特許第6289347号(P6289347)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6289347
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】冷却装置
(51)【国際特許分類】
   F16L 53/75 20180101AFI20180226BHJP
   F28F 1/32 20060101ALI20180226BHJP
   G01N 17/00 20060101ALN20180226BHJP
【FI】
   F16L53/00 B
   F28F1/32 E
   !G01N17/00
【請求項の数】14
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2014-229080(P2014-229080)
(22)【出願日】2014年11月11日
(65)【公開番号】特開2016-90031(P2016-90031A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2017年2月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱日立パワーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】松尾 毅
(72)【発明者】
【氏名】坂田 文稔
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 大剛
(72)【発明者】
【氏名】金巻 裕一
(72)【発明者】
【氏名】椋本 陽喜
【審査官】 柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭51−010160(JP,A)
【文献】 特開2007−147233(JP,A)
【文献】 特開平05−231586(JP,A)
【文献】 特開平11−114730(JP,A)
【文献】 特開平11−022893(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 53/00
F28F 1/32
G01N 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温環境下にある金属製筒部材の表面に沿って面で接触して設けられる基台部材と、
前記基台部材の表面に突出して設けられた放熱部材と、
前記金属製筒部材から前記基台部材への熱伝達性を保持させる熱伝達保持手段と、
を備え、
前記熱伝達保持手段は、前記基台部材と前記金属製筒部材との間に設けられて前記金属製筒部材の熱変形に追従して変形するように板状部材が前記金属製筒部材の径方向に対して前記金属製筒部材の中心軸線の延在方向に湾曲または屈曲した変形部材を有することを特徴とする冷却装置。
【請求項2】
前記熱伝達保持手段は、前記基台部材を前記金属製筒部材の表面に対して押圧する弾性部材を有することを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
水平方向を主方向とする方向に前記金属製筒部材の表面が連続して配置される場合、前記放熱部材は、前記金属製筒部材の径方向に延在する板材として形成され、かつ前記板材が前記金属製筒部材の中心軸線の延在方向に複数並設されることを特徴とする請求項1または2に記載の冷却装置。
【請求項4】
鉛直方向を主方向とする方向に前記金属製筒部材の表面が連続する場合、前記放熱部材は、前記金属製筒部材の中心軸線を中心とする放射方向に延在する板材として形成され、かつ前記板材が前記金属製筒部材の中心軸線を中心とする周方向に複数並設されることを特徴とする請求項1または2に記載の冷却装置。
【請求項5】
前記放熱部材は、前記金属製筒部材の中心軸線に沿って螺旋状に設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の冷却装置。
【請求項6】
前記放熱部材は、延在方向に沿ってスリットが複数形成されることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1つに記載の冷却装置。
