【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の観点は、
図1に例示するものであって、太陽光パネル(P)を水面又は海面(符号A参照。以下、単に“水面”とする)に浮かせた状態で設置するための太陽光パネル設置用浮き架台(1)において、
該水面(A)に浮くように構成されるフロート部(10)と、
該フロート部(10)から上方に立設される立設位置(11A)に着脱自在に配置されると共に該立設位置(11A)に配置された場合に前記太陽光パネル(P)を所定の角度(θ)に傾斜した姿勢に支持するように構成された立設支持部(11)と、
を備え、
前記フロート部(10)は、前記水面(A)に浮いている場合に上下に貫通するように配置される開口部(
図2及び
図3の符号12参照。以下、“フロート開口部 “とする)を有し、
前記立設支持部(11)は、該フロート開口部(12)の内部に配置されて前記フロート部(10)に収容される収容位置(
図4(a)(b)の符号11B参照)を取り得るように構成されたことを特徴とする。
【0011】
本発明の第2の観点は、前記フロート部(10)はレール部(
図13(a)(b)の符号10d参照)を有し、
前記立設支持部(11)は、該レール部(10d)に摺動自在に嵌入され得る嵌入部(
図13(c)(d)の符号11c参照)を有し、
該嵌入部(11c)が該レール部(10d)に嵌入されることにより、前記立設支持部(11)は前記立設位置(11A)を取った状態で前記フロート部(10)に支持されるように構成されたことを特徴とする。
【0012】
本発明の第3の観点は、前記レール部(10d)は、前記フロート部(10)が前記水面(A)に浮いている場合に略水平方向に延設されるように形成され、
該フロート部(10)の上面(10i)には、前記立設位置(11A)にある前記立設支持部(11)を挟持するように少なくとも一対の突起部(10g,10h)が形成されていることを特徴とする。
【0013】
本発明の第4の観点は、
図5に例示するものであって、前記立設支持部(11)の上端部近傍には、前記太陽光パネル(P)の一部(Pa)が挿入されることにより該太陽光パネル(P)を支持するスリット部(11b)が形成されてなることを特徴とする。
【0014】
本発明の第5の観点は、前記フロート開口部(12)の縁部には、前記太陽光パネル設置用浮き架台(1)を前記水面(A)に係留するための係留用長尺部材(
図6の符号18参照)を係止する係留用係止部(10c)が形成され、
該係留用長尺部材(18)を前記係留用係止部(10c)に係止させることにより、前記フロート開口部(12)内における該係留用長尺部材(18)の自由な移動を阻止できるようにしたことを特徴とする。
【0015】
本発明の第6の観点は、
図3に例示するように、前記水面(A)に沿った一の水平方向をx方向とし、該x方向に直交する他の水平方向をy方向とした場合に、
前記フロート部(10)は、前記立設支持部(11)により支持された前記太陽光パネル(P)に覆われない位置にまで前記x方向に延設されると共にその上面(100a)の少なくとも一部が略平坦であるように形成されて足場として機能するように構成された足場部(100)を有することを特徴とする。
【0016】
本発明の第7の観点は、前記フロート部(10)は、水又は海水よりも比重が軽くて浮力を生じさせる浮材(10a)を有することを特徴とする。
【0017】
本発明の第8の観点は、
図1乃至
図3に例示するものであって、太陽光パネル(P)を水面又は海面(符号A参照。以下、単に“水面”とする)に浮かせた状態で設置するための太陽光パネル設置用構造物(D)において、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の1つの太陽光パネル設置用浮き架台(1)である第1浮き架台(1BR)と、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の1つの太陽光パネル設置用浮き架台(1)であって、前記第1浮き架台(1BR)の前記x方向に隣接されてなる第2浮き架台(1BL)と、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の1つの太陽光パネル設置用浮き架台(1)であって、前記第1浮き架台(1BR)の前記y方向に離間した状態で配置されてなる第3浮き架台(1AR)と、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の1つの太陽光パネル設置用浮き架台(1)であって、前記第2浮き架台(1BL)の前記y方向に離間した状態で配置されてなる第4浮き架台(1AL)と、
