(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6289212
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】リザーブタンク
(51)【国際特許分類】
F01P 11/00 20060101AFI20180226BHJP
【FI】
F01P11/00 C
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-71494(P2014-71494)
(22)【出願日】2014年3月31日
(65)【公開番号】特開2015-194087(P2015-194087A)
(43)【公開日】2015年11月5日
【審査請求日】2017年3月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129643
【弁理士】
【氏名又は名称】皆川 祐一
(72)【発明者】
【氏名】上ノ坊 恵三
(72)【発明者】
【氏名】南 和真
【審査官】
齊藤 彬
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−050070(JP,A)
【文献】
特開2003−232222(JP,A)
【文献】
韓国公開特許第10−2011−0058748(KR,A)
【文献】
英国特許出願公開第02403163(GB,A)
【文献】
仏国特許出願公開第02848621(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01P 11/00
B65D 51/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラジエータの冷却水を貯留するリザーブタンクであって、
冷却水の注水のための注水口を有するタンク本体と、
前記注水口に装着されるキャップと
を含み、
前記タンク本体は、
上端開口が前記注水口をなす筒状の口部と、
前記口部に連続して形成され、少なくとも一部が前記口部の内周面に対して内側に位置する形状の内周面を有する首部と
を備え、
前記キャップは、
前記注水口を閉塞する閉塞部と、
前記閉塞部と一体的に形成され、前記口部と係合する係合部と
を備え、
前記閉塞部には、
前記閉塞部により前記注水口が閉塞された前記タンク本体内を大気に開放するためのオーバフロー孔が形成されるとともに、
前記オーバフロー孔に対する内側の位置から延出し、前記キャップが前記注水口に装着された装着状態で、下端部が前記首部の内周面に内側から対向し、当該対向方向と交差する方向において、前記オーバフロー孔の寸法より大きい幅を有する内板部が形成されている、リザーブタンク。
【請求項2】
前記首部の内周面の一部をなす所定面部は、当該所定面部以外の部分よりも前記口部の内周面に対してさらに内側に位置し、
前記オーバフロー孔は、前記装着状態で、前記口部の内周面と前記内板部における前記閉塞部から前記所定面部に向けて延びる部分とに挟まれる空間に臨む、請求項1に記載のリザーブタンク。
【請求項3】
前記首部の内周面は、その全周にわたって、前記口部の内周面に対して内側に位置し、
前記内板部は、その下端部が前記首部の内周面の全周に対して対向するように形成され、
前記内板部には、前記閉塞部の中心から前記オーバフロー孔に向けて延びる直線上から外れた位置に、前記所定面部に向けて延びる部分および前記口部の内周面に挟まれる空間と前記内板部の内側の空間とを連通する開口が形成されている、請求項2に記載のリザーブタンク。
【請求項4】
前記内板部は、前記注水口に対する前記キャップの位置を前記注水口の周方向において規制する面形状を有している、請求項1〜3のいずれか一項に記載のリザーブタンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されるラジエータ用のリザーブタンクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水冷式の内燃機関を搭載した車両には、ラジエータから溢れ出た冷却水を貯留するリザーブタンクが設けられている。
【0003】
リザーブタンクは、注水口を有するタンク本体と、注水口に装着されるキャップとを備えている。キャップには、リザーブタンク内を大気に開放するための通路が形成されている。この通路が形成されていることにより、リザーブタンク内が昇圧した場合に、リザーバタンク内の空気を通路を通して大気に放出することができ、リザーブタンク内を降圧させることができる。
【0004】
ところが、車両が大きく揺れたり、急な坂道を上り下りしたりすると、リザーブタンク内の冷却水が波立ち、大気開放のための通路から冷却水が漏れ出すおそれがある。
【0005】
