(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1は、トンネル10を掘削中の山岳地盤を示す概略断面図である。以下、本発明のトンネル掘削における地質探査方法について、図面を参照して詳細に説明する。同図において破線で示す11は、トンネル10の掘削予定路線である。掘削予定路線11とは、トンネルの掘削が予定された経路をいい、掘削予定路線11上の地表とは、路線の上方に位置する山岳地の地上面12をいう。
図1に示すトンネル10は山岳地帯に施工中のものであり、図中二点鎖線で示す先端の切羽13を繰り返し発破することにより数m間隔で掘り進められる。トンネル10の切羽前方の地質は、本発明に係る地質探査方法の一実施形態を地質探査装置1で実行することにより探査される。
【0008】
図2(a),(b)は、地質探査装置1の構成を示すブロック図である。同図に示すように、地質探査装置1は、トンネル坑内に設置される坑内観測装置2と、トンネル坑外に設置される坑外観測装置4と、坑内観測装置2及び坑外観測装置4で観測された発破振動に基づいて地質を解析する解析装置5(
図1参照)とを含んで構成される。
坑内観測装置2は、発破起爆装置21、震源22、複数の坑内受振器24及び坑内記録装置25を備える。
発破起爆装置21は、この地質探査において震源22を起爆するための装置であり、発破器27と電力供給線28と発破信号検出器29とを備える。発破器27は、震源22と電力供給線28を介して接続され、内蔵する電源27Aから震源22に電力を供給する。電力供給線28は、高電圧大電流の流れを許容可能な導線である。発破信号検出器29は、発破器27から各雷管30に向かう高電圧の電力が電力供給線28に流れたことを非接触で検出するセンサであって、数マイクロ秒の遅れで当該発破信号検出器29に接続された坑内記録装置25にパルス信号として出力する。
震源22は、雷管30と発破(ダイナマイト)31からなる。雷管30には、例えば、瞬発電気雷管(通電から2ミリ秒以内で起爆するように制御される雷管)やDS電気雷管(デシセコンド雷管、各段で通常250〜500ミリ秒ずつ遅れて起爆するように制御される雷管)により10段程度の段発雷管が用いられ、1段目には瞬発電気雷管が用いられ、2段目以降にはDS電気雷管が用いられる。なお、雷管30の構成は上記構成に限らず、任意の構成とすることができる。
【0009】
したがって、発破器27から電力供給線28に電流が流れることで、雷管30と発破31が時間遅れをともなって順次爆破して発破振動が発生する。この発破信号検出器29から坑内記録装置25に出力されたパルス信号が、坑内記録装置25に内蔵された内部時計により、このパルス信号の立ち上がり時刻を発破時刻、つまり発破振動の発振開始時刻として記録される。
なお、発破は複数段の段発発破により行われるが、本実施形態では、坑内記録装置25に記録された1段目の雷管30の発破時刻を発振時刻として処理するものとして説明する。
【0010】
坑内受振器24は、例えばジオフォン(陸上受振器)などの小型の地震計からなり、トンネル10の長手方向に沿って所定の間隔、例えば10m程度の間隔を空けて並べて複数配置される。坑内受振器24は、接続ケーブル24Aにより、坑内受振器24が接続されるとともに坑内記録装置25と接続される。
なお、坑内受振器24は、あらかじめトンネル坑内の地盤上や、側壁上に設けたボーリング孔に配置して当該坑内における地盤等の振動状態を検出するようにしても良い。また、ボーリング孔に限らず、トンネル坑内の天井、壁、床の各面に直接設置しても良い。
この坑内受振器24が観測した発破振動のデータ(受振データ)は、デジタル信号に変換された後、坑内記録装置25に出力される。
【0011】
坑内記録装置25は、内部時計32と、GPS受信器33と、電源装置34と、記録媒体35とを備えたデータロガーである。内部時計32は、水晶発振により時刻を進行させる時計である。内部時計32は、GPS受信器33で受信されたGPS信号に含まれるGPS時刻に同期可能に構成される。GPS受信器33は、GPSアンテナ33aを備え、GPSアンテナ33aで受信したGPS信号に含まれるGPS時刻を受信するとともに、GPS衛星から受信したGPS信号に基づいてGPS受信器33の地球上における位置情報を処理する。
なお、GPS信号とは、GPS(Global Positioning System;全地球測位システム)衛星から発せられた時刻校正を目的とした信号(1PPS、時刻情報など)を含んだ電波信号である。
