(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
外層及び前記外層に剥離可能に積層されている内層を含む原反から、剥離部付き蓋材を製造する方法であって、前記剥離部が前記外層の一部又は全部であり、かつ前記蓋材を容器に接着させたときに容器の外周から突出する突出部分と本体部分とを有し、そして次の工程(a)〜(c)を任意の順序で又は任意に同時に行い、そしてその後に工程(d)を行う、剥離部付き蓋材の製造方法:
(a)前記突出部分の輪郭の少なくとも一部を除き、前記蓋材の輪郭をフルカットする工程;
(b)前記原反の前記外層側から、前記剥離部の輪郭のうち、工程(a)でフルカットしない部分に、ハーフカットを入れる工程;
(c)前記原反の前記内層側から、前記剥離部の前記突出部分と前記本体部分との境界を画定するようにしてハーフカットを入れる工程;
(d)前記突出部分の内層が、前記突出部分の輪郭のうち工程(a)でフルカットしなかった部分によって前記原反に連結し、それにより前記原反側に残留されるようにして、前記原反から、前記剥離部付き蓋材を抜き取る工程。
【背景技術】
【0002】
剥離部付き蓋材は、外層及び外層に剥離可能に積層されている内層の少なくとも2層を含む積層体で構成されている。通常は、外層と内層との界面に、易剥離性樹脂層を設けること等により、これらを剥離しやすいようにする。
【0003】
剥離部付き蓋材は、外層側からその外層及び随意に易剥離性樹脂層の深さまで切り込み(ハーフカット)を入れることで、外層のハーフカットされた部分を剥離することができる。この場合、剥離される箇所を剥離部という。
【0004】
剥離部付き蓋材を、カップ焼きそば用の容器に用いる場合には、剥離部は、通常、蓋材の外層の一部のみに形成される。さらに、その剥離部で区画される領域の一部に、内層側からその内層のみの深さまで環状の切り込み(ハーフカット)が入っている。そして、この剥離部を剥がすことで、剥離部で区画される領域の内部に設けた環状の切込みが剥離部に随伴されながら除去され、湯切り孔が表出するようになる。剥離部付き蓋材を、押入れ用の除湿剤容器に用いる場合には、蓋材の外層を水分不透過性のフィルムで形成し、内層を水分透過性のフィルム等で形成し、蓋材の外層部全体を剥離部として用いることになる。この場合、使用時に剥離部を剥がすことで、除湿剤が水分を吸い始める。
【0005】
例えば近年販売されているカップ焼きそば用の容器の蓋材は、
図1に示されるような構成になっている場合がある。このカップ焼きそばの容器(20)に熱湯を入れる際には、タブ(2)を用いて、蓋材(10)を容器(20)から半分程度剥がす。また、一定時間経過後に容器(20)から熱湯を捨てる際には、突出部分(1a)から剥離部(1)を剥がし、開孔部(3)を露出させる。この開孔部(3)は、内層からハーフカットによって形成されており、剥離部(1)を剥がす前は蓋材内層と一体化しているが、剥離部(1)を剥がした際に、ハーフカットされた部分が剥離部に随伴されて除去されて表出する。
【0006】
このような
図1の剥離部付き蓋材は、
図2(a)〜(d)に示されるように原反をカットして製造することができる。すなわち、次のような工程を経て製造することができる:外層及び外層に剥離可能に積層されている内層の少なくとも2層を含む積層体の原反を、蓋材の輪郭通りに切り取る(フルカットする)工程(
図2(a));積層体の内層側からハーフカットを入れて、剥離部(1)の突出部分(1a)と本体部分(1b)との境界を画定するためのハーフカット線(1c)を形成する工程(
図2(b));剥離部(1)の本体部分(1b)を形成するために、積層体の外層側からハーフカットを入れる工程(
図2(c));及び開孔部(3)を形成するために、積層体の内層側からハーフカットを入れる工程(
図2(d))。なお、
図2中、フルカットを実線、外層からのハーフカットを点線、内層からのハーフカットを破線で示している。ここでは、簡単化のために、
図2(a)〜(d)の記載順序を
図2のようにした。
【0007】
