(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
段階(i)におけるTLR4に特異的に結合する抗体またはその免疫活性断片と、段階(iii)におけるTLR4に特異的に結合する抗体またはその免疫活性断片が、異なる抗体または免疫活性断片である、請求項1記載の薬剤。
1つまたは複数の追加の作用物質が、メトトレキサート、シクロスポリンA、タクロリムス、シロリムス、エベロリムス、コルチコステロイド、抗胸腺細胞グロブリン、インフリキシマブ、エタネルセプト、およびアダリムマブから選択される、請求項6記載の薬剤。
段階(i)におけるTLR4に結合する抗体またはその免疫活性断片、段階(iii)におけるTLR4に結合する抗体またはその免疫活性断片、もしくは段階(i)および段階(iii)におけるTLR4に結合する抗体またはその免疫活性断片が、モノクローナル抗体である、請求項1記載の薬剤。
段階(i)におけるTLR4に結合する抗体またはその免疫活性断片、段階(iii)におけるTLR4に結合する抗体またはその免疫活性断片、もしくは段階(i)および段階(iii)におけるTLR4に結合する抗体またはその免疫活性断片が、マウス、キメラ、ヒト化、完全なヒトのモノクローナル抗体、ドメイン抗体、単鎖、Fab、Fab'、またはF(ab')2断片、scFv、またはFab発現ライブラリである、請求項1記載の薬剤。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、Toll様受容体4(TLR4)に特異的に結合する抗体を用いて対象における移植された生物材料の拒絶を阻害するおよび/または生物材料の生存を延長させる方法を提供する。
【0006】
本発明は、Toll様受容体4(TLR4)ポリペプチドに特異的に結合する抗体またはその免疫活性断片を、移植される生物材料に接触させて移植可能な組成物を産生する段階、および移植可能な組成物を対象における所望の位置に植え込む段階によって、対象における移植された生物材料の拒絶を阻害する、および/または生物材料の生存を延長させる方法を提供する。
【0007】
いくつかの態様において、方法はまた、生物材料が植え込まれている対象に、TLR4に特異的に結合する抗体またはその免疫活性断片の1つまたは複数の追加の用量を投与する段階を含み、抗体は、対象における移植片の拒絶を防止するまたは移植された生物材料の生存を延長させるために十分な量で投与される。抗TLR4抗体の追加の用量は、移植のあいだ、移植後、またはその両方で投与することができる。
【0008】
本発明は、Toll様受容体4(TLR4)ポリペプチドに特異的に結合する抗体またはその免疫活性断片を、移植される生物材料に接触させて移植可能な組成物を産生する段階、移植可能な組成物を対象における所望の位置に植え込む段階、およびTLR4に特異的に結合する抗体またはその免疫活性断片の1つまたは複数の追加の用量を対象に投与する段階によって、対象における移植された生物材料の拒絶を阻害する、および/または生物材料の生存を延長させる方法を提供し、抗体は、対象における移植片の拒絶を防止するために十分なまたは移植された生物材料の生存を延長させるために十分な量で投与される。抗TLR4抗体の追加の用量は、移植のあいだ、移植後、またはその両方で投与することができる。
【0009】
本発明はまた、Toll様受容体4(TLR4)ポリペプチドに特異的に結合する抗体またはその免疫活性断片の1つまたは複数の用量を対象に投与する段階によって、生物材料の移植を受けたまたは受ける予定である対象を処置する方法を提供し、抗体は、対象における移植片の拒絶を防止するために十分なまたは移植された生物材料の生存を延長させるために十分な量で投与される。
【0010】
いくつかの態様において、対象は哺乳動物である。好ましい態様において、対象はヒトである。
【0011】
いくつかの態様において、TLR4ポリペプチドはヒトTLR4ポリペプチドである。いくつかの態様において、ヒトTLR4ポリペプチドは以下のアミノ酸配列を含む:
【0012】
いくつかの態様において、移植される生物材料は、1つもしくは複数の細胞もしくは細胞タイプ、1つもしくは複数の組織もしくは組織タイプ、または臓器もしくはその一部である。たとえば、移植される生物材料は、同種異系生物材料である。
【0013】
いくつかの態様において、移植される生物材料は膵島細胞である。いくつかの態様において、膵島細胞は同種異系膵島細胞である。
【0014】
いくつかの態様において、移植される生物材料は、腎臓、膵臓、肝臓、または腸管であるか、またはそれらに由来する。たとえば、いくつかの態様において、移植される生物材料は、1つまたは複数の肝細胞であるか、または肝細胞に由来する。
【0015】
いくつかの態様において、移植前に生物材料に接触させるために用いられる抗TLR4抗体は、生物材料が移植されているあいだおよび/または移植された後に対象に投与される抗体と同じ抗TLR4抗体である。
【0016】
いくつかの態様において、移植前に生物材料に接触させるために用いられる抗TLR4抗体は、生物材料が移植されているあいだおよび/または移植された後に対象に投与される抗TLR4抗体とは異なる抗体である。
【0017】
いくつかの態様において、TLR4に特異的に結合する抗体またはその免疫活性断片は、1つまたは複数の追加の作用物質と併用して移植のあいだおよび/または移植後に投与される。いくつかの態様において、抗TLR4抗体および追加の作用物質は、同時に投与される。たとえば、抗TLR4抗体および追加の作用物質を、1つの組成物に調合することができ、または2つもしくはそれより多くの個別の組成物として投与することができる。いくつかの態様において、抗TLR4抗体および追加の作用物質は、連続的に投与される。
【0018】
いくつかの態様において、追加の作用物質は、免疫抑制剤である。たとえば、追加の作用物質は、メトトレキサート、シクロスポリンA、タクロリムス、シロリムス、エベロリムス、コルチコステロイド、抗胸腺細胞グロブリン、インフリキシマブ、エタネルセプト、およびアダリムマブから選択される。追加の作用物質はまた、免疫抑制効果を示す任意の化合物または他の分子を含むことができる。
【0019】
いくつかの態様において、抗体は、抗体またはその免疫活性断片である。いくつかの態様において、TLR4に結合する抗体またはその免疫活性断片は、モノクローナル抗体である。いくつかの態様において、TLR4に結合する抗体またはその免疫活性断片は、マウス、キメラ、ヒト化、完全なヒトモノクローナル抗体、ドメイン抗体、単鎖、F
ab、F
ab'、およびF
(ab')2断片、scFv、またはF
ab発現ライブラリである。いくつかの態様において、抗TLR4抗体はまた、ヒトTLR4/MD-2受容体複合体にも結合する。
【0020】
いくつかの態様において、TLR4に結合する抗体またはその免疫活性断片は、
のアミノ酸配列と少なくとも90%、92%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一であるアミノ酸配列を含む可変重鎖相補性決定領域1(V
H CDR1);
のアミノ酸配列と少なくとも90%、92%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一であるアミノ酸配列を含むV
H CDR2領域;および
のアミノ酸配列と少なくとも90%、92%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一であるアミノ酸配列を含むV
H CDR3領域;
のアミノ酸配列と少なくとも90%、92%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一であるアミノ酸配列を含む可変軽鎖相補性決定領域1(V
L CDR1);
のアミノ酸配列と少なくとも90%、92%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一であるアミノ酸配列を含むV
L CDR2領域;および
のアミノ酸配列と少なくとも90%、92%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一であるアミノ酸配列を含むV
L CDR3領域を含む。いくつかの態様において、TLR4に結合する抗体またはその免疫活性断片は、重鎖可変アミノ酸配列
と少なくとも90%、92%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一であるアミノ酸配列;および軽鎖可変アミノ酸配列
と少なくとも90%、92%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一であるアミノ酸配列をさらに含む。いくつかの態様において、TLR4に結合する抗体またはその免疫活性断片は、重鎖アミノ酸配列
と少なくとも90%、92%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一であるアミノ酸配列;および軽鎖アミノ酸配列
と少なくとも90%、92%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一であるアミノ酸配列をさらに含む。
【0021】
いくつかの態様において、抗TLR4抗体またはその免疫活性断片は、その全内容が参照により本明細書に組み入れられる、2005年6月14日に提出されたPCT/IB2005/004206に記述され、WO2007/110678として公開された抗体であるか、または該抗体に由来する。
【0022】
いくつかの態様において、抗TLR4抗体またはその免疫活性断片は、その全内容が参照により本明細書に組み入れられる、2008年5月14日に提出されたPCT出願PCT/IB2008/003978に記述され、WO2009/101479として公開された抗体であるか、または該抗体に由来する。
【0023】
いくつかの態様において、抗TLR4抗体またはその免疫活性断片は、たとえば、その各々の全内容が参照により本明細書に組み入れられる、Shimazu, et al, J. Exp. Med., vol. 189: 1777-1782 (1999); Nijhuis et al, Clin. Diag. Lab. Immunol, vol. 10(4): 558-63 (2003); and Pivarcsi et al, Intl.Immunopharm., vol. 15(6):721-730 (2003)において記述されるHTA125として知られる抗TLR4抗体であるか、または該抗体に由来する。
【0024】
いくつかの態様において、抗TLR4抗体またはその免疫活性断片は、たとえば、その全内容が参照により本明細書に組み入れられる、2009年5月15日に提出されたPCT出願PCT/EP2009/055926に記述され、WO2009/13848として公開されたTLR4に結合するドメイン抗体などのドメイン抗体であるか、または該ドメイン抗体に由来する。
【0025】
