(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
2次元マトリクス状に画素が配列されて成る表示領域を備えた画像表示部を駆動するための出力映像信号を表示すべき画像に対応して供給される入力映像信号に基づいて生成する信号生成装置であって、
1つ以上の画素を含む表示領域の部分に対応する入力映像信号が低輝度表示の信号から高輝度表示の信号へ切り替わるとき、前記入力映像信号にゲイン値を乗ずることによって前記表示領域の部分の各画素に対応する出力映像信号を生成し、
入力映像信号の値に応じた積算ステップの値を時間軸方向に積算した積算値に基づいて前記ゲイン値を変化させ、
前記積算ステップの値は、入力映像信号が最小輝度の画像を表示する値の場合には最小、入力映像信号が最大輝度の画像を表示する値の場合には最大となるように設定されており、
前記ゲイン値は、前記積算値が小さいほど大きくなり、前記積算値が大きいほど小さくなるように変化する
信号生成装置。
第1原色を表示するための第1入力映像信号、第2原色を表示するための第2入力映像信号、及び、第3原色を表示するための第3入力映像信号が、入力映像信号として供給され、
第1入力映像信号、第2入力映像信号、及び、第3入力映像信号のそれぞれに共通のゲイン値を乗じて、第1原色を表示する第1副画素を駆動するための第1出力映像信号、第2原色を表示する第2副画素を駆動するための第2出力映像信号、及び、第3原色を表示する第3副画素を駆動するための第3出力映像信号を、出力映像信号として生成する、
請求項1に記載の信号生成装置。
2次元マトリクス状に画素が配列されて成る表示領域を備えた画像表示部を駆動するための出力映像信号を表示すべき画像に対応して供給される入力映像信号に基づいて生成する信号生成装置において実行されることにより、
1つ以上の画素を含む表示領域の部分に対応する入力映像信号が低輝度表示の信号から高輝度表示の信号へ切り替わるとき、前記入力映像信号にゲイン値を乗ずることによって前記表示領域の部分の各画素に対応する出力映像信号を生成し、
入力映像信号の値に応じた積算ステップの値を時間軸方向に積算した積算値に基づいて前記ゲイン値を変化させ、
前記積算ステップの値は、入力映像信号が最小輝度の画像を表示する値の場合には最小、入力映像信号が最大輝度の画像を表示する値の場合には最大となるように設定されており、
前記ゲイン値は、前記積算値が小さいほど大きくなり、前記積算値が大きいほど小さくなるように変化する
信号生成プログラム。
2次元マトリクス状に画素が配列されて成る表示領域を備えた画像表示部を駆動するための出力映像信号を表示すべき画像に対応して供給される入力映像信号に基づいて生成する信号生成方法であって、
1つ以上の画素を含む表示領域の部分に対応する入力映像信号が低輝度表示の信号から高輝度表示の信号へ切り替わるとき、前記入力映像信号にゲイン値を乗ずることによって前記表示領域の部分の各画素に対応する出力映像信号を生成し、
入力映像信号の値に応じた積算ステップの値を時間軸方向に積算した積算値に基づいて前記ゲイン値を変化させ、
前記積算ステップの値は、入力映像信号が最小輝度の画像を表示する値の場合には最小、入力映像信号が最大輝度の画像を表示する値の場合には最大となるように設定されており、
前記ゲイン値は、前記積算値が小さいほど大きくなり、前記積算値が大きいほど小さくなるように変化する
信号生成方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、実施形態に基づき本開示を説明する。本開示は実施形態に限定されるものではなく、実施形態における種々の数値や材料は例示である。以下の説明において、同一要素または同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。尚、説明は、以下の順序で行う。
1.本開示に係る信号生成装置、信号生成プログラム、信号生成方法、及び、画像表示装置、全般に関する説明
2.第1の実施形態、その他
【0014】
[本開示に係る信号生成装置、信号生成プログラム、信号生成方法、及び、画像表示装置、全般に関する説明]
【0015】
本開示の信号生成装置、本開示の信号生成プログラムが実行される信号生成装置、本開示の画像表示装置に用いられる信号生成装置(以下、これらを単に、本開示の信号生成装置と呼ぶ場合がある)にあっては、表示領域の部分は1つの画素から成り、画素に対応する入力映像信号に基づいて低輝度表示の信号から高輝度表示の信号への切り替わりを検出する構成とすることができる。
