特許第6288843号(P6288843)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6288843
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】制御システム
(51)【国際特許分類】
   H05B 37/02 20060101AFI20180226BHJP
   F24F 11/54 20180101ALI20180226BHJP
   F24F 11/62 20180101ALI20180226BHJP
   G01S 13/76 20060101ALI20180226BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20180226BHJP
   G06K 17/00 20060101ALI20180226BHJP
   G06K 19/07 20060101ALI20180226BHJP
【FI】
   H05B37/02 E
   H05B37/02 B
   F24F11/02 103D
   G01S13/76
   G06K7/10 264
   G06K17/00 022
   G06K19/07 020
   G06K19/07 170
   G06K19/07 230
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-90511(P2014-90511)
(22)【出願日】2014年4月24日
(65)【公開番号】特開2015-210885(P2015-210885A)
(43)【公開日】2015年11月24日
【審査請求日】2017年1月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】514105011
【氏名又は名称】株式会社東光高岳
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 久人
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 哲夫
(72)【発明者】
【氏名】小林 信郷
(72)【発明者】
【氏名】竹信 弘明
(72)【発明者】
【氏名】関 智行
(72)【発明者】
【氏名】渋沢 真弘
【審査官】 松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−544130(JP,A)
【文献】 特開2012−186078(JP,A)
【文献】 特開2005−259431(JP,A)
【文献】 特開2008−281239(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0131881(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 37/02
F24F 11/54
F24F 11/62
G01S 13/76
G06K 7/10
G06K 17/00
G06K 19/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数領域からなる施設内の監視対象物に関する情報を管理する中央監視装置と、
前記施設の一部領域に対応付けて設けられ、当該一部領域の監視対象物に関する情報を管理し、当該情報の一部を前記中央監視装置に送信する複数のエリアコントローラと、
前記一部領域の一区画を照明する照明器具と、
前記照明器具が照明する前記一区画における人を検知する人検知センサと、
前記照明器具に対応付けて設けられ、対応する照明器具の調光制御手段及び電源制御手段並びに所定範囲に存在する電子機器との間で無線通信可能な無線通信手段を有する複数の制御ユニットと、
前記制御ユニットの無線通信手段に対して、所定のタイミングで所有者を識別する識別情報を発信する無線タグと、
を備え、
前記エリアコントローラは、前記無線タグの所有者の照明及び勤務状況に関する個人情報を記憶する記憶部を有し、前記制御ユニットが前記無線通信手段により取得した識別情報に基づいて、当該記憶部から前記無線タグの所有者の照明及び勤務状況に関する個人情報を読み出し、当該読み出した照明及び勤務状況に関する個人情報と前記人検知センサによる検知情報とに基づいて、前記制御ユニットに対して前記照明器具に関する制御指令を通知する、
制御システム。
【請求項2】
前記エリアコントローラの記憶部は、施設内の環境情報を記憶しており、
前記エリアコントローラは、前記制御ユニットが前記無線通信手段により取得した識別情報に基づいて、当該記憶部から施設内の環境情報を読み出し、当該読み出した施設内の環境情報にも基づいて、前記制御ユニットに対して前記照明器具に関する制御指令を通知する、