このような蓋材では、内層と外層とが容易に剥離すること、及び剥離部(1)の突出部分(1a)と本体部分(1b)との境界がハーフカット線(1c)によって分離されていることに起因して、突出部分(1a)を掴むことで剥離部(1)を蓋材(10)から容易に剥がすことができる。
【0008】
しかし、このような構成の場合、突出部分(1a)の内層(1d)が、カップ焼きそば等の最終製品の製造工程中又は流通過程において、剥がれて脱落し、異物の原因となることがある。
また、剥離部(1)の突出部分(1a)と本体部分(1b)との境界とするハーフカット線(1c)が、ヒートシール位置の精度不良により
図3(b)のように、容器(20)上に位置してしまうと、蓋と容器とをヒートシールする際に、突出部分(1a)の内層(1d)が容器(20)に溶着する。この場合、突出部分(1a)を掴み、蓋材を剥がそうとしても、容易に剥がれないという、いわゆる「裏溶着」の不具合が生じることがある。
【0009】
上記課題に対して、特許文献1では、突出部分(1a)の内層(1d)が存在しない蓋材付き容器の製造方法を開示している。ここでは、蓋材の輪郭をフルカットする
図2(a)の工程を、容器と蓋材とを接着した後に最終的な工程として行う。ただし、上述
図2(a)の工程とは異なり、特許文献1の方法では、突出部分(1a)の輪郭の一部は完全にはカットせずに、カットしなかった部分で原反と蓋材を連結したまま、他の部分に対してフルカットを行う。この連結部の外層側は、蓋材を原反から引きちぎるようにして力が加えられることで切断され、蓋材と原反とが分離することになる。この際、突出部分(1a)の内層(1d)は、ハーフカット線(1c)によって剥離部の本体部分(1b)から分離されており、かつ突出部分(1a)の外層とは容易に剥離するため、原反側に連結して残って抜きカスと共に廃棄される。こうして、突出部分(1a)の内層(1d)が存在しない蓋材付き容器が得られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1の製造方法では、蓋材を原反から引きちぎる際に、突出部分(1a)の外層に、引きちぎられた痕跡が残り、見栄えが悪くなるという課題があった。
【0012】
また、特許文献1の製造方法では、
図2(b)で示される突出部分と本体部分との境界を画定するハーフカット線(1c)を入れた工程の後に、蓋材と容器とを接着させ、その後に
図2(a)のフルカット工程を行う。この場合、
図3(a)に示すように、蓋材(10)を容器(20)に接着させる際に、境界画定ハーフカット線(1c)を、蓋材(10)と容器(20)との接着部の外側に配置させる必要がある。これに対して、
図3(b)のように、境界画定ハーフカット線(1c)が、接着部の内側に位置してしまうと、最終工程で蓋材を原反から引きちぎる際に、原反側の抜きカスと共に除去すべき突出部分の内層(1d)が、容器と接着してしまい、容器側に残ってしまうことがある。すなわち、この場合には、上記の「裏溶着」の課題が存在したままとなってしまう。
【0013】
したがって、このような製造工程で蓋材付き容器を得る場合は、容器と蓋材とを接着させる際に、ハーフカット線(1c)を、蓋材(10)と容器(20)との接着部の外側に確実に配置する必要があるため、非常に高い位置精度が求められる。
【0014】
そこで、本発明は、剥離部の突出部分の内層が存在せず、かつ見栄えのよい剥離部付き蓋材の新規な製造方法を与えることを目的とする。さらに、本発明は、蓋材を容器に接着させる際に高い位置精度を必要としない、剥離部付き蓋材で封をされた容器の製造方法を与えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、以下の手段により、上記課題を解決できることを見出した。
[1] 外層及び前記外層に剥離可能に積層されている内層を含む原反から、剥離部付き蓋材を製造する方法であって、前記剥離部が前記外層の一部又は全部であり、かつ前記蓋材を容器に接着させたときに容器の外周から突出する突出部分と本体部分とを有し、そして次の工程(a)〜(c)を任意の順序で
