、第5のフレーム部105を備える。第1のフレーム部101、第2のフレーム部102、第3のフレーム部103は、互いに平行な直線状のフレーム部であり、第4のフレーム部104、第5のフレーム部105は、第1〜第3のフレーム部101〜103と直交する方向に互いに平行な直線状のフレーム部である。第1、第3、第4及び第5のフレーム部101、103、104、105により、フレーム10の矩形の外周部が構成される。また、第2のフレーム部102は、第4のフレーム部104の中点と第5のフレーム部105の中点を結ぶ線上に配置されている。第2のフレーム部102の中心部は、弾性部材19を取り付けることができるようになっている。
【0103】
第1〜第4のスライド部材11〜14は、それぞれ、直線状の第1のスライド部材本体11aと第1のスライドプレート11b、直線状の第2のスライド部材本体12aと第1のスライドプレート12b、直線状の第3のスライド部材本体13aと第3のスライドプレート13b、直線状の第4のスライド部材本体14aと第4のスライドプレート14bを備える。
【0104】
第1及び第4のスライド部材本体11a、14aは、第2のフレーム部102と第3のフレーム部103の間に配置され、それぞれ、第2及び第3のフレーム部102、103に、第2及び第3のフレーム部102、103が延びる方向と平行な方向に摺動可能に連結されている。第1のスライド部材11は、第4のスライド部材14の第5のフレーム部105側に配置されている。第2及び第3のスライド部材本体12a、13aは、第1のフレーム部101と第2のフレーム部102の間に配置され、それぞれ、第1及び第2のフレーム部101、102に、第1及び第2のフレーム部101、102が延びる方向と平行な方向に摺動可能に連結されている。第2のスライド部材12は、第3のスライド部材13の第5のフレーム部105側に配置されている。
【0105】
また、第1〜第4のスライドプレート11b〜14bは、それぞれ、第1〜第4のスライド部材本体11a〜14aに、第1〜第4のスライド部材本体11b〜14aが延びる方向と平行な方向に摺動可能に連結されている。そして、第1〜第4のスライドプレート11a〜14aには、それぞれ、第1〜第4の弾性部材15〜18が取り付けられている。
【0106】
このような構成により、第2のフレーム部102、第3のフレーム部103、第4のフレーム部104、第5のフレーム部105で囲まれる領域内で、第1の弾性部材15、第4の弾性部材18の位置を任意の位置に調節することができる。また、第1のフレーム部101、第2のフレーム部102、第4のフレーム部104、第5のフレーム部105で囲まれる領域内で、第2の弾性部材16、第3の弾性部材16の位置を任意の位置に調節することができる。
【0107】
第1〜第4の弾性部材15〜18の上には、直接に又は取付部材を介して、図示しない振動感受側構造体が取り付けられるか又は取り付けられずに、第1〜第4の弾性部材15〜18と振動感受側構造体が接し、フレーム10の第1〜第4の弾性部材15〜18が取り付けられている側とは反対の側には、直接に又は取付部材を介して、図示しない振動源側構造体が取り付けられるか又は取り付けられずに、フレーム10と振動感受側構造体が接する。
【0108】
以上の装置構成を前提に、本発明の第1の実施形態に係る振動アイソレータの共振周波数の調整方法を図14のフローチャートを参照して、以下に説明する。
【0109】
まず、振動アイソレータ1を振動源側構造体に取り付ける(S11)。
【0110】
次に、振動感受側構造体の重心を原点するXYZ座標系に対する慣性テンソルを
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としたとき、振動感受側構造体の重心の、フレーム10が張る平面への投影点が、第2のフレーム部102の中心点となり、第4及び第5のフレーム部104、105が延びる方向がX軸と平行になるように、且つ第1〜第3のフレーム部101〜103が延びる方向がY軸と平行になるように、フレーム10に振動感受側構造体を取り付ける。(S12)。
【0111】
そして、振動源を作動させたときの振動感受側構造体の振動応答の周波数特性を測定する(S13)。
【0112】
x方向並進運動の共振周波数、y方向並進運動の共振周波数、z方向並進運動の共振周波数、x軸周り回転運動の共振周波数、y軸周り回転運動の共振周波数、z軸周り回転運動の共振周波数のいずれかと一致する周波数に、測定した振動応答において共振現象が存在する場合、振動アイソレータ1から振動感受側構造体を取り外し、以下のような共振周波数調整を行う(S14)。
【0113】
XY座標系をZ軸周りに
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だけ回転させたxy座標系において、第1〜第4の弾性部材15〜18の剛性Ki(i=1,2,3,4)を
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、第5の弾性部材の剛性K5
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、第1〜第5の弾性部材15〜19のxy座標系のx座標、y座標をrpi_x、rpi_yとしたとき、上記の条件2を満足させつつ、以下の調整を行い各共振周波数をシフトさせる。
(1)x方向回転運動の共振周波数に一致する周波数に振動入力が存在する場合、
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の値が変化するように第1〜第4の弾性部材15〜18の位置を調整する。
(2)y方向回転運動の共振周波数に一致する周波数に振動入力が存在する場合、
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の値が変化するように第1〜第4の弾性部材15〜18の位置を調整する。
(3)z方向回転運動の共振周波数に一致する周波数に振動入力が存在する場合、
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の値が変化するように第1〜第4の弾性部材15〜18の位置を調整する。
(4)x方向並進運動の共振周波数に一致する周波数に振動入力が存在する場合、x方向に支配的な剛性を有する第5の弾性部材19を第2のフレーム部102の中心部に取り付ける。
(5)y方向並進運動の共振周波数に一致する周波数に振動入力が存在する場合、y方向に支配的な剛性を有する第5の弾性部材19を第2のフレーム部102の中心部に取り付ける。
(6)z方向並進運動の共振周波数に一致する周波数に振動入力が存在する場合、z方向に支配的な剛性を有する第5の弾性部材19を第2のフレーム部102の中心部に取り付ける。
【0114】
各共振周波数の調整後、再び、ステップS12と同様にして振動感受側構造体を振動アイソレータ1に取り付ける(S15)。
【0115】
