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特許6288736着信数通知装置、交換機、着信数通知システム、及び着信数通知プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6288736
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】着信数通知装置、交換機、着信数通知システム、及び着信数通知プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04Q 3/58 20060101AFI20180226BHJP
【FI】
   H04Q3/58 101
【請求項の数】9
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-142973(P2016-142973)
(22)【出願日】2016年7月21日
(65)【公開番号】特開2018-14615(P2018-14615A)
(43)【公開日】2018年1月25日
【審査請求日】2016年7月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】宮田 光太郎
(72)【発明者】
【氏名】上村 栄
【審査官】 山田 倍司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−070041(JP,A)
【文献】 特開2006−253905(JP,A)
【文献】 特開2012−084992(JP,A)
【文献】 特開2004−304770(JP,A)
【文献】 特開2006−080625(JP,A)
【文献】 特開昭62−272646(JP,A)
【文献】 特開2003−008753(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 1/00
1/24− 3/00
3/16− 3/20
3/38− 3/58
7/00− 7/16
11/00−11/10
99/00
H04Q 3/58− 3/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交換機がダイヤルイン着信を受け付けると共に、前記ダイヤルインの着信先を仮想内線にすることにより、前記着信先の内線グループ電話機数以上の数のダイヤルイン着信を呼び出し中の状態のまま応答待ちの状態で待機させることを可能とする着信通知装置であって、
前記交換機に収容された複数の電話機に対して着信呼がある場合に、呼出中の呼と通話中の呼との合計である着信呼の数に応じて表示色を決定すると共に、
前記複数の電話機が通話中であるか否かにかかわらず、前記決定した表示色にて前記複数の電話機の着信ランプを点滅又は点灯するように指示を出す制御部、
を備えることを特徴とする着信数通知装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記着信呼の現在の数が前記複数の電話機の台数以下である場合と、前記着信呼の現在の数が前記複数の電話機の台数を超える場合とで前記表示色が異なる色となるように前記表示色を決定することを特徴とする請求項1に記載の着信数通知装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記着信呼の現在の数が前記複数の電話機の台数を超える場合に、前記複数の電話機の台数を超えた数が増加するに伴って前記表示色が異なる色となるように前記表示色を決定することを特徴とする請求項1又は2に記載の着信数通知装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記着信呼の何れかに応答している電話機に対しても、前記決定した表示色にて自電話機の着信ランプを点滅又は点灯するように指示を出すことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の着信数通知装置。
【請求項5】
前記複数の電話機の着信ランプが発光可能な表示色の数がn(4以上の自然数)の場合に、
前記制御部は、前記着信呼の現在の数が前記複数の電話機の台数以下である場合に前記表示色を第1の色に決定し、前記着信呼の現在の数が前記複数の電話機の台数を一台超える毎に第2の色、第3の色というように表示色を異なる色に決定し、第nの色とした台数以上に台数が増加した場合には表示色を第nの色に決定する、ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の着信数通知装置。
【請求項6】
前記制御部は、1つの仮想内線に割り付けられている複数の電話機を対象として動作することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の着信数通知装置。
【請求項7】
複数の電話機を収容する交換機であって、
自交換機に収容する複数の電話機を対象として呼制御を行う呼制御手段と、
請求項1乃至の何れか1項に記載の着信数通知装置と、を備え、
該着信数通知装置が備える制御部は、自交換機に収容する複数の電話機を対象として動作することを特徴とする交換機。
【請求項8】
交換機に収容された複数の電話機と、該複数の電話機を対象として動作する請求項1乃至の何れか1項に記載の着信数通知装置とを備えた着信数通知システムであって、
前記複数の電話機は、前記着信数通知装置の指示に従い、前記決定した表示色にて自電話機の着信ランプを点滅又は点灯することを特徴とする着信数通知システム。
【請求項9】
交換機がダイヤルイン着信を受け付けると共に、前記ダイヤルインの着信先を仮想内線にすることにより、前記着信先の内線グループ電話機数以上の数のダイヤルイン着信を呼び出し中の状態のまま応答待ちの状態で待機させることを可能とする着信数通知装置としてコンピュータを機能させるための着信数通知プログラムであって、
前記交換機に収容された複数の電話機に対する着信呼がある場合に、呼出中の呼と通話中の呼との合計である着信呼の数に応じて表示色を決定すると共に、
