【実施例】
【0016】
次に、上記特徴を有する好ましい実施例を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0017】
本発明に係る建具枠接続構造を適用した建具枠Aは、
図1に示すように、間隔を置いて左右両側に設けられる縦枠10,10と、これら両縦枠10,10の上端側間に接続される横枠20と、両縦枠10,10の下端側間に接続される下枠(沓摺)30とを矩形枠状に組み付け、止着具1,2,3の締め付けによって固定される。
そして、この建具枠Aは、建築物等の躯体開口部に設置され、該枠の内側には、図示しない開戸が開閉可能に設けられる。
【0018】
縦枠10は、上下方向へ連続する長尺状の縦枠本体11と、該縦枠本体11の上端開口部を塞ぐ蓋部材12と、該縦枠本体11を躯体開口部に固定するためのアンカー13と、縦枠本体11の下端側に固定された受板14とから一体状に構成される。
【0019】
縦枠本体11は、金属製の板材を内部が中空で上下方向へ連続する断面略凸字状に曲げ加工してなり、戸厚方向において、その略中央に枠内側へ突出する凸部11aを有するとともに、該凸部11aの両側には、該凸部11aの突端よりも凹んだ平坦部11b,11bを有する。
【0020】
凸部11aは、縦枠10の上下方向の全長にわたって連続する断面矩形状の突起である。該凸部11aの上端側には、横枠20を嵌め合せるための矩形貫通状の嵌合孔11a1と、止着具1を挿通するための丸孔状の止着孔11a2とを有する。
【0021】
平坦部11bは、凸部11aの戸厚方向の両側に設けられ、凸部11aよりも凹んだ面を、縦枠10の上下方向の全長にわたって延設している。各平坦部11bの上端側には、止着具2を挿通するための丸孔状の止着孔11b1を有する。
また、一方(
図1によれば手前側)の平坦部11bの下端側には、止着具3を挿通するための丸孔状の止着孔11b2が設けられる。
【0022】
蓋部材12は、縦枠本体11の上端開口に嵌め合せられて該開口を塞ぐ部材であればよく、図示例によれば、金属板材を下方開口の断面凹状に形成してなり、縦枠本体11上端側に溶接されている。
【0023】
アンカー13は、縦枠本体11の内面において、中空部を跨るようにして固定された金属製の平板状部材であり、縦枠本体11に対し上下方向へ間隔を置いて複数設けられ、それぞれが溶接固定される。
このアンカー13は、縦枠本体11の戸厚方向の強度を向上するとともに、当該建具枠Aの設置対象である躯体開口部側の部材に対し接続されて、建具枠Aを不動に固定する。
【0024】
受板14は、前記一方の平坦部11bの下端を覆うようにして、縦枠本体11下端の戸厚方向の片半部に溶接固定された平板状の金属製部材である。この受板14は、後から装着される下枠30の端部側を下方から受ける。
【0025】
また、横枠20は、略水平方向へ連続する長尺状の横枠本体21と、横枠本体21の両端部側に固定された複数の連結具22,23,23と、横枠本体21を躯体開口部に固定するための単数もしくは複数のアンカー24とから一体に構成される。
【0026】
横枠本体21は、金属製の板材を内部が中空で略水平方向へ連続する断面略凸字状に曲げ加工してなり、戸厚方向の略中央に下方へ突出する凸部21aを有するとともに、該凸部21aの両側には、該凸部21aの突端よりも凹んだ平坦部21b,21bを有する。
【0027】
凸部21aは、横幅方向(図示例によれば略水平方向)へわたって連続する断面矩形状の突起である。この凸部21aの横幅方向の各端部は、後述する平坦部21bの横幅方向の各端部よりも凹んでいる。すなわち、横枠本体21の両端部における戸厚方向の中央寄りには、
図2に示すように、前記凸部21aの横幅方向の端部を底部とした凹部21a1が設けられる。この凹部21a1は、縦枠本体11の凸部11aと嵌り合うように形成される。
【0028】
平坦部21bは、凸部21aの戸厚方向の両側に設けられ、凸部21aよりも凹んだ面を、横枠20の横幅方向の全長にわたって延設している。
また、一方(
