(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術のように、補強梁を用いて建物ユニットの強度を補強する場合、補強梁を使用するためのコストが増えるとともに、補強梁を設置するための作業工程が増えるために、施工コストが増大してしまうという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、建物ユニットの強度を維持しつつ、施工コストを低減できる建物ユニットの連結構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、例えば
図1〜
図11に示すように、
複数本の天井梁12、複数本の床梁10及び複数本の柱11を有する略直方体状の建物ユニット1,2,3が、複数連結されて構築されるユニット式建物100のうち、
一方の建物ユニット(第3の建物ユニット3)の長辺側と他方の建物ユニット(第1建物ユニット1、第2の建物ユニット2)の短辺側とが対向して直交配置されるとともに互いに連結されてなる建物ユニットの連結構造において、
前記一方の建物ユニット3における前記他方の建物ユニット1,2側の長辺天井梁123は、剛性が高められた補強天井梁とされており、
前記他方の建物ユニット1,2は、前記一方の建物ユニット3側に配置される短辺天井梁121,122の両側の柱11のうち、少なくとも一方の柱11が省略された柱省略コーナー部(柱頭接合部材6)を有しており、
前記他方の建物ユニット1,2
における前記柱省略コーナー部6が、
下側接合部材20によって前記補強天井梁に接合されており、
前記一方の建物ユニット3及び他方の建物ユニット1,2の上には、シアープレートPを挟んで、前記一方の建物ユニット3における長辺天井梁123と上下に隣り合う一方の上側の梁10と、前記他方の建物ユニット1,2における天井梁12と上下に隣り合う他方の上側の梁10と、がそれぞれ設置されており、
前記一方の上側の梁10と前記他方の上側の梁10は
、前記下側接合部材20の上に前記シアープレートPを介して上下に隣り合う上側接合部材20を介して連結されており、
前記下側接合部材20における上下方向の寸法は、前記一方及び他方の建物ユニット3,1,2における天井梁123,12の梁成と略等しく設定されており、
前記上側接合部材20における上下方向の寸法は、前記一方及び他方の上側の梁10の梁成と略等しく設定されており、
前記下側接合部材20は、前記一方の建物ユニット3に固定される第1接合材20aと、前記他方の建物ユニット1,2に固定される第2接合材20bと、前記第1接合材20aと前記第2接合材20bとを締結する締結部材20cと、を備えており、
前記上側接合部材20は、前記一方の上側の梁10に固定される第1接合材20aと、前記他方の上側の梁10に固定される第2接合材20bと、前記第1接合材20aと前記第2接合材20bとを締結する締結部材20cと、を備えており、
前記第1接合材20a及び前記第2接合材20bのそれぞれは、自身が接合される建物ユニット側又は梁側に位置する接合側板部と、隣り合う建物ユニット間の隙間に略等しい寸法で前記接合側板部から突出する2つの突出側板部と、を有することによって断面視略コ字状に形成されており、
断面視略コ字状に形成された前記第1接合材20aと前記第2接合材20bは、各々の開放部分が向かい合わせになるようにして重ね合わせられ、重なり合った状態となる前記第1接合材20aと前記第2接合材20bの前記突出側板部同士が前記締結部材10cによって締結されており、
前記一方の建物ユニット3の前記長辺天井梁123と前記一方の上側の梁10とが、前記シアープレートPを挟んだ状態で連結されていることを特徴とする。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、一方の建物ユニット(第3の建物ユニット3)に、他方の建物ユニット(第1の建物ユニット1、第2の建物ユニット2)を連結する場合、剛性が高められた補強天井梁である長辺天井梁123によって、他方の建物ユニット1,2の接合部分を補強することができるので、従来の補強梁を用いることなく、他方の建物ユニット1,2の強度を維持することができる。また、従来の補強梁が不要となるので、従来の補強梁を用いる従来技術の連結構造に比べて、施工コストを低減することができる。
また、一方の建物ユニット3と他方の建物ユニット1,2は、
下側接合部材20を介して連結されているので、その