又は任意に同時に行い、そしてその後に工程(d)を行う、剥離部付き蓋材の製造方法:
(a)前記突出部分の輪郭の少なくとも一部を除き、前記蓋材の輪郭をフルカットする工程;
(b)前記原反の前記外層側から、前記剥離部の輪郭のうち、工程(a)でフルカットしない部分に、ハーフカットを入れる工程;
(c)前記原反の前記内層側から、前記剥離部の前記突出部分と前記本体部分との境界を画定するようにしてハーフカットを入れる工程;
(d)前記突出部分の内層が、前記突出部分の輪郭のうち工程(a)でフルカットしなかった部分によって前記原反に連結し、それにより前記原反側に残留されるようにして、前記原反から、前記剥離部付き蓋材を抜き取る工程。
[2] 前記剥離部が、前記蓋材の外層の一部である、[1]に記載の方法。
[3] 前記剥離部を剥がした際に現れる開孔部を形成するように、前記原反の前記内層側から、ハーフカットを入れる工程をさらに含む、[1]又は[2]に記載の方法。
[4] 前記外層と前記内層との間に、易剥離性層を含む、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の方法。
[5] 前記原反の外層が、印刷層を有する紙層及びPET層を含む、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の方法。
[6] 前記原反の内層が、PET層、アルミニウム層、及びシーラント層を含む、[1]〜[5]のいずれか一項に記載の方法。
[7] 以下の工程を含む、剥離部付き蓋材で封をされた容器の製造方法:
[1]〜[6]のいずれか一項に記載の方法で剥離部付き蓋材を得る工程;
容器に内容物を入れる工程;及び
前記剥離部付き蓋材を前記容器に接着して前記容器に封をする工程。
[8] 前記内容物が、食品、化学薬品、化粧品、洗剤、芳香剤、脱臭剤、除湿剤、酸素吸収剤、及び医薬品からなる群より選択される、[7]に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明の剥離部付き蓋材の製造方法によれば、剥離部の突出部分の内層が、原反から蓋材を抜き取った後に原反側に残って、抜きカスと共に製造工程中で確実に廃棄される。したがって、突出部分の内層が異物の原因となる心配がない。
また、剥離部の突出部分の内層が蓋との接着時点ですでに除去されているため、上記の裏溶着の問題は生じず、開封に影響はない。
【0017】
さらに、こうして得た蓋材は、容器と接着させるときに、
図4(a)又は
図4(b)のいずれの形態であってもよい。すなわち、この蓋材の場合には、容器との接着時点ですでに突出部分(1a)の内層(1d)が除去されているため、
図4(b)の形態であっても突出部分(1a)の内層(1d)が蓋材に残るという特許文献1での課題は生じない。また、剥離部(1)が容器に接着しないため、剥離部(1)を剥がすのに強い力は必要としない。そのため、特許文献1の製造方法でのような、蓋材と容器との接着の際の高い位置精度は必要がなくなる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
【0020】
≪剥離部付き蓋材の製造方法≫
本発明の剥離部付き蓋材の製造方法は、外層及び外層に剥離可能に積層されている内層を含む積層体の原反から、剥離部付き蓋材を製造する方法である。ここで、剥離部は、外層の一部又は全部であり、また蓋材を容器に接着させたときに容器の外周から突出する突出部分とその本体部分とを有する。
【0021】
そしてこの方法は、次の工程を含む:(a)突出部分の輪郭の少なくとも一部を除き、蓋材の輪郭をフルカットする工程;(b)原反の外層側から、剥離部の輪郭のうち、工程(a)でフルカットしない部分に、ハーフカットを入れる工程;及び(c)原反の内層側から剥離部の突出部分と本体部分との境界を画定するようにしてハーフカットを入れる工程;並びに(d)突出部分の内層が、突出部分の輪郭のうち工程(a)でフルカットしなかった部分によって原反に連結し、それにより原反側に残留されるようにして、原反から剥離部付き蓋材を抜き取る工程。ここで、工程(a)〜(c)は、任意の順序で
