【発明を実施するための形態】
【0013】
(本開示の基礎となった知見)
本発明者は、「背景技術」の欄において記載したアクティブマトリクス型の有機ELディスプレイに関し、以下の問題が生じることを見出した。以下、本問題について説明する。
【0014】
図11は、表示装置におけるブランキング期間を説明するための図である。
図12は、ブランキング期間前後のデータ電圧の影響を説明するための図である。
【0015】
図11に示すように、表示装置は、画素116が行列状に配置された表示画面120と、ゲートドライバを構成する回路131と、ソースドライバを構成する回路132とを備えている。回路131は、表示画面120の列方向の一端に沿って、複数配置されている。回路132は、表示画面120の行方向の一端に沿って、複数配置されている。また、回路131は、ゲート線117によって画素116に接続されている。回路132は、データ線118によって画素116に接続されている。
【0016】
この表示装置は、例えば、有機EL発光パネルのプログレッシブ駆動方式により駆動される。複数の画素116が行列状に配置された表示画面120において、初期化動作、Vth(閾値電圧)検出動作、書き込み動作、および発光動作が行順次に実行される。すなわち、表示画面120の行数1行目からn行目(例えば、n=2160行)まで、順に駆動される。
【0017】
この表示装置において映像を表示する際には、
図11に示すように、先頭行の1行目から最終行のn行目まで、それぞれ初期化動作、Vth検出動作、書き込み動作、発光動作の順に画素回路の動作が行われる。ここで、あるTVフィールドのn行目の書き込み期間が終了してから、次のTVフィールドの1行目の書き込み期間が開始するまでの間、ブランキング期間が設けられている。
【0018】
図11では、表示画面120の1行目以前に、ブランキング行なる仮想行が示されている。これは、回路131が走査最終行(第2160行)から走査開始行(次のTVフィールドの第1行)へ走査を戻す時間を確保するブランキング期間に相当するものであり、当該ブランキング期間を、当該期間に相当する走査行数で表したものである。
【0019】
ブランキング期間は、外部から入力される映像信号に含まれている帰線期間であり、ブラウン管における映像信号の走査において、最終行から先頭行に走査を戻すための期間である。有機ELディスプレイにおいては、技術的にはこのようなブランキング期間は必要ではないが、映像信号にこのような期間が含まれているため、有機ELディスプレイ装置においても映像信号に表示方式を対応させる必要があるため、ブランキング期間が設けられている。
【0020】
ここで、
図12の(a)に示すように、ブランキング期間にデータ線118に印加される電圧はGND(0V)に設定されるため、過渡応答により、ブランキング期間の前後では、データ線118に所望の電圧(VaveA、VaveB)が印加されず暗線が生じるという問題がある。
【0021】
また、データ線118と、画素116の回路中の他の配線、例えば、各トランジスタのゲート、REF電圧およびINI電圧用の配線は、パネル内部で容量結合している。そのため、
図12の(b)に示すように、ブランキング期間の前のTVフィールドにおける最終行と、ブランキング期間の後のTVフィールドにおける1行目においてデータ電圧が変動するたびに、データ電圧の過渡応答の影響により、各トランジスタのゲートおよび画素回路中の各電圧にノイズが発生する。これにより、表示画面120では、ブランキング期間の前後の画素行において暗線または明線が発生する等の表示異常が生じるという問題がある。
【0022】
上述のような問題を解決するために、本開示の一態様に係る表示装置の駆動方法は、複数の画素がマトリクス状に配置された表示装置の駆動方法であって、前記表示装置の駆動方法は、一のフィールドと当該一のフィールドに後続する他のフィールドとの間にブランキング期間を有し、制御部により、前記一のフィールドの最終行に印加されるデータ電圧の平均値と前記他のフィールドの先頭行に印加されるデータ電圧の平均値とを算出するステップと、前記一のフィールドの最終行に印加されるデータ電圧の平均値と前記他のフィールドの先頭行に印加されるデータ電圧の平均値とに基づいて、前記ブランキング期間の開始電圧と前記ブランキング期間の最終電圧とをそれぞれ設定するステップと、前記データ電圧が前記ブランキング期間の開始電圧から前記ブランキング期間の最終電圧へと徐々に変化するように、前記ブランキング期間のデータ電圧を設定するステップと、を含む。