【0012】
電源装置34は、100Vや200Vの商用電源から供給された電力を充電可能に構成された2次電池や、乾電池などの一次電池で構成された蓄電池であって、100Vや200Vの商用電源から独立して移動可能に構成される。記録媒体35は、例えば、着脱自在な記憶ディスクである。
この坑内記録装置25は、例えば、GPSアンテナ33aが露出するように、防爆ケースなどに収容され、例えば1つのバックパックなどのバッグに収容してトンネル坑外に持ち運び自在に構成される。このように坑内記録装置25をトンネル坑外に搬出可能にしておくことで、発破振動を受振するときの内部時計32の時刻をGPS時計の時刻に一致させた状態を保つことができる。
【0013】
この坑内記録装置25は、切羽13が前進する毎に、トンネル坑外に持ち出されることにより、内部時計32がGPS時刻に同期される。そして、GPS受信器33がGPS信号を受信する毎に内部時計32がGPS信号に含まれたGPS時刻(基準時刻)と自動的に同期して、上述の発破信号検出器29で検出した発破信号を発破開始時刻の合図とし、内部時計32の時刻を時間軸とする波形として坑内受振器24から入力された受振データを内蔵する記録媒体35に記録する。記録媒体35には、例えば、着脱自在なメモリディスク、及びハードディスクなどが挙げられる。
なお、GPS受信器33及びGPSアンテナ33aは、坑内記録装置25から分離してGPS電波を受信可能にトンネル坑外に設け、坑内記録装置25とGPS受信器33とが通信可能なように有線や無線により接続しても良い。また、GPSアンテナ33aのみをトンネル坑外に設けて、GPS受信器33にGPSアンテナ33aで受信した信号を出力可能なように有線により接続するようにしても良い。
【0014】
坑外観測装置4は、坑外受振器41と坑外記録装置42とを含んで構成される。坑外受振器41は、坑内受振器24と同様なジオフォンなどの小型の地震計などで構成され、トンネル10の掘削予定路線11の切羽13よりも前方の地上面12上の複数箇所に受振点として配置される。本実施形態では、各坑外受振器41は、
図1に示すように、例えば、掘削予定路線11上に沿って接続ケーブル41Aにより接続され、3箇所に配置される。これら坑外受振器41は坑外記録装置42を備える。坑外受振器41は坑外記録装置42と接続されて震源22を起振点として地表に伝播する発破振動を各坑外受振器41で受振した受振データとして坑外記録装置42に出力する。なお、坑外受振器41が観測した発破振動のデータ(受振データ)は、デジタル信号に変換された後、坑外記録装置42に出力されて記録される。
【0015】
坑外記録装置42は、内部時計(水晶時計)43を備えたデータロガーであって、坑外受振器41から入力された受振データを内部時計43の時刻を時間軸とした波形として発破振動を内蔵する記録手段を介して記録媒体46に記録する。記録媒体46には、例えば、着脱自在なメモリディスク、及びハードディスクなどが挙げられる。
【0016】
坑外記録装置42は、内部時計43と、GPS受信器44と、電源装置45と、記録媒体46とを備えたデータロガーである。内部時計43は、水晶発振により時刻を進行させる時計である。内部時計43は、GPS受信器44で受信されたGPS信号に含まれるGPS時刻に同期可能に構成される。GPS受信器44は、GPSアンテナ44aを備え、GPSアンテナ44aで受信したGPS信号に含まれるGPS時刻を受信するとともに、GPS衛星から受信したGPS信号に基づいてGPS受信器44の地球上における位置情報、例えば緯度、経度及び標高の演算処理をする。GPS信号から演算処理された位置情報は、図示しない表示装置に表示され、この位置情報をもとに、坑外受振器41が、掘削予定路線11の切羽13よりも前方の地上面12上に配置されているかどうか確認される。つまり、GPS信号から得られた位置情報により切羽前方における坑外受振器41の位置を取得することにより、トンネル掘削予定路線上に沿った異なる地上面に坑外受振器41を確実に移動させることができる。また、坑外受振器41を接地した場所が正確に特定できるので、後述の解析装置5により地山の地質状態を解析するときに、地山における地質状態の異なる位置を精度良く把握することができる。なお、坑外受振器41が発破振動を受信したときには、発破振動とともに受信した位置情報も合わせて記録される。
【0017】