いくつかの態様において、抗TLR4抗体またはその免疫活性断片は、SEQ ID NO:11の289番目と375番目の残基のあいだのヒトTLR4上の1つまたは複数のアミノ酸残基を含むエピトープに結合する。たとえば、いくつかの態様において、抗体またはその免疫活性断片は、SEQ ID NO:11の少なくとも328番目および329番目の残基を含むエピトープに結合する。たとえば、いくつかの態様において、抗体またはその免疫活性断片は、SEQ ID NO:11の少なくとも349番目から351番目の残基を含むエピトープに結合する。たとえば、いくつかの態様において、抗体またはその免疫活性断片は、SEQ ID NO:11の少なくとも369番目から371番目の残基を含むエピトープに結合する。たとえば、いくつかの態様において、抗体またはその免疫活性断片は、SEQ ID NO:11の少なくとも328番目、329番目、349番目から351番目、および369番目から371番目の残基を含むエピトープに結合する。たとえば、いくつかの態様において、抗体またはその免疫活性断片は、SEQ ID NO:11の少なくとも293番目から295番目の残基を含むエピトープに結合する。たとえば、いくつかの態様において、抗体またはその免疫活性断片は、SEQ ID NO:11の少なくとも296番目および297番目の残基を含むエピトープに結合する。たとえば、いくつかの態様において、抗体またはその免疫活性断片は、SEQ ID NO:11の少なくとも319番目から321番目の残基を含むエピトープに結合する。たとえば、いくつかの態様において、抗体またはその免疫活性断片は、SEQ ID NO:11の少なくとも293番目から295番目、296番目、297番目および319番目から321番目の残基を含むエピトープに結合する。
【0026】
本発明に従う薬学的組成物は、本発明の抗体と担体とを含むことができる。これらの薬学的組成物を、たとえば診断キットなどのキットに含めることができる。
[本発明1001]
以下の段階を含む、対象における移植された生物材料の拒絶を阻害するまたは生物材料の生存を延長させる方法:
(i)移植可能な組成物を作製するために、Toll様受容体4(TLR4)ポリペプチドに特異的に結合する抗体またはその免疫活性断片を、移植される生物材料に接触させる段階、および
(ii)移植可能な組成物を対象における所望の位置に植え込む段階。
[本発明1002]
以下の段階を含む、対象における移植された生物材料の拒絶を阻害するまたは生物材料の生存を延長させる方法:
(i)移植可能な組成物を作製するために、Toll様受容体4(TLR4)ポリペプチドに特異的に結合する抗体またはその免疫活性断片を、移植される生物材料に接触させる段階;
(ii)移植可能な組成物を対象における所望の位置に植え込む段階;および
(iii)対象における移植片の拒絶を防止するために十分なまたは移植された生物材料の生存を延長させるために十分な量で、TLR4に特異的に結合する抗体またはその免疫活性断片の1つまたは複数の追加の用量を対象に投与する段階。
[本発明1003]
対象における移植片の拒絶を防止するために十分なまたは移植された生物材料の生存を延長させるために十分な量で、Toll様受容体4(TLR4)ポリペプチドに特異的に結合する抗体またはその免疫活性断片の1つまたは複数の用量を対象に投与する段階を含む、生物材料の移植を受けたまたは受ける予定の対象を処置する方法。
[本発明1004]
対象がヒトである、本発明1001、本発明1002、または本発明1003の方法。
[本発明1005]
TLR4ポリペプチドがヒトTLR4ポリペプチドである、本発明1001、本発明1002、または本発明1003の方法。
[本発明1006]
移植される生物材料が、1つもしくは複数の細胞もしくは細胞タイプ、1つもしくは複数の組織もしくは組織タイプ、または臓器もしくはその一部である、本発明1001、本発明1002、または本発明1003の方法。
[本発明1007]
移植される生物材料が、同種異系生物材料である、本発明1001、本発明1002、または本発明1003の方法。
[本発明1008]
移植される生物材料が膵島細胞である、本発明1001、本発明1002、または本発明1003の方法。
[本発明1009]
膵島細胞が同種異系膵島細胞である、本発明1008の方法。
[本発明1010]
移植される生物材料が、腎臓、膵臓、肝臓、もしくは腸管であるか、またはそれらに由来する、本発明1001、本発明1002、または本発明1003の方法。
[本発明1011]
段階(i)および(iii)におけるTLR4に特異的に結合する抗体またはその免疫活性断片が、同じ抗体または免疫活性断片である、本発明1002の方法。
[本発明1012]
段階(i)におけるTLR4に特異的に結合する抗体またはその免疫活性断片と、段階(iii)におけるTLR4に特異的に結合する抗体またはその免疫活性断片が、異なる抗体または免疫活性断片である、本発明1002の方法。
[本発明1013]
TLR4に特異的に結合する抗体または免疫活性断片が、段階(iii)において1つまたは複数の追加の作用物質と併用して投与される、本発明1002の方法。
[本発明1014]
TLR4に特異的に結合する抗体または免疫活性断片が、1つまたは複数の追加の作用物質と併用して投与される、本発明1003の方法。
[本発明1015]
1つまたは複数の追加の作用物質が1つまたは複数の免疫抑制剤である、本発明1013または本発明1014の方法。
[本発明1016]
1つまたは複数の追加の作用物質が、メトトレキサート、シクロスポリンA、タクロリムス、シロリムス、エベロリムス、コルチコステロイド、抗胸腺細胞グロブリン、インフリキシマブ、エタネルセプト、およびアダリムマブから選択される、本発明1013または本発明1014の方法。
[本発明1017]
TLR4に結合する抗体またはその免疫活性断片がモノクローナル抗体である、本発明1001、本発明1002、または本発明1003の方法。
[本発明1018]
TLR4に結合する抗体またはその免疫活性断片が、マウス、キメラ、ヒト化、完全なヒトのモノクローナル抗体、ドメイン抗体、単鎖、Fab、Fab'、またはF(ab')2断片、scFv、またはFab発現ライブラリである、本発明1001、本発明1002、または本発明1003の方法。
[本発明1019]
TLR4に結合する抗体またはその免疫活性断片が、
のアミノ酸配列を含む可変重鎖相補性決定領域1(VH CDR1);
のアミノ酸配列を含むVH CDR2領域;および
のアミノ酸配列を含むVH CDR3領域;
のアミノ酸配列を含む可変軽鎖相補性決定領域1(VL CDR1);
のアミノ酸配列を含むVL CDR2領域;および
のアミノ酸配列を含むVL CDR3領域を含む、本発明1001、本発明1002、または本発明1003の方法。
[本発明1020]
TLR4に結合する抗体またはその免疫活性断片が、重鎖可変アミノ酸配列
および軽鎖可変アミノ酸配列
をさらに含む、本発明1019の方法。
[本発明1021]
TLR4に結合する抗体またはその免疫活性断片が、重鎖アミノ酸配列
および軽鎖アミノ酸配列
をさらに含む、本発明1019の方法。
[本発明1022]
TLR4に結合する抗体またはその免疫活性断片が、HTA125であるか、またはヒトTLR4に結合する別の市販の抗体である、本発明1001、本発明1002、または本発明1003の方法。
[本発明1023]
抗体またはその免疫活性断片が、SEQ ID NO:11の289番目と375番目の残基のあいだのヒトTLR4上の1つまたは複数のアミノ酸残基を含むエピトープに結合する、本発明1001、本発明1002、または本発明1003の方法。
【発明を実施するための形態】
【0028】
発明の詳細な説明
本発明は、Toll様受容体4、およびより具体的にヒトTLR4に特異的に結合するモノクローナル抗体(mAb)を提供する。これらの抗TLR4抗体は、Toll様受容体4(TLR4)に特異的に結合する抗体を用いて、対象における移植された生物材料の拒絶を阻害するおよび/または生物材料の生存を延長させる方法において用いられる。抗TLR4抗体は、ヒトTLR4/MD-2受容体複合体に結合し、同様にMD-2の存在とは無関係にTLR4に結合する抗体を含む。
【0029】
本発明の例示的な抗体には、たとえばその各々の全内容が参照により本明細書に組み入れられる、2005年6月14日に提出されたPCT/IB2005/004206に記述され、WO2007/110678として公開された抗TLR4抗体、2008年5月14日に提出されたPCT出願PCT/IB2008/003978に記述され、WO2009/101479として公開された抗TLR4抗体、およびHTA125などの市販の抗体が挙げられる。
【0030】
本発明の例示的な抗体には、たとえばヒトTLR4/MD2複合体に結合し、同様にMD-2の存在とは無関係にTLR4にも結合する、本明細書においてNI-0101と呼ばれ、本明細書および図面において「hu15C1」とも呼ばれる抗体が挙げられる。NI-0101(hu15c1)抗体の配列を以下に示し、VHおよびVLアミノ酸配列におけるCDR配列を下線で示す:
NI-0101重鎖ヌクレオチド配列:
NI-0101重鎖アミノ酸配列:
NI-0101軽鎖ヌクレオチド配列:
NI-0101軽鎖アミノ酸配列:
【0031】
NI-0101(hu15c1)抗体は、配列
を有するVH CDR、および配列
を有するVL CDRを含む。
【0032】
抗TLR4/MD2抗体の重鎖可変(VH)および軽鎖可変(VL)領域のアミノ酸および核酸配列を以下に示す。Chothia et al. 1989, E.A. Kabat et al., 1991によって定義される相補性決定領域(CDR)を包含するアミノ酸を、以下に下線で示した斜体で強調する(Chothia, C, et al, Nature 342:877-883 (1989); Kabat, EA, et al, Sequences of Protein of immunological interest, Fifth Edition, US Department of Health and Human Services, US Government Printing Office (1991)を参照されたい)。
【0033】
抗TLR4抗体は、その各々の全体が、参照により本明細書に組み入れられる、2004年12月10日に提出された同時係属中の米国特許出願第11/009939号および2004年6月15日に提出された第11/151916号、ならびに2004年12月10日に提出されたWO05/065015号および2004年6月15日に提出されたPCT/US2005/020930において記述される抗体を含む。いくつかの例示的な抗体は、その中で18H10、16G7、15C1、および7E3と呼ばれる抗体を含む。
【0034】
抗TLR4抗体は、その各々の全体が参照により本明細書に組み入れられる、2004年6月15日に提出された同時係属中の米国特許出願第11/151916号(米国特許出願公開第2008-0050366号A1)、および2004年6月15日に提出されたPCT/IB2005/004206(PCT公開番号WO 07/110678)に記述される抗体を含む。いくつかの例示的な抗体の配列を以下に示す:
15C1 Hu VHバージョン4-28
式中、
X
1は、ThrまたはSerであり、
X
2は、IleまたはMetであり、
X
3は、ValまたはIleであり、
X
4は、MetまたはIleである。
15C1 Hu VHバージョン3-66
式中、
X
1は、AlaまたはValであり、
X
2は、ValまたはMetであり、
X
3は、LeuまたはPheである。
15C1 Hu VLバージョンL6
式中、X
1はLysまたはTyrである。
15C1 Hu VLバージョンA26
18H10 Hu VHバージョン1-69
式中、
X
1は、MetまたはIleであり、
X
2は、LysまたはThrであり、
X
3は、MetまたはLeuである。
18H10 Hu VLバージョンL6
式中、X
1は、PheまたはTyrである。
7E3 Hu VHバージョン2-70
式中、
X
1は、SerまたはThrであり、
X
2は、IleまたはPheであり、
X
3は、IleまたはAlaである。
7E3 Hu VHバージョン3-66
式中、
X
1は、PheまたはAlaであり、
X
2は、ValまたはLeuであり、
X
3は、IleまたはPheであり、
X
4は、LysまたはArgであり、
X
5は、LeuまたはValであり、
X
6は、IleまたはAlaである。
7E3 Hu VLバージョンL19
式中、
X
1は、PheまたはTyrであり、
X
2は、TyrまたはPheである。
【0035】
抗TLR4抗体は、その全内容が参照により本明細書に組み入れられる、2008年5月14日に提出されたPCT/IB2008/003978(PCT公開番号WO2009/101479)に記述される抗体を含む。これらの抗TLR4抗体は、CDR3部分に1つまたは複数の変異を含むように改変される。いくつかの例示的な抗体の配列を以下に示す。
【0036】
定義
それ以外であると定義されている場合を除き、本発明に関連して用いられる科学技術用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有するであろう。さらに、本文がそれ以外であることを必要としている場合を除き、単数形は複数形を含み、複数形は単数形を含むであろう。一般的に、本明細書において記述される細胞および組織培養、分子生物学、ならびにタンパク質およびオリゴまたはポリヌクレオチド化学およびハイブリダイゼーションに関連して用いられる名称、およびそれらの技術は、当技術分野において周知であり、一般的に用いられる。組み換えDNA、オリゴヌクレオチド合成、ならびに組織培養および形質転換に関して、標準的な技術が用いられる(たとえば、電気穿孔、リポフェクチン)。酵素反応および精製技術は、製造元の仕様書に従って、または当技術分野において一般的に行われるように、または本明細書において記述されるように行われる。前述の技術および技法は一般的に、当技術分野において周知の通常の方法に従っておよび本明細書を通して引用および考察される様々な一般的なおよびより特異的な参考文献に記述されるように行われる。たとえば、Sambrook et al. Molecular Cloning: A Laboratory Manual (2d ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989))を参照されたい。本明細書において記述される分析化学、合成有機化学、ならびに医化学および薬化学に関連して用いられる名称、ならびにそれらの実験技法および技術は、当技術分野において周知であり、一般的に用いられる技法および技術である。化学合成、化学分析、薬剤調製、調合、ならびに患者への送達および処置に関して、標準的な技術が用いられる。
【0037】
本開示に従って用いられるように、以下の用語は、それ以外であることを示している場合を除き、以下の意味を有すると理解されるであろう。
【0038】
本明細書において用いられる「抗体」という用語は、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン(Ig)分子の免疫活性部分、すなわち抗原に特異的に結合する(免疫反応する)抗原結合部位を含む分子を意味する。「と特異的に結合する」、または「と免疫反応する」、または「免疫特異的に結合する」とは、抗体が所望の抗原の1つまたは複数の抗原性決定基と反応するが、他のポリペプチドとは反応しないか、またはかなり低い親和性(K
d>10
-6)で結合することを意味する。抗体には、ポリクローナル、モノクローナル、キメラ、ドメイン抗体、単鎖、F
ab、F
ab'、およびF
(ab')2断片、scFv、ならびにF
ab発現ライブラリが挙げられるがこれらに限定されるわけではない。
【0039】
抗体の基本構造単位は、四量体を含むことが知られている。各四量体は、各々の対が1つの「軽」鎖(約25 kDa)と1つの「重」鎖(約50〜70 kDa)とを有する、ポリペプチド鎖の2つの同一の対で構成される。各鎖のアミノ末端部分は、抗原認識を主に担う約100個から110個またはそれ以上のアミノ酸の可変領域を含む。各鎖のカルボキシ末端部分は、エフェクター機能を主に担う定常領域を定義する。一般的に、ヒトから得られる抗体分子は、分子に存在する重鎖の性質が互いに異なるIgG、IgM、IgA、IgE、およびIgDのクラスのいずれかに関連する。あるクラスは、IgG
1、IgG
2、およびその他などのサブクラスも同様に有する。さらに、ヒトでは、軽鎖はカッパ鎖またはラムダ鎖でありうる。
【0040】
本明細書において用いられる「モノクローナル抗体」(mAb)、または「モノクローナル抗体組成物」という用語は、独自の軽鎖遺伝子産物と独自の重鎖遺伝子産物からなる抗体分子の1つの分子種のみを含む抗体分子集団を意味する。特に、モノクローナル抗体の相補性決定領域(CDR)は、その集団の全ての分子において同一である。MAbは、抗原に対する独自の結合親和性を特徴とする抗原の特定のエピトープと免疫反応することができる抗原結合部位を含む。
【0041】
「抗原結合部位」または「結合部分」という用語は、抗原結合に関与する免疫グロブリン分子の部分を意味する。抗原結合部位は、重鎖(「H」)と軽鎖(「L」)のN-末端可変(「V」)領域のアミノ酸残基によって形成される。「超可変領域」と呼ばれる、重鎖と軽鎖のV領域内の3つの高度に多様な伸長部が、「フレームワーク領域」または「FR」として知られるより保存された隣接伸長部のあいだに挿入される。このように、「FR」という用語は、免疫グロブリンの超可変領域のあいだに、超可変領域に隣接して天然に見いだされるアミノ酸配列を意味する。抗体分子において、軽鎖の3つの超可変領域および重鎖の3つの超可変領域は、三次元空間で互いに関連して配置されて抗原結合表面を形成する。抗原結合表面は、結合した抗原の三次元表面と相補的であり、重鎖および軽鎖の各々の3つの超可変領域は、「相補性決定領域」または「CDR」と呼ばれる。各ドメインに対するアミノ酸の割付は、Kabat Sequences of Proteins of Immunological Interest(National Institutes of Health, Bethesda, Md. (1987 and 1991))、またはChothia & Lesk J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987), Chothia et al. Nature 342:878-883 (1989))の定義に従う。
【0042】
本明細書において用いられる「エピトープ」という用語は、免疫グロブリン、scFv、またはT細胞受容体に特異的に結合することができる任意のタンパク質決定基を含む。「エピトープ」という用語は、免疫グロブリンまたはT細胞受容体に特異的に結合することができる任意のタンパク質決定基を含む。エピトープ決定基は通常、アミノ酸または糖側鎖などの分子の化学的に活性な表面官能基からなり、通常、特異的三次元構造特徴ならびに特異的電荷特徴を有する。たとえば、抗体は、ポリペプチドのN-末端またはC-末端ペプチドに対して作製されうる。抗体は、解離定数が≦1μM、好ましくは≦100 nM、および最も好ましくは≦10 nMである場合に抗原に特異的に結合すると言われる。
【0043】
本明細書において用いられる「免疫学的に結合する」および「免疫学的結合特性」という用語は、免疫グロブリン分子と、それに対して免疫グロブリン分子が特異的である抗原とのあいだに起こるタイプの非共有的相互作用を意味する。免疫学的結合相互作用の強度または親和性は、相互作用の解離定数(K
d)に関して表記することができ、K
dがより小さければ、親和性がより大きいことを表す。選択されたポリペプチドの免疫学的結合特性は、当技術分野において周知の方法を用いて定量することができる。そのような1つの方法は、抗原結合部位/抗原複合体の形成および解離速度を測定する段階を伴い、それらの速度は複合体パートナーの濃度、相互作用の親和性、および両方向の速度に等しく影響を及ぼす幾何学的パラメータに依存する。このように、濃度ならびに実際の結合速度および解離速度を計算することによって、「on rate定数」(K
on)および「off rate定数」(K
off)の両方を決定することができる(Nature 361 : 186-87 (1993)を参照されたい)。K
off/K
onの比率は、親和性に関連しない全てのパラメータの削除を可能にして、解離定数K
dに等しい(一般的に、Davies et al. (1990) Annual Rev Biochem 59:439-473を参照されたい)。本発明の抗体は、放射リガンド結合アッセイまたは当業者に公知の類似のアッセイなどのアッセイによって測定した場合に、平衡結合定数(K
d)が≦1μM、好ましくは≦100 nM、より好ましくは≦10 nM、および最も好ましくは≦100 pMから約1 pMであれば、Toll様受容体4(TLR4)/MD-2複合体、またはMD-2と複合体を形成していないTLR4に特異的に結合すると言われる。
【0044】
本明細書において用いられる「単離ポリヌクレオチド」という用語は、ゲノム、cDNA、もしくは合成起源のポリヌクレオチド、またはそのいくつかの組み合わせを意味し、その起源のために、「単離ポリヌクレオチド」は、(1)「単離ポリヌクレオチド」が天然において見いだされるポリヌクレオチドの全てまたは一部に会合していない、(2)天然において結合していないポリヌクレオチドに機能的に結合している、または(3)より大きい配列の一部として天然において存在しない。本発明に従うポリヌクレオチドは、本明細書において示される重鎖免疫グロブリン分子をコードする核酸分子、および本明細書において示される軽鎖免疫グロブリン分子をコードする核酸分子を含む。
【0045】
「単離タンパク質」という用語は、cDNA、組み換え型RNA、もしくは合成起源のタンパク質、またはそのいくつかの組み合わせを意味し、その起源または由来源のために、「単離タンパク質」は、(1)天然において見いだされるタンパク質に会合していない、(2)同じ起源の他のタンパク質を含まない、たとえば海洋タンパク質を含まない、(3)異なる種からの細胞によって発現される、または(4)天然において存在しない。