請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記一部領域の一区画に対応付けて設けられた空調機を更に備え、
前記エリアコントローラの記憶部は、前記無線タグの所有者の空調に関する個人情報を記憶しており、
前記エリアコントローラは、前記制御ユニットが前記無線通信手段により取得した識別情報に基づいて、当該記憶部から前記無線タグの所有者の空調に関する個人情報を読み出し、当該読み出した空調に関する個人情報に基づいて、前記制御ユニットに対して前記空調機に関する制御指令を通知する、
請求項1または2に記載の制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施設内の照明や空調を制御する制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
オフィスや商業施設等の大規模施設では、施設を運用する際の照明や空調等に多くの電力が使用されるため、近年では、不要な電気機器の駆動を抑制し、省エネルギーに資する施設運用方法が着目されている。
【0003】
省エネルギーを実現する代表的な仕組みとして、室内に存在する人を検知し、照明や空調を制御する人感センサによる制御システムが知られている。このような人感センサによる制御システムとして、特許文献1には、従来から広く知られている遠赤外線焦電型人感センサではなく、高精度人検知センサを用いた照明制御システムが開示されている。
【0004】
従来の遠赤外線焦電型人感センサでは、人の動きを捉えることしかできなかったのに対して、特許文献1の照明制御システムでは、人の滞在/不在/進入/退去といった状態まで検知することができ、人の動きを捉えた、より高精度な照明制御を実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−089548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、従来の制御システムの一例を図6に示す。図6に示すように、従来の制御システム500は、中央監視装置501と、照明制御システム502と、空調制御システム503と、無線システム504と、を含んで構成され、複数階層からなる施設の照明や空調等を制御する。
照明制御システム502、空調制御システム503及び無線システム504の夫々は、施設全域における照明、空調及び無線環境を管理する。例えば、照明制御システム502は、施設の全域における照明器具の明るさ調整や電源のオン/オフを管理する。
【0007】
中央監視装置501は、これら照明制御システム502、空調制御システム503及び無線システム504の上位装置として用いられ、施設の照明や空調等を統括的に管理する。即ち、中央監視装置501は、照明制御システム502、空調制御システム503及び無線システム504の夫々から各種情報を収集し、これら情報を集約する。そして、中央監視装置501は、集約した情報に基づいて、照明制御システム502、空調制御システム503及び無線システム504の夫々に対する制御指令を通知し、照明等を管理する。
【0008】
このような従来の制御システム500では、一のシステムで用いた情報が、中央監視装置501を介して他のシステムに通知され、施設運用に用いられることになる。そのため、従来の制御システム500では、中央監視装置501に通信及び処理負荷が集中してしまい、システムコストが高価になってしまうという問題があった。
【0009】
また、好ましい明るさや温度等は、個人によって異なるため、照明や空調の制御は、画一的ではなく個々人によって異なる制御を行うことが好ましい。この点、特許文献1の照明制御システムでは、人がいる場所を正確かつリアルタイムに検出できるものの、個人を特定することまではできず、個別の照明制御や空調制御を行うことはできない。
【0010】
ここで、個人を特定する仕組みとしては、所有者を識別する識別情報が組み込まれた無線タグを利用した個人認証システムや、監視カメラの撮影画像を解析することによる顔認証システムが知られている。しかしながら、これら個人認証システムや顔認証システムを、単に従来の制御システム500に組み込んだのでは、中央監視装置501の通信及び処理負荷が更に増大してしまい、システムコストが更に高価になってしまう。
【0011】
通信及び処理負荷の増大は、施設内の人の位置情報をリアルタイムで管理する場合に特に顕著であり、個人認証システムや顔認証システムから各種情報を常時得ていたのでは、通信及び処理負荷が膨大なものとなってしまう。また、リアルタイム性を向上させるためには、無線タグから識別情報を常時取得しなければならず、無線タグの電池寿命が短期化してしまい、運用面において問題があった。
