特許第6288749号(P6288749)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6288749太陽光パネル設置用浮き架台及び太陽光パネル設置用構造物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6288749
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】太陽光パネル設置用浮き架台及び太陽光パネル設置用構造物
(51)【国際特許分類】
   B63B 35/00 20060101AFI20180226BHJP
   B63B 35/38 20060101ALI20180226BHJP
   H02S 10/40 20140101ALI20180226BHJP
【FI】
   B63B35/00 T
   B63B35/38 B
   H02S10/40
【請求項の数】7
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-540656(P2017-540656)
(86)(22)【出願日】2016年7月28日
(86)【国際出願番号】JP2016072188
(87)【国際公開番号】WO2017090276
(87)【国際公開日】20170601
【審査請求日】2017年7月5日
(31)【優先権主張番号】特願2015-231319(P2015-231319)
(32)【優先日】2015年11月27日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000174943
【氏名又は名称】三井住友建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100189625
【弁理士】
【氏名又は名称】鄭 元基
(74)【代理人】
【識別番号】100196139
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 京子
(72)【発明者】
【氏名】小林 誠
(72)【発明者】
【氏名】西尾 新一
(72)【発明者】
【氏名】土屋 星
(72)【発明者】
【氏名】左子 斉
【審査官】 結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第2549551(EP,A1)
【文献】 国際公開第2015/174205(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/077030(WO,A1)
【文献】 特開2015−115595(JP,A)
【文献】 特開2003−229593(JP,A)
【文献】 特開2004−71965(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 35/00
B63B 35/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光パネル(P)を、水平方向に直交する二方向であるx方向及びy方向を有する水面又は海面(符号A参照。以下、単に“水面”とする)に浮かせた状態で設置するための太陽光パネル設置用浮き架台(1)において、
該水面(A)に浮くように構成されるフロート部(10)と、
該フロート部(10)から上方に立設される立設位置(11A)に着脱自在に配置さ
れると共に該立設位置(11A)に配置された場合に前記太陽光パネル(P)を所定の角
度(θ)に傾斜した姿勢に支持するように構成された立設支持部(11)と、
を備え、
前記フロート部(10)は、前記水面(A)に浮いている場合に上下に貫通するよう
に配置される開口部(符号12参照。以下、“フロート開口部”とする)を有し、
前記立設支持部(11)は、該フロート開口部(12)の内部に配置されて前記フロ
ート部(10)に収容される収容位置(11B)を取り得るように構成され、
前記フロート部(10)はレール部(10d)を有し、
前記立設支持部(11)は、該レール部(10d)に摺動自在に嵌入され得る嵌入部(1
1c)を有し、
該嵌入部(11c)が該レール部(10d)に嵌入されることにより、前記立設支持
部(11)は前記立設位置(11A)を取った状態で前記フロート部(10)に支持され
るように構成され、
前記レール部(10d)は、前記フロート部(10)が前記水面(A)に浮いている
場合に略水面方向に延設されるように形成され、
該フロート部(10)の上面(10i)には、前記立設位置(11A)にある前記立
設支持部(11)を挟持するように少なくとも一対の突起部(10g,10h)が形成さ
れている、
ことを特徴とする太陽光パネル設置用浮き架台(1)。
【請求項2】
前記立設支持部(11)の上端部近傍には、前記太陽光パネル(P)の一部が挿入さ
れることにより該太陽光パネル(P)を支持するスリット部(11b)が形成されてなる

ことを特徴とする請求項1に記載の太陽光パネル設置用浮き架台(1)。
【請求項3】
前記フロート開口部(12)の縁部には、前記太陽光パネル設置用浮き架台(1)を前記
水面(A)に係留するための係留用長尺部材(18)を係止する係留用係止部(10c)
が形成され、
該係留用長尺部材(18)を前記係留用係止部(10c)に係止させることにより、
前記フロート開口部(12)内における該係留用長尺部材(18)の自由な移動を阻止で
きるようにした、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽光パネル設置用浮き架台(1)。
【請求項4】
前記フロート部(10)は、前記立設支持部(11)により支持された前記太陽光パ
ネル(P)に覆われない位置にまで前記x方向に延設されると共にその上面(100a)
の少なくとも一部が略平坦であるように形成されて足場として機能するように構成された
足場部(100)を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の太陽光パネル設置用浮き架
台(1)。
【請求項5】
前記フロート部(10)は、水又は海水よりも比重が軽くて浮力を生じさせる浮材(
10a)を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽光パネル設置用浮き架台(1)。
【請求項6】
太陽光パネル(P)を水面又は海面(符号A参照。以下、単に“水面”とする)に浮
かせた状態で設置するための太陽光パネル設置用構造物(D)において、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の1つの太陽光パネル設置用浮き架台(1)で
