(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記行先表示画面は、前記医療者を識別し、前記レイアウト内の位置と方位又は動作を同時に表示するブロックによって行先が表示されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の医療者の行先表示システム。
前記行先検出表示手段は、前記停留時間が第1設定時間を越えた場合は当該医療者の行先表示に注意を促す第1表示を行い、前記停留時間が前記第1設定時間より大きい第2設定時間を越えた場合は当該医療者の行先表示に異常を促す第2表示を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の医療者の行先表示システム。
前記行先検出表示手段は、特定の医療者を指示する入力を受けた場合、前記表示端末又は前記携帯端末の前記行先表示画面上に、当該医療者の居場所を特定するマーク又は点滅表示することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の医療者の行先表示システム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
【0014】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る医療者の行先表示システムの構成を示すブロック図である。
【0015】
第1実施形態に係る医療者の行先表示システムでは、各種病院や医療センターに勤務する医師、看護師、その他のスタッフ(以下、医療者と称する)の行先表示対象者全員に、無線通信媒体を携行させることで実現する。各医療者の無線通信媒体は、病院や医療センター内の各病室、ナースステーション、通路、薬局、休憩所等に設けられた中継器(送信器)を経由して、病院情報システムの中枢であるホスト計算機に送信できるようになっている。
【0016】
この無線通信媒体を用いることにより、病院や医療センター内のどこに居ても、各自の無線通信媒体と各中継器との間の自動通信機能により、居場所をホスト計算機が管理する。そして、無線通信媒体を携行する医療者の行先を病棟のナースステーション内の表示端末に表示するものである。これにより、管理者はナースステーションの当該表示端末を見ると、病棟内の行先管理エリア内に従事する各医療者の作業場所や移動先がリアルタイムで、一目で分かるようになる。以下の説明では、特に移動作業が多い看護師を例に説明する。
【0017】
図1において、無線通信媒体10は、病院や医療センターなどに従事する行先表示対象の全ての看護師(医療者)が携行する発信器である。各無線通信媒体10a,10b,‥は、少なくとも当該媒体に予め設定された識別番号を発信する機能を有するものであればよい。
【0018】
ホスト計算機20は、病院情報システムの中枢となる計算機であり、通信部210、電子カルテデータベース(以下、DBと称する)220やその他のDB230等のデータ格納装置を有している。また、ホスト計算機20には、電子カルテDB220を操作するための電子カルテ作成・検索部240を有している。また、実施形態の医療者行先表示に係る機能部として、医療者テーブル250、病室レイアウトテーブル260と、行先検出表示部270、位置・動作検出部280、行先サーチ記録テーブル290等を有している。なお、医療者テーブル250、病室レイアウトテーブル260、および行先サーチ記録テーブル290は、DB230に格納しても良い。
【0019】
中継器30a,30b,30c,30d,‥は、ホスト計算機20の通信部210と無線通信媒体10a,10b,‥との間のデータ送信を無線通信によって行うものである。各中継器30a,30b,30c,30d,‥は、病院内の各病室、ナースステーション、通路、薬局、休憩所等に取り付けられている。ホスト計算機20の通信部210と中継器30a,30b,30c,30d、‥との間は、無線通信又は有線通信によって接続されている。なお、中継器30a,30b,30c,30d、‥は、送信機能又は送受信機能を有するもので構成する。
【0020】
また、ナースステーション400には、登録した看護師の行先を表示する表示端末410が設けられ、ホスト計算機20と有線又は無線で接続されている。この他、ホスト計算機20には、病院内の医療者によって操作される多数のPC、所定数のプリンタなどが接続されるが、煩雑のため
図1では省略している。なお、ホスト計算機20は、電子カルテDB220から電子カルテを読み出し、作業者の端末などに表示することが可能であるが、電子カルテの係る内容は本実施形態と直接関係しないので、その説明は省略する。
【0021】