【0016】
あるいは又、本開示の信号生成装置にあっては、表示領域の部分は複数の画素から成り、複数の画素のうちの一部の画素に対応する入力映像信号に基づいて低輝度表示の信号から高輝度表示の信号への切り替わりを検出する構成とすることができる。この場合において、複数の画素のうちの一部の画素に対応する入力映像信号の平均に基づいて低輝度表示の信号から高輝度表示の信号への切り替わりを検出する構成とすることができる。
【0017】
上述した各種の好ましい構成を含む本開示の信号生成装置にあっては、出力映像信号の値は入力映像信号の値にゲイン値を乗ずることによって算出され、切り替わりから或る期間の間は表示領域の部分の各画素に対応する入力映像信号に通常よりも大きな値のゲイン値を乗ずる構成とすることができる。この場合において、第1原色を表示するための第1入力映像信号、第2原色を表示するための第2入力映像信号、及び、第3原色を表示するための第3入力映像信号が、入力映像信号として供給され、第1入力映像信号、第2入力映像信号、及び、第3入力映像信号のそれぞれに共通のゲイン値を乗じて、第1原色を表示する第1副画素を駆動するための第1出力映像信号、第2原色を表示する第2副画素を駆動するための第2出力映像信号、及び、第3原色を表示する第3副画素を駆動するための第3出力映像信号を、出力映像信号として生成する構成とすることができる。
【0018】
上述した各種の好ましい構成を含む本開示の信号生成装置にあっては、入力映像信号の値に応じた積算ステップの値を時間軸方向に積算した積算値に基づいて入力映像信号に乗ずるゲイン値を変化させる構成とすることができる。この場合において、ステップ値は、入力映像信号が最小輝度の画像を表示する値の場合には最小、入力映像信号が最大輝度の画像を表示する値の場合には最大となるように設定されている構成とすることができる。また、積算ステップが所定の値以下である場合に積算値をリセットする処理を行う構成とすることができる。
【0019】
本開示に用いられる画像表示部(以下、これらを単に、本開示の画像表示部と呼ぶ場合がある)にあっては、方式は特に限定するものではない。例えば、画像表示部は、動画の表示に適したものであってもよいし、静止画の表示に適したものであってもよい。画像表示部は、例えば、エレクトロルミネッセンス表示装置のような自発光方式であってもよいし、液晶表示装置のように、透過型方式あるいは反射型方式であってもよい。
【0020】
画像表示部は、所謂モノクロ表示の構成であってもよいし、カラー表示の構成であってもよい。カラー表示の構成とする場合には、1つの画素は複数の副画素から成る構成、具体的には、1つの画素は、赤色発光副画素、緑色発光副画素、及び、青色発光副画素の3つの副画素から成る構成とすることができる。更には、これらの3種の副画素に更に1種類あるいは複数種類の副画素を加えた1組(例えば、輝度向上のために白色光を発光する副画素を加えた1組、色再現範囲を拡大するために補色を発光する副画素を加えた1組、色再現範囲を拡大するためにイエローを発光する副画素を加えた1組、色再現範囲を拡大するためにイエロー及びシアンを発光する副画素を加えた1組)から構成することもできる。
【0021】
画像表示部の画素(ピクセル)の値として、VGA(640,480)、S−VGA(800,600)、XGA(1024,768)、APRC(1152,900)、S−XGA(1280,1024)、U−XGA(1600,1200)、HD−TV(1920,1080)、Q−XGA(2048,1536)の他、(1920,1035)、(720,480)、(1280,960)等、画像表示用解像度の幾つかを例示することができるが、これらの値に限定するものではない。
【0022】
本開示に用いられる信号生成部や信号生成装置は、例えば、演算回路や記憶装置から構成することができる。これらは、周知の回路素子等を用いて構成することができる。信号生成部や信号生成装置は、例えば、ハードウェアによる物理的な結線に基づいて動作するといった構成であってもよいし、プログラムに基づいて動作するといった構成であってもよい。信号生成部は、例えば、画像表示部を駆動するために用いられる駆動ICや画像処理ICなどに機能の一部として実装されていてもよい。
【0023】
信号生成処理の処理は、入力映像信号をリアルタイムに処理するといった構成とすることができる。尚、場合によっては、非リアルタイムに処理するといった構成とすることもできる。例えば、記憶手段に保存された入力映像信号のデータに対して順次処理を行い、処理済の信号データを記憶手段に保存し、ユーザーの要求に応じて処理済の信号データを読み出すといった構成とすることもできる。
