(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6289285
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】乗客コンベヤの踏段運搬装置
(51)【国際特許分類】
B66B 31/00 20060101AFI20180226BHJP
B66B 23/12 20060101ALI20180226BHJP
【FI】
B66B31/00 D
B66B23/12 Z
【請求項の数】4
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-128970(P2014-128970)
(22)【出願日】2014年6月24日
(65)【公開番号】特開2016-8105(P2016-8105A)
(43)【公開日】2016年1月18日
【審査請求日】2017年2月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100117776
【弁理士】
【氏名又は名称】武井 義一
(74)【代理人】
【識別番号】100188329
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 義行
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(74)【代理人】
【識別番号】100090011
【弁理士】
【氏名又は名称】茂泉 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100194939
【弁理士】
【氏名又は名称】別所 公博
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 倫子
【審査官】
井上 信
(56)【参考文献】
【文献】
特開平7−252080(JP,A)
【文献】
特開2000−344456(JP,A)
【文献】
特開2003−40570(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 21/00 − 31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者に持ち上げられるグリップ部と、
前記グリップ部に設けられ、踏段のブラケットを支持する支持部と、
前記グリップ部に設けられ、前記支持部が前記ブラケットを支持した状態で前記作業者が前記グリップ部を持ち上げた場合に、前記踏段と前記作業者との間に配置されるエプロンと
を備えたことを特徴とする乗客コンベヤの踏段運搬装置。
【請求項2】
前記支持部は、前記ブラケットが挿入される凹部が形成された第1爪部と、前記凹部に挿入された前記ブラケットを前記第1爪部とともに挟む第2爪部とを有し、
前記第1爪部および前記第2爪部は、前記第1爪部が前記ブラケットを支持する場合に前記ブラケットを挟み、前記第1爪部による前記ブラケットの支持が解除される場合に前記ブラケットの挟みを解除することを特徴とする請求項1に記載の乗客コンベヤの踏段運搬装置。
【請求項3】
前記支持部に設けられ、前記支持部が前記ブラケットを支持する場合に前記ブラケットに接触する滑り止め部材をさらに備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の乗客コンベヤの踏段運搬装置。
【請求項4】
前記グリップ部に設けられ、長さ調節が可能な肩掛け部をさらに備えたことを特徴とする請求項1から請求項3までの何れか一項に記載の乗客コンベヤの踏段運搬装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、踏段を運搬する際に用いられる乗客コンベヤの踏段運搬装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、踏段を運搬する際に作業者に握られるグリップ部と、グリップ部に連結され、踏段のブラケットを支持する支持部とを備え、支持部がブラケットを支持した状態で作業者がグリップ部を持ち上げることにより、踏段が持ち上げられるエスカレータの踏段運搬装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−40570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、作業者がグリップを持ち上げる場合に、持ち上げられた踏段が作業者の作業服に接触して、作業服が汚れてしまうという問題点があった。
【0005】
この発明は、踏段が作業服に接触することを防止することができる乗客コンベヤの踏段運搬装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る乗客コンベヤの踏段運搬装置は、作業者に持ち上げられるグリップ部と、グリップ部に設けられ、踏段のブラケットを支持する支持部と、グリップ部に設けられ、支持部がブラケットを支持した状態で作業者がグリップ部を持ち上げた場合に、踏段と作業者との間に配置されるエプロンとを備えている。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係る乗客コンベヤの踏段運搬装置によれば、支持部がブラケットを支持した状態で作業者がグリップ部を持ち上げた場合に、踏段と作業者との間に配置されるエプロンを備えているので、作業者がグリップ部を持ち上げる場合に、持ち上げられた踏段が作業者の作業服に接触することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】この発明の実施の形態1に係る踏段運搬装置を示す正面図である。
【
図2】
図1の踏段運搬装置を用いて踏段を運搬する様子を示す図である。
【
図3】
図1の踏段運搬装置が踏段のブラケットを支持した状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る踏段運搬装置を示す正面図、
図2は
図1の踏段運搬装置を用いて踏段を運搬する様子を示す図である。図において、踏段運搬装置(乗客コンベヤの踏段運搬装置)は、作業者に持ち上げられるグリップ部1と、グリップ部1に設けられた一対の支持部2と、グリップ部1に設けられたエプロン3と、グリップ部1に設けられた肩掛け部4と、それぞれの支持部2に設けられた滑り止め部材5とを備えている。
【0010】
踏段運搬装置を用いて運搬されるエスカレータの踏段10は、踏板101と、一端部が踏板101に接続されたライザ102と、一端部が踏板101に接続され、他端部がライザ102の他端部に接続されたブラケット103と、ライザ102の他端部に回転自在に設けられたローラ104とを備えている。踏段10は、踏段10がライザ102よりも下方に位置する状態で運搬される。また、踏段10は、ライザ102が水平面に対して傾斜した状態で運搬される。