一端部(14a)が前記第1浮き架台(1BR)及び/又は前記第2浮き架台(1BL)に載置されると共に他端部(14b)が前記第3浮き架台(1AR)及び/又は前記第4浮き架台(1AL)に載置されることに基づき該第1浮き架台(1BR)及び/又は該第2浮き架台(1BL)と該第3浮き架台(1AR)及び/又は該第4浮き架台(1AL)とに架け渡される板状部材(14)と、
前記板状部材(14)の前記一端部(14a)と前記第1浮き架台(1BR)と前記第2浮き架台(1BL)とに巻き掛けられて配置される可撓性に富む第1帯状体(13A)と、
前記板状部材(14)の前記他端部(14b)と前記第3浮き架台(1AR)と前記第4浮き架台(1AL)とに巻き掛けられて配置される可撓性に富む第2帯状体(13B)と、
を備え、
前記第1浮き架台(1BR)と前記第2浮き架台(1BL)とは、前記第1帯状体(13A)が巻き掛けられて連結されることに基づき、x軸周りの相対回転及びy軸周りの相対回転が許容されるように構成され、
前記第3浮き架台(1AR)と前記第4浮き架台(1AL)とは、前記第2帯状体(13B)が巻き掛けられて連結されることに基づき、x軸周りの相対回転及びy軸周りの相対回転が許容されるように構成され、
前記第1浮き架台(1BR)及び前記第2浮き架台(1BL)と前記板状部材(14)とは、前記第1帯状体(13A)が巻き掛けられて連結されることに基づき、x軸周りの相対回転及びy軸周りの相対回転が許容されるように構成され、
前記第3浮き架台(1AR)及び前記第4浮き架台(1AL)と前記板状部材(14)とは、前記第2帯状体(13B)が巻き掛けられて連結されることに基づき、x軸周りの相対回転及びy軸周りの相対回転が許容されるように構成されたことを特徴とする。
【0018】
本発明の第9の観点は、
図7(a)(b)に例示するものであって、前記第1浮き架台(1BR,21BR)の端部であって前記第2浮き架台(1BL,21BL)に対向する側の第1端部(1BR1,21BR1)、及び該第2浮き架台(1BL,21BL)の端部であって該第1浮き架台(1BR,21BR)に対向する側の第2端部(1BL2,21BL2)は、該第1端部(1BR1,21BR1)と該第2端部(1BL2,21BL2)とが点接触又は線接触をするように角部を有する状態に形成されて、前記第1浮き架台(1BR,21BR)及び前記第2浮き架台(1BL,21BL)のx軸周りの相対回転及びy軸周りの相対回転が許容されるように構成され、
前記第3浮き架台(1AR,21AR)の端部であって前記第4浮き架台(1AL,21AL)に対向する側の第3端部(1AR1,21AR1)、及び該第4浮き架台(1AL,21AL)の端部であって該第3浮き架台(1AR,21AR)に対向する側の第4端部(1AL2,21AL2)は、該第3端部(1AR1,21AR1)と該第4端部(1AL2,21AL2)とが点接触又は線接触をするように角部を有する状態に形成されて、前記第3浮き架台(1AR,21AR)及び前記第4浮き架台(1AL,21AL)のx軸周りの相対回転及びy軸周りの相対回転が許容されるように構成されたことを特徴とする。
【0019】
本発明の第10の観点は、水面又は海面(符号A参照。以下、単に“水面”とする)に浮くように構成されると共に該水面(A)に浮いている場合に上下に貫通するように配置されるフロート開口部(12)を有するフロート部(10)と、該フロート部(10)から上方に立設される立設位置(11A)に配置された場合に前記太陽光パネル(P)を所定の角度(θ)に傾斜した姿勢に支持するように構成された立設支持部(11)と、前記立設位置(11A)ではなく前記フロート開口部(12)の内部の位置であって前記フロート部(10)に収容される収容位置(11B)に前記立設支持部(11)を支持するように該立設支持部(11)と該フロート部(10)とを連結するブリッジ部(15A,15B)と、からなる太陽光パネル設置用浮き架台(