【0024】
本明細書に示す各種の条件は、厳密に成立する場合の他、実質的に成立する場合にも満たされる。例えば、「赤色」とは実質的に赤色として認識されれば足りる。他の色についても同様である。設計上あるいは製造上生ずる種々のばらつきの存在は許容される。
【0025】
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、本開示に係る信号生成装置、信号生成プログラム、信号生成方法、及び、画像表示装置に関する。
【0026】
図1は、第1の実施形態に係る画像表示装置の概念図である。
【0027】
第1の実施形態に係る画像表示装置1は、たとえば外部から供給される入力映像信号に基づいて出力映像信号を生成する信号生成部(信号生成装置)10と、第1原色を表示する第1副画素、第2原色を表示する第2副画素、及び、第3原色を表示する第3副画素が2次元マトリクス状に配列されて成る画像表示部20とを備えている。
【0028】
信号生成部10は、1つ以上の画素を含む表示領域の部分に対応する入力映像信号が低輝度表示の信号から高輝度表示の信号へ切り替わるとき、切り替わりから或る期間の間は表示領域の部分の輝度が通常より高くなるように表示領域の部分の各画素に対応する出力映像信号を生成する。
【0029】
画像表示部20は、例えば、有機エレクトロルミネッセンスパネルといった、電流駆動型の発光部を備えた自発光の表示パネルから構成されている。
【0030】
第1の実施形態において、第1原色、第2原色、第3原色は、それぞれ、赤色、緑色、青色である。画像表示部20の、第1原色を表示する第1副画素、第2原色を表示する第2副画素、及び、第3原色を表示する第3副画素を、それぞれ、符号22
R、符号22
G、符号22
Bで表す。画像表示部20の画素22は、第1副画素22
R、第2副画素22
G、第3副画素22
Bの組から構成されている。画素20がマトリクス状に配列されて成る表示領域を符号21で示した。
【0031】
信号生成部10には、表示すべき画像の各画素に対応して、外部から入力映像信号が供給される。説明の都合上、外部から信号生成部10に入力される入力映像信号は、例えば8ビットのRGB方式の信号であるとし、信号生成部10から出力される出力映像信号は、例えば9ビットのRGB方式の信号であるとする。
【0032】
信号生成部10は、表示すべき画像の画素に対応する入力映像信号の値に基づいて、消費電力の増加や表示素子の劣化に起因する焼き付きなどの程度を抑え、画像の臨場感を高めることができるように、出力映像信号を生成する。信号生成部10は、図示せぬ記憶手段に格納されている信号生成プログラムに基づいて動作し、1つ以上の画素を含む表示領域の部分に対応する入力映像信号が低輝度表示の信号から高輝度表示の信号へ切り替わるとき、切り替わりから或る期間の間は表示領域の部分の輝度が通常より高くなるように表示領域の部分の各画素に対応する出力映像信号を生成する。
【0033】
赤色表示用の入力映像信号を符号R
in、緑色表示用の入力映像信号を符号G
in、青色表示用の入力映像信号を符号B
inと表す。信号R
in,G
in,B
inは、表示すべき画像の輝度に応じて0から255の間の値をとる。ここでは、値が大きくなるほど輝度が高くなるものとする。また、以下の説明において、入力映像信号R
in、入力映像信号G
in、入力映像信号B
inを纏めて、「入力映像信号(R
in,G
in,B
in)」、あるいは単に「入力映像信号」と表す場合がある。
【0034】
信号生成部10の構成や動作について説明する。信号生成部10は、映像信号積算値算出部11と映像信号レベル制御部12とを備えている。
【0035】
映像信号積算値算出部11には入力映像信号が入力される。映像信号レベル制御部12には、入力映像信号に加えて、映像信号積算値算出部11からの出力が入力される。そして、これらの値に基づいて、映像信号レベル制御部12は、出力映像信号を出力する。
【0036】
図2は、信号生成部10を構成する映像信号積算値算出部の構成を説明するための模式的なブロック図である。
【0037】
映像信号積算値算出部11は、入力信号変換部111、縮小スケーリング部112、積算ステップ算出部113、時間方向積算値算出部114、積算値保持部115、及び、拡大スケーリング部116から構成されている。
【0038】
説明の都合上、入力映像信号は、
図3に示すような点滅するウィンドウパターンを表示する場合の信号を想定する。尚、図示の都合上、