ある第1浮き架台(1BR)と、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の1つの太陽光パネル設置用浮き架台(1)で
あって、前記第1浮き架台(1BR)の前記x方向に隣接されてなる第2浮き架台(1B
L)と、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の1つの太陽光パネル設置用浮き架台(1)で
あって、前記第1浮き架台(1BR)の前記y方向に離間した状態で配置されてなる第3
浮き架台(1AR)と、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の1つの太陽光パネル設置用浮き架台(1)で
あって、前記第2浮き架台(1BL)の前記y方向に離間した状態で配置されてなる第4
浮き架台(1AL)と、
一端部(14a)が前記第1浮き架台(1BR)及び/又は前記第2浮き架台(1B
L)に載置されると共に他端部(14b)が前記第3浮き架台(1AR)及び/又は前記
第4浮き架台(1AL)に載置されることに基づき該第1浮き架台(1BR)及び/又は
該第2浮き架台(1BL)と該第3浮き架台(1AR)及び/又は該第4浮き架台(1A
L)とに架け渡される板状部材(14)と、
前記板状部材(14)の前記一端部(14a)と前記第1浮き架台(1BR)と前記
第2浮き架台(1BL)とに巻き掛けられて配置される可撓性に富む第1帯状体(13A
)と、
前記板状部材(14)の前記他端部(14b)と前記第3浮き架台(1AR)と前記
第4浮き架台(1AL)とに巻き掛けられて配置される可撓性に富む第2帯状体(13B
)と、
を備え、
前記第1浮き架台(1BR)と前記第2浮き架台(1BL)とは、前記第1帯状体(
13A)が巻き掛けられて連結されることに基づき、x軸周りの相対回転及びy軸周りの
相対回転が許容されるように構成され、
前記第3浮き架台(1AR)と前記第4浮き架台(1AL)とは、前記第2帯状体(
13B)が巻き掛けられて連結されることに基づき、x軸周りの相対回転及びy軸周りの
相対回転が許容されるように構成され、
前記第1浮き架台(1BR)及び前記第2浮き架台(1BL)と前記板状部材(14
)とは、前記第1帯状体(13A)が巻き掛けられて連結されることに基づき、x軸周り
の相対回転及びy軸周りの相対回転が許容されるように構成され、
前記第3浮き架台(1AR)及び前記第4浮き架台(1AL)と前記板状部材(14
)とは、前記第2帯状体(13B)が巻き掛けられて連結されることに基づき、x軸周り
の相対回転及びy軸周りの相対回転が許容されるように構成された、
ことを特徴とする太陽光パネル設置用構造物(D)。
【請求項7】
前記第1浮き架台(1BR)の端部であって前記第2浮き架台(1BL)に対向する
側の第1端部(1BR1)、及び該第2浮き架台(1BL)の端部であって該第1浮き架
台(1BR)に対向する側の第2端部(1BL2)は、該第1端部(1BR1)と該第2
端部(1BL2)とが点接触又は線接触をするように角部を有する状態に形成されて、前
記第1浮き架台(1BR)及び前記第2浮き架台(1BL)のx軸周りの相対回転及びy
軸周りの相対回転が許容されるように構成され、
前記第3浮き架台(1AR)の端部であって前記第4浮き架台(1AL)に対向する
側の第3端部(1AR1)、及び該第4浮き架台(1AL)の端部であって該第3浮き架
台(1AR)に対向する側の第4端部(1AL2)は、該第3端部(1AR1)と該第4
端部(1AL2)とが点接触又は線接触をするように角部を有する状態に形成されて、前
記第3浮き架台(1AR)及び前記第4浮き架台(1AL)のx軸周りの相対回転及びy
軸周りの相対回転が許容されるように構成された、
ことを特徴とする請求項6に記載の太陽光パネル設置用構造物(D)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光パネルを水面に浮かせた状態で設置するための太陽光パネル設置用浮き架台及び該太陽光パネル設置用浮き架台を備えた太陽光パネル設置構造物に関する。




【背景技術】
【0002】
近年、自然の力で定常的に補充されて消費され尽くされることが無い再生可能エネルギー(具体的には、太陽光や風力やバイオマスや地熱など)が世界の各地において注目されている。
【0003】
このような再生可能エネルギーを用いた発電方法の一つである太陽光発電は、設置する地域についての制約が他の発電方法に比べて少なく、また、機器のメンテナンスもほとんど不要である等のメリットを有していることから注目されており、大規模な太陽光発電システム(いわゆるメガソーラー発電所)が世界の各地に建設されている。
【0004】
このようなメガソーラー発電所は休眠地(例えば、耕作放棄地や山間部など)に建設されるのが一般的であったが、該メガソーラー発電所を建設するに足る広大な休眠地を見つけることが困難であるという問題があった。また、山間部にメガソーラー発電所を建設する場合には土地の造成が必要となり、時間やコストが掛かってしまうという問題もあった。そこで、このような問題を解決する方法として、太陽光パネルを池や湖や海や河川等に浮かべた状態で設置するという方法が実用化されており、そのための設備(つまり、太陽光パネル設置用浮き架台)として種々の構造のものが提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
図11は、太陽光パネル設置用浮き架台の従来構造の一例を示す斜視図であり、符号Pは、太陽光パネルを示し、符号200は、該太陽光パネルPを傾斜させた状態で支持するプラスチック製のケーシングを示し、符号300は、該ケーシング200とケーシング200との間に介装される連結用要素を示している。このケーシング200は、内部に空気を閉じ込めてフロートを構成できるものであって、図12(a)に詳示するように、水平方向に突出する耳部200aをその四隅に有しており、該耳部200aには孔が形成されている(図12(b)参照)。また、前記連結用要素300も、水平方向に突出する耳部300aをその四隅に有しており、該耳部300aには孔が形成されている(図12(b))参照)。そして、これらの耳部200a,300aの孔に留めピン400を挿通させることにより、図11に示すように複数のケーシング200や複数の連結用要素300を互いに接続するように構成されている。なお、図示の構造物では、前記連結用要素300が連続するように配置されて通路を形成していて、作業者がその上を歩くことができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2014−511043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、前記太陽光パネル設置用浮き架台を設置する現場では前記ケーシング200を何十とか何百とか何千とかの数量を必要とし、それらの多量のケーシング200はトラックや列車等で運搬しなければならない。しかしながら、上述のケーシング200はかなりの体積があるため、1度に運べる数量が制限されてしまい、その分、運搬コストが高くなってしまうという問題があった。