図2は、無線通信媒体10が取り付けられる各種用具の一例を示す図である。
【0022】
図2(a)は、例えば、医療者の名札に無線通信媒体10gを埋め込んだ例を示すものである。また、
図2(b)は、携帯用ペンライトやボールペンなどに無線通信媒体10hを埋め込んだ例を示すものである。また、
図2(c)は、女性の髪留めピンやナースキャップの留めピンなどに無線通信媒体10kを埋め込んだ例を示すものである。各無線通信媒体10には、発信のON/OFFを設定するスイッチを設けてもよい。
【0023】
各無線通信媒体10a,10b,10g,10h,10k‥は、一定間隔毎(例えば、5〜20秒毎)に、内部に予め登録された識別番号(医療者毎に登録された識別番号)を近接する中継器30に向けて送信する。すると、各中継器(例えば、
図1の中継器30a,30b,30c,30d‥)は、受信した電波信号の情報、無線通信媒体の識別番号、並びに自装置の中継器番号などの情報を、通信部210を経由してホスト計算機20に送信する。
【0024】
図3は、管理者によって行先を管理する行先表示エリアと、そのエリア内の病棟内通路および病室内に設置される中継器30a,30b,30c,30d,‥の配置図の一例を示す。
図3中、黒の三角印が中継器30a,30b,30c,30d,‥の設置場所を示している。大きい部屋では、例えば601号室に示すように、部屋の4隅に中継器が設置されている。また、小さい部屋では、例えば603号室に示すように、部屋の3箇所に中継器が設置されている。また、ナースステーション400にも、その出入口と室内に中継器が設置されている。
【0025】
図4は、ホスト計算機20の医療者テーブル250に格納される医療者データの一例を示す図である。ここでも、看護師の登録例を示している。
【0026】
医療者テーブル250は、「媒体No.」「使用者」「チーム名」「役割」「Phone」「非表示設定」などの各項目が予め設定登録されている。医療者テーブル250への医療者データの登録・変更・削除は、例えば表示端末410から行うことができる。
【0027】
「媒体No.」は、各看護師が所有する無線通信媒体の識別番号を示す。「使用者」は、各看護師の名前を示す。「チーム名」は、各看護師が所属するチーム名を示す。「役割」は、各看護師の担当職を示す。「Phone」は、各看護師が携帯する電話機の電話番号を示す。「非表示設定」は、表示端末410への行先表示を表示/非表示に設定する。
【0028】
例えば、1行目には、看護師Aさんの情報として、端末No.「MB001」、チーム名「A」、役職「リーダ」、電話番号「7725」が設定登録されていることを示している。
【0029】
次に、第1実施形態の動作について説明する。
【0030】
ナースステーション400の表示端末410から、行先表示アプリケーションを起動すると、ホスト計算機20は、一定時間毎に通信部210から送信されてくる各医療者の無線通信媒体10a,10b,‥からの発信情報を受信する。ホスト計算機20は、受信した情報を基に、
図5に示すように各医療者(この例では看護師)の行先表示を開始する。
【0031】
ホスト計算機20の位置・動作検出部280は、各看護師の無線通信媒体10a,10b,‥からの発信に基づき、各中継器30a,30b,30c,30d,‥から送信される少なくとも各無線通信媒体に登録される識別番号、各中継器の中継器番号、および受信時の電波の強度を示す電波信号を受信すると、その電波信号から各看護師の位置を計算する。
【0032】
例えば、病室601号室で作業している看護師の無線通信媒体から発信された信号は、601号室の4隅に設置されている4つの中継器により受信され、それぞれの中継器から送信された上記した情報は、ホスト計算機20の位置・動作検出部280に送信される。位置・動作検出部280は、受信した4点の中継器からの電波信号から601号室内の看護師の作業位置を算出する。また、位置・動作検出部280は前記位置算出動作を、無線通信媒体からの発信に基づき一定時間毎に繰り返し実行することで、当該看護師の動作や方位を判断する。
【0033】
例えば、各受信信号の強さから4点の中継器と無線通信媒体との距離を求め、その4点の距離が集結するだいたいの場所を位置情報として求める。従って、この方法では少なくとも三角形の3点の中継器が必要となる。また、例えば、直前に算出した位置情報と5秒後の位置情報が略同一であれば、当該看護師は当該位置に停留して患者に対する看護作業を継続していることが分かる。また、直前に算出した位置情報と5秒後の位置情報とを結べば方向・方位が分かる。このようにして位置・動作検出部280は、直前に算出した位置情報をリアルタイムに比較することで、当該無線通信媒体を所有している看護師の停留/移動、移動方向を判断する。病棟内の各通路に設置される中継器からも同様な信号が位置・動作検出部280に送信されており、通路上の看護師の位置・動作も同様に算出される。