そこで、特許文献1では、キャップにおける大気開放のためのオーバフロー通路よりも内側の位置に、外側に傾斜して延びるバッフル壁をキャップと一体的に形成した構成が提案されている。この提案では、バッフル壁が設けられることにより、タンク本体内でラビリンス構造が形成されるので、冷却水が波立っても、そのラビリンス構造により、冷却水がオーバフロー通路から漏れることを防止できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−232222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、かかる構成では、バッフル壁とタンク本体の内面との間に大きな間隔が空いている。そのため、バッフル壁が設けられていることによる十分な効果は期待できず、冷却水が波立ったり、傾いたりしたときに、その間から冷却水がオーバフロー通路に到達し、冷却水がオーバフロー通路から漏れる可能性が十分にある。
【0008】
本発明の目的は、キャップに形成された大気開放のためのオーバフロー孔から冷却水が漏れ出すことを効果的に抑制することができる、リザーブタンクを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するため、本発明に係るリザーブタンクは、ラジエータの冷却水を貯留するリザーブタンクであって、冷却水の注水のための注水口を有するタンク本体と、注水口に装着されるキャップとを含み、タンク本体は、上端開口が注水口をなす筒状の口部と、口部に連続して形成され、少なくとも一部が口部の内周面に対して内側(注水口の中心側)に位置する形状の内周面を有する首部とを備え、キャップは、注水口を閉塞する閉塞部と、閉塞部と一体的に形成され、口部と係合する係合部とを備え、閉塞部には、閉塞部により注水口が閉塞されたタンク本体内を大気に開放するためのオーバフロー孔が形成されるとともに、オーバフロー孔に対する内側の位置から延出し、キャップが注水口に装着された装着状態で、下端部が首部の内周面に内側から対向し、当該対向方向と交差する方向において、オーバフロー孔の寸法より大きい幅を有する内板部が形成されている。
【0010】
この構成によれば、タンク本体は、口部および首部を備えている。口部は、筒状をなし、その上端開口が冷却水の注水のための注水口を形成している。首部の内周面の少なくとも一部は、口部の内周面に対して内側に位置している。
【0011】
キャップは、閉塞部および係合部を備えている。キャップが注水口に装着された状態で、閉塞部が注水口を閉塞し、係合部が口部と係合する。閉塞部には、オーバフロー孔が形成されている。閉塞部により注水口が閉塞された状態で、オーバフロー孔を介して、リザーブタンク(タンク本体)内が大気に開放される。そのため、リザーブタンク内の圧が上昇した場合に、リザーブタンク内の空気をオーバフロー孔を通して大気に放出することができ、タンク本体内の圧を下げることができる。
【0012】
そして、閉塞部には、内板部が形成されている。内板部は、オーバフロー孔に対する内側の位置から延出している。キャップが注水口に装着された状態で、内板部の下端部は、タンク本体の窄まった首部の内周面に内側から対向する。また、内板部と首部の内周面との対向方向と交差する方向において、内板部の幅は、オーバフロー孔の寸法より大きい。
【0013】
これにより、リザーブタンクが搭載された車両が大きく傾いたり、振動によりタンク本体内の冷却水が波立ったりしても、内板部により、冷却水がオーバフロー孔にかかることを効果的に抑制できる。その結果、オーバフロー孔から冷却水が漏れ出すことを効果的に抑制できる。
【0014】
また、キャップを注水口に装着する際に、内板部を首部の内周面に沿わせることにより、キャップをスムーズに装着することができる。
【0015】
さらに、オーバフロー孔に冷却水がかかることを抑制するための部材をキャップと別部材として設けた構成と比較して、部品点数を削減することができ、コストを低減することができる。
【0016】
首部の内周面の一部をなす所定面部は、当該所定面部以外の部分よりも口部の内周面に対してさらに内側に位置し、オーバフロー孔は、装着状態で、口部の内周面と内板部における閉塞部から所定面部に向けて延びる部分とに挟まれる空間に臨むことが好ましい。
【0017】
この構成によれば、首部の内周面の一部である所定面部は、当該内周面における所定面部以外の部分よりも口部の内周面に対して内側に位置している。これにより、口部の内周面と内板部における閉塞部から所定面部に向けて延びる部分との間には、口部の内周面と内板部における閉塞部から所定面部に向けて延びる部分以外の部分との間よりも広い間隔が生じる。そして、オーバフロー孔は、その口部の内周面と内板部との間隔が相対的に広い空間に臨んでいる。そのため、リザーブタンク内の圧が上昇して、冷却水が当該広い空間に進入しても、当該広い空間がバッファとなって、冷却水の水面がオーバフロー孔に達することを抑制できる。その結果、オーバフロー孔からの冷却水の噴き出しを抑制することができる。
【0018】