特に、第1の弾性部材15及び第3の弾性部材17がx軸上に位置し、第2の弾性部材16及び第4の弾性部材18がy軸上に位置するようにすると、上記(1)の調整について、第2の弾性部材16及び第4の弾性部材18の間の距離L2を調節して、x軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせることができ、上記(2)の調整について、第1の弾性部材15及び第3の弾性部材17の間の距離L1を調節して、y軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせることができ、上記(3)の調整について、第2の弾性部材16及び第4の弾性部材18の間の距離L2及び/又は第1の弾性部材15及び第3の弾性部材17の間の距離を調節して、z軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせることができる。この場合、弾性部材間の距離を調節することに換えて及び/又は加えて、その弾性部材自体の剛性の調整、剛性が異なる弾性部材への置換や弾性部材の追加等によって弾性部材の剛性を調節してもよい。
【0116】
本実施形態によれば、原理上発生する、x方向並進運動の共振周波数、y方向並進運動の共振周波数、z方向並進運動の共振周波数、x軸周り回転運動の共振周波数、y軸周り回転運動の共振周波数、z軸周り回転運動の共振周波数の6つの共振周波数を、それぞれ個別に調整することができる。
【0117】
そのため、上記の共振周波数のうちで共振の発生に関連する周波数と一致するものがあった場合、その共振周波数をシフトさせることによって、振動アイソレータの共振を防止することができ、しかもそのために、振動アイソレータの数量・重量を増やす必要もなく、また振動アイソレータを構成する弾性部材の選択、個数、配置等の変更を何度も行う必要もない。
【0118】
また、振動源機器や振動感受性機器の開発の進捗に応じて、開発された振動源機器や振動感受性機器に対応した共振防止を行うことができる。そして、そのため、振動源機器や振動感受性機器の設計の手戻りが小さくなる。
【0119】
上記実施形態においては、第2のフレーム部102の中心部以外に配置される弾性部材の数は4つであったが、これを3つとしてもよいし、スライド部材の数を増やして、任意の適切な数の弾性部材を配置し、上記の条件2を満足させつつ各共振周波数の調整を行ってもよい。
【0120】
また、上記実施形態においては、各位置に配置される弾性部材の数は1つであったが、各位置に複数の弾性部材を配置してもよい。
【0121】
(第2の実施形態)
図15図16は、それぞれ、本発明の第2の実施形態に係る振動アイソレータ5の斜視図、A−A断面図である。図17は、本発明の第2の実施形態に係る振動アイソレータに振動感受側構造体と振動源側構造体を取り付けた状態の側面図である。図18は、本発明の第2の実施形態に係る振動アイソレータの回転部材の回転方法の一例を示す図である。振動アイソレータ5は、第1の弾性部材51、第2の弾性部材52、第3の弾性部材53、第4の弾性部材54、第5の弾性部材55、回転部材56、外環フレーム57、第1のスライド部58、第2のスライド部59、第3のスライド部60、第4のスライド部61を備える。
【0122】
第1〜第4の弾性部材51〜54は、ゴムを含む弾性部材、ばねを含む弾性部材等任意の適切な弾性部材を用いることができるが、水平方向及び垂直方向の剛性が等しいものが好ましい。また、第5の弾性部材55は、ゴムを含む弾性部材、ばねを含む弾性部材等任意の適切な弾性部材を用いることができる。
【0123】
回転部材56は、その周縁から立ち下がる第1の筒状部560を有する円板状の形状を有し、その振動源側構造体4側の主面の中心部に凸状部568が形成されている。そして、回転部材56の他方の主面の中心に、回転部材56を凸状部568を含めて厚さ方向に貫通する位置決めピン穴561が形成されている。回転部材56は、後述のように、その中心を通り、その主面に直交する回転軸線の周りに回転可能である。また、回転部材56には、回転部材56の中心から所定の距離離れた位置から径方向に延びる一対のスリットからなる、第1の位置調整スリット562、第2の位置調整スリット563、第3の位置調整スリット564、第4の位置調整スリット565が形成されている。第1及び第3の位置調整スリット562、564は、回転部材56の中心を通る同一直線上に配置され、第2及び第4の位置調整スリット563、565は、その直線と直交し、回転部材56の中心を通る同一直線上に配置されている。
【0124】
第1〜第4のスライド部58〜61は、それぞれ、矩形の第1〜第4の弾性部材取付プレート58a〜61aと矩形の第1〜第4の位置固定プレート58b〜61bを備える。第1の弾性部材取付プレート58aと第1の位置固定プレート58bには、それぞれ四隅にねじ穴が形成され、第1の弾性部材取付プレート58aと第1の位置固定プレート58bが、回転部材56を挟んで対向するように互いにボルト58cによって結合されている。第2〜第4の弾性部材取付プレート59a〜61aと第2〜第4の位置固定プレート59b〜61bについても同様にして、それぞれボルト59c〜61cによって結合されている。
【0125】
このような構成において、各弾性部材取付プレートと各位置固定プレートのボルトによる結合を緩めると、第1〜第4のスライド部58〜61は、それぞれ、第1〜第4の位置調整スリット562〜565を介して、回転部材56に対して摺動可能となり、第1〜第4の位置調整スリット562〜565の一端から他端まで移動可能となる。また、各弾性部材取付プレートと各位置固定プレートを結合するボルトを締めると、第1〜第4のスライド部58〜61を回転部材56に対して固定することができる。
【0126】
第1〜第4のスライド部58〜61の上には、それぞれ、第1〜第4の弾性部材51〜54がねじにより取り付けられている。よって、第1〜第4の弾性部材51〜54の位置は、それぞれ、第1〜第4の位置調整スリット562〜565の一端から他端まで調節可能となっている。すなわち、回転部材56の回転軸線が通る回転部材56の中心を交点とする、直交する2つの線分において、第1及び第3の弾性部材51、53の間の距離L1と第2及び第4の弾性部材52、54の間の距離L2をそれぞれ独立に調節可能である。
【0127】
外環フレーム57は、その形状が円筒状の形状であり、その端部に、径方向内方と外方の両方に突出するように形成されたフランジ部571と、フランジ部571から立ち上がる第2の筒状部572を有する。フランジ部571の径方向外方の部分には、外環フレーム57を振動源側構造体4にボルトで固定するための固定穴571aが所定の間隔を置いて形成されている。また、第2の筒状部572には、円周方向に延びる第2の角度調整スリット573が所定の間隔を置いて形成されている。
【0128】
回転部材56の第1の筒状部560が、外環フレーム57のフランジ部571の径方向内方の部分の上に置かれ、回転部材56は、その中心を通り、その主面に直交する回転軸線の周りに回転可能となっており、回転角度の調節を行うことができる。本実施形態においては、図18に示されるように、回転部材56の第1の位置決めピン穴561と外環フレーム57に取り付けられる振動源側構造体4に形成された第2の位置決めピン穴41に位置決めピン65を通すことによって、精度良く回転部材56を回転させ、回転角度の調節を行うことができる。なお、このような位置決めピンを用いなくても回転部材56を回転させることができることは言うまでもない。