図1によれば手前側)の平坦部21bは、下枠30に対向するとともに、両端部がそれぞれ縦枠本体11の一方の平坦部11bに当接して、図示しない開戸の上端に近接する。
【0029】
連結具22は、横枠本体21とは別体の部材であり、
図4に例示するように、金属材料を板金プレス加工することによって、上下方向へ連続する略凹状の本体部22aと、該本体部22aから突出する突片部22bとから一体に形成される。
本体部22aの上部側には、止着具1(図示例によればボルト)を螺合するための雌ネジ部22a1が形成される。
また、突片部22bは、略水平な矩形平板状に形成され、
図4に示す一例によれば、本体部22aの最下端部から突出するように設けられる。
【0030】
上記構成の連結具22は、横枠本体21における凸部21aの内側の両端側にそれぞれ配設され、溶接等の固定手段によって横枠本体21に対し一体に固定される。この際、連結具22における雌ネジ部22a1を有する面は、横枠本体21の端面(詳細には、
図2に示す凹部21a1底面)よりも若干凹むように配置される。
そして、この連結具22は、横枠本体21に固定された状態で、連結具22の突片部22bを、縦枠本体11側へ突出させている。この突出量xは、
図3に示すように、突片部22bの突端が、横枠本体21全長の長手方向の端部よりも凹むように設定される。この構成によれば、横枠20端部の凹部21a1が縦枠10の凸部11aに嵌り合った後で、横枠20側の突片部22bが、縦枠10側の嵌合孔11a1に嵌り合うため、その組み付け作業をスムーズに行うことができる。
【0031】
また、連結具23は、
図5に例示するように、横枠本体21とは別体の部材であり、金属材料を板金プレス加工することによって、略直交する四つの面を有する形状に形成される。これらのうちの一つの面には、止着具2を螺合するための雌ネジ部23aが設けられる。
そして、この連結具23は、
図1に示すように、雌ネジ部23aを縦枠本体11へ向けるようにして、横枠本体21の長手方向の端部側であって、戸厚方向の両端側に、それぞれ溶接固定され、雌ネジ部23aを有する面を、横枠本体21の端部から若干凹ませている。
【0032】
アンカー24は、中空状の横枠本体21の内側において、中空部を戸厚方向へ跨るようにして固定された金属製の平板状部材であり、横枠本体21に対し長手方向へ間隔を置いて複数設けられ、それぞれが溶接固定される。
このアンカー24は、横枠本体21の戸厚方向の強度を向上するとともに、当該建具枠Aの設置対象である躯体開口部側の部材に対し接続されて、建具枠Aを不動に固定する。
【0033】
下枠30は、下方を開口した断面凹状であって横方向へ連続する長尺状の部材である。
この下枠30は、図示例によれば、下方を開口した断面凹状の沓摺部31と、該沓摺部31の内側に重ね合わせられた断面凹状の補強部32、該補強部32の横方向の端部に固定された止着片部33とから一体に構成される。
沓摺部31は、耐候性及び耐久性に優れた金属材料(例えばステンレス等)から形成される。止着片部33には、止着具3をねじ込むための貫通孔が設けられる。
なお、上記実施例は、耐久性及び強度的に好ましい態様を示しているが、他例としては、下枠30を単一の材料から形成することも可能である。
【0034】
また、止着具1,2,3は、縦枠本体11に挿通されて横枠本体21又は下枠30に止着される部材であればよい。図示例によれば、止着具1は、頭部を有するボルト又はねじであり、止着具2は、止着具1よりも細いボルト又はねじである。また、止着具3は、タッピングねじである。
これら止着具1,2,3の他例としては、リベット等とすることも可能である。
【0035】
次に、上記構成の建具枠Aについて、その製造手順を説明する。
先ず、工場での製造段階では、縦枠10と、横枠20と、下枠30とは、それぞれ溶接等によって一体状に制作される。そして、これら縦枠10、横枠20、下枠30は、互いに接続されることなく分離した状態で保管される。
【0036】
