【実施例】
【0027】
次に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。各実施例で使用している製品の含有成分等は下記の通りである。なお、「%」は、重量%を表す。
「ハイフラクトS95」(日本コーンスターチ社製)は、水分24.4%、糖分75.6%からなる透明な溶液である。その糖分組成は、果糖96.1%、ブドウ糖2.5%、及びその他の糖1.4%(糖の構成率は無水物換算)である。
「ハイフラクトM75」(日本コーンスターチ社製)は、水分24.6%、糖分75.4%からなる透明な溶液である。その糖分組成は、果糖56.1%、ブドウ糖39.0%、及びその他の糖4.9%(糖の構成率は無水物換算)である。
「水飴」(コーソシラップS;日本コーンスターチ社製)は、水分24.9%、グルコース2.3%、マルトース36.0%、マルトトリオース18.8%、マルトテトラオース18.0%からなる。
用いた「ポリエーテルポリオール」は、グリセリンを開始剤としてエチレンオキシド(EO)のみを開環グラフト重合したGL−EO100(ポリオキシエチレングリセリン、第一工業製薬社製)である(水酸基価298mgKOH/g、バイオマス率16.3%と特性化されている)。
【0028】
製造した液状ポリオール組成物の諸特性は、次の試験方法により評価した。
(A)水酸基価(ポリオール1g中に含まれる水酸基と等量の水酸化カリウムのmg量)
フタル化したポリオールを、京都電子工業社製の電位差自動滴定装置AT−150を用いて、1moL/L水酸化ナトリウム水溶液をビュレットから滴定し、pHメーターによるpH8.5−12の変曲点で終点判断することにより行なった。コントロール及び各反応温度のサンプルにつき2回の測定を行い、得られた水酸基価の平均値をデータとした。
(B)粘度
東機産業社製のRE−80U型粘度計を用いて、25℃でポリオールの粘度を測定した。測定は各サンプルにつき2回行い、得られた粘度の平均値をデータとした。
(C)水分率
ポリオール中の残存水分量の測定は,京都電子工業社製のカールフィッシャー滴定装置MKA−510を用いて行った。
【0029】
[実施例1]
(液状ポリオール組成物の調製)
50mL容耐圧反応管(耐圧ガラス工業社製)に、果糖(ナカライテスク社製)10g、GL−EO100(第一工業製薬社製)18gを秤取り、110℃で60分間加熱撹拌処理した。その後、ロータリーエバポレーターを用いて温度80℃、減圧度0.01MPaの条件下で20分減圧蒸留し水を除去した。これにより殆ど着色のない透明な液状ポリオール組成物を調製した。そのものの粘度(25℃)は8,050mPa・s、水酸基価は542mgKOH/g、バイオマス率は46.4%であった。
(ウレタン樹脂発泡体の調製)
150mL容紙コップに、先に調製した液状ポリオール組成物8gと水0.16g、触媒0.052g(カオライザーNo.1:0.040g;カオライザーNo.3:0.012g、花王社製、以下同じ)、整泡剤0.160g(東レダウコーニング社製SF−2937F)を添加し、高速攪拌機を用い7000rpmで45秒間撹拌し、20℃に調整した。引き続いて、20℃に調整したポリメリックMDI(三井化学社製コスモネートM−200)を13.99g(イソシアネートインデックス=110)添加し、7000rpmで15秒間撹拌して静置した。クリームタイム、ゲルタイム、ライズタイムを測定したところ、それぞれ34秒、94秒、及び177秒であった。これらの値から調製した液状ポリオール組成物の反応性は、優れていることが分かった。ここで、クリームタイムは撹拌開始からクリーム状に白濁して液面が立ち上がってくるまでの時間、ライズタイムは撹拌開始から発泡体の高さが最高点に達するまでの時間、ゲルタイムは撹拌開始から発泡体表面がゲル化して糸引きが始まるまでの時間である。
その後、90℃に設定した送風乾燥機に入れ、10分間の熱処理を行った後、室温で12時間以上静置し、目的のウレタン樹脂発泡体を得た。
得られた発泡体は、30mm角立方体に切り出し、これを23℃・相対湿度50%の恒温恒湿室で48時間以上状態調節した後、圧縮試験用試験片として試験に供した。