【請求項7】
前記放熱部材の下方に配置されて中空形状の側方または上方に開口孔が設けられる送風管と、前記送風管に空気を供給する送風機と、を備える送風機構を有することを特徴とする請求項1〜いずれか1つに記載の冷却装置。
【請求項8】
前記送風機構は、前記放熱部材の外側であって前記金属製筒部材の周囲を覆うように設けられたカバーを備え、当該カバーの内部に前記送風管が設けられ、前記カバーの上部に通風孔が形成されていることを特徴とする請求項に記載の冷却装置。
【請求項9】
前記送風機構は、前記カバーの前記通風孔の上方に被さるフードを備えることを特徴とする請求項に記載の冷却装置。
【請求項10】
前記金属製筒部材の外側を囲むヘッダ管と、前記金属製筒部材側に吐出口を向けて前記ヘッダ管に配置される吐出ノズルと、前記ヘッダ管に空気を供給する送風機と、を備える空冷機構を有することを特徴とする請求項1〜いずれか1つに記載の冷却装置。
【請求項11】
前記空冷機構の前記吐出ノズルの吐出口が向く側において、少なくとも前記基台部材が除かれて配置されることを特徴とする請求項10に記載の冷却装置。
【請求項12】
高温環境下にある金属製筒部材の表面に非接触な状態で当該金属製筒部材の外側を囲むヘッダ管と、
前記金属製筒部材の表面に吐出口を向けて前記ヘッダ管に配置される吐出ノズルと、
前記ヘッダ管に空気を供給する送風機と、
を備えることを特徴とする冷却装置。
【請求項13】
前記ヘッダ管と前記金属製筒部材との間であって前記金属製筒部材の表面に突出して設けられた放熱部材を備えることを特徴とする請求項12に記載の冷却装置。
【請求項14】
前記ヘッダ管と前記送風機とを繋ぐ給気管に設けられた流量調整部と、
前記ヘッダ管に供給される空気の流量または前記金属製筒部材の温度を取得して前記流量または前記温度に応じて前記流量調整部を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする請求項1013のいずれか1つに記載の冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、火力発電プラントや原子力発電プラントや化学プラントなどのプラントで用いられる配管のように高温となり得る高温部材を冷却する冷却装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、火力発電プラントなどで使用される配管は、ボイラで加熱された蒸気を蒸気タービンに運ぶ機能を有することから、高温かつ高圧の環境にある金属製筒部材である。このような金属製筒部材は、上記環境下で長時間使用されるとクリープ損傷が進行してクリープボイドが発生し、このクリープボイドがつながることで亀裂が生じ、最終的には破断に至る。
【0003】
こうした破断を防止するために、定期的な非破壊検査によりクリープボイドの成長度合いを分析してクリープ損傷度を導出し、金属製筒部材の余寿命評価を行っている(例えば、特許文献1または特許文献2参照)。なお、一般的に、金属製筒部材は、母材部に比べて溶接部のクリープ損傷リスクが高いため、検査箇所は主に溶接部となっている。
【0004】
非破壊検査の結果、クリープ損傷度が高い部材があり、次の定期検査までの間にてクリープ損傷リスクが高い場合、金属製筒部材の取り替えを行うが、次の定期検査までの間にてクリープ損傷リスクが低い場合は、プラント全体の運転温度を下げることで、金属製筒部材のメタル温度を下げ、クリープ損傷リスクを低減する対策を講じることが一般的である。ただし、プラント全体の運転温度を下げることは、プラントの運転効率の低下となるという問題がある。
【0005】
なお、例えば、特許文献3には、配管に関し、放熱フィンにより配管の熱を放熱することが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−85347号公報
【特許文献2】特開2008−122345号公報
【特許文献3】特開2003−113989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献3に示されるように、放熱フィンにより配管を冷却することが可能であるが、配管が熱変形し、この熱変形の影響が放熱フィンに及ぶ場合、冷却性能が低下するおそれがある。
