(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明にかかる表示パネルについて、実施の形態に基づいて説明するが、本発明は、請求の範囲の記載に基づいて特定される。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、請求項に記載されていない構成要素は、本発明の課題を達成するのに必ずしも必要ではないが、より好ましい形態を構成するものとして説明される。なお、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示したものではない。
【0012】
(本開示の基礎となった知見)
初めに、本開示の基礎となった知見について説明する。
【0013】
図12は、従来技術にかかる表示パネルの構成を示す概略図であり、(a)は上面図、(b)は(a)に示すBB’線における断面図である。
【0014】
図12に示すように、従来技術にかかる表示パネル150は、基板101上に、発光素子103と、発光素子103を覆って形成された保護層111と、発光素子103を覆って保護層111上に形成された第1の封止壁112と、第1の封止壁112を取り囲んで設けられた乾燥剤109と、乾燥剤109を取り囲んで設けられた第2の封止壁120と、第1の封止壁112、乾燥剤109、及び第2の封止壁120を挟持して基板101に対向配置された封止基板113とを備えている。表示パネル150は、発光素子103として有機EL素子が用いられた、有機エレクトロルミネッセンス装置である。
【0015】
表示パネル150においては、外部からの水分の混入を防止するために、基板101上に、発光素子103の周囲を囲むように乾燥剤109が設けられている。より詳細には、乾燥剤109は、発光素子103が設けられた領域の外側であって表示パネル150の外周に沿った、いわゆる額縁部分に設けられている。近年の狭額縁化の要請に伴い、表示パネル150の額縁部分の幅(上面視したときの額縁部分の幅)を狭くするには、乾燥剤109の配置される量を減少して、乾燥剤109の幅(上面視したときの乾燥剤109の幅)を狭くすることが考えられる。この場合、乾燥に適した十分な量の乾燥剤109を配置することができないため、外部から表示パネルに進入する水分を乾燥剤により十分に吸収することが困難となる。
【0016】
また、乾燥に適した十分な量の乾燥剤109を表示パネル150の周辺に設けようとすると、乾燥剤109を、発光素子103の近傍まで配置させる必要がある。そのため、発光素子103と乾燥剤109とが接触する場合が生じる。発光素子103と乾燥剤109とが接触した場合、発光素子103の発光が妨げられるといった問題が生じる。
【0017】
そこで、以下の実施の形態では、狭額縁化された表示パネルであっても、表示パネル内に進入する水分を十分に吸収することができる表示パネルについて説明する。
【0018】
(実施の形態)
本実施の形態にかかる表示パネル1について説明する。
図1Aは、表示パネル1の外観を示す斜視図である。
図1Bは、
図1Aに示した表示パネルの一部の構成を示す斜視図である。
図1Cは、表示パネル1の構成を示す概略図であり、(a)は上面図、(b)は(a)に示すAA’線における断面図である。
【0019】
表示パネル1は、トップエミッション型の表示パネルである。表示パネル1は、基板10および15と、表示部20と、第1の封止壁30と、第2の封止壁35と、乾燥部材40と、保護部材45とを備えている。
【0020】
表示パネル1は、
図1Aに示すように、基板10および15と第1の封止壁30とが外観される。また、
図1Bに示すように、表示パネル1において
図1Cの(a)に示す基板15を省略して示すと、基板10の外周に沿って枠状に設けられた第1の封止壁30と、第1の封止壁30の内部の領域に枠状に設けられた第2の封止壁35と、第1の封止壁30と第2の封止壁35との間に充填された乾燥部材40と、第2の封止壁35で囲まれた領域内に充填された保護部材45とが概観される。
【0021】
基板10は、本実施の形態にかかる第1の基板に相当する。基板10は、例えば、画素を構成するトランジスタが形成されたトランジスタ基板(TFT基板)である。基板10の上には、複数の有機EL素子が設けられている。
【0022】
基板10の主面、すなわち、
図1Cの(b)に示す基板10の上面には、表示部20が設けられている。
【0023】