前記複数の電話機が通話中であるか否かにかかわらず、前記決定した表示色にて前記複数の電話機の着信ランプを点滅又は点灯するように指示を出す制御部、
を備える着信数通知装置として前記コンピュータを機能させることを特徴とする着信数通知プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着信数の通知に関する処理を行う、着信数通知装置、交換機、着信数通知システム、及び着信数通知プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
交換機に外線を収容して複数の内線端末で外線を共有して使うために、ダイヤルイン機能を利用することが一般的に行われている。この場合、1つのダイヤルイン番号に対する着信を、複数の内線電話機で応答できるように、仮想内線が用いられる。
【0003】
具体的には、仮想内線をダイヤルインの着信先として設定する。そして、この仮想内線を多機能機電話機である複数の内線電話機のファンクションボタンに割り付ける。その後、かかる仮想内線に対してダイヤルイン着信があると、かかる仮想内線に割り付けられている複数の内線電話機が鳴動すると共に、着信先の仮想内線に対応する仮想内線ボタンが赤く点滅し、ダイヤルイン着信があったことを通知する。
この状態で、内線電話機のユーザは、点滅している仮想内線ボタンを押下することでダイヤルイン着信に応答することができる。
【0004】
そして、複数の内線電話機の内のいずれか1台のユーザが仮想内線ボタンを押下してダイヤルイン着信に応答すると、各内線電話機の鳴動は終了する。また、応答した内線電話機の仮想内線ボタンは緑の点灯に変わり、通話中であることを示す。一方で、他の内線電話機の仮想内線ボタンは消灯する。
【0005】
この状態で、仮想内線に対して更に別のダイヤルイン着信があれば、既に応答している内線電話機以外の内線電話機が鳴動すると共に仮想内線ボタンが赤く点滅し、ダイヤルイン着信があったことを通知する。仮想内線ボタンが点滅している通話中ではない内線電話機のユーザは、点滅中の仮想内線ボタンを押下することにより、そのダイヤルイン着信に応答できる。
【0006】
仮想内線は上記のように、特定の内線電話機の特定の内線番号ではなく、複数の内線電話機が割り付けられた仮想内線で着信を受ける仕組みになっている。このような仕組みであることから、現在内線電話機のすべてがダイヤルイン着信に応答して通話している状態であり、これ以上応答できる内線電話機が存在しない場合であったとしても、仮想内線への新たなダイヤルイン着信を受け付ける。
この場合、すべての内線電話機が通話中であるため、新たなダイヤルイン着信に応答することはできない。
この点、このような応答出来ないダイヤルイン着信が発生することを防止する技術が特許文献1に開示されている。
【0007】
具体的には、特許文献1に開示の技術では、ダイヤルイン着信数の上限を、内線端末の数と同じ数までに制限する。そして、上限を超えるダイヤルイン着信があった場合には、かかるダイヤルイン着信に対して「話中」として対応し着信を受け付けない。これにより、現在応答できる内線電話機が存在しない場合であっても新たにダイヤルイン着信を受け付けたものの、このダイヤルイン着信に応答することができない、という状況となるのを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平07−023436号公報
【特許文献2】特開2006−253905号公報
【特許文献3】特開2009−177249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、特許文献1に開示の技術を利用することにより、着信を受け付けたが応答することができない、という状況となるのを防止することができる。
【0010】
しかしながら、どのような場面であってもダイヤルイン着信数の上限を、内線電話機の数と同じ数までに制限することが望ましいわけではない。例えば、お客様窓口やコールセンターなどにおいては、お客様からの着信に対して話中にすることは営業機会の損失や顧客サービスの低下につながる。そのため、内線電話機の数を超えるダイヤルイン着信があったとしても、あえて話中にはせず、お客様に一定時間お待ちいただくようにしている。このようにお待ちいただいている、内線電話機の数を超える着信呼を「あふれ呼」と呼ぶ。
【0011】
あふれ呼のある状態とは、すなわちすべての内線電話機が応答中の状態であるので、すべての内線電話機の仮想内線ボタンは緑色点灯になっている。そのため、オペレータ等のユーザは、内線電話機の仮想内線ボタンを見たとしても、現在あふれ呼があるということを知ることは出来ない。また応答中の内線電話機は鳴動音も鳴らない。このためユーザは、仮想内線に新たな着信があったことを鳴動音によって知ることもできない。
【0012】
しかしながら、あふれ呼があるならば、通話中の呼に対して早めに通話を終わらせるように努力したりする等の対策を、ユーザに取らせなければならない。そのため、あふれ呼が存在することを、何らかの方法でユーザに通知する必要がある。
【0013】
この点、例えばお客様窓口やコールセンターなどでは、内線電話機や交換機以外の設備を用意することにより、あふれ呼が存在することをユーザに通知する、という方法をとっている。
【0014】
具体的には、パトライト(登録商標)を設置しておき、あふれ呼がある場合にパトライトを点灯させたり、表示板を設置しておき、あふれ呼がある旨を掲示板に表示したりしている。あるいは、CTI(computer telephony integration)を設置したお客様窓口やコールセンターでは、パーソナルコンピュータにあふれ呼の状況を表示させたりしている。
【0015】
しかし、いずれの方法であっても内線電話機や交換機以外の特別な設備が必要となる。そのため、簡易的なお客様受付や、一時的にあふれ呼が生じるような事務所では、そのような特別な設備を必要とするあふれ呼の通知方式は採用できない状況にあった。
【0016】
この点を考慮した技術として、特別な設備を用意することなく、内線電話機の液晶ディスプレイ(LCD:liquid crystal display)を利用して通知を行う技術が特許文献2に開示されている。具体的には、特許文献2に記載の技術では、あふれ呼が発生すると、内線電話機の液晶ディスプレイ上に、あふれ呼の数を数字で表示してユーザに通知する。
