(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6288949
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】立ち木切断装置
(51)【国際特許分類】
A01G 23/08 20060101AFI20180226BHJP
【FI】
A01G23/08 501B
A01G23/08 501C
【請求項の数】1
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2013-108985(P2013-108985)
(22)【出願日】2013年5月23日
(65)【公開番号】特開2014-226095(P2014-226095A)
(43)【公開日】2014年12月8日
【審査請求日】2016年2月9日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】593041206
【氏名又は名称】松本 良三
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100065189
【弁理士】
【氏名又は名称】宍戸 嘉一
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】松本 良三
【審査官】
坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭56−134164(JP,U)
【文献】
実開昭62−130459(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 23/00 − 23/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業車両のブームの先端に取り付けられた、立ち木を掴むための掴み装置に固定的に取り付けて用いられる立ち木切断装置であって、上下の関係をなし、それぞれ反り刃を有する左右一対の切断ブレードと、切断ブレードを刃もとの近くで回転自在に取り付けるための、切断装置の長手方向中心線に対して外方向に間隔を隔てて配置された一対の枢軸と、前記切断ブレードを、前記枢軸を中心に回転させるための油圧シリンダと、を含み、切断プレードの反り刃は、上記枢軸の軸線から外方かつ後方に中心点を有する大きな半径の円弧からなり、前記切断ブレードの回転により、反り刃が、立ち木に対して引き切り作用を行なうことを特徴とする立ち木切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、杉や檜などの立ち木を根元の近くで切断するための立ち木切断装置に関する。
【0002】
本発明による立ち木切断装置は、作業車両のブームの先端に取り付けられた、立ち木を掴むための掴み装置に固定的に取り付けて用いられる。
【背景技術】
【0003】
現在使用されている立ち木切断装置は、
図5に示すように、装置本体aに、刃もとの近くで互いに接近して配置された枢軸b,bにより回転自在に取り付けられ、内側を半円形とした一対の取付板c,cと、取付板の各々に緊締具dにより固定され、内側を直線刃eとした半円形の切断ブレードf,fと、該切断ブレードを、それぞれの枢軸を中心に互いに反対方向に回転させるための油圧シリンダgとを含む。切断ブレードの刃は閉じたとき、同一平面上で互いに直線的に向かい合うようになっている。油圧シリンダの動力により切断ブレードを、枢軸を中心に立ち木hに向かって回転させることによって立ち木の切断が行われる。この構成では、切断ブレードの刃が直線であるため、立ち木に対する刃の食い込みが悪く、その分、切断ブレードの回転に必要な動力を提供する油圧シリンダは大型にならざるを得ない。また刃が同一平面上で対峙する関係から刃と刃の当たりを防止するためにブラケットの先端にストッパーが設けられるが、そこに異物がはさまったり、或いは冬場雪が塊まりとして堆積したりすることにより、刃と刃の間に隙間ができ、切り残しなどの支障が生じることがある、このような支障をもたらす刃と刃の隙間は、切れ味を確保ための刃の研磨によっても生じる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、一対の切断ブレードの回転により、刃に引き切り作用を生じさせ、それによって、立ち木に対する刃の切り込みを容易にし、そのことから切断能力を高めることができ、したがって、効率的な切断を可能にした、立ち木切断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の上記の目的は、作業車両のブームの先端に取り付けられた、立ち木を掴むための掴み装置に固定的に取り付けて用いられる立ち木切断装置であって、上下の関係をなし、それぞれ反り刃を有する左右一対の切断ブレードと、切断ブレードを刃もとの近くで回転自在に取り付けるための、切断装置の長手方向中心線に対して外方向に間隔を隔てて配置された一対の枢軸と、前記切断ブレードを前記枢軸を中心に回転させるための油圧シリンダと、を含み、前記切断ブレードの回転により、反り刃が、立ち木に対して引き切り作用を行うことを特徴とする、立ち木切断装置を提供することによって達成される。