又は任意に同時に行われ、そしてその後に工程(d)が行われる。
【0022】
また、ハーフカットとは、片側の層からの積層体への切り込みであって、切り込みを行う側の少なくとも一層の厚み以上で、かつ積層体の全厚み未満の深さで行う切り込みをいう。例えば、ハーフカットを積層体原反の内層側から行う場合には、内層の厚さ以上で、原反の厚さ未満の深さで切り込みを入れる。好ましくは、内層の厚さの深さで、又は内層と易剥離性樹脂層を加えた厚さの深さで切り込みを入れ、外層には実質的に切り込みを入れない。
【0023】
図5及び
図6は、本発明の一実施態様であるカップ焼きそば用の蓋材の製造方法において、それぞれ外層及び内層から見て、どのように原反がカットされるかを示している。
図5(a)〜(d)及び
図6(a)〜(d)は、それぞれ本発明の工程(a)〜(d)に対応している。ここでは、ハーフカット又はフルカットが入る位置を実線で示している。例えば、外層側からのハーフカットは、外層側から見た
図5では実線で示され、内層側から見た
図6では示されていないが、フルカットの場合には、外層側(
図5)にも内層側(
図6)にも実線が示される。
【0024】
工程(a)は、蓋材の輪郭の少なくとも一部、好ましくは輪郭の長さの70%以上又は90%以上フルカットする工程である。しかし、ここでは蓋材の輪郭のうち、剥離部の突出部分の輪郭の少なくとも一部はフルカットしない。
【0025】
図5(a)及び
図6(a)を参照すると、工程(a)では、剥離部の突出部分の輪郭を除き、蓋材の輪郭の全てがフルカットされていることがわかる。
【0026】
工程(b)において、工程(a)でフルカットをしない部分の全てに、外層側からハーフカットを入れる。すなわち、この工程では、剥離部の突出部分の輪郭の少なくとも一部が外層側からハーフカットされる。
【0027】
蓋材の外層の一部に剥離部が画定される場合、例えばカップ焼きそば容器用の蓋材の場合、さらに剥離部(1)の本体部分(1b)についても、その輪郭の少なくとも一部、好ましくはその輪郭の全てをハーフカットする。
【0028】
図5(b)及び
図6(b)を参照すると、工程(b)では、外層側から剥離部の輪郭の全てにハーフカットが入れられており、内層側にはカットが入っていないことが分かる。
【0029】
工程(c)においては、原反の内層側から、剥離部の突出部分を画定するようにハーフカットを入れる。
【0030】
ここで、剥離部の突出部分とは、蓋材を容器に接着させた際に、剥離部が容器の外周から突出する又ははみ出す部分の少なくとも一部であり、剥離部を剥がす際のタブ部分であってよい。剥離部の突出部分は、工程(c)において入れられる、内層側からのハーフカット線と蓋材の輪郭とで画定される。
【0031】
図7に、剥離部の突出部分を例示する。ここでは、蓋材を内層側から見ている。また内層を斜線パターンで示しており、外層を白抜きで表わしている。
図7(a)は、剥離部(1)が蓋材(10)の外層の一部である場合の態様である。ここでは、突出部分(1a)は、内層側からのハーフカット線(1c)と蓋材(10)の輪郭とで、剥離部本体部分(1b)との境界が画定されている。
図7(b)は、蓋材(10)の外層の全部が剥離部(1)となる場合の態様である。ここでも、剥離部突出部分(1a)は、内層側からのハーフカット線(1c)と蓋材(10)の輪郭とで、剥離部本体部分(1b)との境界が画定されている。
図7(c)も、蓋材(10)の外層の全部が剥離部(1)となる場合の態様であるが、ここでは内層側からのハーフカット線(1c)が一周しており、その一周したハーフカット線(1c)のみで、突出部分(1a)と剥離部本体部分(1b)との境界が画定されている。
【0032】
図7(a)及び
図7(b)の態様では、工程(a)において、蓋材(10)の輪郭の少なくとも一部をフルカットし、剥離部突出部分(1a)の輪郭の少なくとも一部はフルカットしない。