【0017】
しかしながら、少し離れた場所からでは内線電話機の液晶ディスプレイ上に表示された数字は読み難い。そのため、ユーザが容易にあふれ呼数を認識することが出来ない場合があった。
【0018】
このような状況を考慮して、特別な設備を必要とすることなく、例えば少し離れた場所からであっても、あふれ呼の有無を知るために現在の着信数を通知する方法が求められていた。
【0019】
そこで、本発明は、現在の着信数を、高い視認性で通知することが可能な、着信数通知装置、交換機、着信数通知システム、及び着信数通知プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の第1の観点によれば、交換機に収容された複数の電話機に対する着信呼がある場合に、該着信呼の現在の数に応じて表示色を決定すると共に、前記複数の電話機に対して、前記決定した表示色にて自電話機の着信ランプを点滅又は点灯するように指示を出す制御部、を備えることを特徴とする着信数通知装置が提供される。
【0021】
本発明の第2の観点によれば、複数の電話機を収容する交換機であって、自交換機に収容する複数の電話機を対象として呼制御を行う呼制御手段と、上記本発明の第1の観点により提供される着信数通知装置と、を備え、該着信数通知装置が備える制御部は、自交換機に収容する複数の電話機を対象として動作することを特徴とする交換機が提供される。
【0022】
本発明の第3の観点によれば、交換機に収容された複数の電話機と、該複数の電話機を対象として動作する上記本発明の第1の観点により提供される着信数通知装置とを備えた着信数通知システムであって、前記複数の電話機は、前記着信数通知装置の指示に従い、前記決定した表示色にて自電話機の着信ランプを点滅又は点灯することを特徴とする着信数通知システムが提供される。
【0023】
本発明の第4の観点によれば、着信数通知装置としてコンピュータを機能させるための着信数通知プログラムであって、交換機に収容された複数の電話機に対する着信呼がある場合に、該着信呼の現在の数に応じて表示色を決定すると共に、前記複数の電話機に対して、前記決定した表示色にて自電話機の着信ランプを点滅又は点灯するように指示を出す制御部、を備える着信数通知装置として前記コンピュータを機能させることを特徴とする着信数通知プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、現在の着信数を、高い視認性で通知することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】代表組契約を行った場合のシステム構成を示す図である。
図2】ダイヤルイン契約を行った場合のシステム構成を示す図である。
図3】本発明の実施形態におけるPBXの構成を表すブロック図である。
図4】本発明の実施形態におけるダイヤルインの着信先設定を示すテーブルである。
図5】本発明の実施形態における仮想内線ボタンの割り付けを示す図である。
図6】本発明の実施形態における応答中の着信呼を含む同時着信呼数と着信ランプの色の設定について表す図である。
図7】本発明の実施形態におけるダイヤルイン着信への応答について表す図である。
図8】本発明の実施形態におけるあふれ呼の数を着信ランプの色で識別可能に表示する点について表す図である。
図9-1】本発明の実施形態の基本的動作を表すフローチャート(1/4)である。
図9-2】本発明の実施形態の基本的動作を表すフローチャート(2/4)である。
図9-3】本発明の実施形態の基本的動作を表すフローチャート(3/4)である。
図9-4】本発明の実施形態の基本的動作を表すフローチャート(4/4)である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
まず、本発明の実施形態の概略を説明する。本発明の実施形態は、概略、内線端末の着信ランプの多色表示機能(例えば、7色表示機能)を用いて、仮想内線に着信している着信呼の数を、着信ランプの点滅時の表示色で知らせるというものである。
【0027】
これにより応答待ちになっている呼び出し中の呼(以下、「待ち呼」と呼ぶ。)が発生しているか否かを通知できるのみならず、着信呼の数が内線電話機の数よりも多くてあふれ呼が発生している場合に、このあふれ呼の数がいくつであるかということも通知可能となる。
【0028】
この点、従来の技術では、電話機や交換機以外の特別なハードウェアを用意しなければ、待ち呼の有無や、あふれ呼の数が把握できなかった。また、従来の技術では、電話機や交換機以外の特別なハードウェアを用意しない場合には、液晶ディスプレイ上での表示を行っており視認性が低い。そのため、少し離れた場所からでは待ち呼の有無や、あふれ呼の数を容易に把握することができなかった。
【0029】
結果として、従来の技術では、発信者に対して迷惑のかかる場合があった。しかしながら、本実施形態では、電話機や交換機以外の特別なハードウェアを用意することなく、電話機の着信ランプを利用することにより待ち呼の有無や、あふれ呼の数を通知することができる。また、これに加えて、着信ランプの色の変化は、少し離れた場所からでも視認性が高いため、ユーザが現在の着信数を容易に把握することが可能となる。
【0030】
これにより、本実施形態では発呼者に対してより良いサービスを提供することが可能になる。
以上が本発明の実施形態の概略である。
【0031】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、本実施形態における電話回線の効率的な運用を可能にするサービスである、ダイヤルインサービスについて説明をする。
【0032】
ここで、仮にダイヤルインサービスを利用することなく、図1に示すように通常の回線を代表組して運用する場合について説明をする。この場合、図1に示すように、PBX(Private Branch eXchange)10に収容された内線電話機のグループである、第A電話機グループ20Aには5回線、第B電話機グループ20Bには8回線、第C電話機グループ20Cには3回線を割り当てたとする。すると、合計16回線の契約が必要となる。