【0008】
また、各ケーシング200は上述のような留めピン400で連結されているが、その連結部分に力が集中してしまって、ひび割れ等が発生し易い等の問題もあった。
【0009】
本発明は、上述の問題を解消することのできる太陽光パネル設置用浮き架台、太陽光パネル設置用構造物、及び浮き架台製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の観点は、図1に例示するものであって、太陽光パネル(P)を水面又は海面(符号A参照。以下、単に“水面”とする)に浮かせた状態で設置するための太陽光パネル設置用浮き架台(1)において、
該水面(A)に浮くように構成されるフロート部(10)と、
該フロート部(10)から上方に立設される立設位置(11A)に着脱自在に配置されると共に該立設位置(11A)に配置された場合に前記太陽光パネル(P)を所定の角度(θ)に傾斜した姿勢に支持するように構成された立設支持部(11)と、
を備え、
前記フロート部(10)は、前記水面(A)に浮いている場合に上下に貫通するように配置される開口部(図2及び図3の符号12参照。以下、“フロート開口部 “とする)を有し、
前記立設支持部(11)は、該フロート開口部(12)の内部に配置されて前記フロート部(10)に収容される収容位置(図4(a)(b)の符号11B参照)を取り得るように構成されたことを特徴とする。
【0011】
本発明の第2の観点は、前記フロート部(10)はレール部(図13(a)(b)の符号10d参照)を有し、
前記立設支持部(11)は、該レール部(10d)に摺動自在に嵌入され得る嵌入部(図13(c)(d)の符号11c参照)を有し、
該嵌入部(11c)が該レール部(10d)に嵌入されることにより、前記立設支持部(11)は前記立設位置(11A)を取った状態で前記フロート部(10)に支持されるように構成されたことを特徴とする。
【0012】
本発明の第3の観点は、前記レール部(10d)は、前記フロート部(10)が前記水面(A)に浮いている場合に略水平方向に延設されるように形成され、
該フロート部(10)の上面(10i)には、前記立設位置(11A)にある前記立設支持部(11)を挟持するように少なくとも一対の突起部(10g,10h)が形成されていることを特徴とする。
【0013】
本発明の第4の観点は、図5に例示するものであって、前記立設支持部(11)の上端部近傍には、前記太陽光パネル(P)の一部(Pa)が挿入されることにより該太陽光パネル(P)を支持するスリット部(11b)が形成されてなることを特徴とする。
【0014】
本発明の第5の観点は、前記フロート開口部(12)の縁部には、前記太陽光パネル設置用浮き架台(1)を前記水面(A)に係留するための係留用長尺部材(図6の符号18参照)を係止する係留用係止部(10c)が形成され、
該係留用長尺部材(18)を前記係留用係止部(10c)に係止させることにより、前記フロート開口部(12)内における該係留用長尺部材(18)の自由な移動を阻止できるようにしたことを特徴とする。
【0015】
本発明の第6の観点は、図3に例示するように、前記水面(A)に沿った一の水平方向をx方向とし、該x方向に直交する他の水平方向をy方向とした場合に、
前記フロート部(10)は、前記立設支持部(11)により支持された前記太陽光パネル(P)に覆われない位置にまで前記x方向に延設されると共にその上面(100a)の少なくとも一部が略平坦であるように形成されて足場として機能するように構成された足場部(100)を有することを特徴とする。
【0016】
本発明の第7の観点は、前記フロート部(10)は、水又は海水よりも比重が軽くて浮力を生じさせる浮材(10a)を有することを特徴とする。
【0017】
本発明の第8の観点は、図1乃至図3に例示するものであって、太陽光パネル(P)を水面又は海面(符号A参照。以下、単に“水面”とする)に浮かせた状態で設置するための太陽光パネル設置用構造物(D)において、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の1つの太陽光パネル設置用浮き架台(1)である第1浮き架台(1BR)と、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の1つの太陽光パネル設置用浮き架台(1)であって、前記第1浮き架台(1BR)の前記x方向に隣接されてなる第2浮き架台(1BL)と、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の1つの太陽光パネル設置用浮き架台(1)であって、前記第1浮き架台(1BR)の前記y方向に離間した状態で配置されてなる第3浮き架台(1AR)と、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の1つの太陽光パネル設置用浮き架台(1)であって、前記第2浮き架台(1BL)の前記y方向に離間した状態で配置されてなる第4浮き架台(1AL)と、
一端部(14a)が前記第1浮き架台(1BR)及び/又は前記第2浮き架台(1BL)に載置されると共に他端部(14b)が前記第3浮き架台(1AR)及び/又は前記第4浮き架台(1AL)に載置されることに基づき該第1浮き架台(1BR)及び/又は該第2浮き架台(1BL)と該第3浮き架台(1AR)及び/又は該第4浮き架台(1AL)とに架け渡される板状部材(14)と、
前記板状部材(14)の前記一端部(14a)と前記第1浮き架台(1BR)と前記第2浮き架台(1BL)とに巻き掛けられて配置される可撓性に富む第1帯状体(13A)と、
前記板状部材(14)の前記他端部(14b)と前記第3浮き架台(1AR)と前記第4浮き架台(1AL)とに巻き掛けられて配置される可撓性に富む第2帯状体(13B)と、
を備え、
前記第1浮き架台(1BR)と前記第2浮き架台(1BL)とは、前記第1帯状体(13A)が巻き掛けられて連結されることに基づき、x軸周りの相対回転及びy軸周りの相対回転が許容されるように構成され、