図7(c)の態様では、剥離部突出部分(1a)の輪郭が、蓋材(10)及び剥離部(1)の輪郭と同一となっているが、この場合工程(a)では、この輪郭の一部のみをフルカットすることになる。
【0033】
図5(c)及び
図6(c)を参照すると、工程(c)では、内層側から、蓋材の繋がっていない輪郭を繋げるようにハーフカットを入れることで、剥離部の突出部と剥離部の本体部分との境界を画定している。また、外層側にはカットが入っていないことが分かる。
【0034】
工程(d)の前に、原反の内層側からハーフカットを入れて、剥離部を剥がした際に表われる開孔部を形成することができる。これは、例えばカップ焼きそば用容器の蓋材では、湯切り孔となる。この工程は、上記工程(a)〜(c)と任意に同時に行ってもよく、これらの工程と任意の順序で行うことができる。
【0035】
工程(d)において、蓋材の原反からの抜き取りは、様々な方法で行うことができる。本発明の方法の好ましい態様では、工程(a)〜(c)の終了後に、蓋材と原反とは、剥離部の突出部分の内層と外層とが接着しているものの、それ以外では分離している状態となる。したがって、この場合は、弱い力を掛けるだけで、蓋材を原反から剥がすことができる。例えば、ロールを介して原反を曲げるだけで蓋材を原反から剥がすこともでき、当然蓋材を吸引除去して原反から剥がすこともでき、押し抜くように蓋材に力を掛けて原反から剥がすこともできる。
【0036】
工程(d)において、蓋材を原反から抜き取ると、突出部分の輪郭のうち工程(a)でフルカットしなかった部分によって、突出部分の内層が、原反側に連結して、その抜きカス側に残留する
【0037】
図8に、原反ロールからの原反(30)をロータリーダイカッターでカットする本発明の方法の一実施態様を示す。ここでは、原反ロール(100)から原反(30)を引出し、外層側をカットするための第1のロータリーダイカッター(60)で外層側にハーフカットを入れ、工程(b)を行う。そして内層側へのハーフカットと、蓋材の輪郭をフルカットするための第2のロータリーダイカッター(70)で、工程(a)と工程(c)とを同時に行う。この場合、第2のロータリーダイカッターは、ハーフカットをするための比較的低い高さの刃と、フルカットをするための比較的高い高さの刃とを備える。
【0038】
そして、蓋材分離部(50)で原反(30)を、分岐ロールを介して上向きに引っ張ることで、蓋材(10)と原反側の抜きカス(40)とを分離する。抜きカス(40)は、抜きカス巻き取りロール(200)に回収される。
【0039】
≪剥離部付き蓋材で封をされた容器の製造方法≫
本発明の剥離部付き蓋材で封をされた容器の製造方法は、容器に内容物を入れる工程と、上述のように製造した剥離部付き蓋材を、容器に接着して、容器に封をする工程を含む。このような製造方法の場合、蓋材と容器とを接着する際に、高い位置精度は必要がなくなるため、製品の歩留まりが高く有用である。なお、ここで上記容器には、食品、乾燥剤等が封止される。
【0040】
≪剥離部付き蓋材の構成≫
蓋材の内層としては、市販のフィルム、押出し樹脂等を適宜用いることが可能である。例えば、フィルムであれば、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)、低密度ポリエチレンフィルム(LDPE)、中密度ポリエチレンフィルム(MDPE)、高密度ポリエチレンフィルム(HDPE)、線状低密度ポリエチレンフィルム(LLDPE)、ポリプロピレンフィルム(PP)、ナイロンフィルム(Ny)等を、単独で又は組み合わせて使用してよい。押出し樹脂であれば、低密度ポリエチレンフィルム(LDPE)、中密度ポリエチレンフィルム(MDPE)、高密度ポリエチレンフィルム(HDPE)、線状低密度ポリエチレンフィルム(LLDPE)、ポリプロピレンフィルム(PP)、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン・メタクリル酸共重合体(EMAA)等を、単独で又は組み合わせて使用してよい。また、内層は、上記以外の樹脂層、紙層、接着剤層、アルミニウム箔等の金属箔層、無機物蒸着フィルム層等を含んでもよい。