【0008】
本発明は、上述した課題を解決するものであり、高温環境下にある金属製筒部材が熱変形する場合であっても、冷却性能を維持することのできる冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するために、本発明の冷却装置は、高温環境下にある金属製筒部材の表面に沿って面で接触して設けられる基台部材と、前記基台部材の表面に突出して設けられた放熱部材と、前記金属製筒部材から前記基台部材への熱伝達性を保持させる熱伝達保持手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
この冷却装置によれば、高温環境下にある金属製筒部材が熱変形する場合であっても、冷却性能を向上することができる。
【0011】
また、本発明の冷却装置では、前記熱伝達保持手段は、前記基台部材を前記金属製筒部材の表面に対して押圧する弾性部材を有することを特徴とする。
【0012】
この冷却装置によれば、高温により金属製筒部材が変形した場合に、熱伝達保持手段の弾性部材により金属製筒部材の表面に基台部材の接触した状態が維持されることになる。この結果、金属製筒部材から基台部材への熱伝達性を保持することができ、高温環境下にある金属製筒部材が熱変形する場合であっても、冷却性能を維持することができる。よって、クリープ損傷リスクが高い部分のメタル温度を下げ、クリープ損傷リスクを低減することができる。
【0013】
また、本発明の冷却装置では、前記熱伝達保持手段は、前記基台部材と前記金属製筒部材との間に設けられて前記金属製筒部材の温度上昇に伴って軟化する軟化部材を有することを特徴とする。
【0014】
この冷却装置によれば、高温により金属製筒部材が変形しても、熱伝達保持手段の軟化部材が温度上昇に伴って軟化することで、金属製筒部材の表面と基台部材の内面との熱的な繋がりを軟化部材が維持することになる。この結果、金属製筒部材から基台部材への熱伝達性を保持することができ、高温環境下にある金属製筒部材が熱変形する場合であっても、冷却性能を維持することができる。よって、クリープ損傷リスクが高い部分のメタル温度を下げ、クリープ損傷リスクを低減することができる。
【0015】
また、本発明の冷却装置では、前記熱伝達保持手段は、前記基台部材と前記金属製筒部材との間に設けられて前記金属製筒部材の熱変形に追従して変形する変形部材を有することを特徴とする。
【0016】
この冷却装置によれば、高温により金属製筒部材が変形した場合に、熱伝達保持手段の変形部材が変形することで、金属製筒部材の表面と基台部材の内面との熱的な繋がりを変形部材が維持することになる。この結果、金属製筒部材から基台部材への熱伝達性を保持することができ、高温環境下にある金属製筒部材が熱変形する場合であっても、冷却性能を維持することができる。よって、クリープ損傷リスクが高い部分のメタル温度を下げ、クリープ損傷リスクを低減することができる。
【0017】
また、本発明の冷却装置では、前記放熱部材は、鉛直方向に延在する板材として形成され、かつ前記板材が水平方向に複数並設されることを特徴とする。
【0018】
この冷却装置によれば、放熱部材の板材が鉛直方向に延在し、水平方向に複数並設されることで、自然対流熱伝達を促進するため、冷却性能を向上することができる。
【0019】
また、本発明の冷却装置では、前記放熱部材は、前記金属製筒部材の中心軸線に沿って螺旋状に設けられることを特徴とする。
【0020】
この冷却装置によれば、放熱部材の板材の間を流れる空気の流速分布が均一化されるため、冷却性能を向上することができる。
【0021】
また、本発明の冷却装置では、前記放熱部材は、前記板材の延在方向に沿ってスリットが複数形成されることを特徴とする。
【0022】
この冷却装置によれば、高温環境下にある金属製筒部材が熱変形した場合、スリットにより放熱部材が追従して変形可能であるため、放熱部材がクリープ損傷リスクの高い部分を締め付けて圧縮力をかける事態を防ぐことができる。この結果、クリープ損傷リスクの高い部分が損傷する事態を抑制することができる。
【0023】
