(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記加力アセンブリは、入口弁アクチュエータおよびポンプアクチュエータに連結され、それにより、該ポンプアクチュエータが、流体を前記送出チャンバから前記ポンプ出口まで押し進めるようにすると、前記圧縮ストロークが、前記入口と前記流体源との間に連結された入口弁を作動させて該弁を閉鎖する、請求項4に記載のシステム。
前記加力アセンブリは、前記弁アクチュエータおよび前記ポンプアクチュエータの協調動作のためのモータを備え、該モータは、少なくとも1つの形状記憶アクチュエータを含む、請求項5に記載のシステム。
【発明を実施するための形態】
【0019】
インスリンおよび糖尿病が本明細書で論議されているが、本開示は、糖尿病の治療のためのシステムおよび方法の使用に限定されない。開示された方法およびシステムは、糖尿病を含むがそれに限定されない医療的状態の治療のための、インスリンを含むがそれに限定されない、任意の医療用または治療用流体の送達のために使用されてもよい。
【0020】
本明細書では、糖尿病の閉ループまたは部分的閉ループ制御のための方法およびシステムを開示する。上記で説明されるように、多くの因子が、適切な血糖値を維持するために患者またはユーザが必要とするインスリンの量に影響を及ぼす。「適切な」という用語は、患者にとって健康的であるものとして、患者および/または医療介護提供者によって選択されている血糖値を意味するために、本明細書で提供される。各患者にとって適切な血糖値は、所与の患者にとっての所与のときの適切な血糖値のように変化する場合がある。一般に、多くの医療介護提供者は、血糖値を90〜140mm/dlの間で維持することを推奨している。しかしながら、状況に応じて、範囲が変化する場合がある。例えば、患者が、就寝前に150mg/dlの血糖値を適切と見なす場合があるが、食事時間の前には同じ測定値を不適切と見なす。
【0021】
まず
図1を参照すると、糖尿病管理で使用される変数の非限定的チャートが描写されている。これらの示された変数は、糖尿病とともに生きている患者によって現在考慮されているものである。これらの変数は、血糖値、運動、疾病、食物、睡眠、およびストレスを含む。
【0022】
血糖値は、少なくとも1つの血糖測定器、例えば、Abbott Diabetes Care(Alameda,California)によるFREESTYLE血糖測定器を使用することによって、判定されてもよい。いくつかの血糖測定器は、測定値をポンプに無線で伝送してもよい。しかしながら、加えて、血糖値は、少なくとも1つの連続グルコースモニタ(「CGM」)を使用して判定されてもよい。種々の実施形態では、任意のCGM、例えば、Abbott Diabetes Care(Alameda,California)からのFREESTYLE NAVIGATOR連続グルコース監視システム、または同様のデバイスが使用されてもよい。種々のCGMは、間質液グルコースレベル測定値に相関する電気信号を、所定の間隔で手持ち式デバイスまたは他のデバイスに伝送する、患者によって装着される検体センサを含む。
【0023】
さらに、CGM用のセンサは、その全体で参照することにより本明細書に組み込まれる、2009年4月16日に公開され、Microneedle Systems and Apparatus(G34)と題された米国出願公開第US−2009−0099522号で説明されているようないずれかであってもよい。
【0024】
運動は、糖尿病のある人々に異なる影響を及ぼす。また、運動の厳しさ、運動の種類(すなわち、有酸素または無酸素)、および持続時間に応じて、所与の患者は、運動中および運動後の両方で異なる効果を経験する。状況によっては、血糖値が運動中に増加するが、運動後に減少する場合がある。状況によっては、持続時間および血糖値低下効果が変化する場合がある。
【0025】
ストレスが上昇した血糖値を引き起こす場合がある。ストレスの持続時間および強度は、異なる結果を生じる場合がある。同様に、疾病が上昇した血糖値を引き起こす場合があり、疾病の持続時間および強度が種々の結果を生じる。
【0026】
食物は、固体および液体を含むが、それらに限定されない、患者によって摂取される任意の項目を含む。脂肪、タンパク質、および炭水化物を含む食物組成は、結果として生じる血糖値ならびに食物の吸収速度に多大な影響を及ぼす。吸収速度は、血糖値の増加率に変換してもよい。例えば、脂肪および炭水化物の高い食事は、より低い速度で吸収してもよく、したがって、増加した血糖値が、脂肪の低い食事と比較して、後になって見られる場合がある。加えて、炭水化物に関して、食物の血糖インデックスが、血糖値の変化率に多大な影響を及ぼす。
【0027】
種々の種類のインスリンが、一緒に、または個別に使用されてもよい。長時間作用型、中間時間作用型、短時間作用型、および即効型インスリンが使用されてもよい。実施例は、Eli LillyによるNPHである通常のHUMALOG、およびNovo NordiskによるNOVALOGを含んでもよいが、任意のインスリンが使用されてもよい。インスリンはまた、種々の濃度で利用可能である。例えば、U−100およびU−400である。システムおよび方法の種々の実施形態は、インスリンの種々の濃度を使用してもよい。
【0028】
インスリンおよび他の生物製剤/治療用および/または医療用流体化合物は、不良な吸収、肝代謝、または他の薬物動態因子により、経口で活性ではない。加えて、いくつかの治療用化合物は、経口で吸収されてもよいが、頻繁に投与される必要があることがあり、患者が所望のスケジュールを維持することが困難である。これらの場合に応じて、非経口送達がしばしば採用され、または採用することができる。
【0029】
インスリンおよび他の流体薬剤送達の効果的な非経口経路は、針またはスタイレットによる皮膚の穿刺を含む、皮下注射、筋肉内注射、および静脈内(IV)投与を含む。多くの糖尿病患者は、インスリンポンプの使用を通して可能である、インスリンの自動送達を好む。これらのポンプは、他の流体の皮下送達でも使用されてもよい。
【0030】
ポンプは、皮膚の皮下領域に導入され、事前承認された期間、典型的には、わずか3日間にわたって皮膚中にとどまる管または針である、カニューレを使用して、治療用流体を皮下に送達する。カニューレは、治療用流体の貯留部に流体的に接続される。ポンプは、患者に送達するために、貯留部からカニューレに流体を送出する。
【0031】
ポンプの実施例は、それらの全体で参照することによって本明細書に組み込まれる、2007年9月20日に公開され、Patch−Sized Fluid Delivery Systems and Methods(E72)と題された米国出願公開第US−2007−0219480号、2007年12月11日に発行され、Loading Mechanism for Infusion Pump(C54)と題された米国特許第7,306,578号、2009年3月3日に発行され、Optical Displacement Sensor for Infusion Devices(D78)と題された米国特許第7,498,563号、または2007年10月4日に公開され、Fluid Delivery Systems and Methods(E70)と題された米国出願公開第US−2007−0228071号を含むが、それらに限定されない公知の任意のポンプ、または他の流体送達ポンプを含む。
【0032】
加えて、いくつかの実施形態では、2種類以上の流体を送達する流体送達ポンプが使用されてもよい。2007年9月20日に公開され、Patch−Sized Fluid Delivery Systems and Methods(E72)と題された前述の米国出願公開第US−2007−0219480号、2007年12月11日に発行され、Loading Mechanism for Infusion Pump(C54)と題された前述の米国特許第7,306,578号、2009年3月3日に発行され、Optical Displacement Sensor for Infusion Devices(D78)と題された前述の米国特許第7,498,563号、または2007年10月4日に公開され、Fluid Delivery Systems and Methods(E70)と題された前述の米国出願公開第US−2007−0228071号で説明されているポンプは、1つ以上の付加的な貯留部を組み込むようにわずかに改変されてもよい。これらの貯留部は、同じカニューレ、または別個のカニューレに流体的に接続されてもよい。加えて、上記のカニューレの全てについては、その全体で参照することにより本明細書に組み込まれる、2009年4月16日に公開され、Microneedle Systems and Apparatus(G34)と題された米国出願公開第US−2009−0099522号で説明されているもの等のカニューレである。
【0033】
例示的実施形態は、少なくとも、それらの全体で参照することによって本明細書に組み込まれる、2007年9月20日に公開され、Patch−Sized Fluid Delivery Systems and Methods(E72)と題された米国出願公開第US−2007−0219480号、2007年10月4日に公開され、Fluid Delivery Systems and Methods(E70)と題された米国出願公開第US−2007−0228071号、2007年9月20日に公開され、Pumping Fluid Delivery Systems and Methods Using Force Application Assembly(E71)と題された米国出願公開第US−2007−0219496号、2007年9月20日に公開され、Adhesive and Peripheral Systems and Methods for Medical Devices(E73)と題された米国出願公開第US−2007−0219597号、2008年12月31日に公開され、Infusion Pump Assembly(G75)と題された米国出願公開第12/347,985号、2008年12月31日に公開され、Wearable Pump Assembly(G76)と題された米国特許出願第12/347,982号、2008年12月31日に公開され、Infusion Pump Assembly(G77)と題された米国特許出願第12/347,981号、および2008年12月31日に公開され、Pump Assembly With Switch(G79)と題された米国特許出願第12/347,984号で説明され、示されているものと同様である、少なくとも1つのポンプの使用を含む。
【0034】
具体的には、例示的実施形態は、ポンプによって送出される流体の容量を測定することが可能な音響容量センサ装置を有する、ポンプを含む。
【0035】
種々の実施形態では、システムは、少なくとも1つの連続検体センサを含み、いくつかの実施形態では、少なくとも1つの連続グルコースモニタ(「CGM」)、注入ポンプ、少なくとも1つの医療用流体,例えば、インスリンを送出する、流体ポンプまたは医療用流体ポンプ、およびコントローラを含む。いくつかの実施形態では、システムは、加えて、検体であろうとその他であろうと、1つ以上の付加的な連続センサを含む。システム構成要素は、データを伝送する、またはコントローラによって制御される。
【0036】
ここで
図2を参照すると、システムコントローラ、または流体送達容量およびタイミングを判定する方法は、分注流体のタイミング容量を判定するときに、いくつかの因子を考慮する。
図2に提示された、これらの因子は、コントローラが考慮してもよい、因子の非排他的リストである。システムおよび方法は、データを考慮して、インスリンを送達する、または、インスリンを逆調節して、所望の血糖値を維持することを目指す。
【0037】
システムは、少なくとも1つのCGMを使用してもよい。CGMは、グルコースセンサ(「センサ」または「検体センサ」と呼ばれる)を含む。種々の実施形態では、CGMセンサが導入され、身体上、例えば、腹部上に位置する、ユーザの間質液の中にとどまる。CGMは、電気信号を所定の間隔で受信機またはコントローラに送信する。受信機またはコントローラは、これらの電気信号をグルコース値に相関する。いくつかの実施形態では、安全性の懸念のために、所与の測定時間に2つ以上の間質グルコース測定値を提供するために、冗長CGMが使用される。いくつかの実施形態では、冗長CGMは、患者の異なる部分に位置する、1つ以上の付加的なCGM(同じCGM)であってもよい。他の実施形態では、冗長性は、センサの全てが患者の上の同様の場所に導入される、単一CGM装置上に統合される1つ以上のセンサによって提供されてもよく、いくつかの実施形態では、同じ自動挿入器を使用する。いくつかの実施形態では、1つ以上の冗長センサは、患者に異なる深度で導入されるセンサであってもよく、例えば、4つの冗長センサがある場合、各センサは、患者に異なる深度で導入される。
【0038】
冗長センサは、付加的な安全性を提供する。センサ測定値は、送達するインスリンの量を判定する際に使用するために、システムが測定値を受け入れるべきか否か、またはどの測定値をシステムが受け入れるべきかを判定するために種々の方法を使用してもよい、プロセッサに送信されてもよい。例えば、プロセッサは、値が例えば6%以上変化するか否かを判定してもよく(他の実施形態では、異なる割合は、異なってもよく、1つ以上の較正技法に基づいて判定および/または特定されてもよい)次いで、測定値は、送達に使用されなくてもよく、再較正(すなわち、指先穿刺による)が必要とされる。プロセッサが1つのセンサから信号を受信しなければ、プロセッサは、そのセンサを無視するようにプログラムされてもよい。全ての冗長センサが同一または同様の値(再度、事前にプログラムされてもよい、または所定であってもよい割合以内)を読み取る場合には、システムに確信があるほど、値が正確に近い。
【0039】
いくつかの実施形態では、冗長センサは、異なる方法で較正されてもよい。例えば、1つのセンサが、他のセンサよりも感受性が高くなるように較正されてもよい。いくつかの実施形態では、種々のセンサが、異なるダイナミックレンジに同調される。例えば、2つのセンサが使用される場合、2つのセンサのそれぞれが異なる範囲に同調され、一方は低血糖値に対して感受性が非常に高くなるように同調され、他方は高血糖値に同調される。例えば、低く同調されたセンサが60mg/dlを読み取っている場合、システムは、センサが患者の中にあって読み取っていることを認識する。高く同調されたセンサが250mg/dlを読み取っている場合、システムは、センサが患者の中にあって読み取っていることを確認してもよい。他の実施形態では、冗長センサは、時定数に基づいて同調されてもよく、すなわち、1つのセンサが次のセンサよりも速く読み取る等である。
【0040】
いくつかの実施形態では、患者は、所与の日に、データをコントローラ/システムに提供する較正センサが常にあるように、1つ以上のCGMの導入を交互交代にしてもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上のCGMは、埋込型CGMである。
【0041】
種々の実施形態では、システムは、患者の種々の症状/健康または他の検体を感知する、1つ以上の付加的なセンサを含んでもよい。感知された症状は、例示的実施形態では、患者のインスリン必要量に影響を及ぼす、検体または他の健康指標である。付加的なセンサは、以下のうちの1つ以上を含んでもよいが、それらに限定されない。
【0042】
心拍数センサ、
1つ以上のホルモンに対する検体センサ、
患者体温を監視するサーミスタ、
医療用流体温度を監視する温度センサ
加速度計、
ジャイロスコープ、
慣性計測装置(「IMU」)、
呼吸数モニタ、
カルボックスシメトリセンサ、
ガルバニック皮膚、
アドレナリンセンサ、
酸素飽和センサ、
水和センサ、
白血球数センサ、および/または
信号伝達ホルモンセンサ。
【0043】
加えて、センサのうちの1つ以上は、いくつかの実施形態では、その全体で参照することにより本明細書に組み込まれる、2009年4月16日に公開され、Microneedle Systems and Apparatus(G34)と題された、米国出願公開第US−2009−0099522号で説明されているものと同様の極小針センサとして具現化されてもよい。
【0044】
いくつかの実施形態では、システムは、少なくとも1つの慣性計測装置(「IMU」)を含んでもよい。種々の実施形態では、任意の種類のIMUが使用されてもよい。いくつかの実施形態では、IMUは、センサの組み合わせを使用して、運動を感知することが可能なデバイスである。種々のIMUは、例えば、加速度計および/またはジャイロスコープの組み合わせを使用して、感知の種類、速度、および方向を含むが、それらに限定されない、重力に対する配向を測定するように、1つ以上の加速度計および/または1つ以上のジャイロスコープを含んでもよい。少なくとも1つのIMUから収集されたデータは、ユーザが動いているか否かを判定するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、収集されたデータは、ユーザが眠っているか、または倒れたかを判定するために使用されてもよい。他の実施形態では、IMUは、ユーザが行っている活動の種類、例えば、走ること、スキーをすること、テニスをすること等を示してもよい、ユーザの速度および方向変化を判定するために使用されてもよい。したがって、少なくとも1つのIMUは、ユーザの運動を判定するために使用されてもよく、データは、コントローラによって制御され、プロセッサによって使用されてもよい。
【0045】
ユーザの運動を判定するための少なくとも1つのIMUの使用が本明細書で説明されているが、少なくとも1つのIMUは、血中酸素センサを含むがそれに限定されない、ユーザの運動または活動を判定する、任意の1つ以上の種々のデバイスおよびセンサと併せて使用されてもよいことを理解されたい。いくつかの実施形態では、IMUは、Microstrain,Inc.,Williston,VTによるMICROSTRAIN(登録商標)3DM−GX1(登録商標)であってもよい。いくつかの実施形態では、IMUは、ポンプの中またはコントローラの中に位置してもよく、ユーザによって、またはユーザ上で装着される別個のデバイスであってもよい。いくつかの実施形態では、使用されるIMUは、加速度計およびジャイロスコープを含む、3軸IMUであってもよい。いくつかの実施形態では、IMUは、3つの加速度計および3つのジャイロスコープを含んでもよい。これらのIMUは、ピッチ、ロール、およびヨーに関する出力を含む。しかしながら、これらのデバイスは、大きい、および/または重くてもよく、および/または大量の所要電力を有してもよい。したがって、いくつかの実施形態では、少なくとも1つの加速度計および少なくとも1つのジャイロスコープを含む、IMUを使用することが望ましくてもよい。
【0046】
いくつかの実施形態では、ユーザが運動をしているか、または別様にストレスを受けているか、あるいは、インスリン感度またはインスリン必要量を変化させる場合がある状況を経験しているかを判定するために、心拍数モニタ、呼吸数モニタ、アドレナリンセンサ、サーミスタ、および/または水和センサのうちの1つ以上が使用されてもよいが、それらに限定されない。いくつかの実施形態では、予期しないグルコースデータに寄与する場合がある、ユーザが脱水状態となり得るか否かを判定するために、水和センサが使用される。いくつかの実施形態では、予期しない結果を予測する、および/または温度が推奨されるよりも高い、あるいは低いときに、ユーザに注意/警告するために使用されてもよい、インスリンを含んでもよい医療用流体の温度を監視するために、温度センサが使用されてもよい。種々の他の実施形態では、付加的なセンサが使用されてもよい。種々の実施形態では、1つ以上のセンサが使用されてもよく、これらのセンサは、ユーザの上、ポンプの中、および/またはコントローラの中で、および/または別個のデバイスとして、あるいはそれらの組み合わせで使用されてもよい。
【0047】
コントローラは、少なくとも1つのユーザインターフェースとして、また、CGM/センサ、ポンプ、および制御システムを伴う患者/ユーザのインターフェース用の中央ユーザインターフェースとしての機能も果たす。本明細書の目的で、コントローラは、患者、「ユーザ」、介護者、医療介護提供者、またはそれらの組み合わせによってプログラムされてもよい。しかしながら、この説明の目的で、「患者」または「患者/ユーザ」あるいは「ユーザ」という用語は、コントローラに情報を入力する、または患者に介護を提供するためにコントローラを利用する誰かを指す。例示的実施形態では、システムコントローラは、無線、例えば、無線周波数(「RF」)通信および/または他の種類の遠隔通信を介して、種々のシステム構成要素と通信する。例示的実施形態では、コントローラは、グラフィカルユーザインターフェース(「GUI」)および1つ以上の入力デバイス、例えば、ボタン、容量性スライダ、ジョグホイール、タッチスクリーン、キーパッド、電子キーパッド、および任意の他の入力デバイスを含む。コントローラはまた、少なくとも1つのプロセッサも含むが、例示的実施形態では、コントローラは、少なくとも2つのプロセッサ、制御プロセッサ、および安全性プロセッサを含む。これらのプロセッサは、冗長プロセッサ、または、冗長処理を提供する、あるいは相互の処理をチェックする2つの異なるプロセッサであってもよい。
【0048】
コントローラのいくつかの実施形態は、少なくとも1つの「事象」または特殊ボタン、例えば、「食事」ボタン、「運動」ボタン、および「ボーラス」ボタンを含んでもよい。いくつかの実施形態では、コントローラは、単一の「事象」ボタンを含有してもよい。このボタンを押す、または作動させることにより、潜在的な事象のリストを含んでもよい、事象メニューをユーザにもたらしてもよく、そのうちの1つ以上は、ユーザにとってカスタマイズ可能であってもよい。
【0049】
全ての事象ボタンに関して、これらのボタンは、押されると、例えば、運動、食事、またはボーラスに対する処理論理に、患者/ユーザが直接入力することを可能にする、メニューまたは処理論理を患者/ユーザにもたらす。次いで、論理は、付加的な情報、例えば、どれだけ長く運動が続くことが予期されるか、どれだけ厳しいか、どれだけ多くの食物か(すなわち、どれだけ多くの炭水化物か)、血糖インデックス、食物の脂肪含有量およびタンパク質含有量を入力するように、患者/ユーザに問い合せを行ってもよい。ボーラスに関して、患者/ユーザは、一連のボタン押下を使用することによって、または、インスリンの要求された容量、すなわち、インスリンの単位を入力するために、別の入力デバイス、すなわち、ジョグホイール、ボタン、またはスライダを使用することによって、ボーラスの容量を入力することが可能となる。いくつかの実施形態では、ユーザインターフェースは、当技術分野で公知であるインスリンポンプおよびポンプコントローラ上で見出されるのと同じ特徴のうちの多くを含む。
【0050】
例示的実施形態では、コントローラはまた、「細片読取機」、例えば、「指先の穿刺」または「指先穿刺」の測定値で使用するためのグルコース試験細片を受け入れる空間も含み、例えば、患者が指を指し、「指先穿刺」に塗布するために指からの血液を使用する。「細片読取機」は、電気化学試験を使用して、血液の血糖値を判定する。細片読取機は、予期しない、または異常な測定値を二重にチェックするように、あるいは、CGM故障の場合にCGMへのバックアップとして、CGMを較正するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、細片読取機は、グルコース測定器等の別個のデバイスであってもよい。これらの実施形態では、グルコース測定器が指先穿刺測定値を無線で受信してもよく、または、ユーザが測定値をコントローラに手動で入力してもよい。
【0051】
GUIは、カラーGUI、ブラックオングレイスクリーン、および/またはタッチスクリーン、あるいはその他であってもよい。GUIは、加えて、音声コマンドを受け入れる、および/または与え、および/または要求に応じて拡大を提供してもよい。
【0052】
コントローラは、加えて、少なくとも1つのスピーカを含み、いくつかの実施形態では、少なくとも1つの振動モータを含む。いくつかの実施形態では、コントローラは、その全体で参照することにより本明細書に組み込まれる、2008年8月21日に公開され、Device and Method for Food Management(F21)と題された、米国出願公開第US−2008−0198012号で説明されている特徴のうちのいずれか1つ以上を含んでもよい。
【0053】
コントローラは、いくつかの実施形態では、少なくとも1つのCGMを含むがそれに限定されない、少なくとも1つセンサ用の受信機としての機能を果たす。そのようなものとして、ユーザは、新しいセンサが体内に導入されたときをコントローラに示す。いくつかの実施形態では、ユーザは、加えて、例えば、右腹部、左腹部、右腕、左腕、右臀部、左臀部、右足、左足等を含むが、それらに限定されない、ユーザの身体上のセンサの場所を入力してもよい。これは、センサが身体上の異なる領域中で異なって機能してもよいように、望ましくてもよい。コントローラがこのデータを記録し、処理するにつれて、コントローラは、身体の同じ領域からの「ラグ」および/または「ドリフト」情報を示す、過去のプロファイル情報に基づいて、センサを較正してもよい。
【0054】
