特許第6289079号(P6289079)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6289079
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】毛髪洗浄剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/362 20060101AFI20180226BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20180226BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20180226BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20180226BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20180226BHJP
   A61K 8/55 20060101ALI20180226BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20180226BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20180226BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20180226BHJP
【FI】
   A61K8/362
   A61K8/34
   A61K8/46
   A61K8/36
   A61K8/44
   A61K8/55
   A61K8/73
   A61K8/81
   A61Q5/02
【請求項の数】7
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-265504(P2013-265504)
(22)【出願日】2013年12月24日
(65)【公開番号】特開2015-120660(P2015-120660A)
(43)【公開日】2015年7月2日
【審査請求日】2016年9月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077562
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 登志雄
(74)【代理人】
【識別番号】100096736
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100117156
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100111028
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 博人
(72)【発明者】
【氏名】平野 祐司
(72)【発明者】
【氏名】ヘルランバン ステファニ
【審査官】 池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−194333(JP,A)
【文献】 特表2005−524690(JP,A)
【文献】 特開2003−212734(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00−90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分(A)、(B)及び(C)を含有し、25℃におけるpHが7を超え13以下である毛髪洗浄剤。
(A) コハク酸又はその塩 遊離のコハク酸として1.5質量%以上10質量%以下
(B) ベンジルアルコール
(C) アニオン界面活性剤
【請求項2】
成分(B)の含有量が、0.05質量%以上5質量%以下である、請求項1に記載の毛髪洗浄剤。
【請求項3】
成分(C)の含有量が、0.1質量%以上60質量%以下である、請求項1又は2に記載の毛髪洗浄剤。
【請求項4】
成分(C)が、アルキル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和の脂肪酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、α-スルホン酸塩、N-アシルアミノ酸型界面活性剤、リン酸モノ又はジエステル及びスルホコハク酸エステルから選ばれる1種又は2種以上である、請求項1〜のいずれかに記載の毛髪洗浄剤。
【請求項5】
更に、成分(D)として、カチオン性ポリマーを含有する、請求項1〜のいずれかに記載の毛髪洗浄剤。
【請求項6】
成分(D)が、カチオン化セルロース、カチオン化グアーガム、ジアリル四級アンニウム塩のホモポリマー、ジアリル四級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合物、ジアリル四級アンモニウム塩/アクリル酸共重合物、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩・N,N-ジメチルアクリルアミド・ジメタクリル酸ポリエチレングリコール共重合体から選ばれる1種又は2種以上である、請求項に記載の毛髪洗浄剤。
【請求項7】
