特許第6288841号(P6288841)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6288841ごみ焼却炉の水冷式ストーカ装置及びその運転方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6288841
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】ごみ焼却炉の水冷式ストーカ装置及びその運転方法
(51)【国際特許分類】
   F23G 5/50 20060101AFI20180226BHJP
   F23G 5/00 20060101ALI20180226BHJP
   F23G 5/46 20060101ALI20180226BHJP
   F23J 15/06 20060101ALI20180226BHJP
【FI】
   F23G5/50 CZAB
   F23G5/00 109
   F23G5/46 Z
   F23J15/06
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-78325(P2014-78325)
(22)【出願日】2014年4月7日
(65)【公開番号】特開2015-200440(P2015-200440A)
(43)【公開日】2015年11月12日
【審査請求日】2017年3月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000133032
【氏名又は名称】株式会社タクマ
(74)【代理人】
【識別番号】100129540
【弁理士】
【氏名又は名称】谷田 龍一
(74)【代理人】
【識別番号】100082474
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 丈夫
(72)【発明者】
【氏名】望月 懇
【審査官】 礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−004218(JP,A)
【文献】 実公昭47−031709(JP,Y1)
【文献】 実開昭56−117244(JP,U)
【文献】 特開平08−094042(JP,A)
【文献】 特開平10−038234(JP,A)
【文献】 特開2001−343112(JP,A)
【文献】 特開2010−174845(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23G 5/00 − 5/50
F23J 15/00 − 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
火格子冷却水通路をそれぞれ形成した可動火格子と固定火格子とを階段状又は傾斜状に組み合せて成る水冷式ストーカと、水冷式ストーカへ火格子冷却水を循環流通させつつ冷却する火格子冷却水循環・冷却機構とから構成したごみ焼却炉の水冷式ストーカ装置に於いて、前記火格子冷却水循環・冷却機構は、火格子冷却水を循環流通させる火格子冷却部と火格子冷却部の火格子冷却水を冷水により冷却する火格子冷却水冷却部とを間接熱交換器を介して熱的に連結すると共に、火格子冷却水冷却部の冷水をごみ焼却炉の排ガス排出経路に設置されている排ガス冷却室に水を噴射する水噴射供給装置へ供給する構成とし、前記火格子冷却部は、火格子冷却水を貯留する火格子冷却水タンクと、火格子冷却水の循環ポンプと、火格子冷却水を各可動火格子及び固定火格子の火格子冷却水通路へ供給する給水側ヘッダと、各火格子冷却水通路から火格子冷却水を排水する排水側ヘッダと、排水側ヘッダからの火格子冷却水を冷却する間接熱交換器の火格子冷却水側熱交換エレメントとから成り、また、前記火格子冷却水冷却部は、冷水を貯留する冷水タンクと、冷水の送水ポンプと、間接熱交換器の冷水側熱交換エレメントと、冷水側熱交換エレメントの入口側又は出口側に設けた冷水量調節弁と、間接熱交換器の出口側の火格子冷却水の検出温度により冷水量調節弁を制御する温度制御器とから成ることを特徴とするごみ焼却炉の水冷式ストーカ装置。
【請求項2】
火格子冷却水循環・冷却機構は、熱利用設備及び第2間接熱交換器を備えており、前記熱利用設備と火格子冷却部の火格子冷却水系とを、間接熱交換器と排水側ヘッダとの間に設けた第2間接熱交換器を介して熱的に連結したことを特徴とする請求項1に記載のごみ焼却炉の水冷式ストーカ装置。
【請求項3】