【0012】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、システムコストの軽減が可能な制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の制御システムは、複数領域からなる施設内の監視対象物に関する情報を管理する中央監視装置と、前記施設の一部領域に対応付けて設けられ、当該一部領域の監視対象物に関する情報を管理し、当該情報の一部を前記中央監視装置に送信する複数のエリアコントローラと、前記一部領域の一区画を照明する照明器具と、前記照明器具が照明する前記一区画における人を検知する人検知センサと、前記照明器具に対応付けて設けられ、対応する照明器具の調光制御手段及び電源制御手段を有する複数の制御ユニットと、を備え、前記エリアコントローラは、前記人検知センサによる検知情報に基づいて、前記制御ユニットに対して前記照明器具に関する制御指令を通知する。
【0014】
この制御システムによれば、施設を複数の領域に分割し、夫々の領域における照明制御をエリアコントローラ単位で行う。即ち、制御システムでは、人検知センサがある区画において人を検知すると、この検知情報はエリアコントローラを介して制御ユニットに通知され、制御ユニットにより当該区画の照明器具の調光制御又は電源制御が行われる。これにより、中央監視装置にはエリアコントローラから一部の情報のみを送信するだけで足りるため、中央監視装置に通信及び処理負荷が集中することを防止できる。また、エリアコントローラも施設を構成する領域毎に設けられるため、エリアコントローラに通信及び処理負荷が集中することもない。その結果、本発明の制御システムによれば、システムコストを軽減することができる。
【0015】
また、前記複数の制御ユニットのうちの一部の制御ユニットは、所定範囲に存在する電子機器との間で無線通信可能な無線通信手段を更に有することとしてもよい。
【0016】
このようにすることで、照明システムと無線通信インフラとを一本化することができ、設備機器や設置工事費を削減することができる。
【0017】
また、前記無線通信手段を有する一部の制御ユニットに対して、所定のタイミングで所有者を識別する識別情報を発信する無線タグを更に備え、前記エリアコントローラは、前記人検知センサによる検知情報と、前記制御ユニットが前記無線通信手段により取得した前記識別情報とに基づく前記制御指令を、前記制御ユニットに対して通知することとしてもよい。
【0018】
このようにすることで、照明区画内に滞在する人を特定することができるため、個人に合った照明制御を行うことができ好適である。この場合においても、照明の制御をエリアコントローラ単位で行うため、施設全体ではなくローカルシステムで対応することができ、処理情報量を低減することができる。また、無線タグの識別情報と人検知センサの検知情報とを集約して用いるため、無線タグからの識別情報の発信間隔を短くしなくても、リアルタイム性を高めることができ、無線タグの電池寿命を長期化することができる。
【0019】
また、前記一部領域の一区画に対応付けて設けられた空調機を更に備え、前記エリアコントローラは、前記検知情報及び前記識別情報に基づいて前記空調機を制御することとしてもよい。
【0020】
このようにすることで、施設内の照明だけでなく空調についても好適に制御することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、安価なシステムコストで施設内の照明(及び空調)を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】制御システムのシステム構成を示す図である。
図2】制御システムのシステム構成を示す図である。
図3】制御ユニットの調光制御エリアと人検知センサの人検知エリアとの関係を示す図である。
図4】エリアコントローラの機能構成を示す図である。
図5】制御システムの処理の流れの一例を示す図である。
図6】従来の制御システムのシステム構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[制御システム100のシステム構成]
図1及び図2を参照して、本発明の制御システム100について説明する。図1及び図2は、制御システム100のシステム構成を示す図である。なお、図2では、空調機6の図示を省略している。
【0024】
図1に示すように、制御システム100は、中央監視装置101と、フロア制御システム102とを含んで構成され、複数階層からなる施設の照明や空調等を制御する。