電源装置45は、100Vや200Vの商用電源から供給された電力を充電可能に構成された2次電池や、乾電池などの一次電池で構成された蓄電池であって、100Vや200Vの商用電源から独立して移動可能に構成される。
この坑外記録装置42は、例えば、GPSアンテナ44aが露出するように防水ケースや防爆ケースなどに収容され、坑外受振器41とともに坑外観測装置4のセットとして1つのバックパックなどのバッグやケースなどの収容体にひとつの荷物として収容され、トンネル坑外において持ち運び自在に構成される。このように坑外記録装置42を移動自在にしておくことで、坑外での持ち運びや移動が容易となるとともに、発破振動を受振するときの内部時計43の時刻をGPS時計の時刻に一致させた状態を保つことができる。
【0018】
解析装置5は、CPUやメモリ、モニタ等を備えたいわゆるパーソナルコンピュータで構成され、坑内記録装置25及び坑外記録装置42で記録された受振データ及び受振データを受振した位置情報に基づいて掘削すべき地山の地質状態を解析する。なお、受振データを受振した位置情報は、測量に基づくものであっても良い。解析装置5は、
図1に示すように、例えばトンネル10の坑外に設けられた現場事務所内に設置される。
解析装置5は、坑内記録装置25,坑外記録装置42から受振データが入力されると、これらの記録データを屈折法、反射法、トモグラフィ解析等の様々な手法で解析する。そして、この解析結果を分析することにより、トンネル10の切羽前方の地質(地山)を予測するとともに、既に掘削した区間の地質の評価を実行する。
【0019】
図3は、本発明の地質探査方法の手順を示すフローチャートである。
以下、
図3及び
図4を用いて本発明の地質探査方法の手順について説明する。
地質探査工程は、探査準備工程101と、観測装置配置工程102と、発破工程103と、受振工程104と、データ回収工程105と、データ取込工程106と、解析工程107とを含んで構成される。
探査準備工程101では、坑内観測装置2及び坑外観測装置4の動作確認及び記録媒体35,46の挿入の確認と、坑内記録装置25の内部時計32及び坑外記録装置42の内部時計43の時計合わせを実施する。坑内記録装置25がトンネル坑内にある場合には、トンネル坑外に持ち出し、GPSアンテナ33aがGPS電波を受信可能な位置に移動させて内部時計32をGPS時刻に同期させる。また、坑外記録装置42のGPSアンテナ44aにGPS電波を受信させて内部時計43をGPS時刻に同期させる。これにより坑内記録装置25及び坑外記録装置42の内部時計32,43の時刻が同期される。
【0020】
観測装置配置工程102では、切羽13に設けられた発破31に雷管30を取り付け、雷管30と発破器27とを電力供給線28で接続し、この電力供給線28に発破信号検出器29を取り付ける。発破信号検出器29は、GPS時刻に同期された坑内記録装置25と接続される。また、トンネル坑内には、トンネル10の長手方向に沿って所定の間隔を空けて並べて2つの坑内受振器24が発破振動を受振可能に接地され、接続ケーブル24Aを介して坑内記録装置25と接続される。これにより坑内観測装置2がトンネル10内に配置される。
また、坑外観測装置4は、トンネル10の掘削予定路線11の切羽13よりも前方の地上面12上に、掘削予定路線11上に沿って坑外受振器41が接続ケーブル41Aを介して接続され、例えば3箇所の異なる位置に接地される。この接続ケーブル41Aの一端を坑外記録装置42と接続することで坑外観測装置4の配置が完了する。
【0021】
発破工程103では、観測装置配置工程102によりトンネル坑内に配置した発破器27を操作して、発破器27に内蔵した電源27Aから電力供給線28を介して雷管30に電力を供給し、雷管30を起爆材として発破31を爆破させて切羽13を掘削するとともにトンネル10を掘削している地山内に発破振動を生じさせる。このとき電力供給線28を流れた電流が発破信号検出器29により検出され、坑内記録装置25にパルス信号として出力され、発震時刻(発破時刻)が記録される。
【0022】
受振工程104では、地山に生じた発破振動をトンネル坑内に配置した2つの坑内受振器24及びトンネル坑外に配置した3つの坑外受振器41で受振する。すなわち、トンネル10の切羽13を掘削するために、切羽13に設けられた発破31の爆発を起震源とした発破振動が、発破点から放射状に伝播し、地山を通り地上面12に到達した振動が坑外受振器41により観測される。また、坑内受振器24では、トンネル掘削のための発破を起震源とした発破振動が、この発破点から放射状に発せられた弾性波として地中内を伝播して地中内の地質が変化する境界面で反射した反射波が受振される。つまり、坑内受振器24が受振した受振データは、発破点から各反射面までの距離情報を含んだものである。
