(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記除去精製工程前に、前記イソシアヌレート型ポリイソシアネート組成物を、80〜170℃の温度で20〜120分間熱処理するプレ熱処理工程をさらに有する、請求項1に記載のイソシアヌレート型ポリイソシアネート組成物の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1及び2では、ポリイソシアネート組成物の濁り、くすみについては何ら検討がなされていない。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、製造時及び長期貯蔵時の濁り、くすみが抑制され、かつ着色が防止されたイソシアヌレート型ポリイソシアネート組成物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、鋭意研究した結果、イソシアヌレート型ポリイソシアネート組成物の製造工程において、1回目の蒸留後及び2回目の蒸留後に、HDIモノマー含有量が特定の範囲において、特定条件で熱処理を行うことにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕
ヘキサメチレンジイソシアネートモノマーからイソシアヌレート型ポリイソシアネート組成物を得るイソシアヌレート化反応工程と、
少なくとも2回の蒸留により、前記イソシアヌレート型ポリイソシアネート組成物から前記ヘキサメチレンジイソシアネートモノマーを除去する除去精製工程と、を有し、
該除去精製工程の1回目の蒸留後、前記ヘキサメチレンジイソシアネートモノマーを1〜
12質量%含む前記イソシアヌレート型ポリイソシアネート組成物を、
120〜200℃の温度で
30〜180分間熱処理し、
前記除去精製工程の2回目の蒸留後、前記ヘキサメチレンジイソシアネートモノマーを0〜
0.5質量%含む前記イソシアヌレート型ポリイソシアネート組成物を、
70〜120℃の温度で
45〜240分間熱処理する、
イソシアヌレート型ポリイソシアネート組成物の製造方法。
〔2〕
前記除去精製工程前に、前記イソシアヌレート型ポリイソシアネート組成物を、80〜170℃の温度で20〜120分間熱処理するプレ熱処理工程をさらに有する、前項〔1〕に記載のイソシアヌレート型ポリイソシアネート組成物の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、製造時及び長期貯蔵時の濁り、くすみが抑制され、かつ着色が防止されたイソシアヌレート型ポリイソシアネート組成物の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0012】
〔イソシアヌレート型ポリイソシアネート組成物の製造方法〕
イソシアヌレート型ポリイソシアネート組成物(以下、「ポリイソシアネート組成物」ともいう。)の製造方法は、
ヘキサメチレンジイソシアネートモノマーからイソシアヌレート型ポリイソシアネート組成物を得るイソシアヌレート化反応工程と、
少なくとも2回の蒸留により、前記イソシアヌレート型ポリイソシアネート組成物から前記ヘキサメチレンジイソシアネートモノマーを除去する除去精製工程と、を有し、
該除去精製工程の1回目の蒸留後、前記ヘキサメチレンジイソシアネートモノマーを1〜20質量%含む前記イソシアヌレート型ポリイソシアネート組成物を、60〜200℃の温度で10〜360分間熱処理し、
前記除去精製工程の2回目の蒸留後、前記ヘキサメチレンジイソシアネートモノマーを0〜1質量%含む前記イソシアヌレート型ポリイソシアネート組成物を、50〜130℃の温度で30〜360分間熱処理する。
【0013】
〔イソシアヌレート化反応工程〕
イソシアヌレート化反応工程は、ヘキサメチレンジイソシアネートモノマーからイソシアヌレート型ポリイソシアネート組成物を得る工程である。脂肪族であるHDIモノマーを原料としたポリイソシアネート組成物は、塗料用硬化剤として使用した場合、耐候性等の塗膜物性に非常に優れる傾向にある。また、イソシアヌレート型ポリイソシアネートは、ビウレット型ポリイソシアネート等と比較すると、塗料用硬化剤として使用した場合、耐候性等の塗膜物性に非常に優れる傾向にある。なお、ポリイソシアネート組成物にはアロファネート構造が含まれていてもよい。