【0023】
この構成によれば、ブランキング期間の前後において、データ電圧の変動により発生する画素回路中の他の電圧へのノイズを最小限にし、ブランキング期間の前後における表示異常を抑制することができる。
【0024】
また、前記ブランキング期間の開始電圧は、前記一のフィールドの最終行に印加されるデータ電圧の平均値であり、前記ブランキング期間の最終電圧は、前記他のフィールドの先頭行に印加されるデータ電圧の平均値であってもよい。
【0025】
この構成によれば、ブランキング期間の開始電圧と最終電圧とを、ブランキング期間の前のフィールドの最終行のデータ電圧の平均値とブランキング期間の後のフィールドの先頭行のデータ電圧の平均値を算出することで、容易に得ることができる。
【0026】
また、前記データ電圧は、前記ブランキング期間の開始電圧から前記ブランキング期間の最終電圧へと一定の割合で徐々に変化してもよい。
【0027】
この構成によれば、ブランキング期間中においてデータ電圧の変動を一定にするので、データ電圧の変動により発生する画素回路中の他の電圧へのノイズを抑制することができる。
【0028】
また、前記
データ電圧は、前記ブランキング期間の開始電圧および前記ブランキング期間の最終電圧の値が同一である場合には、一定の
電圧値であってもよい。
【0029】
この構成によれば、ブランキング期間の前後の階調が同一の場合に、データ電圧を変動させることがないので、データ電圧の変動により発生する画素回路中の他の電圧へのノイズをより抑制することができる。
【0030】
また、前記データ電圧は、前記ブランキング期間の開始電圧から前記ブランキング期間の最終電圧へと段階的に徐々に変化してもよい。
【0031】
この構成によれば、データ電圧として供給される電圧がデジタル信号により構成される電圧であっても、データ電圧の変動により発生する画素回路中の他の電圧へのノイズを抑制することができる。
【0032】
また、本開示の一態様に係る表示装置は、複数の画素がマトリクス状に配置された表示装置であって、前記表示装置は、前記複数の画素に供給される映像信号に対応するデータ電圧を出力するソースドライバ回路と、前記ソースドライバ回路から出力される前記データ電圧を制御する制御部とを備え、前記表示装置は、一のフィールドと当該一のフィールドに後続する他のフィールドとの間にブランキング期間を有するように駆動され、前記制御部は、前記一のフィールドの最終行に印加されるデータ電圧の平均値と前記他のフィールドの先頭行に印加されるデータ電圧の平均値とを算出し、前記一のフィールドの最終行に印加されるデータ電圧の平均値と前記他のフィールドの先頭行に印加されるデータ電圧の平均値とに基づいて、前記ブランキング期間の開始電圧と前記ブランキング期間の最終電圧とをそれぞれ設定し、前記データ電圧が前記ブランキング期間の開始電圧から前記ブランキング期間の最終電圧へと徐々に変化するように、前記ブランキング期間のデータ電圧を設定する。
【0033】
この構成によれば、ブランキング期間の前後において、データ電圧の変動により発生する画素回路中の他の電圧へのノイズを最小限にし、ブランキング期間の前後における表示異常を抑制することができる。
【0034】
(実施の形態1)
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0035】
なお、発明者らは、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するものであって、これらによって請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0036】
[1.表示装置の構成]
図1は、本実施の形態に係る表示装置の構成を示す概略図である。
図2は、本実施の形態にかかる表示装置の構成を示すブロック図である。
図3は、本実施の形態にかかる表示装置の画素16の回路図である。
【0037】
図1および
図2に示すように、本実施の形態にかかる表示装置は、表示画面20と、COF(Chip On Film)34と、ゲートプリント基板35aおよび35bと、ソースプリント基板36とを備えている。