種々の実施形態における医療用流体ポンプ/注入ポンプ/インスリンポンプ/流体ポンプは、インスリンを含む医療用流体を送達するために使用され、1つ以上の流体を送達するための1つ以上の貯留部を含んでもよい(したがって、種々の貯留部が、同じ流体、または異なる流体を含有してもよい)。いくつかの実施形態では、医療用ポンプは、2つ以上の種類のインスリン(例えば、上記で説明される種類のうちの1つ以上)を送達してもよい。しかしながら、いくつかの実施形態では、2つ以上の貯留部を含む医療用ポンプが、インスリンおよび少なくとも1つの逆調節ホルモン、例えば、グルカゴンを送達するために使用されてもよい。医療用ポンプは、それらの全体で参照することにより本明細書に組み込まれる、2007年9月20日に公開され、Patch−Sized Fluid Delivery Systems and Methods(E72)と題された米国出願公開第US−2007−0219480号、2007年12月11日に発行され、Loading Mechanism for Infusion Pump(C54)と題された米国特許第7,306,578号、2009年3月3日に発行され、Optical Displacement Sensor for Infusion Devices(D78)と題された米国特許第7,498,563号、2007年10月4日に公開され、Fluid Delivery Systems and Methods(E70)と題された米国出願公開第US−2007−0228071号、2007年9月20日に公開され、Pumping Fluid Delivery Systems and Methods Using Force Application Assembly(E71)と題された米国出願公開第US−2007−0219496号、2007年9月20日に公開され、Adhesive and Peripheral Systems and Methods for Medical Devices(E73)と題された米国出願公開第US−2007−0219597号、2008年12月31日に公開され、Infusion Pump Assembly(G75)と題された米国出願公開第12/347,985号、2008年12月31日に公開され、Wearable Pump Assembly(G76)と題された米国特許出願第12/347,982号、2008年12月31日に公開され、Infusion Pump Assembly(G77)と題された米国特許出願第12/347,981号、2008年12月31日に公開され、Pump Assembly With Switch(G79)と題された米国特許出願第12/347,984号、2009年4月16日に公開され、Microneedle Systems and Apparatus(G34)と題された、米国出願公開第US−2009−0099522号、および2009年4月16日に公開され、Infusion Pump Assembly(G46)と題された、米国出願公開第US−2009−0099523号で説明されているポンプのうちのいずれか、または複数の貯留部を収容する、その修正であってもよい。
【0055】
システムは、コントローラ上の1つ以上の振動モータおよび/または1つ以上のススピーカ、ならびにいくつかの実施形態では、医療用ポンプ上の1つ以上の振動および/またはスピーカモータを含むが、それらに限定されない、1つ以上のアラームを含んでもよい。いくつかのアラームは、いくつかの実施形態では、進行性アラームであってもよく、すなわち、アラームの種類に応じて、アラームが次第により大きく、または活発になる。アラームは、高血糖、低下する血糖または低い血糖、閉塞、空またはほぼ空の貯留部、取り外されたカニューレ、取り外されたセンサ、または患者が認識することを希望し得る任意の他の状態を含むが、それらに限定されない、無数の状態のうちのいずれかを示すために使用されてもよい。
【0056】
いくつかの実施形態では、アラームシステムは、さらにポンプおよびコントローラとは別の信号増幅器を含んでもよい。増幅器は、アラーム信号を受信し、アラームを増幅してもよい。信号増幅器は、いくつかの実施形態では、ポンプおよび/またはコントローラから無線伝送を受信してもよい、別個のデバイスであってもよい。いくつかの実施形態では、信号増幅器は、例えば、別のデバイスに信号伝達して、テレビまたはステレオをオンにし、電話が鳴るように自動的に誘起してもよく、または、いくつかの実施形態では、アラームが患者/ユーザによって確認されない場合、信号増幅器は、患者/ユーザによって事前にプログラムされる緊急サービスまたは緊急連絡番号に電話をしてもよい。
【0057】
いくつかの実施形態では、患者/ユーザは、異なる事象/時刻に対して異なる種類のアラームを選択してもよい。これらの選択は、事前にプログラムされてもよく(例えば、午後6時から午前6時までの毎晩、アラーム状態が感知された場合に夜間アラームシーケンスが使用される)、または所望される時に選択されてもよい(例えば、水泳前に、メニューを使用して、患者/ユーザが、例えば、振動のみであってもよい「水泳アラーム」を選択してもよい)。コントローラは、例示的実施形態では、患者/ユーザが、いくつかの状況に対して漸増または進行性アラームを選択し、他の状況に対して振動を選択してもよいように、アラームに関して完全にプログラム可能であってもよい。患者/ユーザによってプログラムされてもよい付加的なアラーム状態は、アラームを無音にするために必要な状態を含むが、それに限定されない(例えば、夜間アラーム無音状態は、患者が状態を確認することなく睡眠中にアラームをオフにしないことを確実にするために、一連の入力を必要としてもよい)。
【0058】
システムは、1つ以上のカニューレが患者から取り外されたときを判定するために、1つ以上の指標を使用してもよい。いくつかの実施形態では、カニューレが患者から取り外されたか否かを判定するために、伝導性センサが使用されてもよい。いくつかの実施形態では、カニューレは、カニューレの周囲の伝導パッド、例えば、中央プロセッサに電気的に連結された2つの電極を含むパッドを含んでもよい。カニューレが取り外された場合、インスリンがパッドの中へ送達され、したがって、パッドの伝導性を変化させる。
【0059】
ここで
図3を参照すると、いくつかの実施形態では、システムで使用されるカニューレは、抜去の視覚的指標として機能する2つ以上の管類の色を含むカニューレであってもよい。例示目的で、管類の色は、異なるハッチマークで表される。例えば、カニューレの先端は赤であってもよく、中央は青であってもよく、端は透明の管類であってもよい。したがって、患者は、目視検査を介してカニューレが患者から取り外されているか否かを判定してもよい。
【0060】
システムは、1つ以上のCGMセンサが故障したか、または、誤ったか、あるいは不正確な情報を提供しているか否かを判定するように、1つ以上の完全性試験を含んでもよい。「誤った」または「不正確な」情報という用語は、CGM測定値と指先穿刺測定値との間の差異率として定義されてもよい。差異率は、CGM測定値が指先穿刺測定値よりも高い割合または低い割合であるときを指してもよい。いくつかの実施形態では、例えば、指先穿刺とCGMとの間の30%差異より高い任意の数が、「誤った情報」または「不正確な情報」と称されてもよい。他の実施形態では、この割合は、30%よりも高い、または低くてもよい。いくつかの実施形態では、この割合は、ユーザとCGMシステムとの間で変化してもよい。
【0061】
いくつかの実施形態では、温度完全性試験が使用されてもよい。いくつかのCGMセンサは、温度偏移の程度ごとにドリフトを経験する場合がある。これらのCGMセンサについて、いくつかの実施形態では、温度がより高く、または低く変調される場合、システムは、CGM値の同様の割合および/または比例ドリフトを予期する。いくつかの実施形態では、システムは、最初に指先穿刺を行うようにユーザを促し、次いで、温度偏移に遭遇し、第2の指先穿刺測定値を採取し、ならびにCGM測定値に注目してもよい。これは、CGMの完全性試験を提供してもよい。いくつかの実施形態では、システムは、このようにユーザを促してもよく、かつ温度偏移(ポンプまたはコントローラの中の温度センサによって判定され得る)を待ち、次いで、第2の指先穿刺を行うようにユーザを促してもよい。次いで、システムは、温度偏移の前および後に、指先穿刺測定値をCGM測定値と比較してもよい。温度による偏移を経験することが予期される、特定のCGMが偏移しない場合には、これは、CGMシステムの完全性が低下しているという指標であってもよい。これらの場合において、システムは、このエラーについてユーザに通知し、制御の半閉または閉ループシステムの継続を中止する。
【0062】
いくつかの実施形態では、システムは、CGMセンサにごく近接する領域中で、皮膚の下の領域の中へ少量のグルコースを注射するようにユーザに促してもよい。少量のグルコースは、特定の濃度のグルコースを含有する溶液であってもよい。システムは、注射後の短時間にCGMからグルコース測定値の増加を予期してもよい。いくつかの実施形態では、この同じ試験が同じユーザで実施される場合、および溶液が以前に使用されたものと同一である場合、および注射が同じ方式で、かつセンサに関して以前と同じ領域で実施された場合、ユーザの反応の結果およびプロファイルは、システムの中にあってもよく、したがって、システムは、新しい結果を古い結果または古い結果の平均と比較してもよい。CGM測定値がグルコースの割合を示さない、または古い結果あるいは限界内の古い結果の平均に一致しない場合には、これは、CGMシステムの完全性が低下しているという指標であってもよい。これらの場合において、システムは、このエラーについてユーザに通知し、制御の半閉または閉ループシステムの継続を中止する。
【0063】
いくつかの実施形態では、システムは、要求に応じて指先穿刺測定値を採取するようにユーザに促してもよい。この測定値は、システム完全性チェックとして、および/または1つ以上のCGMセンサを較正するために使用されてもよい。完全性チェックとしての要求に応じた指先穿刺に関して、指先穿刺測定値が、ある割合以内のCGM測定値を確認しない場には、これは、CGMシステムの完全性が低下しているという指標であってもよい。これらの場合において、システムは、このエラーについてユーザに通知し、制御の半閉または閉ループシステムの継続を中止する。較正としての要求に応じた指先穿刺に関して、指先穿刺測定値が、ある割合以内のCGM測定値を確認しない場には、これは、CGMシステムの完全性が低下しているかもしれないという指標であってもよい。システムは、第2の指先穿刺を入力して、第1の指先穿刺測定値を確認するようにユーザに要求してもよい。第2の指先穿刺測定値の後に、第2の測定値が第1の測定値を確認する場合、システムが再開してもよく(測定値がCGM完全性を確認する場合)、または完全性が低下される場合があることを測定値が確認する場合、システムは、エラーについてユーザに通知し、制御の半閉または閉ループシステムの継続を中止してもよい。
【0064】
いくつかの実施形態では、要求に応じた指先穿刺に関して、システムが指先穿刺を要求し、システムが、所定の時間量、例えば、5分または10分以内に指先穿刺測定値を受信しない場合、システムは、デフォルトで閉ループまたは半閉ループモードを終了してもよい。これは、付加的な安全性を提供し、また、いくつかの実施形態では、システムが、信頼性のあるCGM測定値を確保するために頻繁な較正を必要としてもよいため、CGM測定値の精度を増加させてもよい。
【0065】
本明細書で説明される種々の完全性試験に関して、いくつかの実施形態では、システムエラーまたはアラートを送信するよりもむしろ、いくつかの実施形態では、かつ場合によっては、完全性チェックのうちのいずれかを用いて、システムは、予期されるそこからのCGM測定値の差異率を判定し、それに応じて測定値を調整してもよい。
【0066】
いくつかの実施形態では、CGMは、ユーザがセンサに圧力を印加している、例えば、睡眠中にセンサに寝返りを打ったときに、異なる、または「不良」データを提供してもよい。いくつかの実施形態では、システムは、これらの時間の間にセンサをオフにしてもよく、加えて、コントローラ画面上に指標アラートを含んでもよい。いくつかの実施形態では、ユーザが睡眠時であることをコントローラが感知すると、システムがシャットダウンしてもよく、ある経過時間量、例えば、30分後に、システムがセンサをオンにしてもよい。問題/圧力が自ら訂正した場合には、システムが再開してもよい。これは、夜間に目を覚ますよりもむしろ、ユーザが睡眠を継続し、おそらく、自らセンサから圧力を取り除くことを可能にするために望ましくてもよい。いくつかの実施形態では、シャットダウン中に、インスリンの送達も停止する。
【0067】
いくつかの実施形態では、経過時間後に、システムが自ら訂正しなければ、システムが警報を鳴らし、システムがシャットダウンをしたことをユーザに警告する。
【0068】
少なくとも部分的閉ループ方法を使用して糖尿病を管理するために、説明されたシステムの構成要素は、そのうちのいくつかが本明細書で説明される、種々の方法に従って、インスリン、およびいくつかの実施形態では、逆調節ホルモン、例えば、グルカゴンの制御された容量を送達するために使用されてもよい。例示的実施形態では、制御方法は、(ユーザによって要求される、または送達されるようにユーザによって事前にプログラムされる、インスリンの容量を測定することとは対照的に)患者に実際に送達されるインスリンまたは他の流体の容量を積極的に測定する能力を含むシステムの使用、少なくとも1つのCGMおよびユーザインターフェース、ならびに少なくとも部分的な閉ループアルゴリズムに対する命令を含有する過程に依存する。上記でさらに詳細に説明されるように、他のセンサおよびデータ入力モデルも含まれてもよい。しかしながら、いくつかの実施形態では、ポンプが実際に患者に送達しているインスリンまたは他の流体の容量を積極的に測定しないポンプも、使用されてもよい。これらの実施形態では、(機械的誤動作または閉塞が検出されない限り、または検出されるまで)患者に送達される容量がプロセッサによって要求された容量であるという仮定が立てられる。
【0069】
図6を参照すると、患者12が、医療用流体ポンプ14、センサ装置16を装着し、コントローラ18を保持して示されている。センサ装置16は、1つ以上のCGM、および1つ以上の付加的なセンサを含有してもよい。センサは、データをコントローラ18に伝送する。医療用流体ポンプ14は、それらの全体で参照することにより本明細書に組み込まれる、2007年9月20日に公開され、Patch−Sized Fluid Delivery Systems and Methods(E72)と題された米国出願公開第US−2007−0219480号、2007年10月4日に公開され、Fluid Delivery Systems and Methods(E70)と題された米国出願公開第US−2007−0228071号、2007年9月20日に公開され、Pumping Fluid Delivery Systems and Methods Using Force Application Assembly(E71)と題された米国出願公開第US−2007−0219496号、2007年9月20日に公開され、Adhesive and Peripheral Systems and Methods for Medical Devices(E73)と題された米国出願公開第US−2007−0219597号、2008年12月31日に公開され、Infusion Pump Assembly(G75)と題された米国出願公開第12/347,985号、2008年12月31日に公開され、Wearable Pump Assembly(G76)と題された米国特許出願第12/347,982号、2008年12月31日に公開され、Infusion Pump Assembly(G77)と題された米国特許出願第12/347,981号、2008年12月31日に公開され、Pump Assembly With Switch(G79)と題された米国特許出願第12/347,984号、2009年4月16日に公開され、Microneedle Systems and Apparatus(G34)と題された、米国出願公開第US−2009−0099522号、および2009年4月16日に公開され、Infusion Pump Assembly(G46)と題された、米国出願公開第US−2009−0099523号で示され、説明されているパッチポンプのうちのいずれか1つと同様のパッチポンプとして示されている。パッチポンプ14は、(いくつかの実施形態では、患者/ユーザによる制御を可能にするユーザインターフェースも含んでもよいが)コントローラによって制御され、情報をコントローラ18に伝送する。したがって、コントローラは、1つ以上のセンサおよびポンプに関する情報を受信する。加えて、コントローラは、ユーザからの入力、例えば、事象を受信し、かつ指先穿刺測定値または指先穿刺データの手動入力を受信してもよい。加えて、コントローラは、いくつかの実施形態では、食物またはグルコース測定値等に関する情報を無線で受信してもよい。いくつかの実施形態では、コントローラは、音声認識を含み、したがって、これらの実施形態では、コントローラは、音声を介してコマンドを受信してもよい。
【0070】
本明細書で説明される制御方法は、例示的実施形態では、システムに対するユーザ較正を含んでもよい。ユーザ較正とは、ユーザに対してシステムを較正することを指す。これは、規定の事象の間または後に、規定のときにCGMデータを収集することを含んでもよいが、それに限定されない。これらは、本明細書で挙げられる実施例のうちの1つ以上を含んでもよいが、それらに限定されない。
【0071】
規定の事象は、システムが要求する任意の事象、例えば、絶食事象、運動事象、食事事象、および/または睡眠事象を含んでもよい。システムは、ユーザが「絶食事象」を受けることを規定してもよい。いくつかの実施形態では、これは、ある期間中に絶食するようにユーザに促すことを含んでもよい。例えば、絶食時間は、午前0時から午前10時の間、午前9時から午後2時の間、午後2時から午後7時の間、および午後7時から午前0時の間を含んでもよいが、それらに限定されない。これらは、朝の絶食、昼食の絶食、夕食の絶食、および一晩の絶食に相関してもよい。システムは、この時間中に周期的測定値を採取して、ユーザを特性化またはプロファイルしてもよい。いくつかの実施形態では、システムは、この時にCGMの検証として、ある間隔で指先穿刺を実施するように、ユーザに要求し、促してもよい。これらの結果として生じるプロファイルは、基礎設定変更を推奨すること、異常を識別すること、および/または基礎境界の変更を推奨することを含むが、それらに限定されない、多くの方法で使用されてもよい。いくつかの実施形態では、システムは、絶食プロファイルを1年に数回完成させるようにユーザに推奨する、または促してもよく、または、システムがインスリン必要量またはCGMデータの異常を識別すると、システムは、ポンプ、CGM、またはコントローラシステム完全性に関連する潜在的な問題を識別する、または、ユーザが境界および/または軌道あるいは速度等を再考慮することを希望し得る時刻または事象を識別するよう、絶食プロファイルを完成させるようにユーザを促してもよい。
【0072】
他の規定の事象は、1つ以上の運動事象を含んでもよい。これらの事象中、ユーザは、行われている運動の種類を入力してもよい。システムは、定期的なCGM測定値を採取し、事象中に指先穿刺検証を促してもよい。再度、絶食事象と同様に、システムは、運動プロファイルを1年に数回完成させるようにユーザに推奨する、または促してもよく、または、システムがインスリン必要量またはCGMデータの異常を識別すると、システムは、ポンプ、CGM、またはコントローラシステム完全性に関連する潜在的な問題を識別する、または、ユーザが境界および/または軌道あるいは速度等を再考慮することを希望し得る時刻または事象を識別するよう、運動プロファイルを完成させるようにユーザを促してもよい。いくつかの実施形態では、システムが促してもよく、またはユーザがこれらの事象を要求してもよい。また、いくつかの実施形態では、例えば、無酸素事象、長時間の有酸素事象、短時間の無酸素事象、長時間の無酸素事象等を含むが、それらに限定されない、多くの異なる種類の運動事象が行われてもよい。このように、ユーザは、これらの事象のうちのいずれかに着手している時をシステムに入力してもよく、したがって、システムは、これらの事象中に異常および/または境界および/または軌道を考慮する推奨を識別するために使用されてもよい、付加的なデータを収集してもよい。
【0073】
摂食事象が、システムまたはユーザからの要求によって実施されてもよい。摂食事象は、摂食事象を識別するのにユーザおよび/またはシステムに役立ってもよい(ユーザがシステムに事象を入力できなかった場合、システム自体がパターンを認識し、例えば、「食事をしていますか?」という質問でユーザを促してもよい)。いくつかの実施形態では、2種類以上の摂食事象が捕捉されてもよく、例えば、これらは、朝食、昼食、夕食、午前の間食、午後の間食、および夜の間食を含むが、それらに限定されない。いくつかの実施形態では、システムは、例えば、「キャンディバーを食べる」ことをユーザに要求してもよい。これらの実施形態では、ユーザが、キャンディバーを選択し、入力を通して、キャンディバーに関する情報をコントローラに入力してもよい。次いで、ユーザは、要求された較正を開始することを選択してもよい。ユーザは、キャンディバーを食べてもよく、コントローラは、この時間の間に、種々のグルコースまたは他の種類のデータを収集してもよい。したがって、システムは、同じキャンディバーに対して、および/または同一または同様の状況下で、その特定の時間におけるキャンディバーに対して、後に使用されてもよい、このキャンディバーの「プロファイル」を収集する。いくつかの実施形態では、システムは、較正日の間に、非運動較正に対して「運動なし」を特定してもよい。いくつかの実施形態では、システムは、ユーザが「運動し」、次いで、特定の食事を食べることを特定してもよい。それぞれの場合において、ユーザは、コントローラと相互作用し、食事の種類および持続時間、および/または、運動の種類および/または持続時間を含むが、それらに限定されない、種々の情報を入力してもよい。
【0074】
一般に、患者較正とは、患者のインスリン感受性、患者における所与のインスリンの全反応時間(および動態プロファイル)、体脂肪指数、特定の食物または食物の種類に対する血糖プロファイル、特定の運動に対する血糖プロファイル(種類/厳しさおよび持続時間の両方)、現在の薬剤、他の疾患、および、夜間/睡眠、疾病、就業日、授業日、試験期間、週末、旅行、および同等物、すなわち、システムがその経験/状況に対する血糖プロファイルを習得するために患者(または介護者、医療介護提供者)が役立たせるのに十分頻繁に患者が経験し得る、任意の生活状況のうちの1つ以上であるが、それらに限定されないものに対する血糖プロファイルのうちのいずれか1つ以上であるが、それらに限定されないものに対して、システムを較正することを指す。
【0075】
いったん上記のうちのいずれか(またはその他)に対する患者較正が完了すると、システムは、較正の種類のうちのいずれかに対する予期しない結果(すなわち、予期しない血糖プロファイル)を識別することが可能であってもおい。いくつかの実施形態では、システムは、予期しない結果により、1つ以上の較正が反復されなければならない、または反復されるべきであることを患者に警告してもよい。
【0076】
患者/ユーザは、これらの警告のときに対する選好をプログラムし、例えば、警告または所与の較正を誘起する、予期された割合から外れた割合を事前にプログラムしてもよい。したがって、患者/ユーザは、特定/事前設定の逸脱に基づいて警告および再較正を制限してもよい。また、患者/ユーザは、警告を無効にしてもよい。さらに、患者/ユーザは、逸脱が夜間に3%である場合に警告が誘起されることを選好してもよい一方で、ストレスを受けている間には10%を選好してもよい。
【0077】
いくつかの実施形態では、コントローラは、種々の状況に対する較正のメニューを含んでもよい。いくつかの実施形態では、患者は、較正メニューに追加する、および/またはメニューをカスタマイズする能力を有してもよい。患者が状況のうちのいずれかを経験している場合、患者は、この情報をコントローラに入力してもよく、したがって、プロセッサ/コントローラは、測定値およびインスリン送達を較正と比較することを知る。また、プロセッサは、各状況に対するデータを記憶し、データから習得する、すなわち、このデータに基づいて送達を調整してもよい。
【0078】
いくつかの実施形態では、予期しない結果がある場合、ユーザは、逸脱/予期しない結果を説明する機会を有してもよい。例えば、患者が食事をする意向であり、この情報をシステムに入力したが食べられなかった、例えば、気が変わった、または忘れた場合、システムは、血糖測定値を見直す際に、患者の血糖値が予期されるように上昇しておらず、したがって、これが予期される値からの逸脱として適格であってもよいと見なしてもよい。システムは、逸脱について患者に警告してもよく、患者は、意図された食事が行われなかったことを入力する(メニューまたはその他を通して)。
【0079】
他の実施形態では、ユーザが事象をシステムに入力しておらず、システムが、CGMまたは指先穿刺データを通して、事象と同様のプロファイルを感知する、または予期しない結果を示すプロファイルが、CGM故障、カニューレ故障、インスリン機能不全(例えば、閉塞、温度または加齢による減少した活性等)によるものであり得る場合、システムは、インスリンの送達の容量またはスケジュールを変更しなくてもよく、むしろ、システムは、インスリン送達のスケジュールを変更する前に、付加的な情報、例えば、事象を入力するようにユーザに促してもよい。例えば、ユーザが食事事象をシステムに入力せず、システムが、CGMまたは指先穿刺データを通して、時刻にとって特徴的ではない血糖値を感知する、および/または事前にプログラムされた基礎境界を超えることをシステムに要求する場合、システムは、その時刻に許容されるよりも多量のインスリンが送達されることが要求されてもよい、すなわち、容量が事前にプログラムされた境界を超えてもよい、または、送達が1日の最大容量を超えるという指標があることを、ユーザに警告してもよい。いくつかの実施形態では、ユーザは、警告から事前にプログラムされた時間以内、例えば、5分以内に、事象または付加的な情報を入力する機会を有してもよい。入力された情報は、例えば、所定のプロファイルに基づいて、血糖データを確認してもよく、または情報が血糖データを確認しなければ、予期しない血糖データは、予期および予想されないことが発生したという指標であってもよく、ユーザに警告し、閉ループまたは半閉ループシステムをシャットダウンしてもよい。これらの実施形態では、ユーザが、予期しない血糖データを説明する情報を提供できなかった場合、閉ループまたは半閉ループシステムはシャットダウンしてもよい。