火格子冷却水通路をそれぞれ形成した可動火格子と固定火格子とを階段状又は傾斜状に組み合せて成る水冷式ストーカと、水冷式ストーカへ火格子冷却水を循環流通させつつ冷却する火格子冷却水循環・冷却機構とから構成したごみ焼却炉の水冷式ストーカ装置に於いて、前記火格子冷却水循環・冷却機構は、火格子冷却水を循環流通させる火格子冷却部と火格子冷却部の火格子冷却水を冷水により冷却する火格子冷却水冷却部とを間接熱交換器を介して熱的に連結すると共に、火格子冷却水冷却部の冷水をごみ焼却炉の排ガス排出経路に設置されている排ガス冷却室に水を噴射する水噴射供給装置へ供給する構成とし、前記火格子冷却部は、火格子冷却水を貯留する火格子冷却水タンクと、火格子冷却水の循環ポンプと、火格子冷却水を各可動火格子及び固定火格子の火格子冷却水通路へ供給する給水側ヘッダと、各火格子冷却水通路から火格子冷却水を排水する排水側ヘッダと、排水側ヘッダからの火格子冷却水を冷却する間接熱交換器の火格子冷却水側熱交換エレメントとから成り、また、前記火格子冷却水冷却部は、冷水を貯留する冷水タンクと、冷水の送水ポンプと、間接熱交換器の冷水側熱交換エレメントと、冷水側熱交換エレメントの入口側に設けた冷水量調節弁と、排ガス冷却室への噴射水量に応じて冷水量調節弁を制御する流量制御器と、冷水側熱交換エレメントの出口側又は入口側に設けられ、間接熱交換器への冷水の流通制御を行う三方弁と、間接熱交換器の出口側の火格子冷却水の検出温度により三方弁を制御する温度制御器とから成ることを特徴とするごみ焼却炉の水冷式ストーカ装置。
【請求項4】
請求項1に記載のごみ焼却炉の水冷式ストーカ装置に於いて、火格子冷却水タンク内の火格子冷却水を井水又は上水とし、井水又は上水を火格子冷却水循環ポンプにより圧送して水冷式ストーカに通した後、間接熱交換器により冷却して火格子冷却水タンクに戻し、また、冷却タンク内の冷水を井水又は雨水とし、井水又は雨水を冷水ポンプにより間接熱交換器に圧送してここで火格子冷却水の冷却に使用した後、排ガス冷却室の水噴射供給装置へ供給して排ガス冷却室の噴射水として利用するようにしたことを特徴とするごみ焼却炉の水冷式ストーカ装置の運転方法。
【請求項5】
間接熱交換器に入る前の火格子冷却水を第2間接熱交換器に通してここで熱利用設備からの冷却水又は冷却空気により冷却するようにしたことを特徴とする請求項4に記載のごみ焼却炉の水冷式ストーカ装置の運転方法。
【請求項6】
請求項3に記載のごみ焼却炉の水冷式ストーカ装置に於いて、火格子冷却水タンク内の火格子冷却水を井水又は上水とし、井水又は上水を火格子冷却水循環ポンプにより圧送して水冷式ストーカに通した後、間接熱交換器により冷却して火格子冷却水タンクに戻し、また、冷却タンク内の冷水を雨水とし、この雨水を送水ポンプにより間接熱交換器に圧送してここで火格子冷却水の冷却に使用した後、当該雨水を排ガス冷却室の水噴射供給装置へ供給して排ガス冷却室の噴射水として利用し、更に、排ガス冷却室への水噴射流量に応じて冷水量調節弁を制御して雨水の量を調整すると共に、間接熱交換器の出口側の火格子冷却水の検出温度に基づいて三方弁を制御して間接熱交換器への雨水の流通制御を行うようにしたことを特徴とするごみ焼却炉の水冷式ストーカ装置の運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に都市ごみや産業廃棄物等を焼却処理するごみ焼却炉の水冷式ストーカ装置及びその運転方法の改良に係り、従来から水冷ストーカ内を循環流通する火格子冷却水の冷却に用いられていた冷却塔やベンチレータの代わりに、間接熱交換器と冷水(井水又は雨水)とを使用し、間接熱交換器で火格子冷却水を冷却した後の前記冷水をごみ焼却炉の排ガス排出経路に必ず設置されている排ガス冷却室への噴射水として利用することによって、設備の簡略化や設備費及びランニングコストの削減等を図れるようにしたごみ焼却炉の水冷式ストーカ装置及びその運転方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、水冷式ストーカ装置としては、例えば、特表平10−504890号公報(特許文献1)や特開2003−4218号公報(特許文献2)に開示された構造のものが知られている。
【0003】
即ち、前者の水冷式ストーカ装置A′は、図4に示す如く、可動火格子及び固定火格子を交互に並列させて成る水冷式ストーカB′と、水冷式ストーカB′へ火格子冷却水を循環流通させる火格子冷却水循環・冷却機構C′とから構成されている。
【0004】
また、火格子冷却水循環・冷却機構C′は、ポンプ40、流量測定装置41、膨張容器42、温度測定装置43、圧力測定装置44、再冷却器45、ベンチレータ46、圧力調整弁47等から構成されており、圧力調整弁47を通して供給された火格子冷却水をポンプ40により水冷式ストーカB′へ循環流通させ、水冷式ストーカB′から流出した火格子冷却水を再冷却器45及びベンチレータ46で冷却するようにしている。
【0005】