【0038】
COF34には、ゲートドライバを構成する回路31またはソースドライバを構成する回路32が配置されている。回路31が配置されたCOF34は、表示画面20とゲートプリント基板35aまたは35bとを接続するように配置されている。回路32が配置されたCOF34は、表示画面20とソースプリント基板36とを接続するように配置されている。COF34は、表示画面20、ゲートプリント基板35aおよび35b、ソースプリント基板36に、ACF(Anisotropic Conductive Film)樹脂で接続されている。
【0039】
ここで、表示画面20とゲートプリント基板35aとの間に配置された複数の回路31を、まとめてゲートドライバ回路12aと呼ぶ。表示画面20とゲートプリント基板35bとの間に配置された複数の回路31を、まとめてゲートドライバ回路12bと呼ぶ。表示画面20とソースプリント基板36との間に配置された複数の回路32を、まとめてソースドライバ回路14と呼ぶ。
【0040】
ゲートドライバ回路12aおよび12bは、走査線17に接続され、走査線17に画素16のスイッチ用トランジスタ11b〜11eをオンまたはオフさせる制御電圧を印加する。ソースドライバ回路14は、データ線18に接続され、データ線18に映像信号を印加する。
【0041】
表示画面20には、複数の画素16が行列状に配置されている。画素16には、
図2に示すように、ゲートドライバ回路12aまたは12bに電気的に接続された走査線17と、ソースドライバ回路14に電気的に接続されたデータ線18とが接続されている。
【0042】
画素16は、
図3に示すように、有機EL素子15と、駆動用トランジスタ11aと、スイッチ用トランジスタ11b〜11eと、容量素子19とを備えている。また、画素16には、参照電源線22(Vref)と、ELアノード電源線23(Vtft)と、ELカソード電源線24(Vel)と、初期化電源線25(Vini)と、走査線17(scan)と、参照電圧制御線27(ref)と、初期化制御線(ini)と、イネーブル線28(enb)と、データ線18(Vdata)とが配線されている。
【0043】
ELアノード電源線23(Vtft)には、有機EL素子15に印加するアノード電圧を発生するアノード電圧発生回路(図示せず)が接続されている。ELカソード電源線24(Vel)には、有機EL素子15に印加するカソード電圧を発生するカソード電圧発生回路(図示せず)が接続されている。なお、ELカソード電源線24(Vel)は、カソード電圧発生回路に接続される代わりに、接地されてもよい。初期化電源線25(Vini)は、容量素子19を初期化するときの初期化電圧Viniを発生するVini電圧発生回路(図示せず)に接続されている。この構成により、有機EL素子15に電流を安定して流すことができる。
【0044】
なお、画素16の構成は、
図3に示した構成に限らず、他の構成であってもよい。少なくとも画素16としての機能を果たすことができる最小の構成として、駆動用トランジスタ11aと、スイッチ用トランジスタ11bと、有機EL素子15と、容量素子19とを備えていればよい。
【0045】
図4は、本実施の形態にかかる表示装置の一部の構成を示す概念図である。詳細には、ソースドライバ回路14およびこれに接続されている制御部30の構成を示す図である。
【0046】
図4に示すように、ソースドライバ回路14は、制御部30に接続されている。ソースドライバ回路14には、制御部30から制御信号が供給される。また、ソースドライバ回路14は、ソース線18を介して画素16にデータ電圧を供給する。
【0047】
ソースドライバ回路14は、レシーバ&デコーダ40と、シフトレジスタ42と、ラッチ回路44と、DAコンバータ46と、バッファ回路48と、スイッチ50とを備えている。レシーバ&デコーダ40、シフトレジスタ42、ラッチ回路44、DAコンバータ46、バッファ回路48、スイッチ50には、制御部30から、それぞれに対応する制御信号が出力される。そして、所定のタイミングでスイッチ50がオン状態となることにより、ソースドライバ回路14から、映像信号に対応するデータ電圧が一行分一斉に出力される。これにより、表示画面20の一行分の各画素16に一斉にデータ電圧が供給される。さらに、表示画面20に映像が表示される。
【0048】