【0046】
「ポリペプチド」という用語は、本明細書においてポリペプチド配列の本来のタンパク質、断片、またはアナログを意味するために、一般的な用語として用いられる。ゆえに、本来のタンパク質断片およびアナログは、ポリペプチド属の種である。本発明に従うポリペプチドは、本明細書において示される重鎖免疫グロブリン分子および本明細書において示される軽鎖免疫グロブリン分子、ならびに重鎖免疫グロブリン分子と、カッパ軽鎖免疫グロブリン分子などの軽鎖免疫グロブリン分子とを含む組み合わせ、およびその逆によって形成される抗体分子、ならびにその断片およびアナログを含む。
【0047】
本明細書において物体に適用される場合に用いられる「天然に存在する」という用語は、物体を天然において見いだすことができるという事実を意味する。たとえば、天然の起源から単離することができる生物(ウイルスを含む)に存在して、研究室において人為的にまたはそれ以外の方法で意図的に改変されていないポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列は、天然に存在する。
【0048】
本明細書において用いられる「機能的に連結した」という用語は、そのように記述された成分の位置がその意図される様式でそれらを機能させる関係にあることを意味する。コード配列に「機能的に連結された」制御配列は、コード配列の発現が、制御配列と適合性の条件下で達成されるようにライゲーションされる。
【0049】
本明細書において用いられる「制御配列」という用語は、それらがライゲーションされるコード配列の発現およびプロセシングを行うために必要であるポリヌクレオチド配列を意味する。そのような制御配列の性質は、原核細胞中の宿主生物に応じて異なり、そのような制御配列は一般的に、真核細胞においてプロモーター、リボソーム結合部位、および転写終止配列を含み、一般的に、そのような制御配列はプロモーターおよび転写終止配列を含む。「制御配列」という用語は、少なくとも、その存在が発現およびプロセシングにとって必須である全ての成分を含むことを意図し、同様にその存在が有利である追加の成分、たとえばリーダー配列、および融合パートナー配列を含むことができる。本明細書において言及される「ポリヌクレオチド」という用語は、長さが少なくとも10塩基のリボヌクレオチドもしくはデオキシリボヌクレオチドのいずれかであるヌクレオチドのポリマーホウ素、またはいずれかのタイプのヌクレオチドの修飾型を意味する。この用語は、DNAの一本鎖および二本鎖型を含む。
【0050】
本明細書において言及されるオリゴヌクレオチドという用語は、天然に存在するヌクレオチド、ならびに天然に存在するおよび天然に存在しないオリゴヌクレオチド結合によって共に連結された修飾ヌクレオチドを含む。オリゴヌクレオチドは、一般的に200塩基またはそれ未満の長さを含むポリヌクレオチドサブセットである。好ましくは、オリゴヌクレオチドは、長さが10〜60塩基であり、最も好ましくは長さが12、13、14、15、16、17、18、19、または20〜40塩基である。オリゴヌクレオチドは通常、たとえばプローブの場合一本鎖であるが、たとえば遺伝子変異体の構築に用いる場合には、オリゴヌクレオチドは二本鎖であってもよい。本発明のオリゴヌクレオチドは、センスまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドのいずれかである。
【0051】
本明細書において言及される「天然に存在するヌクレオチド」という用語は、デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドを含む。本明細書において言及される「修飾ヌクレオチド」という用語は、修飾されたまたは置換された糖基およびその他を有するヌクレオチドを含む。本明細書において言及される「オリゴヌクレオチド結合」という用語は、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロセレロエート、ホスホロジセレノエート、ホスホロアニロチオエート、ホスホラニラデート、ホスホロンミデート(phosphoronmidate)、およびその他などのオリゴヌクレオチド結合を含む。たとえば、LaPlanche et al. Nucl. Acids Res. 14:9081 (1986); Stec et al. J. Am. Chem. Soc. 106:6077 (1984), Stein et al. Nucl. Acids Res. 16:3209 (1988), Zon et al. Anti Cancer Drug Design 6:539 (1991); Zon et al. Oligonucleotides and Analogues: A Practical Approach, pp. 87-108 (F. Eckstein, Ed., Oxford University Press, Oxford England (1991)); Stec et al. 米国特許第5,151,510号;Uhlmann and Peyman Chemical Reviews 90:543 (1990)を参照されたい。オリゴヌクレオチドは、望ましければ検出のための標識を含むことができる。
【0052】
以下の用語は、2つまたはそれより多くのポリヌクレオチドまたはアミノ酸配列の配列関係を記述するために用いられる:「参照配列」、「比較ウィンドウ」、「配列同一性」、「配列同一性の百分率」、および「実質的な同一性」。「参照配列」は、配列比較のための基礎として用いられる定義された配列であり、参照配列は、より大きい配列のサブセットであってもよく、たとえば配列表に与えられる完全長のcDNAもしくは遺伝子配列のセグメントであってもよく、または完全なcDNAもしくは遺伝子配列を含んでもよい。一般的に、参照配列は、長さがヌクレオチド少なくとも18個またはアミノ酸6個、しばしば長さがヌクレオチド少なくとも24個またはアミノ酸8個、およびしばしば長さがヌクレオチド少なくとも48個またはアミノ酸16個である。2つのポリヌクレオチドまたはアミノ酸配列は各々、(1)2つの分子のあいだで類似である配列(すなわち完全なポリヌクレオチドまたはアミノ酸配列の一部)を含みうる、および(2)2つのポリヌクレオチドまたはアミノ酸配列のあいだで異なる配列をさらに含みうることから、2つの(またはそれより多くの)分子のあいだの配列比較は典型的に、2つの分子の配列を「比較ウィンドウ」に対して比較して、配列類似性の局所領域を同定および比較することによって行われる。本明細書において用いられる「比較ウィンドウ」は、連続ヌクレオチド位置少なくとも18個またはアミノ酸6個の概念的セグメントを意味し、ポリヌクレオチド配列またはアミノ酸配列は、連続ヌクレオチド少なくとも18個またはアミノ酸6個の配列の参照配列と比較され、比較ウィンドウにおけるポリヌクレオチド配列の部分は、2つの配列の最適なアラインメントのために参照配列(付加または欠失を含まない)と比較して20%またはそれ未満の付加、欠失、置換、およびその他(すなわち、ギャップ)を含みうる。比較ウィンドウを整列させるための配列の最適なアラインメントは、Smith and Waterman Adv. Appl. Math. 2:482 (1981)のローカルホモロジーアルゴリズム、Needleman and Wunsch J. Mol. Biol. 48:443 (1970)のホモロジーアラインメントアルゴリズム、Pearson and Lipman Proc. Natl. Acad. Sci. (U.S.A.) 85:2444 (1988)の類似性検索法、これらのアルゴリズムのコンピューターによる実行(Wisconsin Genetics Software Package Release 7.0(Genetics Computer Group, 575 Science Dr., Madison, Wis.)、Geneworks、またはMacVectorソフトウェアパッケージにおけるGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA)によって、または検分によって行ってもよく、様々な方法によって得られた最善のアラインメント(すなわち、比較ウィンドウにおいて最高の相同性百分率が得られる)を選択する。
【0053】
「配列同一性」という用語は、2つのポリヌクレオチドまたはアミノ酸配列が比較ウィンドウにおいて同一(すなわち、ヌクレオチド毎にまたは残基毎に)であることを意味する。「配列同一性の百分率」という用語は、2つの最適に整列させた配列を比較ウィンドウにおいて比較する段階、同一の核酸塩基(たとえば、A、T、C、G、UまたはI)または残基が両方の配列に存在する位置の数を決定して、マッチした位置の数を得る段階、マッチした位置の数を、比較ウィンドウにおける位置の総数(すなわち、ウィンドウサイズ)で除する段階、および結果に100を乗じて配列同一性の百分率を得る段階によって計算される。本明細書において用いられる「実質的な同一性」という用語は、ポリヌクレオチドまたはアミノ酸配列の特徴を意味し、ポリヌクレオチドまたはアミノ酸は、ヌクレオチド位置少なくとも18個(アミノ酸6個)の比較ウィンドウにおいて、しばしばヌクレオチド位置少なくとも24〜48個(アミノ酸8〜16個)の比較ウィンドウにおいて参照配列と比較した場合に、少なくとも85%の配列同一性、好ましくは少なくとも90から95%の配列同一性、より通常少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含み、配列同一性の百分率は、比較ウィンドウにおいて参照配列の20%またはそれ未満となる欠失または付加を含みうる配列と参照配列とを比較する段階によって計算される。参照配列は、より大きい配列のサブセットでありうる。
【0054】
本明細書において用いられる、20個の通常アミノ酸およびその省略語は、慣例的用法に従う。Immunology - A Synthesis (2nd Edition, E.S. Golub and D.R. Gren, Eds., Sinauer Associates, Sunderland7 Mass. (1991))を参照されたい。20個の通常アミノ酸の立体異性体(たとえば、D-アミノ酸)、α-、α-二置換アミノ酸などの非天然アミノ酸、N-アルキルアミノ酸、乳酸、および他の非通常アミノ酸も同様に、本発明のポリペプチドにとって適した成分でありうる。非通常アミノ酸の例には:4-ヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタメート、ε-N,N,N-トリメチルリジン、ε-N-アセチルリジン、O-ホスホセリン、N-アセチルセリン、N-ホルミルメチオニン、3-メチルヒスチジン、5-ヒドロキシリジン、σ-N-メチルアルギニン、および他の類似のアミノ酸およびイミノ酸(たとえば、4-ヒドロキシプロリン)が挙げられる。本明細書において用いられるポリペプチドの表記において、標準的な用法および慣例に従って、左手方向はアミノ末端方向であり、右手方向はカルボキシ末端方向である。