【0014】
イソシアヌレート化反応工程で用いうる触媒としては、一般的に使用されるイソシアヌレート化触媒であれば特に限定されないが、例えば、一般に塩基性を有するものが好ましい。このようなイソシアヌレート化触媒としては、特に限定されないが、例えば、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム等のテトラアルキルアンモニウムのハイドロオキサイド、若しくはこれらの酢酸、カプリン酸等の有機弱酸塩;トリメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウム、トリエチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリエチルヒドロキシエチルアンモニウム等のヒドロキシアルキルアンモニウムのハイドロオキサイド、若しくはこれらの酢酸、カプリン酸等の有機弱酸塩;酢酸、カプロン酸、オクチル酸、ミリスチン酸等のアルキルカルボン酸の、錫、亜鉛、鉛等のアルカリ金属塩;ナトリウム、カリウム等の金属アルコラート;ヘキサメチルジシラザン等のアミノシリル基含有化合物;マンニッヒ塩基類;第3級アミン類とエポキシ化合物との併用;又はトリブチルホスフィン等の燐系化合物等が挙げられる。
【0015】
このなかでも、4級アンモニウムの有機弱酸塩が好ましく、テトラアルキルアンモニウムの有機弱酸塩がさらに好ましい。
【0016】
イソシアヌレート化反応は、リン酸、酸性リン酸エステルなどの酸性物質のような触媒を中和する化合物を添加したり、触媒を熱分解したり、化学分解したりすること等により不活性化され、停止させることができる。
【0017】
転化率は、好ましくは10〜70質量%であり、より好ましくは10〜60質量%であり、さらに好ましくは10〜50質量%である。収率が高いほど、ポリイソシアネート組成物の粘度がより向上する傾向にある。なお、転化率は反応液の屈折率測定により測定することができる。
【0018】
イソシアヌレート化反応は溶媒を用いても、用いなくてもよい。溶媒を用いる場合は、イソシアネート基に対して不活性な溶媒を用いることが好ましい。反応温度は、好ましくは20〜160℃であり、より好ましくは40〜120℃である。
【0019】
イソシアヌレート化反応工程においては、原料としてアルコールを用いることもできる。アルコールを用いることで、アロファネート構造を有するポリイソシアネート組成物とすることが出来る。用いることができるアルコールとしては、特に限定されないが、例えば、モノアルコール、ジオール等が挙げられる。モノアルコールとしては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、s−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、n−ノナノール、2−エチルブタノール、2,2−ジメチルヘキサノール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、エチルシクロヘキサノール等の直鎖もしくは分岐アルコール、又は脂環式アルコールが挙げられる。
【0020】
ジオールとしては、1分子中に2個の水酸基を有する化合物であれば特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、メチルペンタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、メチルペンタンジオール、メオペンチルグリコール、水添ビスフェノールA、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどが挙げられる。
【0021】
