(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記中通り基礎の側面に沿うように設けられている前記断熱材は、前記外周基礎の内側面に沿うように設けられている前記断熱材に対向する一方の小口部と、該一方の小口部とは反対側の他方の小口部と、を有し、
前記中通り基礎の側面に沿うように設けられている前記断熱材における前記他方の小口部と、前記中通り基礎の前記側面と、にわたって気密テープが貼着されていることを特徴とする請求項5に記載の断熱基礎構造。
前記外周基礎の内側面に沿うように設けられている前記断熱材は、前記中通り基礎の側面に沿うように設けられている前記断熱材における前記一方の小口部と、前記外周基礎の前記内側面と、で挟持されている状態で設けられていることを特徴とする請求項6に記載の断熱基礎構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された断熱基礎構造では、以下のような問題点が生じてしまう懼れがある。
【0005】
建物外側の地盤の温度、特に、地盤表面から地盤下方1m程度までの温度は、地盤上の空気の温度(外気温)に反応し、外気温の変化に伴って変化する。したがって、建物内側の地盤のうち、建物の中央部に近い領域の温度は、外気温の変化に伴って変化し難く、比較的安定した温度となっているのに対し、建物の外周に近い外側領域の温度は、外気温に伴って変化する。このため、断熱材が基礎の立ち上がり部の内側面に設けられている場合でも、地盤における建物の外周に近い外側領域が、基礎の内側空間と建物外側の地盤との間での熱の伝達経路となる。すなわち、建物内側の地盤における建物の外周に近い外側領域が熱橋を形成し、基礎の内側空間の断熱性が損なわれてしまう。
【0006】
本発明は、断熱性を確保することが可能な断熱基礎構造及び断熱基礎の施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る断熱基礎構造は、基礎の立ち上がり部と、立ち上がり部で包囲された地盤の上方に打設されている押さえコンクリートと、立ち上がり部の内側面に沿うように設けられている板状の第一断熱材と、押さえコンクリートの下方に設けられており、一対の小口部を有する板状の第二断熱材と、を備えており、第二断熱材は、一方の小口部が第一断熱材に対向すると共に他方の小口部が押さえコンクリートの途中部分に位置するように設けられ、押さえコンクリートは、第二断熱材の上方に位置する領域と、第二断熱材から露出する地盤の上方に位置する領域と、を有していることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る断熱基礎構造では、立ち上がり部の内側面に沿うように設けられている第一断熱材だけでなく、押さえコンクリートの下方に設けられている第二断熱材が備えられている。第二断熱材は、一方の小口部が第一断熱材に対向すると共に他方の小口部が押さえコンクリートの途中部分に位置するように設けられている。すなわち、第二断熱材は、地盤における建物の外周に近い外側領域に設けられることとなり、当該領域が熱橋を形成するのを効果的に防止することができる。建物内側の地盤のうち、建物の中央部に近い領域は、第二断熱材から露出することとなるものの、当該領域は、外気温の変化に伴って変化し難く且つ建物内の温度の影響を受けて、比較的一定の温度に維持される。したがって、建物内側の地盤全体にわたって第二断熱材が設置される必要はなく、低コストで、基礎の内側空間(床下空間)の断熱性を確保することができる。
【0009】
立ち上がり部で包囲された地盤には、砂利が撒設され且つ立ち上がり部側が低位とされた段差が形成されており、第二断熱材は、段差の低位とされた領域における砂利上に敷設され、第二断熱材の上面と第二断熱材から露出する地盤とは、面一とされ、押さえコンクリートは、面一とされた第二断熱材と地盤との上方に打設されていてもよい。この場合、段差の低位とされた領域は、砂利の撒設により、比較的平坦となっており、第二断熱材が可及的平坦に敷設されることとなる。このため、第二断熱材の上面と第二断熱材から露出する地盤とは、容易に面一とされ、押さえコンクリートを全体にわたってほほ同じ厚みで打設することができる。
【0010】
第一断熱材は、下方部分が地盤内に位置し且つ地盤から立ち上がるように設けられており、第二断熱材は、第一断熱材における地盤から立ち上がるように延びる部分に当接していてもよい。この場合、第一断熱材の下方部分を地盤、第二断熱材、及び押さえコンクリートに十分に支持することができる。また、第二断熱材が、第一断熱材に当接していることにより、地盤における建物の外周に近い外側領域が熱橋を形成するのを有効に防止することができる。
【0011】
面一とされた第二断熱材と地盤とを覆うように敷設されており、押さえコンクリートと、第二断熱材及び地盤と、の間に位置している防湿シートを更に備えていてもよい。この場合、基礎の内側空間の防湿が有効に行われる。
【0012】