【0055】
同様に、それ以外であると明記している場合を除き、一本鎖ポリヌクレオチド配列の左手末端は、5'末端であり、二本鎖ポリヌクレオチド配列の左手方向は、5'方向と呼ばれる。新生RNA転写物が5'から3'に付加される方向は、転写方向と呼ばれ、RNAと同じ配列を有し、RNA転写物の5'末端に対して5'であるDNA鎖上の配列領域は「上流の配列」と呼ばれ、RNAと同じ配列を有し、RNA転写物の3'末端に対して3'であるDNA鎖上の配列領域は、「下流の配列」と呼ばれる。
【0056】
ポリペプチドに適用される場合、「実質的な同一性」という用語は、2つのペプチド配列が、プログラムGAPまたはBESTFITなどによって、デフォルトのギャップの重みを用いて最適に整列させた場合に、少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも90%の配列同一性、より好ましくは少なくとも95%の配列同一性、および最も好ましくは少なくとも99%の配列同一性を共有することを意味する。
【0057】
好ましくは、同一でない残基の位置は、保存的アミノ酸置換によって異なる。
【0058】
保存的アミノ酸置換は、類似の側鎖を有する残基の相互交換性を意味する。たとえば、脂肪族側鎖を有するアミノ酸の群は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、およびイソロイシンであり、脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸の群は、セリンおよびトレオニンであり、アミド含有側鎖を有するアミノ酸の群は、アスパラギンおよびグルタミンであり、芳香族側鎖を有するアミノ酸の群は、フェニルアラニン、チロシン、およびトリプトファンであり、塩基性側鎖を有するアミノ酸の群は、リジン、アルギニン、およびヒスチジンであり、ならびにイオウ含有側鎖を有するアミノ酸の群は、システインおよびメチオニンである。好ましい保存的アミノ酸置換群は、バリン-ロイシン-イソロイシン、フェニルアラニン-チロシン、リジン-アルギニン、アラニン-バリン、グルタミン酸-アスパラギン酸、およびアスパラギン-グルタミンである。
【0059】
本明細書において考察されるように、抗体または免疫グロブリン分子のアミノ酸配列における軽微な変化は、アミノ酸配列の変化が、少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、90%、95%および最も好ましくは99%を維持する限り、本発明によって包含されると企図される。特に、保存的アミノ酸交換が企図される。保存的交換は、その側鎖が関連するアミノ酸のファミリー内で起こる交換である。遺伝子コードアミノ酸は一般的に、ファミリーに分けられる:(1)酸性アミノ酸はアスパラギン酸塩、グルタミン酸塩であり;(2)塩基性アミノ酸は、リジン、アルギニン、ヒスチジンであり;(3)非極性アミノ酸は、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファンであり、および(4)非荷電極性アミノ酸は、グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、トレオニン、チロシンである。親水性アミノ酸には、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸塩、グルタミン、グルタミン酸塩、ヒスチジン、リジン、セリン、およびトレオニンが挙げられる。疎水性アミノ酸には、アラニン、システイン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、トリプトファン、チロシン、およびバリンが挙げられる。他のアミノ酸ファミリーには、(i)脂肪族ヒドロキシファミリーであるセリンおよびトレオニン;(ii)アミド含有ファミリーであるアスパラギンおよびグルタミン;(iii)脂肪族ファミリーであるアラニン、バリン、ロイシン、およびイソロイシン;ならびに(iv)芳香族ファミリーであるフェニルアラニン、トリプトファン、およびチロシンが挙げられる。たとえば、ロイシンをイソロイシンまたはバリンに、アスパラギン酸塩をグルタミン酸塩に、トレオニンをセリンに単発的に交換しても、またはアミノ酸を構造的に関連するアミノ酸に類似の交換を行っても、特に交換がフレームワーク部位内でのアミノ酸を伴わない場合、得られた分子の結合または特性に対して主要な効果を有しないことは妥当に予想される。アミノ酸の変化によって、機能的ペプチドが得られるか否かは、ポリペプチド誘導体の比活性をアッセイすることによって容易に決定することができる。アッセイは、本明細書において詳細に記述される。抗体または免疫グロブリン分子の断片またはアナログは、当業者によって容易に調製することができる。断片またはアナログの好ましいアミノおよびカルボキシ末端は、機能的ドメインの境界付近に存在する。構造および機能的ドメインは、ヌクレオチドおよび/またはアミノ酸配列データを公共または固有の配列データベースと比較することによって同定することができる。好ましくは、コンピューター化比較法を用いて、公知の構造および/または機能の他のタンパク質に存在する配列モチーフまたは予想されるタンパク質コンフォメーションドメインを同定する。公知の三次元構造に折り畳まれるタンパク質配列を同定する方法は公知である。Bowie et al. Science 253: 164 (1991)。このように、前述の例は、当業者が、本発明に従って構造および機能的ドメインを定義するために用いられうる配列モチーフおよび構造コンフォメーションを認識できることを証明する。
【0060】
好ましいアミノ酸置換は、(1)タンパク質分解に対する感受性を低減させる、(2)酸化に対する感受性を低減させる、(3)タンパク質複合体を形成するための結合親和性を変化させる、(4)結合親和性を変化させる、および(4)そのようなアナログの他の物理化学的または機能的特性を付与または改変する置換である。アナログは、天然に存在するペプチド配列以外の配列の様々なムテインを含むことができる。たとえば、1つまたは複数のアミノ酸置換(好ましくは、保存的アミノ酸置換)を、天然に存在する配列(好ましくは分子間接触を形成するドメイン外のポリペプチドの部分において)に行ってもよい。保存的アミノ酸置換は、親配列の構造的特徴を実質的に変化させてはならない(たとえば、交換アミノ酸は、親配列に存在するらせんを切断するまたは親配列を特徴付けする他のタイプの二次構造を崩壊させる傾向があってはらなない)。当技術分野において認識されるポリペプチドの二次および三次構造の例は、Proteins, Structures and Molecular Principles (Creighton, Ed., W. H. Freeman and Company, New York (1984)); Introduction to Protein Structure (C. Branden and J. Tooze, eds., Garland Publishing, New York, N.Y. (1991)); and Thornton et at. Nature 354: 105 (1991)において記述される。
【0061】
本明細書において用いられる「ポリペプチド断片」という用語は、アミノ末端および/またはカルボキシ末端欠失を有するが、残りのアミノ酸配列は、たとえば完全長のcDNA配列から推定される天然に存在する配列における対応する位置と同一であるポリペプチドを意味する。断片は典型的に、長さがアミノ酸少なくとも5、6、8、または10個であり、好ましくは長さがアミノ酸少なくとも14個であり、より好ましくは長さがアミノ酸少なくとも20個であり、通常、長さがアミノ酸少なくとも50個であり、およびさらにより好ましくは長さがアミノ酸少なくとも70個である。本明細書において用いられる「アナログ」という用語は、推定されたアミノ酸配列の部分と実質的な同一性を有し、適した結合条件下でTLR4/MD2複合体またはTLR4単独に対して特異的結合を有するアミノ酸少なくとも25個のセグメントを含むポリペプチドを意味する。典型的に、ポリペプチドアナログは、天然に存在する配列に関して保存的アミノ酸置換(または付加もしくは欠失)を含む。アナログは典型的に、長さがアミノ酸少なくとも20個、好ましくは長さがアミノ酸少なくとも50個、またはそれ以上であり、しばしば完全長の天然に存在するポリペプチドと同じ長さでありうる。
【0062】
ペプチドアナログは、製薬産業において一般的に、鋳型ペプチドの特性と類似の特性を有する非ペプチド薬として用いられる。これらのタイプの非ペプチド化合物は、「ペプチド模倣体(peptide mimeticsまたはpeptidomimetics)」と呼ばれる。Fauchere, J. Adv. Drug Res. 15:29 (1986), Veber and Freidinger TINS p.392 (1985); and Evans et al. J. Med. Chem. 30: 1229 (1987)。そのような化合物はしばしば、コンピューター化分子モデリングの助けを借りて開発されている。治療的に有用なペプチドと構造的に類似であるペプチド模倣体を用いて、同等の治療または予防効果が得られうる。一般的に、ペプチド模倣体は、ヒト抗体などの模範ポリペプチド(すなわち、生化学特性または薬理活性を有するポリペプチド)と構造的に類似であるが、当技術分野において周知の方法によって、-CH
2NH-、-CH
2S-、-CH
2-CH
2-、-CH=CH-(シスおよびトランス)、-COCH
2-、CH(OH)CH
2-、および-CH
2SO-からなる群より選択される結合によって任意で交換された1つまたは複数のペプチド結合を有する。コンセンサス配列の1つまたは複数のアミノ酸の、同じタイプのD-アミノ酸への系統的置換(たとえば、L-リジンのかわりにD-リジン)を用いて、より安定なペプチドを生成してもよい。加えて、コンセンサス配列または実質的に同一なコンセンサス配列変化を含む拘束されたペプチドを、当技術分野において公知の方法によって(Rizo and Gierasch Ann. Rev. Biochem. 61 :387 (1992))、たとえばペプチドを環状化させる分子内ジスルフィド架橋を形成することができる内部システイン残基を付加することによって生成してもよい。
【0063】
「作用物質」という用語は、本明細書において化学化合物、化学化合物の混合物、生物学的高分子、または生物材料から作製された抽出物を意味するために用いられる。
【0064】
本明細書において用いられる、「標識」または「標識された」という用語は、たとえば、印をつけたアビジン(たとえば、光学または熱量測定法によって検出することができる蛍光マーカーまたは酵素活性を含むストレプトアビジン)によって検出することができる、ビオチニル部分のポリペプチドに、放射標識アミノ酸または連結部分を組み入れることによって検出可能なマーカーを組み入れることを意味する。ある状況において、標識またはマーカーはまた、治療的でありうる。ポリペプチドおよび糖タンパク質を標識する様々な方法が当技術分野において公知であり、用いられうる。ポリペプチドの標識の例には、以下が挙げられるがこれらに限定されるわけではない:放射性同位元素または放射性核種(たとえば、