試験片の幅及び厚さを3か所ずつノギスで測定し、それらの平均値をその試験片の幅及び厚さとした。試験は、島津製作所社製のShimadzu Autograph AGS−5 kNGを用いて、荷重速度2mm/min.の条件下で測定し、弾性率については同社製ソフトShikibuを用いて求めた。その測定結果を表1に示す。
【0030】
[実施例2]ウレタン樹脂発泡体の調製
実施例1で得られた液状ポリオール組成物に市販ポリオールを3種ブレンドしたものをポリオールとして(水酸基価:463.2mgKOH/g)、ウレタン樹脂発泡体を調製した。
150mL容紙コップに、実施例1で得られた液状ポリオール組成物5.6gと三井化学社製の市販ポリオールGR−84T:0.8g、MF−15S:0.8g、及びPE−350:0.8gを秤取り、それに水0.16g、触媒0.052g(カオライザーNo.1:0.040g;カオライザーNo.3:0.012g)、整泡剤0.160g(東レダウコーニング社製SF−2937F)を添加し、高速攪拌機を用い7000rpmで45秒撹拌し、20℃に調整した。引き続いて20℃に調整したポリメリックMDI(三井化学社製コスモネートM−200)を12.34g添加し、7000rpmで15秒撹拌して静置した。クリームタイム、ゲルタイム、ライズタイムを測定したところ、それぞれ30秒、74秒、及び158秒であった。これらの値から、ブレンドしたポリオールのポリメリックMDIに対する反応性が十分優れていることが分かった。ブレンド物のバイオマス率は35.5%であった。
その後、90℃に設定した送風乾燥機に入れ、10分間の熱処理を行った後、室温で12時間以上静置し、目的とするウレタン樹脂発泡体を得た。
得られた発泡体は、実施例1に準じて圧縮試験を行った。その測定結果を表1に示す。
【0031】
[実施例3]液状ポリオール組成物とウレタン樹脂発泡体の調製
ハイフラクトS95(日本コーンスターチ社製)を用いる他は、実施例1に準じて、殆ど着色のない透明な液状ポリオール組成物を得た。そのものの粘度(25℃)は7,350mPa・s、水酸基価は447mgKOH/g、バイオマス率は46.4%であった。
得られた液状ポリオール組成物を用いて、実施例1に準じてウレタン樹脂発泡体を調製し、同じく、実施例1に準じて圧縮試験を行った。その測定結果を表1に示す。
【0032】
[実施例4]液状ポリオール組成物とウレタン樹脂発泡体の調製
1,000mL容丸底フラスコに水飴(コーソシラップS;日本コーンスターチ社製)133.33g、グリセリン(ナカライテスク社製)300.0gを秤取り、80℃に設定した水浴中に浸漬し、ロータリーエバポレーターで最初の10分間は加熱、回転のみにより水飴のグリセリンへの溶解を促した。その後、減圧濃縮を150分間行い、試料中の水分を除去し、殆ど着色のない透明で淡黄色粘稠な液状ポリオール組成物を得た。そのものの粘度(25℃)は25,820mPa・s、水酸基価は1629mgKOH/g、バイオマス率は100%であった。
上記で得られた液状ポリオール組成物122g、水酸化カリウム(KOH)1.3gをオートクレーブに仕込み、窒素導入下で、10mmHg以下の減圧下、100℃で60分間脱水した。その後、反応温度を120℃とし、内部圧力を0.2MPa以下に保つようにプロピレンオキシド(PO)378gを滴下することにより反応を進めた。POを導入したのち、内部圧が常圧に戻るまで熟成反応を続けた。この熟成反応完了後、未反応の少量のPOを減圧留去により除去した。生成物を70℃でリン酸を加えることにより中和し、ろ過操作にて中和塩を除くことにより目的の液状ポリオール組成物を得た。得られた液状ポリオール組成物の粘度(25℃)は512mPa・s、水酸基価は396mgKOH/g、バイオマス率は24.3%であった。
得られた液状ポリオール組成物を用いて、実施例1に準じてウレタン樹脂発泡体を調製し、同じく、実施例1に準じて圧縮試験を行った。その測定結果を表1に示す。
【0033】
[実施例5]液状ポリオール組成物の調製
プロピレンオキシド(PO)の使用量を756gとし、水酸化カリウム(KOH)を2.6gとした以外は実施例4と同様の操作を行い、液状ポリオール組成物を得た。得られた液状ポリオール組成物の粘度(25℃)は、276mPa・s、水酸基価は198mgKOH/g、バイオマス率は12.2%であった。
【0034】