防湿シートは、面一とされた第二断熱材と地盤とを覆うように位置する第一シート領域と、第一断熱材に沿って延びる第二シート領域と、を有し、立ち上がり部の高さ方向での第二シート領域の長さは、押さえコンクリートの厚みよりも短くてもよい。第二シート領域の長さが押さえコンクリートの厚みよりも長い場合、押さえコンクリートを打設する際に、第二シート領域が波うち、第一断熱材と第二シート領域との間に隙間が形成されやすい。しかしながら、第二シート領域の長さが押さえコンクリートの厚みよりも短いので、第二シート領域が波打っても隙間を埋めることが可能となる。
【0013】
第二シート領域は、第一断熱材側に折り返された折り返し部を有していてもよい。この場合、押さえコンクリートを打設する際に、第一断熱材と第二シート領域とが離間するのをより一層有効に防止することができる。
【0014】
基礎は、建物の外周に沿うように設けられている外周基礎と、端部が外周基礎に接続され且つ外周基礎の内側を区画するように設けられている中通り基礎と、を備え、第一断熱材として、外周基礎の内側面に沿うように設けられている板状の断熱材と、外周基礎の内側面に沿うように設けられている断熱材に連続し且つ中通り基礎の端部側から所定の長さ範囲にわたって中通り基礎の側面に沿うように設けられている板状の断熱材と、を備えていてもよい。この場合、外周基礎の内側面に沿うように設けられている断熱材だけでなく、中通り基礎の側面に沿うように設けられている断熱材が備えられている。中通り基礎の側面に沿うように設けられている断熱材は、外周基礎の内側面に沿うように設けられている断熱材に連続し且つ中通り基礎の端部側から所定の長さ範囲にわたって中通り基礎の側面に沿うように設けられている。すなわち、中通り基礎の側面に沿うように設けられている断熱材は、中通り基礎における外周基礎に近い領域(外周基礎に接続されている端部及び当該端部近傍)設けられることとなり、当該領域が熱橋を形成するのを効果的に防止することができる。中通り基礎のうち、建物の中央部に近い領域は、断熱材から露出することとなるものの、当該領域は、建物内の温度の影響を受けやすく、比較的一定の温度に維持される。したがって、中通り基礎全体にわたって断熱材が設置される必要はなく、低コストで、基礎の内側空間(床下空間)の断熱性を確保することができる。
【0015】
中通り基礎の側面に沿うように設けられている断熱材は、外周基礎の内側面に沿うように設けられている断熱材に対向する一方の小口部と、当該一方の小口部とは反対側の他方の小口部と、を有し、中通り基礎の側面に沿うように設けられている断熱材における他方の小口部と、中通り基礎の側面と、にわたって気密テープが貼着されていてもよい。この場合、中通り基礎の側面と中通り基礎の側面に沿うように設けられている断熱材との間に隙間が形成されている場合でも、水蒸気を含んだ空気が上記隙間に流入するのが気密テープにより防止されることとなり、上記隙間での結露の発生を防止することができる。
【0016】
外周基礎の内側面に沿うように設けられている断熱材は、中通り基礎の側面に沿うように設けられている断熱材における一方の小口部と、外周基礎の内側面と、で挟持されている状態で設けられていてもよい。この場合、外周基礎の内側面に沿うように設けられている断熱材は、中通り基礎の側面に沿うように設けられている断熱材における一方の小口部により外周基礎の内側面に向けて押圧されることとなり、外周基礎の内側面に沿うように設けられている断熱材と外周基礎の内側面との密着性が向上する。外周基礎の内側面に沿うように設けられている断熱材と中通り基礎の側面に沿うように設けられている断熱材との間に隙間が形成されるのが防止され、断熱性をより一層効果的に確保することができる。
【0017】
本発明に係る断熱基礎の施工方法は、立ち上がり部を有する基礎を打設する工程と、板状の第一断熱材を、立ち上がり部の内側面に沿うように設ける工程と、一対の小口部を有する板状の第二断熱材を、立ち上がり部で包囲された地盤上に敷設する工程と、押さえコンクリートを、立ち上がり部で包囲された地盤の上方に打設する工程と、を含み、第二断熱材を敷設する工程では、第二断熱材を、一方の小口部を第一断熱材に対向させると共に第二断熱材から地盤を露出させるように敷設し、押さえコンクリートを打設する工程では、押さえコンクリートを、第二断熱材の上方と、第二断熱材から露出する地盤の上方と、に打設することを特徴とする。
【0018】
本発明に係る断熱基礎の施工方法では、第二断熱材を立ち上がり部で包囲された地盤上に敷設する際に、第二断熱材は、一方の小口部を第一断熱材に対向させると共に第二断熱材から地盤を露出させるように敷設される。押さえコンクリートを立ち上がり部で包囲された地盤の上方に打設する際に、押さえコンクリートは、第二断熱材の上方と、第二断熱材から露出する地盤の上方と、に打設される。第二断熱材は、一方の小口部が第一断熱材に対向すると共に他方の小口部が押さえコンクリートの途中部分に位置するように設けられる、すなわち、地盤における建物の外周に近い外側領域に設けられることとなる。これにより、地盤における建物の外周に近い外側領域が熱橋を形成するのを効果的に防止することができる。また、上述したように、建物内側の地盤全体にわたって第二断熱材を敷設する必要はなく、低コストで、基礎の内側空間(床下空間)の断熱性を確保することができる。
【0019】