【0025】
中央監視装置101は、複数領域からなる施設内の監視対象物に関する情報を管理する。ここで、本実施形態では、例えば、施設内の照明や空調を監視対象物とする。もちろん、中央監視装置101は、その他の各種電子機器や施設内の通信環境、また、消防・防犯設備等を監視対象物とし、管理することとしてもよい。
中央監視装置101は、収集した情報を人が認識しやすいように適宜処理したうえで蓄積し、異常時には警報発信や外部への通報等を行う。
【0026】
フロア制御システム102は、施設内の一部領域における照明や空調等を制御する。理解を容易にするため、本実施形態では施設内の各階層を一部領域とする。そのため、一のフロア制御システム102は、一の階層の照明や空調等を制御する。
フロア制御システム102は、夫々に固有の機器ID(アドレス)が付されたエリアコントローラ1と、制御ユニット2a、2bと、照明器具3と、人検知センサ4と、無線機器5と、空調機6と、通信I/F7と、を含んで構成される。
【0027】
エリアコントローラ1は、施設の一部領域に対応付けて、即ち、フロア制御システム102毎に設けられ、当該一部領域の監視対象物に関する情報を管理する。また、エリアコントローラ1は、監視対象物に関する情報の一部を中央監視装置101に送信する。
【0028】
制御ユニット2a、2b(以下、区別しない場合は総称して「制御ユニット2」と呼ぶ)は、照明器具3に対応付けて設けられ、対応する照明器具3の調光制御手段及び電源制御手段を有する。ここで、調光制御手段とは、照明器具3の明るさを調節する機能を発揮するための機能構成であり、また、電源制御手段とは、照明器具3の電源オン/オフを切り替える機能を発揮するための機能構成である。
【0029】
制御ユニット2aは、無線通信手段を有する制御ユニット2であり、制御ユニット2bは、無線通信手段を有さない制御ユニット2である。フロア制御システム102内の制御ユニット2のうち少なくとも一部の制御ユニット2は、無線通信手段を有する制御ユニット2aである。
なお、無線通信手段とは、無線通信可能な所定範囲に存在する電子機器(例えば、無線機器5)との間で無線通信を行う機能を発揮するための機能構成である。具体的には、制御ユニット2aは、無線通信網におけるアクセスポイントとして機能する。
【0030】
照明器具3は、エリアコントローラ1が管理する一部領域に対して複数設けられ、一部領域のうちの一区画を照明する。
【0031】
人検知センサ4は、照明器具3が照明する一区画における人の滞在/不在/進入/退去を検知する。人検知センサ4の具体的な構成は、本出願人による上記特許文献1に高精度人体検知センサとして記載されているため、詳細な説明を省略する。
この人検知センサ4では、人体とPC(パーソナルコンピュータ)・複写機・FAX等他の熱源との判別、及び人体と椅子や机等に残る人体の余熱との判別をすることができる。また、人検知センサ4では、静止人体の長時間にわたる検出及び完全静止人体の検出ができ、検知エリア内に滞在する人数が一人か複数かを把握できる。
【0032】
人検知センサ4が検知した内容は、検知情報としてエリアコントローラ1に送信される。なお、検知情報の送信は、人検知センサ4からエリアコントローラ1に直接送信されることとしてもよく、また、制御ユニット2を介してエリアコントローラ1に送信されることとしてもよい。図1に示す、「2Fのフロア制御システム102」は、検知情報をエリアコントローラ1に直接送信する場合のシステム構成例であり、「1Fのフロア制御システム102」は、検知情報を制御ユニット2を介してエリアコントローラ1に送信する場合のシステム構成例である。
【0033】
ここで、制御ユニット2による照明器具3の制御領域(以下、「調光制御エリア」と呼ぶ)と、人検知センサ4の検知領域(以下、「人検知エリア」と呼ぶ)と、の関係を図3に示す。図3(A)は、照明器具3に対して制御ユニット2を1対1の関係で設置した場合の調光制御エリアと人検知エリアとの関係を示し、図3(B)は、照明器具3に対して制御ユニット2を多対1の関係で設置した場合の調光制御エリアと人検知エリアとの関係を示す。
【0034】
図3(A)に示す例では、照明器具3及び人検知センサ4は、施設の一部領域(本実施形態では、各階)を細かく分割した単位区画毎に設置される。照明器具3は、この単位区画を照明エリアとし、人検知センサ4は、この照明エリアと略同一の領域を人検知エリアとしている。制御ユニット2は、照明器具3の調光出力を制御することで、この単位区画内の明るさを調整する。
即ち、図3(A)に示す例では、調光制御エリアと人検知エリアと照明エリアとは、略同一の領域であり、制御ユニット2は、調光制御エリア毎に設けられて夫々の調光制御エリアを独立して制御する。