しかし、前者の水冷式ストーカ装置A′は、火格子冷却水を再冷却器45及びベンチレータ46で冷却するようにしているため、冷却能力が相対的に低いだけでなく、温度制御の応答性が極めて悪いと云う問題があった。しかも、膨張容器42の内圧をコンプレッサー(図示省略)の運転制御を介して調整することによって、火格子冷却水系の内圧を制御する構成としているため、火格子冷却水循環・冷却機構C′の圧力保持機構構造や運転制御操作が複雑になる等の問題があった。
【0006】
一方、後者の水冷式ストーカ装置A′は、図5に示す如く、可動火格子50と固定火格子51とを交互に階段状又は傾斜状に組み合せて成る水冷式ストーカB′と、水冷式ストーカB′へ火格子冷却水W′を循環流通させる火格子冷却水循環・冷却機構C′とから構成されている。
【0007】
また、火格子冷却水循環・冷却機構C′は、火格子冷却部C1′と火格子冷却水W′の冷却部C2′とから構成されており、両冷却部C1′,C2′は間接型熱交換器52を介して熱的に連結されている。
【0008】
即ち、火格子冷却部C1′は、火格子冷却水タンク53、加圧循環ポンプ54、火格子冷却水循環量制御弁55、給水側ヘッダ56、排水側ヘッダ57、間接型熱交換器52の火格子冷却水側熱交換エレメント52a、圧力制御弁58、温度制御器59、温度検出器59a、圧力制御器60及び圧力検出器60a等から構成されており、火格子冷却水タンク53内の火格子冷却水W′を加圧循環ポンプ54により水冷式ストーカB′へ循環流通させるようになっている。
【0009】
一方、火格子冷却水W′の冷却部C2′は、冷水タンク61、冷水循環ポンプ62、冷水循環量制御弁63、間接型熱交換器52の冷水側熱交換エレメント52b、冷却塔64、温度制御器65及び温度検出器65a等から構成されており、冷水タンク61内の冷水Wo′を冷水循環ポンプ62により間接型熱交換器52の冷水側熱交換エレメント52bへ送り、間接型熱交換器52内で火格子冷却水W′を冷却した後の冷水Wo′を冷却塔64で冷却して冷水タンク61に戻すようにしている。
【0010】
後者の水冷式ストーカ装置A′は、間接型熱交換器52を用いて火格子冷却部C1′と火格子冷却水W′の冷却部C2′とを完全に分割した構成としているため、前者の水冷式ストーカ装置A′の問題を解決することができる。
【0011】
しかし、後者の水冷式ストーカ装置A′は、火格子冷却水W′の冷却部C2′に冷却塔64を設けているため、設備が複雑になって設備費が増大すると云う問題があった。
【0012】
また、冷却塔64を使用する循環冷却水系では、冷水Wo′を循環利用しているため、蒸発による冷水Wo′の濃縮が生じ、スケール障害、腐食障害、スライム障害が発生し易いので、火格子冷却水W′の冷却部C2′の冷水Wo′に薬剤(腐食防止剤、防スケール剤、防スライム剤)を注入するための注入装置(図示省略)が必要になり、設備費がより増大すると云う問題があった。
【0013】
更に、火格子冷却水W′の冷却部C2′の冷水Wo′に薬剤を注入するため、ランニングコストも増大すると云う問題があった。
【0014】
加えて、冷却塔64に用いる充填材の材質が一般的にポリ塩化ビニル(PVC)であるため、耐熱の限界が45℃未満であり、また、耐熱仕様でも45℃〜70℃であるので、誤って耐熱以上の水が流入すると、充填材が座屈し、交換する必要が生じる。この場合には、休炉を余儀なくされ、交換費も発生すると云う問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特表平10−504890号公報
【特許文献2】特開2003−4218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、このような問題点に鑑みて為されたものであり、その目的は、間接熱交換器と冷水(井水又は雨水)とを使用し、間接熱交換器で火格子冷却水を冷却した後の前記冷水をごみ焼却炉の排ガス排出経路に設置されている排ガス冷却室への噴射水として利用することによって、冷却塔を削減できて薬剤の注入装置及び薬剤が不要となり、設備の簡略化を図れると共に、設備費及びランニングコストの削減等を図れるようにしたごみ焼却炉の水冷式ストーカ装置及びその運転方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1の発明は、火格子冷却水通路をそれぞれ形成した可動火格子と固定火格子とを階段状又は傾斜状に組み合せて成る水冷式ストーカと、水冷式ストーカへ火格子冷却水を循環流通させつつ冷却する火格子冷却水循環・冷却機構とから構成したごみ焼却炉の水冷式ストーカ装置に於いて、前記火格子冷却水循環・冷却機構は、火格子冷却水を循環流通させる火格子冷却部と火格子冷却部の火格子冷却水を冷水により冷却する火格子冷却水冷却部とを間接熱交換器を介して熱的に連結すると共に、火格子冷却水冷却