【0080】
種々の実施形態では、閉ループおよび/または半閉ループシステムは、最初にユーザに通知せずにシャットダウンしなくてもよく、すなわち、システムは、無音シャットダウン、例えば、シャットダウンする前にユーザに通知することがないシャットダウンを行わない。
【0081】
いくつかの実施形態では、上記で論議されるように、システムは、CGMセンサにごく近接する領域中で、皮膚の下の領域の中へ少量のグルコースを注射するようにユーザに促してもよい。少量のグルコースは、特定の濃度のグルコースを含有する溶液であってもよい。システムは、注射後の短時間にCGMからグルコース測定値の増加を予期してもよい。システムは、注射後の短時間にCGMからグルコース測定値の増加を予期してもよい。いくつかの実施形態では、この同じ試験が同じユーザで実施された場合、および溶液が以前に使用されたものと同一である場合、および注射が同じ方式で、かつセンサに関して以前と同じ領域で実施された場合、ユーザの反応の結果およびプロファイルは、システムの中にあってもよく、したがって、システムは、新しい結果を古い結果または古い結果の平均と比較してもよい。しかしながら、この手順は、加えて、ユーザ較正過程で使用されてもよく、その場合、ユーザの結果として生じるグルコースプロファイルは、ユーザにおけるXグラムの即効炭水化物からの予期された反応の参照として、システムによって使用されてもよい。このプロファイルは、いくつかの実施形態では、予測または感知された低血糖発作を治療するように、ある種類の間食をユーザに推奨するために使用されてもよい。
【0082】
種々の制御アルゴリズムが、少なくとも部分的閉ループシステムに適用されてもよい。いくつかの実施形態では、適用される制御アルゴリズムは、患者/ユーザ選択される。いくつかの実施形態では、種々の制御アルゴリズムは、患者選択されるパラメータを含む。
【0083】
制御アルゴリズムは、患者/ユーザによって、いつでもオンまたはオフにされてもよい。種々のアルゴリズムが、異なるときに使用されてもよく、患者駆動される。したがって、例示的実施形態では、患者/ユーザが、所与のアルゴリズムの使用に対する制御を維持し、そのアルゴリズムは、いつでも無効にされてもよい。
【0084】
以下で説明されるアルゴリズムのうちのいずれか1つ以上は、いつでも使用されてもよい。アルゴリズムのいくつかの実施例が以下で論議されるが、上記で説明されるシステムの種々の実施形態は、患者/ユーザが所望する任意の制御アルゴリズムと併せて使用されてもよい。したがって、少なくとも部分的にインスリンの送達を制御するために使用されるコントローラ上に容易に統合される、付加的なアルゴリズムが開発されてもよい。
【0085】
制御アルゴリズムは、例示的実施形態では、コントローラ上に存在する。しかしながら、いくつかの実施形態では、制御アルゴリズムは、コントローラに加えて、またはコントローラの代わりに、ポンプ上に存在してもよい。無数の制御アルゴリズムが制御システムによってアクセスされてもよい。制御システムは、任意の制御アルゴリズムによって利用されてもよい、いくつかの患者特有の入力を受信してもよい。これらの入力は、患者較正を含む。
【0086】
いくつかの実施形態では、システムは、ネットワーク操作センター(「NOC」)を含む。NOCは、活動およびリソースを協調させるために使用されてもよい。NOCは、ネットワーク接続を介して、または無線で、コントローラおよび/またはポンプと通信してもよい。コントローラ/ポンプから遠隔にあるNOCは、コントローラまたはポンプよりも優れた処理能力を含んでもよく、したがって、適応型ソフトウェアを含んでもよい。いくつかの実施形態では、NOCは、人工知能および/または臨床ソフトウェアを含んでもよい。したがって、これらの実施形態では、ポンプまたはコントローラ(あるいは、ユーザのパーソナルコンピュータまたは「PC」)よりもむしろ、NOCが、臨床ソフトウェアのホストになる。これは、ソフトウェア改ざんを防止し、また、ソフトウェア更新のための中心点を提供するためにも望ましくてもよい。これらの更新は、ネットワークを介して、ポンプおよび/またはコントローラおよび/またはユーザのPC上にダウンロードされてもよい。
【0087】
いくつかの実施形態では、患者/ユーザは、時間範囲または他の特性化された経験に対する「標的血糖値」または「標的血糖範囲」を特定し、すなわち、運動、疾病、夜間、食事前、食事後、食事中等に対する標的範囲のうちの1つ以上を含むが、それらに限定されない。これらの標的値は、与えられる許可に基づいて、患者/ユーザによっていつでも変更されてもよい(すなわち、いくつかの実施形態では、特定のユーザ、すなわち、患者および介護者のみが、標的値を変更する許可またはアクセスを有する)。
【0088】
患者較正データとともに、1つ以上のセンサからのデータを使用して、制御アルゴリズムは、患者へのインスリンの送達を制御するための方法としての機能を果たす。
【0089】
利用されてもよい1つのアルゴリズムは、部分的閉ループアルゴリズムである。これは、インスリンの送達の閉ループ制御を提供するが、「範囲」または「一式の許可」以内のアルゴリズムを指す。例えば、ここで
図4を参照すると、「有界ボーラス」アルゴリズムの実施形態が示されている。この実施形態では、「ボーラス」インスリンがコントローラによって送達するために要求されてもよい時間である、「ボーラスウィンドウ」をユーザが特定する。特定されたボーラスウィンドウ内で、コントローラは、インスリンの特定の「有界」容量を送達することのみが可能となるか、または送達する許可のみを有する。異なる解釈をすると、有界ボーラスアルゴリズムは、特定のボーラスウィンドウ中に特定の容量を超えるインスリンの送達を防止する。
【0090】
いくつかの実施形態では、ボーラスが必要とされると患者/ユーザが判定する場合、患者/ユーザは、「有界ボーラス」アルゴリズムを要求し、持続時間および容量の許可を入力してもよい。
【0091】
いくつかの実施形態では、ユーザは、例えば、15単位といった、コントローラが送達してもよい最大ボーラス容量である、「ボーラス最大値」を特定してもよい。いくつかの実施形態では、ユーザは、例えば、40単位といった、24時間の期間中に送達されるボーラスインスリンの全容量を制限する「24時間ボーラス最大値」を特定してもよい。
【0092】
種々の実施形態では、これらの境界のうちの1つ以上は、ユーザによって特定され、事前にプログラムされてもよい。種々の実施形態では、特定の容量が送達されるべきであるが、特定の容量が1つ以上の境界を超えることをコントローラが血糖値から判定する場合、コントローラは、付加的な情報を入力するようにユーザを促してもよく、または1つ以上の境界が満たされていることをユーザに警告した後にシャットダウンしてもよい。利用されてもよい別のアルゴリズムは、閉ループボーラスアルゴリズムである。これは、アルゴリズムによって判定される時間および容量において、患者較正ならびに事象および標的に関する情報に基づいて、インスリンを送達するコントローラの能力を指す。したがって、閉ループアルゴリズムは、無数のセンサまたは他の入力からのデータを使用し、インスリンの送達のための適切な時間および容量を判定する。
【0093】
上記で説明される部分的閉ループボーラスアルゴリズムと同様に、部分的閉ループ基礎とは、インスリンの送達の閉ループ制御を提供するが、「範囲」または「一式の許可」以内のアルゴリズムを指す。例えば、ここで
図5を参照すると、「有界ボーラス」アルゴリズムの実施形態が示されている。この実施形態では、「基礎」インスリンがコントローラによって送達するために要求されてもよい時間である、「基礎ウィンドウ」をユーザが特定する。特定された基礎ウィンドウ内で、コントローラは、インスリンの特定の「有界」容量を送達することのみが可能となるか、または送達する許可のみを有する。異なる解釈をすると、有界基礎アルゴリズムは、特定の基礎ウィンドウ中に特定の容量を超えるインスリンの送達を防止する。いくつかの実施形態では、患者/ユーザは、事前にプログラムされた基礎速度を有してもよい。いくつかの実施形態では、事前にプログラムされた速度の数は、1〜100であってもよい。有界基礎アルゴリズムを使用して、患者/ユーザは、コントローラが、事前にプログラムされたパラメータ以内であるが、特定の要求時間枠にわたって基礎速度を変更する/変化させることを可能にする。例えば、システムは、事前選択された期間中に基礎速度を増加または減少できるようになってもよいが、速度は「有界」となり、すなわち、システムは、事前選択された有界範囲内のみであるが、期間中に基礎速度を自由に変化させることができる。システムは、事前選択された期間にわたって、有界速度よりも高い、または低い速度で送達できるようにはならない。
【0094】
「有界」アルゴリズムのいくつかの実施形態では、システムは、有界範囲が延長されることを患者/ユーザに推奨してもよい。これらの実施形態では、患者/ユーザは、システムが有界範囲を超えて送達するために合意する/許可を与える必要がある。いくつかの実施形態では、システムは、1回の送達のための有界範囲外で送達する許可を推奨してもよい。他の実施形態では、システムは、推奨された期間にわたって有界範囲外で送達する許可を推奨してもよい。
【0095】
いくつかの実施形態では、ユーザは、例えば、毎時間2単位といった、コントローラが送達してもよい基礎速度である、「基礎速度最大値」を特定してもよい。いくつかの実施形態では、ユーザは、例えば、40単位といった、24時間の期間中に送達されるボーラスインスリンの全容量を制限する、「24時間基礎最大値」を特定してもよい。
【0096】
種々の実施形態では、これらの境界のうちの1つ以上は、ユーザによって特定され、事前にプログラムされてもよい。種々の実施形態では、特定の容量が送達されるべきであるが、特定の容量が1つ以上の境界を超えることを、コントローラが血糖値から判定する場合、コントローラは、付加的な情報を入力するようにユーザを促してもよく、または1つ以上の境界が満たされていることをユーザに警告した後にシャットダウンしてもよい。利用されてもよい別のアルゴリズムは、閉ループ基礎アルゴリズムである。これは、アルゴリズムによって判定される時間および容量において、患者較正ならびに事象および標的に関する情報に基づいて、インスリンを送達するコントローラの能力を指す。したがって、閉ループアルゴリズムは、無数のセンサまたは他の入力からのデータを使用し、インスリンの送達のための適切な時間および容量を判定する。
【0097】
別のアルゴリズムは、完全閉ループアルゴリズムである。したがって、システムには、「基礎」および「ボーラス」送達の両方に対して、インスリン送達の時間および容量を判定するための完全制御が与えられる。したがって、このアルゴリズムのいくつかの実施形態では、システムは、「基礎」および「ボーラス」送達を区別しなくてもよく、むしろ、システムは、患者較正および無数の患者センサから受信されたデータに基づいてインスリンを送達する。閉ループアルゴリズムのいくつかの実施形態では、システムはまた、事象/経験に関するユーザ入力を受け入れ、送達時間および容量を計算する時に、これらの入力を考慮してもよい。
【0098】
本明細書で説明されるシステムおよび方法の例示的実施形態では、システムによって使用される任意のアルゴリズムについて、予期しない結果が発生した場合、システムは自動的にシャットダウンしてもよい。いくつかの実施形態では、システムは、自動シャットダウンを推奨してもよいが、患者/ユーザ確認を要求する。他の実施形態では、システムは、一連の増大するアラームを使用して患者/ユーザに通知することを含む、自動シャットダウンの方法を採用してもよく、システムが確認を受信しない場合は、自動的にシャットダウンする。
【0099】
システムの例示的実施形態では、ユーザは、所定の間隔にわたってシステムがユーザからいずれの入力も受信しなかった場合に、自動シャットダウン手順を事前にプログラムしてもよい。例えば、患者が午前6時から午前10時までの間に指先穿刺測定値を採取していない場合、システムは、自動シャットダウン手順を経験してもよい。例示的実施形態では、これらの事前にプログラムされた自動シャットダウン手順および時間枠は、患者/ユーザによって特定されてもよい。
【0100】
いくつかの実施形態では、指先穿刺測定値およびCGM測定値が、システムによって許容可能であるか、または患者/ユーザによって事前にプログラムされるよりも高い割合だけ変化する場合に、自動シャットダウン手順が誘起されてもよい。いくつかの実施形態では、同様に、自動シャットダウン手順は、システムで使用されるセンサのうちのいずれか1つ以上から受信されたデータに基づいて誘起されてもよい。
【0101】
種々の実施形態では、閉ループおよび/または半閉ループシステムは、予期されないグルコースデータおよび/または予期されないインスリン必要量を含んでもよいが、それらに限定されない異常を検出する。いずれか一方は、システム構成要素のうちのいずれか1つ以上が故障している、または故障したという、および/または、ユーザが、例えば、高炭水化物食、長時間の食事、長時間の運動、新しい運動、および/またはストレスのうちの1つ以上を含むが、それらに限定されない、予期しない事象および/または事象からの予期しない結果を体験または経験しているという指標であってもよい。本明細書で開示される半閉および/または閉ループシステムの例示的実施形態では、システムが異常を検出すると、システムがシャットダウンしてもよい。
【0102】
いくつかの実施形態では、異常は、「良好な」制御であってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、血糖データが複数の測定値と比べて一貫および/または安定した血糖測定値を示す場合、これは、1つ以上のCGMセンサが故障した、または故障していること、および/または血糖測定器が故障したことを示してもよい。したがって、予期しないグルコースデータは、予想外に「高い」または予想外に「低い」を指すだけでなく、むしろ予想外に一貫していることを指してもよい。
【0103】
さらに、いくつかの実施形態では、グルコースデータが予期しない低血糖事象を示す場合、これは、インスリンポンプが故障を経験しているという、またはユーザが予期しない事象を体験している(その場合、上記で論議されるように、システムは、シャットダウンする前にさらなる情報についてユーザを促してもよい)という指標であってもよい。
【0104】
いくつかの実施形態では、1つ以上のセンサが、ユーザによって示されるような、またはグルコースデータによって示されるような「事象」を確認しない場合、これは1つ以上のセンサが故障したという指標であってもよい。したがって、これが検出された異常であると、システムがシャットダウンしてもよい。
【0105】
いくつかの実施形態では、異常が検出された場合、コントローラは、例えば、「大丈夫ですか?」といった質問でユーザを促してもよい。ユーザが「はい」と応答する場合、システムは、故障があることを確認し、シャットダウンしてもよい。代替として、ユーザが「いいえ」と応答した場合、これは、ユーザに発生している予期しない事象、例えば、ストレスまたは疾病があることを示してもよく、システムがシャットダウンしてもよい。いくつかの実施形態では、システムは、指先穿刺を入力するようにユーザを促してCGMデータを確認してもよく、いくつかの実施形態では、CGMセンサを較正するために指先穿刺データを使用してもよい。
【0106】
いくつかの実施形態では、完全性試験として、または較正として、システムは、1つ以上の基礎送達を意図的に送達せず、結果として生じるセンサおよび/またはグルコースデータを記録してもよい。これは、治療法を最適化するために使用されてもよい、各基礎送達のグルコースデータへの影響を示すデータを提供してもよい。例えば、システムは、意図的に送達されない送達からの較正データに基づいて、より良好に基礎を調整してもよい。この情報はまた、インスリン感受性を判定するために使用されてもよい。
【0107】
例示的実施形態では、コントローラが意図的に送達されない送達を制定する場合、ユーザは、送達されない送達の前に通知されてもよく、いくつかの実施形態では、ユーザは、この較正を容認または拒否するように促されてもよい。いくつかの実施形態では、ユーザが所定の時間領内に応答できなかった場合、システムは較正を進めなくてもよい。
【0108】
いくつかの実施形態では、システムは、(アルゴリズムまたは軌道に基づいて)要求された基礎の割合を加算または減算することによって、インスリン感受性試験を実施してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、システムは、ある持続時間にわたって10%基礎を減算または加算し、少なくとも1つのセンサデータを記録してもよい。これは、定期的に、例えば、毎月、または種々の事象、例えば、睡眠、運動等の間に実施されてもよい。これらの較正は保存され、システムは、インスリン感受性を判定するか、または、いくつかの実施形態では、再び実施される較正を要求するようにシステムを促してもよい、インスリン感受性の変化を識別するように、それらを再度参照してもよい。したがって、システムは、別の較正を促してもよい、考えられる予期しないデータを識別するために使用されてもよい、プロファイルを日常的に作成する。これらの実施形態では、システムは、インスリン感受性因子および基礎速度を日常的に最適化している。
【0109】
いくつかの実施形態では、閉ループ制御であろうと半閉ループ制御であろうと、システムは、開ループシステムとして初期化してもよく、いくつかの実施形態では、徐々に閉ループまたは半閉ループシステムに変換してもよい。いくつかの実施形態では、開ループ起動は、閉ループまたは半閉ループシステムに遷移する前に、所定の時間量、例えば、3時間にわたって実施することを要求されてもよい。いくつかの実施形態では、システムは、遷移前の起動時に最小数の較正を実施することを要求されてもよい。
【0110】
いったんシステムに遷移の準備ができると、いくつかの実施形態では、遷移は段階的であってもよい。いくつかの実施形態では、システムは、事前設定された基礎送達による送達であってもよい。いくつかの実施形態では、事前設定された基礎送達は、そのときのそのユーザに対する平均または要求より少ない割合、例えば、10%、20%等であってもよい。いくつかの実施形態では、事前設定された基礎送達は、要求よりも50%少なく開始してもよく、次いで、0%少ない比率に到達するまで、40%、次いで30%に進んでもよい。したがって、各ステップで、システムは、少なくとも1つのグルコースセンサからのデータ、いくつかの実施形態では付加的なセンサからのデータ、および/または指先穿刺データに基づいて、次のセットに進むことが安全であるか否かを判定してもよい。
【0111】
いくつかの実施形態では、システムは、グルコースデータを分析し、偏位が発生したときを判定する。偏位は、事前にプログラムされた標的範囲外にあるグルコース測定値として定義されてもよい。システムのいくつかの実施形態では、多くの異なる標的が、時間または事象によって事前にプログラムされてもよい。偏位は、「時間」または「事象」に対して定義されてもよい。例えば、食事事象中に、ユーザのグルコースが食事前の標的グルコース値を上回って上昇し、次いで、標的内の値に戻ることが予期されてもよい。したがって、システムは、食事ボーラス後の最初の120分間の1つの標的定義と、食事ボーラス後の120〜180分間の別の定義とを含んでもよい。
【0112】
いずれの場合でも、システムは、ユーザが「偏位」に費やした1日あたりの全時間量を判定してもよい。これは、インスリン感受性、炭水化物比、標的、および/または境界を含むが、それらに限定されない、1つ以上の事前にプログラムされた値のうちの1つ以上をユーザが再評価するために、付加的なデータを提供してもよい。いくつかの実施形態では、システムは、ユーザの血糖値の「等級」または「格付け」を含んでもよい。等級または格付けは、平均血糖値、標的内で費やされた全時間量、偏位に費やされた全時間量、血糖値が所定の割合よりも大きい割合で変化していた全時間量、および/または標的を下回って費やされた全時間量を含むが、それらに限定されない、1つ以上を考慮することによって判定されてもよい。いくつかの実施形態では、これらの因子のうちの1つ以上は、格付け方法でより重視されてもよく、例えば、偏位に費やされた全時間量は、標的を下回って費やされた全時間量よりも重視されてもよい。いくつかの実施形態では、等級または格付けは、標的を上回って、または下回って費やされた全時間量をより重視することによって判定されてもよい。いくつかの実施形態では、血糖値が所定の割合よりも大きい割合で変化していた全時間量が、他の因子よりも重視されてもよい。
【0113】
いくつかの実施形態では、平均血糖値は、「予測された」A1Cレベルと相関があってもよい。例えば、ユーザが過去90日間で135mg/dlの平均血糖値を有する場合、システムは、これが6.0%のA1Cレベルに変換する見込みであることをユーザに示してもよい。
【0114】
上記で論議されるように、システムの種々の実施形態は、参照することにより本明細書に組み込まれる、種々の注入ポンプのうちの1つ以上を含んでもよい。以下は、システムのいくつかの実施形態で使用されてもよい、注入ポンプのいくつかの実施形態の説明である。
【0115】
図7〜9を参照すると、注入ポンプアセンブリ100は、再利用可能な筐体アセンブリ102を含んでもよい。再利用可能な筐体アセンブリ102は、圧縮に抵抗する、硬質または剛性プラスチック等の任意の好適な材料から構築されてもよい。例えば、耐久性材料および部品の使用は、より長く持続し、より耐久性のある再利用可能な部分を提供し、その中に配置された構成要素にさらに優れた保護を提供することによって、品質を向上させ、費用を削減する。
【0116】
再利用可能な筐体アセンブリ102は、ポンプアセンブリ106および少なくとも1つの弁アセンブリ108を有する、機械制御アセンブリ104を含んでもよい。再利用可能な筐体アセンブリ102はまた、1つ以上の制御信号を機械制御アセンブリ104に提供し、ユーザへの注入可能な流体の基礎および/またはボーラス送達を達成するように構成される、電気制御アセンブリ110を含んでもよい。使い捨て筐体アセンブリ114は、流体経路を通る注入可能な流体の流動を制御するように構成されてもよい、弁アセンブリ108を含んでもよい。再利用可能な筐体アセンブリ102はまた、流体経路からユーザに注入可能な流体を送出するように構成されてもよい、ポンプアセンブリ106を含んでもよい。
【0117】
電気制御アセンブリ110は、送出された、および/または送出されている注入可能な流体の量を監視し、制御してもよい。例えば、電気制御アセンブリ110は、容量センサアセンブリ148から信号を受信し、分注された注入可能な流体の量を計算し、ユーザによって必要とされる投与量に基づいて、十分な注入可能な流体が分注されたか否かを判定してもよい。十分な注入可能な流体が分注されていない場合、電気制御アセンブリ110は、より多くの十分な注入可能な流体が送出されるべきであると判定してもよい。付加的な必要投与量が送出されてもよいように、電気制御アセンブリ110は、適切な信号を機械制御アセンブリ104に提供してもよく、または付加的な投与量が次の投与量とともに分注されてもよいように、電気制御アセンブリ110は、適切な信号を機械制御アセンブリ104に提供してもよい。代替として、過剰な量の注入可能な流体が分注された場合、より少ない注入可能な流体が次の投与量で分注されてもよいように、電気制御アセンブリ110は、適切な信号を機械制御アセンブリ104に提供してもよい。
【0118】
機械制御アセンブリ104は、少なくとも1つの形状記憶アクチュエータ112を含んでもよい。ポンプアセンブリ106および/または機械制御アセンブリ104の弁アセンブリ108は、少なくとも1つの形状記憶アクチュエータ、例えば、ワイヤまたはバネ構成の形状記憶ワイヤであってもよい、形状記憶アクチュエータ112によって作動させられてもよい。形状記憶アクチュエータ112は、機械制御アセンブリ104を作動させるために使用される熱および/または電気エネルギーのタイミングおよび量を制御してもよい、電気制御アセンブリ110に動作可能に接続され、かつそれによって起動されてもよい。形状記憶アクチュエータ112は、例えば、温度とともに形状を変化させる、伝導性形状記憶合金ワイヤであってもよい。形状記憶アクチュエータ112の温度は、加熱器により、またはより便宜的には、電気エネルギーの印加によって変化させられてもよい。形状記憶アクチュエータ112は、NITINOL
TMまたはFLEXINOL(登録商標)等の、ニッケル/チタン合金で構築された形状記憶ワイヤであってもよい。
【0119】
注入ポンプアセンブリ100は、注入ポンプアセンブリ100によって注入される流体の量を監視するように構成される、容量センサアセンブリ148を含んでもよい。例えば、容量センサアセンブリ148は、例えば、音響容量感知を採用してもよい。音響容量測定技術は、その全ての開示全体が参照することによって本明細書に組み込まれるDEKA Products Limited Partnershipに譲渡された米国特許第5,575,310号および第5,755,683号、ならびに米国特許出願公開第US2007/0228071A1号、第US2007/0219496A1号、第US2007/0219480A1号、第US2007/0219597A1の主題である。例えば、ドップラーベースの方法、羽根またはフラッパ弁と組み合わせたホール効果センサの使用、ひずみビームの使用(例えば、可撓性部材の偏向を感知するように、流体貯留部上の可撓性部材に関係付けられる)、プレートを用いた容量性感知の使用、または熱的飛行時間方法といった、流体流量を測定するための他の代替技法も使用されてもよい。1つのそのような代替技法は、その開示全体が参照することによって本明細書に組み込まれる、2007年2月9日出願のFluid Delivery Systems and Methodsと題された米国特許出願第11/704,899で開示されている。注入ポンプアセンブリ100は、容量センサアセンブリ148によって生成される容量測定が、フィードバックループを通して、ユーザに注入される注入可能な流体の量を測定するために使用されてもよいように、構成されてもよい。