【0034】
例えば、病室604号室では、三角形の3点の中継器により受信され、それぞれの中継器から送信された上記した情報は、ホスト計算機20の位置・動作検出部280に送信され、同様に看護師の位置・動作も同様に算出される。そして、位置・動作検出部280は、算出した位置情報、動作情報、移動方向を示す情報、並びに受信した媒体識別番号、中継器番号を行先検出表示部270に渡す。
【0035】
ここでは、ホスト計算機20の位置・動作検出部280によって位置情報を算出するとしたが、各看護師が立ち寄る作業場所や各拠点における各中継器の電波受信状態を予めテーブル等に登録し、これと現在受信した各中継器からの信号とを比較することで位置情報を求めるようにしても良い。本実施形態では、正確な位置情報を必要としないため、できるだけ簡易な検出方法を採用することが望ましい。
【0036】
行先検出表示部270は、それらを基に行先表示情報を作成する。先ず、行先検出表示部270は、医療者テーブル250を参照して受信した各無線通信媒体10a,10b,‥の媒体識別番号から対応する看護師をそれぞれ特定する。また、受信した中継器30a,30b,30c,30d,‥の中継器番号から各看護師が位置する場所を特定する。更に、移動方向と動作を示す情報から、進行方向と動作を特定する。その結果、行先検出表示部270は、ナースステーション400の表示端末410に対し、例えば
図5に示す行先表示を行う。
【0037】
図5では、管理者によって行先を管理する行先表示エリア中に五角形の図形で示すブロック(マーク)が、各看護師の行先を表示している。各看護師の特定する情報は、媒体No.(
図5以降では、下3桁のみを示す)で表示している。そして、五角形の三角形で示す方向が移動方向(方位)を示している。
図5の例では、看護師Aさん(媒体No.001)が病室601で作業中(停留中)である。看護師Bさん(媒体No.002)が病室603で作業中(停留中)である。看護師Fさん(媒体No.006)が病室611で作業中(停留中)である。看護師Cさん(媒体No.003)が病室613で作業中(停留中)である。また、看護師Dさん(媒体No.004)、看護師Eさん(端末No.005)、看護師Gさん(媒体No.007)が病棟内通路を移動中である。このようにして、ホスト計算機20からナースステーション400の表示端末410の画面に、5秒〜20秒単位で行先表示を行う(更新表示する)ことで、管理者やグループリーダは看護師(医療者)の行動状態や作業場所が一目で知ることができる。
【0038】
例えば、
図5の五角形の各ブロック(マーク)を医療者テーブル250に登録した「チーム名」毎に色分けして表示しても良い。「チーム名」毎に色分けすることで、同じ病棟内のそれぞれのチームリーダ(管理者)は、チーム内のメンバーの居場所を一目へ掌握することができる。なお、行先検出表示部270は、医療者テーブル250で「非表示設定」した医療者(看護師)については、その行先表示を中止する。
【0039】
図6は、例えば、看護師Aさんの行先サーチ記録テーブル290を示したものである。行先検出表示部270は、行先サーチ記録テーブル290に登録した各看護師の看護作業中の停留時間を監視する目的で、随時行先サーチ結果を記録するものである。なお、ここでは行先サーチ記録テーブル290への記録は、1分単位毎としたが、記録単位は任意に設定することができる。
【0040】
行先検出表示部270は、例えば
図6に示すように、看護師Aが病室601号室の患者Pさんのベッド付近で、Pさんに対する看護作業中であることを同室の中継器の中継器番号からの情報で特定すると、当該看護師Aの停留時間(同じ患者Pさんに対する作業時間、つまり同じベッドでの作業時間)の計数を開始する。この場合、一箇所ではなく、同じベッド周辺での作業を想定して位置を特定する。そして、その計数した時間を行先サーチ記録テーブル290の「停留時間」に記録する。その結果、「停留時間」が、例えば10分以内であれば、表示端末410には通常の表示形態で表示される。
【0041】
一方、行先検出表示部270は、行先サーチ記録テーブル290を参照して、同じ患者Pさんに対する「停留時間」が、例えば10分を超えると表示端末410の看護師Aさんの行先表示を注意表示(例えば、注意を促す黄色表示)に切り換える。更に「停留時間」が、20分を越えると表示端末410の看護師Aさんの行先表示を異常表示(例えば、異常を促す赤色表示)に切り換える。その結果、同じ患者に対する「停留時間」が10分を超えると、例えば