第二断熱材を敷設する工程は、立ち上がり部で包囲された地盤に、砂利を撒設し且つ撒設された砂利を転圧することにより、立ち上がり部側が低位とされた段差を形成する工程と、第二断熱材を、段差の低位とされた領域における砂利上に敷設する工程と、第二断熱材の上面と第二断熱材から露出する地盤とを面一とする工程と、を含み、押さえコンクリートを打設する工程では、押さえコンクリートを、面一とされた第二断熱材と地盤との上方に打設してもよい。この場合、段差の低位とされた領域は、砂利の撒設及び転圧により、比較的平坦となっており、第二断熱材が可及的平坦に敷設されることとなる。このため、第二断熱材の上面と第二断熱材から露出する地盤とは、容易に面一とされ、押さえコンクリートを全体にわたってほほ同じ厚みで打設することができる。
【0020】
第一断熱材を設ける工程では、第一断熱材の下方部分を地盤内に位置させるように埋め戻し、第二断熱材を敷設する工程では、第二断熱材を、第一断熱材における地盤から立ち上がるように延びる部分に当接させてもよい。この場合、第一断熱材の下方部分を地盤、第二断熱材、及び押さえコンクリートにより十分に支持することができる。また、第二断熱材が、第一断熱材に当接していることにより、地盤における建物の外周に近い外側領域が熱橋を形成するのを有効に防止することができる。
【0021】
押さえコンクリートを打設する工程の前に、防湿シートを、面一とされた第二断熱材と地盤とを覆うように敷設する工程を更に含んでいてもよい。この場合、基礎の内側空間の防湿が有効に行われる。
【0022】
防湿シートを敷設する工程では、防湿シートを、第一断熱材も覆うように敷設し、防湿シートにおける第一断熱材を覆う部分の、立ち上がり部の高さ方向での長さは、押さえコンクリートの厚みよりも短くてもよい。この場合、上述したように、押さえコンクリートを打設する際に、第二シート領域が波打っても、第一断熱材と第二シート領域との間に形成される隙間を埋めることが可能となる。
【0023】
防湿シートにおける第一断熱材を覆う部分を、第一断熱材側に折り返していてもよい。この場合、押さえコンクリートを打設する際に、防湿シートにおける第一断熱材を覆う部分と第一断熱材とが離間するのをより一層防ぐことができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、断熱性を確保することが可能な断熱基礎構造及び断熱基礎の施工方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0027】
図1〜
図5を参照して、本実施形態に係る断熱基礎構造の構成を説明する。
図1は、本実施形態に係る断熱基礎構造における基礎の構成を説明するための平面図である。
図2は、本実施形態に係る断熱基礎構造を示す斜視図である。
図3は、
図1におけるIII−III線に沿った断面構成を説明するための図である。
図4は、
図1におけるIV−IV線に沿った断面構成を説明するための図である。
図5は、本実施形態に係る断熱基礎構造における高さ調節部材を説明するための図である。
【0028】
建物は、
図1〜
図4に示されるように、建物本体1と、建物本体1の力を地面に伝える基礎(布基礎)11と、備えている。基礎11は、外周基礎13と中通り基礎17とを備えている。外周基礎13は、
図3にも示されるように、建物(建物本体1)の外周に沿うように設けられている。中通り基礎(内側基礎)17は、外周基礎13の内側を区画するように設けられている。中通り基礎17の端部は、外周基礎13に接続されている。基礎11は、その内部に鉄筋(不図示)が配置されている。
【0029】
外周基礎13の内側、すなわち基礎11(外周基礎13及び中通り基礎17)で区画化された領域には、埋戻し土などによる地盤3が形成されている。地盤3の上面には、防湿シート5が敷設されている。防湿シート5上には、押さえコンクリート7が打設されている。すなわち、防湿シート5は、押さえコンクリート7に覆われている。防湿シート5は、防蟻性を有していることが好ましい。
【0030】
外周基礎13は、フーチング部14と立ち上がり部15とを有し、中通り基礎17は、フーチング部18と立ち上がり部19とを有している。フーチング部14,18は、地盤3内に埋設されている。立ち上がり部15,19は、対応するフーチング部14,18から立ち上がっている。すなわち、立ち上がり部15,19は、下端部がフーチング部14,18に接続されており、フーチング部14,18から上方に延びている。立ち上がり部15,19の上端面15a,19aは、平面とされている。立ち上がり部15は、互いに対向する内側面15bと外側面15cとを有している。立ち上がり部19は、互いに対向する側面19bを有している。
【0031】
立ち上がり部15,19は、フーチング部14,18よりも幅狭であり、外周基礎13及び中通り基礎17の横断面形状は、逆T字状を呈している。フーチング部14,18が設置される部位には、割栗石又は捨てコンなどが予め敷設されている。立ち上がり部19の高さは、立ち上がり部15の高さと同じでもよく、また、立ち上がり部15の高さよりも低くてもよい。
【0032】
建物本体1は、床Fと外壁Wとを備えている。床Fは、基礎11の上端レベル、すなわち、立ち上がり部19の上端面19aを含む水平面に沿って設置されている。床Fは、基礎11の上に架設されたALCパネル(床パネル)、合板、及び木質系の床仕上げ材などによって構成されている。外壁Wは、床Fの外縁に沿って設置されている。外壁Wは、ALCパネルなどによって構成されている。