【0033】
しかし、第A電話機グループ20A、第B電話機グループ20B、及び第C電話機グループ20Cのそれぞれに、同時に最大回線数の着信があることが無いのであれば、着信していない回線は無駄となってしまう。
【0034】
このような場合を考慮して、ダイヤルイン契約をすることによって回線を有効活用することが出来る。たとえば図2に示すように12回線をダイヤルイン契約すると、第A電話機グループ20A、第B電話機グループ20B、及び第C電話機グループ20Cの着信の合計数が12になるまで着信を受けることが可能になる。したがって、第A電話機グループ20A、第B電話機グループ20B、及び第C電話機グループ20C共に最大12の着信を受けることができるようになる。つまり、ダイヤルイン契約をすることで、少ない契約回線数を効率よく使用して、多数の着信呼に対して話中にすることが可能になる。
【0035】
そこで、本実施形態は図2に示すように、PBX10にダイヤルイン回線を接続し、このPBX10に複数の内線電話機20を収容した構成とする。かかる構成と、PBX10内に含まれる機能ブロックについて図3を参照して説明をする。
【0036】
図3を参照すると、本実施形態は、PBX10と、PBX10に収容されるn台の内線電話機20を含む。また、PBX10には、m回線のダイヤルイン回線30が接続される。ここで、n及びmは任意の自然数であるとする。
【0037】
PBX10は、外線インタフェース11、内線インタフェース12、呼制御回路13、CPU(Central Processing Unit)14及びメモリ15を含む。ここで、PBX10に含まれる機能ブロックは、一般的なPBXに含まれるハードウェアで実現することが可能である。つまり、本実施形態では、PBXに特別なハードウェアを組み込むことなく、着信ランプの表示色を変更する機能を実現することができる。
【0038】
ここで、外線インタフェース11はダイヤルイン回線30と接続するためのインタフェースである。また、内線インタフェース12は、複数の内線電話機20を収容するためのインタフェースである。呼制御回路13は、内線間の通話や、外線と内線との通話を実現するための回路である。これらの機能ブロックの構成については当業者によく知られているのでの、詳細な説明を省略する。
【0039】
CPU14及びメモリ15は、PBX10全体を制御するための制御部として機能する。CPU14及びメモリ15による制御によって、PBX10は一般的なPBXとしての処理を実現する。また、本実施形態特有の処理である着信ランプの表示色の変更をするための処理もCPU14及びメモリ15の制御によって実現する。
【0040】
より具体的には、メモリ15は、例えば、OS(Operating System)や各種の制御用プログラムを格納したROM(Read Only Memory)やHDD(Hard disk drive)、CPUがプログラムを実行する上で一時的に必要とされるデータを格納するためのRAM(Random Access Memory)等により実現される。
【0041】
そして、CPU14が、かかるメモリ15を構成するROMからOSや各種制御用プログラムを読み込み、読み込んだOSや制御用プログラムをRAMに展開させながら、これらのOSや各種制御用プログラムに基づいた演算処理を行なう。そして、CPU14が、演算結果に基づいてPBX10内のハードウェアを制御することにより、PBX10の各処理は実現される。つまり、PBX10は、ハードウェアとソフトウェアが協働することにより実現することができる。
【0042】
また、本実施形態では、PBX10がダイヤルインの着信先を仮想内線にすることにより、着信先の内線グループ電話機数以上の数のダイヤルイン着信を呼び出し中の状態のまま応答待ちの状態で待機させることを可能とする。
【0043】
具体的には、図4に示すようにして着信先を設定する。例えば、図4のNo.1の行を参照すると、ダイヤルイン着信における受信ダイヤルが「AAAA」である場合(例えば、番号03−1234−AAAAに着信があった場合)に、着信先を「第A仮想内線」と設定されていること、及び、第A仮想内線に「第A電話機グループ20A」に含まれる各内線電話機が紐付けられて設定されていることが分かる。
【0044】
この場合に、第A電話機グループの電話機内線電話機20Aに含まれる、内線電話機20−1〜内線電話機20−5(図3参照)の5台の内線電話機のファンクションキーには第A仮想内線が割り付けられる。そして、第A仮想内線に対応する受信ダイヤル「AAAA」にダイヤルイン着信があったならば、ファンクションボタンにダイヤルイン着信先の仮想内線を割り付けられた内線電話機20−1〜内線電話機20−5(図3参照)の5台の内線電話機は、PBX10の指示により、ファンクションキーに割り付けられた仮想内線ボタンを赤く点滅させると共に、鳴動をする。内線電話機内線電話機20〜内線電話機20−5のいずれかのユーザは点滅中の仮想内線ボタンを押下することで、ダイヤルイン着信に応答できる。
【0045】
ここで、n台の内線電話機20は、仮想内線ボタンとして機能するためのファンクションキーと、複数の表示色で点滅や点灯可能な着信ランプとを備えた多機能電話機である。n台の内線電話機20は、PBX10によりグループ分けされて、内線電話機として機能する。かかる内線電話機20のユーザインタフェースについて図5を参照して説明をする。
【0046】
図5に示すように、内線電話機20は、着信ランプ21、ファンクションボタン群22及び受話器24を含む。そして、ファンクションボタン群22の内の何れかのボタンは、PBX10により仮想内線ボタン23とされる。
【0047】
着信ランプ21は、複数の表示色で点滅や点灯可能な着信ランプであり、表示色として7つの色を表示することができる。つまり、7つの色から選択した色にて点滅や点灯をすることができる。本実施形態では、着信ランプ21による点滅により、単に待ち呼の有無を通知するのみならず、表示色を切り替えることにより、あふれ呼が存在するか否かということや、あふれ呼が存在する場合にそのあふれ呼の数も通知する。なお、着信ランプ21による、表示色の切り替えを伴う通知方法の具体的な内容については、図7以降の図を参照して後述する。