ここで、制御部30からソースドライバ回路14に供給される制御信号のうち、信号線51を介してスイッチ50に供給される信号OCは、ブランキング期間に画素16に印加される電圧を制御するための制御信号である。
【0049】
以下、本実施の形態にかかる表示装置の駆動方法について、詳細に説明する。
【0050】
[2.表示装置の駆動方法]
次に、表示装置の駆動方法について説明する。
図5は、本実施の形態にかかる表示装置の動作について説明するための図である。
図6は、本実施の形態にかかる表示装置の制御部の動作について説明するための図である。
【0051】
本実施の形態に係る表示装置は、例えば、有機EL発光パネルのプログレッシブ駆動方式により駆動される。
図2に示した、複数の画素16が行列状に配置された表示画面20において、初期化動作、Vth(閾値電圧)検出動作、書き込み動作、および発光動作が行順次に実行される。すなわち、表示画面20の行数1行目から最終行目まで、順に駆動される。
【0052】
この表示装置において映像を表示する際には、先頭行の1行目から最終行目まで、それぞれ初期化動作、Vth検出動作、書き込み動作、発光動作の順に画素回路の動作が行われる。ここで、あるTVフィールド(本発明における一のフィールド)のn行目の書き込み期間が終了してから、後続する次のTVフィールド(本発明における他のフィールド)の1行目の書き込み期間が開始するまでの間の期間を、ブランキング期間と呼ぶ。
【0053】
ブランキング期間にデータ線18に印加される電圧は、ブランキング期間の開始電圧とブランキング期間の最終電圧とが算出され、当該開始電圧から最終電圧へと徐々にデータ電圧が変化するように設定される。詳細には、以下のように設定される。
【0054】
図5に示すように、ブランキング期間の開始電圧は、ブランキング期間の前のTVフィールド(0F目)における映像信号に基づいて設定される。詳細には、
図5の(a)に示すように、0F目の最終行の各画素のデータ電圧に基づいて、0F目の最終行のデータ電圧の平均値(平均電圧VaveA)が算出される。この0F目の最終行のデータ電圧の平均値は、ブランキング期間の開始電圧として設定される。
【0055】
また、ブランキング期間の最終電圧は、ブランキング期間の後のTVフィールド(+1F目)における映像信号に基づいて設定される。詳細には、
図5の(b)に示すように、+1F目の先頭行の各画素のデータ電圧に基づいて、+1F目の先頭行のデータ電圧の平均値(平均電圧VaveB)が算出される。+1F目の先頭行のデータ電圧の平均値は、ブランキング期間の最終電圧として設定される。
【0056】
なお、ブランキング期間の開始電圧とブランキング期間の最終電圧とは、上述したように、それぞれ、0F目の最終行のデータ電圧の平均値と+1F目の先頭行のデータ電圧の平均値としてもよいし、0F目の最終行のデータ電圧の平均値と+1F目の先頭行のデータ電圧の平均値とに基づく値であれば、他の値に設定されてもよい。
【0057】
ブランキング期間の開始電圧とブランキング期間の最終電圧との算出は、制御部30により行われる。
図6に示すように、制御部30において、0F目の最終行の各画素16に印加されるデータ電圧(映像信号)から、0F目の最終行のデータ電圧の平均値が算出される。同様に、制御部30において、+1F目の先頭行の各画素16に印加されるデータ電圧(映像信号)から、+1F目の先頭行のデータ電圧の平均値が算出される。このとき、+1F目の先頭行のデータ電圧は未来(ブランキング期間後)のデータ電圧の情報であるため、+1F目の先頭行のデータ電圧の平均値は、一旦TVフィールドメモリに記憶されているデータ電圧の値から計算される。なお、0F目の最終行のデータ電圧の平均値は、+1F目の先頭行のデータ電圧の平均値と同様、一旦TVフィールドメモリに記憶されているデータ電圧の値から計算されてもよいし、データ電圧の実測値から計算されてもよい。
【0058】
その後、0F目の最終行の平均電圧と+1F目の先頭行の平均電圧とに基づいて、ブランキング期間中のデータ電圧のデータが作成される。制御部30は、作成されたデータ電圧のデータに基づいて、制御信号OCによってソースドライバ回路14から出力されるデータ電圧の制御を行う。
【0059】
図7は、ブランキング期間中のデータ電圧の一例を示す図である。
図7の(a)は、あるTVフィールドとそれに続くTVフィールドのデータ電圧を示す図である。