前記第3浮き架台(1AR)と前記第4浮き架台(1AL)とは、前記第2帯状体(13B)が巻き掛けられて連結されることに基づき、x軸周りの相対回転及びy軸周りの相対回転が許容されるように構成され、
前記第1浮き架台(1BR)及び前記第2浮き架台(1BL)と前記板状部材(14)とは、前記第1帯状体(13A)が巻き掛けられて連結されることに基づき、x軸周りの相対回転及びy軸周りの相対回転が許容されるように構成され、
前記第3浮き架台(1AR)及び前記第4浮き架台(1AL)と前記板状部材(14)とは、前記第2帯状体(13B)が巻き掛けられて連結されることに基づき、x軸周りの相対回転及びy軸周りの相対回転が許容されるように構成されたことを特徴とする。
【0018】
本発明の第9の観点は、図7(a)(b)に例示するものであって、前記第1浮き架台(1BR,21BR)の端部であって前記第2浮き架台(1BL,21BL)に対向する側の第1端部(1BR1,21BR1)、及び該第2浮き架台(1BL,21BL)の端部であって該第1浮き架台(1BR,21BR)に対向する側の第2端部(1BL2,21BL2)は、該第1端部(1BR1,21BR1)と該第2端部(1BL2,21BL2)とが点接触又は線接触をするように角部を有する状態に形成されて、前記第1浮き架台(1BR,21BR)及び前記第2浮き架台(1BL,21BL)のx軸周りの相対回転及びy軸周りの相対回転が許容されるように構成され、
前記第3浮き架台(1AR,21AR)の端部であって前記第4浮き架台(1AL,21AL)に対向する側の第3端部(1AR1,21AR1)、及び該第4浮き架台(1AL,21AL)の端部であって該第3浮き架台(1AR,21AR)に対向する側の第4端部(1AL2,21AL2)は、該第3端部(1AR1,21AR1)と該第4端部(1AL2,21AL2)とが点接触又は線接触をするように角部を有する状態に形成されて、前記第3浮き架台(1AR,21AR)及び前記第4浮き架台(1AL,21AL)のx軸周りの相対回転及びy軸周りの相対回転が許容されるように構成されたことを特徴とする。
【0019】
本発明の第10の観点は、水面又は海面(符号A参照。以下、単に“水面”とする)に浮くように構成されると共に該水面(A)に浮いている場合に上下に貫通するように配置されるフロート開口部(12)を有するフロート部(10)と、該フロート部(10)から上方に立設される立設位置(11A)に配置された場合に前記太陽光パネル(P)を所定の角度(θ)に傾斜した姿勢に支持するように構成された立設支持部(11)と、前記立設位置(11A)ではなく前記フロート開口部(12)の内部の位置であって前記フロート部(10)に収容される収容位置(11B)に前記立設支持部(11)を支持するように該立設支持部(11)と該フロート部(10)とを連結するブリッジ部(15A,15B)と、からなる太陽光パネル設置用浮き架台(図4(b)の符号1参照)を第1成形型(図8(a)(b)の符号17A参照)と第2成形型(同図の符号17B参照)とを使用して一体的に成形する方法であって、
該第1成形型(17A)は、前記フロート部(10)と前記立設支持部(11)とを成型し得ると共に前記ブリッジ部(15A,15B)に沿った隙間部(図8(b)の破線で囲まれた領域であって、符号Eで示す領域)を有する形状であり、
前記第2成形型(17B)は、該ブリッジ部(15A,15B)に沿った隙間部(E)を埋めるような形状であって前記第1成形型(17A)と共に前記ブリッジ部(15A,15B)を成形し得る形状であることを特徴とする。
【0020】
本発明の第11の観点は、図9(a)(b)に例示するものであって前記第2成形型(17B)を使用せずに前記第1成形型(17A)を使用して成形を行うことにより、前記隙間部(E)にまで射出材料が充填されて前記第2成形型(17B)を使用した場合に比べて太い連結部(16A,16B)を形成することができることを特徴とする。
【0021】
本発明の第12の観点は、水又は海水よりも比重が軽くて浮力を生じさせる浮材(10a)を前記フロート部(10)の内部に充填することを特徴とする。
【0022】
なお、括弧内の番号などは、図面における対応する要素を示す便宜的なものであり、従って、本記述は図面上の記載に限定拘束されるものではない。
【発明の効果】
【0023】
上記した第1の観点によれば、前記立設支持部を前記収容位置に配置している場合には、該立設支持部を前記立設位置に配置している場合に比べて前記フロート部からの該立設支持部の突出量を少なくでき(つまり、該立設支持部は該フロート部に収容されている状態となり)、前記太陽光パネル設置用浮き架台を設置する現場までは該太陽光パネル設置用浮き架台を荷姿の良い状態で運搬することができ、一度に運搬できる該太陽光パネル設置用浮き架台1の数量を多くして運搬コストを低減することができる。また、前記水面からの冷気が前記フロート開口部を通って前記太陽光パネルに到達して該パネルを冷却することが可能となり、パネルの温度上昇を抑制し該上昇に伴う発電効率の低下を抑制することができる。
【0024】
上記した第2及び3の観点によれば、簡単な操作で前記立体支持部を前記フロート部に取り付けることができるだけでなく、該フロート部が波風によって長期間揺らされても前記立体支持部は該フロート部から外れにくいという効果を得ることができる。
【0025】
上記した第4の観点によれば、前記太陽光パネルを固定するためのブラケットやボルトを該太陽光パネルの上縁部に配置する必要は無く、その分、部品点数(つまり、ブラケットやボルトの点数)を削減することができる。その結果、コストを削減することができると共に、前記太陽光パネルを固定するための作業も簡素化することができる。
【0026】
上記した第5の観点によれば、前記フロート開口部内における前記係留用長尺部材の自由な移動を阻止して、該係留用長尺部材が色々な部材(例えば、前記太陽光パネル)に損傷を与えてしまう事態を回避することができる。
【0027】
上記した第6の観点によれば、前記足場部を利用して太陽光パネル等のメンテナンスを行うことができる。
【0028】
空気を充填することにより浮力を生じさせているような場合にはその空気が抜けてしまった場合には浮力を失ってしまうおそれがある。しかし、上記した第7及び第12の観点によれば、浮材によって浮力を維持しているので、そのようなおそれは無い。
【0029】