図4(b)の符号1参照)を第1成形型(
図8(a)(b)の符号17A参照)と第2成形型(同図の符号17B参照)とを使用して一体的に成形する方法であって、
該第1成形型(17A)は、前記フロート部(10)と前記立設支持部(11)とを成型し得ると共に前記ブリッジ部(15A,15B)に沿った隙間部(
図8(b)の破線で囲まれた領域であって、符号Eで示す領域)を有する形状であり、
前記第2成形型(17B)は、該ブリッジ部(15A,15B)に沿った隙間部(E)を埋めるような形状であって前記第1成形型(17A)と共に前記ブリッジ部(15A,15B)を成形し得る形状であることを特徴とする。
【0020】
本発明の第11の観点は、
図9(a)(b)に例示するものであって前記第2成形型(17B)を使用せずに前記第1成形型(17A)を使用して成形を行うことにより、前記隙間部(E)にまで射出材料が充填されて前記第2成形型(17B)を使用した場合に比べて太い連結部(16A,16B)を形成することができることを特徴とする。
【0021】
本発明の第12の観点は、水又は海水よりも比重が軽くて浮力を生じさせる浮材(10a)を前記フロート部(10)の内部に充填することを特徴とする。
【0022】
なお、括弧内の番号などは、図面における対応する要素を示す便宜的なものであり、従って、本記述は図面上の記載に限定拘束されるものではない。
【発明の効果】
【0023】
上記した第1の観点によれば、前記立設支持部を前記収容位置に配置している場合には、該立設支持部を前記立設位置に配置している場合に比べて前記フロート部からの該立設支持部の突出量を少なくでき(つまり、該立設支持部は該フロート部に収容されている状態となり)、前記太陽光パネル設置用浮き架台を設置する現場までは該太陽光パネル設置用浮き架台を荷姿の良い状態で運搬することができ、一度に運搬できる該太陽光パネル設置用浮き架台1の数量を多くして運搬コストを低減することができる。また、前記水面からの冷気が前記フロート開口部を通って前記太陽光パネルに到達して該パネルを冷却することが可能となり、パネルの温度上昇を抑制し該上昇に伴う発電効率の低下を抑制することができる。
【0024】
上記した第2及び3の観点によれば、簡単な操作で前記立体支持部を前記フロート部に取り付けることができるだけでなく、該フロート部が波風によって長期間揺らされても前記立体支持部は該フロート部から外れにくいという効果を得ることができる。
【0025】
上記した第4の観点によれば、前記太陽光パネルを固定するためのブラケットやボルトを該太陽光パネルの上縁部に配置する必要は無く、その分、部品点数(つまり、ブラケットやボルトの点数)を削減することができる。その結果、コストを削減することができると共に、前記太陽光パネルを固定するための作業も簡素化することができる。
【0026】
上記した第5の観点によれば、前記フロート開口部内における前記係留用長尺部材の自由な移動を阻止して、該係留用長尺部材が色々な部材(例えば、前記太陽光パネル)に損傷を与えてしまう事態を回避することができる。
【0027】
上記した第6の観点によれば、前記足場部を利用して太陽光パネル等のメンテナンスを行うことができる。
【0028】
空気を充填することにより浮力を生じさせているような場合にはその空気が抜けてしまった場合には浮力を失ってしまうおそれがある。しかし、上記した第7及び第12の観点によれば、浮材によって浮力を維持しているので、そのようなおそれは無い。
【0029】
上記した第8及び9の観点によれば、水面に浮べられた前記太陽光パネル設置用構造物が波に揺られる場合であっても、それぞれの浮き架台は、他の浮き架台の動きに拘束されにくくなって波間で比較的自由に揺られることが可能となり、特定の箇所に力が集中してしまったりする事態を低減又は防止することができる。
【0030】
上記した第10及び11の観点によれば、製造時に前記第2成形型を使用するかしないかの違いだけで、形状の違う構造物(つまり、前記立設支持部を容易に取り外すことができる太陽光パネル設置用浮き架台、及び、該立設支持部を容易には取り外すことができない太陽光パネル設置用浮き架台)を造り分けることができ、両方の製品を製造するために全く別々の成形型を用意する必要が無く、その分、製造コストを削減することができる。