また、本発明の冷却装置では、前記放熱部材の前記板材の下方に配置されて中空形状の側方または上方に開口孔が設けられる送風管と、前記送風管に空気を供給する送風機と、を備える送風機構を有することを特徴とする。
【0024】
この冷却装置によれば、送風管の開口孔から吐出された空気が、放熱部材の周囲や放熱部材の板材間を上昇することで、基台部材および放熱部材の下側から周囲の空間を換気する。この結果、金属製筒部材から基台部材への熱伝達性を保持することができ、高温環境下にある金属製筒部材が熱変形する場合であっても、冷却性能を維持することができる。よって、クリープ損傷リスクが高い部分のメタル温度を下げ、クリープ損傷リスクを低減することができる。
【0025】
また、本発明の冷却装置では、前記送風機構は、前記放熱部材の外側であって前記金属製筒部材の周囲を覆うように設けられたカバーを備え、当該カバーの内部に前記送風管が設けられ、前記カバーの上部に通風孔が形成されていることを特徴とする。
【0026】
この冷却装置によれば、送風機構がカバーを備えることで、空気の流れを案内することができ、換気による金属製筒部材から基台部材への熱伝達性を保持する効果を顕著に得ることができる。
【0027】
また、本発明の冷却装置では、前記送風機構は、前記カバーの前記通風孔の上方に被さるフードを備えることを特徴とする。
【0028】
この冷却装置によれば、送風機構がフードを備えることで、カバーの貫通孔への塵埃の侵入を防ぐことができる。
【0029】
また、本発明の冷却装置では、前記金属製筒部材の外側を囲むヘッダ管と、前記金属製筒部材側に吐出口を向けて前記ヘッダ管に配置される吐出ノズルと、前記ヘッダ管に空気を供給する送風機と、を備える空冷機構を有することを特徴とする。
【0030】
この冷却装置によれば、吐出ノズルから吐出された空気により金属製筒部材が冷却される。この結果、金属製筒部材を冷却する冷却性能を向上することができる。よって、クリープ損傷リスクが高い部分のメタル温度を下げ、クリープ損傷リスクを低減することができる。
【0031】
また、本発明の冷却装置では、前記空冷機構の前記吐出ノズルの吐出口が向く側において、少なくとも前記基台部材が除かれて配置されることを特徴とする。
【0032】
この冷却装置によれば、金属製筒部材を冷却する冷却性能をより向上することができる。
【0033】
上述の目的を達成するために、本発明の冷却装置は、高温環境下にある金属製筒部材の表面に非接触な状態で当該金属製筒部材の外側を囲むヘッダ管と、前記金属製筒部材の表面に吐出口を向けて前記ヘッダ管に配置される吐出ノズルと、前記ヘッダ管に空気を供給する送風機と、を備えることを特徴とする。
【0034】
この冷却装置によれば、空冷機構のヘッダ管の吐出ノズルから吐出された空気が金属製筒部材に衝突することで、金属製筒部材が冷却される。この結果、金属製筒部材を冷却する冷却性能を維持することができる。よって、クリープ損傷リスクが高い部分のメタル温度を下げ、クリープ損傷リスクを低減することができる。しかも、この冷却装置によれば、ヘッダ管が金属製筒部材の表面に非接触な状態で金属製筒部材の外側を囲むことから、高温環境下にある金属製筒部材が熱変形する場合であっても、ヘッダ管が金属製筒部材に接触する事態を防ぐため、金属製筒部材を冷却する冷却性能を維持することができる。
【0035】
また、本発明の冷却装置では、前記ヘッダ管と前記金属製筒部材との間であって前記金属製筒部材の表面に突出して設けられた放熱部材を備えることを特徴とする。
【0036】
この冷却装置によれば、放熱部材を備えることで、熱伝達性が向上するため、冷却性能を向上することができる。また、熱伝達性が向上するため、空冷機構における空気の流量を抑えて設備コストを低減することができる。
【0037】
また、本発明の冷却装置では、前記ヘッダ管と前記送風機とを繋ぐ給気管に設けられた流量調整部と、前記ヘッダ管に供給される空気の流量または前記金属製筒部材の温度を取得して前記流量または前記温度に応じて前記流量調整部を制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
【0038】