【0033】
基礎11の内側には、複数の断熱材21,23,25が配置されている。各断熱材21,23,25は、板状(パネル状)であり、板状の樹脂発泡体を含んでいる。各断熱材21,23,25は、平面視で矩形状を呈している。すなわち、各断熱材21,23,25は、一対の小口部を2組、合計で4つの小口部を有している。樹脂発泡体としては、ウレタンフォーム、フェノールフォーム、ポリスチレンフォーム、又はポリエチレンフォームなどが挙げられる。各断熱材21,23,25(樹脂発泡体)は、防蟻性を有していることが好ましい。防蟻性を有する断熱材21,23,25は、その製造時に、防蟻剤を添加することにより得ることができる。本実施形態では、断熱材23の厚みは、断熱材21,25の厚みよりも薄い。断熱材21の厚みは、断熱材25の厚みと同等である。
【0034】
断熱材21(第一断熱材)は、
図3にも示されるように、外周基礎13の立ち上がり部15の内側面15bに沿うように設けられている。すなわち、断熱材21は、外周基礎13に沿い且つ外周基礎13の内側全周にわたって配置されている。断熱材21は、外周基礎13(立ち上がり部15)と中通り基礎17(立ち上がり部19)とが交わる箇所において、立ち上がり部19の側面19bに対向している。本実施形態では、断熱材21は、外周基礎13(立ち上がり部15)と中通り基礎17(立ち上がり部19)とが交わる箇所において、立ち上がり部19の側面19bに当接している。断熱材21は、立ち上がり部15の高さ方向での長さが立ち上がり部15の高さ寸法よりも短い。
【0035】
断熱材21は、立ち上がり部15の内側面15bに接着されることにより、内側面15bに設けられている。断熱材21は、全面が内側面15bに接着されている必要はなく、一部が接着されていればよい。断熱材21は、断熱材21と立ち上がり部15とに貼りわたされたテープ(たとえば、気密テープなど)によって、位置決めされた状態で固定される。
【0036】
断熱材21は、高さ調節部材31により、断熱材21の上端面21aの高さ位置と立ち上がり部15の上端面15aの高さ位置とが一致し且つ断熱材21の下端面21bとフーチング部14とが離間している状態とされている。すなわち、断熱材21の下端面21bとフーチング部14の上面とは対向しており、下端面21bとフーチング部14の上面との間には、隙間が形成されている。
【0037】
高さ調節部材31は、基礎11(本実施形態では、フーチング部14,18)に設けられている。高さ調節部材31は、基礎11(フーチング部14,18)に支持される基端部32と、基端部32から上方に突出している突出部33と、を有している。高さ調節部材31は、立ち上がり部15,19の高さ方向に交差する方向(たとえば水平方向)に所定間隔をおいて複数設けられている。断熱材21は、下端側の小口部21cが高さ調節部材31と係合して、高さ位置が調節されている。すなわち、高さ調節部材31は、断熱材21の高さ位置を調節する。突出部33は、少なくとも一部が断熱材21の下端側の小口部21cにおける樹脂発泡体に刺さっている。
【0038】
本実施形態では、高さ調節部材31は、
図5に示されるように、基礎11を打設する際に用いられる型枠35を支持するための型枠支持部材(セパレータ)37である。型枠支持部材37は、基礎11に埋め込まれている第一部分37aと、基礎11から露出している第二部分37bと、を有している。第一部分37aが基端部32として機能し、第二部分37bが突出部33として機能する。型枠支持部材37は、基礎11を打設する際に、一部が基礎11内に埋め込まれた状態となるため、型枠35を外した後も、基礎11に埋め込まれた状態で残される。第二部分37b(突出部33)と立ち上がり部15,19との間隔は、断熱材21の厚みよりも狭く、断熱材23の厚みよりも広い。
【0039】
断熱材21は、下方部分21dが建物本体1内側の地盤3内に位置し且つ地盤3から立ち上がるように設けられている。断熱材21は、地盤3の上方に打設される押さえコンクリート7と立ち上がり部15との間に位置している。断熱材21は、接着だけでなく、突出部33が断熱材21(樹脂発泡体)に刺さること、及び、下方部分21d側が押さえコンクリート7とより立ち上がり部15との間に位置することによっても、位置決めされた状態が維持されている。
【0040】
断熱材23は、
図4にも示されるように、中通り基礎17の端部から所定の長さ範囲にわたって立ち上がり部19の側面19bに沿い且つ断熱材21に連続するように設けられている。すなわち、断熱材23は、断熱材21に対向し且つ外周基礎13側から所定長さだけ中通り基礎17に沿うように配置されている。断熱材23は、立ち上がり部19の両側面19bに設けられている。断熱材23は、立ち上がり部19の高さ方向での長さが立ち上がり部19の高さ寸法よりも短い。
【0041】
断熱材23は、立ち上がり部19の側面19bに接着されることにより、側面19bに設けられている。断熱材23も、全面が側面19bに接着されている必要はなく、一部が接着されていればよい。断熱材23は、断熱材23と立ち上がり部19とに貼りわたされたテープ(たとえば、気密テープなど)によって、位置決めされた状態で固定される。
【0042】