下側接合部材20を介して各建物ユニットに力の伝達、分散が行われることになって、補強された連結構造を好適に維持することができる。
【0010】
また、柱省略コーナー部6が補強天井梁123に接合されているので、他方の建物ユニット1,2において柱11が省略されている接合部分を一方の建物ユニット3によって良好に補強することができる。
例えば、取り外し可能に仮柱11aが装着されている他方の建物ユニット(第1の建物ユニット1、第2の建物ユニット2)を一方の建物ユニット(第3の建物ユニット3)に連結する場合、他方の建物ユニット1,2において仮柱11aが取り外されて柱が省略される柱省略コーナー部(柱頭接合部材6)を、補強天井梁である長辺天井梁123によって補強することができるので、その仮柱11aを取り外す際に従来の補強梁を用いることなく、他方の建物ユニット1,2の強度を維持することができる。特に、仮柱11aを取り外して柱を省略する箇所を補強する従来の補強梁が不要となるので、従来の補強梁を用いる従来技術の連結構造に比べて、施工コストを低減することができる。
【0018】
また、一方の建物ユニット3と他方の建物ユニット1,2を
下側接合部材20で容易に連結することができる。
例えば、第1接合材20aを長辺天井梁123の所定位置に予め固定しておき、また、第2接合材20bを仮柱11aの上方に位置する部位(例えば、柱頭接合部材6)の所定位置に予め固定しておくことによって、第1接合材20aと第2接合材20bを嵌合させるようにして、一方の建物ユニット3と他方の建物ユニット1,2の位置合わせを行うことが可能になる。その位置合わせ後に、第1接合材20aと第2接合材20bとを締結部材20cによって締結することで、一方の建物ユニット3と他方の建物ユニット1,2を容易に連結することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、建物ユニットの強度を維持しつつ、施工コストを低減できる建物ユニットの連結構造を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明に係る建物ユニットの連結構造の実施形態について詳細に説明する。
【0024】
図1は、本発明に係る建物ユニットの連結構造によって、略直方体状の建物ユニットが複数連結されて構築されたユニット式建物100を示す斜視図である。
図2は、そのユニット式建物100を示す上面図である。
ユニット式建物100は、例えば、
図1、
図2に示すように、互いの一面が面一となるように並設された第1の建物ユニット1と第2の建物ユニット2と、第1の建物ユニット1及び第2の建物ユニット2の一面側に直交配置された第3の建物ユニット3とを備えている。また、第1〜第3の建物ユニット1〜3の上に積層された上階建物ユニット4(
図5参照)を備えてもよい。
【0025】
これらの建物ユニットは、例えば、
図1に示すように、長方形の四隅に相当する位置に立設された四本の柱11…と、隣接する柱11の下部を繋ぐ四本の床梁10…と、隣接する柱11の上部を繋ぐ四本の天井梁12…とを骨組みしてなる箱型のフレームを有する。この箱型のフレームへ天井面材、床面材及び間仕切壁等の内装材、外壁等の外装材等が工場において組み付けられて、略直方体状の建物ユニットが形成される。なお、後述するが、四隅の柱11…のうち何れかを、取り外し可能な仮柱11aとする場合がある。
【0026】
四隅の柱11…と四本の天井梁12…及び床梁10…とは、例えば、
図1に示すように、それぞれ柱頭接合部材6及び柱脚接合部材5を介して接合されている。なお、柱頭接合部材6及び柱脚接合部材5は所謂ダイアフラムであり、仮柱11a部分を除いて、柱11の一部を成している部材である。
柱頭接合部材6は、
図3に示すように、例えば、柱11の上端に配置されるプレート6aと、このプレート6aと上下方向に間隔を隔てて配置されるプレート6bと、プレート6aとプレート6bの間に配されて各プレートに合着している断面L字形のコーナープレート6cと、プレート6aとプレート6bの間においてコーナープレート6cに合着される断面L字形の仕切り材6d等で構成されている。なお、柱頭接合部材6の上面には、上階建物ユニット4の柱脚接合部材5を載置する位置を決めるための位置決めピン(図示省略)や、柱脚接合部材5と柱頭接合部材6をボルトなどで緊結するための挿通孔(図示省略)等が設けられている。
柱脚接合部材5は柱頭接合部材6を上下反転させたものと同様の形状であるので、説明は省略する。なお、柱脚接合部材5の下面には、柱頭接合部材6上に載置する位置又は基礎101上のベースプレートに対して各建物ユニットを載置する位置を決めるための位置決め孔(図示省略)や、柱頭接合部材6と柱脚接合部材5又は基礎101と柱脚接合部材5をボルトなどで緊結するための挿通孔(図示省略)等が設けられている。