部の冷水をごみ焼却炉の排ガス排出経路に設置されている排ガス冷却室に水を噴射する水噴射供給装置へ供給する構成とし、前記火格子冷却部は、火格子冷却水を貯留する火格子冷却水タンクと、火格子冷却水の循環ポンプと、火格子冷却水を各可動火格子及び固定火格子の火格子冷却水通路へ供給する給水側ヘッダと、各火格子冷却水通路から火格子冷却水を排水する排水側ヘッダと、排水側ヘッダからの火格子冷却水を冷却する間接熱交換器の火格子冷却水側熱交換エレメントととから成り、また、前記火格子冷却水冷却部は、冷水を貯留する冷水タンクと、冷水の送水ポンプと、間接熱交換器の冷水側熱交換エレメントと、冷水側熱交換エレメントの入口側又は出口側に設けた冷水量調節弁と、間接熱交換器の出口側の火格子冷却水の検出温度により冷水量調節弁を制御する温度制御器とから成ることに特徴がある。
【0018】
本発明の請求項2の発明は、請求項1に記載の発明に於いて、火格子冷却水循環・冷却機構は、熱利用設備及び第2間接熱交換器を備えており、前記熱利用設備と火格子冷却部の火格子冷却水系とを、間接熱交換器と排水側ヘッダとの間に設けた第2間接熱交換器を介して熱的に連結したことに特徴がある。
【0019】
本発明の請求項3の発明は、火格子冷却水通路をそれぞれ形成した可動火格子と固定火格子とを階段状又は傾斜状に組み合せて成る水冷式ストーカと、水冷式ストーカへ火格子冷却水を循環流通させつつ冷却する火格子冷却水循環・冷却機構とから構成したごみ焼却炉の水冷式ストーカ装置に於いて、前記火格子冷却水循環・冷却機構は、火格子冷却水を循環流通させる火格子冷却部と火格子冷却部の火格子冷却水を冷水により冷却する火格子冷却水冷却部とを間接熱交換器を介して熱的に連結すると共に、火格子冷却水冷却部の冷水をごみ焼却炉の排ガス排出経路に設置されている排ガス冷却室に水を噴射する水噴射供給装置へ供給する構成とし、前記火格子冷却部は、火格子冷却水を貯留する火格子冷却水タンクと、火格子冷却水の循環ポンプと、火格子冷却水を各可動火格子及び固定火格子の火格子冷却水通路へ供給する給水側ヘッダと、各火格子冷却水通路から火格子冷却水を排水する排水側ヘッダと、排水側ヘッダからの火格子冷却水を冷却する間接熱交換器の火格子冷却水側熱交換エレメントとから成り、また、前記火格子冷却水冷却部は、冷水を貯留する冷水タンクと、冷水の送水ポンプと、間接熱交換器の冷水側熱交換エレメントと、冷水側熱交換エレメントの入口側に設けた冷水量調節弁と、排ガス冷却室への噴射水量に応じて冷水量調節弁を制御する流量制御器と、冷水側熱交換エレメントの出口側又は入口側に設けられ、間接熱交換器への冷水の流通制御を行う三方弁と、間接熱交換器の出口側の火格子冷却水の検出温度により三方弁を制御する温度制御器とから成ることに特徴がある。
【0020】
本発明の請求項4の発明は、請求項1に記載のごみ焼却炉の水冷式ストーカ装置に於いて、火格子冷却水タンク内の火格子冷却水を井水又は上水とし、井水又は上水を火格子冷却水循環ポンプにより圧送して水冷式ストーカに通した後、間接熱交換器により冷却して火格子冷却水タンクに戻し、また、冷却タンク内の冷水を井水又は雨水とし、井水又は雨水を冷水ポンプにより間接熱交換器に圧送してここで火格子冷却水の冷却に使用した後、排ガス冷却室の水噴射供給装置へ供給して排ガス冷却室の噴射水として利用するようにしたことに特徴がある。
【0021】
本発明の請求項5の発明は、請求項4に記載の発明に於いて、間接熱交換器に入る前の火格子冷却水を第2間接熱交換器に通してここで熱利用設備からの冷却水又は冷却空気により冷却するようにしたことに特徴がある。
【0022】
本発明の請求項6の発明は、請求項3に記載のごみ焼却炉の水冷式ストーカ装置に於いて、火格子冷却水タンク内の火格子冷却水を井水又は上水とし、井水又は上水を火格子冷却水循環ポンプにより圧送して水冷式ストーカに通した後、間接熱交換器により冷却して火格子冷却水タンクに戻し、また、冷却タンク内の冷水を雨水とし、この雨水を送水ポンプにより間接熱交換器に圧送してここで火格子冷却水の冷却に使用した後、当該雨水を排ガス冷却室の水噴射供給装置へ供給して排ガス冷却室の噴射水として利用し、更に、排ガス冷却室への水噴射流量に応じて冷水量調節弁を制御して雨水の量を調整すると共に、間接熱交換器の出口側の火格子冷却水の検出温度に基づいて三方弁を制御して間接熱交換器への雨水の流通制御を行うようにしたことに特徴がある。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、水冷式ストーカ装置へ火格子冷却水を循環流通させる火格子冷却部と火格子冷却部の火格子冷却水を冷水により冷却する火格子冷却水冷却部とを間接熱交換器を介して熱的に連結し、火格子冷却水冷却部の冷却水を間接熱交換器で火格子冷却水の冷却に使用した後、排ガス冷却室の水噴射供給装置へ供給して排ガス冷却室の噴射水として利用するようにしているため、上述した従来技術のように火格子冷却水の冷却に使用した冷水を冷却塔で冷却する必要もなく、火格子冷却水の冷却部の冷却塔を削減することができ、設備の簡略化を図れると共に、設備費の削減を図れる。