図5の看護師Aさん(媒体No.001)のブロックように注意表示(黄色表示‥
図5では縦横の網掛け表示)500が行われる。更に、同じ患者に対する「停留時間」が20分を超えると、例えば
図5の看護師Hさん(媒体No.008)のように異常表示(赤色表示‥
図5では縦横の細かい網掛け表示)510が行われる。
【0042】
管理者は、表示端末410の表示内容から行先表示だけでなく、「停留時間」の状態御が一目で分かるようになる。例えば、「停留時間」が20分以上になると言うことは、看護作業がスムーズに行われていないことが予想できる。そこで、管理者は、そのような異常表示があったならば、直ちに近くの看護師又はナースステーション内の看護師に支援連絡を行い、状況確認又は作業支援を指示する。これにより、患者に対する看護作業が一層充実したものとなり、全ての患者は安心して治療を受けることができる。
【0043】
更に、行先サーチ記録テーブル290に示した患者Pさんへの作業開始時間と終了時間などを集約した履歴データを生成してDB230を蓄積記録することによって、患者Pさんに対する看護時間を詳細に把握することができる。このような処理動作を全ての入院患者に実施することで、管理者は看護負荷状態を詳細に把握することができようになる。その結果、タイムリーに看護師を適正配置することができる。また、必要に応じて、患者への費用請求資料として利用することができる。更にまた、看護師の能力評価にも利用することができる。
【0044】
次に、
図7は特定の看護師の所在を直ちに検出できる仕組みを説明するものである。
図7に示すように、看護師Dさん(媒体No.004)と大至急連絡を取りたい事象が発生した場合に、表示端末410の画面から看護師Dさん(媒体No.004)を特定する領域をタッチ指示(又はクリック)すると、行先検出表示部270によってその居場所(病室602号室)に星型のマーク表示530とする。なお、マーク表示530に代えて、点滅表示のように目立つ表示でも良い。これにより、看護師Dさんを直ちに見つけ出すことができる。そして、近くの通路を移動中の看護師Gさん(媒体No.007)電話連絡を取り、病室602号室に居る看護師Dさんをナースステーション400に呼び戻すことの連絡と共に、看護師Dさんに代わっての作業依頼を行うことができる。このように、看護作業中の看護師Dさんに対し、患者に不安を与えることなく、引継ぎと連絡を通知することができる。
【0045】
次に、
図8は、表示端末410に表示される行先表示エリアに指定の看護師の詳細を把握するための仕組みを説明する図である。表示端末410の画面上に多くの情報を表示すると、かえって見難い。そのため、
図5に示すようなブロック表示を採用している。ここで例えば、
図8に示すように、病室612号室の患者から呼び出しを受けた場合に、管理者は、表示端末410の画面から、病室612号室の近くを移動中の識別番号「005」を発見することができる。そして、管理者は、識別番号「005」に電話連絡したい場合、表示端末410の識別番号「005」の五角形ブロックをタッチ(又はクリック)すると、行先検出表示部270によって医療者テーブル250に登録されている看護師Eさんとその電話場号「3300」などの詳細情報が表示端末410に表示される。これにより、管理者は、直ちに看護師Eさんとの連絡を取り、病室612号室の患者に応対を依頼することができる。管理者は、識別番号「005」が誰かを理解して、携帯電話機などからその看護師Eさんの連絡先を探すより、効率よく作業することができる。
【0046】
このように、実施形態によれば、予め定められた病棟内のレイアウトの中継器で受信した受信信号から算出した所在位置に、予め登録された医療者テーブルを参照して得られる識別番号に対応する医療者を示すように、少なくとも方位を示す行先表示情報を作成して表示端末に表示する行先検出表示手段を得ることができる。そして、病棟の管理者(あるいはスタッフ)は、行先表示エリア内における業務状況が把握でき、的確に目的の看護師職員にアクセスできる。また、近くのスタッフの存在が分かれば、業務支援のHELPを依頼する事ができ、医療事故の撲滅に繋がる。また、同一場所に留まっている時間(10分、20分、30分)に応じて色変えすることによって、何かのトラブルに巻き込まれている可能性を予測することができる。
【0047】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。
【0048】
図9は、第2実施形態に係る医療者の行先表示システムの構成を示すブロック図である。第2実施形態では、