【0120】
注入ポンプアセンブリ100はさらに、使い捨て筐体アセンブリ114を含んでもよい。例えば、使い捨て筐体アセンブリ114は、単回使用のために、または、特定された期間、例えば、3日間または任意の他の時間量にわたる使用のために構成されてもよい。使い捨て筐体アセンブリ114は、注入可能な流体と接触する注入ポンプアセンブリ100の中の任意の構成要素が、使い捨て筐体アセンブリ114上および/または内に配置されるように、構成されてもよい。例えば、貯留部を含む流体経路またはチャネルが、使い捨て筐体アセンブリ114内に位置付けられてもよく、単回使用のために、または廃棄前の特定された使用回数のために構成されてもよい。使い捨て筐体アセンブリ114の使い捨ての性質は、注入ポンプアセンブリ100の衛生を向上させてもよい。
【0121】
図10も参照すると、使い捨て筐体アセンブリ114は、再利用可能な筐体アセンブリ102に解放可能に係合するように構成されてもよく、注入可能な流体(図示せず)、例えば、インスリンを受容するための貯留部118を有する、空洞116を含む。そのような解放可能な係合は、例えば、ネジ式、ツイストロック、または圧縮嵌合構成によって達成されてもよい。使い捨て筐体アセンブリ114および/または再利用可能な筐体アセンブリ102は、特定配向での係合のために、使い捨て筐体アセンブリ114および再利用可能な筐体アセンブリ102を整合させるのを支援するように構成される、整合アセンブリを含んでもよい。同様に、基部結節120および最上部結節122が、整合および完全係合の指標として使用されてもよい。
【0122】
空洞116は、使い捨て筐体アセンブリ114によって少なくとも部分的に形成され、それと一体化してもよい。空洞116は、貯留部118を少なくとも部分的に画定するための膜アセンブリ124を含んでもよい。貯留部118はさらに、使い捨て筐体アセンブリ114によって、例えば、使い捨て筐体アセンブリ114の基礎部分128に形成される陥凹126によって画定されてもよい。例えば、膜アセンブリ124は、陥凹126上に配置され、基礎部分128に取り付けられ、それにより、貯留部118を形成してもよい。膜アセンブリ124は、シール130が膜アセンブリ124と基礎部分128との間に形成されるように、接着、熱融着、および/または圧縮嵌合等の従来の手段によって、基礎部分128に取り付けられてもよい。膜アセンブリ124は、可撓性であってもよく、膜アセンブリ124と基礎部分128の陥凹126との間に形成される空間は、貯留部118を画定してもよい。貯留部118は、加圧されず、流体経路(図示せず)と流体連通してもよい。膜アセンブリ124は、少なくとも部分的に折り畳み式であってもよく、空洞116は、通気アセンブリを含み、それにより、注入可能な流体が貯留部118から流体経路に送達されるにつれて、貯留部118の中の真空の蓄積を有利に防止してもよい。好ましい実施形態では、膜アセンブリ124は、完全に折り畳み式であり、したがって、注入可能な流体の完全な送達を可能にする。空洞116は、貯留部118が注入可能な流体で充填されたときでさえも、常にいくらかの空隙があることを確実にするのに十分な空間を提供するように構成されてもよい。
【0123】
本明細書で説明される膜および貯留部は、シリコーン、NITRILE、および、本明細書で説明されるように機能するための所望の弾力性および特性を有する、任意の他の材料を含むが、それらに限定されない材料から作られてもよい。加えて、他の構造が同じ目的を果たすことができる。
【0124】
部分的に折り畳み式の非加圧貯留部の使用は、貯留部の中の流体が枯渇するにつれて、貯留部の中の空気の蓄積を有利に防止してもよい。通気された貯留部の中の空気の蓄積は、エアポケットが貯留部に含有された流体と貯留部の隔壁との間に介在するように、特にシステムが傾転された場合に、貯留部からの流体の流出を防止することができる。システムの傾転は、装着型デバイスとしての正常な動作中に予期される。
【0125】
貯留部118は、従来、1日以上にわたる送達に十分なインスリン供給を保持するようにサイズ決定されてもよい。例えば、貯留部118は、約1.00〜3.00mlのインスリンを保持してもよい。3.00mlインスリン貯留部は、潜在的ユーザの約90%に対する3日間供給にほぼ対応してもよい。他の実施形態では、貯留部118は、任意のサイズまたは形状であってもよく、任意の量のインスリンまたは他の注入可能な流体を保持するように適合されてもよい。いくつかの実施形態では、空洞116および貯留部118のサイズおよび形状は、空洞116および貯留部118が保持するように適合される、注入可能な流体の種類に関係する。
【0126】
使い捨て筐体アセンブリ114は、貯留部118の偶発的な圧縮を防止するように構成される支持部材132(
図9)を含んでもよい。貯留部118の圧縮は、経路流体を通ってユーザに押し進められている注入可能な流体の意図しない投与量をもたらしてもよい。好ましい実施形態では、再利用可能な筐体アセンブリ102および使い捨て筐体アセンブリ114は、容易に圧縮可能ではない剛性材料で構築されてもよい。しかしながら、追加予防策として、支持部材132は、注入ポンプアセンブリ100およびその中の空洞116の圧縮を防止するように、使い捨て筐体アセンブリ114内に含まれてもよい。支持部材132は、基礎部分128からの剛性突起であってもよい。例えば、支持部材132は、空洞116内に配置されてもよく、貯留部118の圧縮を防止してもよい。
【0127】
上記で論議されるように、空洞116は、貯留部118が注入可能な流体で充填されたときでさえも、常にいくらかの空隙があることを確実にするのに十分な空間を提供するように構成されてもよい。したがって、注入ポンプアセンブリ100が偶発的に圧縮された場合、注入可能な流体は、カニューレアセンブリ136を通して押し進められてなくてもよい。
【0128】
空洞116は、貯留部118が注入可能な流体で充填されることを可能にするように構成される、隔壁アセンブリ146(
図9)を含んでもよい。隔壁アセンブリ146は、ゴムまたはプラスチックでできた従来の隔壁であってもよく、ユーザがシリンジまたは他の充填デバイスから貯留部118を充填することを可能にするように構成される、1方向流体弁を有してもよい。いくつかの実施形態では、隔壁146は、膜アセンブリ124の最上部に位置してもよい。これらの実施形態では、空洞116は、針が空洞116に注入可能な流体を導入しているときに隔壁シールの完全性を維持するように、隔壁の裏面の周囲の領域を支持するための支持構造(例えば、
図9の支持部材132)を含んでもよい。支持構造は、空洞116に注入可能な流体を導入するための針の導入を依然として可能にしながら、隔壁を支持するように構成されてもよい。
【0129】
注入ポンプアセンブリ100は、例えば、空洞116の中へ突出してもよく、例えば、貯留部118の過剰充填を防止してもよい、過剰充填防止アセンブリ(図示せず)を含んでもよい。
【0130】
図11〜13も参照すると、代替実施形態の注入ポンプアセンブリ500が示されている。ポンプアセンブリ100、100’と同様に、注入ポンプアセンブリ500は、再利用可能な筐体アセンブリ502と、使い捨て筐体アセンブリ504とを含んでもよい。
【0131】
再利用可能な筐体アセンブリ402と同様に、再利用可能な筐体アセンブリ502は、機械制御アセンブリ(少なくとも1つのポンプアセンブリと、少なくとも1つの弁アセンブリとを含む)を含む。再利用可能な筐体アセンブリ502はまた、制御信号を機械制御アセンブリに提供し、ユーザへの注入可能な流体の送達を達成するように構成される、電気制御アセンブリを含んでもよい。弁アセンブリは、流体経路を通る注入可能な流体の流動を制御するように構成されてもよく、ポンプアセンブリは、流体経路からユーザに注入可能な流体を送出するように構成されてもよい。
【0132】
使い捨て筐体アセンブリ404と同様に、使い捨て筐体アセンブリ504は、単回使用のために、または、特定された期間、例えば、3日間または任意の他の時間量にわたる使用のために構成されてもよい。使い捨て筐体アセンブリ504は、注入可能な流体と接触する注入ポンプアセンブリ500の中の任意の構成要素が、使い捨て筐体アセンブリ504上および/または内に配置されるように、構成されてもよい。
【0133】
この注入ポンプアセンブリの特定の実施形態では、注入ポンプアセンブリ500は、注入ポンプアセンブリ500の周囲に位置付けられるスイッチアセンブリ506を含んでもよい。例えば、スイッチアセンブリ506は、注入ポンプアセンブリ500の半径方向縁に沿って位置付けられてもよく、それは、ユーザによる、より容易な使用を可能にしてもよい。スイッチアセンブリ506は、防水膜で覆われてもよく、および/または注入ポンプアセンブリ500の中への水の浸透を防止するように構成されるOリングあるいは他の密閉機構が、スイッチアセンブリ506の柄部507上に含まれてもよい。しかしながら、いくつかの実施形態では、スイッチアセンブリ506は、外側被覆したゴムのボタンを含み、したがって、防水膜またはOリングを使用せずに防水シールとしての機能性を提供してもよい。しかしながら、さらに他の実施形態では、外側被覆したゴムのボタンは、加えて、防水膜で覆われてもよく、および/またはOリングを含んでもよい。再利用可能な筐体アセンブリ502は、主要本体部分508(上記の機械および電気制御アセンブリを収納する)と、(矢印512の方向に)主要本体部分508の周りを回転するように構成されてもよい、係止リングアセンブリ510とを含んでもよい。
【0134】
再利用可能な筐体アセンブリ402および使い捨て筐体アセンブリ404と同様に、再利用可能な筐体アセンブリ502は、使い捨て筐体アセンブリ504に解放可能に係合するように構成されてもよい。そのような解放可能な係合は、例えば、ネジ式、ツイストロック、または圧縮嵌合構成によって、達成されてもよい。ツイストロック構成が利用される実施形態では、注入ポンプアセンブリ500のユーザは、最初に、使い捨て筐体アセンブリ504に対して再利用可能な筐体アセンブリ502を適正に位置付けてもよく、次いで、(矢印512の方向に)係止リングアセンブリ510を回転させて、再利用可能な筐体アセンブリ502を使い捨て筐体アセンブリ404と解放可能に係合させてもよい。
【0135】
注入ポンプアセンブリ500内に含まれる係止リングアセンブリ510が、係止リングアセンブリ410よりも高くてもよいため(すなわち、矢印514によって示されるように)、係止リングアセンブリ510は、ボタン506が通過してもよい通路516を含んでもよい。したがって、再利用可能な筐体アセンブリ502を組み立てるときに、係止リングアセンブリ510は、(矢印518の方向に)主要本体部分508の上に設置されてもよい。いったん係止リングアセンブリ510が主要本体部分508の上に設置されると、1つ以上の係止タブ(図示せず)は、係止リングアセンブリ510が主要本体部分508から除去されることを防止してもよい。次いで、通路516を通って突出するスイッチアセンブリ506の部分が、(矢印520の方向に)主要本体部分508に押込まれ、したがって、スイッチアセンブリ506の設置を完了してもよい。
【0136】
ボタン506が、注入ポンプアセンブリ500上の種々の場所で示されているが、ボタン506は、他の実施形態では、注入ポンプアセンブリ500上の望ましいどの場所に位置してもよい。
【0137】
係止リングアセンブリ510の使用を通して、再利用可能な筐体アセンブリ502は、使い捨て筐体アセンブリ504に対して適正に位置付けられ、次いで、係止リングアセンブリ510を回転させることによって解放可能に係合され、したがって、使い捨て筐体アセンブリ504に対して再利用可能な筐体アセンブリ502を回転させる必要性を排除してもよい。したがって、再利用可能な筐体アセンブリ502は、係合前に使い捨て筐体アセンブリ504と適正に整列させられてもよく、そのような整列は、係合過程中に乱されてはいけない。係止リングアセンブリ510は、再利用可能な筐体アセンブリ502および使い捨て筐体アセンブリ504が相互に対して適正に位置付けられるまで、係止リングアセンブリ510の回転を防止する、掛け金機構(図示せず)を含んでもよい。通路516は、スイッチアセンブリ506の周囲での係止リング510の移動を可能にするように、細長くてもよい。
【0138】
図14A−14Bおよび15−16も参照すると、再利用可能な筐体アセンブリ502と、スイッチアセンブリ506と、主要本体部分508とを含むことが示される、注入ポンプアセンブリ500の種々の図が示されている。上記で論議されるように、主要本体部分508は、複数の構成要素を含んでもよく、その実施例は、容量センサアセンブリ148、プリント回路基板600、振動モータアセンブリ602、形状記憶アクチュエータアンカ604、スイッチアセンブリ506、バッテリ606、アンテナアセンブリ608、ポンプアセンブリ106、測定弁アセンブリ610、容量センサ弁アセンブリ612、および貯留部弁アセンブリ614を含むが、それらに限定されない。明確性を向上させるために、プリント回路基板600は、プリント回路基板600の下に位置付けられた種々の構成要素の視認を可能にするように、
図14Bから除去されている。
【0139】
プリント回路基板600と電気的に連結されてもよい、種々の電気的構成要素は、接続をはんだ付けする必要なしで、電気的連結を可能にする、バネ付勢された端子を含んでもよい。例えば、振動モータアセンブリ602は、振動モータアセンブリ602がプリント回路基板600上に位置付けられると、プリント回路基板600上の対応する伝導性パッドを圧迫するように構成される、1対のバネ付勢された端子(1つの正端子および1つの負端子)を利用してもよい。しかしながら、例示的実施形態では、振動モータアセンブリ602は、プリント回路基板に直接はんだ付けされる。
【0140】
上記で論議されるように、容量センサアセンブリ148は、注入ポンプアセンブリ500によって注入される流体の量を監視するように構成されてもよい。例えば、容量センサアセンブリ148は、その全ての開示全体が参照することにより本明細書に組み込まれる、DEKA Products Limited Partnershipに譲渡された米国特許第5,575,310号および第5,755,683号、ならびに、米国特許公開第US2007/0228071A1号、第US2007/0219496A1号、第US2007/0219480A1号、第US2007/0219597A1の主題である音響容量感知を採用してもよい。
【0141】
振動モータアセンブリ602は、注入ポンプアセンブリ500のユーザに振動に基づいた信号を提供するように構成されてもよい。例えば、バッテリ606(注入ポンプアセンブリ500に電力供給する)の電圧が最小許容電圧を下回る場合、振動モータアセンブリ602は、注入ポンプアセンブリ500を振動させて、注入ポンプアセンブリ500のユーザに振動に基づいた信号を提供してもよい。形状記憶アクチュエータアンカ604は、上記の形状記憶アクチュエータ(例えば、形状記憶アクチュエータ112)に対する載置点を提供してもよい。上記で論議されるように、形状記憶アクチュエータ112は、例えば、温度とともに形状を変化させる、伝導性形状記憶合金ワイヤであってもよい。形状記憶アクチュエータ112の温度は、加熱器により、またはより便宜的には、電気エネルギーの印加によって、変化させられてもよい。したがって、形状記憶アクチュエータ112の一方の端は、形状記憶アクチュエータアンカ604に強固に付加(すなわち、固着)されてもよく、形状記憶アクチュエータ112の他方の端は、例えば、弁アセンブリおよび/またはポンプアクチュエータに適用されてもよい。したがって、形状記憶アクチュエータ112に電気エネルギーを印加することによって、形状記憶アクチュエータ112の長さが制御されてもよく、したがって、それが取り付けられる弁アセンブリおよびポンプアクチュエータが操作されてもよい。
【0142】
アンテナアセンブリ608は、例えば、注入ポンプアセンブリ500と遠隔制御アセンブリとの間で、無線通信を可能にするように構成されてもよい。上記で論議されるように、遠隔制御アセンブリは、ユーザが、注入ポンプアセンブリ500をプログラムし、例えば、ボーラス注入事象を構成することを可能にしてもよい。上記で論議されるように、注入ポンプアセンブリ500は、(注入ポンプアセンブリ500内の)流体経路を通る注入可能な流体の流量を制御するように構成される、1つ以上の弁アセンブリを含んでもよく、ポンプアセンブリ106は、流体経路からユーザに注入可能な流体を送出するように構成されてもよい。この注入ポンプアセンブリ500の特定の実施形態では、注入ポンプアセンブリ500は、3つの弁アセンブリ、すなわち、測定弁アセンブリ610、容量センサ弁アセンブリ612、および貯留部弁アセンブリ614を含むことが示されている。
【0143】
上記で論議されるように、
図16も参照すると、注入可能な流体は、貯留部118内に貯蔵されてもよい。ユーザへの注入可能な流体の送達を達成するために、注入ポンプアセンブリ500内に含まれる処理論理(図示せず)が、形状記憶アクチュエータアンカ604を使用して一方の端の上に固着されてもよい、形状記憶アクチュエータ112に通電してもよい。
図17Aも参照すると、形状記憶アクチュエータ112は、ポンプアセンブリ106および貯留部弁アセンブリ614の起動をもたらしてもよい。貯留部弁アセンブリ614は、貯留部弁アクチュエータ614Aと、貯留部弁614Bとを含んでもよく、貯留部弁アセンブリ614の起動は、貯留部弁アクチュエータ614Aの下向きの変位、および貯留部弁614Bの閉鎖をもたらし、貯留部118の効果的な隔離をもたらしてもよい。さらに、ポンプアセンブリ106は、ポンププランジャ106Aと、ポンプチャンバ106Bとを含んでもよく、ポンプアセンブリ106の起動は、ポンププランジャ106Aをポンプチャンバ106Bの中へ下向きに変位させ、(矢印616の方向に)注入可能な流体の変位をもたらしてもよい。
【0144】
容量センサ弁アセンブリ612は、容量センサ弁アクチュエータ612Aと、容量センサ弁612Bとを含んでもよい。
図17Bも参照すると、容量センサ弁アクチュエータ612Aは、機械力を提供して容量センサ弁612Bを密閉する、バネアセンブリを介して、閉鎖されてもよい。しかしながら、ポンプアセンブリ106が起動されるときに、変位された注入可能な流体が、容量センサ弁アセンブリ612の機械的密閉力を克服するのに十分な圧力であれば、注入可能な流体の変位は、矢印618の方向に発生する。これは、容量センサアセンブリ148内に含まれる容量センサチャンバ620の充填をもたらしてもよい。スピーカアセンブリ622、ポートアセンブリ624、参照マイクロホン626、バネダイヤフラム628、不変容量マイクロホン630の使用を通して、容量センサアセンブリ148は、容量センサチャンバ620内に含まれる注入可能な流体の容量を判定してもよい。
【0145】
図17Cも参照すると、いったん容量センサチャンバ620内に含まれる注入可能な流体の容量が計算されると、形状記憶アクチュエータ632が通電され、測定弁アクチュエータ610Aおよび測定弁610Bを含んでもよい、測定弁アセンブリ610の起動をもたらしてもよい。いったん起動されると、かつバネダイヤフラム628によって容量センサチャンバ620内の注入可能な流体に及ぼされる機械エネルギーにより、容量センサチャンバ620内の注入可能な流体は、使い捨てカニューレ138を通してユーザの体内へ(矢印634の方向に)変位されてもよい。
【0146】
図18も参照すると、注入ポンプアセンブリ500の分解図が示されている。形状記憶アクチュエータ632は、(第1端上で)形状記憶アクチュエータアンカ636に固着されてもよい。加えて、形状記憶アクチュエータ632の他方の端が、弁アセンブリ638に機械エネルギーを提供するために使用されてもよく、それは、測定弁アセンブリ610を起動してもよい。容量センサアセンブリバネ保持器642は、注入ポンプアセンブリ500の種々の他の構成要素に対して容量センサアセンブリ148を適正に位置付けてもよい。弁アセンブリ638は、ポンププランジャ106Aを起動するために、形状記憶アクチュエータ112と併せて使用されてもよい。測定弁610B、容量センサ弁612B、および/または貯留部弁614Bは、主要本体部分508の下面に弁を上向きに押し込むことによって、注入ポンプアセンブリ500の組立中に設置を可能にするように構成される、内蔵型弁であってもよい。
【0147】
上記で論議されるように、注入ポンプアセンブリ100は、注入ポンプアセンブリ100によって注入される流体の量を監視するように構成される、容量センサアセンブリ148を含んでもよい。さらに、上記で論議されるように、注入ポンプアセンブリ100は、容量センサアセンブリ148によって生成される容量測定値が、フィードバックループを介して、ユーザに注入される注入可能な流体の量を制御するために使用されてもよいように、構成されてもよい。
【0148】
以下の論議は、容量センサアセンブリ148(
図19に簡略化形態で示される)の設計および動作に関する。以下の論議について、以下の名称が使用されてもよい。
【0149】
【表1】
(容量センサアセンブリ148に対する方程式の導出:)
(音響容量のモデル化)
理想的な断熱ガスの圧力および容量は、以下によって関係付けられてもよい。
【0150】
PV
γ=K[EQ#1]
式中、Kは、システムの初期条件によって定義される定数である。
【0151】
EQ#1は、以下のように、平均圧力P、および容量V、これらの圧力に加えて、わずかな時間依存性擾乱p(t)、v(t)に関して記述され得る。
【0152】
(P+p(t))(V+v(t))
γ =K[EQ#2]
この方程式を微分することにより、以下の式をもたらし得る。
【0153】
【数1】
これは、以下の式に簡略化し得る。
【0154】
【数2】
音圧レベルが大気圧よりもはるかに少ない場合、方程式は以下の式へとさらに簡略化され得る。
【0155】
【数3】
この仮定がどれほど有効であるか。断熱関係式を使用して、以下が示され得る。
【0156】
【数4】
したがって、仮定の誤差は、以下のようになる。
【0157】
【数5】
非常に大きい音響信号(120dB)は、約20パスカルの振幅を伴う圧力正弦波に対応し得る。大気条件(γ=1.4、P=101325Pa)における空気を仮定すると、結果として生じる誤差は0.03%である。dBからPaへの変換は、以下の通りである。
【0158】
【数6】
式中、p
ref=20・μPaである。
【0159】
理想気体の法則P=ρRTを適用し、圧力に代入することにより、以下の式をもたらし得る。
【0160】
【数7】
EQ#9は、以下のように、音速
【0162】
【数9】
音量に対する音響インピーダンスは、以下のように定義され得る。
【0163】
【数10】
(音響ポートのモデル化)
音響ポートは、剛体シリンダが軸方向に往復運動するにつれて、ポートの中の流体の全てが本質的に移動することを仮定して、モデル化されてもよい。チャネルの中の流体の全てが同じ速度で移動すると仮定され、チャネルが一定の断面であると仮定され、チャネルに進入し、退出する流体に起因する「末端効果」が無視される。
【0165】
【数11】
の層流摩擦を仮定する場合、チャネルの中の流体の質量に作用する摩擦力は、以下のように記述され得る。
【0166】
【数12】
次いで、チャネルの中の流体の動態について、二階微分方程式
【0167】
【数13】
が記述され得、または、体積流量に関しては、以下の通りである。
【0168】
【数14】
次いで、チャネルの音響インピーダンスは、以下のように記述され得る。
【0169】
【数15】
(システム伝達関数)
上記で定義される容量およびポート動態を使用して、容量センサアセンブリ148は、以下の連立方程式によって表され得る(k=スピーカ、r=共振器)。
【0171】
【数17】
に代入する入力として扱われる場合、1つの方程式が省略され得る。
【0172】
【数18】
(システム間伝達関数)
スピーカ音量と可変容量との間の関係は、システム間伝達関数と呼ばれてもよい。この伝達関数は、上記の方程式から導出されてもよく、以下の通りである。
【0173】
【数19】
図20も参照すると、EQ#23のボード線図が示されている。
【0174】
この関係の難点は、複素極が可変容量V
2および参照容量V
1に依存することである。スピーカの平均位置の変化は、推定容量の誤差をもたらす場合がある。
【0175】
(ポート間伝達関数)
音響ポートの両側の2つの容量の間の関係は、ポート間伝達関数と呼ばれてもよい。この関係は、以下の通りであり、
【0176】
【数20】
これは、
図21にグラフで示されている。
【0177】
この関係には、極が可変容量のみに依存し、参照容量に依存しないという利点がある。しかしながら、共振ピークが、実際は、参照容量圧力に応じたゼロの反転によるものであるという困難がある。したがって、参照チャンバ中の圧力測定値は、共振の付近で低い振幅を有し、潜在的に測定値の雑音を増加させる。
【0178】
(スピーカ間伝達関数)
圧力は、スピーカの両側からも測定されてもよい。これは、スピーカ間伝達関数と呼ばれ、
【0179】
【数21】
これは、
図22のグラフに示されている。
【0180】
この伝達関数には、一式の複素極に加えて、一式の複素ゼロ点がある。
【0183】
(共振品質係数およびピーク応答)
共振の質は、共振周波数によって増加させられる電力損失に対する貯蔵されるエネルギーの比である。純粋な二次系について、品質係数は、減衰比の関数として表され得る。
【0184】
【数23】
低周波共振に対するピーク応答の比もまた、減衰比の関数として記述され得る。
【0187】
(容量推定)
(ポート間位相を使用する容量推定)
可変容量(すなわち、容量センサチャンバ620内)もまた、ポート間位相を使用して推定されてもよい。共振ポートにわたる圧力比の伝達関数は、以下の通りであってもよい。
【0188】
【数26】
90°の位相点において、ω=ω
nであり、式中、
【0190】