次に、縦枠10、横枠20、下枠30は、前記のように互いに接続される前の状態のまま、当該建具枠Aの設置対象である建築物等の現場へ搬送される。
【0037】
現場では、横枠20の端部側と縦枠10とを戸厚方向の中央寄りで凹凸状に嵌合した後、横枠20の端部側と縦枠10とを、戸厚方向の中央寄り部分、及び該部分から戸厚方向の両側へ離れた部分で止着具1,2,2によって締め付ける。
【0038】
詳細に説明すれば、先ず、直立状の縦枠10に対し横枠20の端部側を接近させ、該横枠20の端部側を持ち上げるようにして、該横枠20の凹部21a1を縦枠10の凸部11aに嵌め合せ、次に、横枠20端部側の突片部22bを嵌合孔11a1へ嵌め合せる。
そして、縦枠10に対し枠外側から止着具1が挿通され、該止着具1の前端側が横枠20端部の連結具22にねじ込まれ締め付けられる。
この状態では、縦枠10と横枠20が、凸部11aと凹部21a1によって凹凸状に嵌り合い、嵌合孔11a1と突片部22bによっても嵌り合い、止着具1によって締め付けられる。よって、これらは上下左右にがたつかないように位置決めされ固定される。
しかも、横枠本体21の凹部21a1において凹み方向へわたる略平行な二つの縁と、縦枠本体11の凸部11a両側面との二箇所の接触、及び、横枠20側の突片部22bと縦枠10側の嵌合孔11a1との嵌合等、少なくとも計三箇所以上の当接により、横枠20のねじれ方向のがたつきが効果的に抑制される。
【0039】
次に、戸厚方向の両側の止着具2,2が、ぞれぞれ、縦枠10に挿通され、横枠20端部の連結具23にねじ込まれ締め付けられる。この際の作業は、先に、戸厚方向中央寄りの前記凹凸状の嵌り合いを完了しているため、縦枠10側の止着孔11b1と横枠20側の雌ネジ部23aとが精度よく一致し、スムーズに行われる。
【0040】
そして、左右の縦枠10,10の下端側においては、これらの間に下枠30が装着される。
詳細に説明すれば、先ず、左右の縦枠10,10の間において、縦枠本体11下端の受板14の上面に、下枠30の端部側が載置される。そして、縦枠本体11の下端側に止着具3が挿通され、該止着具3が下枠30端部の止着片部33にねじ込まれる。この際、下枠30の端部側は、前記したように受板14に載置される上、
図1に示すように、凸部11a側面にも当接するため、止着具3と共に回るようなことがなく、精度よく位置決めされて固定される。
【0041】
なお、横枠20を縦枠本体11に装着する工程と、下枠30を縦枠本体11に装着する工程とは、逆にすることも可能である。
【0042】
前記のようにして、組み立てられた矩形枠状の建具枠Aは、躯体壁面の開口部(図示せず)に装着されアンカー13,24を介して固定される。
そして、建具枠A内における下枠30上側には、図示しない開戸が開閉可能に装着される。
【0043】
よって、上記実施例の建具枠接続構造及び該構造の組立方法によれば、分解状態のまま現場に搬入して容易に組み立てることができる上、その組立の際の作業性が良好であり、組立後の精度も高い。
【0044】
なお、上記実施例によれば、建具枠A内に開戸(図示せず)が装着されるようにしたが、他例としては、建具枠A内に引戸や、折戸、バランスドア、窓、雨戸等を装着した態様等とすることも可能である。
【0045】
また、上記実施例によれば、横枠20側に凹部21a1を設け、縦枠10側に凹部21a1と嵌り合う凸部11aを設けたが、他例としては、横枠20側に凸部を設け、縦枠10側に前記凸部に嵌り合う凹部を設けるようにしてもよい。特に、この他例は、建具枠A内に引戸を装着する場合に好ましい。
【0046】
また、上記実施例によれば、横枠20側に突片部22bを設け、縦枠10側に突片部22bと嵌り合う嵌合孔11a1を設けたが、他例としては、横枠20側に嵌合孔を設けて縦枠10側に突片部を設けるようにしてもよい。
【0047】
また、上記実施例によれば、特に生産性の良好な一例として、横枠本体21と別体の連結具22,23を固定するようにしたが、他例としては、横枠本体21の端部側に曲げ加工によって一体的に連結具を形成することも可能である。