【0035】
他方、図3(B)に示す例では、照明器具3及び人検知センサ4は、一群の装置であり、制御ユニット2の調光制御エリアに対して夫々が複数設置される。制御ユニット2は、一群の照明器具3の調光出力を、一群の人検知センサ4の検知情報に基づいて一括して制御し、調光制御エリア内の明るさを調整する。
【0036】
図1に戻り、無線機器5は、無線通信手段を有する制御ユニット2aと無線通信可能な電子機器である。本実施形態では、無線機器5は、施設を利用する利用者が所有するアクティブ型の無線タグである(以下、無線機器5を無線タグ5と呼ぶ)。
無線タグ5は、所有者を識別する識別情報を、所定のタイミングで制御ユニット2aに対して発信する。所定のタイミングは任意であるが、本発明の制御システム100では、後述するように人検知センサ4の検知情報と個人の識別情報とを集約して施設内の人の管理を行うため、常時連続的に発信する必要はなく、一定の間隔で断続的に発信すれば足りる。
【0037】
空調機6は、通信I/F7を介して他の装置と通信可能に接続され、施設の一部領域(例えば、各階)の空調を管理する。なお、空調機6の制御は、エリアコントローラ1を介して行うこととしてもよく、また、エリアコントローラを介さないで行うこととしてもよい。
図1に示す、「2Fのフロア制御システム102」は、エリアコントローラ1を介して空調機6の制御を行う場合のシステム構成例であり、「1Fのフロア制御システム102」エリアコントローラを介さないで空調機6の制御を行う場合のシステム構成例である。
【0038】
図2に示すように、エリアコントローラ1、制御ユニット2及び照明器具3は、電源線L1により電源供給される。そのため、制御ユニット2aの無線通信手段により実現される無線通信網は、電池寿命を考慮する必要がない。
また、制御ユニット2及び照明器具3は、調光制御線L2により接続され、制御ユニット2による調光制御が行われる。
【0039】
また、人検知センサ4、エリアコントローラ1及び制御ユニット2は、RS485等の所定のセンサ通信線L3により接続され、人検知センサ4が検知した検知情報がエリアコントローラ1及び制御ユニット2に通知される。
また、エリアコントローラ1は、イーサネット(登録商標)等の所定の通信回線L4を介して中央監視装置101に接続される。エリアコントローラ1は、通信回線L4を介して施設の一部領域内の監視対象物に関する情報の一部を中央監視装置101に送信する。
【0040】
また、制御ユニット2a及び無線タグ5は、制御ユニット2aにより実現される無線通信網により無線接続される。無線タグ5に記憶される識別情報は、無線通信網を介して制御ユニット2aに送信される。なお、制御ユニット2aに送信された識別情報は、センサ通信線L3や図示せぬ通信回線を介して、エリアコントローラ1に送信される。
【0041】
[エリアコントローラ1の機能構成]
続いて、図4を参照して、エリアコントローラ1の機能構成について説明する。図4に示すように、エリアコントローラ1は、制御部11と、記憶部12と、少なくとも含むコンピュータである。
【0042】
制御部11は、例えば、CPUにより構成され、記憶部12に記憶されている各種プログラムを実行することにより、情報集約部13、制御指令生成部14及び通知部15として機能する。
【0043】
記憶部12は、例えば、ROM及びRAM等により構成される。記憶部12は、エリアコントローラ1を機能させるための各種プログラムを記憶する。また、記憶部12は、無線タグ5が発信する識別情報に対応付けて、無線タグ5の所有者に関する情報を記憶する。所有者に関する情報は、例えば、所有者の氏名、性別、年齢等の他、視力や温度感覚等の照明/空調に関する個人情報を含む。また、所有者に関する情報として、残業申請、早朝勤務申請又は休日勤務申請等の勤務状況に関する個人情報を含むこととしてもよい。
【0044】
また、記憶部12は、施設内の環境情報も併せて記憶することとしてもよい。環境情報としては、例えば、施設内の任意の範囲における日照時間、当該範囲における照度、及び施設内の電子機器(熱源)のレイアウト情報等が考えられる。これら情報は、施設の管理者により予め設定されていることとしてもよく、また、図示せぬ照度計を施設内の任意の範囲に設置しておき、この照度計からの計測値を収集し記憶することとしてもよい。
【0045】
情報集約部13は、エリアコントローラ1が管理する一部領域内に設置された複数の人検知センサ4及び複数の制御ユニット2aから、検知情報及び無線タグ5の識別情報を取得し、集約する。