共振周波数は、多数の方法を使用して、物理的システム上で求められてもよい。90°の位相点を求めるために、位相ロックループが採用されてもよく、この周波数は、システムの固有周波数に対応し得る。代替として、共振周波数は、任意の2つの周波数における位相を使用して計算されてもよい。
【0191】
所与の周波数における位相φは、以下の関係式
【0193】
V
2の値を求めると、以下の式をもたらす。
【0194】
【数29】
したがって、システムの固有周波数を計算するために、2つの異なる周波数ω
1とω
2とにおける位相の比
【0195】
【数30】
を使用することができる。
【0196】
計算効率のために、実際に位相が計算される必要はない。共振(tanφ)の実数部と虚数部との比があれば十分である。
【0197】
可変容量に関してEQ#33を書き直すと、以下の式をもたらす。
【0198】
【数31】
(掃引正弦波を使用する容量推定)
システムの共振周波数は、掃引正弦波系識別を使用して推定されてもよい。この方法では、正弦波圧力変動へのシステムの応答が、多数の異なる周波数において求められてもよい。次いで、この周波数応答データは、線形回帰を使用してシステム伝達関数を推定するために使用され得る。
【0199】
システムの伝達関数は、sの有理関数として表されてもよい。一般的場合を、n次分子およびm次分母を伴う伝達関数について以下に表す。NおよびDは、それぞれ、分子および分母の係数である。方程式は、分母の首位係数が1であるように正規化されている。
【0200】
【数32】
この方程式は、以下のように書き直され得る。
【0201】
【数33】
この総和を行列表記で表すと、以下をもたらす。
【0202】
【数34】
式中、kは、掃引正弦波において収集されるデータ点の数である。表記を簡略化するために、この方程式はベクトルを使用して要約され得る。
【0203】
y=Xc[EQ#39]
式中、yはk×1であり、xはk×(m+n−1)であり、cは(m+n−1)×1である。次いで、係数は、最小二乗法を使用して求められてもよい。誤差関数は、以下のように書かれてもよい。
【0204】
e=y−Xc[EQ#40]
最小化される関数は、誤差関数の加重二乗である。Wはk×k対角行列である。
【0205】
【数35】
中央の2つの項がスカラーであるため、転置は無視されてもよい。
【0206】
【数36】
これらの場合の全てにおいて、複素転置を使用することが必要であってもよい。この手法は、複素係数をもたらし得るが、過程は、全ての係数が実在することを確実にするために修正され得る。最小二乗の最小化法は、誤差関数が以下の式に変更される場合に、実係数のみを生じるように修正され得る。
【0207】
【数37】
したがって、係数は、以下の関係式により求めら得る。
【0208】
【数38】
(二次系の解決法)
伝達関数で示されるような、0次分子および2次分母を伴うシステムについて、
【0210】
この伝達関数の係数は、以前のセクションで求められる式に基づいて求められ得、
【0212】
アルゴリズムを簡略化するために、項のうちのいくつかを組み合わせ得、
【0214】
複素応答ベクトルGおよび固有周波数s=jωに関してDの式を求めるために、Xは、その実数部および虚数部に分けられ得る。
【0215】
【数42】
次いで、Dの式の実数部および虚数部は、以下となり得る。
【0216】
【数43】
これらの項を組み合わせることにより、実数値のみを含有し得るD行列の最終式をもたらす。
【0217】
【数44】
Gおよびωに関してbベクトルの式を求めるために、同じ手法が取られてもよい。yの実数部および虚数部は、以下の通りである。
【0218】
【数45】
実数部および虚数部を組み合わせることにより、以下のようなbベクトルの式をもたらす。
【0219】
【数46】
次のステップは、D行列を反転させることである。行列は対称かつ正定値であるので、逆数を求めるために必要な計算の数は、一般的な3×3の場合から削減される。逆行列の一般式は、以下である。
【0220】
【数47】
Dが以下のように表される場合は、
【0221】
【数48】
次いで、随伴行列が以下のように記述され得る。
【0222】
【数49】
対称性により、上位対角行列のみが計算される必要があり得る。
【0223】
次いで、元の配列の中の零元を利用して、随伴行列に関して行列式が計算され得る。
【0224】
【数50】
最終的に、Dの逆数は以下のように記述され得る。
【0225】
【数51】
以下の式を解こうとしているので、
【0226】
【数52】
そこで、以下の式となる。
【0227】
【数53】
最終ステップは、データがどれだけよくモデルに適合するかという定量的評価を得ることである。したがって、誤差の元の式は、以下の通りである。
【0228】
【数54】
これは、D行列、ならびにbおよびcベクトルに関して、以下のように表され得、
【0230】
モデル適合誤差は、センサ故障を検出するためにも使用され得る。
【0232】
【数56】
この方程式は、以下のように書き直され得る。
【0233】
【数57】
この総和を行列表記に入れることにより、以下をもたらす。
【0234】
【数58】
伝達関数で示されるような、0次分子および2次分母を伴うシステムについて、
【0236】
この伝達関数の係数は、以前のセクションで求められた式に基づいて求められ得、
【0238】
アルゴリズムを簡略化するために、いくつかの項を組み合わせてもよく、
【0240】
複素応答ベクトルGおよび固有周波数s=jωに関してDの式を求めるために、分割したXは、その実数部および虚数部に分けられ得る。
【0241】
【数62】
次いで、Dの式の実数部および虚数部は、以下となり得る。
【0242】
【数63】
これらの項を組み合わせることにより、実数値のみを含有し得る、D行列の最終式をもたらす。
【0243】
【数64】
Gおよびωに関してbベクトルの式を求めるように、同じ手法が取られてもよい。yの実数部および虚数部は、以下の通りである。
【0244】
【数65】
実数部および虚数部を組み合わせることにより、以下のようなbベクトルの式をもたらす。
【0245】
【数66】
(音響容量感知の実装)
(周波数応答データの収集および複素応答の計算)
容量センサアセンブリ148を実装するために、容量センサアセンブリ148は、スピーカアセンブリ622によって設定される音波に対する参照マイクロホン626および不変容量マイクロホン630の相対応答を判定するべきである。これは、既知の周波数における正弦波出力でスピーカアセンブリ622を駆動することによって達成されてもよい。次いで、マイクロホン626、630の複素応答が、その駆動周波数において見出されてもよい。最終的に、マイクロホン626、630の相対応答が見出され、例えば、アナログ/デジタル変換器(すなわち、ADC)によって、交互サンプリングのために補正されてもよい。
【0246】
加えて、総信号分散が計算され、離散フーリエ変換(すなわち、DFT)を使用して抽出される純音の分散と比較され得る。これは、信号電力のうちのどれだけ多くが雑音源またはひずみに由来するのかという尺度をもたらし得る。次いで、この値は、不良な測定値を拒絶し、反復するために使用されてもよい。
【0247】
(離散フーリエ変換の計算)
マイクロホンからの信号は、1つの波長について固定数の点Nが取られるように、スピーカアセンブリ622への出力と同期してサンプリングされてもよい。波長の各点における測定された信号は、整数の数の波長Mにわたって合計され、その周波数に対する全てのデータが収集された後に処理するために、ISRによって配列xに記憶されてもよい。
【0248】
DFTは、スピーカの駆動周波数に対応する整数値において、データに対して実行されてもよい。DFTの第1の高調波の一般式は、以下の通りである。
【0249】
【数67】
積MNは、点の総数であり得、2の係数は、解の結果として生じる実数部および虚数部が正弦波の振幅に一致するように、加算され得る。
【0250】
【数68】
この式のこの実数部は、以下の通りであってもよい。
【0251】
【数69】
DFTを計算するために必要な計算の数を削減するために、余弦関数の対称性を利用し得る。上記の式は、以下の式と同等であり得る。
【0252】
【数70】
同様に、方程式の虚数部については、
【0255】
【数72】
この信号の分散は、以下のように計算され得る。
【0256】
【数73】
xの実数部および虚数部の最大可能値は、2
11であり得、これはAD範囲の半分に対応する。音分散の最大値は、AD範囲の二乗の半分である2
21であってもよい。
【0257】
(信号分散の計算)
信号の疑似分散は、以下の関係式を使用して計算されてもよい。
【0258】
【数74】
結果は、ADカウントの二乗を単位にし得る。「平均」期間にN個のサンプルにわたって分散が計算される前に、M個の期間にわたって信号が平均化されているため、これは「疑似分散」にすぎなくてもよい。しかしながら、これは、「平均」信号が予期された周波数において正弦波のように見えるか否かを見出すための、有用な測定基準であってもよい。これは、全信号分散を離散フーリエ変換において見出される正弦波の分散と比較することによって、行われてもよい。
【0259】
総和は、12ビットADCについて、およそ
【0260】
【数75】
であってもよい。N<2
7=128およびM<2
6=64であれば、総和は、2
43未満となり、64ビット整数に記憶されてもよい。分散の最大可能値は、ADCが振動した場合、各連続サンプルで0から2
12の間の値を生じて得る。これが
【0261】
【数76】
のピーク分散をもたらし得るため、結果は、最大1/2
9の分解能で符号付き32ビット整数に記憶され得る。
【0262】
(相対マイクロホン応答の計算)
マイクロホン626、630の相対応答(G)は、個々のマイクロホンの複素応答から計算され得る。
【0263】
【数77】
いずれか一方の式の分母は、以下のように、以前のセクションで計算された参照音分散に関して表されてもよい。
【0264】
【数78】
(A/Dスキューの補正)
マイクロホン626、630からの信号は、同時にサンプリングされなくてもよい。A/D ISRは、マイクロホン626、630を繰り返し、マイクロホン626、630のそれぞれに対する波長について合計N個のサンプルを取る。結果は、
【0265】
【数79】
という2つのマイクロホン626、630の間の位相オフセットであり得る。この位相オフセットを補正するために、複素回転が、以前のセクションで計算された相対周波数応答に適用され得る。
【0266】
【数80】
(参照モデル)
(二次および高次モデル)
容量センサチャンバ620のシール(例えば、シールアセンブリ1404)を通る漏出は、外部容量(例えば、外部容量1506、
図23)に接続される第2の共振ポート(例えば、ポート1504、
図23)としてモデル化され得る。
【0267】
3チャンバ構成を表す連立方程式は、以下の通りであり得る。
【0268】
【数81】
これらの方程式を状態空間に入れることにより、以下の式をもたらす。
【0269】
【数82】
その周波数応答は、
図24に示されるボード線図においてグラフで表され得、また、伝達関数の形で記述され得る。
【0270】
【数83】
分母を拡張することにより、以下の式をもたらす。
【0271】
【数84】
可変容量中のダイヤフラム材料の下の気泡は、漏出経路と同じ動的方程式に従う。この場合、ダイヤフラム材料は、漏出ポートよりもむしろ共振塊の役割を果たし得る。したがって、方程式は、以下の通りであり得る。
【0272】
【数85】
式中、mは、ダイヤフラムの質量であり、Aは、共振することができるダイヤフラムの断面積であり、b
mは、機械的減衰である。EQ#106は、体積流量に関して記述され得る。
【0273】
【数86】
式中、気泡の体積はV
3である。気泡体積が音響容量よりも実質的に小さい、V
3<<V
2である場合、伝達関数は、以下の式に簡略化され得る。
【0274】
【数87】
(時間遅延を伴う二次)
上記で導出される、容量センサアセンブリ148の方程式は、圧力が音響容量中のいずれの場所においても同じであると仮定する。容量を通る音波の伝搬と関連する時間遅延があるため、これは近似式にすぎない。この状況は、マイクロホンおよびスピーカの相対位置に基づく、時間遅延または時間前進のように見える場合がある。
【0275】
時間遅延は、以下のようにラプラス領域で表され得る。
【0276】
【数88】
これは、一式の非線形方程式を生じる。しかしながら、以下のように、時間遅延の1次パデ近似式が使用されてもよい。
【0277】
【数89】
これは、
図25のグラフに示されている。
【0278】
(3チャンバ容量推定)
容量センサアセンブリ148はまた、別個の共振ポート(例えば、ポート1510、
図26)に接続される第3の参照容量(例えば、参照容量1508、
図26)を使用して、構成されてもよい。この構成は、温度非依存性容量推定を可能にし得る。
【0279】
3チャンバ構成を表す連立方程式は、以下の通りであり得る。
【0280】
【数90】
これらの方程式を使用し、共振ポートのそれぞれにわたって伝達関数の値を求めることにより、以下の式をもたらす。
【0283】
容量センサチャンバ620の容量は、以下のように、2つの共振ポートの固有周波数の比を使用して推定され得る。
【0284】
【数93】
EQ#120は、容量センサチャンバ620の容量が参照容量1508に比例し得ることを図示する。(理想モデルにおける)これらの2つの容量の比は、共振ポート(例えば、ポート1510、
図26)の形状のみに依存してもよく、温度には依存しない。
【0285】
(指数容量モデル)
流動抵抗を通る流出が、以下の形態であると仮定する。
【0286】
【数94】
ポンプチャンバからの固定入力流量を仮定すると、容量センサチャンバ620の容量は、以下の微分方程式に基づく。
【0287】
【数95】
これは、ゼロ初期容量を仮定する、以下の解をもたらす。
【0288】
【数96】
したがって、出力流量は、以下のように流れる。
【0289】
【数97】
ポンプ位相中に送達される容量は、以下のように記述され得る。
【0290】
【数98】
(デバイス較正)
モデル適合は、ポートの共振周波数が正弦波掃引データから抽出されることを可能にする。次のステップは、この値を送達容量に関連付けることである。共振周波数と送達容量との間の理想的な関係は、以下のように表される。
【0291】
【数99】
音速は温度とともに変動するので、温度効果を分割することが有用であり得る。
【0292】
【数100】
次いで、容量は、測定された共振周波数および温度の関数として表され得る。
【0295】
(実装の詳細)
(末端効果)
ポート(例えば、ポートアセンブリ624)の中で共振する空気は、各振動の終わりにおいて、音響容量の中まで延在し得る。空気が延在する距離は、基本容量センサアセンブリ方程式に基づいて推定され得る。所与の音響容量について、空気が容量の中へ延在する距離は、圧力およびポート断面積の関数として表され得る。
【0296】
【数103】
以下の値を仮定した場合、
【0298】
したがって、空気は、音響チャンバの中へ約1.9mm延在する。
【0299】
(V2(すなわち、可変容量)に対するV1(すなわち、固定容量)のサイズ決定)
V
1(例えば、固定容量1500)のサイズ決定は、極の相対位置および伝達関数におけるゼロとの、音響容量のトレードオフを必要とし得る。V
1およびV
2(例えば、可変容量1502)の両方の伝達関数を、スピーカアセンブリ622の容量変位に対して以下に示す。
【0301】
V
1が増加させられるにつれて、利得が減少し得、同じ音圧レベルを得るようにスピーカがより高い振幅で駆動され得る。しかしながら、V
1を増加させることにも、複素極に向かってp
1伝達関数における複素ゼロを移動させる便益があってもよい。V
1→∞、α→1である限定的な場合においては、極零点相殺および平坦応答がある。したがって、V
1を増加させることには、p
1伝達関数における共振およびノッチの両方を低減させ、ω
nに向かってp
2極を移動させるという便益があってもよく、p
2/p
1の伝達関数を計算するときの測定誤差に対する低い感受性をもたらす。
【0302】
図27は、以下の式のグラフ表示である。
【0303】
【数106】
図28は、以下の式のグラフ表示である。
【0304】
【数107】
(エイリアシング)
より高い周波数は、関心の周波数まで下方にエイリアシングしてもよく、エイリアシングされた周波数は、以下のように表され得る。
【0305】
【数108】
式中、f
sはサンプリング周波数であり、f
nは雑音源の周波数であり、nは正の整数であり、fは雑音源のエイリアシングされた周波数である。
【0306】
復調ルーチンは、復調の特定の周波数を除いて、効果的に雑音を除去し得る。サンプル周波数が復調周波数の固定倍数となるように動的に設定される場合は、復調周波数まで下方にエイリアシングすることができる雑音の周波数が、その基本周波数の固定された一式の高調波であり得る。
【0307】
例えば、サンプリング周波数が復調周波数の8倍である場合は、その周波数まで下方にエイリアシングすることができる雑音周波数は、以下の通りである。
【0309】
【数110】
である。β=16については、以下の級数が生じる。
【0310】
【数111】
(性能)
(温度に対する感受性)
温度に対する感受性は、利得変化および雑音変化に分けられてもよい。温度がdTの因数によって外れた場合、結果として生じる利得誤差は、以下の式となり得る。
【0311】
【数112】
したがって、同じ温度が両方の正弦波掃引に使用される場合、温度測定の誤差は、システムに対する利得変化のように見える場合がある。
【0312】
【数113】
したがって、1°Kの温度誤差については、結果として生じる容量誤差は、298°Kにおいて0.3%であり得る。この誤差は、温度センサの誤差、および、センサ温度と容量センサアセンブリ148内の空気の温度との間の差の両方を含み得る。
【0313】
しかしながら、測定は、温度測定の雑音の影響をより受けやすい場合がある。微分正弦波掃引中の温度変化は、利得変化よりもむしろオフセットのように見える誤差をもたらす場合がある。
【0314】
【数114】
したがって、2回の測定正弦波掃引中に測定値が0.1Kだけ変動する場合、差異は、0.012μLであり得る。したがって、(
図30に示されるように)各正弦波掃引に対する別個の温度測定を行うよりもむしろ、各送達に対する一貫した温度推定値を使用するほうが有効であり得る。
【0315】
LM73温度センサは、+/−1℃の公表精度および0.03Cの分解能を有し得る。さらに、LM73温度センサは、(
図31に示されるように)水平になるために約5回の正弦波掃引を要する、約0.3℃の開始過渡状態を一貫して有するように思われる。
【0316】
上記の注入ポンプアセンブリ(例えば、注入ポンプアセンブリ100、100’、400、500)は、注入可能な流体の離散送達を提供するため、上記の注入ポンプアセンブリは、(
図32に示される方式で)完全に離散領域中でモデル化されてもよく、これは以下の式に要約され得る。
【0317】
【数115】
離散時間PI調節器は、以下の式に従って機能し得る。
【0318】
【数116】
上記で説明されるAVSシステムは、固定容量1500および可変容量1502における音響応答をスピーカ駆動入力と比較し、可変容量1502の容量を抽出することによって、稼働する。そのようなものとして、これらの別個の容量のそれぞれと接触しているマイクロホン(例えば、マイクロホン626、630)がある。使い捨て筐体アセンブリ114の有無を検出するために、より全体的な方式で、可変容量マイクロホン630の応答も使用されてもよい。具体的には、使い捨て筐体アセンブリ114が可変容量1502に取り付けられていない(すなわち、近接して位置付けられていない)場合、スピーカ駆動入力に対する音響応答が、実質的に全く感知されないはずである。しかしながら、固定容量1500の応答は、依然としてスピーカ入力に関係したままとなるべきである。したがって、単純に、両方のマイクロホンが音響応答を示すことを確実にすることによって、使い捨て筐体アセンブリ114が取り付けられているか否かを判定するために、マイクロホンデータが使用されてもよい。
【0319】
マイクロホン626(すなわち、固定容量1500に近接して位置付けられたマイクロホン)が音響応答を示し、マイクロホン630(すなわち、可変容量1502に近接して位置付けられたマイクロホン)が音響応答を示さない場合は、使い捨て筐体アセンブリ114が再利用可能な筐体アセンブリ102に取り付けられていないことが合理的に断定されてもよい。可変容量マイクロホン630の故障は、使い捨て筐体アセンブリ114が取り付けられていないときに予期されるマイクロホン応答からほぼ区別ができない中域測定値をもたらす場合があるため、可変容量マイクロホン630の故障は、取り付けられていない使い捨て筐体アセンブリ114も示すと考えられてもよいことに留意されたい。
【0320】
以下の論議について、以下の名称が使用されてもよい。
【0321】
【表2】
各周波数応答計算で採用される復調ルーチンの一部として、固定容量マイクロホン626および可変容量マイクロホン630の両方の最小および最大測定値が計算されてもよい。これらの最大値および最小値の合計は、以下のように、マイクロホン626およびマイクロホン630の両方について、(上記で論議されるような)正弦波掃引全体にわたって計算され得る。
【0322】
【数117】
これら2つの総和の間の差は、以下のように簡略化され得る。
【0323】
【数118】
式中、δは、正弦波掃引の平均最小/最大差(これは次いで、閾値と比較される)を得るように、正弦波掃引の数で割られ得、閾値は、計算効率のために、同等にNを掛けられ得る。したがって、基本的な利用可能検出アルゴリズムは、以下のように定義され得る。
【0324】
【数119】
最大/最小差が閾値よりも大きいという追加条件は、故障したスピーカが受信された音響応答の原因ではないことを確実にするように行われるチェックである。このアルゴリズムは、任意の正弦波掃引について反復されてもよく、したがって、例えば、多くても2回の連続掃引以内に、使い捨て筐体アセンブリ114の脱離が感知される(すなわち、進行中の正弦波掃引の後半に使い捨て筐体アセンブリ114が除去される、最悪の場合のシナリオで)ことを可能にする。
【0325】
上記のアルゴリズムに対する閾値化は、完全に数値的証拠に基づいてもよい。例えば、典型的な最小/最大応答差の調査は、いずれの個別差も、500ADCカウント未満ではないことを示し得る。したがって、使い捨て筐体アセンブリ114が再利用可能な筐体アセンブリ102から脱離されている間に調査される全てのデータは、十分に500ADCカウント未満であるものとして、全ての最小/最大応答差を示し得る。したがって、δの閾値は、T=500に設定されてもよい。
【0326】
容量センサアセンブリ148は、注入ポンプアセンブリ(例えば、注入ポンプアセンブリ100)内で利用されるものとして上記で説明されているが、他の構成が可能であり、本開示の範囲内であると見なされるため、これは例示目的にすぎず、本開示の制限となることを目的としない。例えば、容量センサアセンブリ148は、例えば、一緒に混合された化学物質の分量を制御するために、過程制御環境内で使用されてもよい。代替として、容量センサアセンブリ148は、例えば、一緒に混合された原料の分量を制御するために、飲料分注システム内で使用されてもよい。
【0327】
容量センサアセンブリ148は、共振器としてポート(例えば、ポートアセンブリ624)を利用するものとして上記で説明されているが、他の構成が可能であり、本開示の範囲内であると見なされるため、これは例示目的にすぎない。例えば、固体塊(図示せず)が、ポートアセンブリ624内で浮遊させられてもよく、かつ容量センサアセンブリ148に対する共振器として機能してもよい。具体的には、共振器用の塊(図示せず)は、ポートアセンブリ624にまたがるダイヤフラム(図示せず)上で浮遊させられてもよい。代替として、ダイヤフラム自体(図示せず)が、共振器用の塊の役割を果たし得る。容量センサアセンブリ148の固有周波数は、可変容量1502の容量の関数であってもよい。したがって、容量センサアセンブリ148の固有周波数を測定することができれば、可変容量1502の容量が計算されてもよい。
【0328】
容量センサアセンブリ148の固有周波数は、多数の異なる方法で測定されてもよい。例えば、時間変動力が、ダイヤフラム(図示せず)に印加されてもよく、力とダイヤフラム(図示せず)の運動との間の関係が、容量センサアセンブリ148の固有周波数を推定するために使用されてもよい。代替として、塊(図示せず)が摂動を受け、次いで、振動させられてもよい。次いで、塊(図示せず)の非強制的運動が、容量センサアセンブリ148の固有周波数を計算するために使用されてもよい。
【0329】
共振塊(図示せず)に印加される力は、種々の方法で達成されてもよく、その例は、以下を含んでもよいが、それらに限定されない。
・スピーカアセンブリ622が、固定容量1500内で時間変動圧力を生成してもよい。
・共振塊(図示せず)が、時間変動電圧/電流に反応する圧電材料であってもよい。
・共振塊(図示せず)が、時間変動電圧/電流に反応する音声コイルであってもよい。
【0330】
共振塊に印加される力は、種々の方法で測定されてもよく、その例は、以下を含んでもよいが、それらに限定されない。
・固定容量中の圧力を測定する。
・共振塊(図示せず)が、圧電材料であってもよい。
・ひずみゲージが、ダイヤフラム(図示せず)、または共振塊(図示せず)を支持する他の構造部材に接続されてもよい。
【0331】
同様に、共振塊(図示せず)の変位は、可変容量中の圧力を測定することによって測定されるか、または種々の方法で直接測定されてもよく、その例は、以下を含んでもよいが、それらに限定されない。
・圧電センサを介する。
・容量センサを介する。
・光学センサを介する。
・ホール効果センサを介する。
・電位差計(時間変動インピーダンス)センサを介する。
・誘導型センサを介する。
・線形可変差動変圧器(LVDT)を介する。
【0332】
さらに、共振塊(図示せず)は、力型センサまたは変位型センサのいずれか一方と一体であってもよい(すなわち、共振塊(図示せず)は、圧電材料でできていてもよい)。