請求項1〜のいずれかに記載の毛髪洗浄剤を用いて洗髪することによる毛髪柔軟化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪洗浄剤に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪洗浄剤は、髪や頭皮に対する刺激の抑制を考慮して、そのpHは弱酸性に調整されることが多い。更に、近年では、有機酸及び有機溶剤を配合し、より低いpH領域に調整することで、毛髪を内部から改質して、柔軟性、ツヤなどを付与する機能を持たせた毛髪化粧料が開発され、市場の支持を得ている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0003】
これら低pHの毛髪洗浄剤においては、毛髪に対する柔軟性等の付与効果の達成には、組成物のpHが4以下、あるいはpH4.5以下といった低い範囲に調整されることが重要とされている(例えば、特許文献1の[0035]、特許文献2の[0035]、特許文献3の[0048]参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-212734号公報
【特許文献2】特開2003-252732号公報
【特許文献3】特開2004-067639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ヘアカラー、ブリーチ等の化学処理施術や、ヘアアイロン、コテ等の毛髪タンパク質の変性温度を超える加熱処理の習慣化など、生活者におけるヘアケア行動の変化は、これまでの想定を超える重度の毛髪損傷を誘引している。そのため、従来の毛髪化粧料における低pH化に基づく柔軟化効果を超える新たな技術が求められている。
【0006】
従って本発明は、毛髪に対する柔軟性付与効果を飛躍的に高めた毛髪洗浄剤に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、毛髪洗浄剤における毛髪柔軟化効果を更に高めるべく、鋭意研究を進めたところ、意外にも、有機酸として特定のジカルボン酸と特定の有機溶剤を組み合わせ、かつ、従来の技術常識とは異なる高いpH領域に調整した場合に、毛髪の内部改質に基づく柔軟化効果が飛躍的に向上すると共に、洗髪時の泡質、毛髪へのまとまり性の付与効果、濯ぎ時・乾燥後の指通りにも優れる毛髪洗浄剤が得られることを見出した。
【0008】
本発明は、成分(A)、(B)及び(C)を含有し、25℃におけるpHが7を超え13未満である毛髪洗浄剤を提供するものである。
(A) コハク酸、マレイン酸又はそれらの塩
(B) ベンジルアルコール
(C) アニオン界面活性剤
【0009】
更に本発明は、上記の毛髪洗浄剤を用いて洗髪することによる毛髪柔軟化方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の毛髪洗浄剤は、毛髪の柔軟化効果に優れ、更に、洗髪時の泡質、毛髪へのまとまり性の付与効果、濯ぎ時・乾燥後の指通りにも優れる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔(A):コハク酸、マレイン酸又はそれらの塩〕
成分(A)は、酸型・塩型のいずれであっても、優れた毛髪柔軟化効果を得ることができる。コハク酸又はマレイン酸の塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩、塩基性アミノ酸塩等が挙げられるが、入手容易性、配合容易性、組成物の生地臭の抑制、経済性などの観点から、ナトリウム塩、カリウム塩が好ましい。具体的には、コハク酸一ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、マレイン酸一ナトリウム、マレイン酸二ナトリウム、コハク酸一カリウム、コハク酸二カリウム、マレイン酸一カリウム、マレイン酸二カリウムが挙げられる。これら成分(A)は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、毛髪柔軟化効果及び毛髪洗浄剤中での安定性の観点から、コハク酸又はその塩が好ましい。
【0012】
本発明の毛髪洗浄剤中における成分(A)の含有量は、優れた毛髪柔軟化効果の発現の観点から、好ましくは4mmol/L以上、より好ましくは8mmol/L以上、更に好ましくは15mmol/L以上、更に好ましくは40mmol/L以上、更に好ましくは80mmol/L以上、更に好ましくは120mmol/L以上、更に好ましくは250mmol/L以上であり、また、好ましくは900mmol/L以下、より好ましくは650mmol/L以下、更に好ましくは450mmol/L以下である。
また、本発明の毛髪洗浄剤中における成分(A)の含有量は、優れた毛髪柔軟化効果の発現の観点から、遊離のコハク酸又はマレイン酸として、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1.0質量%以上、更に好ましくは1.5質量%以上、更に好ましくは3.0質量%以上であり、また、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7.5質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。
【0013】
〔成分(B):ベンジルアルコール〕