図1の無線通信媒体10a,10b,‥に代えて、携帯端末10aa,10bb,‥を用いている。携帯端末10aa,10bb,‥は、病院内で従事する行先表示対象者が1台ずつ携行する端末である。各携帯端末10aa,10bb,‥は、スマートフォンや携帯電話機などを用いて構成することができる。即ち、携帯端末10aa,10bb,‥は、スマートフォンのように携帯性が良く、指先で画面を操作することで、簡単に情報閲覧が可能な端末が望ましい。各携帯端末10aa,10bb,‥は、第1実施形態と同様に固有の識別番号で管理されている。この場合、医療者テーブル250の媒体No.に代えて機器No.が登録される。
【0049】
また、
図1の中継器30a,30b,30c,30d,‥に代えて、送受信器(双方向の中継器)30aa,30bb,30cc,30dd,‥を用いている。これにより、携帯端末10aa,10bb,‥と送受信器30aa,30bb,30cc,30dd,‥との間で、つまりホスト計算機20との間で双方向無線通信を行うことができる。
【0050】
図10は、各携帯端末10aa,10bb,‥の内部構成を示す図である。各携帯端末10aa,10bb,‥は、制御部110、無線通信部103、方位センサ105、動作センサ107、GPS測位部150、入力部155、出力部157、電源(図示せず)などを有している。方位センサ105は、携帯端末を所有する看護師(医療者)の移動方向を示す情報を作成する。動作センサ107は、携帯端末を所有する看護師(医療者)の歩行(移動)又は停留などの動作を示す情報を作成する。GPS測位部150は、周知のGPS機能により特定された位置情報を制御部101に出力する。入力部155は、表示面上に形成されたタブレット機能によりデータや指令をタッチ入力する。表示部157は、例えばカラーLEDなどの表示画面を有している。これらは、制御部101で制御されている。
【0051】
制御部101は、一定時間毎(例えば、5秒〜20秒毎)に、内部に保持する携帯端末の識別番号、GPS測定部150からの位置情報、方位センサからの移動方向を示す情報、並びに動作センサ107からの歩行(移動)又は停留などの動作を示す情報を、無線通信部103に出力する。無線通信部103は、制御部101からの前記情報を近接する中継器に向けて送信する。中継器は、受信した情報に自装置の発信器番号を付与した情報を、通信部210を経由してホスト計算機20に送信する。なお、第2実施形態では、各携帯端末10aa,10bb,‥から位置情報が出力されるので、ホスト計算機20側で位置の計算を必要としない。そのため、各送受信器30aa,30bb,30cc,‥は、各病室に少なくとも1個設置すれば良い。
【0052】
次に、第2実施形態の動作を説明する。
【0053】
第2実施形態では、各看護師が携帯する各携帯端末10aa,10bb,‥の無線通信部103は、位置情報、方位情報および動作情報に端末識別番号を付与した無線送信情報を所定間隔毎に近接する送受信器30aa,30bb,30cc,30dd,‥に自動送信する。病棟の各病室および通路などに必要数設置される送受信器30aa,30bb,30cc,30dd,‥は、前記無線送信情報を通信部210を経由してホスト計算機20に送信する。
【0054】
ホスト計算機20の行先検出表示部270は、受信した端末識別番号から医療者テーブル250を参照して看護師を認識する情報を取得すると共に、受信した位置情報から病室レイアウト260を参照して行先表示情報を作成する。そして、行先検出表示部270は、第1実施形態と同様にナースステーション400の表示端末410に
図5に示す形態で行先表示を行う。また、
図6乃至
図8で説明した機能も同様に実現することができるが、その説明は省略する。
【0055】
そして、第2実施形態では、ホスト計算機20の行先検出表示部270によって作成された、各医療者の位置と方向又は動作を示す行先表示情報を無線通信部103を経由して受信し、出力部157の画面に行先表示する。
【0056】
図11は、各携帯端末10aa,10bb,‥の表示部157に表示される行先表示の一例を示す図である。各携帯端末10aa,10bb,‥を所有する看護師(医療者)は、自端末から行先表示のアプリケーションを起動すると、ホスト計算機20の行先検出表示部270から送受信器30aa,30bb,30cc,30dd,‥を経由して送信される行先表示情報に基づいて、
図11に示すような行先表示を自端末の表示部157に表示することができる。
【0057】
したがって、各携帯端末10aa,10bb,‥には、表示端末410と同様に、以下の表示機能を有している。
【0058】
・行先表示ブロック(マーク)は、所在と移動方向を示す。
【0059】
・行先表示ブロック(マーク)の色は、チームと役割の組合せで決定できる。
【0060】
・行先表示ブロック(マーク)の色は、携帯端末の一覧と一致させる事が可能。