【0333】
力の印加および変位の測定は、単一のデバイスによって達成されてもよい。例えば、圧電材料が共振塊(図示せず)に使用されてもよく、時間変動力を生成するように、時間変動電圧/電流が圧電材料に印加されてもよい。圧電材料に印加される、結果として生じる電圧/電流が、測定されてもよく、2つの間の伝達関数が、容量センサアセンブリ148の固有周波数を推定するために使用されてもよい。
【0334】
上記で論議されるように、容量センサアセンブリ148の共振周波数は、掃引正弦波系識別を使用して推定され得る。具体的には、上記のモデル適合は、ポートアセンブリの共振周波数が正弦波掃引データから抽出されることを可能にしてもよく、それは次いで、送達容量を判定するために使用され得る。共振周波数と送達容量との間の理想的な関係は、以下のように表され得る。
【0335】
【数120】
音速は温度とともに変化するので、温度効果を分割することが有用であり得る。
【0336】
【数121】
次いで、容量は、測定された共振周波数および温度の関数として表され得る。
【0339】
次いで、注入ポンプアセンブリ100は、この計算された容量V
2(すなわち、ユーザに送達された注入可能な流体の実際の容量を表す)を、標的容量(すなわち、ユーザに送達されるはずだった流体の分量を表す)と比較し得る。例えば、注入ポンプアセンブリ100は、30分ごとに、ユーザに注入可能な流体の0.100単位基礎用量を送達するものであったと仮定する。さらに、そのような送達を達成すると、容量センサアセンブリ148が、0.095単位の注入可能な流体の計算された容量V
2(すなわち、ユーザに送達された注入可能な流体の実際の容量を表す)を示すと仮定する。
【0340】
容量V
2を計算するときに、注入ポンプアセンブリ100は、最初に、注入可能な流体の用量の投与前の容量センサチャンバ620内の流体の容量を判定し得、後に、注入可能な流体の用量の投与後の容量センサチャンバ620内の流体の容量を判定し得、これら2つの測定値の差は、容量V
2(すなわち、ユーザに送達された注入可能な流体の実際の容量)を示す。したがって、V
2は、示差測定値である。
【0341】
V2は、可変容量チャンバの中のダイヤフラムを覆う全空隙であってもよい。患者への実際の流体送達は、チャンバが満杯であったときから、測定弁が開放されてチャンバが空にされた後までの、V2の差であってもよい。V2は、直接的に送達容量でなくてもよい。例えば、空気容量が測定されてもよく、一連の示差測定値が採取されてもよい。閉塞については、虚無測定値が採取されてもよく、チャンバが充填されてもよく、完全測定値が採取されてもよく、次いで、出口弁が開いた後に最終測定値が採取されてもよい。したがって、第1の測定値と第2の測定値との間の差は、送出された量であってもよく、第2の測定値と第3の測定値との間の差は、患者に送達された量である。
【0342】
したがって、電気制御アセンブリ110は、送達された注入可能な流体が、求められたものより少ない0.005単位であることを判定してもよい。この判定に応じて、電気制御アセンブリ110は、任意の追加必要投与量が送出されてもよいように、適切な信号を機械制御アセンブリ104に提供してもよい。代替として、電気制御アセンブリ110は、追加投与量が次の投与量とともに分注されてもよいように、適切な信号を機械制御アセンブリ104に提供してもよい。したがって、注入可能な流体の次の0.100単位用量の投与中に、標的と送達された量との間の差に基づいて、ポンプに対する出力コマンドが修正されてもよい。
【0343】
図33をも参照すると、以前に投与された注入可能な流体の分量に少なくとも部分的に基づいて、現在注入されている注入可能な流体の分量を制御するための制御システムの1つの特定の実装が示されている。具体的には、上記の実施例を続けると、例示目的で、電気制御アセンブリ110が、ユーザへの注入可能な流体の0.100単位用量の送達を要求すると仮定する。したがって、電気制御アセンブリ110は、容量コントローラ1602に、標的示差容量信号1600(形状記憶アクチュエータ112のサイクルにつき、注入可能な流体の0.010単位の部分的基礎用量を識別する)を提供してもよい。したがって、この特定の実施例では、形状記憶アクチュエータ112は、注入可能な流体の0.100単位の所望基礎用量を達成するために、10回循環させられる必要があってもよい(すなわち、10サイクル×(1サイクルにつき0.010単位)=0.100単位)。順に、容量コントローラ1602は、SMA(すなわち、形状記憶アクチュエータ)コントローラ1608に「オンタイム」信号1606を提供してもよい。また、バッテリ電圧信号1610もSMAコントローラ1608に提供される。
【0344】
具体的には、形状記憶アクチュエータ112は、形状記憶アクチュエータ112に印加される熱エネルギーの量(例えば、ジュール)を変動させることによって、制御されてもよい。したがって、バッテリ606の電圧レベルが低減された場合、形状記憶アクチュエータ112に印加されるジュールの分量もまた、定義された期間にわたって低減されてもよい。逆に、バッテリ606の電圧レベルが増加させられた場合、形状記憶アクチュエータ112に印加されるジュールの分量もまた、定義された期間にわたって増加させられてもよい。したがって、(バッテリ電圧信号1610を介して)バッテリ606の電圧レベルを監視することによって、バッテリ電圧レベルにかかわらず、適切な分量の熱エネルギーが形状記憶アクチュエータ112に印加されることを確実にするように、形状記憶アクチュエータ112に印加される信号の種類が変化させられてもよい。
【0345】
SMAコントローラ1608は、「オンタイム」信号1606およびバッテリ電圧信号1610を処理して、形状記憶アクチュエータ112に印加する適切なSMA駆動信号1612を判定してもよい。SMA駆動信号1612の一実施例は、SMA駆動信号1612の振幅が形状記憶アクチュエータ112(したがって、ポンプアセンブリ106)のストローク長さを本質的に制御し、SMA駆動信号1612の負荷サイクルが形状記憶アクチュエータ112(したがって、ポンプアセンブリ106)のストローク率を本質的に制御する、一連のバイナリパルスであってもよい。さらに、SMA駆動信号1612が示差容量(すなわち、形状記憶アクチュエータ112の各サイクル中に注入される容量)を示すため、SMA駆動信号1612は、形状記憶アクチュエータ112の複数のサイクル中に注入される注入可能な流体の総分量を示してもよい、容量信号1616を生成するように、離散時間積分器1614によって積分されてもよい。例えば、(上記で論議されるように)0.100単位の注入可能な流体を注入するために、(1サイクルにつき0.010単位で)形状記憶アクチュエータ112の10サイクルを要してもよいため、離散時間積分器1614は、これらの10サイクルにわたってSMA駆動信号1612を積分して、(容量信号1616によって表されるような)注入可能な流体の注入された総分量を判定してもよい。
【0346】
SMA駆動信号1612は、例えば、1サイクルにわたって、ポンプアセンブリ106を作動させ、容量センサアセンブリ148内に含まれる容量センサチャンバ620の充填をもたらしてもよい。次いで、注入ポンプアセンブリ100は、(上記で論議されるように)容量センサチャンバ620内に含まれる流体の分量の第1の測定を行ってもよい。さらに、上記で論議されるように、測定弁アセンブリ610が後に通電され、容量センサチャンバ620内の流体の全てまたは一部分をユーザに送達させてもよい。次いで、注入ポンプアセンブリ100は、(上記で説明されるように)容量センサチャンバ620内に含まれる流体の分量の測定を行い、V
2(すなわち、形状記憶アクチュエータ112の現在のサイクル中にユーザに送達された注入可能な流体の実際の容量)を判定するために、これら2つの測定値を使用してもよい。いったん判定されると、V
2(すなわち、信号1618によって表されるような)は、以前に受信した標的示差容量との比較のために、容量コントローラ1602に提供(すなわち、フィードバック)されてもよい。
【0347】
示差標的容量が0.010単位の注入可能な流体であった、上記の実施例を続けると、V
2(すなわち、信号1618によって表されるような)が、ユーザに送達されたものとして0.009単位の注入可能な流体を識別すると仮定する。したがって、注入ポンプアセンブリ100は、次の示差標的容量を0.011単位まで増加させて、前の0.001単位貯蔵を相殺してもよい。したがって、上記で論議されるように、SMA駆動信号1612の振幅および/または負荷サイクルは、ユーザに注入可能な流体の次の基礎用量を送達するときに増加させられてもよい。この過程は、(上記で論議されるように)形状記憶アクチュエータ112の残りの9サイクルにわたって反復されてもよく、離散時間積分器1614は、ユーザに送達された注入可能な流体の総分量を定義してもよい、SMA駆動信号1612を(容量信号1616を生成するために)積分してもよい。
【0348】
図34も参照すると、容量コントローラ1602の1つの可能な実施形態が示されている。この特定の実装では、容量コントローラ1602は、PI(比例積分器)コントローラ1650を含んでもよい。容量コントローラ1602は、「オンタイム」信号1606に関する初期「推測」を設定するための順方向送りコントローラ1652を含んでもよい。例えば、標的示差容量信号1600が、形状記憶アクチュエータ112の1サイクルにつき注入可能な流体の0.010単位の部分基礎用量を識別する、上記で説明される状況について、順方向送りコントローラ1652は、例えば、1ミリ秒の初期「オンタイム」を定義してもよい。順方向送りコントローラ1652は、例えば、標的示差容量信号1600に少なくとも部分的に基づく、初期「オンタイム」を定義する、参照テーブルを含んでもよい。容量コントローラ1602はさらに、標的示差容量信号1600を積分するための離散時間積分器1654と、V
2(すなわち、信号1618によって表されるような)を積分するための離散時間積分器1656とを含んでもよい。
【0349】
図35も参照すると、順方向送りコントローラ1652の1つの可能な実施形態が示されている。この特定の実装では、順方向送りコントローラ1652は、定値信号1658を定義してもよく、かつ増幅器1660(例えば、統一利得増幅器)を含んでもよく、その出力は、加算ノード1662において定値信号1658と合計されてもよい。結果として生じる合計信号(すなわち、信号1664)は、例えば、参照テーブル1666に、入力信号として提供されてもよく、それは、順方向送りコントローラ1652の出力信号を生成するように処理されてもよい。
【0350】
上記で論議されるように、ポンプアセンブリ106は、形状記憶アクチュエータ112によって制御されてもよい。さらに、上記で論議されるように、SMAコントローラ1608は、「オンタイム」信号1606およびバッテリ電圧信号1610を処理して、形状記憶アクチュエータ112に印加する適切なSMA駆動信号1612を判定してもよい。
【0351】
図36−37も参照すると、SMAコントローラ1608の1つの特定の実装が示されている。上記で論議されるように、SMAコントローラ1608は、「オンタイム」信号1606およびバッテリ電圧信号1610に応答してもよく、SMA駆動信号1612を形状記憶アクチュエータ112に提供してもよい。SMAコントローラ1608は、フィードバックループ(単位遅延1700を含む)を含んでもよく、その出力は、乗算器1702においてバッテリ電圧信号1610で乗じられてもよい。乗算器1702の出力は、例えば、統一利得増幅器1704で増幅されてもよい。増幅器1704の出力は、(「オンタイム」信号1606が印加される)加算ノード1706の負の入力に印加されてもよい。加算ノード1706の出力は、(例えば、統一利得増幅器1708を介して)増幅されてもよい。SMAコントローラはまた、(容量コントローラ1602の順方向送りコントローラ1652と同様に、
図35参照)SMA駆動信号1612の初期値を提供するように、順方向送りコントローラ1710を含んでもよい。順方向送りコントローラ1710の出力は、SMA駆動信号1612を形成するように、加算ノード1712において、増幅器1708の出力および増幅器1708の出力の積分表現(すなわち、信号1714)と合計されてもよい。
【0352】
SMA駆動信号1612は、形状記憶アクチュエータ112への電力の印加を達成する制御回路に提供されてもよい。例えば、SMA駆動信号1612は、形状記憶アクチュエータに電流信号1718(バッテリ606から供給される)および/または固定信号1720を選択的に印加してもよい、切替アセンブリ1716に印加されてもよい。例えば、SMA駆動信号1612は、SMA駆動信号1612によって定義される負荷サイクルを達成する方式で、切替アセンブリ1716を介したエネルギー(電流信号1718を介してバッテリ606から供給される)の印加を達成してもよい。単位遅延1722は、バッテリ電圧信号1610(SMAコントローラ1608に印加されてもよい)を形成するように、形状記憶アクチュエータ112に印加される信号の遅延バージョンを生成してもよい。
【0353】
形状記憶アクチュエータ112に電力を印加するとき、電圧は、固定時間量にわたって、a)未調節の電圧を伴う固定負荷サイクルにおいて、b)調節された電圧を伴う固定負荷サイクルにおいて、c)測定された電流値に基づく可変負荷サイクルにおいて、d)測定された電圧値に基づく可変負荷サイクルにおいて、およびe)測定された電圧値の二乗に基づく可変負荷サイクルにおいて、印加されてもよい。代替として、電圧は、測定されたインピーダンスに基づいて、可変時間量にわたって形状記憶アクチュエータ112に印加されてもよい。
【0354】
固定負荷サイクルにおいて固定時間量にわたって未調節の電圧を印加するとき、内側ループフィードバックが使用されてもよく、固定負荷サイクルにおいて、かつ外側容量ループによって判定されるオンタイムで、形状記憶アクチュエータが駆動されてもよい。
【0355】
固定負荷サイクルにおいて固定時間量にわたって調節された電圧を印加するとき、内側ループフィードバックが使用されなくてもよく、固定負荷サイクルにおいて、かつ外側容量ループによって判定されるオンタイムで、形状記憶アクチュエータ112が駆動されてもよい。
【0356】
測定された電流値に基づく可変定負荷サイクルにおいて、未調節の電圧を印加するとき、形状記憶アクチュエータ112に印加される実際の電流が測定されてもよく、正しい平均電流を維持するように、形状記憶アクチュエータ112の作動中に負荷サイクルが調整されてもよい。
【0357】
測定された電圧値に基づく可変定負荷サイクルにおいて、未調節の電圧を印加するとき、形状記憶アクチュエータ112に印加される実際の電圧が測定されてもよく、正しい平均電圧を維持するように、形状記憶アクチュエータ112の作動中に負荷サイクルが調整されてもよい。
【0358】
測定された電圧値の二乗に基づく可変定負荷サイクルにおいて、未調節の電圧を印加するとき、形状記憶アクチュエータ112に印加される実際の電圧が測定されてもよく、(形状記憶アクチュエータ112のインピーダンスに基づいて)形状記憶アクチュエータ112に所望レベルの電力を提供するために必要なレベルで、電圧の二乗を維持するように、形状記憶アクチュエータ112の作動中に負荷サイクルが調整されてもよい。
【0359】
図38A−38Bも参照すると、SMAコントローラ1608の他の実装が示されている。具体的には、
図38Aは、スイッチアセンブリを開閉してもよいPWM信号を提供するように構成されてもよい、マイクロプロセッサおよび種々の制御ループを含んでもよい、電気回路図である。スイッチアセンブリは、形状記憶アクチュエータを通って流れることが可能になる電流を制御してもよい。バッテリは、形状記憶アクチュエータに電流を提供してもよい。さらに、114Bは、容量コントローラおよび内部形状記憶アクチュエータコントローラを開示する。形状記憶アクチュエータコントローラは、PWM信号をポンプに提供してもよく、それはバッテリ電圧に基づいて修正されてもよい。これは、固定オンタイムに発生してもよく、結果として、容量が容量センサアセンブリ148によって測定され、容量コントローラにフィードバックされてもよい。
【0360】
好ましい実施形態では、ほぼ一貫した電力を与えるように、測定されたバッテリ電圧に基づいて負荷サイクルを変化させる。負荷サイクルを調整して、より低いバッテリ電圧を補う。バッテリ電圧は、1)バッテリが放電されるにつれて、電圧がゆっくりと減少する、および2)バッテリに負荷を印加すると、内部インピーダンスがあるため、その電圧が徐々に低下する、といった2つの理由で変化してもよい。これは、任意の種類のシステムで発生するものであり、負荷サイクルを調整し、したがって、より低い、または変化するバッテリ電圧を軽減することによって、これを補う。バッテリ電圧は、マイクロプロセッサによって測定されてもよい。他のシステムでは、1)電圧が調節されてもよく(安定した電圧で電圧を維持するように調節器を入れる)、2)フィードバックが他のもの(すなわち、必ずしもバッテリ電圧を測定するわけではない、モータの速度または位置)に基づいてもよい。
【0361】
形状記憶アクチュエータを制御するために、他の構成が利用されてもよい。例えば、A)形状記憶アクチュエータは、未調節の電圧を伴う固定負荷サイクルにおいて制御されてもよい。電圧が変化するにつれて、形状記憶アクチュエータの加熱の再現性が低減される。B)バッテリ電圧の変化を補う、調節された電圧の固定負荷サイクルが利用されてもよい。しかしながら、電圧を下方に調節することは、エネルギーにより、あまり効率的ではない。C)負荷サイクルは、電流の変化に基づいて変動させられてもよい(これは、より複雑な測定回路を必要としてもよい)。D)負荷サイクルは、測定された電圧に基づいて変化させられてもよい。E)負荷サイクルは、電流の二乗、または抵抗で割られた電圧の二乗に基づいて変化させられてもよい。F)電圧は、測定されたインピーダンスに基づいて、可変時間量にわたって印加されてもよい(例えば、ホイートストンゲージ(図示せず)を使用して、インピーダンスを測定してもよい)。形状記憶アクチュエータのインピーダンスは、ひずみと相関があってもよい(すなわち、そのインピーダンスに基づいて、SMAがどれだけ移動するかを相関させてもよい)。
【0362】
図39も参照して、上記で論議されるように、注入ポンプアセンブリ100の安全性を向上させるために、電気制御アセンブリ110は、2つの別個かつ個別のマイクロプロセッサ、すなわち、スーパーバイザプロセッサ1800およびコマンドプロセッサ1802を含んでもよい。具体的には、コマンドプロセッサ1802は、上記で論議される機能(例えば、SMA駆動信号1612を生成する)を果たしてもよく、(この実施例では)形状記憶アクチュエータ112、632(それぞれ)の機能性を制御する、中継/スイッチアセンブリ1804、1806を制御してもよい。コマンドプロセッサ1802は、形状記憶アクチュエータ112、632に印加される電圧信号の状態(例えば、電圧レベル)に関して、信号調整器1808からフィードバックを受信してもよい。コマンドプロセッサ1800は、中継/スイッチアセンブリ1804、1806とは無関係に、中継/スイッチアセンブリ1810を制御してもよい。したがって、注入事象が所望されるときに、注入事象が適正であることを、スーパーバイザプロセッサ1800およびコマンドプロセッサ1802の両方が同意しなければならず、両方がそれぞれの継電器/スイッチを作動させなければならない。スーパーバイザプロセッサ1800およびコマンドプロセッサ1802のいずれか一方が、それぞれの継電器/スイッチを作動させられなかった場合は、注入事象が発生しない。したがって、スーパーバイザプロセッサ1800およびコマンドプロセッサ1802、ならびに発生しなければならない協働および同時発生を通して、注入ポンプアセンブリ100の安全性が向上させられる。
【0363】
スーパーバイザプロセッサは、コマンドプロセッサが送達するべきではないときに送達することを防止してもよく、また、コマンドプロセッサが送達しているはずであるときに送達しなければ、警報を鳴らしてもよい。スーパーバイザプロセッサは、コマンドプロセッサが間違ったスイッチを作動させた場合、またはコマンドプロセッサが過剰に長く電力を印加しようとした場合に、継電器/スイッチアセンブリを動作停止状態にしてもよい。
【0364】
スーパーバイザプロセッサは、どれだけ多くのインスリンが送達されるべきかについて、冗長的に計算を行ってもよい(すなわち、コマンドプロセッサの計算を二重にチェックする)。コマンドプロセッサは、送達スケジュールを決定してもよく、スーパーバイザプロセッサは、これらの計算を冗長的にチェックしてもよい。
【0365】
スーパーバイザはまた、RAMでプロファイル(送達プロファイル)を冗長的に保持してもよいため、コマンドプロセッサが正しい計算を行っていてもよいが、不良なRAMがある場合は、コマンドに間違った結果を出させる。スーパーバイザは、例えば、二重にチェックするために、基礎プロファイルのローカルコピーを使用する。
【0366】
スーパーバイザは、AVS測定を二重にチェックすることができ、AVS計算を見て、安全性チェックを適用する。AVS測定値が採取されるたびに、二重にチェックを行う。
【0367】
図40も参照すると、スーパーバイザプロセッサ1800およびコマンドプロセッサ1802のうちの1つ以上は、注入ポンプアセンブリ100の種々の部分に診断を行ってもよい。例えば、分圧器1812、1814は、例えば、形状記憶アクチュエータ112の遠位端において感知される、電圧(それぞれ、V1およびV2)を監視するように構成されてもよい。継電器/スイッチアセンブリ1804、1810に印加される信号を知った上で、電圧V1およびV2の値は、(例示的な診断表1816に示されるのと同様に)
図40に示される回路の種々の構成要素に診断が行われることを可能にする。
【0368】
上記で論議されるように、
図39−40に図示されるように、注入ポンプアセンブリ100の安全性を向上させるために、電気制御アセンブリ110は、複数のマイクロプロセッサ(例えば、スーパーバイザプロセッサ1800およびコマンドプロセッサ1802)を含んでもよく、そのそれぞれは、注入可能な流体の用量の送達を達成するために、相互作用し、同時動作することが要求されてもよい。マイクロプロセッサが相互作用/同時動作できなかった場合は、注入可能な流体の用量の送達が失敗する場合があり、1つ以上のアラームが誘起されてもよく、したがって、注入ポンプアセンブリ100の安全性および信頼性を向上させる。
【0369】
容量誤差を経時的に追跡する、マスタアラームが利用されてもよい。したがって、誤差の合計が大きくなりすぎれば、マスタアラームが起動され、システムに異常があり得ることを示してもよい。したがって、マスタアラームは、実施されている総容量比較および留意されている相違を示してもよい。マスタアラームを起動するために必要とされる相違の典型的な値は、1.00ミリリットルであってもよい。マスタアラームは、漏洩様式で合計を監視してもよい(すなわち、不正確性が時間の水平軸を有する)。
【0370】
図41A−41Bも参照すると、注入可能な流体の用量の送達中の、複数のマイクロプロセッサ間のそのような相互作用の1つのそのような例示的実施例が示されている。具体的には、コマンドプロセッサ1802が、最初に、容量センサチャンバ620内の注入可能な流体の初期容量を判定してもよい1900。次いで、コマンドプロセッサ1802は、スーパーバイザプロセッサ1800に「ポンプ電力要求」メッセージを提供してもよい1902。「ポンプ電力要求」メッセージを受信すると1904、スーパーバイザプロセッサ1800が、例えば、継電器/スイッチ1810に通電してもよく1906(したがって、形状記憶アクチュエータ112に通電する)、コマンドプロセッサ1802に「ポンプ電力オン」メッセージを送信してもよい1908。「ポンプ電力オン」メッセージを受信すると1910、コマンドプロセッサ1802が、例えば、(継電器/スイッチ1804に通電することによって)ポンプアセンブリ106を作動させてもよく1912、その間に、スーパーバイザプロセッサ1800が、例えば、ポンプアセンブリ106の作動を監視してもよい1914。
【0371】
いったんポンプアセンブリ106の作動が完了すると、コマンドプロセッサ1802が、スーパーバイザプロセッサ1800に「ポンプ電力オフ」メッセージを提供してもよい1914。「ポンプ電力オフ」メッセージを受信すると1916、スーパーバイザプロセッサ1800が、継電器/スイッチ1810の電源を切り1918、コマンドプロセッサ1802に「ポンプ電力オフ」メッセージを提供してもよい1920。「ポンプ電力オフ」メッセージを受信すると1922、コマンドプロセッサ1802が、ポンプアセンブリ106によって送出された注入可能な流体の分量を測定してもよい1924。これは、容量センサチャンバ620内の流体の現在の分量を測定し、それを上記で(ステップ1900で)判定された分量と比較することによって、達成されてもよい。いったん判定されると1924、コマンドプロセッサ1802が、スーパーバイザプロセッサ1800に「弁開放電力要求」メッセージを提供してもよい1926。「弁開放電力要求」メッセージを受信すると1928、スーパーバイザプロセッサ1800が、継電器/スイッチ1810に通電してもよく1930(したがって、形状記憶アクチュエータ632に通電する)、コマンドプロセッサ1802に「弁開放電力オン」メッセージを送信してもよい1932。「弁開放電力オン」メッセージを受信すると1934、コマンドプロセッサ1802が、例えば、(継電器/スイッチ1806に通電することによって)測定弁アセンブリ610を作動させてもよく1936、その間に、スーパーバイザプロセッサ1800が、例えば、測定弁アセンブリ610の作動を監視してもよい1938。
【0372】
いったん測定弁アセンブリ610の作動が完了すると、コマンドプロセッサ1802が、スーパーバイザプロセッサ1800に「弁電力オフ」メッセージを提供してもよい1940。「弁電力オフ」メッセージを受信すると1942、スーパーバイザプロセッサ1800が、継電器/スイッチ1810の電源を切り1944、コマンドプロセッサ1802に「弁電力オフ」メッセージを提供してもよい1946。
