特許第6288930号(P6288930)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6288930照明ランプ、照明ランプを備えた照明装置、および照明ランプの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6288930
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】照明ランプ、照明ランプを備えた照明装置、および照明ランプの製造方法
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20180226BHJP
   F21V 29/508 20150101ALI20180226BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20180226BHJP
   F21Y 115/15 20160101ALN20180226BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20180226BHJP
【FI】
   F21S2/00 223
   F21V29/508
   F21S2/00 219
   F21Y115:10
   F21Y115:15
   F21Y115:30
【請求項の数】13
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-80181(P2013-80181)
(22)【出願日】2013年4月8日
(65)【公開番号】特開2014-203727(P2014-203727A)
(43)【公開日】2014年10月27日
【審査請求日】2016年3月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085198
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 久夫
(74)【代理人】
【識別番号】100098604
【弁理士】
【氏名又は名称】安島 清
(74)【代理人】
【識別番号】100087620
【弁理士】
【氏名又は名称】高梨 範夫
(74)【代理人】
【識別番号】100125494
【弁理士】
【氏名又は名称】山東 元希
(74)【代理人】
【識別番号】100141324
【弁理士】
【氏名又は名称】小河 卓
(74)【代理人】
【識別番号】100153936
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 健誠
(74)【代理人】
【識別番号】100160831
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 元
(74)【代理人】
【識別番号】100166350
【弁理士】
【氏名又は名称】小銭 幸恵
(72)【発明者】
【氏名】田辺 快全
【審査官】 當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−006204(JP,A)
【文献】 特開2012−146574(JP,A)
【文献】 特開2012−182088(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 29/508
F21K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源の出射側を覆い、前記光源から出射される光を透過させる透光性のグローブと、
少なくとも電解コンデンサが実装され、口金を経由して供給される商用電力を、前記光源を駆動する駆動電力に変換して前記光源に供給する点灯回路と、
内部に前記点灯回路を保持し、前記グローブおよび前記口金と嵌合して内部空間を形成する筐体部と、
前記電解コンデンサに取り付けられた状態で前記筐体部に収容されており、前記電解コンデンサの圧力弁を除く外面の少なくとも一部と前記筐体部の内面との間に保持され、前記筐体部の内部空間を、前記圧力弁が内包される第一内部空間と前記圧力弁が内包されない第二内部空間とに分ける封止部材と、
前記第二内部空間に充填される熱伝導性の充填部材とを備えた
ことを特徴とする照明ランプ。
【請求項2】
前記封止部材は、前記点灯回路が前記筐体部に保持された状態で前記圧力弁を除く前記外面の一部と前記筐体部の前記内面との間に保持される