【0129】
回転部材56の第1の筒状部560には、円周方向に延びる第1の角度調整スリット566が所定の間隔を置いて形成されている。この第1の角度調整スリット566と外環フレーム57の第2の角度調整スリット572を通るボルト572aをナット572bで締めることによって、回転角度の調整を行った回転部材56を外環フレーム57に対して固定することができる。
【0130】
回転部材56の弾性部材取付側の主面の中心部には、弾性部材取付プレート62を固定するためのねじ穴が形成されており、弾性部材取付プレート62を介して第5の弾性部材55を回転部材56に取り付けることができる。
【0131】
以上の装置構成を前提に、本発明の第2の実施形態に係る振動アイソレータの共振周波数の調整方法を図19のフローチャートを参照して、以下に説明する。
【0132】
まず、振動アイソレータ5を振動源側構造体4に取り付ける(S21)。
【0133】
次に、振動感受側構造体3の重心を原点するXYZ座標系に対する慣性テンソルを
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としたとき、Z軸が回転部材56の回転軸線と一致するように振動感受側構造体3を振動アイソレータ5に取り付ける(S22)。
【0134】
そして、振動源を作動させたときの振動感受側構造体の振動応答の周波数特性を測定する(S23)。
【0135】
x方向並進運動の共振周波数、y方向並進運動の共振周波数、z方向並進運動の共振周波数、x軸周り回転運動の共振周波数、y軸周り回転運動の共振周波数、z軸周り回転運動の共振周波数のいずれかと一致する周波数に、測定した振動応答において共振現象が存在する場合、振動アイソレータ5から振動感受側構造体3を取り外し、以下のような共振周波数調整を行う(S24)。
【0136】
まず、第1〜第4の弾性部材51〜54の剛性Kiを(i=1,2,3,4)
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、第5の弾性部材55の剛性K5
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、第1〜第5の弾性部材51〜55のxy座標系のx座標、y座標をrpi_x、rpi_xとしたとき、XY座標系をZ軸周りに
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だけ回転させたxy座標系のx軸、y軸に、第1及び第3の弾性部材51、53を結ぶ線分、第2及び第4の弾性部材52、54を結ぶ線分が一致するように、回転部材56をその回転軸線の周りに回転させる(S25)。
【0137】
続いて、上記の条件2を満足させつつ、以下の調整を行い各共振周波数をシフトさせる(S26)。
(1)x方向回転運動の共振周波数に一致する周波数に振動入力が存在する場合、第2及び第4の弾性部材52、54の間の距離L2を調節する。
(2)y方向回転運動の共振周波数に一致する周波数に振動入力が存在する場合、第1及び第3の弾性部材51、53の間の距離L1を調節する。
(3)z方向回転運動の共振周波数に一致する周波数に振動入力が存在する場合、第2及び第4の弾性部材52、54の間の距離L2及び/又は第1及び第3の弾性部材51、53の間の距離L1を調節する。
(4)x方向並進運動の共振周波数に一致する周波数に振動入力が存在する場合、x方向に支配的な剛性を有する第5の弾性部材55を、回転部材56の中心に、弾性部材取付プレート62を介して取り付ける。
(5)y方向並進運動の共振周波数に一致する周波数に振動入力が存在する場合、y方向に支配的な剛性を有する第5の弾性部材55を、回転部材56の中心に、弾性部材取付プレート62を介して取り付ける。
(6)z方向並進運動の共振周波数に一致する周波数に振動入力が存在する場合、z方向に支配的な剛性を有する第5の弾性部材55を、回転部材56の中心に、弾性部材取付プレート62を介して取り付ける。
【0138】
ここで、第1及び第3の弾性部材51、53の剛性が等しく、第2及び第4の弾性部材52、54の剛性が等しい場合は、第1及び第3の弾性部材51、53、並びに第2及び第4の弾性部材52、54を回転部材56の中心に対して対称となるように配置しつつ、(1)〜(3)の調整を行うことにより、上記の条件1を満たすことができる。ここで、弾性部材の位置調整機構を、第1及び第3の弾性部材51、53の間の距離L1と第2及び第4の弾性部材52、54の間の距離L2の少なくとも一方を、回転部材56の中心から各弾性部材群の距離が等しくなるように調整可能である任意の適切な機構とすれば、より調整が容易となる。
【0139】
各共振周波数の調整後、再び、Z軸が回転部材56の回転軸線と一致するように振動感受側構造体3を振動アイソレータ5に取り付ける(S27)。
【0140】
このような構成により、本実施形態は、第1の実施形態の利点に加えて、以下のような利点を有する。すなわち、第1の実施形態においては、θと弾性部材の位置の調節を同時に行う複雑な調節を要したが、本実施形態によれば、すべての弾性部材に対して一度にθの調節を行うことができ、その後に弾性部材の位置調節を行うことができるので、各共振周波数の調整を容易に行うことができる。
【0141】
上記実施形態においては、回転部材56の中心以外に配置される弾性部材の数は4つであったが、位置調整スリットの数や配置を変えたり、他の任意の適切な機構を用いることによって、任意の適切な数の弾性部材を配置し、上記の条件2を満足させつつ各共振周波数の調整を行ってもよい。
【0142】
また、上記実施形態においては、弾性部材間の距離を調節したが、弾性部材間の距離を調節することに換えて及び/又は加えて、その弾性部材自体の剛性の調整、剛性が異なる弾性部材への置換や弾性部材の追加等によって弾性部材の剛性を調節してもよい。
【0143】
また、上記実施形態においては、各位置に配置される弾性部材の数は1つであったが、各位置に複数の弾性部材を配置してもよい。
【0144】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係る振動アイソレータの設計方法を図20のフローチャートを参照して、以下に説明する。なお、本実施形態において、振動アイソレータは、3つ以上の弾性部材のみで構成されてもよい。
【0145】
設計する振動アイソレータは、その各々が1つ又はそれ以上の弾性部材を含む第1〜第n(nは3以上の整数)の弾性部材群及び/又は第n+1の弾性部材群を含み、第1〜第nの弾性部材群及び/又は第n+1の弾性部材群が、xyz座標系のxy平面上に位置し、第1〜第nの弾性部材群及び/又は第n+1の弾性部材群の一方の側は、振動感受側構造体又は振動源側構造体が接する側であり、xyz座標系のxy座標系は、振動感受側構造体又は振動源側構造体の重心を原点とするXYZ座標系に対する慣性テンソルIを
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としたとき、XY座標系をZ軸周りに