【0373】
「弁電力オフ」メッセージを受信すると1948、コマンドプロセッサ1802が、スーパーバイザプロセッサ1800に「弁閉鎖電力要求」メッセージを提供してもよい1950。「弁閉鎖電力要求」メッセージを受信すると1952、スーパーバイザプロセッサ1800が、継電器/スイッチ1810に通電してもよく1954(したがって、形状記憶アクチュエータ652に通電する)、コマンドプロセッサ1802に「電力オン」メッセージを送信してもよい1956。「電力オン」メッセージを受信すると1958、コマンドプロセッサ1802が、形状記憶アクチュエータ652に通電するように構成される通電継電器/スイッチ(図示せず)を作動させてもよく1960、その間に、スーパーバイザプロセッサ1800が、例えば、形状記憶アクチュエータ652の作動を監視してもよい1962。
【0374】
形状記憶アクチュエータ652は、電気接点654を使用して第1端に固着されてもよい。形状記憶アクチュエータ652の他方の端は、ブラケットアセンブリ656に接続されてもよい。形状記憶アクチュエータ652が起動されると、形状記憶アクチュエータ652は、ブラケットアセンブリ656を前方に引き、弁アセンブリ634を解放してもよい。そのようなものとして、測定弁アセンブリ610は、形状記憶アクチュエータ632を介して起動されてもよい。いったん測定弁アセンブリ610が起動されると、ブラケットアセンブリ656は、起動位置で弁アセンブリ610に手動で掛け金を掛けてもよい。形状記憶アクチュエータ652を作動させることにより、ブラケットアセンブリ656を前方に引き、弁アセンブリ634を解放してもよい。形状記憶アクチュエータ632がもはや起動されないと仮定して、いったんブラケットアセンブリ656が弁アセンブリ634を解放すると、測定弁アセンブリ610が動作停止状態になってもよい。したがって、形状記憶アクチュエータ652を作動させることによって、測定弁アセンブリ610が動作停止状態になってもよい。
【0375】
いったん形状記憶アクチュエータ652の作動が完了すると、コマンドプロセッサ1802が、スーパーバイザプロセッサ1800に「電力オフ」メッセージを提供してもよい1964。「電力オフ」メッセージを受信すると1966、スーパーバイザプロセッサ1800が、継電器/スイッチ1810の電源を切り1968、コマンドプロセッサ1802に「電力オフ」メッセージを提供してもよい1970。「電力オフ」メッセージを受信すると1972、コマンドプロセッサ1802が、容量センサチャンバ620内の注入可能な流体の分量を判定してもよく、したがって、コマンドプロセッサ1802が、この測定された分量を、上記で(ステップ1924で)判定された分量と比較して、ユーザに送達された注入可能な流体の分量を判定することを可能にする1974。
【0376】
ユーザに送達された注入可能な流体の分量1974が、基礎/ボーラス注入事象に対して特定される注入可能な流体の分量より少ない場合は、(ループ1976を介して)上記の手順が反復されてもよい。
【0377】
図42を参照すると、今回は、注入可能な流体の用量のスケジューリング中の、プロセッサ1800、1802間の相互作用の別の例示的実施例が示されている。コマンドプロセッサ1802は、(それぞれ)基礎スケジューリングメッセージまたはボーラス要求メッセージの受信について監視してもよい2000、2002。これらのメッセージのうちのいずれか一方を受信すると2000、2002、コマンドプロセッサ1802が、所望の送達容量を設定してもよく2004、スーパーバイザプロセッサ1800に「送達要求」メッセージを提供してもよい2006。「送達要求」メッセージを受信すると2008、スーパーバイザプロセッサ1800が、コマンドプロセッサ1802によって定義される容量2004を検証してもよい2010。いったん検証されると2010、スーパーバイザプロセッサ1800が、コマンドプロセッサ1802に「送達容認」メッセージを提供してもよい2012。「送達容認」メッセージを受信すると2014、コマンドプロセッサ1802は、コントローラ(例えば、上記で論議され、
図33に図示されるコントローラ)を更新し2016、注入可能な流体の基礎/ボーラス用量の送達を実行してもよい2018。コマンドプロセッサ1808は、(上記で論議され、かつ
図41A−41Bに図示されるように)ユーザに送達された注入可能な流体の総分量を監視し、更新してもよい2022。いったん適切な分量の注入可能な流体がユーザに送達されると、コマンドプロセッサ1802が、スーパーバイザプロセッサ1800に「送達終了」メッセージを提供してもよい2024。「送達終了」メッセージを受信すると2026、スーパーバイザプロセッサ1800が、ユーザに送達された注入可能な流体の総分量を更新してもよい2028。ユーザに送達された注入可能な流体の総分量2018が、上記で(ステップ2004で)定義された分量より少ない場合は、(ループ2030を介して)上記で論議される注入過程が反復されてもよい。
【0378】
図43も参照すると、(上記で説明されるように)容量センサアセンブリ148を介した容量測定を達成しながら、スーパーバイザプロセッサ1800およびコマンドプロセッサ1802が相互作用してもよい方式の実施例が示されている。
【0379】
具体的には、コマンドプロセッサ1802が、容量センサアセンブリ148を初期化し2050、容量センサアセンブリ148からデータを収集し始めてもよく2052、その過程は、上記の正弦波掃引で利用される各周波数について反復されてもよい。データが特定の掃引周波数について収集されるたびに、データ点メッセージがコマンドプロセッサ1802から提供されてもよく2054、それは、スーパーバイザプロセッサ1800によって受信されてもよい2056。
【0380】
いったん正弦波掃引全体についてデータ収集2052が完了すると、コマンドプロセッサ1802が、注入ポンプアセンブリ100によって送達される注入可能な流体の容量を推定してもよい2058。コマンドプロセッサ1802は、スーパーバイザプロセッサ1800に容量推定メッセージを提供してもよい2060。この容量推定メッセージを受信すると2062、スーパーバイザプロセッサ1800が、容量推定メッセージをチェック(すなわち、確認)してもよい2064。いったんチェック(すなわち、確認)されると、スーパーバイザプロセッサ1800が、コマンドプロセッサ1802に検証メッセージを提供してもよい2066。いったんスーパーバイザプロセッサ1800から受信されると2068、コマンドプロセッサ1802が、容量センサアセンブリ148によって送達された注入可能な流体の用量に対する測定状態を設定してもよい。
【0381】
注入ポンプアセンブリ100の流体送達経路に沿ってどこでも、閉塞および/漏出が発生する場合がある。
【0382】
例えば、
図44を参照すると、閉塞/漏出は、貯留部118と貯留部弁アセンブリ614との間の流体経路で、貯留部弁アセンブリ614とポンプアセンブリ106との間の流体経路で、ポンプアセンブリ106と容量センサ弁アセンブリ612との間の流体経路で、容量センサ弁アセンブリ612と容量センサチャンバ620との間の流体経路で、容量センサチャンバ620と測定弁アセンブリ610との間の流体経路で、測定弁アセンブリ610と使い捨てカニューレ138の先端との間の流体経路で、発生する場合がある。注入ポンプアセンブリ100は、そのような閉塞/漏出を検出して場所を特定し、注入ポンプアセンブリ100の安全性/信頼性を向上させる、1つ以上の閉塞/漏出検出アルゴリズムを実行するように構成されてもよい。
【0383】
上記で論議されるように、注入可能な流体を投与するときに、注入ポンプアセンブリ100は、最初に、注入可能な流体の用量の投与前の容量センサチャンバ620内の注入可能な流体の容量を判定してもよく、後に、注入可能な流体の用量の投与後の容量センサチャンバ620内の注入可能な流体の容量を判定してもよい。これらの値を監視することによって、閉塞/漏出の発生が検出されてもよい。
【0384】
閉塞型・完全:完全閉塞が発生しているとき、注入可能な流体の用量の投与前の初期測定値と、注入可能な流体の用量の投与後の最終測定値との間の差は、ゼロ(または本質的にゼロ)となり、容量センサチャンバ620内の多量に残留した注入可能な流体を示す。したがって、容量センサチャンバ620から流体が全く退出していなくてもよい。
【0385】
具体的には、使い捨てカニューラの先端が閉塞された場合、容量センサチャンバ620の下流の流体経路が流体で充填し、最終的に、バネダイヤフラム628によって及ぼされる機械的圧力と同等のレベルまで加圧される。したがって、測定弁アセンブリ610が開くと、ゼロ(または本質的にゼロ)の流体が分注され、したがって、初期および最終測定(容量センサアセンブリ148によって行われるような)の値は、本質的に等しくなる。
【0386】
そのような状態の発生を検出すると、完全閉塞フラグが設定されてもよく、注入ポンプアセンブリ100が、例えば、アラームを誘起し、したがって、ユーザが治療法を受容するための代替的手段を求める必要があることを示してもよい。
【0387】
閉塞型・部分:部分閉塞が発生しているとき、注入可能な流体の用量の投与前の初期測定値と、注入可能な流体の用量の投与後の最終測定値との間の差は、注入可能な流体の完全より少ない用量が送達されたことを示す。例えば、特定のポンプサイクルの終わりに、0.10マイクロリットルの注入可能な流体が容量センサチャンバ620の中に存在したことを、容量センサアセンブリ148が示したと仮定する。さらに、後に測定弁アセンブリ610が閉鎖され、後にポンプアセンブリ106が作動させられ、容量センサチャンバ620が注入可能な流体で充填されると仮定する。さらに、容量センサチャンバ620が現在1.00マイクロリットルの注入可能な流体で充填されている(0.90マイクロリットルの送出容量を示す)ことを、容量センサアセンブリ148が判定すると仮定する。
【0388】
したがって、測定弁アセンブリ610の開放時に、容量センサチャンバ内に含まれる注入可能な流体の分量は、0.10マイクロリットル(または合理的にその近く)まで低下するとことが予期される。しかしながら、部分閉塞の場合、容量センサチャンバ620からの通常よりも遅い流速により、容量センサチャンバ620内の注入可能な流体の分量は、0.40マイクロリットルまでしか低減されない場合がある(0.60マイクロリットルの送達容量を示す)。したがって、送出容量(0.90マイクロリットル)と送達容量(0.60マイクロリットル)との間の差を監視することによって、残留容量が定義されてもよく、部分閉塞の発生が検出されてもよい。
【0389】
そのような状態の発生を検出すると、部分閉塞フラグが設定されてもよく、注入ポンプアセンブリ100が、例えば、アラームを誘起してもよく、したがって、ユーザが治療法を受容するための代替的手段を求める必要があることを示す。しかしながら、これは(完全閉塞とは対照的に)部分閉塞を示すため、部分閉塞が自ら解消する場合があると、アラームの発行が遅延する場合がある。
【0390】
代替として、注入ポンプアセンブリ100は、ポンプオンタイム対送達容量の比を計算し、それを時間とともに追跡し、ポンプオンタイムの高速移動および低速移動指数平均値を使用することによって追跡してもよい。指数平均値は、漏洩合計積分器と同様に、追跡されてもよい。注入ポンプアセンブリ100は、信号をフィルタにかけ、高速変化を探してもよい。流体流出速度および/または残留容量が監視されてもよい。残留容量が変化しない場合は、完全閉塞があってもよい。残留容量が変化した場合は、部分閉塞があってもよい。さらに代替として、残留値が合計されてもよい。弁作動の数または掛け金の時間が変化させられている場合、たとえ容量センサアセンブリ148の中で圧力を蓄積しても、流体流速が調査されてもよい。
【0391】
完全/部分的に空の貯留部:貯留部118が空になりつつあるときは、容量センサチャンバ620を所望のレベルまで充填することがさらに困難となる。典型的に、ポンプアセンブリ106は、1ミリ秒につき1.0マイクロリットルを送出することが可能である。例えば、容量センサチャンバ620の「空」の状態が0.10マイクロリットルであり、容量センサチャンバ620の「満杯」状態が1.00マイクロリットルであると仮定する。しかしながら、貯留部118が空になり始めると、ポンプアセンブリ106が容量センサチャンバ620を「満杯」状態まで充填することがさらに困難となる場合があり、一貫して目標達成に失敗する場合がある。したがって、正常動作中に、ポンプアセンブリ106が容量センサチャンバ620を「満杯」の状態まで充填するのに1秒かかってもよく、貯留部118が空になるにつれて、容量センサチャンバ620を「満杯」状態まで充填するのに3秒かかってもよい。最終的に、貯留部118が完全に空になった場合、容量センサチャンバ620は、決して「満杯状態」を達成することができなくてもよい。したがって、ポンプアセンブリ106が容量センサチャンバ620を「満杯」の状態まで充填できないことは、貯留部118が空であることを示してもよい。代替として、そのような状態の発生は、他の状況を示してもよい(例えば、ポンプアセンブリ106の故障、容量センサチャンバ620の前の流体経路の閉塞)。注入ポンプアセンブリ100は、「満杯」状態と実際に送出された量との間の差を判定してもよい。これらの差は、合計され、次いで、いったん貯留部の状態に対処したときのために構成されてもよい。
【0392】
そのような状態の発生を検出すると、空のフラグが設定されてもよく、注入ポンプアセンブリ100が、例えば、アラームを誘起し、したがって、ユーザが、例えば、使い捨て筐体アセンブリ114を交換する必要があることを示してもよい。
【0393】
加えて、貯留部118が空になるにつれて、貯留部118が最終的に「真空」状態をもたらし、ポンプアセンブリ106が容量センサチャンバ620に流体を送達する能力が損なわれる場合がある。上記で論議されるように、容量コントローラ1602は、「オンタイム」信号1606に関して初期「推測」を設定するために、順方向送りコントローラ1652を含んでもよく、この初期推測は、ポンプ較正曲線に基づく。例えば、ポンプアセンブリ106が0.010単位の注入可能な流体を送達するために、順方向送りコントローラ1652は、例えば、1ミリ秒の初期「オンタイム」を定義してもよい。しかしながら、貯留部118が空になり始めると、損なわれたポンプ条件により、0.010単位の注入可能な流体を送達するのに2ミリ秒かかってもよい。さらに、貯留部118が完全に空の状態に近づくにつれて、0.010単位の注入可能な流体を送達するのに10ミリ秒かかってもよい。したがって、空の状態に近づいている貯留部118の発生は、ポンプアセンブリ106の実際の動作(例えば、0.010単位の注入可能な流体を送達するための2秒)が、ポンプアセンブリ106の予期された動作(例えば、0.010単位の注入可能な流体を送達するための1秒)とは異なるレベルを監視することによって、検出されてもよい。
【0394】
そのような状態の発生を検出すると、留保フラグが設定されてもよく、注入ポンプアセンブリ100が、例えば、アラームを誘起し、したがって、ユーザが、例えば、使い捨て筐体アセンブリ114をすぐに交換する必要があることを示してもよい。
【0395】
漏出検出:流体経路内の漏出(例えば、漏出弁または破裂/穿孔)の場合には、流体経路が流圧を保持する能力が損なわれる場合がある。したがって、流体経路内の漏出についてチェックするために、ポンプアセンブリ106が容量センサチャンバ620を加圧するために使用される、流出試験が行われてもよい。次いで、容量センサアセンブリ148は、(上記で説明されるような)第1の容量測定を行って、容量センサチャンバ620内の注入可能な流体の容量を判定してもよい。次いで、注入ポンプアセンブリ100は、漏出の場合に、流出を可能にする定義された期間を待ってもよい。例えば、60秒の流出期間後、容量センサアセンブリ148は、(上記で説明されるような)第2の容量測定を行って、容量センサチャンバ620内の注入可能な流体の容量を判定してもよい。漏出がなければ、2つの容量測定値は本質的に同じはずである。しかしながら、漏出の場合には、第2の測定値が第1の測定値より少なくてもよい。加えて、漏出の重篤性に応じて、ポンプアセンブリ106は、容量センサチャンバ620を充填できなくてもよい。典型的に、漏出チェックは、注入可能な流体の送達の一部として実施されてもよい。
【0396】
第1の容量測定値と第2の容量測定値との間の差が許容閾値を超える場合には、漏出フラグが設定されてもよく、注入ポンプアセンブリ100が、例えば、アラームを誘起し、したがって、ユーザが治療法を受容するための代替的手段を求める必要があることを示してもよい。
【0397】
図45および
図46を参照すると、無線制御された医療デバイスで使用するために適合され、注入ポンプアセンブリの例示的実施形態で使用される、分割リング共振器アンテナの例示的実施形態は、少なくとも1つの分割リング共振器アンテナ(以降、「SRRアンテナ」)2508、アンテナに電力供給することが可能である、無線制御された医療注入装置(以降、「注入装置」)2514等の装着型電気回路、および制御ユニット2522を含む。
【0398】
種々の実施形態では、SRRアンテナ2508は、非導電性基板2500の表面上に存在し、1つ(または複数の)金属層が所定の周波数で共振することを可能にしてもよい。基板2500は、難燃材2(FR−2)、FR−3、FR−4、FR−5、FR−6、G−10、CEM−1、CEM−2、CEM−3、CEM−4、CEM−5、ポリイミド、Teflon、セラミック、または可撓性Mylar等の、標準プリント回路基板材料から構成されてもよい。SRRアンテナ2508を備える金属共振体は、例えば、プラチナ、イリジウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼、銀、または他の導電性材料でできている、2つの長方形の金属層2502、2504でできていてもよい。他の種々の実施形態では、SRRアンテナ2508は、1つだけの金属共振体を含有してもよい。
【0399】
例示的実施形態では、金めっきを施した銅の外層2502が、物理的に接触することなく、金めっきを施した銅の内側リング2504を包囲する。つまり、内側リング2504が、外層2502によって形成される空洞2510(または開口)の中に存在する。内側リング2504は、その表面に沿って間隙または分割2506を含有し、材料を完全に分断して不完全なリング形状を形成してもよい。両方の金属共振体2502、2504が、基板2500の同じ平面上に存在してもよい。そのような構成では、外層2502は、例えば、外層2502に連結される伝送ライン2512を介して、駆動されてもよい。加えて、種々の他の実施形態では、伝送ライン2512は、内側リング2504に連結されてもよい。
【0400】
アンテナ性能等の電磁幾何学形状をシミュレートすることが可能である、AWR Microwave Office等のアンテナ設計ソフトウェアは、アンテナを物理的に製造し、試験することと比較して、満足のいく寸法を生成するために必要な時間を有意に短縮してもよい。したがって、そのようなソフトウェアを用いて、SRRアンテナ2508は、共振体2502、2504の幾何学寸法が2.4GHzの動作周波数を促進するように設計されてもよい。
図50は、内側リング2504および外層2502の例示的寸法、および内側リング2504が存在する空洞2510の位置付けを描写する。外層2502と内側リング2504との間の距離は、空洞2510の周囲に沿って、一定の0.005インチである。しかしながら、他の実施形態では、外層と内側リングとの間の距離が変化してもよく、いくつかの実施形態では、動作周波数が変化してもよい。
【0401】
種々の実施形態では、SRRアンテナ2508は、電気的に小さいと分類することができるように寸法を有してもよく、つまり、アンテナの最大寸法が動作周波数における1つの波長よりもはるかに小さくなる。
【0402】
種々の他の実施形態では、SRRアンテナ2508は、同様の形状の1つ以上の金属内層を包囲する、円形、五角形、八角形、または六角形等の、1つ以上の代替的形状の金属外層から構成されてもよい。さらに、種々の他の実施形態では、SRRアンテナ2508の1つ以上の金属層は、材料に間隙を含有し、不完全な形状を形成してもよい。
【0403】
図48を参照すると、例示的幾何学形状を有するSRRアンテナ2508は、ヒトの皮膚と接触して配置されると、許容反射減衰量および周波数値を示す。
図48に示されるように、グラフ上のマーカー1および2によって表される関心の帯域に注目すると、2.44GHzを中心とする周波数帯域を監視している間に、ヒトの皮膚と接触する前の反射減衰量は、ほぼ−15dBである。ヒトの皮膚と接触中の反射減衰量は、
図48Aに示されるように、同じ周波数でほぼ−25dBの好適な値のままであり、約97%伝送電力を生じる。
【0404】
これらの結果は、特に、Inverted−F等の非分割リング共振器アンテナ型と比較すると有利である。Inverted−Fアンテナの反射減衰量は、アンテナがヒトの皮膚に接触するときに差異を示し、アンテナから外向きに伝送される電力の低い割合をもたらしてもよい。一例として、
図51に示されるように、グラフ上のマーカー1および2によって表される関心の帯域に再度注目すると、ヒトの皮膚と接触する前のInverted−Fアンテナの反射減衰量は、2.44GHzを中心とする周波数において、ほぼ−25dBである。ヒトの皮膚と接触中の反射減衰量は、同じ周波数でほぼ−2dBであり、約37%伝送電力を生じる。
【0405】
(無線医療デバイスとの統合)
例示的実施形態において、
図50および
図46を参照すると、SRRアンテナ2508の1つの用途は、ユーザ/患者2524に流体薬剤を送達することが可能な装着型注入装置2514への統合であってもよい。そのような用途において、ユーザ/患者の安全性は、これらの電気構成要素間の流体動作に依存し、したがって、制御ユニット2522を往復する確実な無線伝送が大いに重要である。
【0406】
注入装置2514は、人体に直接装着されてもよい。一例として、そのようなデバイスは、ヒトの皮膚と直接接触して、股関節の上または上側に取り付けられてもよく、電気動作における周波数偏移を引き起こす、意図しない誘電体装荷の危険性にSRRアンテナ2508をさらす。しかしながら、そのような用途では、近くの寄生オブジェクトに対してアンテナの感受性を低下させる、SRRアンテナ2508の電気特性が、性能の劣化を低減または排除するのに有益である。制御ユニット2522(概して
図49に示される)等の制御構成要素は、注入装置2514と対合されてもよく、2.4GHz等の所定の周波数で注入装置2514に無線信号を伝送し、そこから無線信号を受信するように設計されてもよい。例示的実施形態では、制御ユニット2522は、それを通して患者または第三者がインスリン送達を管理してもよい、主要ユーザインターフェースとしての機能を果たす。他の実施形態では、注入装置2514は、1つ以上の制御ユニット2522と通信するためにSRRアンテナ2508を利用してもよい。
【0407】
種々の実施形態では、プロトコルおよび転送されるデータ型がアンテナの電気特性と無関係であるため、多数の異なる無線通信プロトコルが、SRRアンテナ2508と併せて使用されてもよい。しかしながら、例示的実施形態では、通信の双方向性マスタ/スレーブ手段が、SRRアンテナ2508を通してデータ転送を組織化する。制御ユニット2522は、情報について注入装置2514またはスレーブに周期的にポーリングすることによって、マスタの役割を果たしてもよい。例示的実施形態では、スレーブがポーリングされたときのみ、スレーブが制御ユニット2522に信号を送信してもよい。しかしながら、他の実施形態では、スレーブは、ポーリングされる前に信号を送信してもよい。このシステムを通して送信される信号は、制御、アラーム、状態、患者治療プロファイル、治療ログ、チャネル選択およびネゴシエーション、ハンドシェイキング、暗号化、およびチェックサムを含んでもよいが、それらに限定されない。いくつかの実施形態では、SRRアンテナ2508を通した伝送はまた、患者へのインスリンの投与の電気的途絶に対する追加予防策として、ある注入動作中に停止させられてもよい。
【0408】
例示的実施形態では、SRRアンテナ2508は、伝送ライン2512上の1つ以上のピン2516を介して、電源回路に連結されてもよい。種々の他の実施形態では、伝送ラインは、それによってSRRアンテナ2508がある周波数で共振することができる、チャネルを提供する、ワイヤ、複数対のワイヤ、または他の制御されたインピーダンス方法を備えてもよい。伝送ライン2512は、基板2500の表面上に存在してもよく、金めっきを施した銅等のSRRアンテナ2508と同じ材料から構成されてもよい。加えて、グラウンド面が、伝送ライン2512の反対側の基板の表面に取り付けられてもよい。
【0409】
SRRアンテナ2508に連結される電気回路は、回路に最も近い伝送ライン2512の端にRF信号を印加し、SRRアンテナ2508の全体を通して電磁場を生成し、SRRアンテナ2508から伝搬してもよい。SRRアンテナ2508に連結される電気回路は、2.4GHz等の所定の周波数における共振を促進する。好ましくは、伝送ライン2512およびSRRアンテナ2508の両方は、回路シミュレーションおよび特性化を簡略化するように、50オームのインピーダンスを有する。しかしながら、他の種々の実施形態では、伝送ラインおよび分割リング共振器アンテナは、他のインピーダンス値、または異なる共振周波数を有してもよい。
【0410】
図47を参照すると、フィルタ、増幅器、またはスイッチ等の信号処理構成要素2518は、伝送ライン2512に統合されるか、または、信号源接続ピン2516とSRRアンテナ2508との間のある点にあってもよい。例示的実施形態では、信号処理構成要素2518は、例示的周波数のみがアンテナに伝送されることを可能にする、およびその範囲外の周波数を拒絶する等の、所望の信号処理を促進する帯域通過フィルタである。例示的実施形態では、くし形帯域通過フィルタ2518が、アンテナと信号源との間の伝送ライン2512に含まれてもよい。しかしながら、他の実施形態では、例えば、フィルタ、増幅器、または当技術分野で公知の任意の他の信号処理デバイスであるが、それらに限定されない、任意の他の信号処理デバイスが含まれてもよい。