本発明においては、成分(B)のベンジルアルコールを用いることにより顕著な毛髪柔軟化効果を得ることができる。通常ヘアケア組成物に使用される芳香族アルコールとしては、ベンジルアルコールのほか、例えば、2-ベンジルオキシエタノール、フェノキシエタノール、フェネチルアルコール、シンナミルアルコール、4-メチルベンジルアルコール、p-アニシルアルコール等が挙げられるが、ベンジルアルコールは、ベンジルアルコール以外のこれら芳香族アルコールに比べて、特に顕著な毛髪柔軟化効果を得ることができる。
【0014】
本発明の毛髪洗浄剤中における成分(B)の含有量は、毛髪柔軟化効果の観点から、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上であり、また、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、更に好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。
【0015】
〔成分(C):アニオン界面活性剤〕
成分(C)アニオン界面活性剤としては、アルキル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和の脂肪酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、α-スルホン酸塩、N-アシルアミノ酸型界面活性剤、リン酸モノ又はジエステル、スルホコハク酸エステル等が挙げられる。これらのうち、キメ細かな泡立ち、優れた髪汚れ洗浄性、成分(A)の安定配合の観点から、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、スルホコハク酸エステル、アルキルエーテルカルボン酸塩、N-アシルアミノ酸型界面活性剤が好ましい。
【0016】
本発明の毛髪洗浄剤中におけるアニオン界面活性剤の含有量は、泡立ち、使用時の液性、洗浄性の観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、更に好ましくは5質量%以上であり、また、好ましくは60質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下である。
【0017】
〔成分(D):カチオン性ポリマー〕
本発明の毛髪洗浄剤には、毛髪適用時、すすぎ時及び乾燥後の滑らかさを向上させる観点から、更に成分(D)として、カチオン性ポリマーを含有させることができる。カチオン性ポリマーとしては、具体的には、カチオン化セルロース誘導体(ポリクオタニウム-10;例えば、花王社製のカチセロM-80)、カチオン性澱粉、カチオン化グアーガム誘導体(例えば、ローディア社製のジャガーC14やジャガーC17)、カチオン化タラガム(例えば、東邦化学社製のカチナールCT-100)、カチオン化ローカストビーンガム(ローカストビーンヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド;例えば、東邦化学社製のカチナールCLB-100)、カチオン化フェヌグリークガム(例えば、東邦化学社製のカチナールCF-100)、カチオン化キサンタンガム、ジアリル四級アンモニウム塩のホモポリマー(ポリクオタニウム-6;例えば、ナルコ社製のマーコート100)、ジアリル四級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合物(ポリクオタニウム-7;例えば、Lubrizol社製のマーコート550、マーコートプラス2200)、ジアリル四級アンモニウム塩/アクリル酸共重合物(ポリクオタニウム-22;例えば、Lubrizol社製のマーコート280)、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩・N,N-ジメチルアクリルアミド・ジメタクリル酸ポリエチレングリコール共重合体(ポリクオタニウム-52;例えば、花王社製のソフケアKG-101E、ソフケアKG-301W)、四級化ポリビニルピロリドン誘導体、ポリグリコールポリアミン縮合物、ビニルイミダゾリウムトリクロライド/ビニルピロリドン共重合体、ヒドロキシエチルセルロース/ジメチルジアリルアンモニウムクロライド共重合体(ポリクオタニウム-4;例えば、AkzoNobel社製のCelquat-L200)、ビニルピロリドン/四級化ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体(ポリクオタニウム-11; 例えば、ISP社製のGafquat-755)、ポリビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート共重合体、ポリビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート/ビニルカプロラクタム共重合体(例えば、ISPジャパン社製のコポリマー845、937、958)、ビニルピロリドン/メタクリルアミドプロピル塩化トリメチルアンモニウム共重合体(ISP社製のGafquat HS-100)、アルキルアクリルアミド/アクリレート/アルキルアミノアルキルアクリルアミド/ポリエチレングリコールメタクリレート共重合体、アジピン酸/ジメチルアミノヒドロキシプロピルエチレントリアミン共重合体(米国サンドス社製カルタレチン)、特開昭53-139734号公報、特開昭60-36407号公報に記載されているカチオン性ポリマー等が挙げられる。これらカチオン性ポリマーは、いずれかを単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0018】