表示部20には、複数の画素がマトリクス状に配置されている。各画素には、発光素子(図示せず)と、TFT(Thin Film Transistor)などの半導体素子(図示せず)とが配置されている。発光素子は、例えば、有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子で構成されている。有機EL素子は、少なくとも、陰極と、陽極と、陰極と陽極との間に配置された有機EL層とで構成されている。陰極は、基板10の主面に形成されている。
【0024】
第1の封止壁30は、基板10の上面に、基板10の外周に沿って枠状に形成されている。第1の封止壁30の粘度は、例えば10〜1000[Pa・s]である。第1の封止壁30の幅は、例えば0.5[mm]程度である。なお、第1の封止壁30の光透過率は、どのような値であってもよい。
【0025】
第1の封止壁30は、例えば、光硬化性のエポキシ樹脂で構成されている。第1の封止壁30は、光硬化性エポキシ樹脂に限らず、その他の光硬化性の樹脂、熱硬化性の樹脂であってもよいし、他の材料で構成されてもよい。なお、第1の封止壁30は、基板10と基板15とを接着するため、安定した接着強度を有する材料で構成されることが好ましい。また、第1の封止壁30は、気密性が高く、水分透過率の小さい材料であることが好ましい。
【0026】
第2の封止壁35は、
図1Cの(a)に示すように、基板10の上面に、第1の封止壁30で囲まれた領域内に枠状に形成されている。第2の封止壁35は、表示部20の外周を覆うように形成されている。このとき、第2の封止壁35は、表示部20の上面、すなわち、表示部20の基板10と接していない側の面の少なくとも一部を覆っている。つまり、
図1Cの(b)に示すように、第2の封止壁35は、基板10の主面と、表示部20の側面と、表示部20の基板10の主面と接していない面の一部と接触している。第2の封止壁35の幅は、例えば0.5[mm]程度である。
【0027】
第2の封止壁35は、例えば、光硬化性のエポキシ樹脂で構成されている。第2の封止壁35を構成する材料は、光透過率が大きく、乾燥部材40および保護部材45の粘度よりも高い粘度であることが好ましい。第2の封止壁35を構成する材料の粘度を乾燥部材40および保護部材45の粘度よりも高くすることにより、
図1Cの(b)に示す表示パネル1の構成を容易に実現することができる。第2の封止壁35を構成する材料の粘度は、例えば10〜1000[Pa・s]である。この粘度の範囲は、上記した位置に第2の封止壁35を滴下することができる粘度であり、かつ、滴下後の一定期間は基板10の主面において流れ広がることのない粘度である。
【0028】
なお、第2の封止壁35には、光透過率の大きい、すなわち、光透過率が100%に近い材料を用いることが好ましい。第2の封止壁35として光透過率の大きい材料を用いることにより、表示部20の端部の一部が第2の封止壁35によって覆われていても、表示部20から出射される光は、第2の封止壁35により遮られることなく表示パネル1から出射される。第2の封止壁35の光透過率は、例えば85[%]以上である。なお、第2の封止壁35は、第1の封止壁と同一の材料で構成されてもよい。
【0029】
乾燥部材40は、第1の封止壁30と第2の封止壁35との間に充填され、上面視したときに、第1の封止壁30と第2の封止壁35との間で枠状に配置されている。乾燥部材40の枠の厚さは、例えば、3〜4[mm]である。乾燥部材40は、水分を吸収する吸湿剤を有機化合物中に含む構成である。有機化合物中に含まれる吸湿剤の割合は、例えば30[%]である。
【0030】
吸湿剤は、有機化合物と反応しにくい材料であることが好ましい。吸湿剤として、例えば酸化カルシウムが用いられる。なお、酸化カルシウム以外の材料、例えば、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、水酸化アルミニウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム等であってもよい。
【0031】
また、溶媒としての有機化合物は、例えば樹脂であってもよい。溶媒としての有機化合物は、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等の樹脂材料であってもよいし、ワックス、油脂等の材料であってもよい。
【0032】