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だけ回転させたものであり、xyz座標系のz軸はZ軸と同軸であるとする。
【0146】
このような前提において、まず、第1〜第nの弾性部材群の剛性Kiを(i=1,2,・・・,n)
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、第n+1の弾性部材群の剛性Kn+1
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、前記第1〜第nの弾性部材群の前記xy座標系のx座標、y座標をrpi_x、rpi_yとしたとき、上記の条件2を満たすように、第1〜第nの弾性部材群及び/又は第n+1の弾性部材群の位置を設定する(S31)。
【0147】
次に、振動感受側構造体又は振動源側構造体の質量をm、振動感受側構造体又は振動源側構造体の重心のxyz座標系のz座標をrpi_z、xyz座標系に対する慣性テンソルI'を
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としたとき、上記の(3)式の対角線形化並進運動方程式と上記の(4)式の対角線形化回転運動方程式から、x方向並進運動の共振周波数、y方向並進運動の共振周波数、z方向並進運動の共振周波数、x軸周り回転運動の共振周波数、y軸周り回転運動の共振周波数、z軸周り回転運動の共振周波数を算出する(S32)。
【0148】
算出された各共振周波数が、振動源側構造体−振動アイソレータ−振動感受側構造体の系において振動源を作動させたときの振動感受側構造体の振動応答において共振現象が発生する又は発生すると想定される周波数である、共振の発生に関連する周波数と一致しない場合は終了し、一致する場合は次のステップに進む(S33)。
【0149】
算出された各周波数が、共振の発生に関連する周波数と一致する場合、算出された各共振周波数が、共振の発生に関連する周波数と一致しないように、
(1)
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の値が変化するように第1〜第nの弾性部材群の位置を調整して、x軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる第1のステップ、
(2)
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の値が変化するように第1〜第nの弾性部材群の位置を調整して、y軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる第2のステップ、
(3)
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の値が変化するように第1〜第nの弾性部材群の位置を調整して、z軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる第3のステップ、
(4)第n+1の弾性部材群をxyz座標の原点に配置し、kn+1_xxの値を調節して、x軸並進運動の共振周波数をシフトさせる第4のステップ、
(5)第n+1の弾性部材群をxyz座標の原点に配置し、kn+1_yyの値を調節して、y軸並進運動の共振周波数をシフトさせる第5のステップ、
(6)第n+1の弾性部材群を前記xyz座標の原点に配置し、kn+1_zzの値を調節して、z軸並進運動の共振周波数をシフトさせる第6のステップ、
のうちの少なくとも1つのステップを行う(S34)。
【0150】
ステップS34において、n=4の場合、第1の弾性部材15及び第3の弾性部材17がx軸上に位置し、第2の弾性部材16及び第4の弾性部材18がy軸上に位置するようにすると、上記(1)の調整について、第2の弾性部材16及び第4の弾性部材18の間の距離L2を調節して、x軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせることができ、上記(2)の調整について、第1の弾性部材15及び第3の弾性部材17の間の距離L1を調節して、y軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせることができ、上記(3)の調整について、第2の弾性部材16及び第4の弾性部材18の間の距離L2及び/又は第1の弾性部材15及び第3の弾性部材17の間の距離を調節して、z軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせることができる。この場合、弾性部材間の距離を調節することに換えて及び/又は加えて、その弾性部材自体の剛性の調整、剛性が異なる弾性部材への置換や弾性部材の追加等によって弾性部材の剛性を調節してもよい。
【0151】
この場合、更に、第1及び第3の弾性部材群の剛性が等しく、第2及び第4の弾性部材群の剛性が等しいとき、第1及び第3の弾性部材群をxyz座標系のx軸上に原点に対称に配置し、第2及び第4の弾性部材群をxyz座標系のy軸上に原点に対称に配置しつつ、第1〜第3のステップの少なくとも1つを行ってもよい。
【0152】
そして、以上の設計方法に従って設計された振動アイソレータが取り付けられた構造体を製造することができる。
【0153】
本実施形態によれば、原理上発生する、x方向並進運動の共振周波数、y方向並進運動の共振周波数、z方向並進運動の共振周波数、x軸周り回転運動の共振周波数、y軸周り回転運動の共振周波数、z軸周り回転運動の共振周波数の6つの共振周波数を、それぞれ個別に調整することができる。
【0154】
そのため、上記の共振周波数のうちで共振の発生に関連する周波数と一致するものがあった場合、その共振周波数をシフトさせることによって、振動アイソレータの共振を防止することができる。
【0155】
また、振動源機器や振動感受性機器の開発の進捗に応じて、開発された振動源機器や振動感受性機器に対応した共振防止を行うことができる。そして、そのため、振動源機器や振動感受性機器の設計の手戻りが小さくなる。
【0156】
特に、共振の発生に関連する周波数を考慮しつつ、弾性部材群の数、配置、剛性等を確認しながら振動アイソレータの設計を行うことができる。その際に、CADデータ等の詳細な設計情報を用いることなく、振動アイソレータが取り付けられる振動感受側構造体又は振動源側構造体の慣性テンソル、質量、重心高さから、上記6つの共振周波数、弾性部材群の数、配置、剛性等を確認することができる。
【0157】
また、上記のステップS31の条件2を満たす弾性部材群の配置設定のみでも、特に菱形配置の場合は、その後調整が必要な場合も、対向する弾性部材群間の距離を、対向する弾性部材群間の方向に調整するだけでよくなるという利点がある。
(第4の実施形態)