また、本発明は、冷却塔を削減できたことによって、火格子冷却水の冷却部の冷水に薬剤を注入する必要がなくなり、薬剤の注入装置が不要になって設備費をより削減することができると共に、薬剤も不要となってランニングコストの削減も図れる。
更に、本発明は、冷却塔を使用しないため、冷却塔に用いる充填材の座屈のリスクを回避することができる。
そのうえ、本発明は、間接熱交換器に入る前の火格子冷却水を第2間接熱交換器に通してここで熱利用設備からの冷却水、冷却空気、熱媒油又は低沸点媒体により冷却するようにしているため、熱エネルギーの有効利用を図れる。
加えて、本発明は、冷水として井水又は雨水を使用しているため、冷水に上水を使用した従来技術に比較してコスト削減を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の第1の実施形態に係るごみ焼却炉の水冷式ストーカ装置の概略系統図である。
図2】本発明の第2の実施形態に係るごみ焼却炉の水冷式ストーカ装置の概略系統図である。
図3】本発明の第3の実施形態に係るごみ焼却炉の水冷式ストーカ装置の概略系統図である。
図4】従来の水冷式ストーカ装置の一例を示す概略系統図である。
図5】同じく従来の水冷式ストーカ装置の他の例を示す概略系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係るごみ焼却炉Dの水冷式ストーカ装置Aの概略系統図を示し、当該ごみ焼却炉Dの水冷式ストーカ装置Aは、火格子冷却水通路(図示省略)をそれぞれ形成した可動火格子1と固定火格子2とを階段状又は傾斜状に組み合せて成る水冷式ストーカBと、水冷式ストーカBへ火格子冷却水Wを循環流通させつつ冷却する火格子冷却水循環・冷却機構Cとから構成されている。
【0026】
即ち、前記水冷式ストーカBは、冷却水通路(図示省略)を形成した複数基の水冷式火格子本体3を並列状に組み合せ、隣接する水冷式火格子本体3の冷却水通路同士を連結して連通状の火格子冷却水通路(図示省略)を形成して成る可動火格子1と固定火格子2とを複数基交互に階段状又は傾斜状に組み合せることにより構成されており、各可動火格子1の作動により都市ごみ等の廃棄物が矢印方向へ移動して行くようになっている。
この水冷式ストーカBは、従来公知のものと同様構造に構成されているため、ここではその詳細な説明を省略する。
尚、水冷式ストーカBの形式及び構造等は、火格子冷却水通路を備えておれば、如何なるものであっても良い。
【0027】
一方、火格子冷却水循環・冷却機構Cは、火格子冷却水Wを循環流通させる火格子冷却部C1と火格子冷却部C1の火格子冷却水Wを冷水Woにより冷却する火格子冷却水冷却部C2とを間接熱交換器4を介して熱的に連結すると共に、間接熱交換器4で使用した火格子冷却水冷却部C2の冷水Woをごみ焼却炉Dの排ガス排出経路に設置されている排ガス冷却室Eに水を噴射する水噴射供給装置Fへ供給する構成としている。
【0028】
尚、排ガス冷却室Eは、ごみ焼却炉Dの排ガス排出経路に必ず設置されており、ごみ焼却炉Dから排出されて廃熱ボイラ等により熱回収された排ガスを排ガス冷却室E内に導き、ここで水噴射供給装置Fにより排ガス冷却室E内に水を噴射して排ガスの温度を排ガス冷却室Eの下流側に設けたバグフィルタ等の排ガス処理設備に適した温度にまで減温するものである。
【0029】
また、排ガス冷却室Eの水噴射供給装置Fは、火格子冷却水冷却部C2からの冷水Woと雨水又は井水とを貯留する水噴射タンク5と、水噴射タンク5内の冷水Woを圧送する水噴射ポンプ6と、水噴射ポンプ6の下流側に設けた流量計7と、流量計7の下流側に設けた水噴射制御弁8と、排ガス冷却室E内に冷水Woを噴射する水噴射ノズル9と、排ガス冷却室Eの出口側のガス温度を検出する排ガス温度検出器10と、排ガス温度検出器10の検出温度により水噴射制御弁8を制御する温度制御器11と、前記各機器同士を連結する配管12とから成り、排ガス冷却室Eへの冷水Woの噴射量を、排ガス温度検出器10からの検出温度に基づき温度制御器11を介して水噴射制御弁8の開度を調整することにより制御し、排ガス冷却室Eの出口側の排ガス温度を所定の温度(バグフィルタ等の排ガス処理設備に適した温度)に保つようにしたものである。
【0030】