この冷却装置によれば、金属製筒部材を冷却する冷却性能を維持することができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、高温環境下にある金属製筒部材が熱変形する場合であっても、冷却性能を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1図1は、本発明の実施形態に係る冷却装置が適用される金属製筒部材の概略構成図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る冷却装置が適用される金属製筒部材の概略構成図である。
図3図3は、本発明の実施形態1に係る冷却装置の概略構成図である。
図4図4は、図3におけるA−A断面図である。
図5図5は、本発明の実施形態1に係る冷却装置の概略構成図である。
図6図6は、本発明の実施形態1に係る冷却装置の概略構成図である。
図7図7は、本発明の実施形態2に係る冷却装置の概略構成図である。
図8図8は、図7におけるB−B断面図である。
図9図9は、本発明の実施形態2に係る冷却装置の概略構成図である。
図10図10は、本発明の実施形態2に係る冷却装置の概略構成図である。
図11図11は、本発明の実施形態3に係る冷却装置の概略構成図である。
図12図12は、本発明の実施形態4に係る冷却装置の概略構成図である。
図13図13は、本発明の実施形態5に係る冷却装置の概略構成図である。
図14図14は、本発明の実施形態6に係る冷却装置の概略構成図である。
図15図15は、本発明の実施形態6に係る冷却装置の概略構成図である。
図16図16は、本発明の実施形態6に係る冷却装置の概略構成図である。
図17図17は、本発明の実施形態7に係る冷却装置の概略構成図である。
図18図18は、本発明の実施形態8に係る冷却装置の概略構成図である。
図19図19は、本発明の実施形態9に係る冷却装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0042】
図1および図2は、本実施形態に係る冷却装置が適用される金属製筒部材の概略構成図である。
【0043】
図1および図2において例示される金属製筒部材100は、火力発電プラントや原子力発電プラントや化学プラントなどのプラントで用いられる配管として構成されている。この金属製筒部材100は、その内部に高温高圧の流体(例えば、水蒸気)が送られる。すなわち、金属製筒部材100は、高温環境下にある。この金属製筒部材100は、周囲への温度の影響を抑制するために保温材101で周囲が覆われている。なお、金属製筒部材100は、配管の他、内部に高温高圧の流体が貯留される容器であってもよい。
【0044】
このように、高温環境下にある金属製筒部材100は、高温環境下で長時間使用されるとクリープ損傷が進行してクリープボイドが発生し、このクリープボイドがつながることで亀裂が生じ、最終的には破断に至る。こうした破断を防止するため、定期的な非破壊検査によりクリープボイドの成長度合いを分析して金属製筒部材ごとのクリープ損傷度を導出し、金属製筒部材100の余寿命評価を行っている。具体的には、図2に示すように、クリープ損傷リスクが高い箇所である溶接部102の近傍を覆う保温材101を除去する。図2では、配管である金属製筒部材100の周方向に設けられた溶接部102の近傍を覆う保温材101が、溶接部102およびその近傍を表出させるように周方向に連続して除去された状態を示している。
【0045】
そして、非破壊検査の結果、次の定期検査までの間にてクリープ損傷リスクが高い場合は、金属製筒部材の取り替えを行うが、次の定期検査までの間にてクリープ損傷リスクが高くなるおそれのある場合は、以下に説明する冷却装置を適用する。
【0046】
[実施形態1]
図3は、本実施形態に係る冷却装置の概略構成図である。図4は、図3におけるA−A断面図である。図5は、本実施形態に係る冷却装置の概略構成図である。図6は、本実施形態に係る冷却装置の概略構成図である。
【0047】
図3から図6に示す冷却装置1は、水平方向Hを主方向とする方向に金属製筒部材100の表面が連続する場合に適用される。水平方向Hを主方向とする方向とは、水平方向H、および水平方向Hに対して45度未満傾斜する方向をいう。図3および図6に示す金属製筒部材100は、中心軸線Sが水平方向Hに延在するように配置されている。
【0048】