【0027】
そして、工場において製造された建物ユニットは建築現場へ運搬された後、建築現場において基礎101上に左右上下に隣接設置されることにより、ユニット式建物100が構築される。
本実施形態における第1〜第3の建物ユニット1〜3は、例えば、基礎101上のベースプレート(図示省略)の位置決めピン(図示省略)を柱脚接合部材5の位置決め孔(図示省略)に挿通し、アンカー(図示省略)を柱脚接合部材5の挿通孔(図示省略)に挿通することにより基礎101上に固定される。
また、ユニット式建物100は、第1〜第3の建物ユニット1〜3の上に上階建物ユニット4…を積層したり、その上部に屋根(図示省略)等を形成したりして構築される。
【0028】
次に、本発明に係る建物ユニットの連結構造を、上述したユニット式建物100に基づいて説明する。
【0029】
本発明に係る建物ユニットの連結構造は、一方の建物ユニットの長辺側と他方の建物ユニットの短辺側とが対向して直交配置された箇所の連結構造に関するものである。
建物ユニットが直交配置された箇所では、他方の建物ユニットの短辺側が、一方の建物ユニットの長辺側に位置するように配設されており、一方の建物ユニットの長辺天井梁に対し、他方の建物ユニットの短辺天井梁が平行な向きに配置されている。
ここで、
図1、
図2に示すように、ユニット式建物100における一方の建物ユニットは、第3の建物ユニット3であり、他方の建物ユニットは、第1の建物ユニット1と第2の建物ユニット2である。
第3の建物ユニット3は、他方の建物ユニット側に配される長辺天井梁123を有している。
第1の建物ユニット1は、一方の建物ユニット側に配される短辺天井梁121を有しており、第2の建物ユニット2は、一方の建物ユニット側に配される短辺天井梁122を有している。
【0030】
第3の建物ユニット3の長辺天井梁123は、例えば、
図3に示すように、断面視略コ字形状を呈しており、互いに対向している上面部123aと下面部123bと、その上面部123aと下面部123bの一端を繋ぐ側面部123cを有している。
この長辺天井梁123の側面部123cの水平方向の厚みを厚くする補強処理によって長辺天井梁123の剛性が高められて、長辺天井梁123は補強天井梁とされている。
なお、長辺天井梁123は、その梁の上端から下端までの高さ、つまり梁成を高くする補強処理によって剛性を高めるようにしてもよく、また、この長辺天井梁123に用いる鋼材自体の厚みを厚くすることで剛性を高めるようにしてもよい。
そして、補強天井梁とされた長辺天井梁123に、第1の建物ユニット1と第2の建物ユニット2が接合されている。
【0031】
第1の建物ユニット1の短辺天井梁121の両側の柱11のうち、第2の建物ユニット2側であって、第3の建物ユニット3の長辺天井梁123の中央側に配置される柱は、取り外し可能に装着された仮柱11a(
図1参照)とされており、図中その仮柱11aは取り外されている。同様に、第2の建物ユニット2の短辺天井梁122の両側の柱11のうち、第1の建物ユニット1側であって、第3の建物ユニット3の長辺天井梁123の中央側に配置される柱は、取り外し可能に装着された仮柱11a(
図1参照)とされており、図中その仮柱11aは取り外されている。
【0032】
そして、第1の建物ユニット1および第2の建物ユニット2における仮柱11aの上方に位置する部位であって天井梁の角部分である柱頭接合部材6を、それぞれ第3の建物ユニット3の長辺天井梁123に接合して、第3の建物ユニット3と第1の建物ユニット1、第3の建物ユニット3と第2の建物ユニット2を連結している。なお図中、第1の建物ユニット1および第2の建物ユニット2において仮柱11aは取り外されており、仮柱11aが取り外された状態の柱頭接合部材6が、第3の建物ユニット3の長辺天井梁123に接合されている。
具体的に、第3の建物ユニット3の長辺天井梁123と柱頭接合部材6とは、例えば、
図2、
図3に示すように、接合部材20を介して接合されており、第3の建物ユニット3と第1の建物ユニット1は接合部材20を介して連結され、第3の建物ユニット3と第2の建物ユニット2は接合部材20を介して連結されている。
【0033】
接合部材20は、例えば、