首部の内周面は、その全周にわたって、口部の内周面に対して内側に位置し、内板部は、その下端部が首部の内周面の全周に対して間隔を空けて対向するように形成され、内板部には、閉塞部の中心からオーバフロー孔に向けて延びる直線上から外れた位置に、当該部分および口部の内周面に挟まれる空間と内板部の内側の空間とを連通する開口が形成されていてもよい。
【0019】
この構成によれば、内板部に内板部の内外を連通する開口が形成されている。そのため、キャップの位置ずれや内板部の変形などにより、内板部が首部の内周面と密着していても、リザーブタンク内の圧が上昇したときに、リザーブタンク内の空気を開口を通して口部の内周面と内板部との間に逃がすことができ、さらに、口部の内周面と内板部との間からオーバフロー孔を通して大気に放出することができる。その結果、タンク本体内の圧を下げることができる。
【0020】
また、開口がオーバフロー孔から離れた位置に形成されているので、冷却水が開口を通して口部の内周面と内板部との間に進入しても、その冷却水は、オーバフロー孔が臨む空間に到達するまでに、首部の内周面と内板部との間の隙間から流下する。これにより、オーバフロー孔から冷却水が漏れ出すことを一層抑制することができる。
【0021】
内板部は、注水口に対するキャップの位置を注水口の周方向において規制する面形状を有していてもよい。
【0022】
この構成によれば、キャップが注水口に対して注水口の周方向に位置決めされる。よって、注水口の周方向において、キャップを注水口に対して一定の位置に装着することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、リザーブタンクが搭載された車両が大きく傾いたり、振動によりタンク本体内の冷却水が波立ったりしても、内板部により、冷却水がオーバフロー孔にかかることを効果的に抑制できる。その結果、オーバフロー孔から冷却水が漏れ出すことを効果的に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施形態に係るリザーブタンクの側面図である。
【
図3】
図1に示される切断面線A−Aにおけるリザーブタンクの断面図であり、キャップが注水口に装着された状態を示す。
【
図4】
図2に示される切断面線B−Bにおけるリザーブタンクの断面図であり、キャップが注水口に装着される前の状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0027】
図1は、本発明の一実施形態に係るリザーブタンク1の側面図である。
図2は、リザーブタンク1の上面図である。
【0028】
リザーブタンク1は、水冷式の内燃機関を搭載した車両に、ラジエータから溢れ出た冷却水を貯留するために設けられる。リザーブタンク1は、タンク本体2およびキャップ3を備えている。
【0030】
図3は、
図1に示される切断面線A−Aにおけるリザーブタンク1の断面図である。
図4は、
図2に示される切断面線B−Bにおけるリザーブタンク1の断面図である。
図5は、タンク本体2の上面図である。
【0031】
タンク本体2は、ブロー成形による樹脂成形品である。タンク本体2は、
図1に示されるように、略矩形板状の底部11と、底部11の周縁から立ち上がる略四角筒状の胴部12と、胴部12の長手方向の一端部から上方に立ち上がる略四角筒状の第1首部13と、胴部12の上端縁と第1首部13の下端縁とを接続する第1肩部14と、第1首部13の上方に形成された筒状の第2首部15と、第1肩部14の上端縁と第2首部15の下端縁とを接続する第2肩部16と、第2首部15の上端から側方に円形状に張り出し、その周縁から上方に立ち上がる略円筒状の側壁を有する口部17とを一体的に有している。
【0032】
口部17の内周面21は、
図5に示されるように、円筒状をなしている。内周面21の上端縁は、タンク本体2に冷却水を注水するための円形状の注水口22を形成している。口部17の上端には、
図3および
図4に示されるように、側方に張り出すフランジ部23がその全周にわたって形成されている。
【0033】
第2首部15の内周面24は、
図3、
図4および
図5に示されるように、その全周にわたって、口部17の内周面21に対して内側(注水口22の中心側)に位置し、円筒面からその一部を平面で切断した形状を有している。すなわち、第2首部15の内周面24は、口部17の内周面21よりも小径であり、180°より大きい中心角を有する円弧状の円弧面部25と、円弧面部25の周方向の両端縁に接続された平面状の平面部26とを有している。第2首部15は、ほぼ一定の厚みを有しており、第2首部15の外周面27は、内周面24に対応した形状をなしている。
【0035】
図6は、キャップ3の側面図である。
図7は、キャップ3の内面を示す図(下面図)である。
【0036】
キャップ3は、樹脂成形品である。キャップ3は、平面視円形状の閉塞部31と、閉塞部31の周縁から垂下する扁平な略円筒状の係合部32とを一体的に有している。
【0037】