中でも、配合目的の毛髪適用時、すすぎ時及び乾燥後の滑らかさを向上させる観点、ならびに、毛髪洗浄剤中での安定性の観点から、カチオン化セルロース誘導体(ポリクオタニウム-10)、カチオン化グアーガム誘導体、ジアリル四級アンニウム塩のホモポリマー(ポリクオタニウム-6)、ジアリル四級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合物(ポリクオタニウム-7)、ジアリル四級アンモニウム塩/アクリル酸共重合物(ポリクオタニウム-22)、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩・N,N-ジメチルアクリルアミド・ジメタクリル酸ポリエチレングリコール共重合体(ポリクオタニウム-52)が好ましい。
【0019】
本発明の毛髪洗浄剤中におけるカチオン性ポリマーの含有量は、乾燥後の髪のまとまりと感触の向上の観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.02質量%以上、更に好ましくは0.03質量%以上、更に好ましくは0.05質量、更に好ましくは0.1質量であり、また、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。
【0020】
〔成分(C)以外の界面活性剤〕
本発明の毛髪洗浄剤には、洗浄性の制御のため、更に、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤のいずれか1種以上を含有させることができる。
【0021】
両性界面活性剤としては、ベタイン系界面活性剤等が挙げられる。このうち、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタインが好ましく、中でも脂肪酸アミドプロピルベタインが好ましい。脂肪酸アミドプロピルベタインは、炭素数8〜18、更には炭素数10〜16のアシル基を有するものが好ましく、中でもラウリン酸アミドプロピルベタイン、パーム核油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等が好ましい。
【0022】
非イオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、高級脂肪酸ショ糖エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、高級脂肪酸モノ又はジエタノールアミド、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、アルキルサッカライド、アルキルアミンオキサイド、アルキルアミドアミンオキサイド、アルキルグリセリルエーテル、アルケニルグリセリルエーテル等が挙げられる。これらのうち、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、高級脂肪酸モノ又はジエタノールアミド、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルキルグリセリルエーテルが好ましく、ポリオキシエチレンアルキル(平均炭素数12〜14)エーテル、2-エチルヘキシルグリセリルエーテル、イソデシルグリセリルエーテルが好ましい。
【0023】
本発明の毛髪洗浄剤中における両性界面活性剤、非イオン界面活性剤の含有量は、泡立ち、使用時の液性、洗浄性の点から、好ましくは0質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上であり、また、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは25質量%以下、更に好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。
【0024】
〔その他の成分〕
本発明の毛髪化粧料には、上記成分のほかに通常化粧品原料として用いられる他の成分を加えることができる。このような成分としては、炭化水素、グリセリド、ロウ、脂肪酸、脂肪族アルコール、エステル油、シリコーン、変性シリコーン、カチオン界面活性剤などのコンディショニング剤;染料、顔料等の着色剤;エチレングリコールジ脂肪酸エステル等のパール化剤;有機溶剤、防腐剤、キレート剤、安定化剤、酸化防止剤、植物性抽出物、動物性抽出物、生薬抽出物、タンパク質加水分解物、ビタミン、香料、紫外線吸収剤、セット用ポリマー、両親媒性アミド脂質等が挙げられる。
【0025】
〔pH〕
本発明の毛髪洗浄剤のpH(25℃)は、7を超え13以下であるが、組成物の安定性、皮膚への刺激抑制、毛髪柔軟化効果の発現の観点から、好ましくは7.2以上、より好ましくは7.5以上であり、また、好ましくは12以下、より好ましくは11以下、更に好ましくは10以下である。また、洗浄剤使用時の髪状態、例えば、洗髪前の予洗による髪の濡れ具合や髪のダメージ状態などの変動因子に対しても高い効果を安定的に得るために、本発明の毛髪化粧料を水で10倍、更には20倍に希釈したときのpH(25℃)も、上記の範囲に維持されることが好ましい。