図21は、本発明の第4の実施形態に係る振動アイソレータの設計システムの全体構成を示す図である。振動アイソレータ設計システム7は、慣性テンソル設定部701、剛体質量設定部703、剛体重心座標設定部705、弾性部材群数設定部707、弾性部材群剛性設定部711、変換慣性テンソル設定部715、共振関連周波数設定部717、共振周波数算出部719、弾性部材群位置調節部721、弾性部材群追加部723を備える。振動アイソレータ設計システム7は、例えばサーバ、PC、スマートフォンやタブレット型コンピュータ等のモバイルデバイスとすることができる。振動アイソレータ設計システム7は、これらに限定されるものではなく、適切な任意のデバイスとすることができる。また、振動アイソレータ設計システム7は、1つの物理的な装置として構成される必要はなく、複数の物理的な装置から構成されてもよい。なお、本実施形態において、振動アイソレータは、3つ以上の弾性部材のみで構成されてもよい。
【0158】
慣性テンソル設定部701は、ユーザからの入力等によって、振動アイソレータと接する振動感受側構造体又は振動源側構造体の重心を原点とするXYZ座標系に対する慣性テンソルIを設定する。
【0159】
剛体質量設定部703は、ユーザからの入力等によって、振動アイソレータと接する振動感受側構造体又は振動源側構造体の質量mを設定する(S403)。
【0160】
剛体重心座標設定部705は、ユーザからの入力等によって、振動アイソレータと接する振動感受側構造体又は振動源側構造体の重心のxyz座標系のz座標rpi_zを設定する。
【0161】
弾性部材群数設定部707は、ユーザからの入力等によって、弾性部材群の数nを設定する。
【0162】
弾性部材群剛性設定部711は、ユーザからの入力等によって、第1〜第nの弾性部材群の剛性Ki(i=1,2,・・・,n)
[この文献は図面を表示できません]
を設定する。
【0163】
変換慣性テンソル設定部715は、ユーザからの入力、XYZ座標系に対する慣性テンソルIからの変換によって、xyz座標系に対する慣性テンソル
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を設定する。
【0164】
共振関連周波数設定部717は、ユーザからの入力等によって、共振の発生に関連する周波数を設定する。
【0165】
共振周波数算出部719は、設定された上記各パラメータの値に基づいて、上記の(3)式の対角線形化並進運動方程式と上記の(4)式の対角線形化回転運動方程式から、x方向並進運動の共振周波数、y方向並進運動の共振周波数、z方向並進運動の共振周波数、x軸周り回転運動の共振周波数、y軸周り回転運動の共振周波数、z軸周り回転運動の共振周波数を算出する。
【0166】
弾性部材群位置調整部721は、第1〜第nの弾性部材群のxy座標系のx座標、y座標をrpi_x、rpi_yとしたとき、上記の条件2を満足させつつ、算出された各共振周波数が、設定された共振の発生に関連する周波数と一致しないように、後述のように共振周波数をシフトさせる。
【0167】
弾性部材群追加部723は、上記の調整において、x軸並進運動、y軸並進運動、z軸並進運動の共振周波数をシフトさせる必要がある場合に、第n+1の弾性部材群をxyz座標の原点に配置し、kn+1_xx、kn+1_yy、kn+1_zzの値を調節し、各共振周波数をシフトさせる弾性部材群の追加配置を行う。
【0168】
図22は、本実施形態に係る振動アイソレータ設計システム7のハードウエア構成の例を示す図である。振動アイソレータ設計システム7は、CPU70a、RAM70b、ROM70c、外部メモリ70d、入力部70e、出力部70f、通信部70gを含む。RAM70b、ROM70c、外部メモリ70d、入力部70e、出力部70f、通信部70gは、システムバス70hを介して、CPU70aに接続されている。
【0169】
CPU70aは、システムバス70hに接続される各デバイスを統括的に制御する。
【0170】
ROM70cや外部メモリ70dには、CPU70aの制御プログラムであるBIOSやOS、コンピュータが実行する機能を実現するために必要な各種プログラムやデータ等が記憶されている。
【0171】
RAM70bは、CPUの主メモリや作業領域等として機能する。CPU70aは、処理の実行に際して必要なプログラム等をROM70cや外部メモリ70dからRAM70bにロードして、ロードしたプログラムを実行することで各種動作を実現する。
【0172】
外部メモリ70dは、例えば、フラッシュメモリ、ハードディスク、DVD−RAM、USBメモリ等から構成される。
【0173】
入力部70eは、ユーザ等からの操作指示等を受け付ける。入力部70eは、例えば、入力ボタン、キーボード、ポインティングデバイス、ワイヤレスリモコン、マイクロフォン、カメラ等の入力デバイスから構成される。
【0174】
出力部70fは、CPU70aで処理されるデータや、RAM70b、ROM70cや外部メモリ70dに記憶されるデータを出力する。出力部70fは、例えば、CRTディスプレイ、LCD、有機ELパネル、プリンタ、スピーカ等の出力デバイスから構成される。
【0175】
通信部70gは、ネットワークを介して又は直接、外部機器と接続・通信するためのインタフェースである。通信部70gは、例えばシリアルインタフェース、LANインタフェース等のインタフェースから構成される。
【0176】
図21に示される振動アイソレータ設計システム7の各部は、ROM70cや外部メモリ70dに記憶された各種プログラムが、CPU70a、RAM70b、ROM70c、外部メモリ70d、入力部70e、出力部70f、通信部70g等を資源として使用することで実現される。
【0177】
以上のシステム構成を前提に、本発明の第4の実施形態に係る振動アイソレータ設計システムの設計処理の例を、図21、23等を参照して、以下に説明する。図23は、本実施形態に係る振動アイソレータ設計システムの設計処理のフローチャートである。
【0178】
設計する振動アイソレータは、その各々が1つ又はそれ以上の弾性部材を含む第1〜第n(nは3以上の整数)の弾性部材群及び/又は第n+1の弾性部材群を含み、第1〜第nの弾性部材群及び/又は第n+1の弾性部材群が、xyz座標系のxy平面上に位置し、第1〜第nの弾性部材群及び/又は第n+1の弾性部材群の一方の側は、振動感受側構造体又は振動源側構造体が接する側であり、xyz座標系のxy座標系は、振動感受側構造体又は振動源側構造体の重心を原点とするXYZ座標系に対する慣性テンソルIを
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としたとき、XY座標系をZ軸周りに
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だけ回転させたものであり、xyz座標系のz軸は前記Z軸と同軸であるとする。
【0179】
このような前提において、まず、ユーザからの入力等によって、慣性テンソル設定部701は、振動アイソレータと接する振動感受側構造体又は振動源側構造体の重心を原点とするXYZ座標系に対する慣性テンソルIを設定する(S401)。
【0180】
また、ユーザからの入力等によって、剛体質量設定部703は、振動アイソレータと接する振動感受側構造体又は振動源側構造体の質量mを設定する(S403)。
【0181】
また、ユーザからの入力等によって、剛体重心座標設定部705は、振動アイソレータと接する振動感受側構造体又は振動源側構造体の重心のxyz座標系のz座標rpi_zを設定する(S405)。