【0006】
本発明の好ましい実施形態では、切断ブレードの反り刃は、上記枢軸の軸線から外方かつ後方に中心点を有する大きな半径の円弧からなるのが好ましい。
【0007】
[作用]
本発明による立ち木切断装置は上記のような構成を有しているから、枢軸の中心として切断ブレードが回転することにより、その刃は、立ち木に対してあたかも反りを持った日本刀のように引きを伴った切断作用を行う。切断中、切断ブレードの刃には、立ち木に対して引き切り作用が加わり、油圧シリンダによって提供される比較的小さな力で立ち木を効率よく切断することができる。立ち木の切断は、切断工程の後半において切断ブレードの行き違いが行われて完了する。これは、切断中に起こる切断ブレードのひずみを防止するのに有効である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明による立ち木切断装置が、作業車両のブームの先端に取り付けられた掴み装置に固定的に取り付けて用いられる様子を示す斜視図である。
【
図2】本発明による立ち木切断装置の一部切断平面図である。
【
図4】
図2のIV−IV線に沿う断面で示す立ち木切断装置の側面図である。
【
図5】現在製造販売されている立ち木切断装置の概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1を参照すると、本発明による立ち木切断装置1は、作業車両のブーム3の先端に取付られた掴み装置4に固定的に取り付けて使用される。掴み装置4は、松本システムエンジニアリング株式会社(所在地福岡)が「丸材グラップル」の名称で製造販売しているものであって、油圧シリンダから成るアクチエータ(図示せず)により、立ち木を掴むべく掴み作用を行う左右一対の掴み腕5,5を備えている。
【0010】
本発明による切断装置1は、
図2から明らかなように、前方端に、平面で見て、切断装置1の長手方向中心線上で交わる2つの円弧状の開口6を有する囲いボックス7と、前記長手方向中心線の両側に間隔を隔て位置した枢軸8,8を中心に回転されるようになった左右一対の切断ブレード9,9とを含む。切断ブレード9,9の各々は、囲いボックス7の円弧状開口6と同様の円弧状の反り刃10を有し、常態では、危険を防止するために、刃10が外部に露出しないように囲いボックス7内に納められる。反り刃の円弧は、枢軸8の軸線から外方かつ後方に中心点を有する大きな半径を有するのが好ましい。
【0011】
切断ブレード9、9は、上刃、下刃として上下に配置されかつ立ち木の切断途中から互いに行き違うような形態となっている。切断ブレード9、9の各々の形態は、
図2から明らかなように、刃10が円弧状をなしていることから、ほぼ扇形であり、また枢軸8に対する取付箇所は、切断ブレードの形態から見て、その内側に片寄っており、もっと厳密には言えば、カッター装置の長手方向中心線にかなり寄った刃もとである。
【0012】
図3から最も良く分かるように、各切断ブレード9は、回転筒11に固着された上下各一対の取付板12、12の一方にボルト・ナットのような緊締具13で固定されている。この構造は、切断ブレードの取り外しを可能にするから、切断ブレードの交換や刃を研ぐ必要が生じた場合などに都合がよい。枢軸8,8の各々は、回転筒11に差し込まれてボックス7の上下の側に固定される。取付板12、12は、立ち木の切断中、立ち木に干渉しないような形に形成された逃げ面12’、12’を有している。
【0013】
切断ブレード9、9を、それらの取付板12、12を介して枢軸8、8を中心に回転させる手段として油圧シリンダ14が設けられ、そのプランジャヘッド15は、両端が上下各一対の取付板12に固定されているピボットピン16に回動可能に連結されている。油圧シリンダ14の動力を取付板12を介して切断ブレード9に効率的に伝達するために、ピボットピン16は、その軸心が、枢軸8の軸心から外方にずれて配置される。油圧シリンダ14の後端部17は、ボックス7の上下の側に固定されているピボットピン18に回動可能に連結されている。かくして、油圧シリンダ14の作動でプランジャが伸長すると、切断ブレード9、9は、取付板12、12を介して、枢軸8、8を中心に互いに反対方向に回転する。
【0014】
立ち木を切断するには、作業車両2のブーム3及び掴み装置4を操作して、先ず、掴み装置の掴み腕5、5で立ち木を掴み、次いで、油圧シリンダ14の作動で、切断ブレード9、9をボックス7内の格納位置から立ち木に向かって枢軸8を中心に回転させる。切断ブレード9、9の回転により、その刃は、あたかも反りを持った日本刀のように引きを伴った切断作用を行う。その結果、切断ブレード9、9の反り刃には、立ち木に対して引き切り作用が加わるから、油圧シリンダによって提供される比較的小さな力で立ち木を効率よく切断することができる。立ち木の切断は、その途中で切断ブレードが互いに行き違いになって完了する。切断ブレードの行き違いは、切断ブレードに起こりがちなひずみを防止することができる。切断ブレードによる切断の完了後、油圧シリンダ14を逆に作動することにより、切断ブレード9、9は枢軸8、8を中心に切断時とは反対の方向に回転してボックス内に納められる。