図3および図4に示すように、冷却装置1は、基台部材2と、放熱部材3と、熱伝達保持手段4と、を備える。
【0049】
基台部材2は、金属により板状に形成され、熱変形する以前の金属製筒部材100の表面100Aに沿って面で接触するように、金属製筒部材100の表面100Aに接触する内面2Aが、金属製筒部材100の表面100Aの形状に倣って形成されている。本実施形態では、基台部材2は、図4に示すように、金属製筒部材100が配管とされており、この配管の表面100Aの形状に倣って円筒形状の内面2Aの径(内径)が配管の表面100Aの外径に一致するように形成されている。そして、基台部材2は、円筒形状が径方向で分割(本実施形態では2分割)され、それぞれの各分割端に設けられたフランジ2B同士が重ねられ、各フランジ2Bを貫通するボルト41、および当該ボルト41に螺合するナット42により分割されたそれぞれが結合されている。
【0050】
放熱部材3は、基台部材2の表面2Cに突出して設けられている。放熱部材3は、金属によりなる板材として構成され、図3に示すように、鉛直方向Pに延在(水平方向Hに90度交差)して設けられ、かつ水平方向Hに複数並設されている。また、放熱部材3は、金属によりなる板材として構成され、図5に示すように、金属製筒部材100の中心軸線Sに沿って螺旋状に配置されている。また、放熱部材3は、図6に示すように、板材の延在方向に沿ってスリット3Aが複数形成されている。スリット3Aは、放熱部材3の突出端から基台部材2の表面2C側に向かって形成され、基台部材2の表面2Cに至っていても至らなくてもよい。
【0051】
なお、放熱部材3は、基台部材2と同じ材料により一体または別体に成形されていても、基台部材2と異なる材料により別体に成形されていてもよい。また、放熱部材3は、板材に限らず、図には明示しないが、棒形状であってもよい。さらに、放熱部材3は、図には明示しないが、断面が中空形状であってもよい。
【0052】
熱伝達保持手段4は、金属製筒部材100から基台部材2への熱伝達性を保持させるものである。熱伝達保持手段4は、図4に示したように、基台部材2が、熱変形する以前の金属製筒部材100である配管の表面100Aの形状に倣って円筒形状の内面2Aの径(内径)が配管の表面100Aの外径に一致するように形成されていること、および、基台部材2が、円筒形状を径方向で分割し、それぞれの各分割端に設けられたフランジ2B同士を重ねて、各フランジ2Bを貫通するボルト41、および当該ボルト41に螺合するナット42により分割されたそれぞれを結合していること、により構成されている。即ち、ここでの熱伝達保持手段4は、基台部材2が、熱変形する以前の金属製筒部材100の表面100Aの形状に倣って内面2Aが形成され、かつ分割端の各フランジ2Bがボルト41およびナット42により結合されているため、高温により金属製筒部材100が変形した場合に、実質締まりばめとして金属製筒部材100の表面100Aに接触した状態が維持されることになる。この結果、金属製筒部材100から基台部材2への熱伝達性を保持することができ、高温環境下にある金属製筒部材100が熱変形する場合であっても、冷却性能を維持することができる。よって、クリープ損傷リスクが高い部分のメタル温度を下げ、クリープ損傷リスクを低減することができる。
【0053】
このように、本実施形態の冷却装置1は、高温環境下にある金属製筒部材100の表面100Aに沿って面で接触して設けられる基台部材2と、基台部材2の表面2Cに突出して設けられた放熱部材3と、金属製筒部材100から基台部材2への熱伝達性を保持させる熱伝達保持手段4と、を備えることで、高温環境下にある金属製筒部材100が熱変形する場合であっても、冷却性能を向上することができる。
【0054】
また、本実施形態の冷却装置1では、放熱部材3は、鉛直方向Pに延在する板材として形成され、かつ板材が水平方向に複数並設される。
【0055】
この冷却装置1によれば、放熱部材3の板材が鉛直方向Pに延在し、水平方向に複数並設されることで、自然対流熱伝達を促進するため、冷却性能を向上することができる。
【0056】
また、本実施形態の冷却装置1では、放熱部材3は、金属製筒部材100の中心軸線Sに沿って螺旋状に設けられる。
【0057】
この冷却装置1によれば、放熱部材3の板材の間を流れる空気の流速分布が均一化されるため、冷却性能を向上することができる。