【0061】
・行先表示ブロック(マーク)にマウスを当てると、該当者の詳細が表示される。
【0062】
・行先表示ブロック(マーク)を表示しないエリア(ナースステーションなど)も指定可能。
【0063】
・行先表示ブロック(マーク)は、表示/非表示の切り替えが可能、非表示のまま一定時間が経過すると自動で表示される。
【0064】
・患者(ベッド)単位に、看護師の停留時間を履歴として蓄積することで、看護師の業務量調査に利用することができる。
【0065】
ここで、例えば、看護師Fさん(端末No.006)が、病室611の担当する患者に対し人手のいる作業を行っている場合、自端末の行先表示画面から看護師Gさん(端末No.007)が接近していることを確認することができ、看護師Gさんに作業協力をお願いすることができる。このように、医療者が携行する携帯端末に、表示端末410と同様の行先表示機能を搭載することにより、医療者のような特殊な作業を行う業種の人たちの作業効率が良くなるばかりか、患者に対するケアを的確に実施することができる。
【0066】
図12は、携帯端末から医療者テーブル250の登録内容を変更する場合の表示例を示す。携帯端末の所有する医療者は、自端末の行先表示変更のアプリケーションを起動すると、ホスト計算機20の行先検出表示部270から、
図12の上側に示すような使用者情報が表示される。その下側には、変更したい使用者情報の入力エリアがあり、そこに変更内容を入力部155から入力し、登録すると医療者テーブル250の内容を更新することができる。これにより、医療者テーブル250に対し医療者の登録・変更・削除などの処理を簡単に実施することができる。
【0067】
この他に携帯端末に病床マップ表示機能と、行先表示機能の両方を持たせると、更に利便性のより端末が提供できる。この場合、病床マップ表示機能は、各病室内に入院されている患者情報をホスト計算機20から取得して表示するものである。これにより、看護師はナースステーションに立ち戻ることなく、各病室の患者情報を確認できる。一方、行先表示機能は、上述したように、各携帯端末と各送受信器との交信をホスト計算機20が管理し、携帯端末を携行する医療者の行先を自端末に表示するものである。これにより、看護師の作業性が一段と向上する。
【0068】
従って、第2実施形態によれば、予め定められた病棟内のレイアウトの位置情報に応じた所在位置に、予め登録された医療者テーブルを参照して得られる識別番号に対応する医療者を示すように、少なくとも方位情報を含む行先表示情報を作成して携帯端末および表示端末に表示する行先検出表示手段を得ることができる。そして、第1実施形態の効果のみならず、携帯端末に表示端末410と同様な行先表示や病床マップの表示を行うことができるので、看護師はナースステーションに立ち戻っての確認作業が削減できるので、作業性が向上する。
【0069】
なお、第2実施形態では、位置情報をGPS測位部150からの出力又は、GPS測位部150からの出力と送受信器30aa,30bb,30cc,30dd,‥の位置情報とを併せて使用して得るようにしても良い。
【0070】
(第3実施形態)
第1実施形態と第2実施形態の中間的な構成とする第3実施形態について説明する。
【0071】
第3実施形態では、各医療者に携行され、少なくとも方位情報を送信する識別番号で管理されている無線通信媒体と、少なくとも通路や各病室内のベッド毎に設置された中継器によって、無線通信媒体からの情報を所定間隔毎に受信して、所在位置となる中継器番号を付加した情報をホスト計算機に送信する中継手段と、行先表示画面をリアルタイム表示する表示端末とを有する。そして、ホスト計算機には、予め定められた病棟内のレイアウトの中継器番号に応じた所在位置に、予め登録された医療者テーブルを参照して得られる識別番号に対応する医療者を示すように、少なくとも方位を示す行先表示情報を作成して表示端末に表示する行先検出表示手段が設けられる構成とする。
【0072】
この第3実施形態では、各無線通信媒体には、少なくとも方位情報を送信する機能を持たせている。また、行先表示エリア内の医療者の位置情報は、各病室内のベッド毎に設置される中継器の位置によって特定する。また、行先表示エリア内の病室以外の場所では、通路などの所定位置に設置された中継器に近づいた時を捕らえて行先表示する。医療者の移動/停止の動作は、所定間隔毎に送信される無線通信媒体からの情報をリアルタイムに比較することでホスト計算機により算出する。このようにすれば、行先検出表示部は、ナースステーションの表示端末に対し、
図5に示す行先表示を行うことができる。
【0073】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。