[実施例6]液状ポリオール組成物の調製
プロピレンオキシド(PO)の使用量を176gとし、水酸化カリウム(KOH)を0.8gとした以外は実施例4と同様の操作を行い、液状ポリオール組成物を得た。得られた液状ポリオール組成物の粘度(25℃)は、1275mPa・s、水酸基価は669mgKOH/g、バイオマス率は41.2%であった。
【0035】
[実施例7]液状ポリオール組成物
水飴に代えてハイフラクトS95(日本コーンスターチ社製)133.33gを用いる以外は、実施例4と同様の操作を行い、液状ポリオール組成物を得た。そのものの粘度(25℃)は8,190mPa・s、水酸基価は1,385mgKOH/g、バイオマス率は100%であった。
上記で得られた液状ポリオール組成物760g、水酸化カリウム(KOH)7.8g、プロピレンオキシド(PO)556gを用いた以外は、実施例4と同様の操作を行い、目的の液状ポリオール組成物を得た。得られた液状ポリオール組成物の粘度(25℃)は3,062mPa・s、水酸基価は961mgKOH/g、バイオマス率は69.4%であった。
【0036】
[実施例8]液状ポリオール組成物の調製
プロピレンオキシド(PO)の使用量を1,873gとし、水酸化カリウム(KOH)を4.6gとした以外は実施例7と同様の操作を行い、液状ポリオール組成物を得た。得られた液状ポリオール組成物の粘度(25℃)は、717mPa・s、水酸基価は492mgKOH/g、バイオマス率は35.5%であった。
【0037】
[実施例9]液状ポリオール組成物の調製
プロピレンオキシド(PO)の使用量を3,020gとし、水酸化カリウム(KOH)を2.7gとした以外は実施例7と同様の操作を行い、液状ポリオール組成物を得た。得られた液状ポリオール組成物の粘度(25℃)は、417mPa・s、水酸基価は344mgKOH/g、バイオマス率は24.8%であった。
【0038】
[実施例10]ウレタン樹脂発泡体の調製
実施例1の液状ポリオール組成物8gの代わりに、実施例7で得られた液状ポリオール組成物1.5g及び実施例9で得られた液状ポリオール組成物6.5gとの混合物(水酸基価:460mgKOH/g、バイオマス率:33.2%)を用いて、実施例1に準じてウレタン樹脂発泡体を調製し、同じく、実施例1に準じて圧縮試験を行った。その測定結果を表1に示す。
【0039】
[実施例11]液状ポリオール組成物とウレタン樹脂発泡体の調製
果糖の代わりにハイフラクトS95(日本コーンスターチ社製)を、GL−EO100(第一工業製薬社製)の代わりに、グリセリン(ナカライテスク社製)とGL−EO100(第一工業製薬社製)の等重量比混液を、ハイフラクトS95に含まれている糖分重量の1.8倍量加えて用いた以外は、実施例1に準じて処理し、淡黄色で粘稠・透明な液状ポリオール組成物を得た。そのものの粘度(25℃)は9,460mPa・s、水酸基価は682mgKOH/g、バイオマス率は73.2%であった。
上記で得られた液状ポリオール組成物280g、水酸化カリウム(KOH)1.3g、プロピレンオキシド(PO)220gを用いて実施例4と同様の操作を行い、液状ポリオール組成物を得た。得られた液状ポリオール組成物の粘度(25℃)は367mPa・s、水酸基価は382mgKOH/g、バイオマス率は40.2%であった。
得られた液状ポリオール組成物を用いて、実施例1に準じてウレタン樹脂発泡体を調製し、同じく、実施例1に準じて圧縮試験を行った。その測定結果を表1に示す。
【0040】
[実施例12]
(液状ポリオール組成物の調製)
ハイフラクトM75(日本コーンスターチ社製)に、ハイフラクトM75に含まれている糖分重量の1.8倍量のグリセリン(ナカライテスク社製)を加え、無触媒下で、加熱及び撹拌、更には減圧留去による脱水(水分量1.5%以下となるまで)といった物理的処理のみを行うことにより、均一且つ淡黄色で粘稠・透明な液状ポリオール組成物を得た。そのものの粘度(25℃)は9,220mPa・s、水酸基価は802mgKOH/g、バイオマス率は100%であった。
(ウレタン樹脂発泡体の調製)
上記で得られた液状ポリオール組成物について、これに実施例2で使用したものと同じ市販ポリオール3種をブレンドしたものをポリオールとして(水酸基価:460mgKOH/g)、ウレタン樹脂発泡体を調製した。この市販ポリオールのブレンドはポリオールの水酸基価と粘度低下等の適正化のために行った。