断熱材23は、高さ調節部材31により、断熱材23の上端面23aの高さ位置と立ち上がり部19の上端面19aの高さ位置とが一致し且つ断熱材23の下端面23bとフーチング部18とが離間している状態とされている。すなわち、断熱材23の下端面23bとフーチング部18の上面とは対向しており、下端面23bとフーチング部18の上面との間には、隙間が形成されている。
【0043】
断熱材23は、下端側の小口部23cが高さ調節部材31と係合して、高さ位置が調節されている。すなわち、高さ調節部材31は、断熱材23の高さ位置も調節する。小口部23cと高さ調節部材31とは、断熱材21の下端側の小口部21cと突出部33との間にスペーサ41が挟み込まれることにより、係合する。スペーサ41は、楔として機能する。スペーサ41には、断熱材21,23,25と同じ材質のものを用いることができる。
【0044】
断熱材23は、断熱材21に対向する小口部23dと、小口部23dとは反対側の小口部23eと、を有している。本実施形態では、小口部23dは、断熱材21に当接している。断熱材23が断熱材21に当接している場合、断熱材21は、断熱材23の小口部23dと立ち上がり部15の内側面15bとで直接挟持されることとなる。断熱材23の小口部23eと立ち上がり部19の側面19bとにわたって気密テープ43(
図9〜
図15参照)が貼着されている。
【0045】
断熱材23は、下方部分23fが建物本体1内側の地盤3内に位置し且つ地盤3から立ち上がるように設けられている。断熱材23は、地盤3の上方に打設される押さえコンクリート7と立ち上がり部15との間に位置している。断熱材23は、接着だけでなく、突出部33が断熱材23に係合すること、及び、下方部分23f側が押さえコンクリート7とより立ち上がり部15との間に位置することによっても、位置決めされた状態が維持されている。
【0046】
断熱材25(第二断熱材)は、押さえコンクリート7の下方に設けられており、断熱材21,23における地盤3から立ち上がるように延びる部分に対向している。具体的には、断熱材25は、一つの小口部25aが断熱材21に対向すると共に小口部25aに対向する小口部25bが押さえコンクリート7の途中部分に位置するように設けられている。すなわち、外周基礎13の内側の地盤3は、断熱材25に覆われている領域と、断熱材25に覆われていない領域(断熱材25から露出する領域)と、を有している。したがって、押さえコンクリート7は、断熱材25の上方に位置する領域と、断熱材25から露出する地盤3の上方に位置する領域と、を有することとなる。本実施形態では、断熱材25は、断熱材21,23における地盤3から立ち上がるように延びる部分に当接している。施工当初に、断熱材25が断熱材21,23に当接していたとしても、経年変化により、断熱材25と断熱材21,23との間に隙間が形成される可能性がある。断熱材25と断熱材21,23との間に隙間が形成された場合でも、断熱材25は、断熱材21,23に対向している。
【0047】
立ち上がり部15で包囲された地盤3には、立ち上がり部15に沿って、砂利(敷砂利)45が撒設され且つ立ち上がり部15側が低位とされた段差が形成されている。すなわち、段差は、地盤3における立ち上がり部15に沿った外側領域3aと、当該外側領域3aより高位とされた内側領域3bと、により形成されている。外側領域3aと内側領域3bとは、平坦である。外側領域3aと内側領域3bとを接続する中間領域3cは、内側領域3bから外側領域3aに向けて下方に傾斜している。撒設される砂利45は、粒度が揃っていることが好ましい。
【0048】
段差の高さは、断熱材25の厚みと同等である。低位とされている外側領域3aの幅(立ち上がり部15,19に直交する方向での幅)は、断熱材25の幅と同等である。断熱材25の小口部25bと中間領域3cとで画成される空間には、砂利(敷砂利)46が撒設されており、断熱材25の上面と断熱材25から露出する領域(内側領域3b)とは、略面一とされている。
【0049】
防湿シート5は、面一とされた断熱材25と地盤3(断熱材25から露出する領域)とを覆うように敷設されている。防湿シート5は、断熱材25と地盤3(断熱材25から露出する領域)とを覆うように位置する第一シート領域5aと、断熱材21,23に沿って延びる第二シート領域5bと、を有している。立ち上がり部15,19の高さ方向での第二シート領域5bの長さは、押さえコンクリート7の厚みよりも短い。したがって、押さえコンクリート7が、断熱材21,23に接することとなる。
【0050】
第二シート領域5bは、
図6にも示されるように、断熱材21,23側に折り返された折り返し部6を有している。防湿シート5は、その縁が折り返された状態で、折り返された部分が断熱材21,23に当接するように、固定されている。すなわち、断熱材21,23の一部(地盤3近傍の部分)は、防湿シート5により覆われている。防湿シート5の固定は、第二シート領域5bと断熱材21,23とにわたってテープ(たとえば、気密テープなど)T2を貼りわたすことにより行われる。ペグなどの固定具を用いることにより、断熱材25又は地盤3と、第一シート領域5aと、を固定してもよい。
【0051】
押さえコンクリート7は、防湿シート5上に打設されている。すなわち、防湿シート5は、断熱材25及び地盤3(断熱材25から露出する領域)と、押さえコンクリート7と、の間に位置すると共に、押さえコンクリート7は、面一とされた断熱材25と地盤3との上方に打設されることとなる。