図3にあっては、1つの点灯期間とその両側の消灯期間のみを示した。
【0039】
表示領域の部分は1つの画素から成り、画素に対応する入力映像信号に基づいて低輝度表示の信号から高輝度表示の信号への切り替わりを検出する構成とすることもできるし、あるいは又、表示領域の部分は複数の画素から成り、複数の画素のうちの一部の画素に対応する入力映像信号に基づいて低輝度表示の信号から高輝度表示の信号への切り替わりを検出する構成とすることもできる。ここでは、表示領域の部分は複数の画素、例えば、8×8の画素の群から成るとして説明する。
【0040】
ウィンドウ内のA点の入力映像信号の値は、点灯期間(白表示期間と呼ぶ場合がある)において(R
in,G
in,B
in)=(255,255,255)であるとし、消灯期間(黒表示期間と呼ぶ場合がある)において(R
in,G
in,B
in)=(0,0,0)であるとする。また、ウィンドウ外(即ち、背景の部分)の入力映像信号の値は、常に、(R
in,G
in,B
in)=(0,0,0)であるとする。
【0041】
図2に示す入力信号変換部111は、入力映像信号値を輝度(符号L
outで表す場合がある)または明度(符号V
outで表す場合がある)に相等する信号値に変換する。
【0042】
入力映像信号値を輝度に相等する信号値に変換する式は、以下の式(1)で与えられる。但し、式(1)における係数K
r,K
g,K
bは、K
r+K
g+K
b=1を満たし、通常は視感度特性を考慮してK
g>K
r>K
bとなるように設定された係数である。
【0043】
L
out=K
r・R
in+K
g・G
in+K
b・B
in (1)
【0044】
入力映像信号値を明度に相等する信号値に変換する式は、以下の式(2)で与えられる。但し、式(2)におけるMAXは引数の最大値を与える関数である。
【0045】
V
out=MAX(R
in,G
in,B
in) (2)
【0046】
説明の都合上、ここでは、入力映像信号値を輝度L
outに変換するとして説明する。ウィンドウを点灯させる信号が供給されているとき、入力信号変換部111は、
図3に示すA点について、L
out=255といった値を出力する。また、ウィンドウを消灯させる信号が供給されているとき、入力信号変換部111は、A点について、L
out=0といった値を出力する。
【0047】
図2に示す縮小スケーリング部112は、積算値保持部115のメモリサイズに合わせて原画像の縮小変換を行う。この処理は、例えば、A点を含む画素群における単純な間引き、あるいはまた、画素群における入力映像信号値の平均化処理などといった周知の方法により行えばよい。
【0048】
説明の都合上、A点は縮小スケーリングの影響を受けない位置にあるとする。この場合、縮小スケーリング部112の出力は255となる。
【0049】
積算ステップ算出部113は、
図4に示すような特性に基づいて積算ステップを算出する。ステップ値は、入力映像信号が最小輝度の画像を表示する値の場合には最小、入力映像信号が最大輝度の画像を表示する値の場合には最大となるように設定されている、
図4に示す特性は、縮小スケーリング部112の出力が大きい程(即ち、高輝度である程)、積算ステップを大きくするような重みづけの関数として与えられる。この関数は、ルックアップテーブルとして与えられてもよいし、演算式として与えられていてもよい。
【0050】
尚、
図4に示す特性は、入力信号レベルに応じて滑らかに変化する特性としたが、例えば、信号レベル0ないし127では0、信号レベル128ないし255では上限値といった、デジタル的に変化する特性としてもよい。
【0051】
ここでは、
図4に示す積算ステップ(符号SSで表す場合がある)の上限値を4とする。時間を符号tで表せば、
図3に示すA点における積算ステップSSの値は、以下のようになる。
【0052】
0≦t<T
1 : SS=0
T
1≦t<T
2 : SS=4
T
2≦t<T
3 : SS=0
【0053】
図2に示す時間方向積算値算出部114においては、入力される積算値ステップSSの値に応じて、積算値ステップSSと積算値保持部115に保持されている積算値との加算処理または積算値保持部115に保持されている積算値のリセット処理を行う。
【0054】
積算処理については、仕様に応じて設定した時間間隔で積算を行うこととする。説明の都合上、この時間間隔は2フレーム期間に固定された設定であるとするが、この時間間隔を積算値に応じて可変にするといった構成とすることもできる。