【0041】
蓋材の外層としては、紙、PETフィルム、LDPEフィルム、MDPEフィルム、HDPEフィルム、LLDPEフィルム、PPフィルム、ナイロンフィルムなどを、単独で又は組み合わせて使用してよい。また、外層は、上記以外の樹脂層、紙層、接着剤層、アルミニウム箔等の金属箔層、無機物蒸着フィルム層等を含んでもよい。さらに印刷層を含んでもよい。
【0042】
蓋材の外層と内層とは互いに剥離性とする必要があるため、外層と内層との間に、外層と内層との間に易剥離性層を設けてもよい。また、易剥離性層は、易剥離性樹脂層であってもよく、外層と内層とを剥離する部分に剥離ニス等を塗布することで形成した層でもよく、これらを組み合わせた層でもよい。
【0043】
易剥離性樹脂層に用いる易剥離性樹脂としては、ポリオレフィンに、環状オレフィンコポリマー(COC)を所定の比率で混合した樹脂であることが好ましい。
【0044】
ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプ口ピレン樹脂等が挙げられ、低密度ポリエチレン(LDPE)が好ましい。LDPEとしては、例えば、東ソー株式会社製の商品名「ペトロセン」、旭化成ケミカルズ株式会社製の商品名「サンテック」等が挙げられる。
【0045】
ポリオレフィンのMFR(Melt Flow Rate)は、JIS K7210に準拠し、温度190℃/荷重2.16kgの条件の下で測定した場合、0.01g/10分以上、0.1g/10分以上、又は1.0g/10分以上であってよく、また60g/10分以下、20g/10分以下、又は10g/10分以下であってよい。
【0046】
ポリオレフィンの密度は、0.89g/cm3以上であってよく、また、この密度は、0.94g/cm3以下であってよい。
【0047】
環状オレフィンコポリマー(COC)とは、α−オレフィンと環状オレフィンとを、へキサン、へプタン、オクタン、シクロへキサン、べンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素系溶媒中で、いわゆるチーグラー触媒、メタロセン触媒などの触媒を調合することにより得ることができる共重合体をいう。このような共重合体としては、例えば、三井化学株式会社製の商品名「アペル」などが挙げられる。
【0048】
COCのMFRは、JIS K7210に準拠し、温度190℃/荷重2.16kgの条件の下で測定した場合、0.1g/10分以上、1.0g/10分以上、又は2.0g/10分以上であってよく、また、このMFRは、温度190℃のとき、40g/10分以下、20g/10分以下、又は10g/10分以下であってよい。
【0049】
易剥離性樹脂層は、LDPEとCOCとの混合比率を変えることにより、界面剥離強度を調整することができる。易剥離性樹脂中のCOCの含有量は、1質量%以上、又は3質量%以上であってよく、また、この含有量は、24質量%以下又は10質量%以下であってよい。このような範囲であれば、COCの含有量は、内層又は外層と易剥離性樹脂層との界面剥離が容易になり、かつ両者の剥離強度の制御が容易になるため好ましい。
【0050】
易剥離性樹脂層の厚さは、剥離する層との接着性及び剥離性を両立させるために、10μm以上であってよく、また30μm以下であってよい。
【0051】
また、易剥離性層は、ニトロセルロース樹脂と、ウレタン系樹脂、アミノアルキッド系樹脂、ポリアミド系樹脂及び/又はポリエステル系樹脂との混合物、水性ニス、油性ニス、紫外線硬化型ニス等であってもよい。
【0052】
剥離ニスは、易剥離性樹脂とワックスの混合物であることがより好ましい。混合物中のワックスの含有率は、混合物の質量を基準として、20質量%以上であってよく、また85質量%以下であってよい。このような範囲である場合、剥離ニス層と隣接している他の層のピッキングを防ぐことができ、かつ剥離ニス層の層間剥離を防ぐことができるので好ましい。
【0053】