図4に示すように、第3の建物ユニット3の長辺天井梁123に固定される第1接合材20aと、第1の建物ユニット1の柱頭接合部材6および第2の建物ユニット2の柱頭接合部材6に固定される第2接合材20bと、第1接合材20aと第2接合材20bとを締結する締結部材20cと、を備えている。
第1接合材20aと第2接合材20bとは、例えば、断面視略コ字形状を呈したサイズが異なる支持具であり、第1接合材20aにおいて対向している内壁面間に第2接合材20bが内接した抱き合わせの状態で嵌合するようになっている。
第1接合材20aは、予め長辺天井梁123の所定位置にボルトBなどによって固定されており、また、第2接合材20bは、予め柱頭接合部材6の所定位置にボルトBなどによって固定されている。この第1接合材20aと第2接合材20bを嵌合させることによって、第3の建物ユニット3と第1の建物ユニット1との位置合わせと、第3の建物ユニット3と第2の建物ユニット2との位置合わせを行うことができる。
その位置合わせ後に、第1接合材20aと第2接合材20bとを締結部材20cによって締結することで、第3の建物ユニット3と第1の建物ユニット1を接合部材20で連結し、第3の建物ユニット3と第2の建物ユニット2を接合部材20で連結することができる。
【0034】
そして、第3の建物ユニット3に対し、接合部材20によって第1の建物ユニット1と第2の建物ユニット2を連結した後に、その連結箇所における仮柱11aを取り外して、ユニット式建物100を構築することができる。
つまり、ユニット式建物100における第1の建物ユニット1は、第3の建物ユニット3側に配置される短辺天井梁121の両側の柱のうち、少なくとも一方の柱が省略された柱省略コーナー部である柱頭接合部材6を有しており、その柱頭接合部材6が補強天井梁である長辺天井梁123に接合されている。同様に、ユニット式建物100における第2の建物ユニット2は、第3の建物ユニット3側に配置される短辺天井梁122の両側の柱のうち、少なくとも一方の柱が省略された柱省略コーナー部である柱頭接合部材6を有しており、その柱頭接合部材6が補強天井梁である長辺天井梁123に接合されている。
【0035】
このように、ユニット式建物100では、第1の建物ユニット1と第2の建物ユニット2において仮柱11aが取り外された柱省略コーナー部である柱頭接合部材6を、第3の建物ユニット3の長辺天井梁123に接合部材20を介して接合することで、第3の建物ユニット3と第1の建物ユニット1、及び第3の建物ユニット3と第2の建物ユニット2を連結している。
そして、第3の建物ユニット3の長辺天井梁123は補強処理されて剛性が高められているため、その長辺天井梁123に接合された第1の建物ユニット1と第2の建物ユニット2における柱省略コーナー部である柱頭接合部材6の保持が補強されるので、第1の建物ユニット1と第2の建物ユニット2が第3の建物ユニット3に連結された箇所の柱が省略されていても、第1の建物ユニット1と第2の建物ユニット2の強度を維持することができ、ユニット式建物100内に大きな居室空間を形成することができる。
【0036】
以上のように、本発明に係る建物ユニットの連結構造によれば、一方の建物ユニットである第3の建物ユニット3に、取り外し可能に仮柱11aが装着されている他方の建物ユニットである第1の建物ユニット1と第2の建物ユニット2を連結する場合、剛性が高められた補強天井梁である長辺天井梁123によって、第1の建物ユニット1と第2の建物ユニット2において仮柱11aが取り外される天井梁の角部分(柱頭接合部材6)を補強することができるので、その仮柱11aを取り外す際に従来の補強梁を用いることなく、第1の建物ユニット1と第2の建物ユニット2の強度を維持することができる。特に、仮柱11aを取り外した箇所を補強する従来の補強梁が不要となるので、従来の補強梁を用いる従来技術の連結構造に比べて、施工コストを低減できるメリットがある。
つまり、本発明に係る建物ユニットの連結構造は、建物ユニットの強度を維持しつつ、施工コストを低減できる優れた技術であるといえる。
【0037】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではない。
例えば、接合部材20を構成する第1接合材20Aと第2接合材20bのサイズが異なり、第1接合材20aに第2接合材20bが内接する状態で嵌合することに限らず、例えば、
図5に示すように、第1接合材20aと第2接合材20bは略同じサイズであって、第1接合材20aと第2接合材20bが左右に互い違いにずれて向き合った状態で嵌合するようになっていてもよい。
また、接合部材20は、例えば、