【0026】
本発明の毛髪洗浄剤のpHを上記の範囲に調整するには、通常化粧品原料として用いられる無機塩基、有機塩基を使用することができるが、更に無機酸、成分(A)以外の有機酸を使用することもできる。
【0027】
本発明の毛髪洗浄剤を用いて毛髪を柔軟化処理するには、通常の毛髪洗浄剤の場合と同様に洗髪すればよい。
【0028】
以上述べた実施形態に関し、以下に本発明の好ましい態様を更に開示する。
【0029】
<1> 成分(A)、(B)及び(C)を含有し、25℃におけるpHが7を超え13未満である毛髪洗浄剤。
(A) コハク酸、マレイン酸又はそれらの塩
(B) ベンジルアルコール
(C) アニオン界面活性剤
【0030】
<2> 成分(A)の含有量が、好ましくは4mmol/L以上、より好ましくは8mmol/L以上、更に好ましくは15mmol/L以上、更に好ましくは40mmol/L以上、更に好ましくは80mmol/L以上、更に好ましくは120mmol/L以上、更に好ましくは250mmol/L以上であり、また、好ましくは900mmol/L以下、より好ましくは650mmol/L以下、更に好ましくは450mmol/L以下である、<1>に記載の毛髪洗浄剤。
【0031】
<3> 成分(B)の含有量が、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上であり、また、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、更に好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である、<1>又は<2>に記載の毛髪洗浄剤。
【0032】
<4> 成分(C)の含有量が、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、更に好ましくは5質量%以上であり、また、好ましくは60質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下である、<1>〜<3>のいずれかに記載の毛髪洗浄剤。
【0033】
<5> 成分(A)が、好ましくはコハク酸又はその塩である、<1>〜<4>のいずれかに記載の毛髪洗浄剤。
【0034】
<6> 成分(C)が、好ましくはアルキル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和の脂肪酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、α-スルホン酸塩、N-アシルアミノ酸型界面活性剤、リン酸モノ又はジエステル及びスルホコハク酸エステルから選ばれる1種又は2種以上である、<1>〜<5>のいずれかに記載の毛髪洗浄剤。
【0035】
<7> 好ましくは、更に、成分(D)として、カチオン性ポリマーを含有する、<1>〜<6>のいずれかに記載の毛髪洗浄剤。
【0036】
<8> 成分(D)が、好ましくはカチオン化セルロース誘導体、カチオン化グアーガム誘導体、ジアリル四級アンニウム塩のホモポリマー、ジアリル四級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合物、ジアリル四級アンモニウム塩/アクリル酸共重合物、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩・N,N-ジメチルアクリルアミド・ジメタクリル酸ポリエチレングリコール共重合体から選ばれる1種又は2種以上である、<7>に記載の毛髪洗浄剤。
【0037】
<9> 成分(D)の含有量が、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.02質量%以上、更に好ましくは0.03質量%以上、更に好ましくは0.05質量、更に好ましくは0.1質量であり、また、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である、<7>又は<8>に記載の毛髪洗浄剤。
【0038】
<10> 好ましくは、更に、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤のいずれか1種以上を含有する、<1>〜<9>のいずれかに記載の毛髪洗浄剤。
【0039】
<11> 両性界面活性剤及び非イオン界面活性剤の合計含有量が、好ましくは0質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上であり、また、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは25質量%以下、更に好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である、<10>に記載の毛髪洗浄剤。
【0040】
<12> 25℃におけるpHが、好ましくは7.2以上、より好ましくは7.5以上であり、また、好ましくは12以下、より好ましくは11以下、更に好ましくは10以下である、<1>〜<11>のいずれかに記載の毛髪洗浄剤。
【0041】
<13> 水で10質量倍に希釈したときの25℃におけるpHが、好ましくは7を超え、より好ましくは7.2以上、更に好ましくは7.5以上であり、また、好ましくは13以下、より好ましくは12以下、更に好ましくは11以下、更に好ましくは10以下である、<1>〜<12>のいずれかに記載の毛髪洗浄剤。