【0052】
次に、
図7〜
図15を参照して、上述した構成を備える断熱基礎の施工方法について説明する。
図7〜
図15は、本実施形態に係る断熱基礎の施工方法を説明するための図である。
【0053】
まず、地盤3の所定範囲を掘った後、所定位置に基礎11(外周基礎13及び中通り基礎17)を打設する(
図7参照)。このとき、型枠支持部材37は、第二部分37b(突出部33)がフーチング部14,18から突出した状態で、基礎11に残されている。すなわち、基礎11を打設することにより、高さ調節部材31が基礎11に設けられることとなる。
【0054】
次に、断熱材21を用意し、基礎11に設置する(
図8参照)。ここでは、幅寸法が立ち上がり部15の高さ寸法よりも短く設定されている断熱材21を用意する。そして、用意した断熱材21を、立ち上がり部15の内側面15bに沿うように設ける。断熱材21の下端側の小口部21cにおける樹脂発泡体を突出部33に突き刺しながら、断熱材21の上端面21aの高さ位置と立ち上がり部15の上端面15aの高さ位置とが一致するように、断熱材21の高さ位置を調節する。
【0055】
その後、断熱材21と立ち上がり部15とにテープT1を貼りわたし、断熱材21を位置決めした状態で固定する。断熱材21の幅寸法が立ち上がり部15の高さ寸法よりも短いため、上端面21aの高さ位置と上端面15aの高さ位置とが一致した状態では、断熱材21の下端面21bとフーチング部14の上面とが離間することとなる。
【0056】
次に、断熱材23を用意し、基礎11に設置する(
図9参照)。ここでも、幅寸法が立ち上がり部19の高さ寸法よりも短く設定されている断熱材23を用意する。そして、用意した断熱材23を、立ち上がり部19の側面19bに沿うように設ける。断熱材23の下端側の小口部23cと突出部33との間にスペーサ41を嵌め込みながら、断熱材23の上端面23aの高さ位置と立ち上がり部19の上端面19aの高さ位置とが一致するように、断熱材23の高さ位置を調節する。
【0057】
その後、断熱材23と立ち上がり部19とにテープT1を貼りわたすと共に断熱材23の小口部23dと断熱材21とにテープT1を貼りわたし、断熱材23を位置決めした状態で固定する。断熱材23の幅寸法が立ち上がり部19の高さ寸法よりも短いため、上端面23aの高さ位置と上端面19aの高さ位置とが一致した状態では、断熱材23の下端面23bとフーチング部14の上面とが離間することとなる。そして、気密テープ43を、断熱材23の小口部23eと立ち上がり部19の側面19bとにわたって貼着する。
【0058】
次に、地盤3における掘った部分を埋め戻す(
図10参照)。これにより、フーチング部14,18が、地盤3内に位置するように埋め戻される。断熱材21,23の下方部分21d,23fも、断熱材21,23を立ち上がり部に圧接させた状態で、地盤3内に位置するように埋め戻されることとなる。
【0059】
次に、断熱材25を地盤3に敷設する。ここでは、まず、立ち上がり部15,19で包囲された地盤3に、砂利45を撒設する。その後、撒設した砂利45を転圧することにより、立ち上がり部15,19側が低位とされた段差を地盤3に形成する(
図11参照)。段差が形成された地盤3は、上述したように、外側領域3aと、内側領域3bと、中間領域3cと、を含んでいる。段差の高さは、断熱材25の厚みと同等に設定される。撒設する砂利45は、粒度が揃っていることが好ましい。外側領域3a、内側領域3b、及び中間領域3cは、転圧により、砂利45が締め固められる。また、外側領域3aは、転圧により平坦とされる。
【0060】
地盤3に段差を形成した後に、断熱材25を、段差の低位とされた領域(外側領域3a)における砂利45上に敷設する(
図12参照)。断熱材25は、その一方の主面が外側領域3aに当接し且つ断熱材21,23(地盤3から立ち上がるように延びる部分)に当接した状態で、敷設される。
【0061】
その後、断熱材25の小口部25bと中間領域3cとで画成される空間に砂利46を撒設して、断熱材25の上面(他方の主面)と、地盤3における断熱材25から露出する領域(内側領域3b)と、を面一とする(
図13参照)。このとき、断熱材25の小口部25bと中間領域3cとで画成される空間に撒設された砂利46を、内側領域3bに敷設された砂利45と共に転圧する。内側領域3bも、転圧により平坦とされる。
【0062】
次に、防湿シート5を、面一とされた断熱材25と地盤3(断熱材25から露出する内側領域3b)とを覆うように敷設する(
図14参照)。防湿シート5は、断熱材25及び地盤3上に直接敷設される。防湿シート5の固定は、上述したように、固定具及びテープT2により行われる。このとき、防湿シート5の縁を、折り返した後、折り返した部分が断熱材21,23に当接するように、断熱材21,23に沿わせ、固定する。すなわち、防湿シート5は、断熱材21,23の一部を覆うこととなる。防湿シート5の縁における、断熱材21,23に沿った部分(第二シート領域5b)の長さは、押さえコンクリート7の厚みよりも短く設定されている。
【0063】
次に、押さえコンクリート7を打設する(