上記した第8及び9の観点によれば、水面に浮べられた前記太陽光パネル設置用構造物が波に揺られる場合であっても、それぞれの浮き架台は、他の浮き架台の動きに拘束されにくくなって波間で比較的自由に揺られることが可能となり、特定の箇所に力が集中してしまったりする事態を低減又は防止することができる。
【0030】
上記した第10及び11の観点によれば、製造時に前記第2成形型を使用するかしないかの違いだけで、形状の違う構造物(つまり、前記立設支持部を容易に取り外すことができる太陽光パネル設置用浮き架台、及び、該立設支持部を容易には取り外すことができない太陽光パネル設置用浮き架台)を造り分けることができ、両方の製品を製造するために全く別々の成形型を用意する必要が無く、その分、製造コストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1図1は、本発明に係る太陽光パネル設置用浮き架台の構造の一例を示す側面図である。
図2図2は、本発明に係る太陽光パネル設置用浮き架台の使用状態の一例を示す平面図である。
図3図3は、本発明に係る太陽光パネル設置用浮き架台の使用状態の一例を示す斜視図である。
図4図4(a)は、立設支持部が太い連結部によりフロート部に連結された状態の一例を示す斜視図であり、同図(b)は、立設支持部が細いブリッジ部によりフロート部に連結された状態の一例を示す斜視図である。
図5図5は、太陽光パネルの支持構造の一例を示す側面図である。
図6図6は、本発明に係る太陽光パネル設置用構造物の構造の一例を示す平面図である。
図7図7(a)(b)は、浮き架台どうしの接触状態の一例を示す側面図である。
図8図8(a)は、第1成形型及び第2成形型を使用してブリッジ部を成形する様子の一例を示す断面図であり、同図(b)は、その分解断面図である。
図9図9(a)は、第1成形型を使用して連結部を成形する様子の一例を示す断面図であり、同図(b)は、その分解断面図である。
図10図10は、太陽光パネル設置用浮き架台と板状部材とを帯状体で連結する構造の一例を示す断面図である。
図11図11は、太陽光パネル設置用浮き架台の従来構造の一例を示す斜視図である。
図12図12(a)は、ケーシング及び連結用要素の外観を示す斜視図であり、同図(b)は、その連結部の構造の一例を示す図である。
図13図13(a)は、前記フロート部を示す平面図であり、同図(b)は、その側面図であり、同図(c) は、前記立設支持部の正面図であり、同図(d)は、その側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図1乃至図10に沿って、本発明の実施の形態について説明する。
【0033】
本発明に係る太陽光パネル設置用浮き架台は、太陽光パネルを水面又は海面(以下、単に“水面”とする)に浮かせた状態で設置するためのものであって、図1に符号1で例示するように、
・ 該水面Aに浮くように構成されるフロート部10と、
・ 該フロート部10から上方に立設される立設位置11Aに着脱自在に配置されるように構成された立設支持部11と、
を備えている。そして、前記フロート部10は、前記水面Aに浮いている場合に上下に貫通するように配置される開口部(図2及び図3の符号12参照。以下、“フロート開口部“とする)を有している。また、前記立設支持部11は、前記立設位置11Aに配置された場合に前記太陽光パネルPを水面Aよりも高い位置で支持するように構成されている。さらに、この立設支持部11は、該太陽光パネルPを所定の角度θに傾斜した姿勢に支持するように構成されている(図1参照)。またさらに、該立設支持部11は、図4(a)(b)に例示するように、前記フロート開口部12の内部に配置されて前記フロート部10に収容される収容位置11Bを取り得るようにも構成されている。
【0034】
そして、前記立設支持部11を前記収容位置11Bに配置している場合には、該立設支持部11を前記立設位置11Aに配置している場合に比べて前記フロート部10からの該立設支持部11の突出量を少なくでき(つまり、該立設支持部11は該フロート部10に収容されている状態となり)、前記太陽光パネル設置用浮き架台1を設置する現場までは該太陽光パネル設置用浮き架台1を荷姿の良い状態で運搬することができ、一度に運搬できる該太陽光パネル設置用浮き架台1の数量を多くして運搬コストを低減することができる。なお、前記立設支持部11の前記収容位置11Bへの固定は、公知の係止機構(例えば、前記フロート部10の適当な位置に凹部や凸部を形成しておいて前記立設支持部11をその凹部や凸部に係止させる機構や、バンドやピンやクリップなどの係止機構)を用いても良いが、前記立設支持部11が前記収容位置11Bにある状態となるように太陽光パネル設置用浮き架台1を一体成形により作製するようにしても良い(詳細は後述する)。
【0035】
ここで、前記フロート部10は、気密性を有するケースの中に空気を充填することにより浮力を有するようにしても良いが、水又は海水よりも比重が軽くて浮力を生じさせる浮材(図1の符号10a参照。例えば、発泡スチロールなど)を有するようにすると良い。具体的には、該フロート部10の外壁を、堅牢な樹脂で殻状に形成し、前記浮材10aをその外壁の内部に充填するようにすると良い。なお、該浮材10aの充填は、前記外壁の成形と同時に行っても良いが、該外壁の成形の後に行うようにしても良い。このような浮材10aを用いた場合には、空気により浮力を確保するような場合に比べて浮力が損なわれにくくなり、前記太陽光パネルPを長期に亘って水面上に保持することが可能となる。
【0036】
ところで、前記立設支持部11を前記立設位置11Aに着脱自在に配置するための構造としては種々の構造を挙げることができる。例えば、前記フロート部10の適当な位置に凹部(不図示)や孔部(同じく不図示)を設けておいて、その凹部や孔部に前記立設支持部11を挿し込めるようにしておいても良く、或いは、該フロート部10の適当な位置に凸部(不図示)を設けておいて、その凸部により前記立設支持部11を支持するようにしても良い。最も好ましい態様としては、前記フロート部10にレール部(図13(a)(b)の符号10d参照)を設けておくと共に、前記立設支持部11には、該レール部10dに摺動自在に嵌入され得る嵌入部(図13(c)(d)の符号11c参照)を形成しておき、該嵌入部11cが該レール部10dに嵌入されることにより、前記立設支持部11は前記立設位置11Aを取った状態で前記フロート部10に支持されるように構成すると良い。その場合、該レール部10dは、前記フロート部10が前記水面Aに浮いている場合に略水平方向(x方向)に延設されるように形成しておき、前記立設支持部11が前記立設位置11Aにあって前記太陽光パネルPを支持している場合には、該立設支持部11の前記嵌入部11cは前記レール部10dに押圧されることに基づき摺動しにくくなる(つまり、前記嵌入部11cが該レール部10dを摺動しにくくなる)ように構成すると良い。