【0055】
また、積算値は例えば0ないし255といったレンジを持つとする。換言すれば、積算結果が255を超える場合には、その値は255に丸められる。
【0056】
そして、積算ステップが所定の値以下であった場合に、保持されている積算値をリセットする。ここでは、積算ステップが0であった場合に、リセットを行うものとする。
【0057】
図3に示すA点において、黒表示期間は積算ステップが0である。従って、黒表示期間においては常にリセットが行われるため、積算値は0である。
【0058】
時間T
1になると、ウィンドウが白表示状態とされ、積算値には、2フレーム周期で積算ステップSSが4ずつ加算される。これによって、画素に対応する入力映像信号に基づいて低輝度表示の信号から高輝度表示の信号への切り替わりを検出することができる。ウィンドウの白表示期間が数秒ほど続くとすれば、128フレームの間(60フレーム/秒であれば2秒に相当)に64回の積算処理が行われ、積算値は255の上限に達する(
図5を参照)。
【0059】
時間T
2になると、ウィンドウは黒表示状態となり、積算ステップは0となる。このとき、リセット処理が行われ、積算値は0になる(
図5を参照)。
【0060】
図2に示す拡大スケーリング部116においては、積算値保持部115のメモリサイズに合わせた縮小画像を、原画像相当の画素数の画像に拡大する変換を行う。この処理は、隣接画素値のコピーや、縮小画像の各画素間の線形もしくは非線形補完処理などの周知の方法によって行えばよい。以上の結果、各画素映像信号積算値として、0から255の範囲を持つ値が算出される。
【0061】
以上、映像信号積算値算出部11の動作を説明した。
【0062】
引き続き、
図1に示す映像信号レベル制御部12の動作について説明する。
【0063】
図6は、信号生成装置を構成する映像信号レベル制御部の構成を説明するための模式的なブロック図である。
【0064】
映像信号レベル制御部12は、ゲイン乗算部121とゲイン算出部122から構成されている。先ず、ゲイン算出部122の動作について説明する。
【0065】
映像信号積算値算出部11からの出力、即ち、各画素映像信号積算値は、ゲイン算出部122に入力される。ゲイン算出部122は、
図7のグラフに示すような特性に従って、各画素映像信号積算値に対応するゲイン値を算出する。
図7において、符号GN
peakはゲイン値の最大値、符号GN
baseはゲイン値の最小値である。尚、例えば、符号GN
peak=1.0、符号GN
base=0.5といった値である。
【0066】
ゲイン算出部122は、各画素映像信号積算値が小さいほど大きなゲイン値を出力し各画素映像信号積算値が大きいほど小さなゲイン値を出力するような重みづけの関数を、ルックアップテーブル若しくは演算式として備えており、各画素映像信号積算値に対応するゲイン値を算出する。
【0067】
図3に示すA点において、黒表示期間は積算値が0である。従って、時間tが、0≦t<T
1である間、
図6に示すゲイン算出部122は、A点に対応するゲイン値としてGN
peakを出力し続ける。
【0068】
時間t=T
1になると、ウィンドウの白表示期間が開始する。ウィンドウの点灯開始から時間が経過するにつれて、映像信号積算値は徐々にインクリメントされる。したがって、出力されるゲイン値も徐々に減少する。ウィンドウの点灯開始から128フレームが経過したときに、映像信号積算値は最大値255に達し、出力されるゲイン値は最小値G
baseとなる。それ以降のウィンドウの点灯期間にあっては、この状態が維持される(
図8を参照)。以上説明した動作によれば、入力映像信号の値に応じた積算ステップの値を時間軸方向に積算した積算値に基づいて入力映像信号に乗ずるゲイン値を変化させるように動作する。
【0069】
時間t=T
2になると、ウィンドウの黒表示期間が開始する。上述したように、黒表示期間は積算ステップが0である。従って、黒表示期間においては常にリセットが行われるため、積算値は0である。出力されるゲインは最大値
peakである(
図8を参照)。
【0070】
引き続き、
図6に示すゲイン乗算部121の動作について説明する。ゲイン乗算部121には、入力映像信号とゲイン算出部122が算出したゲイン値とが入力され、入力映像信号にゲイン値を乗算して出力映像信号とする。
【0071】
ここでは、入力映像信号(R
in,G
in,B
in)のそれぞれに同じゲイン値を乗算する。従って、原理的には、表示される画像の色度変化は生じない。ゲイン算出部122が出力するゲイン値を符号GN