図15参照)。押さえコンクリート7は、防湿シート5上に直接打設される。これにより、押さえコンクリート7は、面一とされた断熱材25と地盤3との上方に打設されることとなる。このとき、押さえコンクリート7は、その端部において、断熱材21,23に当接している。押さえコンクリート7の打設の完了により、上述した構成を備える断熱基礎が完成する。
【0064】
以上のように、本実施形態の断熱基礎構造では、外周基礎13の立ち上がり部15の内側面15bに沿うように設けられている断熱材21だけでなく、押さえコンクリート7の下方に設けられている断熱材25が備えられている。断熱材25は、小口部25aが断熱材21に対向すると共に小口部25bが押さえコンクリート7の途中部分に位置するように設けられている。すなわち、断熱材25は、地盤3における建物の外周に近い外側領域に設けられることとなり、当該領域が熱橋を形成するのを効果的に防止することができる。建物内側の地盤のうち、建物の中央部に近い領域は、断熱材25から露出することとなるものの、当該領域は、外気温の変化に伴って変化し難く且つ建物内の温度の影響を受けて、比較的一定の温度に維持される。したがって、建物内側の地盤3全体にわたって断熱材25が設置される必要はなく、低コストで、基礎11の内側空間(床下空間)の断熱性を確保することができる。
【0065】
本実施形態では、立ち上がり部15で包囲された地盤3には、砂利45が撒設され且つ立ち上がり部15側が低位とされた段差が形成されており、断熱材25は、段差の低位とされた領域における砂利45上に敷設され、断熱材25の上面と断熱材25から露出する地盤3とは、面一とされ、押さえコンクリート7は、面一とされた断熱材25と地盤3との上方に打設されていている。段差の低位とされた領域は、砂利45の撒設により、平坦となっており、断熱材25が可及的平坦に敷設されることとなる。このため、断熱材25の上面と断熱材25から露出する地盤3とは、容易に面一とされ、押さえコンクリート7を全体にわたってほほ同じ厚みで打設することができる。
【0066】
本実施形態では、断熱材21は、下方部分21dが地盤3内に位置し且つ地盤3から立ち上がるように設けられており、断熱材25は、断熱材21における地盤3から立ち上がるように延びる部分に当接している。これにより、断熱材21の下方部分21dを地盤3、断熱材25、及び押さえコンクリート7により十分に支持することができる。また、断熱材25が、断熱材21に当接していることにより、地盤3における建物の外周に近い外側領域が熱橋を形成するのを有効に防止することができる。
【0067】
本実施形態では、面一とされた断熱材25と地盤3とを覆うように敷設されており、押さえコンクリート7と、断熱材25及び地盤3と、の間に位置している防湿シート5が備えられている。これにより、基礎11の内側空間の防湿が有効に行われる。
【0068】
本実施形態では、防湿シート5は、面一とされた断熱材25と地盤3とを覆うように位置する第一シート領域5aと、断熱材21に沿って延びる第二シート領域5bと、を有し、立ち上がり部15の高さ方向での第二シート領域5bの長さは、押さえコンクリート7の厚みよりも短い。第二シート領域5bの長さが押さえコンクリート7の厚みよりも長い場合、押さえコンクリート7を打設する際に、第二シート領域5bが波打ち、断熱材21と第二シート領域5bとの間に隙間が形成されやすい。しかしながら、第二シート領域5bの長さが押さえコンクリート7の厚みよりも短いので、第二シート領域5bが波打っても、隙間を埋めることが可能となる。
【0069】
本実施形態では、第二シート領域5bは、断熱材21側に折り返された折り返し部6を有している。これにより、押さえコンクリート7を打設する際に、断熱材21と第二シート領域5bとが離間するのを有効に防止することができる。
【0070】
本実施形態では、外周基礎13の立ち上がり部15の内側面15bに沿うように設けられている断熱材21だけでなく、中通り基礎17の立ち上がり部19の側面19bに沿うように設けられている断熱材23が備えられている。断熱材23は、中通り基礎17の端部側から所定の長さ範囲にわたって立ち上がり部19の側面19bに沿い且つ断熱材21に連続するように設けられている。すなわち、断熱材23は、中通り基礎17(立ち上がり部19)における外周基礎13に近い領域(外周基礎13に接続されている端部及び当該端部近傍)設けられることとなり、当該領域が熱橋を形成するのを効果的に防止することができる。中通り基礎17のうち、建物の中央部に近い領域は、断熱材23から露出することとなるものの、当該領域は、建物内の温度の影響を受けやすく、比較的一定の温度に維持される。したがって、中通り基礎17全体にわたって断熱材23が設置される必要はなく、低コストで、基礎11の内側空間(床下空間)の断熱性を確保することができる。
【0071】
本実施形態では、断熱材23は、断熱材21に対向する小口部23dと、小口部23dとは反対側の小口部23eと、を有し、断熱材23の小口部23eと中通り基礎17(立ち上がり部19)の側面19bとにわたって気密テープ43が貼着されている。これにより、断熱材23と中通り基礎17(立ち上がり部19)の側面19bとの間に隙間が形成されている場合でも、水蒸気を含んだ空気が上記隙間に流入するのが気密テープ43により防止されることとなり、上記隙間での結露の発生を防止することができる。