前記火格子冷却水循環・冷却機構Cの火格子冷却部C1は、火格子冷却水Wを貯留する火格子冷却水タンク13と、火格子冷却水Wの循環ポンプ14と、火格子冷却水Wを各可動火格子1及び固定火格子2の火格子冷却水通路へ供給する給水側ヘッダ16と、各火格子冷却水通路から火格子冷却水Wを排水する排水側ヘッダ17と、排水側ヘッダ17からの火格子冷却水Wを冷却する間接熱交換器4の火格子冷却水側熱交換エレメント4aと、前記各機器同士を連結する配管21とから成り、火格子冷却水Wを循環流通させるようになっている。
【0031】
前記火格子冷却水タンク13は、開放型のタンクに形成されており、その内部には、火格子冷却水Wとして井水又は上水が貯留されている。この実施形態では、火格子冷却水タンク13には、井水が貯留されている。
また、火格子冷却水タンク13内の液面が設定値以下になった場合には、井水又は上水が火格子冷却水Wとして補給される。
【0032】
火格子冷却水タンク13内の火格子冷却水Wは、循環ポンプ14により圧送され、給水側ヘッダ16を経て水冷式ストーカBの各可動火格子1及び固定火格子2の火格子冷却水通路を通過し、水冷式ストーカBを冷却して約35℃昇温(この温度は炉内の燃焼状態により変動)されて排水側ヘッダ17へ排出され、間接熱交換器4で冷水Woにより約20℃に間接冷却された後、火格子冷却水タンク13内へ戻される。
【0033】
尚、火格子冷却水側熱交換エレメント4aと循環ポンプ14の吸水口側の間の火格子冷却水系は、ほぼ大気圧と同圧に保持されている。その結果、火格子冷却水タンク13への火格子冷却水Wの補給は、極めて簡単に行なえる。
【0034】
更に、間接熱交換器4に於ける火格子冷却水Wの冷却は、後述するように間接熱交換器4の火格子冷却水Wの出口側に設けた温度検出器25aにより火格子冷却水Wの温度を検出し、この検出温度に基づいて温度制御器25を介して冷水量調節弁24の開度を調整し、間接熱交換器4への冷水Wo量を調整することにより制御されている。
具体的には、間接熱交換器4から火格子冷却水タンク13へ戻す火格子冷却水Wの温度を約20℃(例えば、Woで用いている井水又は雨水の温度約15℃として+5℃位高くなる温度)に保持するようにしている。
【0035】
一方、前記火格子冷却水循環・冷却機構Cの火格子冷却水冷却部C2は、冷水Woを貯留する冷水タンク22と、冷水Woの送水ポンプ23と、間接熱交換器4の冷水側熱交換エレメント4bと、冷水側熱交換エレメント4bの入口側(又は出口側)に設けた冷水量調節弁24と、間接熱交換器4の出口側の火格子冷却水Wの検出温度により冷水量調節弁24を制御する温度制御器25と、前記各機器同士を連結する配管26とから成り、冷水Woを間接熱交換器4で火格子冷却水Wの冷却に使用した後、当該冷水Woをごみ焼却炉Dの排ガス排出経路に必ず設置されている排ガス冷却室Eの水噴射供給装置Fへ供給し、前記冷水Woを排ガス冷却室Eの噴射水として利用するようにしている。
【0036】
前記冷水タンク22は、開放型のタンクに形成されており、その内部には、冷水Woとして井水又は雨水が貯留されている。
また、冷水タンク22内の液面が設定値以下になると、冷水Woとして井水を使用している場合には、井水が井水ポンプ(図示省略)等により冷水Woとして補給される。
尚、冷水タンク22内の冷水Woの一部は、分岐配管26aを介してごみ焼却プラント内で補給水、加湿水、散水等として使用される。
【0037】
冷水タンク22内の冷水Woは、送水ポンプ23により圧送され、冷水量調節弁24を経て間接熱交換器4に入り、ここで火格子冷却水Wを冷却した後、水噴射供給装置Fの水噴射タンク5内に入る。
【0038】
このとき、間接熱交換器4へ流通させる冷水Woの量は、間接熱交換後の火格子冷却水Wの温度が一定になるように調整されている。
即ち、間接熱交換器4への冷水Wo量の調整は、間接熱交換器4の火格子冷却水Wの出口側に設けた温度検出器25aにより火格子冷却水Wの温度を検出し、この検出温度に基づいて温度制御器25で冷水量調節弁24の開度を調整することにより行なわれている。
例えば、火格子冷却水Wに約15℃の井水を使用した場合には、間接熱交換後の火格子冷却水Wの温度が約20℃(+5℃位)になるように、冷水Woの量が冷水量調節弁24により調整されている。
【0039】
尚、この実施形態では、冷水量調節弁24の取り付け位置を冷水側熱交換エレメント4bの入口側としているが、他の実施形態では、冷水量調節弁24を冷水側熱交換エレメント4bの出口側に取り付けるようにしても良い。
また、間接熱交換器4としては、火格子冷却水Wと冷水Woとが非混合の状態で熱交換を行うものであれば、プレート式、管形式等に拘わらず、如何なる構造の熱交換器であっても良い。
【0040】
ところで、前記間接熱交換器4の伝熱面積は、下記の条件で決められている(数値は何れも一例である)。
・ 火格子冷却水Wの水冷式ストーカBを出た温度、つまり間接熱交換器4の入口側の温 度Thin(20℃+水冷火格子での振れ幅込みの温度上昇分60℃)=80℃