図7の(b)は、
図7の(a)に示したデータ電圧の、一のブランキング期間(同図における破線の円で囲まれたブランキング期間)の前後を拡大して示した図である。また、
図7の(b)では、対応する期間の各ゲート、Vref、Vini電圧の変化も併せて示している。
【0060】
図7では、ブランキング期間の前のTVフィールドが白表示、ブランキング期間の後のTVフィールドが黒表示の場合について示している。
【0061】
ソースドライバ回路14から出力されるデータ電圧は、
図7の(a)に示すように、ブランキング期間において、データ電圧がブランキング期間の開始電圧から最終電圧へと徐々に変化される電圧となる。
図7の(a)では、ブランキング期間の最終電圧である平均電圧VaveBは、ブランキング期間の開始電圧である平均電圧VaveAよりも大きい。したがって、ブランキング期間のデータ電圧は、平均電圧VaveAから平均電圧VaveBへと一定の割合で徐々に増加するように設定されている。
【0062】
これにより、
図7の(b)に示すように、各ゲート、Vref、Vini電圧について、ブランキング期間の開始時と最終時におけるノイズが抑制される。特に、
図12に示したように、ブランキング期間中にデータ電圧をGND(0V)に設定していた場合と比較して、過渡現象による影響が抑制される。したがって、ブランキング期間の前後において、データ電圧の変動により発生する画素回路中の他の電圧へのノイズを最小限にし、ブランキング期間の前後における表示異常を抑制することができる。
【0063】
以上、本実施の形態に係る表示装置の駆動方法によれば、複数の画素がマトリクス状に配置された表示装置の駆動方法であって、前記表示装置の駆動方法は、一のフィールドと当該一のフィールドに後続する他のフィールドとの間にブランキング期間を有し、制御部により、前記一のフィールドの最終行に印加されるデータ電圧の平均値と前記他のフィールドの先頭行に印加されるデータ電圧の平均値とを算出するステップと、前記一のフィールドの最終行に印加されるデータ電圧の平均値と前記他のフィールドの先頭行に印加されるデータ電圧の平均値とに基づいて、前記ブランキング期間の開始電圧と前記ブランキング期間の最終電圧とをそれぞれ設定するステップと、前記データ電圧が前記ブランキング期間の開始電圧から前記ブランキング期間の最終電圧へと徐々に変化するように、前記ブランキング期間のデータ電圧を設定するステップと、を含む。これにより、ブランキング期間の前後における表示異常を抑制することができる。
【0064】
なお、上述した実施の形態では、ブランキング期間の前のTVフィールドが白表示、ブランキング期間の後のTVフィールドが黒表示の場合について示したが、ブランキング期間の前のTVフィールドが黒表示、ブランキング期間の後のTVフィールドが白表示の場合についても同様である。
【0065】
つまり、上述した実施の形態では、ブランキング期間の最終電圧である平均電圧VaveBは、ブランキング期間の開始電圧である平均電圧VaveAよりも大きいため、ブランキング期間のデータ電圧は、平均電圧VaveAから平均電圧VaveBへと徐々に増加するように設定されていたが、ブランキング期間の最終電圧である平均電圧VaveBが、ブランキング期間の開始電圧である平均電圧VaveAよりも小さい場合には、ブランキング期間のデータ電圧は、平均電圧VaveAから平均電圧VaveBへと徐々に減少するように設定される。
【0066】
また、上述した実施の形態では、ブランキング期間において、データ電圧がブランキング期間の開始電圧から最終電圧へと一定の割合で徐々に変化される電圧を示したが、データ電圧は、ブランキング期間の開始電圧から最終電圧へと一定の割合で徐々に変化されなくてもよい。例えば、ブランキング期間中、データ電圧は、指数関数的に変化されてもよい。
【0067】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。本実施の形態に係る表示装置の駆動方法が実施の形態1に示した表示装置の駆動方法と異なる点は、ブランキング期間において、データ電圧がブランキング期間の開始電圧から最終電圧へと段階的に徐々に変化される電圧となる。
【0068】
図8は、ブランキング期間中のデータ電圧の一例を示す図である。