3H、
14C、
15N、
35S、
90Y、
99Tc、
111In、
125I、
131I)、蛍光標識(たとえば、FITC、ローダミン、ランタニド蛍光体)、酵素標識(たとえば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、p-ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ)、化学発光物質、ビオチニル基、二次レポーターによって認識される既定のポリペプチドエピトープ(たとえば、ロイシンジッパー対配列、二次抗体の結合部位、金属結合ドメイン、エピトープタグ)。いくつかの態様において、標識は、可能性がある立体妨害を低減させるために、様々な長さのスペーサーアームによって結合される。本明細書において用いられる「薬剤または薬物」という用語は、患者に適切に投与した場合に、所望の治療効果を誘導することができる化学化合物または組成物を意味する。
【0065】
本明細書における他の化学用語は、The McGraw-Hill Dictionary of Chemical Terms (Parker, S., Ed., McGraw-Hill, San Francisco (1985))によって例証されるように、当技術分野における慣例的用法に従って用いられる。
【0066】
「抗新生物剤」という用語は、本明細書において、ヒトにおいて新生物、特に癌腫、肉腫、リンパ腫、または白血病などの悪性(癌様)の病変の発生または進行を阻害する機能的特性を有する作用物質を意味する。転移の阻害は、しばしば抗新生物剤の特性である。
【0067】
本明細書において用いられる「実質的に純粋な」とは、目的種が、存在する優勢な種であり(すなわち、モルに基づいて、組成物中の他の任意の個々の種より豊富に存在する)、好ましくは実質的に精製された分画は、目的種が、存在する全ての高分子種の少なくとも約50%(モルに基づいて)を含む組成物である。
【0068】
一般的に、実質的に純粋な組成物は、組成物に存在する全ての高分子種が約80%を超えて、より好ましくは約85%、90%、95%、および99%を超えて含むであろう。最も好ましくは、目的種は、組成物が本質的に1つの高分子種からなる、本質的に均一になるまで精製される(通常の検出法によって組成物中に汚染種を検出することができない)。
【0069】
患者という用語は、ヒトおよび獣医学対象を含む。
【0070】
抗体
本発明のモノクローナル抗体(たとえば、マウスモノクローナル、ヒト化抗体または完全なヒトモノクローナル抗体)は、TLR4に特異的に結合する。同様に、本明細書において記述される抗体と同じエピトープに結合する抗体も本発明に含まれる。たとえば、TLR4および/またはTLR4/MD-2複合体に特異的に結合する本発明の抗体は、以下に示されるヒトTLR4上の1つまたは複数のアミノ酸残基を含むエピトープに結合する:
【0071】
当業者は、過度の実験を行うことなく、本明細書に記述される方法において用いられるモノクローナル抗体がTLR4/MD-2複合体またはMD-2と複合体を形成していないTLR4に結合するのを、あるモノクローナル抗体が妨害するか否かを確認することによって、そのモノクローナル抗体(たとえば、マウスモノクローナル抗体またはヒト化モノクローナル抗体)が、本明細書に記述される方法において用いられるモノクローナル抗体と同じ特異性を有するか否かを決定することが可能であることを認識するであろう。本発明のモノクローナル抗体による結合が減少することによって示されるように、試験されるモノクローナル抗体が本発明のモノクローナル抗体と競合すれば、2つのモノクローナル抗体は、同じまたは近縁のエピトープに結合する。モノクローナル抗体が、本発明のモノクローナル抗体の特異性を有するか否かを決定するための代替法は、本発明のモノクローナル抗体をTLR4/MD-2複合体または可溶性のTLR4タンパク質(それが通常反応性である)と共にプレインキュベートした後、試験されるモノクローナル抗体を添加して、試験されるモノクローナル抗体が、TLR4/MD-2複合体の結合能に関して、またはTLR4およびMD-2と複合体を形成したTLR4の結合能に関して阻害されるか否かを決定することである。試験されるモノクローナル抗体が阻害されれば、試験されるモノクローナル抗体は、本発明のモノクローナル抗体と同じまたは機能的に同等のエピトープ特異性を有する可能性が非常に高い。
【0072】
抗TLR4抗体の使用
本発明に従う治療実体の投与は、移動、送達、認容性の改善、およびその他を提供するために製剤に組み入れられる、適した担体、賦形剤、および他の作用物質と共に投与されると認識されるであろう。多数の適当な製剤を、全ての製薬化学者に公知である処方集:Remington's Pharmaceutical Sciences (15th ed, Mack Publishing Company, Easton, PA (1975))、特にその中のBlaug, Seymourによる第87章において見いだすことができる。これらの製剤には、たとえば、粉剤、パスタ剤、軟膏、ゼリー、ロウ、油、脂質、脂質(陽イオンまたは陰イオン性)含有小胞(Lipofectin(商標)などの)、DNAコンジュゲート、無水吸収パスタ剤、水中油型および油中水型乳剤、乳剤カーボワックス(様々な分子量のポリエチレングリコール)、半固体ゲル、およびカーボワックスを含む半固体混合物が挙げられる。前述の混合物はいずれも、製剤中の活性成分が、製剤によって不活化されず、製剤が投与経路と生理学的に適合性で認容性である限り、本発明に従う処置および治療において適切であろう。同様に、製薬化学者にとって周知である製剤、賦形剤、および担体に関連する追加の情報に関して、Baldrick P. "Pharmaceutical excipient development: the need for preclinical guidance." Regul. Toxicol Pharmacol. 32(2):210-8 (2000), Wang W. "Lyophilization and development of solid protein pharmaceuticals." Int. J. Pharm. 203(1-2): 1-60 (2000), Charman WN "Lipids, lipophilic drugs, and oral drug delivery-some emerging concepts." J Pharm Sci.89(8):967-78 (2000), Powell et al. "Compendium of excipients for parenteral formulations" PDA J Pharm Sci Technol. 52:238-311 (1998)、ならびにその中での引用を参照されたい。
【0073】
抗TLR4抗体を含む本発明の治療製剤は、移植片の拒絶を防止するおよび/または移植片の生存を延長させるために用いられる。
【0074】
処置の有効性は、移植片の拒絶または他の移植片関連障害を診断または処置するための任意の公知の方法に関連して決定される。移植された生物材料の生存を延長させること、またはそうでなければ対象における移植片拒絶を防止することは、抗体が臨床上の恩典を付与することを示している。
【0075】
抗TLR4抗体は、薬学的組成物の形状で投与されうる。そのような組成物の調製に関係する原理および検討、ならびに成分の選択における指針は、たとえばRemington : The Science And Practice Of Pharmacy 19th ed. (Alfonso R. Gennaro, et al., editors) Mack Pub. Co., Easton, Pa. : 1995; Drug Absorption Enhancement : Concepts, Possibilities, Limitations, And Trends, Harwood Academic Publishers, Langhorne, Pa., 1994; and Peptide And Protein Drug Delivery (Advances In Parenteral Sciences, Vol. 4), 1991, M. Dekker, New Yorkにおいて提供される。
【0076】
抗体断片を用いる場合、標的タンパク質の結合ドメインに特異的に結合する最小の阻害性断片が好ましい。たとえば、抗体の可変領域配列に基づいて、標的タンパク質配列の結合能を保持するペプチド分子を設計することができる。そのようなペプチドは、化学合成することができ、および/または組み換えDNA技術によって産生することができる(たとえば、Marasco et al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90: 7889-7893 (1993)を参照されたい)。製剤はまた、処置される特定の適応にとって必要な1つより多くの活性化合物、好ましくは互いに有害な影響を及ぼさない補足的活性を有する化合物を含有することができる。またはもしくは加えて、組成物は、たとえば細胞障害物質、サイトカイン、化学療法剤、または増殖阻害剤などのその機能を増強する作用物質を含むことができる。そのような分子は、ふさわしくは、意図される目的にとって有効である量で併用して存在する。
【0077】
活性成分はまた、たとえばコアセルベーション技術によってまたは界面重合化によって調製されたマイクロカプセル、たとえばコロイド薬物送達系(たとえば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子、およびナノカプセル)において、またはマクロエマルジョンにおいて、それぞれヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチンマイクロカプセルおよびポリ(メチルメタクリレート)マイクロカプセルによって捕捉することができる。
【0078】
インビボ投与のために用いられる製剤は無菌的でなければならない。これは、滅菌濾過メンブレンを通して濾過することによって容易に達成される。
【0079】
徐放性製剤を調製することができる。徐放性調製物の適した例には、マトリクスが、成型された製品、たとえばフィルムまたはマイクロカプセルの形状である、抗体を含む固体疎水性ポリマーの半透過性マトリクスが挙げられる。徐放性マトリクスの例には、ポリエステル、ハイドロゲル(たとえば、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)、またはポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号)、L-グルタミン酸とγエチル-L-グルタメートのコポリマー、非分解性エチレン酢酸ビニル、LUPRON DEPOT(商標)などの分解性の乳酸-グリコール酸コポリマー(乳酸-グリコール酸コポリマーおよび酢酸リュープロリドで構成される注射可能なミクロスフェア)、およびポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸が挙げられる。エチレン酢酸ビニルおよび乳酸-グリコール酸などのポリマーは、100日間のあいだ分子の放出を可能にするが、あるハイドロゲルは、タンパク質をより短い期間放出する。