閉塞部31の外面(上面)は、タンク本体2のフランジ部23の外径よりも径が大きい円形状をなしている。閉塞部31の中央には、円形孔33が貫通して形成されている。閉塞部31には、円形孔33と連通するホース接続管34が一体に形成されている。ホース接続管34は、閉塞部31の外面における円形孔33の周縁部から延びるラジエータホース接続部35と、閉塞部31の内面(下面)における円形孔33の周縁部から延びるインナホース接続部36とを有している。ラジエータホース接続部35には、一端がラジエータに接続されたラジエータホース(図示せず)の他端が接続される。インナホース接続部36には、
図3に示されるように、タンク本体2内に収容されるインナホース37の一端が接続される。
【0038】
閉塞部31の内面には、内板部38が形成されている。内板部38は、インナホース接続部36と間隔を空けて、インナホース接続部36の周囲を取り囲む筒状をなしている。より具体的には、内板部38は、
図7に示されるように、閉塞部31と中心が一致し、180°より大きい中心角を有する円弧状の円弧板部39と、円弧板部39の周方向の両端間に接続された平面状の平板部40とを有している。円弧板部39および平板部40は、それぞれタンク本体2の第2首部15の円弧面部25および平面部26に対応して形成されており、円弧板部39の外径は、タンク本体2の円弧面部25の径よりも僅かに小さく、平板部40は、その厚さ方向および口部17の中心軸線方向の両方向と直交する方向の幅(以下、単に「平板部40の幅」という。)が平面部26よりも僅かに小さい。また、内板部38の閉塞部31からの長さは、タンク本体2の口部17の中心軸線方向の寸法よりも大きい。
【0039】
円弧板部39には、
図6に示されるように、その下端縁からU字状に切り欠かれた形状の開口41が形成されている。開口41は、
図7に示されるように、閉塞部31の中心を通って平板部40と直交する直線上に配置されている。
【0040】
閉塞部31には、平板部40に対して円弧板部39と反対側に間隔を空けて、円形のオーバフロー孔42が貫通して形成されている。オーバフロー孔42の直径は、平板部40の幅よりも小さい。オーバフロー孔42は、閉塞部31の中心を通って平板部40と直交する直線上に配置されており、開口41とオーバフロー孔42とは、閉塞部31の中心まわりに180°ずれた位置関係をなしている。
【0041】
閉塞部31の外面には、オーバフロー孔42に関連して、半管部43が形成されている。半管部43は、オーバフロー孔42の周縁部におけるホース接続管34側の約半周の部分から立ち上がり、ホース接続管34側と反対側に屈曲して延びている。
【0042】
また、閉塞部31の内面には、
図4に示されるように、オーバフロー孔42よりも外側において、閉塞部31の周縁に沿った円環状の凸部44が形成されている。
【0043】
係合部32は、タンク本体2のフランジ部23の外径とほぼ同じ内径を有している。係合部32の内周面には、内側に膨出した形状の膨出部45が形成されている。
【0045】
キャップ3がタンク本体2の注水口22に装着される際には、キャップ3の周方向において、タンク本体2の第2首部15の平面部26に対して、キャップ3の内板部38の平板部40の位置が合わされる。すなわち、平板部40が平面部26に沿い、内板部38の円弧板部39が第2首部15の円弧面部25に沿うように、タンク本体2に対するキャップ3の周方向の位置が調整される。その後、キャップ3がタンク本体2の口部17に近づけられていく。このとき、作業者は、平板部40を平面部26に沿わせることにより、内板部38を第2首部15にスムーズに挿入することができる。そして、キャップ3の係合部32の膨出部45がタンク本体2のフランジ部23を乗り越えて、膨出部45がフランジ部23の下方に回り込み、キャップ3の閉塞部31の内面が口部17の上端面に当接するまで、キャップ3がタンク本体2に向けて押圧される。これにより、係合部32が口部17に係合し、キャップ3の装着が完了する。
【0046】
キャップ3が注水口22に装着された状態では、
図3に示されるように、膨出部45がフランジ部23に係止され、キャップ3が注水口22から容易に離脱することが抑制される。
【0047】
また、キャップ3の凸部44が口部17の上端面に圧接され、キャップ3の閉塞部31と口部17との間が凸部44によりシールされ、閉塞部31および凸部44により、注水口22が密閉される。
【0048】
さらに、円弧板部39の下端部が円弧面部25と隙間を空けて対向するとともに、平板部40の下端部が平面部26と隙間を空けて対向する。これにより、内板部38の周囲には、口部17の内周面21との間に、空間が全周にわたって形成される。口部17の内周面21に対して平面部26が円弧面部25よりも内側に位置しているので、内周面21と平板部40との間隔は、内周面21と円弧板部39との間隔よりも大きい。そのため、内周面21と平板部40との間の空間46は、円弧板部39と内周面21との間の空間47よりも注水口22の径方向に広がっている。