例えば、情報集約部13は、人検知センサ4の検知タイミングや制御ユニット2aの受信タイミング(時間)、及び人検知センサ4や制御ユニット2aの機器IDに紐づけられた設置場所に基づいて、検知情報や識別情報を集約する。これにより、人検知センサ4が検知した人の存在と無線タグ5の所有者とを結びつけることができる。
【0046】
このように情報集約部13が、検知情報及び識別情報を集約することで、人の位置情報を詳細かつリアルタイムに取得することができる。即ち、人検知センサ4が検知した人に、無線タグ5の識別情報を紐づけることで、施設内の個々人の位置情報を取得することができる。このとき、人検知センサ4が人の存在を常時検知しておけば、個人への紐づけは適宜必要なタイミングで行えば足りるため、無線タグ5の発信間隔を断続的にしたとしても、詳細かつリアルタイムな位置情報を取得することができる。
【0047】
制御指令生成部14は、情報集約部13が集約した検知情報及び識別情報に基づいて、照明器具3及び空調機6に対する制御指令を生成する。具体的には、制御指令生成部14は、個人の位置情報と、記憶部12に記憶された各種情報とに基づいて、制御指令を生成する。
【0048】
一例として、個人の位置情報と照明/空調に関する個人情報とに基づいて制御指令を生成する場合、制御指令生成部14は、例えば、視力が低い人が存在する区画では、照明器具3が通常よりも明るく照明するような制御指令を生成する。また、制御指令生成部14は、例えば、女性が多い区画では、夏場の空調機6(冷房)が控えめになるような制御指令を生成する。
また、制御指令生成部14は、個人情報に加えて施設内の環境情報に基づいて制御指令を生成することとしてもよい。例えば、同じように人が存在する区画であっても日照時間や照度が異なる場合には、照明器具3の明るさが異なるように制御指令を生成することとしてもよい。同様に、施設のレイアウト(熱源の位置)によって、空調機6に対する制御指令を異ならせることとしてもよい。
【0049】
また、個人の位置情報と勤務状況に関する個人情報とに基づいて制御指令を生成する場合、制御指令生成部14は、現在の日時、曜日等のカレンダー情報を更に用いて制御指令を生成する。例えば、勤務時間が過ぎたにも関わらず施設内に人が存在する場合、制御指令生成部14は、存在する人の勤務状況に関する個人情報を参照し、残業申請等がなされているか否かを判定する。そして、制御指令生成部14は、残業申請等の有無に応じて異なる制御指令、例えば、残業申請等がない場合には、照明器具3の明るさを控えめにし、残業申請等がある場合には、照明器具3の明るさが十分になるように制御指令を生成する。
もちろん、照明/空調に関する個人情報と同様に、制御指令生成部14は、勤務状況に関する個人情報に加え、施設内の環境情報を用いて制御指令を生成することとしてもよい。
【0050】
通知部15は、生成した制御指令を制御ユニット2及び空調機6に対して通知する。これにより、照明器具3及び空調機6が制御指令に基づいて制御されることになる。
【0051】
[制御システム100の処理]
続いて、図5を参照して、制御システム100の処理手順について説明する。図5は、制御システム100の処理のうち、エリアコントローラ1が有線タイプの制御ユニット2bに対して制御指令を通知する場合の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0052】
図5(A)を参照して、初めに、エリアコントローラ1は、人検知センサ4からの検知情報を参照して、制御ユニット2bが照明器具3を管理する区画において、人検知センサ4が人を検知したか否かを判定する(ステップS1)。この判定がYESのときは、エリアコントローラ1は、処理をステップS2に移し、この判定がNOのときは、エリアコントローラ1は、処理をステップS5に移す。
なお、人検知センサ4が人を検知している場合、照明/空調の制御を直ちに行うことが好ましく、他方、人検知センサ4が人を検知していない場合、照明/空調の制御を直ちに行う必要がない。そこで、エリアコントローラ1は、ステップS2の処理を行うタイミングと、ステップS5の処理を行うタイミングとを異ならせることとしてもよい。即ち、人を検知した場合のステップS2の処理は、ステップS1の後に直ちに行う一方で、人を検知していない場合のステップS5の処理は、所定時間の猶予の後に行うこととしてもよい。
【0053】
ステップS2では、エリアコントローラ1は、制御ユニット2bが管理する区画付近で無線タグ5を検出したか否かを判定する。
この判定がYESのときは、図5(B)の(1)に示すように、制御ユニット2bが管理する区画内に人が存在し、かつ、無線タグ5により個人を特定できているため、エリアコントローラ1は、当該区画に存在する個人を特定する(ステップS3)。その結果、エリアコントローラ1は、特定した個人に適した制御指令を生成し、制御ユニット2bに対して通知する(ステップS8)。