【0411】
種々の実施形態では、SRRアンテナ2508は、可撓性または剛性基板上で共振することが可能な金属体から構成されてもよい。
図46に示されるように、例示的実施形態は、可撓性ポリイミド基板2520上の湾曲SRRアンテナを組み込む。ポリイミドは、代替的基板よりも可撓性となる傾向があるため、例示的な材料であってもよい。この構成は、円形デバイス(無線制御された医療注入装置2514等)、不規則な形状の外部筐体を伴うデバイス、または空間の節約が最重要であるデバイスへの簡略化した統合を可能にしてもよい。
【0412】
種々の実施形態では、制御ユニット2522および基礎ユニット2514の両方が、分割SRRアンテナ2508を組み込んでもよい。この構成は、制御ユニットがヒトの皮膚にごく近接した手持ち式になるように意図されているか、または、様々な誘電率を伴う様々な数の材料にごく近接する可能性がある場合に、有益となってもよい。
【0413】
種々の実施形態では、SRRアンテナ2508は、人体内で動作する1つ以上の埋込型医療デバイスが、手持ち式、身体載置型、または遠隔の制御ユニットに無線通信する、医療構成要素の構成に統合されてもよい。ある実施形態では、身体載置型および体内無線デバイスの両方が、無線通信にSRRアンテナ2508を利用してもよい。加えて、SRRアンテナ2508を利用する構成要素のうちの1つ以上が、ヒトの皮膚、組織、または他の誘電材料によって完全に包囲されてもよい。一例として、そのような構成は、無線データ伝送の安定性および一貫性が基本的な関心事である、心臓監視/制御システムと併せて使用されてもよい。
【0414】
種々の他の実施形態では、SRRアンテナ2508は、注入ポンプアセンブリの実施形態に統合されてもよい。医療構成要素の構成では、人体上に位置付けられた、または人体に取り付けられた1つ以上の電気センサが、遠隔送受信ユニットに無線通信する。一例として、身体上に位置付けられた複数の電極は、遠隔に位置する心電図機械への無線伝送用のSRRアンテナ2508を採用する、無線ユニットに連結されてもよい。一例として、ヒトの皮膚と接触している無線温度センサは、センサが存在する部屋の温度調節のために、コントローラユニットへの無線通信用のSRRアンテナ2508を採用してもよい。
【0415】
本明細書で説明される注入ポンプは、NITINOL、または形状記憶合金の作動バイナリ弁(測定弁)を含有する。この弁は、ワイヤに位相を変化させ、収縮させ、弁を作動させる、NITINOLワイヤに電流を印加することによって作動させられる。1)電力消費を最小化するため、2)サイクル時間を最小化するため、および3)NITINOLのサイクル寿命を最大化するためといった理由を含むが、それらに限定されない、多くの理由で、電流がNITINOLに印加される時間を最小化することが望ましい。電力消費を最小化することにより、バッテリ寿命を延長し、したがって、再充電間のポンプのより長い機能性を提供してもよい。NITINOLのサイクル寿命を最大化することにより、注入ポンプの再利用可能な部分の寿命を延長し、ポンプのより長い性能を提供する。これらの両方は、閉ループまたは半閉ループシステムで、ならびに開ループシステムで望ましくてもよい。
【0416】
ポンプの通常の動作は、とりわけ、以下のステップを伴う。最初に、音響容量センサ(AVS)を使用して、音響容量センサチャンバの初期容量測定値が採取される。次に、パルスポンプを使用して、流体が貯留部からAVSチャンバに送出される。次いで、満杯のAVSチャンバの別の測定値が採取される。次に、測定弁が作動させられ、流体が管類セットを通してAVSチャンバからユーザ/患者へ解放される。最終的に、最終AVS測定値が採取される。
【0417】
種々の実施形態では、第2および第1のAVS測定値の間の差は、送出容量であり、これはAVSチャンバの中へ送出された容量である。第2および第3のAVS測定値の間の差は、送達容量であり、これはユーザ/患者に送達された容量である。送出容量と送達容量との間の差は、残留容量であり、これは測定弁の作動後にAVSチャンバの中に残留している容量である。
【0418】
測定弁は、所与の負荷サイクルおよびオンタイムで、電流が弁NITINOLワイヤを通って流れることを可能にすることによって作動させられる。例示的実施形態では、弁は、供給電圧の変動を補うように調整される、公称8%負荷サイクルで駆動されてもよい。例示的実施形態では、電力を最小化するように変化させられるオンタイムは、弁を作動させるために使用される。しかしながら、他の実施形態では、例えば、オンタイムの代わりに負荷サイクルを変化させることによって、または2つの組み合わせを使用することによって、同様の結果が達成されてもよい。オンタイムは、以下で説明されるアルゴリズムを使用して変化させられる。
【0419】
コントローラが初期化されると、弁オンタイムt
onは、最初に、弁を作動させるために必要な最小オンタイム(いくつかの実施形態では約200ms)を下回る低い値に設定される。上記で説明されるステップ#1から#5を使用して、送達が行われる。これらのステップが完了すると、次の付加的なステップが取られる。残留容量が計算され、残留容量が0に近くなければ、弁が開かなかった可能性が高い。この場合、t
onが増加させられ(例示的実施形態では、t
onは反復ごとに固定の20msだけ増加させられるが、他の実施形態では、増加オンタイムが変化してもよい)、弁が開き、残留容量がゼロに近くなるか、または最大許容弁オンタイムに到達するまで、ステップ#4から#7が繰り返される。
【0420】
このアルゴリズムは、弁を開くのに十分なだけ(オンタイム増分内まで)弁オンタイムを効果的に増加させる。しかしながら、必要なオンタイムが経時的に減少する場合があるか、または所与の送達中に以上に高くなる場合があることが考えられる。この場合、弁オンタイムは、補うように増加するが、次いで、コントローラ/アルゴリズムがリセットされるまで高いままとなる。
【0421】
例示的実施形態では、AVS弁が必要よりも長く作動させられたか否かを判定することが完了されなくてもよい。したがって、いくつかの実施形態では、この未判定を補うために、いったん弁が開くと、余分な開放時間にかかわらず、残留容量がゼロに近くなる。次いで、弁コントローラは、送達ごとに弁オンタイムを減少させる(例示的実施形態では、減少は2msであるが、しかしながら、他の実施形態では、この減少量が異なってもよい)。これは、弁を開くのに不十分となるまで、弁オンタイムが徐々に減少することを可能にする。その時点で、上記で説明されるアルゴリズムは、より大きい増分(例えば、20ms)で弁オンタイムを増加させ、過程が継続する。結果は、弁を開くために必要な最小値に近い弁オンタイムの制御プロファイルである。これらの実施形態では、システムは、測定弁を作動させるために、最小量の電力を使用する。例示的実施形態では、上記で説明されるコントローラを参照すると、容量センサアセンブリは、注入ポンプアセンブリによって注入される流体の量を監視する。したがって、容量センサチャンバからの流体の注入後に、コントローラは、注入された容量が、そのパルスに対する所望の容量または予定容量よりも少ないか、または多いかを判定する。その後、コントローラは、パルスで、または一連のパルスにわたって送達される容量を増加または減少させてもよい。これは、コントローラが、所与の期間にわたる今度の予定送達容量の1つ以上のパルスから、ある容量を加算または減算することを含むが、それに限定されない。したがって、流体送達システムの実施形態は、送達される注入可能な流体の容量を計算するとともに、また、必要に応じて、所与のパルスで送達された容量に基づいて今度の送達容量を再計算する、コントローラを含む。これは、所望の容量が、所与のパルスから短期間内に送達されることを確実にする。
【0422】
上記で論議されるように、例示の目的でインスリンの送達を参照すると、種々の送達容量は、所与のときにプログラムまたは要求されてもよい。これらは、通常ボーラス、長期ボーラス、複合ボーラス(すなわち、通常ボーラスとして送達される一定の割合の長期ボーラス、その後に続いて、残りの割合が所望/要求または所定の期間にわたって送達される)、および基礎速度(多くの実施形態では、24時間の期間につき1つ以上の事前にプログラムされた基礎速度を含んでもよい)を含むが、それらに限定されない。
【0423】
注入可能な流体の送達を制御するためのシステムは、送達軌道、すなわち、基礎、通常ボーラス、長期ボーラス、および/または複合ボーラスであろうと、送達される流体の容量、ならびにスケジュール、すなわち、種々の容量が送達されるときを含む。上記で論議されるように、例示的実施形態では、コントローラは、フィードバック機構を含む。したがって、いくつかの実施形態では、軌道および送達のスケジュールは、容量センサアセンブリ測定容量に基づいて変化してもよい。
【0424】
例示的実施形態では、一定またはほぼ一定の軌道が有益であってもよい。一定の軌道は、過渡を排除または軽減するように一定の軌道を維持することを含むが、それに限定されない多くの理由で、望ましくてもよい。過渡は、形状記憶アクチュエータに印加されるジュールのマッピング、および容量センサアセンブリによって送達または測定される、結果として生じる容量に基づいて、システムに導入されてもよい。経時的に、マッピングは変化してもよい。マッピングを変化させてもよい寄与因子は、温度、貯留部容量、および/または形状記憶アクチュエータの時間および使用を含むが、それに限定されない。したがって、導入されてもよい、および/またはシステムに影響を及ぼしてもよい、変数の影響を排除するために、一定に近い軌道を維持することが望ましくてもよい。加えて、一定の軌道は、コントローラが容量センサアセンブリ測定に応じて送達容量を調整するためのさらなる機会を生じさせる。
【0425】
この送達方法およびシステムの種々の実施形態では、例えば、ボーラス、長期ボーラス、複合ボーラス、および基礎を含んでもよい、システムが受信する送達コマンドに基づいて、軌道が計算される。送達の間隔は、1)最大パルス容量、2)最小パルス容量、3)電力消費、および/または4)最小パルス間隔といった因子のうちの1つ以上に基づいて判定されてもよい。例示的実施形態では、1つ以上の因子が考慮されてもよい。種々の実施形態では、システムが軌道を判定し、間隔因子の境界内で稼働して、いくつかの実施形態では、各送達が同等容量であるという、および(容量の調整を可能にするように)可能な限り多くの同等容量送達で送達が完了するという選好で、所望の軌道を満たす流体送達の間隔および容量を判定する。したがって、間隔は変化してもよいが、例示的実施形態では、間隔ごとに送達される容量は一定に、または一定に近くなる。
【0426】
例示的実施形態では、ボーラス送達に関して、ボーラス容量の送達のための間隔を判定するときに、システムは、システム選好(すなわち、システム性能を最適化してもよい値)および/またはシステム制約(すなわち、最小および最大パルスならびに最小および最大間隔)内で、ボーラス容量が可能な限り迅速に送達されるための送達スケジュールを判定してもよい。例えば、例示的実施形態では、システムは、2.0マイクロリットルの最大パルス送達容量と、0.5マイクロリットルの最小パルス送達容量とを含んでもよい。さらに、いくつかの実施形態では、最小パルス間隔が6分であることが好ましくてもよい。したがって、最小間隔とともに、最大および最小パルス容量を考慮すると、システムは、送達の最適スケジュール、すなわち、各送達の容量(選好は各予定容量が等しいことである)および各送達間の間隔を判定してもよい。
【0427】
いくつかの実施形態では、ボーラス容量に対する送達数を判定する際に、システムは、ボーラス送達に対する各予定パルスが等しいことを考慮して、可能な限り迅速にボーラス容量を送達することに従ってもよい。しかしながら、いくつかの実施形態では、システムは、一式のパルス数、例えば、10に従うことによって、ボーラス容量に対する送達数を判定してもよい。次いで、この服従を考慮すると、システムは、ボーラス容量を10で割ることによって、各パルスの間隔および容量を判定してもよい。その後、結果として生じる送達容量が、最小送達容量、例えば、0.5マイクロリットル未満である場合、システムは、10未満のパルスに基づいてスケジュールを判定してもよい。結果として生じる送達容量が、最大送達容量、例えば、2.0マイクロリットルより多い場合、システムは、10より多いパルスに基づいてスケジュールを判定してもよい。したがって、例示的実施形態では、システムは、要求容量を送達するように所与の数のパルスに従ってもよいが、容量が最小パルス容量よりも少ない、または最大パルス容量よりも多い場合に、システムは、その所与の数のパルスを減少または増加させてもよい。例示的実施形態が説明されているが、これは例示目的のためにすぎないことに留意されたい。他の実施形態では、システムは、パルス数に対する異なる服従数、および/または、最小および最大パルス容量に対する差分値を有してもよい。さらに、例示的間隔も変化してもよく、したがって、いくつかの実施形態では、好ましい間隔は、6分未満であるか、または6分を上回ってもよい。
【0428】
上記で論議されるように、ボーラススケジューリングに加えて、他の送達間隔、例えば、長期ボーラス、複合ボーラス、および基礎もまた、各パルス容量が等しいという所望で判定されてもよい。したがって、間隔は変化してもよいが、上記で論議されるように、システムは、最小間隔、例えば、6分を含んでもよい。基礎送達のスケジューリングに関して、例示的実施形態では、所与の基礎速度送達のスケジュールは、最初に、毎時間の速度を好ましい間隔(例えば、6分)で割ることによって判定されてもよい。例えば、毎時間1単位の速度(すなわち、U−100インスリンに関して、10マイクロリットル)では、スケジュールは、6分毎に1.0マイクロリットルの1回の送達であってもよく、1時間に1.0マイクロリットルの10回の送達と同じである。上記で論議されるように、種々の実施形態では、システムは、パルス最大値および最小値ごとの容量を含んでもよく、したがって、ボーラス速度スケジューリングに関して上記で挙げられる実施例と同様に、容量最小値または最大値に到達した場合、それに応じて、パルスごとに同等容量を維持するために、パルス数が増加または減少させられてもよい。基礎速度軌道の実施例、ならびにその軌道に対する送達スケジュールの実施例が、
図53A−53Bに示されている。
【0429】
本明細書で説明される送達システムおよび方法の実施形態に加えて、所与の時間間隔にわたって、すなわち、通常の基礎送達中に、1つ以上の送達事象が所望される場合、ボーラスが要求され、このスケジューリングの実施形態は、他の計算、例えば、「インスリンオンボード」計算の目的で、基礎に起因する容量およびボーラスに起因する容量を判定することを含むが、それらに限定されない多くの理由で有益である。この例示的実施形態のいくつかの実施形態に関して、基礎軌道および予定送達が進行中であり、ボーラスが要求されると、システムは、ボーラススケジュールを計算し、次いで、基礎スケジュールを再計算してもよい。例えば、場合によっては、単一については、パルス容量の一部分が「ボーラス」に起因し、一部分が「基礎」に起因してもよく、進行中の基礎とともに、所与のボーラス送達については、パルスは同等容量を送達してもよい。基礎速度とともに、送達される長期ボーラスに関して、同様の送達スケジュールが計算されてもよい。ここで
図54A−54Bを参照すると、基礎および長期ボーラス軌道ならびにその軌道に対する送達スケジュールの実施例が示されている。基礎および長期ボーラス送達スケジュールは、長期ボーラスに対する時間枠、および任意の基礎に対する重複率を考慮することによって判定されてもよい。通常ボーラスと違って、例示的実施形態では、システム制約を考慮して、長期ボーラスを「可能な限り迅速に」送達することが、システムの目標ではなくてもよいが、むしろ、所与の期間にわたって送達される。したがって、送達スケジュールは、最初に、長期ボーラスの送達に対する最適なスケジュールを計算し、次いで、基礎および長期ボーラスが、長期ボーラスに対する時間枠にわたって同等容量パルスで送達されてもよいように、長期ボーラスの時間枠の基礎送達を再計算することによって、判定されてもよい。
【0430】
ここで
図55A−55Bを参照すると、基礎、長期ボーラス、および通常ボーラス軌道、ならびにその軌道に対する送達スケジュールの実施例が示されている。基礎、通常ボーラス、および長期ボーラスの送達のスケジューリングに関する上記の考察を組み合わせて、3つ全てが重複期間中に送達されるものであるときに、
図55A−55Bは、例示的実施形態による、結果として生じるスケジュールの実施例である。しめされるように、基礎および長期ボーラスが第1の間隔で送達されてもよい一方で、通常ボーラスは第2の間隔で送達されてもよいが、第1および第2の間隔のそれぞれは、同等の送達容量を含む。
【0431】
図54A−54Bおよび
図55A−55Bを再び参照すると、複合容量が、重複時間枠にわたって同等容量の単一パルスで送達されるときでさえも、システムは、「基礎」として送達される容量と、「ボーラス」(長期ボーラスを含む)として送達される容量とを区別してもよいことが理解されてもよい。この区別は、「オンボード」のボーラスまたは基礎の量を計算するのに有益であってもよく、すなわち、インスリンオンボードが、送達の時間および容量を含む多くの因子に依存する計算であるため、「ボーラス」の特定の容量とは対照的な「基礎」の特定の容量が
図54Bおよび55Bで送達された時間は、インスリンオンボードのより正確な計算を可能にする。
【0432】
システムの種々の実施形態は、閉ループまたは半閉ループ制御方法に対する種々の制御ループアルゴリズムを含んでもよい。いくつかの実施形態では、システムは、規準軌道を含む。上記で論議されるように、システムは、軌道が変化してもよいことを1つ以上のセンサデータが決定するまで、この軌道を辿る。いくつかの実施形態では、軌道の変更は、ユーザ/介護者によって事前にプログラムされてもよい、境界によって管理されてもよい。上記で論議されるように、軌道の変更は、いくつかの実施形態では、ユーザへの通知時に行われてもよく、いくつかの実施形態では、通知時に行われ、その後にユーザによる確認が続く。いくつかの実施形態では、軌道変化が予期しない結果に応じてもよい場合、システムは、システムをシャットダウンする前にユーザに通知してもよい。
【0433】
したがって、種々の実施形態では、制御ループアルゴリズムは、生理学的モデル(規準モデルからの適応型であってもよい)、少なくとも1つのセンサ、例えば、CGMシステムからのデータ、すなわち、間質液血糖値を表すデータ、および医療用流体、例えば、送達されるインスリンの容量、ならびに、すなわち血糖値を表す指先穿刺を考慮する。
【0434】
種々の実施形態では、推定器がコントローラとともに稼働する。コントローラは、推定器の予想に基づいて、送達する医療用流体またはインスリンの量を判定する。したがって、推定器の誤差は、コントローラからの間違った送達要求を提供する。
【0435】
より重要なことには、コントローラから送達される間違った量(すなわち、コントローラが0.250単位の送達を要求し、実際には0.20または0.30、あるいは、要求された容量よりも高い、または低い別の容量を送達する)が、推定器の効果を改変する。
【0436】
種々の実施形態では、推定器は、「軌道」を確立するように生理機能と連動する。軌道は、いくつかの因子に基づいてもよく、かつ継続的に更新/変更されてもよい。軌道は、1)グルコース値を予想し、2)送達容量およびスケジュールを判定するために、CGMデータ(本明細書で論議されるような指先穿刺によってチェックまたは較正されてもよい)、およびいくつかの実施形態では、確立された正規化または「規準」基礎送達スケジュールを使用する。
【0437】
上記で論議されるように、軌道は、実際のCGMまたは指先穿刺データ(指先穿刺データは、CGMデータを確認するか、またはCGMデータを較正するために使用されてもよい)、および送達されたインスリンの実際の容量に基づいて、常に更新または変更されてもよい。したがって、制御ループまたは半制御ループシステムでは、CGM/指先穿刺からのデータおよび送達されたインスリンの実際の容量の両方が、システムにとって重要な構成要素である。これらの値の一方または両方が不正確である場合、システムは、所望されるほど効果的に機能しない場合がある。
【0438】
事前に確立された、または「規準」送達軌道を使用する、いくつかの実施形態では、軌道が基本的な「規準」送達スケジュール(送達の容量および時間)を含んでもよいため、事前に確立された軌道は「外側ループ」と呼ばれてもよい。軌道は、ポンプの最小および/または最大ストローク、最適な送達パターン、および/またはエネルギー効率、すなわち、バッテリ寿命を含むが、それらに限定されない、ハードウェアの1つ以上の制限を使用して確立されてもよい。
【0439】
実際の軌道は、検出された食事、または、運動(持続時間およびレベルまたは種類を含む)、疾病、脱水、睡眠、月経、および/またはストレスを示す1つ以上の入力(手動ユーザ入力またはセンサデータを介する)を含むが、それらに限定されない、インスリン感受性に影響を及ぼす場合がある因子または「事象」の存在を示す入力に応じて、修正されてもよい。加えて、ユーザによって消費されている食事または炭水化物も、軌道に影響を及ぼす、または軌道を改変する場合がある事象である。上記で論議されるように、較正およびプロファイル記録を通して、および/またはセンサデータを通して、システムは、これらの事象のうちの1つ以上を予想してもよい。
【0440】
推定器への入力として、送達された実際の容量を使用することにより、正確に満たされた軌道を達成してもよい。加えて、送達された実際の容量を使用することにより、より正確かつ精密な予測アルゴリズムをもたらしてもよい。例えば、コントローラがインスリン送達を要求し、送達された実際の容量が、要求された容量または送達される仮定容量とは異なる場合には、予測アルゴリズムが不正確な場合がある。したがって、軌道または外側ループ自体が、その持続時間にわたって可能な限り正確に近いことが望ましいが、軌道が正しい場合でさえも、ポンプが所望の容量または所望の時間に送達できない場合は、軌道が満たされない。これは、要求された軌道または外側ループと異なる実際の軌道の実施例である。
【0441】
したがって、ポンプによって送達された容量が不正確であるか、または要求と異なる場合に、軌道と対比した実際の送達は、非常に異なる場合がある。不正確な送達は、ポンプエラー、閉塞、および/または流体ライン中の気泡、またはその他という結果であってもよい。例示的実施形態では、システムは、ポンプによって送達されるインスリンの容量を正確かつ精密に測定するために、AVSセンサおよび本明細書で説明される方法を使用する。
【0442】
送達されるインスリンの容量を正確かつ精密に判定する能力は、制御ループシステムの多くの側面を達成する。非限定的な実施例として、送達されるインスリンの容量の精密かつ正確な判定は、インスリンオンボードまたは「IOB」の精密かつ正確な判定に投入する。IOBの精密な推定または判定は、1)送達を計上すること、および2)正確な送達に関する因子である。
【0443】
また、本明細書で説明される種々の実施形態では、送達される医療用流体/インスリンの容量の正確な測定はまた、センサ故障または1つ以上のセンサの完全性不具合のより正確かつ精密な認識を可能にしてもよい。例えば、1つ以上のCGMセンサに関して、例えば、インスリンの2単位送達が要求され、ポンプが2単位を送達したことを制御システムが仮定し、その後、上記で論議されるような予期しない結果を示すグルコースデータを受信した場合、システムは、いくつかの実施形態では、デフォルトシャットダウンを引き起こしてもよい。したがって、システムは、「予期しない」CGMデータに基づいてシャットダウンする。しかしながら、ポンプが、2単位よりもむしろ1単位を実際に送達したと仮定し、かつグルコースデータが1単位送達と一致することを仮定すると、CGMセンサは、実際の予期しない結果を生じておらず、むしろ、送達されているインスリンの、予期されるよりも低い容量に基づく、知覚された予期しない結果であった。したがって、送達されるインスリン(または他の医療用流体)の容量の精密かつ正確な判定は、医療用流体療法の送達のための、より正確かつ安全な制御ループシステムを提供してもよい。
【0444】
さらに、AVS測定センサを使用する、本明細書で説明される種々の実施形態に関して、閉塞、気泡、および空または部分的に空の貯留部の存在が、迅速かつ正確に判定されてもよい。再度、これは、送達されるインスリンの実際の容量のより正確な判定、また、空の貯留部、閉塞、または気泡の正確な検出も提供する。したがって、AVS測定センサは、医療用流体療法の送達のための、より安全かつ正確な制御ループシステムを提供する。さらに、閉塞、気泡、および空または部分的に空の貯留部の存在を判定することは、ユーザの治療法および安全にとって極めて有益であってもよい。
【0445】
送達されるインスリンの容量の精密な判定はまた、システムの較正も達成する。したがって、精密な測定を有して、システムは、より正確に較正してもよく、したがって、完全性不具合という予期しない結果をより早く判定してもよい。
【0446】
したがって、制御ループの種々の実施形態は、実際の容量および軌道容量を含む。システムが軌道容量に最も近い実際の容量を含む場合、血漿およびISGの推定値は、より真に近い。これは、より正確なインスリン感受性の判定および計算、ならびにより正確な予測アルゴリズムにつながってもよい。
【0447】
本発明の原則を本明細書で説明したが、この説明は、本発明の範囲に関して制限としてではなく一例のみとして行われていることが、当業者によって理解される。本明細書で示され、説明される例示的実施形態に加えて、他の実施形態が本発明の範囲内で検討される。当業者による修正および置換は、本発明の範囲内であると見なされる。