図8の(a)は、あるTVフィールドとそれに続くTVフィールドのデータ電圧を示す図である。
図8の(b)は、
図8の(a)に示したデータ電圧の、一のブランキング期間(同図における破線の円で囲まれたブランキング期間)の前後を拡大して示した図である。また、
図8の(b)では、対応する期間の各ゲート、Vref、Vini電圧の変化も併せて示している。
【0069】
図8においても、ブランキング期間の前のTVフィールドは白表示、ブランキング期間の後のTVフィールドは黒表示の場合を示している。
【0070】
ソースドライバ回路14から出力されるデータ電圧は、
図8の(a)に示すように、ブランキング期間において、データ電圧がブランキング期間の開始電圧から最終電圧へと徐々に変化される電圧となる。
図8の(a)では、ブランキング期間の最終電圧である平均電圧VaveBは、ブランキング期間の開始電圧である平均電圧VaveAよりも大きい。したがって、ブランキング期間のデータ電圧は、平均電圧VaveAから平均電圧VaveBへと段階的に徐々に増加するように設定されている。
【0071】
これにより、
図8の(b)に示すように、各ゲート、Vref、Vini電圧について、ブランキング期間の開始時と最終時におけるノイズが抑制される。したがって、ブランキング期間の前後において、データ電圧の変動により発生する画素回路中の他の電圧へのノイズを最小限にし、ブランキング期間の前後における表示異常を抑制することができる。
【0072】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3について説明する。本実施の形態に係る表示装置の駆動方法が実施の形態1に示した表示装置の駆動方法と異なる点は、ブランキング期間の開始電圧と最終電圧とが同じ電圧値である点である。
【0073】
図9は、ブランキング期間中のデータ電圧の一例を示す図である。
図9の(a)は、あるTVフィールドとそれに続くTVフィールドのデータ電圧を示す図である。
図9の(b)は、
図9の(a)に示したデータ電圧の、一のブランキング期間(同図における破線の円で囲まれたブランキング期間)の前後を拡大して示した図である。また、
図9の(b)では、対応する期間の各ゲート、Vref、Vini電圧の変化も併せて示している。
【0074】
ソースドライバ回路14から出力されるデータ電圧は、
図9の(a)では、ブランキング期間の最終電圧である平均電圧VaveB(白表示)は、ブランキング期間の開始電圧である平均電圧VaveAと同じ電圧値である。ここで、ブランキング期間において、データ電圧がブランキング期間の開始電圧から最終電圧へと徐々に変化される電圧となるが、ブランキング期間の開始電圧と最終電圧とは同一であるため、ブランキング期間のデータ電圧は、平均電圧VaveAからVaveBへ一定値となるように設定されている。
【0075】
これにより、
図9の(b)に示すように、各ゲート、Vref、Vini電圧について、ブランキング期間の開始時と最終時におけるノイズはより抑制される。したがって、ブランキング期間の前後において、データ電圧の変動により発生する画素回路中の他の電圧へのノイズを最小限にし、ブランキング期間の前後における表示異常を抑制することができる。特に、データ電圧として高い電圧が設定される白表示の場合において、過渡現象の影響を抑制して、ブランキング期間の前後における表示異常を抑制することができる。
【0076】
同様に、
図10は、ブランキング期間中のデータ電圧の一例を示す図である。
図10の(a)は、あるTVフィールドとそれに続くTVフィールドのデータ電圧を示す図である。
図10の(b)は、
図10の(a)に示したデータ電圧の、一のブランキング期間(同図における破線の円で囲まれたブランキング期間)の前後を拡大して示した図である。また、
図10の(b)では、対応する期間の各ゲート、Vref、Vini電圧の変化も併せて示している。
【0077】
ソースドライバ回路14から出力されるデータ電圧は、
図10の(a)では、ブランキング期間の最終電圧である平均電圧VaveB(黒表示)は、ブランキング期間の開始電圧である平均電圧VaveAと同じ電圧値である。ここで、ブランキング期間において、データ電圧がブランキング期間の開始電圧から最終電圧へと徐々に変化される電圧となるが、ブランキング期間の開始電圧と最終電圧とは同一であるため、ブランキング期間のデータ電圧は、平均電圧VaveAからVaveBへ一定値となるように設定されている。