【0048】
ファンクションボタン群22は、PBX10により所定の機能を割り付けることが可能なキーである複数のファンクションキーからなる群である。本実施形態では、特に何れかの仮想内線に対応する仮想内線ボタン仮想内線ボタン23としての機能を割り付けられる。
【0049】
例えば、図4に示したように設定されるならば、内線電話機20−1〜内線電話機20−5の5台の内線電話機のファンクションボタン群22に含まれるファンクションキーには、第A仮想内線に対応する仮想内線ボタン仮想内線ボタン23としての機能を割り付けられる。なお、ファンクションボタン群22には複数のファンクションキーが存在することから、その複数のファンクションキーのそれぞれに、異なる仮想内線に対応する仮想内線ボタン仮想内線ボタン23としての機能を割り付けることも可能ではある。ただし、このようにした場合には、着信ランプ21の表示色が何れの仮想内線についての表示色であるのかが不明確となる。そのため、以下の説明では、図4に示すように、1台の内線電話機20は、1つの仮想内線にだけ割り付けられるものとする。
【0050】
受話器24は、一般的な受話器であり、内線電話機20に対してダイヤルイン着信している場合に、ユーザが受話器24をオフフックすることにより、着信に対する応答をしたこととなり、通話が開始される。また、通話開始後に、ユーザが受話器24をオンフックすることにより、通話が終了することとなる。
【0051】
次に、仮想内線着信時に点滅する着信ランプ21の表示色の設定について、図6を参照して説明をする。今回は、図4を参照して説明した際に上述したように、内線電話機20−1〜内線電話機20−5の5台の内線電話機が電話機グループに所属している場合を例にとって説明している。そのため、図6には、5台の内線電話機が電話機グループに所属している場合の着信ランプ21の表示色の設定を例にとって図示する。
【0052】
本実施形態では、仮想内線着信時に、着信ランプ21を点滅させることにより、待ち呼の有無を通知するのみならず、点滅時の表示色を切り替えることにより現在の着信呼の数も通知する。
【0053】
例えば、着信呼の数(応答待ちになっている呼び出し中の呼である「待ち呼」の数と、既に応答済みの通話中の呼である「通話中呼」の数とを合計した数に相当)が、電話機グループに所属している内線電話機20の台数以下である1〜5であれば、着信ランプ21は白色で点滅する。
【0054】
次に、着信呼の数が更に増加して、着信呼の数が6となったならば、着信ランプ21の点滅時の表示色を黄緑に切り替える。
【0055】
以下、着信呼の数の増加に伴い、図6に示すように、表示色が変化していく。具体的には、着信呼の数が7ならば着信ランプ21の点滅時の表示色が青色となり、着信呼の数が8ならば着信ランプ21の点滅時の表示色が藍色となり、着信呼の数が9ならば着信ランプ21の点滅時の表示色が黄色となり、着信呼の数がPBX10ならば着信ランプ21の点滅時の表示色が桃色となり、着信呼の数が11以上ならば着信ランプ21の点滅時の表示色が赤色となる。
【0056】
これらの表示色による着信ランプ21の点滅を参照したユーザは、点滅により待ち呼があることを把握できる。また、予めユーザに、表示数の色と、その色に対応する着信呼の数を知らせておけば、ユーザは表示色により着信呼の数が幾つであるかを把握できる。また、これに加えて、ユーザに予め仮想内線に割り付けられている内線電話機20の台数を教えておけば、ユーザは、着信呼の数から仮想内線に割り付けられている内線電話機20の台数を減算することによりあふれ呼の数が幾つであるかも把握できる。
【0057】
例えば、ユーザは、表示色が白色ならば、着信数の数は、内線電話機の台数以下であることから、あふれ呼は発生していないことが把握できる。
【0058】
他にも、例えば、ユーザは、表示色が黄緑色ならば、着信数の数は、内線電話機の台数を1つ超えていることから、あふれ呼が発生しており、そのあふれ呼の数が1であることも把握できる。これにより、ユーザは、通話中の呼に対して早めに通話を終わらせるように努力したりする等の対策を行う必要があることも把握できる。
【0059】
更に他にも、青色→藍色→黄色→桃色→赤色というような表示色の変化に伴い、ユーザはあふれ呼が増加していることを把握できることから、これにより、ユーザは、通話中の呼に対して早めに通話を終わらせるように努力したりする等の対策を行う必要性がより増していることも把握できる。
【0060】
このように、本実施形態ではPBX10による指示と、内線電話機20に設けた着信ランプ21とにより、待ち呼が発生しているか否かを通知できるのみならず、待ち呼の数と通話中呼の数の合計である着信呼の数が内線電話機よりも多くてあふれ呼が発生している場合に、このあふれ呼の数がいくつであるかということもユーザに通知可能となる。つまり、電話機や交換機以外の特別なハードウェアを用意することなくユーザに対する通知を行うことができる。また、これに加えて、着信ランプ21の色の変化は、少し離れた場所からでも視認しやすいため、ユーザが現在の着信数を容易に把握することが可能となる。
【0061】
次に、図7及び図8を参照して、ダイヤルイン着信時の、内線電話機20によるユーザに対しての通知動作について説明をする。なお、これらの通知動作は、PBX10からの内線電話機20に対する指示に基づいて行われる。
【0062】
まず、図7に、1つのダイヤルイン着信があり、これに応答する際の各内線電話機20の通知動作を示す。なお、以下の説明では、第A仮想内線に着信があり、この第A仮想内線に対応する内線電話機20−1〜内線電話機20−5の5台の内線電話機20が通知動作を行う場合を例にとって説明をする。
【0063】
第A仮想内線に1つのダイヤルイン着信があると、ダイヤルインの着信先の仮想内線ボタン23が割り付けられた内線電話機20−1〜内線電話機20−5それぞれが鳴動する。加えて、内線電話機20−1〜内線電話機20−5それぞれの着信ランプ21と仮想内線ボタン23が点滅する(図7の上段参照)。ここで、現在の着信個の数は「1」なので図6に示すように表示色は白色である。そのため着信ランプ21は白色の表示色で点滅をする。一方で、仮想内線ボタン23については、赤色で点滅をする