本発明の方法において、易剥離性層を内層と外層との間に含む場合には、内層側からハーフカットをする際に、内層の厚みと易剥離性層の厚みとを加えた深さでハーフカットすることができる。また、外層側からハーフカットをする際に、外層の厚みと易剥離性層の厚みとを加えた深さでハーフカットしてもよい。
【0054】
蓋材は、内層の最外層にシーラント層を有していてもよい。この層は、蓋材によって封止すべき容器と蓋材とをヒートシールするための層である。シーラント層の材料は、封止すべき容器の材質によって選択され、例えば、LDPE、LLDPE、PP、エチレン−メタクリル酸コポリマー(EMAA)、エチレン-アクリル酸コポリマー(EAA)、アイオノマー樹脂、エチレン−酢酸ビニルコポリマー等の樹脂でよい。これらの樹脂は、例えば、延伸又は無延伸フィルム、押出積層用の溶融樹脂、ホットメルト用の塗料等の形態で与えることができる。
特に好ましいのは、組成の異なる樹脂を混合し、海−島構造を付与したシーラントや、シーラント層を複層にして開封時に層間剥離となるシーラントなど、易剥離性を付与したイージーピールシーラントである。
【0055】
図9に本発明で用いる原反(蓋材)の積層構成の一例を示す。外層(910)は、インクとOPニスからなる印刷層(901)、印刷層の下の紙層(902)、紙とPETを接着する接着剤層(903)、及び外層側PET層(904)を含む。内層(920)は、最外層にシーラント層(909)、アルミニウム層(908)、アルミとPETとを接着する接着剤層(907)、及び内層側PET層(906)を含む。さらに、この原反は、外層と内層との間に、易剥離性層(905)を含む。
【0056】
この場合、原反の外層は、紙層にOPニスとインクとを用いて印刷する工程、その紙とPET層とを接着剤を塗布してドライラミネートする工程を経て製造される。そして、この外層と、PET層とアルミニウム層とをドライラミネートする工程を経た内層の一部とを、易剥離性樹脂をサンドイッチして、押出サンドラミネートする。次に、シーラント樹脂を内層側の最外層に押出バックラミネートにより積層する。
【0057】
<容器>
容器は、開口部を有し、かつ開口部に物を入れることができる器である。また、容器の開口部は、蓋材により密封されることができる。
【0058】
また、容器は、例えば、容器の開口部の周縁に、蓋材を結合させるために使用されるフランジ部を有していてもよい。また、フランジ部には、蓋材との結合を促進するために、接着剤などの結合促進剤が配置されていてもよい。
【0059】
容器には、固体、液体、気体、ゲルなどの内容物を収容することができる。例えば、食品、化学薬品、化粧品、洗剤、芳香剤、脱臭剤、除湿剤、酸素吸収剤、医薬品等の内容物を収容することができる。
【実施例】
【0060】
<原反の製造例1>
次のような層構成の原反を作製する:
≪外層≫
−紙層:大王製紙株式会社製「竜王コート80g/m
2」(坪量:80g/m
2、厚さ:80μm);
−接着剤層:三井化学株式会社製「タケラック/タケネート A953/A93」(塗布量dry2.5g/m
2以上);
−外層側PET層:PETフィルム:東洋紡株式会社製「E5100」(厚さ:12μm);
≪易剥離性層≫
−易剥離性樹脂層:95質量%のLDPE:東ソー株式会社製「ペトロセン226」と、5質量%のCOC:三井化学株式会社製「アペル6013B」との混合物(厚さ:20μm);
≪内層≫
−内層側PET層:KOLON社製「CB901」(厚さ:8μm);
−接着剤層:DICグラフィックス株式会社製「LX−500+KW−75」(塗布量dry2.5g/m
2以上);
−アルミニウム層:軟質アルミ製アルミニウム箔(厚さ:6.5μm)
−シーラント層:三井・デュポンポリケミカル株式会社製「CMPS VN503」(20μm)。
【0061】
ドライラミネート接着剤を上記の塗布量に設定し、紙層と外層側PET層とを、ドライラミネーターを使用して接着して、部材Aを得る。
【0062】
ドライラミネート接着剤を上記の塗布量に設定し、アルミニウム層と内層側PET層とを、ドライラミネーターを使用して接着して、部材Bを得る。