【0078】
これにより、データ電圧値の低い黒表示の場合にも、
図10の(b)に示すように、各ゲート、Vref、Vini電圧について、ブランキング期間の開始時と最終時におけるノイズはより抑制される。したがって、ブランキング期間の前後において、データ電圧の変動により発生する画素回路中の他の電圧へのノイズを最小限にし、ブランキング期間の前後における表示異常を抑制することができる。
【0079】
(他の実施の形態)
以上、実施の形態に係る表示装置について説明したが、表示装置は、上述した実施の形態に限定されるものではない。上述した実施の形態に対して、本発明の主旨を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例や、表示装置を内蔵した各種機器も本発明に含まれる。
【0080】
例えば、上述した実施の形態では、ブランキング期間において、データ電圧がブランキング期間の開始電圧から最終電圧へと一定の割合で徐々に変化される電圧を示したが、データ電圧は、ブランキング期間の開始電圧から最終電圧へと一定の割合で徐々に変化されなくてもよい。例えば、ブランキング期間中、データ電圧は、段階的に変化されてもよいし、指数関数的に変化されてもよい。また、データ電圧は、ブランキング期間の開始電圧および最終電圧の値が同一である場合には、一定の電圧値に設定されてもよい。
【0081】
また、ブランキング期間の開始電圧とブランキング期間の最終電圧とは、上述した実施の形態に示したように、それぞれ、0F目の最終行のデータ電圧の平均値と+1F目の先頭行のデータ電圧の平均値としてもよいし、0F目の最終行のデータ電圧の平均値と+1F目の先頭行のデータ電圧の平均値とに基づく値であれば、他の値に設定されてもよい。
【0082】
また、上述した実施の形態では、本発明に係る表示装置が有する画素回路構成の一例を挙げたが、画素16の回路構成は上記回路構成に限定されない。上述した実施の形態では、ELアノード電源線23とELカソード電源線24との間に、駆動用トランジスタ11a及び有機EL素子15が、この順に配置され、ELアノード電源線23と駆動用トランジスタ11aとの間にスイッチ用トランジスタ11eを備える構成を示したが、少なくとも画素16としての機能を果たすことができる最小の構成として、駆動用トランジスタ11aと、スイッチ用トランジスタ11bと、有機EL素子15と、容量素子19とを備えていればよい。
【0083】
また、上記した実施の形態では、スイッチ用トランジスタ11b〜11eは、ゲート電極、ソース電極及びドレイン電極を有するMOSFETであることを前提として説明してきたが、これらのトランジスタには、ベース、コレクタ及びエミッタを有するバイポーラトランジスタが適用されてもよい。この場合にも、本発明の目的が達成され同様の効果を奏する。
【0084】
また、上述した実施の形態に係る表示装置に含まれる制御回路及び演算回路は、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。なお、上述した表示装置に含まれる制御回路及び演算回路の一部を、表示画面20と同一の基板上に集積することも可能である。また、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。また、LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又はLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0085】
また、実施の形態に係る表示装置に含まれる走査線駆動回路、データ線駆動回路、制御回路、及び演算回路の機能の一部を、CPU等のプロセッサがプログラムを実行することにより実現してもよい。
【0086】
また、上記実施の形態に係る表示装置では、有機EL素子を用いた表示装置である場合を例に述べたが、有機EL素子以外の発光素子を用いた表示装置に適用してもよい。
【0087】
また、例えば、実施の形態に係る表示装置は、
図13に示されたような薄型フラットTVに内蔵される。実施の形態に係る表示装置が内蔵されることにより、表示ムラが抑制された高精度な画像表示が可能な薄型フラットTVが実現される。