【0054】
他方、ステップS2の判定がNOのときは、図5(B)の(2)に示すように、制御ユニット2bが管理する区画内に人が存在するものの、近傍の無線タイプの制御ユニット2aでは無線タグ5を検出できていないため、エリアコントローラ1は、当該区画に人が滞在していると判定する(ステップS4)。その結果、エリアコントローラは、個人情報を利用することなく、汎用的な制御指令を生成し、制御ユニット2bに対して通知する(ステップS8)。
【0055】
区画内において人検知センサ4が人を検知していない場合(ステップS1においてNOの場合)、エリアコントローラ1は、この区画付近で無線タグ5を検出したか否かを判定する(ステップS5)。
この判定がYESのときは、図5(B)の(3)に示すように、制御ユニット2bが管理する区画外にいる個人を無線タグ5により特定できているため、エリアコントローラ1は、当該個人を特定する(ステップS6)。その結果、エリアコントローラ1は、特定した個人に適した制御指令を生成し、制御ユニット2bに対して通知する(ステップS8)。例えば、制御ユニット2bの区画内に人は存在しないものの、区画付近に人が存在するため、エリアコントローラ1は、制御ユニット2bの区画内を、明るさを落としつつ照明するように制御指令を生成し、通知する。
【0056】
他方、ステップS5の判定がNOのときは、図5(B)の(4)に示すように、制御ユニット2bが管理する区画付近にだれも存在していないため、エリアコントローラ1は、当該区画付近は人が不在であると判定する(ステップS7)。その結果、エリアコントローラは、照明器具3や空調機6を停止するよう制御指令を生成し、制御ユニット2bに対して通知する(ステップS8)。
【0057】
[制御システム100の効果]
以上説明した制御システム100によれば、施設を複数の領域に分割し、夫々の領域における照明/空調制御をエリアコントローラ1毎に行う。即ち、制御システム100では、人検知センサ4がある区画において人を検知すると、この検知情報はエリアコントローラ1を介して制御ユニット2に通知され、制御ユニット2により当該区画の照明器具3の調光制御又は電源制御が行われる。これにより、中央監視装置101にはエリアコントローラ1から一部の情報のみを送信するだけで足りるため、中央監視装置101に通信及び処理負荷が集中することを防止できる。また、エリアコントローラ1も施設を構成する領域毎に設けられるため、エリアコントローラ1に通信及び処理負荷が集中することもない。その結果、本発明の制御システム100によれば、システムコストを軽減することができる。
【0058】
また、制御ユニット2のうちの一部の制御ユニット2aは、無線通信手段を有するため、照明システムと無線通信インフラとを一本化することができ、設備機器や設置工事費を削減することができる。
【0059】
また、エリアコントローラ1は、無線タグ5を利用して得られた識別情報と人検知センサ4の検知情報を結び付けて、位置情報の取得を行うため、照明区画内に滞在する人を特定することができる。これにより、個人に適した照明制御を行うことができ好適である。この場合においても、照明の制御をエリアコントローラ1毎に行うため、施設全体ではなくフロア制御システム102で対応することができ、処理情報量を低減することができる。また、無線タグ5の識別情報と人検知センサ4の検知情報とを集約して用いるため、無線タグ5の発信間隔を断続的にすることができ、無線タグ5の電池寿命を長期化することができる。
【0060】
また、エリアコントローラ1は、空調機6も制御するため、施設内の照明だけでなく空調についても好適に制御することができる。
【0061】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0062】
1・・・エリアコントローラ
11・・・制御部
12・・・記憶部
13・・・情報集約部
14・・・制御指令生成部
15・・・通知部
2(2a、2b)・・・制御ユニット
3・・・照明器具
4・・・人検知センサ
5・・・無線タグ(無線機器)
6・・・空調機
7・・・通信I/F
100・・・制御システム
101・・・中央監視装置
102・・・フロア制御システム
L1・・・電源線
L2・・・調光制御線
L3・・・センサ通信線
L4・・・通信回線
500・・・制御システム
501・・・中央監視装置
502・・・照明制御システム
503・・・空調制御システム
504・・・無線システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6