【0064】
なお、図7及び図8では、図示の都合上、一部の内線電話機20に対しての引出線の図示を省略する。例えば、図7の上段では、全ての着信ランプ21が点滅しているが、一番左側の内線電話機20に対してのみ「着信ランプが点滅」という説明文からの引出線を図示し、他の内線電話機20については引出線の図示を省略する。また、図7及び図8では、図示の都合上、内線電話機20−1〜内線電話機20−5という符号について図示を省略する。
【0065】
応答する際は、ユーザが点滅している仮想内線ボタン23を押下して受話器24を取る(オフフックする)ことにより、ダイヤルイン着信に応答できる。内線電話機20−1〜内線電話機20−5の内の何れか1台の内線電話機20がダイヤルイン着信に応答すると内線電話機20の鳴動が停止すると共に、着信ランプ21は点滅を停止して消灯する。また、応答した内線電話機20以外の仮想内線ボタン23も消灯する。応答した内線電話機20の仮想内線ボタン23は緑色に点灯して通話状態にあることを示す。図中では、5台の内の真ん中の内線電話機20が応答した場合を図示する(図7の中段参照)。
【0066】
次に、このように1台の内線電話機20がダイヤルイン着信に応答中(通話中)に新たなダイヤルイン着信があると、応答中の内線電話機20以外の4台の内線電話機20が鳴動すると共に、着信ランプ21が点滅し、更に仮想内線ボタン23も赤色で点滅する。一方で、応答中の内線電話機20は鳴動せず、着信ランプ21は緑色に点灯状態のままであり、着信ランプ着信ランプ21のみが点滅する(図7の下段参照)。ここで、現在の着信個の数は「1」なので図6に示すように表示色は白色である。そのため着信ランプ21は白色の表示色で点滅をする。
【0067】
次に、その後もダイヤルイン着信が増加し、内線グループのすべての内線電話機20がダイヤルイン着信に応答している状態で、更に新たなダイヤルイン着信があった場合における、各内線電話機20の通知動作について図8を参照して説明をする。
【0068】
内線グループのすべての内線電話機20がダイヤルイン着信に応答している状態になると、すべての内線電話機20の仮想内線ボタン23が点灯状態になる(図8の上段参照)。この場合、更にダイヤルイン着信があったとしても、各内線電話機20は通話中であるため鳴動することもなく、仮想内線ボタン23は点灯状態のままとなる。そして、着信ランプ21のみでダイヤルイン着信を知らせることとなる。
【0069】
そして、何れかの内線電話機20が通話を終了して応答できる状態になるまでダイヤルイン着信の発呼者を呼び出し状態で待たせることになる。つまり、あふれ呼が生じることになる。この場合には、図6を参照して説明したように、何人(何個の着信)を待たせているのかを、別の着信に応答している通話中の内線電話機20のユーザに知らせるために、着信ランプ21の表示色によって着信呼やあふれ呼の数が分かるようにする。
【0070】
具体的には、着信呼の数が6個であれば、着信ランプ21の表示色を黄緑色として着信ランプ21を点滅させる(図8の中段参照)。そして、図6を参照して説明したように、着信呼の数が増加するに従い、青色→藍色→黄色→桃色→赤色というように表示色を変化させる。また、逆に着信呼の数が減少するに従い赤色→桃色→黄色→藍色→青色というように表示色を変化させる(図8の下段参照)。
【0071】
これにより、他の着信呼に応答中のユーザに対してあふれ呼の数を知らしめることができるので、他の着信呼に応答中の内線電話機20は待ち呼の数が多くなったような場合には通話中の呼に対して早めに通話を終わらせるように努力したり、折り返しかけ直すことにして通話を終了したりするなどして、あふれ呼に出来るだけ早く応答できるように対応することが可能になる。
【0072】
以上説明した一連の通知動作を実現するための処理について図9−1から図9−4までを参照して説明をする。なお、図9−1から図9−4までの処理は、もっぱらPBX10による処理及びPBX10から内線電話機20に対する指示により実現される。
【0073】
なお、以下では、全体の処理を4つの処理に区分して説明をする。そして、図9−1から図9−4のそれぞれは、4つの処理に区分した場合の各処理に対応するものである。具体的には、図9−1はダイヤルイン着信の監視処理に対応するものである。また、図9−2は着信ランプの色と鳴動を決める処理に対応するものである。更に図9−3は終話の監視処理に対応するものである。更に図9−4は応答の監視処理に対応するものである。
【0074】
また、前提として以下で説明する各処理では、未応答の着信呼(すなわち、呼出中の呼)である「待ち呼」の数を表す変数を「A」とする。また、応答して通話中となった着信呼である「通話中呼」の数を表す変数を「B」とする。この場合、かかるAの値とBの値を合算した値が、着信呼の数を示すこととなる。
【0075】
最初に図9−1に示すダイヤルイン着信の監視処理を開始する。まず「A=0、B=0」と設定する(ステップS11)。すなわち、A及びBの値をゼロに設定する。これは、待ち呼の数と通話中呼の数がそれぞれゼロであることを表す。
【0076】
次に、今回の処理の対象とする第A仮想内線に対応する受信ダイヤルである「AAAA」にダイヤルイン着信があったか否かを判定する(ステップS12)。
ダイヤルイン着信がないのであれば、特に処理を行わず、判定を繰り返す(ステップS12においてNo)。
【0077】
一方で、ダイヤルイン着信があったならば(ステップS12においてYes)、「A=A+1」と設定する(ステップS13)。すなわち、Aの値に1を加算する。
【0078】
そして、図9−2のステップS21に移行して、着信ランプの色と鳴動を決める処理を開始する。この場合、まず待ち呼があることを確認する。そのために、「A>0」の関係が成り立つかを判定する(ステップS21)。
【0079】
「A>0」の関係が成り立たない場合は(ステップS21においてNo)、待ち呼がないこととなるので、内線電話機20の着信ランプ21を消灯すると共に、内線電話機20の鳴動を停止させる。そして、図9−1のステップS12に移行して、ダイヤルイン着信の監視処理を行う。
【0080】