また、基板10の上面において、表示部20と乾燥部材40との間には、第2の封止壁35が配置されている。表示部20と第2の封止壁35との大きさを比較すると、表示部20の外周の長さは、第2の封止壁35の内周の長さより大きく第2の封止壁35の外周の長さより小さく形成されている。詳細には、表示部20の長辺の長さは、第2の封止壁35の内周の長辺の長さより大きく第2の封止壁35の外周の長辺の長さより小さく形成されている。また、表示部20の短辺の長さは、第2の封止壁35の内周の短辺の長さより大きく第2の封止壁35の外周の短辺の長さより小さく形成されている。これにより、表示部20と乾燥部材40とが直接接触することがないので、表示部20の発光は妨げられることはない。
【0033】
保護部材45は、例えば、熱硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂で構成されている。例えば、保護部材45は、光硬化性エポキシ樹脂で構成されている。
【0034】
保護部材45は、第2の封止壁35で囲まれた領域内で広範囲に均一にぬれ広がる必要があるため、第2の封止壁35の粘度よりも低い粘度の材料が用いられる。保護部材45の粘度は、例えば10〜1000[mPa・s]程度である。
【0035】
また、保護部材45は、表示部20の上に設けられるため、表示部20から出射される光を透過する必要がある。そのため、保護部材45の材料としては、透過率の高い材料が用いられる。保護部材45の光透過率は、例えば85[%]以上である。第2の封止壁として光透過率の大きい材料を用いることにより、表示部20の基板10が設けられていない側の表面の少なくとも一部が第2の封止壁35によって覆われていても、表示部20から出射される光は、第2の封止壁35により遮られることなく、表示パネル1から出射される。
【0036】
これにより、表示部20から出射される光は、保護部材45を透過するので、表示部20から出射される光は、第2の封止壁35により遮られることなく表示パネル1から出射される。
【0037】
なお、保護部材45は、表示部20に接して配置されるので、弾性率の小さい材料を用いて構成されることが好ましい。これにより、表示部20にかかる応力を低減することができる。
【0038】
基板15は、本実施の形態にかかる第2の基板に相当する。基板15は、基板10と共に、第1の封止壁30、第2の封止壁35、乾燥部材40および保護部材45を挟むように、第1の封止壁30、第2の封止壁35、乾燥部材40および保護部材45の上に設けられている。したがって、表示パネル1は、
図1Cの(b)に示すように、基板10と基板15と第1の封止壁30とによって、第2の封止壁35と乾燥部材40と保護部材45と表示部20とが密封された構成となる。
【0039】
以下、各構成についてそれぞれ説明する。
【0040】
基板15は、例えば、透明のガラスで構成されている。基板15は、透光性を有するものであれば、ガラスに限らず、例えば、石英、合成樹脂等であってもよい。また、基板15は、水分透過率の小さい材料で構成されることが好ましい。
【0041】
なお、表示パネル1において、額縁部分とは、表示部20の外側、すなわち、上述した第1の封止壁30と、乾燥部材40と、表示部20を覆っていない部分の第2の封止壁35とを合わせた領域をいう。
【0042】
このような構成により、表示パネル1は、狭額縁化された場合であっても、パネル内に進入する水分を十分に吸収することができる。
【0043】
以下、表示パネル1の製造工程について説明する。
図2〜
図9は、本実施の形態にかかる表示パネルの製造工程を示す断面図である。
【0044】
本実施の形態にかかる表示パネル1は、以下のようにして製造される。なお、表示パネル1は、製造時には、
図1Cの(b)に示した構成の上側、すなわち、基板15側から製造される。したがって、説明の便宜上、以下の
図2〜
図8は、
図1Cの(b)に示した断面を上下反転させた断面図としている。
【0045】
はじめに、
図2に示すように、基板15を用意する。基板15は、例えば透明のガラスで構成され、縦1.1m、横1.3m、厚さ0.5mmの長方形の板状の形状を有している。
【0046】
次に、
図3に示すように、基板15の外周に沿って、厚さ15μmの第1の封止壁30が形成される。第1の封止壁30は、硬化前は粘度を有する液状であり、粘度が450[Pa・s]の光硬化性のエポキシ樹脂で構成されている。第1の封止壁30は、滴下装置により基板15の外周に沿って滴下される。
【0047】
次に、