そのようにした場合には、簡単な操作で前記立体支持部11を前記フロート部10に取り付けることができるだけでなく、該フロート部10が波風によって長期間揺らされても前記立体支持部11は該フロート部10から外れにくいという効果を得ることができる。また、図1、4及び5に符号10g及び10hで示すように、該フロート部10の上面10i(すなわち、該フロート部10が水に浮いている場合の上面)には、前記立設位置11Aにある立設支持部11を挟持するように、少なくとも一対の突起部が形成されている。これら一対の突起部10g,10hは、前記レール部10dが延設される方向(すなわち、x方向)に並設されている。そして、前記立設支持部11を該レール部10dに挿入する方向(すなわち、−x方向)の上流側に配置される突起部10gは、図5に詳示するように、なだらかに傾斜した傾斜面10g1と、略水平に形成された水平面10g2と、前記立設支持部11を支持する支持面10g3とを有しており、該立設支持部11を前記レール部10dに挿入する際には、該立設支持部11の下面の一部は、該傾斜面10g1及び該水平面10g2を摺動した上で前記立設位置11Aにまで移動されることとなる。また、他方の突起部10hは、前記立設支持部11を支持する支持面10h3を有しており、該支持面10h3は前記突起部10gの支持面10g3と共に該立設支持部11を挟持することにより該立設支持部11を堅固に支持するようになっている。
【0037】
一方、前記立設位置11Aに配置された場合の前記立設支持部11は、所定の角度θに傾斜した姿勢に前記太陽光パネルPを支持するように構成されているが、該立設支持部11には、該太陽光パネルPを係止するための係止部を形成しておく必要がある。この係止部として、最も好ましい態様としては、前記太陽光パネルPの一部(図5の符号Pa参照)が挿入されることにより該太陽光パネルPを支持するスリット部11bを挙げることができ、該スリット部11bは、前記立設支持部11の上端部近傍に形成しておくと良い。具体的には、前記太陽光パネルPの上縁部に略L字形のフック部Paを形成しておいて、上述のスリット部11bにはこのフック部Paを挿入できるようにしておくと良い。そして、該スリット部11bに挿入したフック部Paの下側にはスペーサ部(例えば、幅が10mmで2.5mm程度の厚さの板状部)19を数カ所に配置して前記太陽光パネルPのガタツキを抑えるようにすると良い。このスペーサ部19は前記フロート部10や前記フック部Paと一体的に形成しても良いが、該フロート部10や該フック部Paとは別体で形成しても良い。なお、該太陽光パネルPの下縁部は、適当な形状のブラケットやボルトによって前記フロート部10に固定するようにすると良い。そのようにした場合には、ブラケットやボルトは前記太陽光パネルPの下縁部のみに配置すれば足り、該太陽光パネルPの上縁部に配置する必要は無く、その分、部品点数(つまり、ブラケットやボルトの点数)を削減することができる。その結果、コストを削減することができると共に、前記太陽光パネルPを固定するための作業も簡素化することができる。
【0038】
また一方、図2及び図6に例示するように、上述したフロート開口部12の縁部には切欠や孔など(以下、“係留用係止部とする)10cを形成しておいて、該係留用係止部10cには長尺の部材(例えば、可撓性に富む繊維製のロープ、可撓性に富む金属製のワイヤロープ、或いは、樹脂製や金属製のチェーンなどであって、以下“係留用長尺部材”とする)18を係止できるようにしても良い。そして、該係留用長尺部材18の一端を湖岸や海岸に固設されたアンカー部材(不図示)に固定しておいて、該係留用長尺部材18によって前記太陽光パネル設置用浮き架台1を前記水面Aの所定位置に係留するようにすると良い。その場合、前記係留用長尺部材18は前記太陽光パネル設置用浮き架台1の側においては前記係留用係止部10cに係止されているので、前記フロート開口部12内における前記係留用長尺部材18の自由な移動を阻止して、該係留用長尺部材18が色々な部材(例えば、前記太陽光パネルP)に損傷を与えてしまう事態を回避することができる。なお、前記フロート部10を作業者が持ち運ぶ場合には、前記フロート開口部12に作業者自身の体や腕や手を入れて前記係留用係止部10cを持つことで持ち運びやすくなる。また、図13(a)に符号10eや10fで示す部分に窪みを形成しておいて、該窪み10e,10fに上述した係留用長尺部材18を係止して該係留用長尺部材18のズレ防止を図るようにしても良い。さらに、該フロート部10の下部にはスリット状の窪みを形成しておいて、フォークリフトの爪が入るようにしても良い。また、該スリット状の窪みを利用して該フロート部10を保持するようにしても良い。例えば、作業中に該フロート部10を傾斜地に置いておかなければならないような場合には、該スリット状の窪みを利用して該フロート部10を保持するようにすると良い。
【0039】
ところで、図3に例示するように、水面Aに沿った位置の水平方向をx方向とし、該x方向に直交する他の水平方向をy方向とした場合に、前記フロート部10は、前記立設支持部11により支持された前記太陽光パネルPに覆われない位置にまで前記x方向に延設されると共にその上面100a(つまり、前記太陽光パネルPに覆われない位置にまで前記x方向に延設された部分の上面)の少なくとも一部が略平坦であるように形成されて足場として機能するように構成された足場部100、を有するようにしても良い。前記フロート部10は、この足場部100と該足場部以外の部分とを一体的に(つまり、分離不可能な状態に)形成していても良いが、分離可能な状態に形成しても良い。また、この足場部100は浮力を有する材料で形成されていることが好ましいが、浮力を持たない材料で形成したものを排除する趣旨ではない。このような足場部100を設けた場合には、該足場部100を利用して太陽光パネルP等のメンテナンスを行うことができる。
【0040】
ところで、図6に例示するように、前記太陽光パネル設置用浮き架台1(すなわち、前記フロート部10)のy方向の幅寸法が太陽光パネルPのy方向の幅寸法よりも小さくなるようにしても良い。そのようにした場合には、前記太陽光パネル設置用浮き架台1の幅を小さくした分だけ、材料コストや製造コストや運送コストを低減することができる。しかしながら、前記太陽光パネル設置用浮き架台1(前記フロート部10)のy方向の幅寸法を太陽光パネルPのy方向の幅寸法と同等又は大きくした場合を本発明の範囲から除外するものではない。