・ 間接熱交換器4の出口水温Thout=20℃
・ 火格子冷却水量Wh(t/h)
・ 間接熱交換器4の入口の冷水温度Tcin=井水又は雨水の水温(15℃)
・ 間接熱交換器4の出口の冷水温度Tcoutは、一般的な渦巻きポンプがタンクと同 等レベルで設置してあっても、キャビテーションを起こさない温度以下(例えば、 50℃以下)
・ 間接熱交換器4への冷水量Wc(t/h)が排ガス冷却室Eへの設計上の水噴射量 (Ww)以上にならないようにした量(例えば、Wc=Ww×0.9)
ここで、×0.9としているのは、冷水が水噴射タンク5から溢れないようにするた め。
つまり、
火格子冷却水側の間接熱交換器4での交換熱量:Qh=Wh×(Thin−Thout)
火格子冷却水の冷却側に於ける間接熱交換器4での熱交換量:Qc=Wc×(Tcout−Tcin)
間接熱交換器4の伝熱面積:S=Qh/U/ΔTm
ここで、Uは熱交換器の総括熱伝達係数、ΔTmは熱交換器の対数平均温度差である。
また、Qh=Qcとなるので、冷水温度Tcoutが50℃以下になるように間接熱交換器4の伝熱面積Sを求める。
このようにして、間接熱交換器4の伝熱面積が決まる。
【0041】
上記のように間接熱交換器4の伝熱面積を決めておけば、水噴射供給装置Fの水噴射ポンプ6がキャビテーションを起こすことはない。また、冷水量Wcと排ガス冷却室Eへの設計上の水噴射量Wwに差が生じ、水噴射タンク5の水位が変動するが、水噴射タンク5自体に別途、レベル制御機能(例えば、ボールタップ式、接点式on、off制御等)を設けておれば、問題はない。
【0042】
このように、上述したごみ焼却炉Dの水冷式ストーカ装置Aに於いては、火格子冷却水冷却部C2の冷水Woを間接熱交換器4で火格子冷却水Wの冷却に使用した後、排ガス冷却室Eの水噴射供給装置Fへ供給して排ガス冷却室Eの噴射水として利用するようにしているため、冒頭で述べた従来の水冷式ストーカ装置のように冷却塔を必要とすることがなく、設備の簡略化及び設備費の削減を図れる。
また、このごみ焼却炉Dの水冷式ストーカ装置Aに於いては、冷却塔を削減できたことによって、薬剤の注入装置及び薬剤が不要になって設備費をより削減することができると共に、ランニングコストの削減も図れる。
更に、このごみ焼却炉Dの水冷式ストーカ装置Aに於いては、冷却水として井水又は雨水を使用しているため、冷水Woに上水を使用した従来の冷却式ストーカ装置に比較してコスト削減を図れる。
【0043】
図2は本発明の第2の実施形態に係るごみ焼却炉Dの水冷式ストーカ装置Aの概略系統図を示し、当該ごみ焼却炉Dの水冷式ストーカ装置Aは、火格子冷却水通路をそれぞれ形成した可動火格子1と固定火格子2とを階段状又は傾斜状に組み合せて成る水冷式ストーカBと、水冷式ストーカBへ火格子冷却水Wを循環流通させつつ冷却する火格子冷却水循環・冷却機構Cとから構成されており、前記火格子冷却水循環・冷却機構Cが熱利用設備27及び第2間接熱交換器28を備えていると共に、前記熱利用設備27と火格子冷却部C1の火格子冷却水系とを、間接熱交換器4と排水側ヘッダ17との間に設けた第2間接熱交換器28を介して熱的に連結したものである。
【0044】
即ち、前記ごみ焼却炉Dの水冷式ストーカ装置Aは、間接熱交換器4に入る前の火格子冷却水Wを第2間接熱交換器28に通し、ここで熱利用設備27からの冷却水又は冷却空気により間接冷却してから間接熱交換器4へ導くようにすると共に、第2間接熱交換器28で加熱された冷却水、冷却空気、熱媒油又は低沸点媒体を熱利用設備27へ導き、ここで熱利用設備27の熱源として利用するようにしたものである。
また、熱利用設備27としては、ごみ焼却炉Dに付随する機器(例えば、ボイラの給水を加熱するエコノマイザやごみ焼却炉Dへの燃焼用空気を予熱する空気予熱器等)やごみ焼却炉Dに付随しない機器(例えば、融雪機等)が使用されている。
【0045】
尚、前記ごみ焼却炉Dの水冷式ストーカ装置Aに於いては、熱利用設備27及び第2間接熱交換器28以外の設備及び機器(水冷式ストーカB、火格子冷却水循環・冷却機構C、火格子冷却部C1、火格子冷却水冷却部C2、間接熱交換器4、排ガス冷却室E、水噴射供給装置F等)は、図1に示すごみ焼却炉Dの水冷式ストーカ装置Aと同じ構造に構成されており、図1に示すごみ焼却炉Dの水冷式ストーカ装置Aと同じ部位・部材には同一の参照番号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0046】
上述した第2の実施形態に係るごみ焼却炉Dの水冷式ストーカ装置Aは、図1に示すごみ焼却炉Dの水冷式ストーカ装置Aと同様の作用効果を奏することができる。