一方で、「A>0」の関係が成り立つ場合には(ステップS21においてYes)、待ち呼があることとなるので、着信ランプ21の表示色を決定するための変数である「Tn」の値を算出する。
【0081】
ここで、図6を参照して説明したように、着信ランプ21の表示色は、現在の着信呼の数に応じて決定される。また、上述したようにAの値とBの値を合算した値が、現在の着信呼の数である。そのため、「Tn=A+B」としてTnの値を算出する(ステップS22)。
【0082】
そして、着信ランプ21を、算出したTnの値に対応する表示色で点滅させる(ステップS23)。この場合、すでに着信ランプ21が点滅中であり、あふれ呼の数に変化があった場合には着信ランプ21の色が変わることとなる。これを視認したユーザは、あふれ呼の数に変化があったことを容易に把握することができる。
【0083】
次に、内線電話機20の、第A仮想内線に対応する仮想内線ボタン23が点灯中であるか(すなわち、内線電話機20が通話中であるか)を判定する(ステップS26)。
【0084】
通話中の内線電話機20については(ステップS26においてYes)、仮想内線ボタン23は変化させることなく、そのまま、通話中の状態表示に対応する緑点灯を継続させる。
【0085】
一方で、通話中ではない内線電話機20については(ステップS26においてNo)、仮想内線ボタン23を赤点滅させて(ステップS27)、内線電話機20を鳴動させる(ステップS28)。
【0086】
ここで、通話中の内線電話機20に対しては終話の監視処理を行うために、図9−3のステップS31に移行する。一方で、呼出中の内線電話機20は応答の監視処理を行うために、図9−4のステップS41に移行する。
次に、図9−3を参照して、終話の監視処理について説明を行う。かかる処理は通話中の内線電話機20に対して行う処理である。
【0087】
まず、通話中の内線電話機20の終話を監視する(ステップS31)。通話が継続し、終話しない場合には、特に処理を行わず、判定を繰り返す(ステップS31においてNo)。
【0088】
一方で、通話中の内線電話機20のオンフック又は通話の相手である発呼者の電話機のオンフックを検知したならば、終話したと判定する(ステップS31においてYes)。
【0089】
そして、内線電話機20の仮想内線ボタン23を消灯する(ステップS32)。また、終話により通話中呼が1つ減少したこととなるので、「B=B−1」と設定する(ステップS13)。すなわち、Bの値から1を減算する。そして、着信ランプの色と鳴動を決める処理を行うために、図9−2のステップS21に移行する。
次に、図9−4を参照して、応答の監視処理について説明を行う。かかる処理は呼出し中の内線電話機20に対して行う処理である。
【0090】
まず、仮想内線ボタン23が赤点滅すると共に鳴動している呼出し中の内線電話機20の応答を監視する。同時に発呼者の呼放棄も監視する(ステップS41、ステップS42、ステップS41においてNo、ステップS42においてNo)。
【0091】
ここで、呼出し中の内線電話機20が応答したならば(ステップS41においてYes)、仮想内線ボタン23を緑色で点灯する(ステップS44)。
【0092】
また、応答により待ち呼が1つ減少したこととなるので、「A=A−1」と設定する。すなわち、Aの値から1を減算する。併せて、応答により通話中呼が1つ増加したこととなるので、「B=B+1」と設定する。すなわち、Bの値に1を加算する(ステップS45)。
そして、応答により呼出中の内線電話機20は通話中になるので、終話の監視処理を行うために、図9−3のステップS31に移行する。
【0093】
一方で、発呼者がオンフックをすることにより呼放棄をしたならば(ステップS42においてYes)、待ち呼が1つ減少したこととなるので、「A=A−1」と設定する。すなわち、Aの値から1を減算する。そして、着信ランプの色と鳴動を決める処理を行うために、図9−2のステップS21に移行する。
【0094】
なお、図9−3及び図9−4の処理を各内線電話機20に対して並行して行うと共に、ダイヤルイン番号Aにダイヤルイン着信があるかを監視する。そして、ダイヤルイン着信があったならば、待ち呼が1つ増加したこととなるので、「A=A+1」と設定する。すなわち、Aの値に1を加算する。そして、図9−2のステップS21からの着信ランプの色と鳴動を決める処理を行う。このようにすることにより、図9−3及び図9−4の終話監視や応答監視処理を行っている途中に更にダイヤルイン着信があった場合に着信ランプの色を変動させることが可能となる。
以上、図9−1から図9−4を参照して説明した動作により、図6から図8を参照して説明した一連の通知を実現することが可能となる。
【0095】
<変形例>
上述した実施形態は、本発明の好適な実施形態ではあるが、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【0096】
1.第1の変形例として、ACD(Automatic Call Distribution)機能を用いる施設(例えば、コールセンター等)で本実施形態を利用することが考えられる。
ダイヤルイン回線ではなく、ACD機能による着信を用いたコールセンターでは、着信呼は個別の内線に順番に着信する。
【0097】
より具体的には、ACD機能による着信を用いたコールセンターでは、は着信に応答すべきグループの電話機にACDの設定に従って順番に着信させていく。この場合に、着信が増えていき、着信先のグループすべての内線電話機が応答中となってしまった場合には前述のダイヤルイン着信と同じように着信した呼はあふれ呼となる。そこで、あふれ呼が存在することや、存在するあふれ呼の数を上述した本実施形態と同様の方法で着信ランプ21によりユーザに通知するようにする。これにより、ACD機能を用いる施設においても本実施形態を利用することが可能となる。
【0098】
2.第2の変形例として、ダイヤルイン着信の場合に、あふれ呼数の制限を行うことが考えられる。
【0099】