【0182】
また、ユーザからの入力等によって、弾性部材群数設定部707は、弾性部材群の数nを設定する(S407)。
【0183】
また、ユーザからの入力等によって、弾性部材群剛性設定部711は、第1〜第nの弾性部材群の剛性Ki(i=1,2,・・・,n)
[この文献は図面を表示できません]
を設定する(S409)。
【0184】
また、変換慣性テンソル設定部715は、ユーザからの入力、XYZ座標系に対する慣性テンソルIからの変換によって、xyz座標系に対する慣性テンソル
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を設定する(S413)。
【0185】
また、ユーザからの入力等によって、共振関連周波数設定部717は、共振の発生に関連する周波数を設定する(S415)。
【0186】
そして、共振周波数算出部719は、設定された上記各パラメータの値に基づいて、上記の式(3)の対角線形化並進運動方程式と上記の式(4)の対角線形化回転運動方程式から、x方向並進運動の共振周波数、y方向並進運動の共振周波数、z方向並進運動の共振周波数、x軸周り回転運動の共振周波数、y軸周り回転運動の共振周波数、z軸周り回転運動の共振周波数を算出する(S417)
【0187】
算出された各共振周波数が、設定された共振の発生に関連する周波数と一致しない場合は終了し、一致する場合は次のステップに進む(S418)。
【0188】
算出された各周波数が、共振の発生に関連する周波数と一致する場合、弾性部材群位置調整部721は、第1〜第nの弾性部材群のxy座標系のx座標、y座標をrpi_x、rpi_yとしたとき、上記の条件2を満足させつつ、算出された各共振周波数が、設定された共振の発生に関連する周波数と一致しないように、以下の調節を行い、第1〜第nの弾性部材群の位置を設定する(S419)。
(1)
[この文献は図面を表示できません]
の値が変化するように第1〜第nの弾性部材群の位置を調整して設定し、x軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる。
(2)
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の値が変化するように第1〜第nの弾性部材群の位置を調整して設定し、y軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる。
(3)
[この文献は図面を表示できません]
の値が変化するように第1〜第nの弾性部材群の位置を調整して設定し、z軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる。
(4)弾性部材群剛性設定部711が、ユーザからの入力等によって、第n+1の弾性部材群の剛性Kn+1
[この文献は図面を表示できません]
を設定し、弾性部材群追加部723が、第n+1の弾性部材群をxyz座標の原点に配置し、kn+1_xxの値を調節し、x軸並進運動の共振周波数をシフトさせる。
(5)剛性設定部711が、ユーザからの入力等によって、第n+1の弾性部材群の剛性Kn+1
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を設定し、弾性部材群追加部723が、第n+1の弾性部材群をxyz座標の原点に配置し、kn+1_yyの値を調節し、y軸並進運動の共振周波数をシフトさせる。
(6)剛性設定部711が、ユーザからの入力等によって、第n+1の弾性部材群の剛性Kn+1
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を設定し、弾性部材群追加部723が、第n+1の弾性部材群をxyz座標の原点に配置し、kn+1_zzの値を調節し、z軸並進運動の共振周波数をシフトさせる。
【0189】
特に、n=4の場合、第1の弾性部材15及び第3の弾性部材17がx軸上に位置し、第2の弾性部材16及び第4の弾性部材18がy軸上に位置するようにすると、上記(1)の調整について、第2の弾性部材16及び第4の弾性部材18の間の距離L2を調節して、x軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせることができ、上記(2)の調整について、第1の弾性部材15及び第3の弾性部材17の間の距離L1を調節して、y軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせることができ、上記(3)の調整について、第2の弾性部材16及び第4の弾性部材18の間の距離L2及び/又は第1の弾性部材15及び第3の弾性部材17の間の距離を調節して、z軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせることができる。この場合、弾性部材間の距離を調節することに換えて及び/又は加えて、その弾性部材自体の剛性の調整、剛性が異なる弾性部材への置換や弾性部材の追加等によって弾性部材の剛性を調節してもよい。
【0190】
この場合、更に、第1及び第3の弾性部材群の剛性が等しく、第2及び第4の弾性部材群の剛性が等しいとき、第1及び第3の弾性部材群をxyz座標系のx軸上に原点に対称に配置し、第2及び第4の弾性部材群をxyz座標系のy軸上に原点に対称に配置しつつ、第1〜第3の調節の少なくとも1つを行ってもよい。
【0191】
そして、以上の設計方法に従って設計された振動アイソレータが取り付けられた構造体を製造することができる。
【0192】
このような構成により、本実施形態は、第3の実施形態の利点に加えて、以下のような利点を有する。すなわち、共振の発生に関連する周波数を避けた、弾性部材群の配置が自動的に設計可能である。
【0193】
(第5の実施形態)
図24は、本発明の第5の実施形態に係る振動アイソレータの設計システムの全体構成を示す図である。この図24を参照して、本発明の第5の実施形態に係る振動アイソレータ設計システムの構成を説明する。図24において、図21と対応する部分には同一の符号を付し、第4の実施形態と重複する説明は省略する。なお、本実施形態において、振動アイソレータは、3つ以上の弾性部材のみで構成されてもよい。
【0194】
振動アイソレータ設計システム7は、慣性テンソル設定部701、剛体質量設定部703、剛体重心座標設定部705、弾性部材群数設定部707、弾性部材群剛性設定部711、変換慣性テンソル設定部715、共振周波数算出部719、弾性部材群位置調節部721、弾性部材群追加部723、弾性部材群配置可能範囲設定部725、弾性部材群初期配置設定部727、弾性部材群配置表示部729、表示部731、共振周波数選択入力部733を備える。
【0195】
弾性部材群配置可能範囲設定部725は、ユーザからの入力等によって、弾性部材群配置可能範囲を設定する。
【0196】
弾性部材群初期配置設定部727は、上記の条件2を満たす第1〜第nの弾性部材群の初期配置を算出する。
【0197】