図4に示すように、基板15の内側の一定領域を囲むように、第2の封止壁35が形成される。第2の封止壁35は、硬化前は粘度を有する液状であり、粘度が400[Pa・s]の光硬化性のエポキシ樹脂で構成されている。第2の封止壁35は、滴下装置により滴下される。第2の封止壁35は、第1の封止壁30と同一の高さとなるように設けられる。なお、第2の封止壁35の内側の領域には、後に詳述するように表示部20が設けられる。
【0048】
次に、
図5に示すように、第1の封止壁30および第2の封止壁35の間の領域に、乾燥部材40が形成される。乾燥部材40は、粘度が200[Pa・s]の液状の光硬化性のエポキシ樹脂中に、吸湿剤として酸化カルシウムが30%含まれた構成である。乾燥部材40の粘度は、第1の封止壁30および第2の封止壁35の粘度よりも小さい。乾燥部材40は、滴下装置により滴下される。これにより、乾燥部材40は、第1の封止壁30と第2の封止壁35との間に均一に広がる。乾燥部材40は、第1の封止壁30および第2の封止壁35と同一の高さまで充填される。
【0049】
次に、
図6に示すように、第2の封止壁35で囲まれた領域の内部に、保護部材45が形成される。保護部材45は、硬化前は、粘度が0.5[Pa・s]の液状の光硬化性のエポキシ樹脂で構成されている。保護部材45は、滴下装置により滴下される。保護部材45は、第2の封止壁35よりも、後に保護部材45の上に設けられる表示部20の高さ分だけ低い高さまで充填される。
【0050】
その後、基板15、第1の封止壁30、第2の封止壁35、乾燥部材40および保護部材45に紫外線が照射される。これにより、基板15、第1の封止壁30、第2の封止壁35、乾燥部材40および保護部材45は硬化される。
【0051】
次に、
図7に示すように、第1の封止壁30、第2の封止壁35、乾燥部材40および保護部材45の上に配置される基板10を用意する。
【0052】
基板10は、例えば、基板15と同一の形状を有する透明のガラスで構成されている。基板10の主面、具体的には、第1の封止壁30、第2の封止壁35、乾燥部材40および保護部材45と対向する面には、表示部20が配置される。表示部20は、表示部20の外周が第2の封止壁35と対向する位置に設けられる。
【0053】
次に、
図8に示すように、第1の封止壁30、第2の封止壁35、乾燥部材40および保護部材45の上に、基板10が載置される。このとき、表示部20の外周の端部は、第2の封止壁35に埋め込まれるように配置される。さらに、基板10は、第1の封止壁30、第2の封止壁35、乾燥部材40および保護部材45に対して加圧される。なお、表示部20の外周の端部は、全体が第2の封止壁35に覆われていてもよいし、製造装置等の精度等により、表示部20の外周の端部の全体が第2の封止壁35に覆われていなくても、表示部20の外周の端部の少なくとも一部が第2の封止壁35に覆われた構成であってもよい。
【0054】
上記した工程は、真空中で行われる。その後、基板10が配置された第1の封止壁30、第2の封止壁35、乾燥部材40および保護部材45を大気中に取り出す。これにより、基板10は、基板10が配置された第1の封止壁30、第2の封止壁35、乾燥部材40および保護部材45に大気圧で加圧される。
【0055】
さらに、基板10が配置された第1の封止壁30、第2の封止壁35、乾燥部材40および保護部材45の全体が加熱される。このときの、加熱温度は、例えば80℃である。これにより、第1の封止壁30、第2の封止壁35、乾燥部材40および保護部材45を構成する樹脂が基板10に接着される。なお、加熱温度は80℃に限らず他の温度であってもよい。加熱温度は、100℃以下であることが好ましい。
【0056】
そして、表示パネル1の上下を反転させることにより、
図9に示すように、本実施の形態にかかる表示パネル1が完成する。
【0057】
以上、本実施の形態にかかる表示パネルによると、第1の基板と、前記第1の基板の主面に配置された表示部と、前記第1の基板の主面に、前記第1の基板の外周に沿って枠状に設けられた第1の封止壁と、前記第1の基板の主面に、前記表示部の外周に沿って枠状に設けられた第2の封止壁と、前記第1の封止壁と前記第2の封止壁との間に充填された乾燥部材と、前記第2の封止壁で囲まれた領域内において、前記表示部の上に充填された保護部材と、前記第1の封止壁、前記第2の封止壁、前記乾燥部材および前記保護部材の上に設けられた第2の基板と、を備え、前記第2の封止壁は、前記表示部の、前記第1の基板と接触する面と反対側の面の少なくとも一部を覆っている。この構成によれば、表示部20と乾燥部材40との間に第2の封止壁35を設けることにより、表示部20と乾燥部材40とが接触することがないので、表示部20の発光が妨げられるおそれがない。したがって、乾燥部材40を表示部20に近づけることができる。