【0080】
いくつかの態様において、抗体は、検出可能な標識を含む。抗体は、ポリクローナル抗体であるか、またはより好ましくはモノクローナル抗体である。無傷の抗体またはその断片(たとえば、F
ab、scFv、またはF
(ab)2)が用いられる。プローブまたは抗体に関して「標識された」という用語は、検出可能な物質をプローブまたは抗体にカップリングさせる(すなわち、物理的に連結させる)ことによるプローブまたは抗体の直接標識、ならびに直接標識されるもう1つの試薬との反応性によるプローブまたは抗体の間接的標識を包含すると意図される。間接的標識の例には、蛍光標識二次抗体を用いる一次抗体の検出、および蛍光標識ストレプトアビジンによって検出することができるようにビオチンによるDNAプローブの末端標識が挙げられる。「生物試料」という用語は、対象から単離された組織、細胞、および生体液、ならびに対象内に存在する組織、細胞、および液体を含むと意図される。それゆえ、血液、および血清、血漿、またはリンパを含む血液の分画または成分は「生物試料」という用語の用法内に含まれる。すなわち、本発明の検出法を用いて、インビトロならびにインビボで生物試料中の被検体mRNA、タンパク質、またはゲノムDNAを検出することができる。たとえば、被検体mRNAを検出するためのインビトロ技術には、ノザンハイブリダイゼーションおよびインサイチューハイブリダイゼーションが挙げられる。被検体タンパク質を検出するためのインビトロ技術には、酵素免疫測定法(ELISA)、ウェスタンブロット、免疫沈降、および免疫蛍光が挙げられる。被検体ゲノムDNAを検出するためのインビトロ技術にはサザンハイブリダイゼーションが挙げられる。イムノアッセイを行うための技法は、たとえば"ELISA: Theory and Practice: Methods in Molecular Biology", Vol. 42, J. R. Crowther (Ed.) Human Press, Totowa, NJ, 1995; "Immunoassay", E. Diamandis and T. Christopoulus, Academic Press, Inc., San Diego, CA, 1996; and "Practice and Theory of Enzyme Immunoassays", P. Tijssen, Elsevier Science Publishers, Amsterdam, 1985において記述される。さらに、被検体タンパク質を検出するためのインビボ技術は、標識した抗被検体タンパク質抗体を対象に導入する段階を含む。たとえば、対象におけるその存在および位置を標準的な撮像技術によって検出することができる放射活性マーカーによって、抗体を標識することができる。
【0081】
薬学的組成物
本発明の抗体または可溶性キメラポリペプチド(本明細書において「活性化合物」と呼ばれる)、ならびにその誘導体、断片、アナログ、および相同体は、投与にとって適した薬学的組成物に組み入れることができる。そのような組成物は典型的に、抗体または可溶性のキメラポリペプチドと、薬学的に許容される担体を含む。本明細書において用いられる「薬学的に許容される担体」という用語は、薬学的投与と適合性の任意のおよび全ての溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌および抗真菌剤、等張および吸収遅延剤、ならびにその他を含むと意図される。適した担体は、参照により本明細書に組み入れられる、当技術分野において標準的な参考テキストであるRemington's Pharmaceutical Sciences最新版に記述される。そのような担体または希釈剤の好ましい例には、水、食塩水、リンゲル液、デキストロース液、および5%ヒト血清アルブミンが挙げられるがこれらに限定されるわけではない。リポソームおよび固定油などの非水性媒体も同様に用いられうる。薬学的活性物質のためにそのような媒体および作用物質を用いることは、当技術分野において周知である。いかなる通常の媒体または作用物質も、活性化合物と不適合性である場合を除き、組成物におけるその使用が企図される。補助活性化合物も同様に、組成物に組み入れることができる。
【0082】
本発明の薬学的組成物は、その意図される投与経路と適合性であるように調合される。投与経路の例には、非経口、たとえば静脈内、皮内、皮下、経口(たとえば、吸入)、経皮(たとえば、表面)、経粘膜、および直腸投与が挙げられる。非経口、皮内、または皮下適用のために用いられる溶液または懸濁液は、以下の成分を含むことができる:注射用水、食塩水溶液、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、または他の合成溶媒などの滅菌希釈剤;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなどの抗菌剤;アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムなどの抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸(EDTA)などのキレート剤;酢酸塩、クエン酸塩、またはリン酸塩などの緩衝剤;および塩化ナトリウムまたはデキストロースなどの等張性調節剤。pHは、塩酸または水酸化ナトリウムなどの酸または塩基によって調節することができる。非経口調製物は、ガラスもしくはプラスチック製のアンプル、使い捨てシリンジ、または多用量バイアルに封入することができる。
【0083】
注射での使用にとって適した薬学的組成物は、滅菌水溶液(水溶性の場合)または分散液、および滅菌注射可能溶液または分散液の即時調製用滅菌粉末を含む。静脈内投与の場合、適した担体には、生理食塩液、静菌水、Cremophor EL(商標)(BASF, Parsippany, N.J.)、またはリン酸緩衝生理食塩液(PBS)が挙げられる。全ての場合において、組成物は、無菌的でなければならず、容易なシリンジ操作性が存在する程度に流動性であるべきである。組成物は、製造および保存の条件下で安定でなければならず、細菌および真菌などの微生物の汚染作用に対して保護されなければならない。担体は、たとえば水、エタノール、ポリオール(たとえば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコール、およびその他)、およびその適した混合物を含む溶媒または分散媒体でありうる。適切な流動性は、たとえばレシチンなどのコーティングを用いることによって、分散剤の場合には必要な粒子径を維持することによって、および界面活性剤を用いることによって維持することができる。微生物の作用の予防は、様々な抗菌および抗真菌剤、たとえばパラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサル、およびその他によって達成することができる。多くの場合において、等張剤、たとえば糖、マンニトール、ソルビトールなどの多価アルコール、塩化ナトリウムを組成物に含めることが好ましいであろう。注射可能な組成物の持続的な吸収は、吸収を遅らせる作用物質、たとえばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを組成物に含めることによってもたらすことができる。
【0084】
滅菌注射用溶液は、活性化合物の必要量を、適切な溶媒において、先に列挙した成分の1つまたは組み合わせと共に組み入れて、必要に応じてその後濾過滅菌することによって調製することができる。一般的に、分散剤は、基本分散培地と、先に列挙した必要な他の成分とを含む滅菌媒体に活性化合物を組み入れることによって調製される。滅菌注射用溶液を調製するための滅菌粉末の場合、調製法は、予め濾過滅菌したその溶液から、活性成分と任意の追加の所望の成分とを含む粉末を生じる真空乾燥および凍結乾燥である。
【0085】
経口組成物は一般的に、不活性希釈剤または食用担体を含む。それらを、ゼラチンカプセルに封入することができ、または錠剤に圧縮することができる。経口治療的投与の目的に関して、活性化合物を賦形剤と共に組み入れて、錠剤、トローチ剤、またはカプセル剤の剤形で用いることができる。経口組成物はまた、液体担体中の化合物が、口に適用される、すすいではき出される、または飲み込まれる、マウスウォッシュとして用いるための液体担体を用いて調製することができる。薬学的に適合性の結合剤および/または補助材料を、組成物の一部として含めることができる。錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチ剤およびその他は、以下の成分または類似の性質の化合物のいずれかを含むことができる:血漿セルロース、トラガカントゴム、またはゼラチンなどの結合剤;デンプンまたは乳糖などの賦形剤;アルギン酸、Primogel、またはコーンスターチなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムまたはSterotesなどの潤滑剤;コロイド状二酸化ケイ素などの滑剤;蔗糖またはサッカリンなどの甘味料;またはペパーミント、サリチル酸メチル、もしくはオレンジ香料などの香味料。
【0086】
吸入投与の場合、化合物は、適した促進剤、たとえば、二酸化炭素などのガスを含む加圧容器もしくはディスペンサー、またはネブライザーからのエアロゾルスプレーの剤形で送達される。
【0087】
全身投与はまた、経粘膜または経皮手段によって行うことができる。経粘膜または経皮投与の場合、浸透される障壁にとって適切な浸透剤を製剤に用いる。そのような浸透剤は一般的に当技術分野において公知であり、たとえば経粘膜投与の場合、洗浄剤、胆汁酸塩、およびフシジン酸誘導体を含む。経粘膜投与は、点鼻スプレーまたは坐剤の使用を通して達成することができる。経皮投与の場合、活性化合物は、一般的に当技術分野において公知である軟膏、軟膏剤(salve)、ゲル、またはクリームに調合される。
【0088】
化合物はまた、直腸送達のために坐剤(たとえば、カカオバターおよび他のグリセリドなどの通常の坐剤基剤と共に)または浣腸の剤形で調製することができる。
【0089】