ことを特徴とする請求項1記載の照明ランプ。
【請求項3】
前記封止部材は弾性を有し、前記圧力弁を除く前記外面の少なくとも一部と、前記筐体部の内面とに密着して、前記筐体部の内部空間を、前記第一内部空間と前記第二内部空間とに分ける
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の照明ランプ。
【請求項4】
前記第一内部空間には、熱伝導性の充填部材が充填されない
ことを特徴とする請求項1請求項3のいずれか一項に記載の照明ランプ。
【請求項5】
前記筐体部の内面には、前記封止部材の前記第一内部空間側への移動を規制する係止部が形成されている
ことを特徴とする請求項1〜請求項のいずれか一項に記載の照明ランプ。
【請求項6】
前記係止部は、前記筐体部の内部空間の内径を拡大するように凹んだ凹部を有し、
前記凹部の内部に、前記封止部材が嵌合している
ことを特徴とする請求項記載の照明ランプ。
【請求項7】
前記係止部は、前記筐体部の内面から径方向内側に向かって突出し、前記封止部材の前記第一内部空間側の端部に当接する凸部を有する
ことを特徴とする請求項記載の照明ランプ。
【請求項8】
前記係止部は、前記第一内部空間の内径が前記第二内部空間の内径よりも小さくなるように前記筐体部の内面に形成された段差状の受部を備え、
前記封止部材の前記第一内部空間側の端部は、前記受部に当接する
ことを特徴とする請求項記載の照明ランプ。
【請求項9】
前記圧力弁と、当該圧力弁と対向する前記筐体部の内面との間には、前記圧力弁の開放を妨げない間隙を有する
ことを特徴とする請求項1〜請求項のいずれか一項に記載の照明ランプ。
【請求項10】
前記電解コンデンサは、前記筐体部の内部空間の前記口金側に内包される
ことを特徴とする請求項1〜請求項のいずれか一項に記載の照明ランプ。
【請求項11】
請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載の照明ランプを備えた照明装置。
【請求項12】
光源と、
前記光源の出射側を覆い、前記光源から出射される光を透過させる透光性のグローブと、
少なくとも電解コンデンサが実装され、口金を経由して供給される商用電力を、前記光源を駆動する駆動電力に変換して前記光源に供給する点灯回路と、
内部に前記点灯回路を保持し、前記グローブおよび前記口金と嵌合して内部空間を形成する筐体部と、
前記筐体部の内部空間の前記点灯回路の周囲に充填される熱伝導性の充填部材とを備える照明ランプの製造方法であって、
前記電解コンデンサに封止部材を取り付ける工程と、
前記電解コンデンサの圧力弁を除く外面の少なくとも一部と前記筐体部の内面とで、前記封止部材を保持し、前記封止部材を境界として、前記筐体部の内部空間を前記電解コンデンサの圧力弁が内包される第一内部空間と第二内部空間とに分ける工程と、
前記第二内部空間に、前記充填部材を充填する工程とを有する
ことを特徴とする照明ランプの製造方法。
【請求項13】
前記圧力弁と、当該圧力弁と対向する前記筐体部の内面との間に、前記圧力弁の開放を妨げない間隙を設けて、前記点灯回路を前記筐体部の内部に配設する工程を有する
ことを特徴とする請求項12記載の照明ランプの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明ランプ、照明ランプを備えた照明装置、および照明ランプの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子回路の冷却と絶縁のいずれかまたは両方を目的とした充填部材の充填技術が提案されている。
例えば、「制御基板とは電気的に接続されるとともにケース体内に横置きにして配置される平滑用のコンデンサと、このコンデンサの端部に設けられる防爆弁に対する空間部であり、防爆弁作動機能を確保する手段と、上記ケース体内に樹脂材を充填し、少なくとも上記整流回路とインバータスイッチング回路および上記制御基板を上記ケース体に対して樹脂封止(ポッティング)する樹脂封止手段と」を具備したインバータ制御装置であって、「防爆弁作動機能を確保する手段」として、「コンデンサの周囲を囲んで樹脂材の侵入を阻止する仕切り体」を用いた技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、「防爆弁を有する入力側平滑電解コンデンサ及び出力側平滑電解コンデンサを備えた電気部品が搭載された回路用基板をケースに収納し、前記ケース内に溶融したモールド用樹脂を充填させて前記電気部品をモールド被覆形成したスイッチング直流電源」であって、「平滑電解コンデンサの筒状部の側面を一括するように設けられると共に、上端が前記平滑電解コンデンサの上面部より高くなるようにバリアが形成」されたものが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