上記アルコールの中でi−ブタノールや2−エチルヘキサノール、2−エチルヘキサン−1,3−ジオール等の分岐モノアルコールが特に好ましい。アルコールは、単独で用いても良いし、2 種以上を併用して用いても良い。また、アルコールは、イソシアヌレート化触媒と同時に添加することもできるし、触媒の添加に先立ち、HDIモノマーに添加することもできる。
【0022】
アロファネート化反応には、通常、アロファネート化触媒を用いる。アロファネート化触媒としては、特に限定されないが、例えば、錫、鉛、亜鉛、ビスマス、ジルコニウム、ジルコニルなどのアルキルカルボン酸塩である、2−エチルヘキサン酸錫、ジブチル錫ジラウレートなどの有機錫化合物;2−エチルヘキサン酸鉛などの有機鉛化合物;2−エチルヘキサン酸亜鉛などの有機亜鉛化合物;2−エチルヘキサン酸ビスマス、2−エチルヘキサン酸ジルコニウム、2−エチルヘキサン酸ジルコニルなどが挙げられる。これらは1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0023】
また、前記のイソシアヌレート化触媒もアロファネート化触媒となり得る。前記のイソシアヌレート化触媒を用いると、イソシアヌレート化反応とアロファネート化反応が同時に起こり、アロファネート構造を有するイソシアヌレート型ポリイソシアネートとすることができる。
【0024】
触媒として、前記のイソシアヌレート化触媒を用い、アロファネート化反応とイソシアヌレート反応を行うことが経済的生産上、好ましい。
【0025】
〔プレ熱処理工程〕
イソシアヌレート化反応終了後、未反応のHDIモノマーは後述する除去精製工程により除去するが、除去精製工程前に、イソシアヌレート型ポリイソシアネート組成物を、80〜170℃の温度で20〜120分間熱処理するプレ熱処理工程を行うことが好ましい。プレ熱処理工程における熱処理温度は、好ましくは80〜170℃であり、より好ましくは85〜165℃であり、さらに好ましくは90〜160℃である。また、プレ熱処理工程における熱処理時間は、好ましくは20〜120分間であり、より好ましくは20〜100分間であり、さらに好ましくは20〜80分間である。熱処理温度が80℃以上であり、熱処理時間が20分以上であることにより、製造時及び長期貯蔵時の濁り、くすみ抑制効果が大きくなる傾向にある。また、熱処理温度が170℃以下であり、熱処理時間が120分以下であることにより、着色をより防止できる傾向にある。
【0026】
〔除去精製工程〕
除去精製工程は、少なくとも2回の蒸留により、イソシアヌレート型ポリイソシアネート組成物からヘキサメチレンジイソシアネートモノマーを除去する工程である。蒸留方法としては、特に限定されないが、例えば、薄膜蒸留等が挙げられる。
【0027】
本実施形態の製造方法においては、除去精製工程の1回目の蒸留後、ヘキサメチレンジイソシアネートモノマーを1〜20質量%含むイソシアヌレート型ポリイソシアネート組成物を、60〜200℃の温度で10〜360分間熱処理し、除去精製工程の2回目の蒸留後、ヘキサメチレンジイソシアネートモノマーを0〜1質量%含むイソシアヌレート型ポリイソシアネート組成物を、50〜130℃の温度で30〜360分間熱処理する。なお、1回目及び2回目の蒸留にいて、ヘキサメチレンジイソシアネートモノマーの含有量は、蒸留時の真空度を調整することにより制御することができる。この際、2回目の蒸留時の真空度が高いことが好ましい。
【0028】
1回目の蒸留後にポリイソシアネート組成物に含まれるHDIモノマーの含有量は、1〜20質量%であり、好ましくは1〜15質量%であり、より好ましくは1〜12質量%である。1回目の蒸留後にポリイソシアネート組成物に含まれるHDIモノマーの含有量が上記範囲内であることにより、製造時及び長期貯蔵時の濁り、くすみ抑制効果が大きくなる。
【0029】
また、1回目の蒸留後の熱処理温度は、60〜200℃であり、好ましくは80〜200℃であり、より好ましくは100〜200℃の範囲である。熱処理温度が60℃以上であることにより、製造時及び長期貯蔵時の濁り、くすみ抑制効果が大きくなる。また、熱処理温度が200℃以下であることにより、着色を防止することができる。