outと表し、出力映像信号(R
out,G
out,B
out)と表せば、映像信号の値は、以下の式(3)、(4)、(5)で与えられる。尚、符号GN
outは0.5ないし1.0といった値である。
【0072】
R
out=GN
out・R
in (3)
G
out=GN
out・G
in (4)
R
out=GN
out・B
in (5)
【0073】
以上説明したように、第1入力映像信号、第2入力映像信号、及び、第3入力映像信号のそれぞれに共通のゲイン値を乗じて、第1原色を表示する第1副画素を駆動するための第1出力映像信号、第2原色を表示する第2副画素を駆動するための第2出力映像信号、及び、第3原色を表示する第3副画素を駆動するための第3出力映像信号を、出力映像信号として生成する。
【0074】
このように、出力映像信号の値は入力映像信号の値にゲイン値を乗ずることによって算出され、切り替わりから或る期間の間は表示領域の部分の各画素に対応する入力映像信号に通常よりも大きな値のゲイン値を乗ずる処理が施される。
【0075】
尚、入力映像信号にゲイン値を乗算する際に、入力映像信号の値に応じた重み付けをするといった構成としてもよい。
【0076】
図9は、入力映像信号が大きくなるほどゲイン値を増加させる係数を与える関数の例を示す模式的なグラフである。この特性は、入力映像信号が大きいほどゲイン値を増加させるような特性となっており、高輝度画素を、より高輝度に発光させる(輝度を突き上げる)効果を生む。
図9に示す係数の値を符号GK、入力映像信号に乗算されるゲイン値を符号GN’
outとすれば、GN’
outは以下の式(6)で与えれる。
【0077】
GN’
out=1+GK・GN
out (6)
【0078】
尚、符号GKは例えば0ないし1.0といった値である。符号GN’
outは1.0ないし2.0といった値となる。
【0079】
上述した式(6)に従えば、低輝度である場合には積算値算出結果に拘らず、GN’
out=1が出力される。即ち、低輝度表示時に積算値がリセットされることでGN
out=G
peakとなっていたとしても、GK=0であるためGN’
out=1となる。これによって、低階調側には影響を与えることなく、高輝度側の表示輝度を時間方向に制御することができる。
【0080】
以上説明した動作によれば、1つ以上の画素を含む表示領域の部分に対応する入力映像信号が低輝度表示の信号から高輝度表示の信号へ切り替わるとき、切り替わりから或る期間の間は表示領域の部分の輝度が通常より高くなるように表示領域の部分の各画素に対応する出力映像信号が生成される。
【0081】
これによって、画像のきらめきなどを強調するように出力映像信号が生成されるので、画像の臨場感を高めることができる。また、常時高輝度の表示を行うといった動作ではないので、消費電力の増加や表示素子の劣化に起因する焼き付きといった程度を抑えることができる。
【0082】
尚、本開示の技術は以下のような構成も取ることができる。
[1]
2次元マトリクス状に画素が配列されて成る表示領域を備えた画像表示部を駆動するための出力映像信号を表示すべき画像に対応して供給される入力映像信号に基づいて生成する信号生成装置であって、
1つ以上の画素を含む表示領域の部分に対応する入力映像信号が低輝度表示の信号から高輝度表示の信号へ切り替わるとき、切り替わりから或る期間の間は表示領域の部分の輝度が通常より高くなるように表示領域の部分の各画素に対応する出力映像信号を生成する、
信号生成装置。
[2]
表示領域の部分は1つの画素から成り、画素に対応する入力映像信号に基づいて低輝度表示の信号から高輝度表示の信号への切り替わりを検出する、
上記[1]に記載の信号生成装置。
[3]
表示領域の部分は複数の画素から成り、複数の画素のうちの一部の画素に対応する入力映像信号に基づいて低輝度表示の信号から高輝度表示の信号への切り替わりを検出する、上記[1]に記載の信号生成装置。
[4]
複数の画素のうちの一部の画素に対応する入力映像信号の平均に基づいて低輝度表示の信号から高輝度表示の信号への切り替わりを検出する、
上記[3]に記載の信号生成装置。
[5]
出力映像信号の値は入力映像信号の値にゲイン値を乗ずることによって算出され、
切り替わりから或る期間の間は表示領域の部分の各画素に対応する入力映像信号に通常よりも大きな値のゲイン値を乗ずる、
上記[1]ないし[4]のいずれかに記載の信号生成装置。
[6]
第1原色を表示するための第1入力映像信号、第2原色を表示するための第2入力映像信号、及び、第3原色を表示するための第3入力映像信号が、入力映像信号として供給され、