【0063】
押出ラミネーターを使用し、約320℃〜約340℃の温度で、部材AのPET層側と、部材BのPET層との間に易剥離製樹脂を押出し、サンドイッチラミネートを行って、部材Cを得る。
【0064】
押出ラミネーターを使用し、約240℃の温度で、部材Cのアルミニウム層側にシーラント樹脂を押出し、バックラミネートして上記原反を得る。
【0065】
<原反の製造例2>
製造例1において部材Aを得る工程の後、グラビア印刷機を使用し、部材Aの外層側PET層側に、DICグラフィックス株式会社製の剥離剤「ポリコートP−91」を塗布した。その他の工程は、製造例1と同様にし、次の層構成の原反を得た:
≪外層≫
−紙層:大王製紙株式会社製「竜王コート80g/m
2」(坪量:80g/m
2、厚さ:80μm);
−接着剤層:三井化学株式会社製「タケラック/タケネート A953/A93」(塗布量dry2.5g/m
2以上);
−外層側PET層:PETフィルム:東洋紡株式会社製「E5100」(厚さ:12μm);
≪易剥離性層≫
−剥離剤印刷層:DICグラフィックス株式会社製「ポリコートP−91」
−易剥離性樹脂層:95質量%のLDPE:東ソー株式会社製「ペトロセン226」と、5質量%のCOC:三井化学株式会社製「アペル6013B」との混合物(厚さ:20μm);
≪内層≫
−内層側PET層:KOLON社製「CB901」(厚さ:8μm);
−接着剤層:DICグラフィックス株式会社製「LX−500+KW−75」(塗布量dry2.5g/m
2以上);
−アルミニウム層:軟質アルミ製アルミニウム箔(厚さ:6.5μm)
−シーラント層:三井・デュポンポリケミカル株式会社製「CMPS VN503」(20μm)。
【0066】
<原反の製造例3>
製造例1において部材Bを得る工程の前に、内層側PET層のアルミニウム層を接着しない側に、グラビア印刷機を使用し、DICグラフィックス株式会社製の剥離剤「ポリコートP−91」を塗布した。その他の工程は、製造例1と同様にし、次の層構成の原反を得た:
≪外層≫
−紙層:大王製紙株式会社製「竜王コート80g/m
2」(坪量:80g/m
2、厚さ:80μm);
−接着剤層:三井化学株式会社製「タケラック/タケネート A953/A93」(塗布量dry2.5g/m
2以上);
−外層側PET層:PETフィルム:東洋紡株式会社製「E5100」(厚さ:12μm);
≪易剥離性層≫
−易剥離性樹脂層:95質量%のLDPE:東ソー株式会社製「ペトロセン226」と、5質量%のCOC:三井化学株式会社製「アペル6013B」との混合物(厚さ:20μm);
−剥離剤印刷層:DICグラフィックス株式会社製「ポリコートP−91」
≪内層≫
−内層側PET層:KOLON社製「CB901」(厚さ:8μm);
−接着剤層:DICグラフィックス株式会社製「LX−500+KW−75」(塗布量dry2.5g/m
2以上);
−アルミニウム層:軟質アルミ製アルミニウム箔(厚さ:6.5μm)
−シーラント層:三井・デュポンポリケミカル株式会社製「CMPS VN503」(20μm)。
【0067】
<剥離部突出部分の内層がない剥離部付き蓋材の製造例>
上記の製造例1〜3の原反を用いて、剥離部突出部分の内層がない剥離部付き蓋材を製造した。ここでは、まず本発明の工程(b)に対応し、第1のロータリーダイカッターを用いて原反の外層側から、内層側PETフィルムに至る深さで、剥離部の形状にハーフカットした。そして、本発明の工程(c)に対応して、第2のロータリーダイカッターを用いて、原反の内層側から外層側PETフィルムに至る深さで、剥離部突出部分を画定するハーフカット線を入れた。またこの工程と同時に、本発明の工程(a)に対応して、蓋材の輪郭をフルカットした。
【0068】
蓋材と、原反から蓋材を抜き出した後の抜きカスとを、第2のロータリーダイカッター出口付近に設置した分離ロールを介して、抜きカス巻き取り方向と蓋材排出の流れ方向とに角度90°をつけて分離した。製造例1〜3の原反の全てで、剥離部突出部分の内層がない剥離部付き蓋材を得ることができた。