【0041】
一方、本発明に係る太陽光パネル設置用構造物は、前記太陽光パネルPを水面Aに浮かせた状態で設置するためのものであって、図2及び図3に符号Dで例示するように、縦横に配列された少なくとも4つの前記太陽光パネル設置用浮き架台1を備えている。ここで、1つの太陽光パネル設置用浮き架台1BRを“第1浮き架台”とし、該第1浮き架台1BRの前記x方向に隣接されてなる1つの太陽光パネル設置用浮き架台1BLを“第2浮き架台“とし、該第1浮き架台1BRの前記y方向に隣接(並設)されてなる1つの太陽光パネル設置用浮き架台1ARを“第3浮き架台”とし、前記第2浮き架台1BLの前記y方向に隣接(並設)されてなる1つの太陽光パネル設置用浮き架台1ALを“第4浮き架台”とした場合に、該第1浮き架台1BRと該第3浮き架台1ARとは所定距離だけ離間した状態に配置されており、該第2浮き架台1BLと該第4浮き架台1ALとは所定距離だけ離間した状態に配置されている。
【0042】
そして、本発明に係る太陽光パネル設置用構造物Dは、前記y方向に離間した浮き架台(具体的には、前記第1浮き架台1BR及び/又は前記第2浮き架台1BLと前記第3浮き架台1AR及び/又は前記第4浮き架台1ALとの間)に架け渡される板状部材14を備えている。この板状部材14が配置される態様としては、以下の態様を挙げることができる。すなわち、
・ 該板状部材14の一端部14aが前記第1浮き架台1BRに載置されると共に該板状部材14の他端部14bが前記第3浮き架台1ARに載置されることに基づき、該板状部材14が該第1浮き架台1BRと該第3浮き架台1ARとに架け渡される態様
・ 該板状部材14の一端部14aが前記第2浮き架台1BLに載置されると共に該板状部材14の他端部14bが前記第4浮き架台1ALに載置されることに基づき、該板状部材14が該第2浮き架台1BLと該第4浮き架台1ALとに架け渡される態様
・ 該板状部材14の一端部14aが前記第1浮き架台1BR及び前記第2浮き架台1BLの両方に載置されると共に該板状部材14の他端部14bが前記第3浮き架台1AR及び前記第4浮き架台1ALの両方に載置されることに基づき、該板状部材14が該第1及び第2浮き架台1BR,BLと該第3及び第4浮き架台1AR,1ALとに架け渡される態様
【0043】
このような太陽光パネル設置用構造物Dによれば、複数枚の太陽光パネルPを水面上にて支持することができる。また、上述のような板状部材14は各浮き架台1AR,…の足場部100に架け渡すように配置して、該足場部100と共に連続的につながる通路を形成するようにすると良い。そのようにした場合には、該通路を使って作業者が容易に移動できる。
【0044】
一方、本発明に係る太陽光パネル設置用構造物Dは、図2に詳示するように、
・ 前記板状部材14の前記一端部14aと前記第1浮き架台1BRと前記第2浮き架台1BLとに巻き掛けられて配置される第1帯状体13Aと、
・ 前記板状部材14の前記他端部14bと前記第3浮き架台1ARと前記第4浮き架台1ALとに巻き掛けられて配置される第2帯状体13Bと、
を備えている。これらの第1帯状体13A及び第2帯状体13Bは、可撓性或いは柔軟性に富む部材(例えば、樹脂や繊維や金属等の可撓性材料で形成された長尺部材であって、バンドとかベルトとか称されるもの)で構成すると良い。該帯状体13A,13Bは、少なくとも一端が真っ直ぐ伸びるのではなくいずれかの方向に緩く湾曲又は屈曲されているような形状が好ましい。例えば、標識板や電柱札などを電柱に取り付けるための樹脂製のバンド(全体が湾曲したバンド)が市販されているが、そのようなバンドを前記帯状体13A,13Bとして利用しても良い。また、これらの第1帯状体13A及び第2帯状体13Bは比較的緩く巻き掛けるようにして、各浮き架台1AL,…や前記板状部材14が比較的自由に揺動できるようにしておくと良い。したがって、前記第1浮き架台1BRと前記第2浮き架台1BLとは、可撓性或いは柔軟性に富む前記第1帯状体13Aが比較的緩く巻き掛けられて連結されることに基づき、それらの架台1BR,1BLのx軸周りの相対回転及びy軸周りの相対回転が許容されることとなる。その結果、水面Aに浮べられた前記太陽光パネル設置用構造物Dが波に揺られる場合であっても、それぞれの浮き架台1BR又は1BLは、他の浮き架台1BL又は1BRの動きに拘束されにくくなって波間で比較的自由に揺られることが可能となり、特定の箇所に力が集中してしまったりする事態を低減又は防止することができる。そして、メンテナンス等のために該太陽光パネル設置用構造物Dを陸に揚げる場合であっても、各浮き架台1BR,1BLは地形の傾斜に沿って比較的自由に変位(揺動)することができ、特定の箇所に力が集中してしまったりする事態を低減又は防止することができる。また、前記第3浮き架台1ARと前記第4浮き架台1ALとは、可撓性或いは柔軟性に富む前記第2帯状体13Bが比較的緩く巻き掛けられて連結されることに基づき、それらの架台1AR,1ALのx軸周りの相対回転及びy軸周りの相対回転が許容されることとなって同様の効果を得ることができる。さらに、図10に例示するように、前記第1浮き架台1BR及び前記第2浮き架台1BLと前記板状部材14とは、可撓性或いは柔軟性に富む前記第1帯状体13Aが比較的緩く巻き掛けられて連結されることに基づき、両架台1BR,1BLと前記板状部材14のx軸周りの相対回転及びy軸周りの相対回転が許容されることとなって同様の効果を得ることができる。またさらに、前記第3浮き架台1AR及び前記第4浮き架台1ALと前記板状部材14とは、可撓性或いは柔軟性に富む前記第2帯状体13Bが巻き掛けられて連結されることに基づき、両架台1AR,1ALと前記板状部材14のx軸周りの相対回転及びy軸周りの相対回転が許容されることとなって同様の効果を得ることができる。
【0045】
この場合、図7(a)(b)に詳示するように、前記第1浮き架台1BR,21BRの端部であって前記第2浮き架台1BL,21BLに対向する側の第1端部1BR1,21BR1、及び該第2浮き架台1BL,21BLの端部であって該第1浮き架台1BR,21BRに対向する側の第2端部1BL2,21BL2は、該第1端部1BR1,21BR1と該第2端部1BL2,21BL2とが点接触又は線接触をするように角部を有する状態に形成しておくと良い。そのようにした場合には、前記第1浮き架台1BR,21BR及び前記第2浮き架台1BL,21BLのy軸周りの円滑な相対回転が許容されることとなる。その結果、水面Aに浮べられた前記太陽光パネル設置用構造物Dが波に揺られる場合であっても、それぞれの浮き架台1BR,1BL,21BR,21BLは、他の浮き架台1BL,…の動きに拘束されにくくなって波間で比較的自由に揺られることが可能となり、特定の箇所に力が集中してしまったりする事態を低減又は防止することができる。同様に、前記第3浮き架台1AR,21ARの端部であって前記第4浮き架台1AL,21ALに対向する側の第3端部1AR1,21AR1、及び該第4浮き架台1AL,21ALの端部であって該第3浮き架台1AR,21ARに対向する側の第4端部1AL2,21AL2は、該第3端部1AR1,21AR1と該第4端部1AL2,21AL2とが点接触又は線接触をするように角部を有する状態に形成しておくと良い。そのようにした場合には、上述と同様の効果を得ることができる。なお、前記角部は、鋭く尖った角部だけでなく、丸みを帯びた角部であっても良い。