弾性部材群配置表示部729は、設定された第1〜第nの弾性部材群の位置と、共振周波数算出部719によって算出された各共振周波数を表示する。また、シフトさせる共振周波数が選択された場合、選択された共振周波数をシフトさせるために位置調節が必要な弾性部材群を、その必要がない弾性部材群と区別可能に表示し、位置調整方向を示す線を表示する。
【0198】
表示部731は、ディスプレイ等であり、各種のデータが表示される。
【0199】
共振周波数選択入力部733は、共振周波数算出部719によって算出された各共振周波数のうちから、シフトさせる共振周波数選択入力を促す。
【0200】
以上のシステム構成を前提に、本発明の第5の実施形態に係る振動アイソレータ設計システムの設計処理の例を、図24〜26等を参照して、以下に説明する。図25は、本実施形態に係る振動アイソレータ設計システムの設計処理のフローチャートである。また、図26は、本実施形態に係る振動アイソレータ設計システムの表示画面の一例である。
【0201】
ステップ509までは、第4の実施形態におけるステップS401〜S409と同様であるので説明は省略するが、本実施形態においては、例として、弾性部材群数設定部707により弾性部材の数が4に設定され、また弾性部材群剛性設定部711により第1〜第4の弾性部材71〜74について等しい剛性が設定された場合について説明する。
【0202】
ユーザ入力によって、XY平面における弾性部材群配置可能範囲、例えば頂点が(1000mm,600mm)、(−1000mm,600mm)、(−1000mm,−600mm)、(1000mm,−600mm)の矩形範囲が指定されることにより、弾性部材群配置可能範囲設定部725は、弾性部材群配置可能範囲76を設定する(S512)
【0203】
また、変換慣性テンソル設定部715は、ユーザからの入力、XYZ座標系に対する慣性テンソルIからの変換によって、xyz座標系に対する慣性テンソル
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を設定する(S513)。
【0204】
共振周波数算出部719は、設定された上記各パラメータの値に基づいて、上記の(3)式の対角線形化並進運動方程式と上記の(4)式の対角線形化回転運動方程式から、x方向並進運動の共振周波数、y方向並進運動の共振周波数、z方向並進運動の共振周波数、x軸周り回転運動の共振周波数、y軸周り回転運動の共振周波数、z軸周り回転運動の共振周波数を算出する(S517)。
【0205】
また、弾性部材群初期配置設定部727は、第1及び第3の弾性部材71、73がx軸上に、第2及び第4の弾性部材72、74がy軸上に配置される菱形配置において、弾性部材群配置可能範囲内で菱形が最も大きくなる配置、例えば第1の弾性部材71のy座標が最も大きくなる配置を初期配置として算出する(S519)。
【0206】
弾性部材群配置表示部729は、初期配置として設定された第1〜第4の弾性部材71〜74の位置を、xy座標系のx軸及びy軸並びに弾性部材群配置可能範囲76と共にディスプレイ等の表示部731の表示画面70に表示し、共振周波数算出部719によって算出された各共振周波数を表示画面70に表示する(S521)。
【0207】
共振周波数選択入力部733は、共振周波数算出部719によって算出された各共振周波数のそれぞれ左隣にチェックボックス78を表示し、各共振周波数のうちから、シフトさせる共振周波数選択入力を促す(S523)。
【0208】
シフトさせる共振周波数選択入力がない場合は終了し、ある場合は次のステップに進む(S525)。
【0209】
ユーザは、表示された算出された各共振周波数を見て、共振に関連する周波数と同じ又は近い周波数があった場合、その共振周波数のチェックボックスにマウス等によってチェックを入れる。以下では、例として、y軸周り回転運動の共振周波数に対してチェックが入れられた場合について、説明する。
【0210】
このように、シフトさせる共振周波数の選択入力があった場合、弾性部材群配置表示部729は、選択された共振周波数をシフトさせるために位置調節が必要な弾性部材群を、その必要がない弾性部材群と区別可能に表示し、位置調整方向を示す線を表示する(S527)。本実施形態においては、y軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせるために位置調節が必要な第1及び第3の弾性部材71、73が点滅表示され、位置調節方向を示すグリッド線77がx軸に沿って表示される。
【0211】
選択された前記シフトさせる共振周波数に対応して、以下の調節を行い、第1〜第nの弾性部材群の位置を設定する(S529)。
(1)
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の値が変化するように前記第1〜第nの弾性部材群の位置を調整して設定し、x軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる。
(2)
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の値が変化するように前記第1〜第nの弾性部材群の位置を調整して設定し、y軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる。
(3)
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の値が変化するように前記第1〜第nの弾性部材群の位置を調整して設定し、z軸周り回転運動の共振周波数をシフトさせる。
(4)弾性部材群剛性設定部711が、ユーザからの入力等によって、第n+1の弾性部材群の剛性Kn+1
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を設定し、弾性部材群追加部723が、第n+1の弾性部材群をxyz座標の原点に配置し、kn+1_xxの値を調節し、x軸並進運動の共振周波数をシフトさせる。
(5)弾性部材群剛性設定部711が、ユーザからの入力等によって、第n+1の弾性部材群の剛性Kn+1
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を設定し、弾性部材群追加部723が、第n+1の弾性部材群をxyz座標の原点に配置し、kn+1_yyの値を調節し、y軸並進運動の共振周波数をシフトさせる。
(6)弾性部材群剛性設定部711が、ユーザからの入力等によって、第n+1の弾性部材群の剛性Kn+1
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を設定し、弾性部材群追加部723が、第n+1の弾性部材群をxyz座標の原点に配置し、kn+1_zzの値を調節し、z軸並進運動の共振周波数をシフトさせる。
【0212】
本実施形態においては、第1の弾性部材71をx軸上で、マウスによりドラッグすると、弾性部材群位置調節部721が、第3の弾性部材73を、第1の弾性部材71に対して原点に対称に移動させ、弾性部材群配置表示部729が、移動された第3の弾性部材73を表示する。
【0213】