また、「蛍光ランプを点灯させる点灯回路を構成する複数個の電子部品およびこれらの電子部品が電解コンデンサを中央部に配して実装された回路基板を有し、カバー体内に収容された点灯装置と;点灯装置の複数個の電子部品のうち発熱温度の高い電子部品を被覆するとともに点灯装置の回路基板よりも口金側のカバー体内面ならびに回路基板面に接触するようにカバー体内側に充填され、熱伝導率が0.1W/(m・k)以上である熱伝導性物質と」を具備した電球形蛍光ランプが開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−041499号公報(請求項1、請求項3、図4図5図10
【特許文献2】特開2007−274751号公報(請求項1、請求項2、図2
【特許文献3】特許第4421177号公報(請求項1、実施の形態3、図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1、2に記載の構成を用いると、電解コンデンサの圧力弁(防爆弁)の機能を妨げることなく充填部材を充填することが可能となり、電解コンデンサ以外の電気部品を冷却(放熱)することができる。しかしながら、電解コンデンサには充填部材が一切接触していないため、電解コンデンサの冷却(放熱)という観点で課題が残る。
特に特許文献2には、「バリア」が断熱材で形成される旨の記載があり、そうすると電解コンデンサの冷却(放熱)という課題が解決できない。
【0007】
また、特許文献1、2に記載の技術は、回路部品が実装された基板及び電解コンデンサがケース内に配設されており、このケースに係る製造コストが増大してしまう。
特に特許文献1に記載の「仕切り体」(の少なくとも一部)は、そのケースを用いることを前提としたものである。したがって、装置の仕様に基づいて選択される電解コンデンサの外形寸法に応じて複数種類のケースを作成する必要があり、製造コストをより増大させる。
【0008】
特許文献3には、電解コンデンサの圧力弁(安全弁)を塞がない程度にシリコーン樹脂を充填する旨の記載があるものの、その具体的な構成には言及されていない。つまり、特許文献3には、電解コンデンサの圧力弁(安全弁)の機能を妨げることなく、電解コンデンサを含む電子部品を冷却(放熱)する具体的な構成が開示されているとはいえない。
【0009】
本発明は、上記のような課題を背景としてなされたものであり、電解コンデンサの圧力弁(安全弁及び防爆弁と同義)の機能を妨げることなく、電解コンデンサを含む点灯回路を冷却または絶縁する充填部材を備えた照明ランプ、この照明ランプを備えた照明装置、およびこの照明ランプの製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る照明ランプは、光源と、前記光源の出射側を覆い、前記光源から出射される光を透過させる透光性のグローブと、少なくとも電解コンデンサが実装され、口金を経由して供給される商用電力を、前記光源を駆動する駆動電力に変換して前記光源に供給する点灯回路と、内部に前記点灯回路を保持し、前記グローブおよび前記口金と嵌合して内部空間を形成する筐体部と、前記電解コンデンサに取り付けられた状態で前記筐体部に収容されており、前記電解コンデンサの圧力弁を除く外面の少なくとも一部と前記筐体部の内面との間に保持され、前記筐体部の内部空間を、前記圧力弁が内包される第一内部空間と前記圧力弁が内包されない第二内部空間とに分ける封止部材と、前記第二内部空間に充填される熱伝導性の充填部材とを備えたものである。
【0011】
本発明に係る照明装置は、前記照明ランプを備えたものである。
【0012】