図6に示すように、断面視略ロ字形状を呈する部材であってもよい。断面視略ロ字形状を呈する接合部材20の場合、予め長辺天井梁123と柱頭接合部材6の何れか一方に取り付けられていて、第3の建物ユニット3と第1の建物ユニット1の位置合わせ及び第3の建物ユニット3と第2の建物ユニット2との位置合わせを行った後、他方にその接合部材20をボルトBなどによって締結する。なお、断面視略ロ字形状を呈する接合部材20の場合、好ましくは柱頭接合部材6に先付けされており、建物ユニットの位置合わせ後に、ボルトBなどによって長辺天井梁123に締結されるようになっている。
【0038】
また、第1〜第3の建物ユニット1〜3の上に上階建物ユニット4を設ける場合、例えば、
図7に示すように、一方の上階建物ユニット4の柱脚接合部材5と、他方の上階建物ユニット4の床梁10を接合部材20で連結するとともに、シアープレートPを介して、上階建物ユニット4の床梁10と第3の建物ユニット3の長辺天井梁123とをボルトBなどによって連結するようにすればよい。
【0039】
また、第3の建物ユニット3における長辺天井梁123の補強処理は、長辺天井梁123の側面部123cの厚みを厚くする補強処理に限らない。
例えば、
図8(a)に示すように、断面視略コ字形状を呈している長辺天井梁123において対向している上面部123aと下面部123bの間に、その上面部123aと下面部123bとに当接する板状の補強部材30を配設することで補強処理を施し、長辺天井梁123の剛性を高めるようにしてもよい。長辺天井梁123の上面部123aと下面部123bの間に補強部材30を配設する補強処理であれば、長辺天井梁123の補強処理を追加して行うことが容易になる。
また、
図8(b)に示すように、断面視略コ字形状を呈する補強部材30でもよく、補強部材30における上面部30aを長辺天井梁123の上面部123aに当接させ、補強部材30における下面部30bを長辺天井梁123の下面部123bに当接させるように補強部材30を配設することで補強処理を施し、長辺天井梁123の剛性を高めるようにしてもよい。断面視略コ字形状を呈する補強部材30の上面部30aと下面部30bが、長辺天井梁123の上面部123aと下面部123bに当接することによって、長辺天井梁123が変形し難くなるので、長辺天井梁123の剛性をより一層高めることができる。なお、断面視略コ字形状を呈する補強部材30と、断面視略コ字形状を呈する長辺天井梁123とは、抱き合わせの向きで配設されていることが好ましい。
【0040】
また、ユニット式建物100において、互いの一面が面一となるように並設された第1の建物ユニット1と第2の建物ユニット2が接する位置に配されることに限らず、例えば、
図9に示すように、第1の建物ユニット1と第2の建物ユニット2が離間した位置に配設されて、第3の建物ユニット3に連結されていてもよい。
こうすることで、第1の建物ユニット1と第2の建物ユニット2の間のスペース分、さらに居室空間を広げるようにしたり、ユニット式建物100の外装デザインのバリエーションを増やしたりすることが可能になる。
【0041】
また、第1〜第3の建物ユニット1〜3によってユニット式建物100を構築することに限らず、例えば、
図10に示すように、第1〜第3の建物ユニット1〜3と第4〜第6の建物ユニット40〜60によってユニット式建物200を構築するようにしてもよい。
このユニット式建物200においては、第3の建物ユニット3の補強天井梁である長辺天井梁123に対し、第1の建物ユニット1の短辺天井梁121と第2の建物ユニット2の短辺天井梁122を平行に配して、柱11が省略された柱省略コーナー部である柱頭接合部材6を接合部材20によって連結しているとともに、第5の建物ユニット50の補強天井梁である長辺天井梁125に対し、第3の建物ユニット3の短辺天井梁1230と第4の建物ユニット40の短辺天井梁124を平行に配して、柱11が省略された柱省略コーナー部である柱頭接合部材6を接合部材20によって連結している。
こうすることで、第1〜第3の建物ユニット1〜3と第4〜第5の建物ユニット40〜50とからなる更に大きな居室空間を形成することができる。
なお、従来技術の補強梁を用いてユニット式建物200の柱11の省略部分(柱頭接合部材6)を補強する場合、第5の建物ユニット5の長辺天井梁(125)に沿って従来の補強梁を配設すると、従来の補強梁の構造上、第3の建物ユニット3の長辺天井梁(123)に沿わして従来の補強梁を配設することができないため、この柱抜き構造のユニット式建物200を構築することはできなかった。具体的に、従来の補強梁は、建物ユニットの長辺側寸法よりも長い部材であり、隣り合う建物ユニットの柱頭部分に跨るように配設されるので、例えば