【0058】
これにより、狭額縁化された表示パネルにおいて、乾燥部材40の量が少ない場合であっても、表示パネル内に進入する水分を乾燥部材40により効率よく吸収することができる。また、第2の封止壁35が表示部20の少なくとも一部を覆う構成とすることにより、基板10の表示部20が配置された表面において、表示部20と乾燥部材40との間に第2の封止壁35を精度よく設けることができる。
【0059】
なお、上述した表示パネル1において、第1の封止壁30および第2の封止壁35の材料は同一であってもよいし異なっていてもよい。また、第2の封止壁35は、表示部20の外周の全周を覆っていてもよいし、表示部20の外周の一部を覆っていてもよい。
【0060】
さらに、表示部20が第2の封止壁35により覆われている領域(幅)は、第2の封止壁35の枠の厚さよりも小さければよい。すなわち、基板10の表示部20が設けられた側の表面において、表示部20と乾燥部材40との間に、第2の封止壁35が配置されていればよい。以下、本実施の形態にかかる表示パネルの変形例を説明する。
【0061】
(変形例)
次に、本実施の形態の変形例について説明する。
図10は、本変形例にかかる表示パネル2の構成を示す断面図である。
【0062】
本変形例に係る表示パネル2が実施の形態にかかる表示パネル1と異なる点は、第2の封止壁35aが表示部20の端部の両端に接触して配置される点である。
【0063】
図10に示すように、表示パネル2は、実施の形態に示した表示パネル1と同様、基板10および15と、表示部20と、第1の封止壁30と、第2の封止壁35aと、乾燥部材40と、保護部材45とを備えている。基板10および15と、表示部20と、第1の封止壁30と、乾燥部材40と、保護部材45の構成は、表示パネル1の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0064】
第2の封止壁35aは、基板10の主面において表示部20と乾燥部材40との間に設けられ、表示部20の表面を覆うことなく、表示部20の端部に接している。
【0065】
表示パネル2の製造工程において、第2の封止壁35aは、滴下装置により滴下される。このとき、第2の封止壁35aは、第2の封止壁35aの内周の位置が表示部20の外周の位置と同一となるように滴下される。その後、表示部20が配置された基板15が、第1の封止壁30、第2の封止壁35a、乾燥部材40および保護部材45の上に配置される。このとき、表示部20の外周の端部は、第2の封止壁35aの内周と接触するように配置される。
【0066】
さらに、基板10は、第1の封止壁30、第2の封止壁35a、乾燥部材40および保護部材45に対して加圧される。なお、表示部20の外周の端部は、全体が第2の封止壁35aに覆われていてもよいし、製造装置等の精度等により、表示部20の外周の端部の全体が第2の封止壁35に覆われていなくても、表示部20の外周の端部の少なくとも一部が第2の封止壁35に覆われた構成であってもよい。
【0067】
上記した工程は、真空中で行われる。その後、基板10が配置された第1の封止壁30、第2の封止壁35a、乾燥部材40および保護部材45を大気中に取り出す。これにより、基板10は、基板10が配置された第1の封止壁30、第2の封止壁35a、乾燥部材40および保護部材45に大気圧で加圧される。
【0068】
さらに、基板10が配置された第1の封止壁30、第2の封止壁35a、乾燥部材40および保護部材45の全体が加熱される。このときの、加熱温度は、例えば80℃である。これにより、第1の封止壁30、第2の封止壁35a、乾燥部材40および保護部材45を構成する樹脂が基板10に接着される。
【0069】
この構成によれば、表示部20と乾燥部材40との間に第2の封止壁35aの領域を設けるので、表示部20と乾燥部材40とが接触するおそれは、さらに低減する。したがって、表示部20の発光が妨げられるおそれがさらに低減する。これにより、狭額縁化された表示パネルにおいて、少ない量の乾燥部材40しか設けられない場合であっても、表示パネル内に進入する水分を乾燥部材40により十分に吸収することができる。