本発明に係る照明ランプの製造方法は、光源と、前記光源の出射側を覆い、前記光源から出射される光を透過させる透光性のグローブと、少なくとも電解コンデンサが実装され、口金を経由して供給される商用電力を、前記光源を駆動する駆動電力に変換して前記光源に供給する点灯回路と、内部に前記点灯回路を保持し、前記グローブおよび前記口金と嵌合して内部空間を形成する筐体部と、前記筐体部の内部空間の前記点灯回路の周囲に充填される熱伝導性の充填部材とを備える照明ランプの製造方法であって、前記電解コンデンサに封止部材を取り付ける工程と、前記電解コンデンサの圧力弁を除く外面の少なくとも一部と前記筐体部の内面とで、前記封止部材を保持し、前記封止部材を境界として、前記筐体部の内部空間を前記電解コンデンサの圧力弁が内包される第一内部空間と第二内部空間とに分ける工程と、前記第二内部空間に、前記充填部材を充填する工程とを有するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電解コンデンサの圧力弁の機能を妨げることなく、筐体部内の点灯回路の周囲に充填部材を充填することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施の形態1の照明ランプの主要部の構成を示す断面図である。
図2】実施の形態1に係る照明装置の主要部の拡大断面図である。
図3】(a)は実施の形態1に係る照明装置の主要部の断面図、(b)は(a)のA−A線における断面図である。
図4】実施の形態2に係る照明ランプの主要部の構成を示す断面図である。
図5】実施の形態3に係る照明ランプの主要部の構成を示す断面図である。
図6】実施の形態4に係る照明ランプの主要部の構成を示す断面図である。
図7】実施の形態1〜実施の形態4に係る照明ランプが適用された照明装置の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。なお、以下に示す図面の形態によって本発明が限定されるものではない。また、各図において、同一の構成には同一の符号を付している。
【0016】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1の照明ランプの主要部の構成を示す断面図である。
図1に示すように、照明ランプ100は、光源1、グローブ2、筐体部3、口金部4、および点灯回路5を有する電球形の照明ランプである。
【0017】
実施の形態1において、光源1は、発光手段である発光ダイオード(Light Emitting Diode。以下、LED)10と、LED10が実装されるLED基板11とを備えている。光源1の構成要素には、LED10とLED基板11のほか、点灯回路5と電気的に接続され駆動電力を点灯回路5から光源1に伝達するワイヤーハーネスやコネクタなどの配線部材(図示せず)、LED基板11を筐体部3に取り付ける螺子などの取り付け部材(図示せず)、および照明ランプ100の設計仕様に応じて必要となる電子部品などが含まれる。
【0018】
グローブ2は、例えばガラスや樹脂などの光源1から出射される光が透過する素材(透光性を有する素材)で構成され、光源1の光の出射側を覆うように配設されている。グローブ2を構成する樹脂としては、例えばポリカーボネートやアクリルなどが製品仕様に応じて選択される。グローブ2は、図1の例では、外形が曲面形状である。グローブ2は、透光性を有し光源1から出射される光を透過させるとともに、照明ランプ100の仕様に応じて、光を拡散、集光、反射させる機能を併せ持つ。これらの機能は、グローブ2の基材であるガラスまたは樹脂を成形する際に拡散層(あるいは面)、レンズ、反射層(あるいは面)などを形成して基材自身で直接的に実現してもよいし、基材の表面にそれらの機能を実現する別部材を組み合わせて構成してもよい。
【0019】
筐体部3は、内部に点灯回路5を収納する樹脂筐体30と、樹脂筐体30の外側に取り付けられる金属筐体31とを備える。樹脂筐体30は、プラスチックなどの合成樹脂素材を用いて成形される。樹脂筐体30は、内部に空間を有するとともに、点灯回路5が挿入される開口部が形成されている。樹脂筐体30の内部には、点灯回路5が有する回路部品50の回路基板502を保持する保持構造(図示せず)が形成されている。樹脂筐体30の内面と、点灯回路5が具備する回路部品50との間には、保持構造によって保持される回路基板502を除いて、所定の間隙が形成されている。つまり、回路部品50に機械的応力が加わらないように、点灯回路5は樹脂筐体30の内部空間に内包保持されている。
【0020】
口金部4は、一端が照明器具(例えばソケット。図示せず。)に嵌合する構造を有しており、照明器具経由で商用電力を照明ランプ100に入力する入力端である。また、口金部4の他端は、筐体部3に嵌合し、商用電源は口金部4を介して点灯回路5に供給される。