【0011】
グリップ部1は、円筒形状に形成されている。グリップ部1は、作業者の手がグリップ部1を握ることができる形状に形成されている。グリップ部1は、グリップ部1を握った作業者の手が上方に移動することによって、持ち上げられる。
【0012】
支持部2は、グリップ部1の長手方向両端部に取り付けられている。支持部2は、一端部がグリップ部1に接続されたワイヤ21と、凹部221が形成された第1爪部22と、ワイヤ21の他端部に接続され、第1爪部22を支持する第2爪部23とを有している。
【0013】
第1爪部22は、くの字に折り曲げられた板ばねから構成されている。凹部221は、グリップ部1の長手方向外側を向くように配置されている。凹部221にブラケット103が挿入された状態で、グリップ部1が持ち上げられることによって、踏段10に作用する重力が第1爪部22に加えられる。第1爪部22は、第2爪部23の長手方向中間部に一端部が接続されている。したがって、第1爪部22に加えられた踏段10の重力は、第2爪部23に伝えられる。第1爪部22は、第1爪部22に踏段10の重力が加えられた場合に、第1爪部22における第2爪部23と接続される部分と第2爪部23との間の角度が、第1爪部22に踏段10の重力が加えられていない場合と比較して小さくなるように弾性変形する。
【0014】
第2爪部23は、板ばねから構成されている。第2爪部23は、無負荷状態の場合に、ワイヤ21に接続されている一端部から他端部に向かうにつれて、グリップ部1の長手方向外側に向かうように、グリップ部1の軸線に垂直な面に対して傾斜する。この時の第2爪部23の位置を解除位置とする。また、第2爪部23は、第1爪部22にブラケット103が取り付けられた場合に、踏段10の重さによって、グリップ部1の軸線に垂直な面に沿うように弾性変形する。この時の第2爪部23の位置を把持位置とする。したがって、第2爪部23は、解除位置と把持位置との間で変位する。
【0015】
第2爪部23の位置が解除位置である場合、第1爪部22および第2爪部23は、ブラケット103を把持しない。したがって、凹部221に対するブラケット103の出し入れが可能となる。一方、第2爪部23の位置が把持位置である場合、第1爪部22および第2爪部23は、互いにブラケット103を挟む。これにより、ブラケット103は、第1爪部22および第2爪部23に把持される。したがって、凹部221からブラケット103が出てしまうことが防止される。
【0016】
エプロン3は、支持部2がブラケット103を支持した状態で作業者がグリップ部1を持ち上げた場合に、踏段10と作業者との間に配置される。
【0017】
肩掛け部4は、両端部がグリップ部1に固定されている。肩掛け部4は、長手方向の寸法が調整可能となっている。つまり、肩掛け部4は、長さ調節が可能となっている。
【0018】
滑り止め部材5は、第1爪部22および第2爪部23に取り付けられている。第1爪部22に取り付けられた滑り止め部材5は、支持部2がブラケット103を支持する場合にブラケット103に接触する。第2爪部23に取り付けられた滑り止め部材5は、支持部2がブラケット103を把持する場合に、ブラケット103に接触する。滑り止め部材5がブラケット103に接触することによって、ブラケット103が水平面に対して傾斜した状態で支持部2がブラケット103を把持する場合に、支持部2がブラケット103に対してスライドすることが抑制される。
【0019】
図3は
図1の踏段運搬装置が踏段のブラケットを支持した状態を示す正面図である。次に、踏段運搬装置を用いて踏段10を運搬する手順について説明する。作業者は、凹部221にブラケット103を挿入し、その後、グリップ部1を持ち上げる。これにより、第2爪部23が解除位置から把持位置に変位する。このとき、第1爪部22は、第1爪部22における第2爪部23と接続される部分と第2爪部23との間の角度が、第1爪部22に踏段10の重力が加えられていない場合と比較して小さくなるように弾性変形する。したがって、支持部2がブラケット103を把持する。
【0020】
作業者は、グリップ部1を持ち上げる際に、エプロン3が作業者と踏段10との間に配置されるようにエプロン3の位置を調整する。その後、踏段10を所定の領域に運搬し、その後、作業者は、踏段10を所定の位置に下す。これにより、第2に爪部23が把持位置から解除位置に変位する。このとき、第1爪部22は、元の形に戻る。したがって、支持部2によるブラケット103の把持が解除される。
【0021】
作業者は、踏段10を所定の位置に下した後、作業者は、凹部221からブラケット103が出されるように、支持部2をブラケット103から離す。以上により、踏段運搬装置を用いた踏段10の運搬が終了する。
【0022】
以上説明したように、この発明の実施の形態1に係る踏段運搬装置によれば、支持部2がブラケット103を支持した状態で作業者がグリップ部1を持ち上げた場合に、踏段10と作業者との間に配置されるエプロン3を備えているので、作業者がグリップ部1を持ち上げる場合に、持ち上げられた踏段10が作業者の作業服に接触することを防止することができる。
【0023】
また、支持部2は、ブラケット103が挿入される凹部221が形成された第1爪部22と、凹部221に挿入されたブラケット103を第1爪部22とともに挟む第2爪部23とを有し、第1爪部22および第2爪部23は、第1爪部22がブラケット103を支持する場合にブラケット103を挟み、第1爪部22によるブラケット103の支持が解除される場合にブラケット103の挟みを解除するので、作業者がグリップ部1を持ち上げることによって支持部2がブラケット103を把持し、作業者がグリップ部1を下すことによって支持部2によるブラケット103の把持が解除される。これにより、踏段10をより効率よく運搬することができる。
【0024】
また、踏段運搬装置は、支持部2に設けられ支持部2がブラケット103を支持する場合にブラケット103に接触する滑り止め部材5を備えているので、支持部2がブラケット103に対してスライドすることを抑制することができる。
【0025】
また、踏段運搬装置は、グリップ部1に設けられ長さ調節が可能な肩掛け部4を備えているので、踏段10をより容易に運搬することができる。
【0026】
なお、上記実施の形態1では、エスカレータの踏段10を運搬する踏段運搬装置を例に説明したが、動く歩道の踏段を運搬する踏段運搬装置であってもよい。
【符号の説明】
【0027】
1 グリップ部、2 支持部、3 エプロン、4 肩掛け部、5 滑り止め部材、10 踏段、21 ワイヤ、22 第1爪部、23 第2爪部、101 踏板、102 ライザ、103 ブラケット、104 ローラ、221 凹部。