【0042】
<14> 水で20質量倍に希釈したときの25℃におけるpHが、好ましくは7を超え、より好ましくは7.2以上、更に好ましくは7.5以上であり、また、好ましくは13以下、より好ましくは12以下、更に好ましくは11以下、更に好ましくは10以下である、<1>〜<12>のいずれかに記載の毛髪洗浄剤。
【0043】
<15> <1>〜<14>のいずれかに記載の毛髪洗浄剤を用いて洗髪することによる毛髪柔軟化方法。
【実施例】
【0044】
実施例1〜16及び比較例1〜14
表3〜7に示す毛髪洗浄剤を調製し、下記手順に従って、その毛髪柔軟化効果を評価した。この結果を表3〜7に併せて示す。
表3(実施例1〜4及び比較例1〜3)は毛髪洗浄剤のpHと毛髪柔軟化効果の関係、並びに成分(A)及び(B)の併用と毛髪柔軟化効果との関係を、表4(実施例5〜7及び比較例4〜11)は有機酸の種類と毛髪柔軟化効果の関係を、表5(実施例8及び比較例12〜13)は芳香族アルコールの種類と毛髪柔軟化効果の関係を、表6(実施例9〜15)は成分(A)の濃度と毛髪柔軟化効果の関係を、表7(実施例11〜15及び比較例14)は成分(B)の濃度と毛髪柔軟化効果の関係を示す。
【0045】
<毛髪柔軟化効果確認用ダメージ毛の調製>
化学処理をしていない日本人の10gの毛束を作製し、以下に示すブリーチ処理とウェザリング処理の組み合わせを3セット行い、評価用のダメージ毛とした。
【0046】
・ブリーチ処理:花王社製プリティアふんわり泡ブリーチ(ハイブリーチ)の1剤と2剤を混合し、上記ダメージ毛の毛束に浴比1:1で塗布後、室温で30分間放置する。次いで、流水でよくすすいだ後、表1に示す評価用シャンプーで2回洗髪し、表2に示す評価用コンディショナーで処理し、すすいだ後、ドライヤー乾燥する。
・ウェザリング処理:シャンプー処理(表1に示す評価用シャンプーを使用)とコンディショナー処理(表2に示す評価用コンディショナーを使用)とドライヤー乾燥の3工程からなる一連の操作を30回繰り返す。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
<毛髪柔軟化効果の評価方法>
毛髪柔軟化効果の評価は、前述の「ダメージ毛の調製」に従い作製したダメージ毛を用いて、以下の1)〜4)の手順に従い行った。
1)下記の「曲げ弾性率の測定方法」に従い、毛髪洗浄剤で改質する前の毛髪の曲げ弾性率を測定する。
2)下記の「毛髪処理の方法」に従って、表3に記載の毛髪洗浄剤で毛髪を処理し、毛髪を改質する。
3)下記の「曲げ弾性率の測定方法」に従い、毛髪洗浄剤で改質した後の毛髪の曲げ弾性率を測定する。
4)下記の「曲げ弾性率の減少率の決定方法」に従い、曲げ弾性率の減少率を決定し、同値に基づき毛髪洗浄剤による柔軟化効果を比較する。
【0050】
(曲げ弾性率の測定方法)
曲げ弾性率の測定は、予め、20℃、65%相対湿度の条件で12時間以上順化した毛髪試料(試料長=0.5cm)を用いて、毛髪曲げ弾性計測装置(Dia-Stron社製、型番:FBS900)により行った。組成物毎の試料数は10(毛髪)とし、測定値の平均値と標準偏差を以って結果とした。
【0051】
(毛髪処理の方法)
本発明の毛髪洗浄剤を継続的に使用した場合の毛髪内部改質(柔軟化)効果を簡易に見積もるため、既に改質前の曲げ弾性率を測定し終えた毛髪を、以下の1)〜2)の手順に従い処理を行った。
1)表3に記載の毛髪洗浄剤中に、毛髪試料を40℃、30分の条件で浸漬し、次いで、イオン交換水にて30秒すすぎ流す。
2)室温20℃、相対湿度65%の条件で12時間静置する。
【0052】
(曲げ弾性率の減少率の決定方法)
改質処理前の毛髪の曲げ弾性率をγ0、改質処理後の毛髪の曲げ弾性をγとし、下記式に従って曲げ弾性率の減少率を決定した。同値が正に大きいほど、優れた毛髪柔軟化効果であることを示す。
【0053】
曲げ弾性率の減少率=〔1.0−(γ/γ0)〕×100
【0054】
【表3】
【0055】
【表4】
【0056】
【表5】
【0057】
【表6】
【0058】
【表7】
【0059】
実施例17〜18及び比較例15〜18
表8に示す毛髪洗浄剤を調製し、前記と同様にして毛髪柔軟化効果を評価すると共に、洗髪中から髪の乾燥後までの髪の各状態(洗髪中の泡のきめ細かさ、すすぎ中の髪の絡まりにくさ、乾燥後の髪の柔らかさ・まとまり)を評価した。この結果を表8に併せて示す。
【0060】
<洗髪中から髪の乾燥後までの髪の各状態評価結果>
洗髪中から髪の乾燥後までの髪の各状態について、パネラー5名により以下の基準に従い評価し、その合計を以って結果とした。
【0061】
・評価基準
(1)洗髪中の泡のきめ細かさ
4:非常にきめ細かい
3:きめ細かい
2:どちらともいえない
1:泡のきめが粗い
【0062】
(2)すすぎ中の髪の絡まりにくさ
4:非常に髪が絡まりにくい
3:髪が絡まりにくい
2:どちらともいえない
1:絡まりやすい
【0063】
(3)乾燥後の髪の柔らかさ
4:非常に髪が柔らかく感じる
3:髪が柔らかく感じる
2:どちらともいえない
1:柔らかく感じない
【0064】
(4)乾燥後の髪のまとまり
4:非常に髪のまとまりが良い
3:髪のまとまりが良い
2:どちらともいえない
1:髪のまとまりが悪い
【0065】
【表8】