【0021】
図1の例では、金属筐体31の口金部4とは反対側の端面に光源1が取り付けられており、この光源1の光の出射面を覆うようにして金属筐体31にグローブ2が取り付けられる。樹脂筐体30および金属筐体31を有する筐体部3とグローブ2とが組み合わさると、これらは全体として電球形の外形をなす。また、筐体部3は、一端側においてグローブ2と嵌合するとともに、他端側において口金部4と嵌合し、筐体部3の内部には点灯回路5を収容する内部空間を形成される。
【0022】
点灯回路5は、商用電力である交流からLED10を駆動する直流に変換するAC−DCコンバータ回路を有する。点灯回路5は、口金部4から入力された商用電力を、光源1を駆動する駆動電力に変換して、駆動電力を光源1に供給する。好ましくは、点灯回路5は、LED10を安定駆動するために、負荷変動の検出機能、負荷変動に応じてAC−DCコンバータ回路から出力される駆動電流を制御する制御機能、商用電力の供給経路を介して流入および/または流出するノイズを除去または低減するフィルタ機能などをさらに有する。本実施の形態では、点灯回路5が有するこれらの機能を実現する部品のうち、電解コンデンサ501と、少なくともこの電解コンデンサ501が実装される回路基板502とを、回路部品50と総称する。なお、もちろん、この回路部品50に電解コンデンサ501の部品が実装されていてもよい。
【0023】
実施の形態1の照明ランプ100において、電解コンデンサ501は、入力される商用電力を平滑したり、光源1の発光手段であるLED10を駆動するために光源1に供給される駆動電力の脈流を低減したりする機能を有している。光源1に安定した直流電力を供給することにより、安定した発光を実現する効果を奏する。
【0024】
電解コンデンサ501の外形寸法は、照明ランプ100の設計仕様に応じて決定される電解コンデンサ501の容量値や電圧仕様などに依存する。
【0025】
また、実施の形態1の照明ランプ100において、電解コンデンサ501は、筐体部3の内部空間の口金部4側に内包されている。この配置は、照明ランプ100の小型化に伴う寸法上の制約と、主要な発熱源である光源1から離間することによる電解コンデンサ501の動作信頼性を向上させる目的と、を考慮した場合に好適な配置である。
【0026】
なお、光源1がLED以外の発光手段を有する構成の場合などは、電解コンデンサ501が別の用途や機能を有する場合もあるが、詳述は割愛する。
【0027】
図2は、実施の形態1に係る照明装置の主要部の拡大断面図である。
図2に示すように、電解コンデンサ501の端部には、圧力弁9が設けられている。圧力弁9は、例えば高温化などによって電解コンデンサ501の内部の圧力が所定値以上になると開放して、内部のガスを外部に排出する機能を有する。電解コンデンサ501は、この圧力弁9が樹脂筐体30の内面と対向するようにして、樹脂筐体30の内部に収容されている。ここで、樹脂筐体30の内面のうち、圧力弁9と対向する面を、筐体内面301と称する。圧力弁9とこれに対向する樹脂筐体30の筐体内面301との間隙Dは、電解コンデンサ501の圧力弁9の機能を妨げない所定の大きさに設定される。
【0028】
照明ランプ100の製造工程のうち、電解コンデンサ501が実装された点灯回路5を樹脂筐体30の内部に配設する工程においては、筐体内面301と電解コンデンサ501の圧力弁9との間に間隙Dを有するようにして、点灯回路5が設置される。間隙Dの大きさは、電解コンデンサ501の外形寸法や圧力弁9の寸法などの部品仕様と、電解コンデンサ501の回路基板502への載置位置や電解コンデンサ501のリードフォーミング寸法、樹脂筐体30に形成する回路基板502を保持する保持構造など(図示せず)の設計仕様と、を勘案して設定される。
【0029】
図3(a)は、実施の形態1に係る照明装置の主要部の断面図、図3(b)は、図3(a)のA−A線における断面図である。
図3(a)および図3(b)に示すように、実施の形態1では、樹脂筐体30の内部は筒状であり、樹脂筐体30の筒状の内周面と、電解コンデンサ501の外周面との間隙には、全周に渡って封止部材7が配設されている。ここで、樹脂筐体30の筒状の内面を筐体内面302と区別して称する。
【0030】