図10中、第5の建物ユニット5の長辺天井梁(125)に沿って従来の補強梁を配設する場合、その補強梁は、第4の建物ユニット4および第3の建物ユニット3の短辺天井梁124,1230と、第5の建物ユニット5の長辺天井梁125の間に配されて、補強梁の右端部はユニット式建物200の中央側で寄せ合わされている4つの柱頭接合部材6上に達する。この状態で
図10中、第3の建物ユニット3の長辺天井梁(123)に沿って従来の補強梁を配設しようとしても、既にユニット式建物200中央側の4つの柱頭接合部材6上にはスペースがないので、補強梁を配設することができないのである。
本発明に係る建物ユニットの連結構造であれば、従来の補強梁を用いることがないので、
図10に示した配置に6つの建物ユニットを配設して4本の柱を省略した構造のユニット式建物200を構築することができる。
このように、第1〜第3の建物ユニット1〜3の連結構造を基本単位構造とし、その基本単位構造に対して幾つかの建物ユニット(40,50,60)を連結するパターンは無数にあるので、ユニット式建物200の間取りのバリエーションを増やすことが可能になる。
【0042】
また、例えば、
図11に示すように、2つのユニット式建物100を並設したタイプのユニット式建物300を構築するようにしてもよい。
従来技術の補強梁を用いてユニット式建物300の柱11の省略部分(柱頭接合部材6)を補強する場合、一方の第3の建物ユニット3の長辺天井梁(123)に沿って従来の補強梁を配設すると、従来の補強梁の構造上、他方の第3の建物ユニット3の長辺天井梁(123)に沿わして従来の補強梁を配設することができないため、この柱抜き構造のユニット式建物300を構築することはできなかった。これはユニット式建物200に関して上述したように、例えば、
図11中、左側の第3の建物ユニット3の長辺天井梁(123)に沿って従来の補強梁を配設する場合、その補強梁の右端部はユニット式建物300の中央側で寄せ合わされている4つの柱頭接合部材6上に達するので、
図11中、右側の第3の建物ユニット3の長辺天井梁(123)に沿って従来の補強梁を配設しようとしても、既にユニット式建物300中央側の4つの柱頭接合部材6上には、補強梁を配設するスペースがないためである。
本発明に係る建物ユニットの連結構造であれば、従来の補強梁を用いることがないので、
図11に示した配置に6つの建物ユニットを配設して4本の柱を省略した構造のユニット式建物300を構築することができる。
そして、このユニット式建物300であれば、図中、右上側が北で、左下側が南である場合、南東向きに配された建物ユニットの長辺側の面と、南西向きに配された建物ユニットの長辺側の面に、比較的大きな窓開口部を設けることができるので、図中左側の第1〜第3の建物ユニット1〜3に採光性に優れた広いリビングLを設けることができる。また、図中右側の第1〜第3の建物ユニット1〜3にリビングLに繋がる比較的大きな和室などの居室Rを設けることができる。このとき、図中右側の第1の建物ユニット1または第2の建物ユニット2の長手方向に沿う直階段Sを設けることも可能になる。
なお、
図10に示したユニット式建物200の場合、第1の建物ユニット1または第2の建物ユニット2の長手方向に沿う直階段を設けることになるので、このユニット式建物300であれば、直階段の向きのバリエーションも増やすことができる。
このように、第1〜第3の建物ユニット1〜3の連結構造を基本単位構造として、その基本単位構造を連続配置するパターンは無数にあるので、ユニット式建物300の間取りのバリエーションを増やすことが可能になる。
【0043】
なお、以上の実施の形態においては、仮柱の上方に位置する部位である柱頭接合部材6を、接合部材20を介して補強処理された長辺天井梁123に接合したが、本発明はこれに限定されるものではなく、柱頭接合部材6を用いていない場合には、仮柱の上方に位置する部位である天井梁の角部分を、接合部材20などによって長辺天井梁123に接合するようにすればよい。
また、補強天井梁とする長辺天井梁123の全長に亘って補強処理を施すことに限らず、第1の建物ユニット1と第2の建物ユニット2が接続される長辺天井梁123の中央側の一部を補強処理するようにしてもよい。
【0044】
また、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。