しかも、第2の実施形態に係るごみ焼却炉Dの水冷式ストーカ装置Aは、間接熱交換器4に入る前の火格子冷却水Wを第2間接熱交換器28に通してここで熱利用設備27からの冷却水、冷却空気、熱媒油又は低沸点媒体により冷却するようにしているため、熱エネルギーの有効利用を図れる。
【0047】
図3は本発明の第3の実施形態に係るごみ焼却炉Dの水冷式ストーカ装置Aの概略系統図を示し、当該ごみ焼却炉Dの水冷式ストーカ装置Aは、火格子冷却水通路をそれぞれ形成した可動火格子1と固定火格子2とを階段状又は傾斜状に組み合せて成る水冷式ストーカBと、水冷式ストーカBへ火格子冷却水Wを循環流通させつつ冷却する火格子冷却水循環・冷却機構Cとから構成されており、火格子冷却水循環・冷却機構Cの火格子冷却水冷却部C2に改良を加え、火格子冷却水冷却部C2の冷水タンク22への冷水Woの供給が雨水しか使用できないときに使用するものである。
尚、冷水タンク22への供給が雨水しか使用できないときの例として、例えば、ごみ処理施設内への降水については、放流できず施設内処理をする必要があり、積極的に雨水を使用しないと、処理しきれない場合等がある。
【0048】
即ち、前記火格子冷却水循環・冷却機構Cの火格子冷却水冷却部C2は、冷水Woを貯留する冷水タンク22と、冷水Woの送水ポンプ23と、間接熱交換器4の冷水側熱交換エレメント4bと、冷水側熱交換エレメント4bの入口側に設けた冷水量調節弁24と、排ガス冷却室Eへの噴射水量に応じて冷水量調節弁24を制御する流量制御器29と、冷水側熱交換エレメント4bの出口側に設けられ、間接熱交換器4への冷水Woの流通制御を行う三方弁30と、間接熱交換器4の出口側の火格子冷却水Wの検出温度により三方弁30を制御する温度制御器25とから成り、流量計7からの流量に応じて流量制御器29により冷水量調節弁24を制御して排ガス冷却室Eへの水噴射量に応じた冷水Woの量を確保し、また、三方弁30を間接熱交換器4の出口側の火格子冷却水Wの検出温度(温度検出器25aからの検出温度)に基づいて温度制御器25により制御し、間接熱交換器4への冷水Woの流通制御を行うようにしたものである。
【0049】
尚、この実施形態では、三方弁30は、冷水側熱交換エレメント4bの出口側に設けたが、他の実施形態では、三方弁30を冷水側熱交換エレメント4bの入口側に設けても良い。
また、三方弁30を冷水側熱交換エレメント4bの出口側に設ける場合、三方弁30には、二つの管路から一つの管に流体を混合して流せる混合形の三方弁30を使用し、更に、三方弁30を冷水側熱交換エレメント4bの入口側に設ける場合、三方弁30には、一つの管路から二つの管路へ流体を所定の比率で分散して流せる分割形の三方弁30を使用する。
【0050】
前記ごみ焼却炉Dの水冷式ストーカ装置Aに於いては、三方弁30及び流量制御器29以外の設備及び機器(水冷式ストーカB、火格子冷却水循環・冷却機構C、火格子冷却部C1、火格子冷却水冷却部C2、間接熱交換器4、排ガス冷却室E、水噴射供給装置F等)は、図1に示すごみ焼却炉Dの水冷式ストーカ装置Aと同じ構造に構成されており、図1に示すごみ焼却炉Dの水冷式ストーカ装置Aと同じ部位・部材には同一の参照番号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0051】
上述した第3の実施形態に係るごみ焼却炉Dの水冷式ストーカ装置Aも、図1に示すごみ焼却炉Dの水冷式ストーカ装置Aと同様の作用効果を奏することができる。
【0052】
尚、上述した第3の実施形態に係るごみ焼却炉Dの水冷式ストーカ装置Aにおいて、図3に一点鎖線で示す如く、火格子冷却水循環・冷却機構Cに熱利用設備27及び第2間接熱交換器28を追加し、前記熱利用設備27と火格子冷却部C1の火格子冷却水系とを、間接熱交換器4と排水側ヘッダ17との間に設けた第2間接熱交換器28を介して熱的に連結するようにしても良い。
【符号の説明】
【0053】
Aは水冷式ストーカ装置、Bは水冷式ストーカ、Cは火格子冷却水循環・冷却機構、C1は火格子冷却部、C2は火格子冷却水冷却部、Dはごみ焼却炉、Eは排ガス冷却室、Fは水噴射供給装置、Wは火格子冷却水、Woは冷水、1可動火格子、2は固定火格子、3は水冷式火格子本体、4は間接熱交換器、4aは火格子冷却水側熱交換エレメント、4bは冷水側熱交換エレメント、5は水噴射タンク、6は水噴射ポンプ、7は流量計、8は水噴射制御弁、9は水噴射ノズル、10は排ガス温度検出器、11は温度制御器、12は配管、13は火格子冷却水タンク、14は循環ポンプ、16は給水側ヘッダ、17は排水側ヘッダ、21は配管、22は冷水タンク、23は送水ポンプ、24は冷水量調節弁、25は温度制御器、25aは温度検出器、26は配管、26aは分岐配管、27は熱利用設備、28は第2間接熱交換器、29は流量制御器、30は三方弁。
図1
図2
図3
図4
図5