封止部材7は、弾性(体積弾性と形状弾性のいずれかまたは両方)を有する樹脂製のシールである。封止部材7は、電解コンデンサ501の外面のうち圧力弁9を除く外面の少なくとも一部と、樹脂筐体30の筐体内面302との間に保持されており、これらに密着している。図3(b)に示すように、筐体内面302と電解コンデンサ501の外周面との間は、封止部材7で埋められていて隙間がない。
【0031】
封止部材7の具体的構成、および照明ランプ100の製造工程のうち封止部材7を取り付ける工程としては、例えば次のようなものが挙げられる。
例えば、封止部材7はゴム製であり、点灯回路5が筐体部3の内部空間に内包保持される工程よりも前に、封止部材7が電解コンデンサ501に取り付ける工程が設けられる。その後、封止部材7が取り付けられた電解コンデンサ501を含む点灯回路5を、筐体部3の内部空間に収容する工程が設けられ、封止部材7は樹脂筐体30の筐体内面302に密着させられる。
あるいは、封止部材7は、例えばゲル状の硬化性樹脂であって、点灯回路5が筐体部3の内部空間に内包保持される工程の後に、電解コンデンサ501の外面と樹脂筐体30の筐体内面302との間隙部分に封止部材7を充填する工程が設けられる。
なお、封止部材7の具体的な材料は上記のものに限定されない。
【0032】
樹脂筐体30の内部空間は、封止部材7を境界として2つの空間に分離されている。樹脂筐体30の内部空間は、電解コンデンサ501の圧力弁9が内包される空間である第一内部空間12と、第一内部空間12の他方の空間(すなわち、電解コンデンサ501の圧力弁9を内包しない空間)である第二内部空間13とに分離構成される。言い替えると、封止部材7は、樹脂筐体30の内部空間を、電解コンデンサ501の圧力弁9を内包する第一内部空間12と、電解コンデンサ501の圧力弁9を内包しない第二内部空間13とに分離するようにして、設置されている。
【0033】
第二内部空間13内の少なくとも一部には、充填部材6が充填されている。充填部材6は、熱伝導性と絶縁性のいずれかまたは両方の性質を有する材料で構成されている。充填部材6は、図3(a)において封止部材7の紙面上側の第二内部空間13にのみ充填され、第二内部空間13内に配置された点灯回路5の一部の周囲を埋めている。点灯回路5に実装されたAC−DCコンバータ回路の発熱や、光源1から伝達される発熱は、充填部材6から樹脂筐体30や金属筐体31などを経由して、照明ランプ100の外部へ伝達される。すなわち、点灯回路5に実装された回路に接触する充填部材6を設けることで、光源1および点灯回路5の冷却が促進される。
【0034】
充填部材6は、点灯回路5が筐体部3内に収容される工程、および電解コンデンサ501の外面と樹脂筐体30の筐体内面302との間に封止部材7が取り付けられる工程の後に、第二内部空間13内に充填される。第一内部空間12は、封止部材7を境界として第二内部空間13とは分離されているため、充填部材6は封止部材7を越えて第一内部空間12内に侵入しない。すなわち、第二内部空間13内に充填部材6を充填する工程において第二内部空間13に充填部材6が充填されても、第一内部空間12に内包される電解コンデンサ501の圧力弁9には充填部材6が接触しない。このため、電解コンデンサ501の圧力弁9の機能を充填部材6が妨げることがない。
【0035】
なお、封止部材7として発泡ウレタンや発泡エポキシに代表される発泡樹脂を用いると、断熱効果を有する空間の境界として機能する。また、電解コンデンサ501の外面を放熱経路として機能させる必要がなく、電解コンデンサ501と主要な発熱源である光源1に隣接している第二内部空間13との断熱を優先させる場合には、発泡樹脂を用いた境界を第二内部空間13側に配設し、電解コンデンサ501の外面の多くの領域を第一内部空間12に内包させると好適である。
【0036】
(実施の形態1の効果)
実施の形態1によれば、照明ランプ100の光源1や電解コンデンサ501を含む点灯回路5の周囲にこれを冷却する充填部材6が充填されても、充填部材6は封止部材7にせき止められて電解コンデンサ501の圧力弁9を内包する第一内部空間12内には侵入しない。このため、電解コンデンサ501の圧力弁9には充填部材6が接触せず、電解コンデンサ501の圧力弁9の機能が妨げられることがない。そして、照明ランプ100の光源1や電解コンデンサ501を含む点灯回路5の周囲に充填部材6を充填しているので、充填部材6の冷却効果を確保できる。したがって、電解コンデンサ501の動作信頼性および寿命が改善できるほか、照明ランプ100の動作品質も確保できる。
【0037】
実施の形態2.