【0058】
また、本実施形態の冷却装置1では、放熱部材3は、板材の延在方向に沿ってスリット3Aが複数形成される。
【0059】
この冷却装置1によれば、高温環境下にある金属製筒部材100が熱変形した場合、スリット3Aにより放熱部材3が追従して変形可能であるため、放熱部材3がクリープ損傷リスクの高い部分を締め付けて圧縮力をかける事態を防ぐことができる。この結果、クリープ損傷リスクの高い部分が損傷する事態を抑制することができる。なお、スリット3Aは切り込みとして形成されていても同様の効果を奏する。
【0060】
[実施形態2]
図7は、本実施形態に係る冷却装置の概略構成図である。図8は、図7におけるB−B断面図である。図9は、本実施形態に係る冷却装置の概略構成図である。図10は、本実施形態に係る冷却装置の概略構成図である。
【0061】
図7から図10に示す冷却装置1は、鉛直方向Pを主方向とする方向に金属製筒部材100の表面が連続する場合に適用される。鉛直方向Pを主方向とする方向とは、鉛直方向P、および鉛直方向Pに対して45度未満傾斜する方向をいう。図7および図10に示す金属製筒部材100は、中心軸線Sが鉛直方向Pに延在するように配置されている。なお、鉛直方向Pに対して45度傾斜する方向は、水平方向Hに対して45度傾斜する方向と同じであり、本実施形態または上述した実施形態1のいずれかの冷却装置1が適用される。
【0062】
図7から図9に示すように、冷却装置1は、基台部材2と、放熱部材3と、熱伝達保持手段4(図8参照)と、を備える。
【0063】
基台部材2は、金属により板状に形成され、熱変形する以前の金属製筒部材100の表面100Aに沿って面で接触するように、金属製筒部材100の表面100Aに接触する内面2Aが、金属製筒部材100の表面100Aの形状に倣って形成されている。本実施形態では、基台部材2は、図8に示すように、金属製筒部材100が配管とされており、この配管の表面100Aの形状に倣って円筒形状の内面2Aの径(内径)が配管の表面100Aの外径に一致するように形成されている。そして、基台部材2は、円筒形状が径方向で分割(本実施形態では2分割)され、それぞれの各分割端に設けられたフランジ2B同士が重ねられ、各フランジ2Bを貫通するボルト41、および当該ボルト41に螺合するナット42により分割されたそれぞれが結合されている。
【0064】
放熱部材3は、基台部材2の表面2Cに突出して設けられている。放熱部材3は、金属によりなる板材として構成され、図7および図9に示すように、鉛直方向Pに延在(水平方向Hに90度交差)して設けられ、かつ水平方向Hに複数並設されている。また、放熱部材3は、図10に示すように、板材の延在方向に沿ってスリット3Aが複数形成されている。スリット3Aは、放熱部材3の突出端から基台部材2の表面2C側に向かって形成され、基台部材2の表面2Cに至っていても至らなくてもよい。
【0065】
なお、放熱部材3は、基台部材2と同じ材料により一体または別体に成形されていても、基台部材2と異なる材料により別体に成形されていてもよい。また、放熱部材3は、板材に限らず、図には明示しないが、棒形状であってもよい。さらに、放熱部材3は、図には明示しないが、断面が中空形状であってもよい。
【0066】
熱伝達保持手段4は、金属製筒部材100から基台部材2への熱伝達性を保持させるものである。熱伝達保持手段4は、図8に示したように、基台部材2が、熱変形する以前の金属製筒部材100である配管の表面100Aの形状に倣って円筒形状の内面2Aの径(内径)が配管の表面100Aの外径に一致するように形成されていること、および、基台部材2が、円筒形状を径方向で分割し、それぞれの各分割端に設けられたフランジ2B同士を重ねて、各フランジ2Bを貫通するボルト41、および当該ボルト41に螺合するナット42により分割されたそれぞれを結合していること、により構成されている。即ち、ここでの熱伝達保持手段4は、基台部材2が、熱変形する以前の金属製筒部材100の表面100Aの形状に倣って内面2Aが形成され、かつ分割端の各フランジ2Bがボルト41およびナット42により結合されているため、高温により金属製筒部材100が変形した場合に、実質締まりばめとして金属製筒部材100の表面100Aに接触した状態が維持されることになる。この結果、金属製筒部材100から基台部材2への熱伝達性を保持することができ、高温環境下にある金属製筒部材100が熱変形する場合であっても、冷却性能を維持することができる。よって、クリープ損傷リスクが高い部分のメタル温度を下げ、クリープ損傷リスクを低減することができる。