【0072】
本実施形態では、断熱材21は、断熱材23の小口部23dと外周基礎13(立ち上がり部15)の内側面15bとで挟持されている状態で設けられている。これにより、断熱材21は、断熱材23の小口部23dにより外周基礎13(立ち上がり部15)の内側面15bに向けて押圧されることとなり、断熱材21と外周基礎13(立ち上がり部15)の内側面15bとの密着性が向上する。断熱材21と断熱材23との間に隙間が形成されるのが防止され、断熱性をより一層効果的に確保することができる。
【0073】
本実施形態の施工方法では、断熱材25を外周基礎13の立ち上がり部15で包囲された地盤3上に敷設する際に、断熱材25は、小口部25aを断熱材21に対向させると共に断熱材25から地盤3を露出させるように敷設される。押さえコンクリート7を立ち上がり部15で包囲された地盤3の上方に打設する際に、押さえコンクリート7は、断熱材25の上方と、断熱材25から露出する地盤3の上方と、に打設される。断熱材25は、小口部25aが断熱材21に対向すると共に小口部25bが押さえコンクリート7の途中部分に位置するように設けられる、すなわち、地盤3における建物の外周に近い外側領域に設けられることとなる。これにより、地盤3における建物の外周に近い外側領域が熱橋を形成するのを効果的に防止することができる。また、上述したように、低コストで、基礎11の内側空間(床下空間)の断熱性を確保することができる。
【0074】
本実施形態の施工方法では、断熱材25を敷設する工程は、立ち上がり部15で包囲された地盤3に、砂利45を撒設し且つ撒設された砂利45を転圧することにより、立ち上がり部15側が低位とされた段差を形成する工程と、断熱材25を、段差の低位とされた領域における砂利45上に敷設する工程と、断熱材25の上面と断熱材25から露出する地盤3とを面一とする工程と、を含み、押さえコンクリート7を打設する工程では、押さえコンクリート7を、面一とされた断熱材25と地盤3との上方に打設している。これにより、段差の低位とされた領域は、砂利45の撒設及び転圧により、比較的平坦となっており、断熱材25が可及的平坦に敷設されることとなる。このため、断熱材25の上面と断熱材25から露出する地盤3とは、容易に面一とされ、押さえコンクリート7を全体にわたってほほ同じ厚みで打設することができる。
【0075】
本実施形態の施工方法では、断熱材21を設ける工程では、断熱材21の下方部分21dを地盤3内に位置させるように埋め戻し、断熱材25を敷設する工程では、断熱材25を、断熱材21における地盤3から立ち上がるように延びる部分に当接させる。この場合、断熱材21の下方部分21dを地盤3、断熱材25、及び押さえコンクリート7により十分に支持することができる。また、断熱材25が、断熱材21に当接していることにより、地盤3における建物の外周に近い外側領域が熱橋を形成するのを有効に防止することができる。
【0076】
本実施形態の施工方法では、押さえコンクリート7を打設する工程の前に、防湿シート5を、面一とされた断熱材25と地盤3とを覆うように敷設する工程が含まれている。これにより、基礎11の内側空間の防湿が有効に行われる。また、上述したように、防湿シート5を敷設する際に、防湿シート5には折れた箇所などが存在し難く、押さえコンクリート7を打設する際に、防湿シート5が破断するのを防止することができる。
【0077】
本実施形態の施工方法では、防湿シート5を敷設する工程では、防湿シート5を、断熱材21の一部も覆うように敷設し、防湿シート5における断熱材21を覆う部分の、立ち上がり部15の高さ方向での長さは、押さえコンクリート7の厚みよりも短く設定されている。これにより、上述したように、押さえコンクリート7を打設する際に、第二シート領域5bが波打っても、断熱材21と第二シート領域5bとの間に形成される隙間を埋めることが可能となる。
【0078】
本実施形態の施工方法では、防湿シート5における断熱材21を覆う部分を、断熱材21側に折り返している。これにより、押さえコンクリート7を打設する際に、防湿シート5における断熱材21を覆う部分と断熱材21とが離間するのをより一層防ぐことができる。
【0079】
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0080】
本実施形態は、断熱材21,23,25を備えているが、これに限られることなく、断熱材23を備えていなくてもよい。本実施形態では、断熱材21の厚みが断熱材25の厚みと同等であるが、これに限られることなく、断熱材21,25の厚みは異なっていてもよい。本実施形態では、断熱材23の厚みが断熱材21の厚みよりも薄いが、これに限られることなく、断熱材21,23,25の厚みは同じであってもよい。
【0081】
断熱材25は、複数の部分に分割されていてもよい。
【0082】
本実施形態では、断熱材21が中通り基礎17(立ち上がり部19)と対向し、断熱材23が断熱材21に対向しているが、これに限られることなく、断熱材23の小口部23dが外周基礎13(立ち上がり部15)に対向し、断熱材21が断熱材23に対向していてもよい。この場合、断熱材23が断熱材21と中通り基礎17(立ち上がり部19)とで挟持されている状態で設けられていてもよい。