【0030】
さらに、1回目の蒸留後の熱処理時間は、10〜360分間であり、好ましくは20〜240分間であり、より好ましくは30〜180分間である。熱処理時間が10分以上であることにより、製造時及び長期貯蔵時の濁り、くすみ抑制効果が大きくなる。また、熱処理時間が360分以下であることにより、着色を防止することができる。
【0031】
上記熱処理工程後、2回目の蒸留により残存するHDIモノマーを除去する。2回目の蒸留後にポリイソシアネート組成物に含まれるHDIモノマーの含有量は、0〜1質量%であり、好ましくは0〜0.7質量%であり、より好ましくは0〜0.5質量%である。2回目の蒸留後にポリイソシアネート組成物に含まれるHDIモノマーの含有量が上記範囲内であることにより、製造時及び長期貯蔵時の濁り、くすみ抑制効果が大きくなる。
【0032】
また、2回目の蒸留後の熱処理温度は、50〜130℃であり、好ましくは60〜120℃であり、より好ましくは70〜120℃である。熱処理温度が50℃以上であることにより、製造時及び長期貯蔵時の濁り、くすみ抑制効果が大きくなる。また、熱処理温度が130℃以下であることにより、着色を防止することができる。
【0033】
さらに、2回目の蒸留後の熱処理時間は、30〜360分間であり、好ましくは30〜240分間である。熱処理時間が30分以上であることにより、製造時及び長期貯蔵時の濁り、くすみ抑制効果が大きくなる。また、熱処理時間が360分以下であることにより、着色を防止することができる。
【0034】
〔用途〕
本実施形態の製造方法により得られたポリイソシアネート組成物を硬化剤として用いた塗料組成物は、ロール塗装、カーテンフロー塗装、スプレー塗装、ベル塗装、静電塗装等の塗料として用いることができる。例えば、金属(鋼板、表面処理鋼板等)、プラスチック、木材、フィルム、無機材料等の素材に対するプライマーや上中塗り塗料として有用である。また、防錆鋼板を含むプレコートメタル、自動車塗装などに美粧性、耐候性、耐酸性、防錆性、耐チッピング性などを付与するための塗料としても有用である。また、接着剤、粘着剤、エラストマー、フォーム、表面処理剤等のウレタン原料としても有用である。
【実施例】
【0035】
以下、本発明を実施例及び比較例に基づいてさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。
【0036】
<製造時及び長期貯蔵時の濁り、くすみの測定>
ポリイソシアネート組成物の濁り、くすみの測定は、下記条件によりポリイソシアネート組成物のHaze値を測定することにより行った。まず、得られたポリイソシアネート組成物のHaze値を以下に記載した条件で測定した。次いで、ポリイソシアネート組成物100gを250mLの金属缶に入れ、缶内部を窒素置換した後、密閉した。その金属缶を50℃のオーブンに入れ、1ヶ月間貯蔵し、貯蔵後のHaze値を以下に記載した条件で測定した。貯蔵前後のHaze値を下記評価基準にて評価した。
装置:日本電色工業株式会社 NDH2000
セル:ガラス製70mm角セル
(評価基準)
×(濁りが多く使用不可) :Haze値が、3.0以上であった。
△(わずかに濁りがあるが使用可):Haze値が、1.5以上3.0未満であった。
○(濁りがほぼなし) :Haze値が、0.5以上1.5未満であった。
◎(濁りがまったくなし) :Haze値が、0.5未満であった。
【0037】
<HDIモノマーの含有量の測定>
最初に、20mLサンプル瓶をデジタル天秤に乗せ試料を約1g精秤した。次に、ニトロベンゼン(内部標準液)を0.03〜0.04g加え精秤した。最後に、酢酸エチルを約9mL加えた後、蓋をしっかりしてよく混合し、サンプルを調整した。得られたサンプルを以下の条件で、ガスクロマトグラフィー分析し、HDIモノマーの含有量を定量した。
装置 :SHIMADZU(株)GC−8A
カラム :信和化工(株)Silicone OV−17
カラムオーブン温度 :120℃
インジェクション/ディテクター温度:160℃
【0038】
<色度の測定>