共振周波数算出部719は、変更された上記各パラメータの値に基づいて、上記の(3)式の対角線形化並進運動方程式と上記の(4)式の対角線形化回転運動方程式から、x方向並進運動の共振周波数、y方向並進運動の共振周波数、z方向並進運動の共振周波数、x軸周り回転運動の共振周波数、y軸周り回転運動の共振周波数、z軸周り回転運動の共振周波数を再算出する(S531)。
【0214】
弾性部材群配置表示部729は、共振周波数算出部719によって再算出された各共振周波数を表示部731に表示し(S533)、ステップS523に戻って、共振周波数選択入力部733は、再算出された各共振周波数のそれぞれ左隣にチェックボックス78を表示し、各共振周波数のうちから、シフトさせる共振周波数選択入力を促し、上記の処理を繰り返す。
【0215】
このような構成により、本実施形態は、第3の実施形態の利点に加えて、以下のような利点を有する。すなわち、共振の発生に関連する周波数を考慮しつつ、上記6つの共振周波数、弾性部材群の数、配置、剛性等を画面上で確認しながら設計することができる。
【0216】
以上、本発明について、例示のためにいくつかの実施例に関して説明してきたが、本発明はこれに限定されるものでなく、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、形態及び詳細について、様々な変形及び修正を行うことができることは、当業者に明らかであろう。
【符号の説明】
【0217】
1、5 振動アイソレータ
10 フレーム
11〜14 第1〜第4のスライド部材
11a〜14a 第1〜第4のスライド部材本体
11b〜14b 第1〜第4のスライドプレート
15〜19、51〜55 第1〜第5の弾性部材
101〜105 第1〜第5のフレーム部
3 振動感受側構造体
4 振動源側構造体
41 第2の位置決めピン穴
56 回転部材
560 第1の筒状部
561 位置決めピン穴
562〜565 第1〜第4の位置調整スリット
566 第1の角度調整スリット
568 凸状部
57 外環フレーム
571 フランジ部
571a 固定穴
572 第2の筒状部
572a ボルト
572b ナット
573 第2の角度調整スリット
58〜61 第1〜第4のスライド部
58a〜61a 第1〜第4の弾性部材取付プレート
58b〜61b 第1〜第4の位置固定プレート
59c〜61c ボルト
62 弾性部材取付プレート
65 ピン
7 振動アイソレータ設計システム
70 表示画面
71〜74 第1〜第4の弾性部材
76 弾性部材群配置可能範囲
77 グリッド線
78 チェックボックス
701 慣性テンソル設定部
703 剛体質量設定部
705 剛体重心座標設定部
707 弾性部材群数設定部
711 弾性部材群剛性設定部
715 変換慣性テンソル設定部
717 共振関連周波数設定部
719 共振周波数算出部
721 弾性部材群位置調節部
723 弾性部材群追加部
725 弾性部材群配置可能範囲設定部
727 弾性部材群初期配置設定部
729 弾性部材群配置表示部
731 表示部
733 共振周波数選択入力部
図1
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図2
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図3
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図4
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図5
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図6
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図7
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図8
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図9
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図10
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図11
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図12
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図13
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図14A
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図14B
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図15
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図16
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図17
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図18
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図19A
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図19B
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図20A
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図20B
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図21
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図22
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図23A
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図23B
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図23C
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図24
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図25A
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図25B
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図25C
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図26
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