ダイヤルイン着信の場合は、例えば、特許文献3に記載のような技術を用いて、あふれ呼の最大数を制限するようにしてもよい。例えば、仮想内線に割り付けられる内線電話機が5台の場合には、着信できる最大の着信呼の数を11に制限する。これにより、あふれ呼の最大数を6つとすることができる。そして、上述した本実施形態のようにして、あふれ呼の数が増加するに従い、着信ランプ21の表示色を変化させる。しかしながら、着信呼の数を11となったならば、着信ランプ21の表示色を赤色とし、それ以上の着信呼に対しては、「話中」として対応する。また、話中とするのではなく、PBXの自動応答機能を使って自動応答後に「お掛け直しください」といったアナウンスを流して通話を切断したり、切断後に自動折り返し機能を用いて、かけ直ししたりするように設定する。
【0100】
このようにすることにより、あまりにもあふれ呼が多くなってしまった場合には、それ以上のあふれ呼の発生を制限することにより、発呼側のユーザを必要以上に待機させてしまうことを防止できる。
【0101】
3.他の変形例
【0102】
上述した実施形態では、仮想内線ボタン23をTnとして決定した表示色で点滅させていた。この点、仮想内線ボタン23をTnで点滅させるのに代えて、仮想内線ボタン23をTnで点灯させるようにしてもよい。
【0103】
なお、上記のPBX10や内線電話機20のそれぞれは、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせにより実現することができる。また、上記のPBX10や内線電話機20により行なわれる着信数通知方法も、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせにより実現することができる。ここで、ソフトウェアによって実現されるとは、コンピュータがプログラムを読み込んで実行することにより実現されることを意味する。
【0104】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0105】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0106】
(付記1) 交換機に収容された複数の電話機に対する着信呼がある場合に、該着信呼の現在の数に応じて表示色を決定すると共に、
前記複数の電話機に対して、前記決定した表示色にて自電話機の着信ランプを点滅又は点灯するように指示を出す制御部、
を備えることを特徴とする着信数通知装置。
【0107】
(付記2) 前記制御部は、前記着信呼の現在の数が前記複数の電話機の台数以下である場合と、前記着信呼の現在の数が前記複数の電話機の台数を超える場合とで前記表示色が異なる色となるように前記表示色を決定することを特徴とする付記1に記載の着信数通知装置。
【0108】
(付記3) 前記制御部は、前記着信呼の現在の数が前記複数の電話機の台数を超える場合に、前記複数の電話機の台数を超えた数が増加するに伴って前記表示色が異なる色となるように前記表示色を決定することを特徴とする付記1又は2に記載の着信数通知装置。
【0109】
(付記4) 前記制御部は、前記着信呼の何れかに応答している電話機に対しても、前記決定した表示色にて自電話機の着信ランプを点滅又は点灯するように指示を出すことを特徴とする付記1乃至3の何れか1に記載の着信数通知装置。
【0110】
(付記5) 前記複数の電話機の着信ランプが発行可能な表示色の数がn(4以上の自然数)の場合に、
前記制御部は、前記着信呼の現在の数が前記複数の電話機の台数以下である場合に前記表示色を第1の色に決定し、前記着信呼の現在の数が前記複数の電話機の台数を一台超える毎に第2の色、第3の色というように表示色を異なる色に決定し、第nの色とした台数以上に台数が増加した場合には表示色を第nの色に決定する、ことを特徴とする付記1乃至4の何れか1に記載の着信数通知装置。
【0111】
(付記6) 前記制御部は、1つの仮想内線に割り付けられている複数の電話機を対象として動作することを特徴とする付記1乃至5の何れか1に記載の着信数通知装置。
【0112】
(付記7) 前記制御部は、ACD(Automatic Call Distribution)機能により着信に応答する対象としている複数の電話機を対象として動作することを特徴とする付記1乃至5の何れか1に記載の着信数通知装置。
【0113】
(付記8) 複数の電話機を収容する交換機であって、
自交換機に収容する複数の電話機を対象として呼制御を行う呼制御手段と、
付記1乃至7の何れか1に記載の着信数通知装置と、を備え、
該着信数通知装置が備える制御部は、自交換機に収容する複数の電話機を対象として動作することを特徴とする交換機。
【0114】
(付記9) 交換機に収容された複数の電話機と、該複数の電話機を対象として動作する付記1乃至7の何れか1に記載の着信数通知装置とを備えた着信数通知システムであって、
前記複数の電話機は、前記着信数通知装置の指示に従い、前記決定した表示色にて自電話機の着信ランプを点滅又は点灯することを特徴とする着信数通知システム。
【0115】
(付記10) 着信数通知装置としてコンピュータを機能させるための着信数通知プログラムであって、
交換機に収容された複数の電話機に対する着信呼がある場合に、該着信呼の現在の数に応じて表示色を決定すると共に、
前記複数の電話機に対して、前記決定した表示色にて自電話機の着信ランプを点滅又は点灯するように指示を出す制御部、
を備える着信数通知装置として前記コンピュータを機能させることを特徴とする着信数通知プログラム。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明は、電話機を用いる施設での利用に広く好適である。例えば、ダイヤルイン契約をしている一般的なオフィスや、PBXのみを用いて構成されたコールセンターにおける利用に好適である。
【符号の説明】
【0117】
10 PBX
11 外線インタフェース
12 内線インタフェース
13 呼制御回路
14 CPU
15 メモリ
20 内線電話機
20A 第A電話機グループ
20B 第B電話機グループ
20C 第C電話機グループ
21 着信ランプ
22 ファンクションボタン群
23 仮想内線ボタン
24 受話器
30 ダイヤルイン回線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9-1】
図9-2】
図9-3】
図9-4】