図4は、実施の形態2に係る照明ランプの主要部の構成を示す断面図である。実施の形態2では、前述の実施の形態1との相違点を中心に説明する。
図4に示すように、封止部材7aの外面と接触する樹脂筐体30aの筐体内面302には、凹部303が形成されている。この凹部303は、筐体内面302の径を拡大するように径方向外側に向かって筐体内面302を凹ませて形成されている。樹脂筐体30aの軸方向における凹部303の長さと、封止部材7aの長さとは、概ね一致しており、凹部303に封止部材7aが嵌合している。樹脂筐体30aの軸方向における封止部材7aの両端部は、同じく樹脂筐体30aの軸方向における凹部303の両端部に接触しており、封止部材7aは、凹部303によって軸方向に位置決めされている。
【0038】
前述の実施の形態1では、封止部材7の弾性を利用して封止部材7が樹脂筐体30の筐体内面302に密着する構成であり、封止部材7が取り付けられた樹脂筐体30の第一内部空間12に充填部材6が充填されても封止部材7が移動しないようになっていた。一方、実施の形態2では、実施の形態1と同様に封止部材7aの弾性を利用することに加えて、凹部303と封止部材7aとの嵌合構造によって封止部材7aが樹脂筐体30に取り付けられる。すなわち、凹部303は、封止部材7aの第一内部空間12側への移動を規制する係止部として機能している。
【0039】
(実施の形態2の効果)
実施の形態2によれば、照明ランプ100の光源1や電解コンデンサ501を含む点灯回路5の周囲にこれを冷却する充填部材6が充填されても、充填部材6は封止部材7aにせき止められて電解コンデンサ501の圧力弁9を内包する第一内部空間12内には侵入しない。このため、電解コンデンサ501の圧力弁9には充填部材6が接触せず、電解コンデンサ501の圧力弁9の機能が妨げられることがない。そして、照明ランプ100の光源1や電解コンデンサ501を含む点灯回路5の周囲に充填部材6を充填しているので、充填部材6の冷却効果を確保できる。したがって、電解コンデンサ501の動作信頼性および寿命が改善できるほか、照明ランプ100の動作品質も確保できる。
【0040】
また、筐体内面302に、封止部材7aの第一内部空間12側への移動を規制する係止部として凹部303を設け、この凹部303に封止部材7aを嵌合させた。このため、封止部材7aが樹脂筐体30に取り付けられた後に、第二内部空間13に充填部材6が充填されて充填部材6からの圧力が封止部材7aに加わっても、封止部材7aが第一内部空間12側に移動することを抑制することができる。したがって、充填部材6が充填されたときの圧力で封止部材7aが圧力弁9側に移動してしまうことによる製造不良を抑制できる。
【0041】
実施の形態3.
図5は、実施の形態3に係る照明ランプの主要部の構成を示す断面図である。実施の形態3では、前述の実施の形態2との相違点を中心に説明する。
図5に示すように、樹脂筐体30bの筐体内面302には、筐体内面302の径方向内側に向かって突出する凸部304が形成されている。凸部304は、第一内部空間12内に位置しており、凸部304の第二内部空間13側の端部に、封止部材7の第一内部空間12側の端部が当接する。封止部材7は、凸部304によって第一内部空間12方向への位置決めがなされている。すなわち、凸部304は、封止部材7の第一内部空間12側への移動を規制する係止部として機能している。
【0042】
(実施の形態3の効果)
実施の形態3によれば、照明ランプ100の光源1や電解コンデンサ501を含む点灯回路5の周囲にこれを冷却する充填部材6が充填されても、充填部材6は封止部材7にせき止められて電解コンデンサ501の圧力弁9を内包する第一内部空間12内には侵入しない。このため、電解コンデンサ501の圧力弁9には充填部材6が接触せず、電解コンデンサ501の圧力弁9の機能が妨げられることがない。そして、照明ランプ100の光源1や電解コンデンサ501を含む点灯回路5の周囲に充填部材6を充填しているので、充填部材6の冷却効果を確保できる。したがって、電解コンデンサ501の動作信頼性および寿命が改善できるほか、照明ランプ100の動作品質も確保できる。
【0043】
また、筐体内面302に、封止部材7の第一内部空間12側への移動を規制する係止部として、凸部304を設けた。このため、封止部材7が樹脂筐体30に取り付けられた状態で、第二内部空間13に充填部材6が充填されて充填部材6からの圧力が封止部材7に加わったときに、封止部材7が第一内部空間12側に移動することを抑制することができる。したがって、充填部材6が充填されたときの圧力で封止部材7が圧力弁9側に移動してしまうことによる製造不良を抑制できる。
【0044】
実施の形態4.