第1入力映像信号、第2入力映像信号、及び、第3入力映像信号のそれぞれに共通のゲイン値を乗じて、第1原色を表示する第1副画素を駆動するための第1出力映像信号、第2原色を表示する第2副画素を駆動するための第2出力映像信号、及び、第3原色を表示する第3副画素を駆動するための第3出力映像信号を、出力映像信号として生成する、
上記[5]に記載の信号生成装置。
[7]
入力映像信号の値に応じた積算ステップの値を時間軸方向に積算した積算値に基づいて入力映像信号に乗ずるゲイン値を変化させる、
上記[1]ないし[6]のいずれかに記載の信号生成装置。
[8]
ステップ値は、入力映像信号が最小輝度の画像を表示する値の場合には最小、入力映像信号が最大輝度の画像を表示する値の場合には最大となるように設定されている、
上記[7]に記載の信号生成装置。
[9]
積算ステップが所定の値以下である場合に積算値をリセットする処理を行う、
上記[7]または[8]に記載の信号生成装置。
[10]
2次元マトリクス状に画素が配列されて成る表示領域を備えた画像表示部を駆動するための出力映像信号を表示すべき画像に対応して供給される入力映像信号に基づいて生成する信号生成装置において実行されることにより、
1つ以上の画素を含む表示領域の部分に対応する入力映像信号が低輝度表示の信号から高輝度表示の信号へ切り替わるとき、切り替わりから或る期間の間は表示領域の部分の輝度が通常より高くなるように表示領域の部分の各画素に対応する出力映像信号を生成する、
信号生成プログラム。
[11]
表示領域の部分は1つの画素から成り、画素に対応する入力映像信号に基づいて低輝度表示の信号から高輝度表示の信号への切り替わりを検出する、
上記[10]に記載の信号生成プログラム。
[12]
表示領域の部分は複数の画素から成り、複数の画素のうちの一部の画素に対応する入力映像信号に基づいて低輝度表示の信号から高輝度表示の信号への切り替わりを検出する、上記[10]に記載の信号生成プログラム。
[13]
複数の画素のうちの一部の画素に対応する入力映像信号の平均に基づいて低輝度表示の信号から高輝度表示の信号への切り替わりを検出する、
上記[12]に記載の信号生成プログラム。
[14]
出力映像信号の値は入力映像信号の値にゲイン値を乗ずることによって算出され、
切り替わりから或る期間の間は表示領域の部分の各画素に対応する入力映像信号に通常よりも大きな値のゲイン値を乗ずる、
上記[10]ないし[13]のいずれかに記載の信号生成プログラム。
[15]
第1原色を表示するための第1入力映像信号、第2原色を表示するための第2入力映像信号、及び、第3原色を表示するための第3入力映像信号が、入力映像信号として供給され、
第1入力映像信号、第2入力映像信号、及び、第3入力映像信号のそれぞれに共通のゲイン値を乗じて、第1原色を表示する第1副画素を駆動するための第1出力映像信号、第2原色を表示する第2副画素を駆動するための第2出力映像信号、及び、第3原色を表示する第3副画素を駆動するための第3出力映像信号を、出力映像信号として生成する、
上記[14]に記載の信号生成プログラム。
[16]
入力映像信号の値に応じた積算ステップの値を時間軸方向に積算した積算値に基づいて入力映像信号に乗ずるゲイン値を変化させる、
上記[10]ないし[15]のいずれかに記載の信号生成プログラム。
[17]
ステップ値は、入力映像信号が最小輝度の画像を表示する値の場合には最小、入力映像信号が最大輝度の画像を表示する値の場合には最大となるように設定されている、
上記[16]に記載の信号生成プログラム。
[18]
積算ステップが所定の値以下である場合に積算値をリセットする処理を行う、
上記[16]または[17]に記載の信号生成プログラム。
[19]
2次元マトリクス状に画素が配列されて成る表示領域を備えた画像表示部を駆動するための出力映像信号を表示すべき画像に対応して供給される入力映像信号に基づいて生成する信号生成方法であって、
1つ以上の画素を含む表示領域の部分に対応する入力映像信号が低輝度表示の信号から高輝度表示の信号へ切り替わるとき、切り替わりから或る期間の間は表示領域の部分の輝度が通常より高くなるように表示領域の部分の各画素に対応する出力映像信号を生成する、
信号生成方法。
[20]
表示領域の部分は1つの画素から成り、画素に対応する入力映像信号に基づいて低輝度表示の信号から高輝度表示の信号への切り替わりを検出する、
上記[19]に記載の信号生成方法。
[21]