【0023】
データ回収工程105では、坑内記録装置25及び坑外記録装置42から記録媒体35及び記録媒体46を回収する。なお、記録媒体46は、坑外記録装置42ごと回収するようにしても良い。このとき、坑外記録装置42とともに3つの坑外受振器41を回収しても良く、坑外受振器41を地上面12に残したまま坑外記録装置42のみを回収して受振データを回収するようにしても良い。
【0024】
データ取込工程106では、回収した記録媒体35,46から受振データを解析装置5に取り込ませる。
解析工程107では、データ取込工程106により取り込んだ受振データを屈折法、反射法、トモグラフィ解析等の様々な手法で解析する。そして、この解析結果を分析することにより、トンネル10の切羽前方の地質(地山)を予測する。
具体的には、解析装置5は、坑内記録装置25が記録した発破時刻と、坑内受振器24が記録した発破振動の受振時刻とから、発破点と坑外受振器41の設置点との間における発破振動の伝搬時間を算出する。
【0025】
解析装置5には、あらかじめ入力された発破点と坑外受振器41の測定点との間の距離情報と、発破振動が各坑外受振器41で測定されるまでの伝搬時間とに基づいて、発破点と坑外受振器41との間における発破振動による平均地山弾性波速度を算出する。平均地山弾性波は、地山中に地質が変化する部分があると、地山中を進行する速度が地山の硬軟の変化に応じて上下することになり、
図1の破線で示す経路を伝播して坑外受振器41に受振されることになる。
したがって、各坑外受振器41について平均地山弾性波速度を算出・解析することにより、発破点と各坑外受振器41との間の部分における地山性状、すなわち、地質を予測することができる。
【0026】
そして、再びトンネルの掘削のために、発破31による切羽13の掘削が行われるときに、再び探査準備工程101に戻り、発破振動を観測するための準備がなされる。すなわち、坑外記録装置42の内部時計43と坑内記録装置25の内部時計32とを共にGPS時刻に常時同期させる。このように坑内記録装置25と、坑外記録装置42の内部時計32,43を常に同期させて互いの時刻を精度良く一致させるようにしているので、坑外記録装置42に記録された坑外受振器41の受振データと坑内記録装置25に記録された発破時刻データとに基づいて算出される平均地山弾性波速度の算出精度を高めて、地山性状の予測精度を高めることができる。
【0027】
観測装置配置工程102では、前回の発破により数m移動した切羽13に対して再び、坑内観測装置2及び坑外観測装置4がそれぞれ配置される。坑外観測装置4の坑外受振器41は、移動した切羽13の前方に位置するように移動させるとともに、前回とは異なる位置の地上面12上に接地される。なお、各坑外受振器41の移動方向は、掘削方向に限らず、
図4に示すように、切羽13よりも前方であれば、移動方向は前側又は後側のいずれに移動しても良い。このように、坑外受振器41を前回の位置とは異なる位置に移動させて、トンネル掘削用の発破31を起震源として発破振動を受振することにより、切羽13前方の地質を予測する予測精度を少ない数量の坑外受振器41で向上させることができる。
【0028】
すなわち、トンネル掘削のための発破31を爆破させる毎に、探査準備工程101から解析工程107を繰り返すことにより、切羽13前方の地質予測の精度が徐々に向上する。つまり、トンネル掘削のための発破を探査震源として用いるようにしたので、切羽13の掘削回数が多くなるにしたがって、トンネル地質の探査精度が向上することになる
【0029】
図4(a)は、本発明の方法により坑外受振器41を発破ごとに移動させ、発破3回分の受振データをそれぞれ解析して得られた弾性波の経路を示す図である。
図4(b)は、従来の方法により坑外受振器41を固定し、発破3回分の受振データをそれぞれ解析して得られた弾性波の経路を示す図である。
図4(b)に示すように、従来の方法では、地上面12にトンネル10の施工期間、固定的に地上面12に坑外受振器41を設けているため、切羽13が発破により位置a、位置b、位置cのように進行も、1日あたりの移動が数mであり、各坑外受振器41で観測された発破振動を解析して得られた弾性波f’1,f’2,f’3、弾性波g’1,g’2,g’3、弾性波h’1,h’2,h’3の経路にはほとんど変化が見られない。つまり、切羽13の前方において偏った受振データしか得られていないことが分かる。