図6は、実施の形態4に係る照明ランプの主要部の構成を示す断面図である。実施の形態4では、前述の実施の形態2との相違点を中心に説明する。
図6に示すように、樹脂筐体30cの筐体内面302には、第二内部空間13側に対して第一内部空間12側の内径の方が小さくなるように段差が形成されている。段差部分を、受部305と称する。この受部305の第二内部空間13側の端部に、封止部材7の第一内部空間12側の端部が当接する。封止部材7は、受部305によって第一内部空間12方向への位置決めがなされている。すなわち、受部305は、封止部材7の第一内部空間12側への移動を規制する係止部として機能している。
【0045】
(実施の形態4の効果)
実施の形態4によれば、照明ランプ100の光源1や電解コンデンサ501を含む点灯回路5の周囲にこれを冷却する充填部材6が充填されても、充填部材6は封止部材7にせき止められて電解コンデンサ501の圧力弁9を内包する第一内部空間12内には侵入しない。このため、電解コンデンサ501の圧力弁9には充填部材6が接触せず、電解コンデンサ501の圧力弁9の機能が妨げられることがない。そして、照明ランプ100の光源1や電解コンデンサ501を含む点灯回路5の周囲に充填部材6を充填しているので、充填部材6の冷却効果を確保できる。したがって、電解コンデンサ501の動作信頼性および寿命が改善できるほか、照明ランプ100の動作品質も確保できる。
【0046】
また、筐体内面302に、封止部材7の第一内部空間12側への移動を規制する係止部として、段差状の受部305を設けた。このため、封止部材7が樹脂筐体30に取り付けられた状態で、第二内部空間13に充填部材6が充填されて充填部材6からの圧力が封止部材7に加わったときに、封止部材7が第一内部空間12側に移動することを抑制することができる。したがって、充填部材6が充填されたときの圧力で封止部材7が圧力弁9側に移動してしまうことによる製造不良を抑制できる。
【0047】
なお、図3図6で示した封止部材の筐体部への取付構造は一例である。封止部材が電解コンデンサの圧力弁を塞がず、電解コンデンサの耐熱性能に見合った電解コンデンサの冷却効果または発熱源からの断熱効果が得られ、圧力弁が収容された第一内部空間に充填部材が侵入しない構成であれば、封止部材の取付構造は任意のものを採用することができる。
【0048】
また、上記実施の形態1〜実施の形態4では、照明ランプの光源としてLEDを用いた例を示したが、光源はLEDに限定されない。例えば、照明ランプの光源として、レーザーダイオード、有機EL(Electro−Luminescence)、および蛍光ランプのいずれかを用いてもよいし、光を発するものであれば、これら以外のものを用いてもよい。
【0049】
また、上記実施の形態1〜実施の形態4で示した照明ランプは、この照明ランプの口金に嵌合するソケットおよび1つあるいは複数の照明ランプを収容する筐体と組み合わされて、照明装置を構成することができる。図7は、実施の形態1〜実施の形態4に係る照明ランプが適用された照明装置の構成を示す断面図である。図7に示すように、照明装置150は、照明ランプ100を内包する器具本体151と、照明ランプ100の口金部4(図1参照)が取り付けられるソケット152と、器具本体151内に設けられ照明ランプ100から出射される光を反射するリフレクタ153とを備える。図7に例示する照明装置150は、天井160に形成された開口部に挿入され、天井160側から室内を照明する照明装置である。このような天井取り付け型の照明装置のほか、例えば、壁に設置される照明装置や卓上に載置される照明装置に、実施の形態1〜実施の形態4で示した照明ランプを適用することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 光源、2 グローブ、3 筐体部、4 口金部、5 点灯回路、6 充填部材、7 封止部材、7a 封止部材、9 圧力弁、10 LED、11 LED基板、12 第一内部空間、13 第二内部空間、30 樹脂筐体、30a 樹脂筐体、30b 樹脂筐体、30c 樹脂筐体、31 金属筐体、50 回路部品、100 照明ランプ、150 照明装置、151 器具本体、152 ソケット、153 リフレクタ、160 天井、301 筐体内面、302 筐体内面、303 凹部、304 凸部、305 受部、501 電解コンデンサ、502 回路基板。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7