【0049】
また、円弧板部39に形成されている開口41の上端部は、内周面21と円弧板部39との間の空間47に臨んでいる。これにより、キャップ3が注水口22に装着された状態において、内板部38の内側の空間48は、開口41を介して、空間47と連通し、さらに空間46を介して、オーバフロー孔42と連通している。
【0051】
このように、内板部38の内側の空間48がオーバフロー孔42と連通しているので、キャップ3が注水口22に装着された状態で、オーバフロー孔42を介して、リザーブタンク1(タンク本体2)内が大気に開放される。そのため、リザーブタンク1内の圧が上昇した場合に、リザーバタンク内の空気をオーバフロー孔42を通して大気に放出することができ、タンク本体2内の圧を下げることができる。
【0052】
閉塞部31には、内板部38が形成されている。内板部38は、オーバフロー孔42に対する内側の位置から延出している。キャップ3が注水口22に装着された状態で、内板部38の下端部は、タンク本体2の第2首部15の内周面24に内側から対向する。
【0053】
これにより、リザーブタンク1が搭載された車両が大きく傾いたり、振動によりタンク本体2内の冷却水が波立ったりしても、内板部38により、冷却水がオーバフロー孔42にかかることを効果的に抑制できる。その結果、オーバフロー孔42から冷却水が漏れ出すことを効果的に抑制できる。
【0054】
また、キャップ3を注水口22に装着する際に、内板部38を第2首部15の内周面24に沿わせることにより、キャップ3をスムーズに装着することができる。
【0055】
さらに、オーバフロー孔42に冷却水がかかることを抑制するための部材をキャップ3と別部材として設けた構成と比較して、部品点数を削減することができ、コストを低減することができる。
【0056】
内板部38の平板部40と内周面21との間の空間46は、内板部38の円弧板部39と内周面21との間の空間47よりも注水口22の径方向に広がっている。そして、オーバフロー孔42は、その広がった空間46に臨んでいる。そのため、リザーブタンク1内の圧が上昇して、冷却水が空間46に進入しても、空間46がバッファとなって、冷却水の水面がオーバフロー孔42に達することを抑制できる。その結果、オーバフロー孔42からの冷却水の噴き出しを抑制することができる。
【0057】
また、円弧板部39に開口41が形成されているので、キャップ3の位置ずれや内板部38の変形などにより、内板部38が第2首部15の内周面24と密着していても、リザーブタンク1内の圧が上昇したときに、リザーブタンク1内の空気を開口を通して口部17の内周面21と円弧板部39との間の空間47に逃がすことができ、さらに空間46からオーバフロー孔42を通して大気に放出することができる。その結果、タンク本体2内の圧を下げることができる。
【0058】
また、開口41がオーバフロー孔42から離れた位置に形成されているので、冷却水が開口41を通して口部17の内周面21と円弧板部39との間の空間47に進入しても、その冷却水は、オーバフロー孔42が臨む空間46に到達するまでに、第2首部15の円弧面部25と円弧板部39との間の隙間から流下する。これにより、オーバフロー孔42から冷却水が漏れ出すことを一層抑制することができる。
【0059】
さらに、内板部38の平板部40が平面部26に対向することにより、キャップ3が注水口22に対して注水口22の周方向に位置決めされる。よって、注水口22の周方向において、キャップ3を注水口22に対して一定の位置に装着することができる。
【0060】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
【0061】
たとえば、第2首部15の内周面24は、円弧状の円弧面部25および平面状の平面部26を有しているとしたが、内周面24は、円弧状の円弧面部25と、円弧面部25の周方向の両端間に接続され、円弧面部25の中心に対して偏心した円弧状の面部とを有する構成であってもよい。
【0062】
また、内板部38において、キャップ3の周方向の位置決めに寄与する面と、口部17の内周面21との間に相対的に広い空間を形成する面とは、同一面に限らず、異なる面であってもよい。
【0063】
また、開口41は、円弧板部39において、閉塞部31の中心を通って平板部40と直交する直線上の位置に形成されているとしたが、閉塞部31の中心からオーバフロー孔42に向けて延びる直線上から外れた位置であれば、それ以外の位置に形成されていてもよい。
【0064】
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 リザーブタンク
2 タンク本体
3 キャップ
15 第2首部(首部)
17 口部
21 内周面
22 注水口
24 内周面
25 円弧面部(所定面部以外の部分)
26 平面部(所定面部)
31 閉塞部
32 係合部
38 内板部
41 開口
42 オーバフロー孔
46 空間
47 空間