一方、
図4(a)に示すように、本願発明の方法では、発破対象となる切羽13が発破により位置a,位置b,位置cへと進行する毎に、坑外受振器41の配置する位置を、位置P1,Q1,R1から、位置P2,Q2,R2、位置P3,Q3,R3へと、それぞれ前回観測した位置とは異なる位置に移動させることにより、解析によって得られた弾性波f1,g1,h1、弾性波f2,g2,h2、弾性波f3,g3,h3と経路に変化が見られるようになる。すなわち、
図4(a),(b)とを比較すると明らかなように、本願発明の方法によれば、地質の探査において、地山をムラなく横切るような弾性波f1,g1,h1、弾性波f2,g2,h2、弾性波f3,g3,h3によって地質を探査できるので、これから掘削すべきトンネル10の切羽13よりも前方の地質の予測精度を確実に向上させることが可能となる。
【0030】
また、本願発明の方法によれば、坑内観測装置2の坑内記録装置25と、坑外観測装置4の坑外記録装置42とをケーブルなどの有線により互いに接続する必要がないので、坑内記録装置25及び坑内受振器24の配置や、坑外記録装置42及び坑外受振器41の配置が容易となるとともに、その移動も容易となり、地質探査に要する準備から解析までの時間を短縮することができる。
【0031】
以上説明したように、本発明によれば、トンネル掘削用に常時使用している発破(ダイナマイト)で発生する大きな振動を切羽13よりも前方の探査に活用するとともに、坑外受振器41を切羽13の前方の地上面12に設け、切羽13が移動する毎に、坑外受振器41を、移動した切羽13の前方の地上面12に移動させて切羽13よりも前方の地質状態を探索するようにしたことにより、これから掘削する地山の地質を予測するための受振データのサンプリング数が増加するので、地質探査における予測精度を向上させることができる。
【0032】
なお、上記実施形態では、1つの坑外記録装置42に複数の坑外受振器41を接続するとして説明したが、坑外受振器41毎に個別に坑外記録装置42を設けて、移動可能に構成しても良い。このように、坑外受振器41毎に坑外記録装置42を設けることで、複数の坑外受振器41を配置する範囲を広げても、接続ケーブル41Aで接続する必要がなくなるので、より効率的に地質探査を実施できるようになる。
また、上記実施形態では、坑外受振器41を複数設けるとして説明したが、1つの坑外受振器41であっても良い。すなわち、発破される毎に、つまり切羽13が進行する毎に切羽13の前方の地上面12に位置するように坑外受振器41を移動させ、発破振動を受振するようにしているため、例えば1つの坑外受振器41と1つの坑外記録装置42で構成される一組の坑外観測装置4で地質探査を行っても、従来のように固定的に受振器を設置したときに比べ、発破回数毎に切羽13の前方の地質データが得られることになるので、地質探査において十分な精度の良い予測が可能な受振データのサンプリング数を得ることができる。
また、上記実施形態では、発破を繰り返す毎、つまり切羽13が進行する毎に切羽13が進行する毎に切羽13の前方の地上面12に位置するように坑外受振器41を移動させて発破振動を受振するとして説明したが、発破回数が2回に1回などの複数回に1回の割合で、切羽13の前方の地上面12に位置するように坑外受振器41を移動させて発破振動を受振するようにしても良い。
【0033】
なお、上記実施形態では、坑内記録装置25に設けられたGPS受信器33及び坑外記録装置42に設けられたGPS受信器44で受信したGPS時刻により、坑内記録装置25及び坑外記録装置42の内部時計の時刻を同期させるとして説明したが、GPS受信器33及びGPS受信器44に限定されず、坑内記録装置25及び坑外記録装置42のそれぞれに、互いの通信を可能とする無線通信装置を設けて、坑内記録装置25及び坑外記録装置42の内部時計を同期させるようにしても良い。このような無線通信装置には、例えば、インターネット回線などのような公衆無線回線との接続を可能とする無線通信装置が挙げられ、インターネット回線におけるNTP(Network Time Protocol)受信器を通じて得られる時刻により坑内記録装置25及び坑外記録装置42の内部時計を同一時刻に同期させるようにしても良い。