1つの態様において、活性化合物は、インプラントおよび微小封入送達システムを含む、徐放性製剤などの、化合物が体から急速に消失しないよう保護する担体と共に調製される。エチレン酢酸ビニル、ポリアンヒドリド、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸などの生体分解性で生体適合性のポリマーを用いることができる。そのような製剤を調製する方法は、当業者に明らかであろう。材料はまた、Alza CorporationおよびNova Pharmaceuticals, Inc.からの購入によっても得ることができる。リポソーム浮遊液(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体によって感染細胞を標的とするリポソームを含む)もまた、薬学的に許容される担体として用いることができる。これらは、たとえば、米国特許第4,522,811号に記述されるように当業者に公知の方法に従って調製することができる。
【0090】
投与の容易さおよび用量の均一性のために、単位投与剤形で経口または非経口組成物を調合することが特に有利である。本明細書において用いられる単位投与剤形は、各単位が、必要な薬学的担体に関連して所望の治療効果を生じるように計算された既定量の活性化合物を含む、処置される対象にとって単位用量として適した物理的に個別の単位を意味する。本発明の単位投与剤形の仕様は、活性化合物の独自の特徴および達成される特定の治療効果、ならびに個体の処置のためにそのような活性化合物を作る技術分野における固有の制限によって左右され、それらに直接依存する。
【0091】
薬学的組成物は、投与説明書と共に、容器、パック、またはディスペンサーに含めることができる。
【0092】
本発明を、以下の実施例においてさらに説明するが、これらは特許請求の範囲に記述される本発明の範囲を制限しない。
【実施例】
【0093】
本明細書において提供した実施例およびデータは、同種異系の膵島に対する免疫応答の媒介におけるTLR4の役割を評価する。簡単に説明すると、精製ヒトまたはマウス(DBA1)膵島をそれぞれ、抗ヒトまたは抗マウスTLR4 mAb、または関連するアイソタイプ対照の存在下または非存在下で、同種異系PBMCまたはリンパ節細胞と共培養した。増殖中の細胞を、Ki67染色を用いて評価して、IFNγ分泌細胞を、ELISPOTアッセイを用いて評価した。インビトロで抗マウスmAbと共に24時間培養したDBA1膵島を、C57BL/6糖尿病マウスの腎被膜下に移植して、抗マウスmAbを移植後0から28日まで週に2回腹腔内注射した。血糖値を1週間に2回モニターした。インビトロ結果は、対照と比較してヒトおよびマウス混合膵島-リンパ球培養物においてそれぞれ、79±2%(p<0.001)および67±16%(p=0.05)の増殖の減少を示した。同様に、IFN-γ分泌細胞数の62±9%(N=3、p<0.05)および64±10%(N=3、p<0.05)の減少が観察された。インビボで、抗マウスTLR4 mAbによる処置は、動物(N=5)の80%において膵島移植片の生存を60日より長く延長し、これはアイソタイプ対照(N=6)および緩衝液処置マウス(N=3)では移植片の生存が17日目で0%であることとは対照的である。これらの結果は、TLR4遮断が、インビトロでヒトまたはマウス膵島の免疫原性を効率よく調整できること、およびインビボで無限の膵島移植片生存を達成できることを証明している。
【0094】
本明細書において記述された研究は同種異系の膵島を用いているが、材料、方法、および実施例は説明であるに過ぎず、制限すると意図されない。
【0095】
実施例1
15C1および5E3モノクローナル抗体を作製するための材料および方法:本明細書においてNI-0101とも呼ばれるhu15C1抗体を、その全内容が参照により本明細書に組み入れられる、2008年5月14日に提出されたPCT出願PCT/IB2008/003978に記述され、WO2009/101479として公開されたように作製して試験した。5E3モノクローナル抗体は、マウスTLR4に結合するモノクローナル抗体である(Daubeuf et al, "TLR4/MD-2 Monoclonal Antibody Therapy Affords Protection in Experimental Models of Septic Shock," J Immunol vol. 179:6107-6114 (1997)を参照されたい)。
【0096】
対照抗体:ヒト対照アイソタイプをSIGMA(登録商標)から購入し(リファレンス番号I5029)、FITC抗Ki-67セットをBD Pharmingen(商標)(Franklin Lakes NJ)から購入した。
【0097】
ヒト膵島:膵臓を、SwisstransplantおよびFrench Agence de la Biomedecineを通して脳死多臓器ドナーから得た。
【0098】
膵島を、Ricordiによって記述される自動化法に一部改変を加えた方法を用いて単離した(たとえば、Ricordi et al., "Automated method for isolation of human pancreatic islets," Diabetes, vol. 37(4): 413-20 (1988); Ricordi et al., "Automated islet isolation from human pancreas," Diabetes, vol. 38 Suppl 1 : 140-2 (1989)を参照されたい)。コラゲナーゼNB1(Serva Electrophoresis, Heidelberg, Germany)を用いた。膵島を、冷蔵COBE細胞プロセッサ(COBE 2991; Cobe, Lakewood, CO)によって連続的Biocoll勾配(Biochrom, Berlin, Germany)において精製した。
【0099】
膵島を、CMRL-10%FCS(10%仔ウシ胎児血清、11.2 mMグルコース、110μg/mlピルビン酸ナトリウムを含み、110単位/mlペニシリン、110μg/mlストレプトマイシン、および50μg/mlゲンタマイシンを添加した)5 mlを含む直径60 mmの非接着ペトリ皿中で、1.5 nM 15C1抗体または対照アイソタイプの存在下または非存在下で、終夜インキュベートした。
【0100】
動物:2ヶ月齢の雄性C57BL/6およびDBA1マウスをJanvier(Le Genest-St-Isle, France)から購入した。動物は全てUniversity of Genevaの動物施設において自由に飼料および水を与えて維持した。実験は全て、動物の取り扱いおよび使用に関する施設内委員会によって審査されて承認されたプロトコールの下で実施された。
【0101】
マウス膵島:雄性DBA1マウスの膵臓をコラゲナーゼによって消化した後、Sutton et al.(Sutton et al., "Human pancreatic islet isolation with increased incubation temperatures and variable density gradients," Transplant Proc, vol. 22: 758-59 (1990))の方法に変更を加えた方法を用いてFicoll精製を行うことによって、ランゲルハンス島を単離した。
【0102】
膵島を、RPMI 1640完全培地(10%仔ウシ胎児血清、11.2 mMグルコース、110μg/mlピルビン酸ナトリウムを含み、110単位/mlペニシリン、110μg/mlストレプトマイシン、および50μg/mlゲンタマイシンを添加した)5 mlを含む直径60 mmの非接着ペトリ皿中で、1.5 nM 5E3抗体または対照アイソタイプの存在下または非存在下で、終夜インキュベートした。
【0103】
細胞抽出およびリンパ球混合培養(MLC):書面での同意の上で健康なドナーから得た血液を、Histopaque-1077(SIGMA(登録商標))において2000 rpmで20分間遠心分離することによってヒト末梢血単核球(PBMC)を得た。細胞を膵島と共に直ちに播種した(MLCの章を参照されたい)。
【0104】
マウス腸間膜リンパ節を、雄性C57BL/6マウスから採取して、手動での節構造破壊によって細胞を抽出した。細胞を膵島と共に直ちに播種した(MLCの章を参照されたい)。
【0105】
25 IEQのアリコートを、捕捉IFNγ抗体(製造元の推奨に従う、eBiosciences(登録商標)ヒトおよびマウスIFNγELISPOT Ready-SET-Goアッセイキット)を予めコーティングしたMillipore(登録商標)Multiscreen-IP 96ウェルプレートにおいて、全量200μlの改変完全RPMI 1640培地(10%仔ウシ胎児血清またはヒト血清、11.2 mMグルコース、110μg/mlピルビン酸ナトリウムを含み、110単位/mlペニシリン、110μg/mlストレプトマイシン、0.5 mM β-メルカプトエタノール、およびMEM非必須アミノ酸溶液1×(SIGMA(登録商標))を添加した)中で、抗TLR4抗体または対照アイソタイプの存在下または非存在下で、ヒトPBMCまたはマウスリンパ節細胞500,000個と共に播種した。対照として膵島を加えずに細胞を播種した。
【0106】
3日後、細胞および膵島を非接着96ウェルプレートに移した。製造元の推奨に従ってELISPOTメンブレンを顕色した。スポットを自動Immunospotアナライザ(Cellular Technology Ltd, Bonn, Germany)を用いて計数した。
【0107】
細胞と膵島との反応をさらに4日間継続した後、細胞増殖の測定を行った。細胞を、1000 rpmで1分間遠心分離することによって膵島から分離して、eBioscience(登録商標)Foxp3染色緩衝液セットを用いて、製造元の推奨に従って固定して透過性にした。30分間インキュベートした後、細胞をFITC抗Ki-67抗体によって標識した。細胞を得て、FACSCaliburフローサイトメーター(BD Biosciences(登録商標))によって分析した。
【0108】
膵島の移植:ストレプトゾトシン(200 mg/kg i.p.)を用いて、膵島移植の少なくとも5日前にC57BL/6マウスにおいて糖尿病を誘発した。糖尿病は、非絶食時血糖値レベルが、移植前に2日間またはそれ以上連続して≧18.0 mMであるとして定義された。終夜培養後、DBA1マウス600膵島量を、糖尿病マウスの左腎被膜下に移植した。血糖値を週に2回モニターして、マウスに5E3 500μg、対照アイソタイプまたは緩衝液(PBS)を移植後0日から28日まで週に2回腹腔内注射した。移植片の拒絶は、18 mMより高い3回連続する血糖症として定義された。
【0109】
データおよび統計分析の提示:データは、「n」回の独立した実験に関する平均値±S.E.として表記し、群のあいだの差に関する有意水準は、GraphPad PRISMソフトウェアを用いて、対応のない群に関するStudentのt検定またはログランク(Mantel-Cox)検定によって評価した(*=p<0.05、**=p<0.01、***=p<0.001、****=p<0.0001)。
【0110】
他の態様
本発明は、その詳細な説明に関連して記述してきたが、前述の説明は例証することを意図しており、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を制限しない。他の局面、利点、および変更は、以下の特許請求の範囲の範囲内である。