【0046】
一方、本発明に係る浮き架台製造方法は、
・ 水面A(正確には、水面又は海面)に浮くように構成されると共に該水面Aに浮いている場合に上下に貫通するように配置されるフロート開口部12を有するフロート部10と、
・ 該フロート部10から上方に立設される立設位置11Aに配置された場合に前記太陽光パネルPを所定の角度θに傾斜した姿勢に支持するように構成された立設支持部11と、
・ 前記立設位置11Aではなく前記フロート開口部12の内部の位置11Bであって前記フロート部10に収容される収容位置11Bに前記立設支持部11を支持するように該立設支持部11と該フロート部10とを連結するブリッジ部15A,15Bと、
からなる太陽光パネル設置用浮き架台1を一体的に成形する方法である。この成形には、少なくとも2つの成形型、すなわち、第1成形型と第2成形型を使用するようになっている。この内の第1成形型は、前記フロート部10と前記立設支持部11とを成型し得る形状であって、図8(a)(b)に符号17Aで例示するように、前記ブリッジ部15A,15Bとの間には隙間部E(つまり、破線で囲まれた部分の隙間部Eであって、前記ブリッジ部15A,15Bに沿った隙間部E)を有する形状となっている。他方の第2成形型17Bは、該ブリッジ部15A,15Bに沿った隙間部Eを埋めるような形状であって、前記第1成形型17Aと共に(つまり、該第1成形型17Aと協働して)前記ブリッジ部15A,15Bを成形し得る形状である。これらの第1成形型17Aと第2成形型17Bは、互いに接離(分離)できるような構成になっている。なお、前記隙間部Eは前記ブリッジ部15A,15Bに沿って形成されていれば良いが、好ましくは、該ブリッジ部15A,15Bを囲繞するような形状であると良い。また、前記第1成形型17Aや前記第2成形型17Bには金型を使用すれば良い。さらに、図8(a)(b)に示す第1成形型17Aは2つの型で構成されているが、もちろんこれに限られるものではなく、3つ以上の型で構成されていても良い。またさらに、図8(a)(b)に示す第2成形型17Bは1つの型で構成されているが、もちろんこれに限られるものではなく、2つ以上の型で構成されていても良い。
【0047】
したがって、前記第1成形型17Aと前記第2成形型17Bとを使用して成形をした場合には、前記フロート部10と前記立設支持部11とは前記第1成形型17Aによって形成され、前記ブリッジ部15A,15Bは、図8(a)に例示するように、前記第1成形型17Aと前記第2成形型17Bとが協働することにより形成されることとなる。
【0048】
そして、前記第2成形型17Bを使用せずに前記第1成形型17Aを使用して成形を行うことにより、前記隙間部Eにまで射出材料が充填されて前記第2成形型17Bを使用して作製した前記ブリッジ部15A,15Bに比べて太い連結部16A,16Bを形成することができるようになっている。
【0049】
これにより、製造時に前記第2成形型17Bを使用するかしないかの違いだけで、
図4(a)に例示するような形状の太陽光パネル設置用浮き架台1であって、同図(b)に例示するブリッジ部15A,15Bに比べて太い連結部16A,16Bを有する構成のものと、
図4(b)に例示するような形状の太陽光パネル設置用浮き架台1であって、細い前記ブリッジ部15A,15Bを容易に切断して前記立設支持部11を前記フロート部10から容易に取り外すことができるような構成のものと、
を簡単に造り分けることができる。したがって、両方の製品を製造するために全く別々の成形型を用意する必要が無く、その分、製造コストを削減することができる。ところで、図6に例示するような太陽光パネル設置用構造物Dにおいては、作業者が歩行するための通路を設けた方が好ましいが、図4(a)に例示する構造物は、フロート開口部12を前記立設支持部11及び前記連結部16A,16Bによってほぼ閉塞した状態となっていて(該立設支持部11及び該連結部16A,16Bが人の体重を十分に支えることができるように設計していれば)該通路のための部材として使用することができる。その場合、該フロート開口部12は該立設支持部11等によってほぼ閉塞された状態であるため、新たな部材(例えば、アクリル板など)で該フロート開口部12を閉塞する必要が無く、その点においても、コスト削減を図ることができる。なお、図6に例示する太陽光パネル設置用構造物Dにおいては、図4(a)に例示する構造物は、太陽光パネルPを取り囲むように(つまり、太陽光パネル設置用構造物Dの周縁部分に)配置されているが、もちろんこれに限られるものではなく、太陽光パネル設置用構造物Dの真ん中部分を通るように配置しても良い。
【0050】
一方、本発明に係る浮き架台製造方法は、水又は海水よりも比重が軽くて浮力を生じさせる浮材10aを前記フロート部の内部に充填する工程を備えるようにしても良い。
【0051】
また、上述した太陽光パネル設置用浮き架台1は樹脂を成形して製造すれば良く、その成形にはブロー成形法を用いると良い。
【符号の説明】
【0052】
1 太陽光パネル設置用浮き架台
1AL 第4浮き架台
1AL2 第4端部
1AR 第3浮き架台
1AR1 第3端部
1BL 第2浮き架台
1BL2 第2端部
1BR 第1浮き架台
1BR1 第1端部
10 フロート部
10a 浮材
10c 係留用係止部
11 立設支持部
11b スリット部
11A 立設位置
11B 収容位置
12 フロート開口部
13A 第1帯状体
13B 第2帯状体
14 板状部材
14a 一端部
14b 他端部
15A,15B ブリッジ部
16A,16B 連結部
17A 第1成形型
17B 第2成形型
18 係留用長尺部材
100 足場部
A 水面
D 太陽光パネル設置用構造物
E 隙間部

図1
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