【0070】
以上、本実施の形態にかかる表示パネルは、第1の基板と、前記第1の基板の主面に配置された表示部と、前記第1の基板の主面に、前記第1の基板の外周に沿って枠状に設けられた第1の封止壁と、前記第1の基板の主面に、前記表示部の外周に沿って枠状に設けられた第2の封止壁と、前記第1の封止壁と前記第2の封止壁との間に充填された乾燥部材と、前記第2の封止壁で囲まれた領域内において、前記表示部の上に充填された保護部材と、前記第1の封止壁、前記第2の封止壁、前記乾燥部材および前記保護部材の上に設けられた第2の基板と、を備え、前記第2の封止壁は、前記表示部の、前記第1の基板と接触する面と反対側の面の少なくとも一部を覆っている。
【0071】
この構成によれば、表示部と乾燥部材との間に第2の封止壁を設けることにより、表示部と乾燥部材とが接触することがないので、表示部の発光が妨げられるおそれがない。したがって、乾燥部材を表示部に近づけることができる。これにより、狭額縁化された表示パネルにおいて、少ない量の乾燥部材しか設けられない場合であっても、表示パネル内に進入する水分を乾燥部材により十分に吸収することができる。
【0072】
また、第2の封止壁が表示部の少なくとも一部を覆う構成となるため、第1の基板の表示部が配置された表面において、表示部と乾燥部材との間に第2の封止壁を精度よく設けることができる。
【0073】
また、前記第2の封止壁の粘度は、前記乾燥部材および前記保護部材の粘度よりも高くてもよい。
【0074】
この構成によれば、第2の封止壁を構成する透明樹脂の粘度を乾燥部材および保護部材の粘度よりも高くすることにより、製造工程において、第2の封止壁を硬化する前に、第2の封止壁の形状の変形が生じにくくなる。したがって、乾燥部材および保護部材は、それぞれ第2の封止壁の外側の領域と内側の領域に容易に充填される。これにより、表示パネルの構成を容易に実現することができる。
【0075】
また、前記表示部の外周の長さは、前記第2の封止壁の内周の長さより大きく前記第2の封止壁の外周の長さより小さくてもよい。
【0076】
この構成によれば、第2の封止壁が表示部の少なくとも一部を覆う構成となるため、第1の基板の表示部が配置された表面において、表示部と乾燥部材との間に第2の封止壁を精度よく設けることができる。
【0077】
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、上記実施の形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
【0078】
そこで、以下、他の実施の形態をまとめて説明する。
【0079】
例えば、上記した実施の形態に示す表示パネルにおいて、第1の封止壁および第2の封止壁の材料は同一であってもよいし異なっていてもよい。また、第2の封止壁は、表示部の外周の全周を覆っていてもよいし、表示部の外周の一部を覆っていてもよい。
【0080】
また、表示部が第2の封止壁により覆われている領域(幅)は、第2の封止壁の枠の厚さよりも小さければよい。すなわち、基板の表示部が設けられた側の表面において、表示部と乾燥部材との間に、第2の封止壁が配置されていればよい。
【0081】
また、第2の封止壁は、第1の基板の表示部が設けられた面において、表示部と乾燥部材との間に設けられ、表示部の表面を覆うことなく、表示部の端部に接していてもよい。
【0082】
また、本実施の形態では、有機ELを発光素子とする表示パネルについて説明したが、有機ELを発光素子とする表示パネル以外の表示パネルまたは他のデバイスに利用してもよい。例えば、表示パネルに利用される電子デバイス、アクティブマトリクス基板が用いられる他の電子デバイス、モバイル端末用パネルのマザー基板等にも適用することができる。特に、このように構成される電子デバイスについては、フラットパネルディスプレイとして利用することができ、テレビジョンセット、パーソナルコンピュータ、携帯電話などのあらゆる表示パネルを有する電子機器に適用することができる。
【0083】
例えば、本発明にかかる表示パネルは、
図11に記載されたような薄型フラットTVに内蔵される。本発明にかかる表示パネルが内蔵されることにより、映像信号を反映した高精度な画像表示が可能な薄型フラットTVが実現される。
【0084】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。