表示領域の部分は複数の画素から成り、複数の画素のうちの一部の画素に対応する入力映像信号に基づいて低輝度表示の信号から高輝度表示の信号への切り替わりを検出する、上記[19]に記載の信号生成方法。
[22]
複数の画素のうちの一部の画素に対応する入力映像信号の平均に基づいて低輝度表示の信号から高輝度表示の信号への切り替わりを検出する、
上記[21]に記載の信号生成方法。
[23]
出力映像信号の値は入力映像信号の値にゲイン値を乗ずることによって算出され、
切り替わりから或る期間の間は表示領域の部分の各画素に対応する入力映像信号に通常よりも大きな値のゲイン値を乗ずる、
上記[19]ないし[22]のいずれかに記載の信号生成方法。
[24]
第1原色を表示するための第1入力映像信号、第2原色を表示するための第2入力映像信号、及び、第3原色を表示するための第3入力映像信号が、入力映像信号として供給され、
第1入力映像信号、第2入力映像信号、及び、第3入力映像信号のそれぞれに共通のゲイン値を乗じて、第1原色を表示する第1副画素を駆動するための第1出力映像信号、第2原色を表示する第2副画素を駆動するための第2出力映像信号、及び、第3原色を表示する第3副画素を駆動するための第3出力映像信号を、出力映像信号として生成する、
上記[23]に記載の信号生成方法。
[25]
入力映像信号の値に応じた積算ステップの値を時間軸方向に積算した積算値に基づいて入力映像信号に乗ずるゲイン値を変化させる、
上記[19]ないし[24]のいずれかに記載の信号生成方法。
[26]
ステップ値は、入力映像信号が最小輝度の画像を表示する値の場合には最小、入力映像信号が最大輝度の画像を表示する値の場合には最大となるように設定されている、
上記[25]に記載の信号生成方法。
[27]
積算ステップが所定の値以下である場合に積算値をリセットする処理を行う、
上記[25]または[26]に記載の信号生成方法。
[28]
2次元マトリクス状に画素が配列されて成る表示領域を備えた画像表示部部、及び、
画像表示部を駆動するための出力映像信号を表示すべき画像に対応して供給される入力映像信号に基づいて生成する信号生成部、
を備えており、
信号生成部は、
1つ以上の画素を含む表示領域の部分に対応する入力映像信号が低輝度表示の信号から高輝度表示の信号へ切り替わるとき、切り替わりから或る期間の間は表示領域の部分の輝度が通常より高くなるように表示領域の部分の各画素に対応する出力映像信号を生成する、
画像表示装置。
[29]
表示領域の部分は1つの画素から成り、画素に対応する入力映像信号に基づいて低輝度表示の信号から高輝度表示の信号への切り替わりを検出する、
上記[28]に記載の画像表示装置。
[30]
表示領域の部分は複数の画素から成り、複数の画素のうちの一部の画素に対応する入力映像信号に基づいて低輝度表示の信号から高輝度表示の信号への切り替わりを検出する、上記[28]に記載の画像表示装置。
[31]
複数の画素のうちの一部の画素に対応する入力映像信号の平均に基づいて低輝度表示の信号から高輝度表示の信号への切り替わりを検出する、
上記[30]に記載の画像表示装置。
[32]
出力映像信号の値は入力映像信号の値にゲイン値を乗ずることによって算出され、
切り替わりから或る期間の間は表示領域の部分の各画素に対応する入力映像信号に通常よりも大きな値のゲイン値を乗ずる、
上記[28]ないし[31]のいずれかに記載の画像表示装置。
[33]
第1原色を表示するための第1入力映像信号、第2原色を表示するための第2入力映像信号、及び、第3原色を表示するための第3入力映像信号が、入力映像信号として供給され、
第1入力映像信号、第2入力映像信号、及び、第3入力映像信号のそれぞれに共通のゲイン値を乗じて、第1原色を表示する第1副画素を駆動するための第1出力映像信号、第2原色を表示する第2副画素を駆動するための第2出力映像信号、及び、第3原色を表示する第3副画素を駆動するための第3出力映像信号を、出力映像信号として生成する、
上記[32]に記載の画像表示装置。
[34]
入力映像信号の値に応じた積算ステップの値を時間軸方向に積算した積算値に基づいて入力映像信号に乗ずるゲイン値を変化させる、
上記[28]ないし[33]のいずれかに記載の画像表示装置。
[35]
ステップ値は、入力映像信号が最小輝度の画像を表示する値の場合には最小、入力映像信号が最大輝度の画像を表示する値の場合には最大となるように設定されている、
上記[34]に記載の画像表示装置。
[36]
積算ステップが所定の値以下である場合に積算値をリセットする処理を行う、
上記[34]または[35]に記載の画像表示装置。