150mL容紙コップに、上記でブレンド調製した液状ポリオール組成物3gとGL−EO100(第一工業製薬社製)3g、ポリオールMF−15S(三井化学社製)2.4gを秤取り、それに水0.17g、触媒0.052g(カオライザーNo.1:0.040g;カオライザーNo.3:0.012g)、整泡剤0.160g(東レダウコーニング社製SF−2937F)を添加し、高速攪拌機を用い7000rpmで45秒間撹拌し、20℃に調整した。引き続いて20℃に調整したポリメリックMDI(三井化学社製コスモネートM−200)を12.34g添加し、7000rpmで15秒間撹拌して静置した。クリームタイム、ゲルタイム、ライズタイムを測定したところ、それぞれ28秒、68秒、及び146秒であった。これらの値も上記のようにブレンドされたポリオールのポリメリックMDIに対する反応性が十分優れていることを示している。ブレンド物のバイオマス率は40.5%であった。
その後、90℃に設定した送風乾燥機に入れ、10分間の熱処理を行った後、室温で12時間以上静置した。
得られたウレタン樹脂発泡体について、実施例1に準じて圧縮試験を行った。その測定結果を表1に示す。
【0041】
以上から明らかな通り、本発明の製法を用いれば広範な物性の液状ポリオール組成物やウレタン樹脂発泡体を得ることができる。
【0042】
【表1】
【0043】
[実施例13]
(液状ポリオール組成物の調製)
ハイフラクトS95(日本コーンスターチ社製)に、グリセリンをハイフラクトS95に含まれている糖分重量の1.8倍量加え、無触媒下で、加熱及び撹拌、更には減圧留去による脱水(水分量1.5%以下となるまで)といった物理的処理のみを行うことにより、均一且つ淡黄色で粘稠・透明な液状ポリオール組成物を得た。そのものの粘度(25℃)は8,860mPa・s、水酸基価は849mgKOH/g、バイオマス率は100%であった。
(エポキシ樹脂の調製)
上記で得られた液状ポリオール組成物25gと大過剰量のエピクロロヒドリン105gを300mL容四つ口フラスコ中に秤取り、攪拌モーター、温度計、滴下ロート、還流冷却管を取り付けた。約110℃の油浴中に前記フラスコを入れ、内容物を攪拌しつつフラスコ内温が100℃になるように温度を制御した。ここに、50%水酸化ナトリウム水溶液36.3gを2時間かけて滴下した。滴下終了後さらに0.5時間攪拌を続け、反応を終了した。エバポレーターを用いて反応物中から未反応のエピクロロヒドリンと水を80℃で減圧しながら留去・回収し、樹脂粗生成物を得た。
この粗生成物をアセトンに溶解し、ガラス繊維瀘紙(TOYO「GA100」)を用いて溶液を吸引瀘過し、回収した濾液からエバポレーターを用い80℃でアセトンを減圧留去し、目的のエポキシ樹脂を得た。そのエポキシ当量を測定したところ、256g/eq.であった。
【0044】
[実施例14]液状ポリオール組成物の調製
ハイフラクトS95(日本コーンスターチ社製)に、グリセリンとエチレングリコールの重量比1:1混液をハイフラクトS95に含まれている糖分重量の1.8倍量加え、無触媒下で、加熱及び撹拌、更には減圧留去による脱水(水分量1.5%以下となるまで)といった物理的処理のみを行うことにより、均一且つ淡黄色で粘稠・透明な液状ポリオール組成物を得た。そのものの粘度(25℃)は1,232mPa・s、水酸基価は932.4mgKOH/g、バイオマス率は100%であった。
実施例10におけるグリセリンを、グリセリン/エチレングリコール混液に変えることにより、得られる液状ポリオール組成物のバイオマス率を100%としたままで、その粘度を実施例10の値と比べて0.14倍と大きく低減させることができた。
【0045】
[参考例1]
グルコース(ナカライテスク社製)29.25gに、水24.6gとグリセリン24.6gを加え、無触媒下で、加熱及び撹拌、更には減圧留去による脱水(水分量1.5%以下となるまで)といった処理(95℃で60分間)を行うことにより、液状ポリオール組成物を得ようと試みた。しかしながら、溶解しないグルコースが無視できない量丸底フラスコ壁面に固着して残存し、透明な液状ポリオール組成物を得ることができなかった。