下記装置を用いて、ポリイソシアネート組成物の波長430nmの光の透過率の値を測定した。得られた透過率に基づいて、下記評価基準によりポリイソシアネート組成物の色度を評価した。
装置:JASCO 日本分光株式会社 V−650
セル:ガラス製2cm角セル
(評価基準)
×(着色が激しく使用不可) :透過率が90%未満であった。
△(わずかに着色しているが使用可):透過率が90%以上96%未満であった。
○(着色がまったく無し) :透過率が96%以上であった。
【0039】
[実施例1]
攪拌器、温度計、冷却管を取り付けた4つ口フラスコの内部を窒素置換し、HDI:1000gを仕込み、70℃で攪拌下、イソシアヌレート化触媒としてテトラメチルアンモニウム・カプリエート:0.1g、2−エチルヘキサノール:2.0gを同時に加えた。反応液の屈折率測定により転化率が25%になった時点でリン酸0.2gを添加してイソシアヌレート化反応を停止した。さらに、得られたイソシアヌレート型ポリイソシアネート組成物を100℃にて150分加熱した。
【0040】
続いて、イソシアヌレート型ポリイソシアネート組成物を濾過した後、未反応のHDIモノマーの一部を、160℃、0.8mmHgの条件下で1回目の薄膜蒸留により除去した。1回目の薄膜蒸留後のイソシアヌレート型ポリイソシアネート組成物中のHDIモノマーの含有量は12.0質量%であった。1回目の薄膜蒸留後のイソシアヌレート型ポリイソシアネート組成物を120℃の温度で60分間熱処理を行った。その後余剰のHDIモノマーを、160℃、0.1mmHgの条件下で2回目の薄膜蒸留により除去した。2回目の薄膜蒸留後のイソシアヌレート型ポリイソシアネート組成物中のHDIモノマーの含有量は0.10質量%であった。2回目の薄膜蒸留後のイソシアヌレート型ポリイソシアネート組成物を90℃の温度で180分間熱処理を行った。得られたイソシアヌレート型ポリイソシアネートの物性を表1に記載する。
【0041】
[実施例2〜8]
実施例1に従って、表1に記載の条件で合成と熱処理を行い、ポリイソシアネート組成物を得た。得られたイソシアヌレート型ポリイソシアネート組成物の物性を表1に記載する。
【0042】
[比較例1]
攪拌器、温度計、冷却管を取り付けた4つ口フラスコの内部を窒素置換し、HDI:1000gを仕込み、70℃で攪拌下、イソシアヌレート化触媒としてテトラメチルアンモニウム・カプリエート:0.1g、2−エチルヘキサノール:4.0gを同時に加えた。反応液の屈折率測定により転化率が40%になった時点でリン酸0.2gを添加してイソシアヌレート化反応を停止した。さらに、得られたイソシアヌレート型ポリイソシアネート組成物を90℃にて60分加熱した。
【0043】
続いて、イソシアヌレート型ポリイソシアネート組成物を濾過した後、未反応のHDIモノマーの一部を、160℃、0.8mmHgの条件下で1回目の薄膜蒸留により除去した。1回目の薄膜蒸留後のイソシアヌレート型ポリイソシアネート組成物中のHDIモノマーの含有量は12.0質量%であった。1回目の薄膜蒸留後のイソシアヌレート型ポリイソシアネート組成物を120℃の温度で60分間熱処理を行った。その後余剰のHDIモノマーを、160℃、0.1mmHgの条件下で2回目の薄膜蒸留により除去した。2回目の薄膜蒸留後のイソシアヌレート型ポリイソシアネート組成物中のHDIモノマーの含有量は0.10質量%であった。2回目の薄膜蒸留後の熱処理は行わなかった。得られたイソシアヌレート型ポリイソシアネート組成物の物性を表1に記載する。
【0044】
[比較例2〜7]
実施例1に従って、表1の条件で合成と熱処理を行い、ポリイソシアネート組成物を得た。得られたイソシアヌレート型ポリイソシアネート組成物の物性を表1に記載する。
【0045】
【表1】
【0046】
比較例1と実施例との比較により、熱処理は1回のみであると濁りの抑制という観点から不十分であることが分かった。
【0047】
以上より、各実施例の製造方法によって製造されたポリイソシアネート組成物は、製造時及び長期貯蔵時の濁り、くすみが抑制されたイソシアヌレート型ポリイソシアネートであることが確認された。