【0067】
このように、本実施形態の冷却装置1は、高温環境下にある金属製筒部材100の表面100Aに沿って面で接触して設けられる基台部材2と、基台部材2の表面2Cに突出して設けられた放熱部材3と、金属製筒部材100から基台部材2への熱伝達性を保持させる熱伝達保持手段4と、を備えることで、高温環境下にある金属製筒部材100が熱変形する場合であっても、冷却性能を向上することができる。
【0068】
また、本実施形態の冷却装置1では、放熱部材3は、鉛直方向Pに延在する板材として形成され、かつ板材が水平方向に複数並設される。
【0069】
この冷却装置1によれば、放熱部材3の板材が鉛直方向Pに延在し、水平方向に複数並設されることで、自然対流熱伝達を促進するため、冷却性能を向上することができる。
【0070】
また、本実施形態の冷却装置1では、放熱部材3は、板材の延在方向に沿ってスリット3Aが複数形成される。
【0071】
この冷却装置1によれば、高温環境下にある金属製筒部材100が熱変形することにより、基台部材2を介して放熱部材3が変形した場合、スリット3Aが放熱部材3の変形を抑制する。この結果、高温環境下にある金属製筒部材100が熱変形する場合であっても、冷却性能を維持することができる。
【0072】
[実施形態3]
図11は、本実施形態に係る冷却装置の概略構成図である。なお、本実施形態は、上述した実施形態に対して熱伝達保持手段4が異なり、その他の構成は同様である。従って、以下では、熱伝達保持手段4について説明し、その他の同様の構成には同一の符号を付して説明を省略する。また、図11では、図4に示す実施形態の変形例とし示しているが、これに限定されるものではなく、他の図に示す実施形態の変形例としてもよい。
【0073】
熱伝達保持手段4は、金属製筒部材100から基台部材2への熱伝達性を保持させるものである。熱伝達保持手段4は、図11に示すように、基台部材2が、熱変形する以前の金属製筒部材100の表面100Aに沿って面で接触するように、金属製筒部材100の表面100Aに接触する内面2Aが、金属製筒部材100の表面100Aの形状に倣って形成されている。本実施形態では、基台部材2は、図8に示すように、金属製筒部材100が配管とされており、この配管の表面100Aの形状に倣って円筒形状の内面2Aの径(内径)が配管の表面100Aの外径に一致するように形成されている。そして、基台部材2は、円筒形状が径方向で分割(本実施形態では2分割)され、それぞれの各分割端に設けられたフランジ2B同士が重ねられ、各フランジ2Bを貫通するボルト41、および当該ボルト41に螺合するナット42により分割されたそれぞれが結合されている。また、本実施形態の熱伝達保持手段4は、ボルト41の頭部とフランジ2Bとの間に弾性手段であるバネ43が設けられている。バネ43は、圧縮バネであり、ボルト41の頭部とナット42との間で各フランジ2Bが互いに近づく方向に押圧し、これにより基台部材2を金属製筒部材100の表面100Aに対して押圧する。なお、バネ43は、コイルバネや板バネなどがある。
【0074】
このような冷却装置1によれば、高温により金属製筒部材100が変形した場合に、熱伝達保持手段4のバネ43により金属製筒部材100の表面100Aに基台部材2の接触した状態が維持されることになる。この結果、金属製筒部材100から基台部材2への熱伝達性を保持することができ、高温環境下にある金属製筒部材100が熱変形する場合であっても、冷却性能を維持することができる。よって、クリープ損傷リスクが高い部分のメタル温度を下げ、クリープ損傷リスクを低減することができる。
【0075】
[実施形態4]
図12は、本実施形態に係る冷却装置の概略構成図である。なお、本実施形態は、上述した実施形態に対して熱伝達保持手段4が異なり、その他の構成は同様である。従って、以下では、熱伝達保持手段4について説明し、その他の同様の構成には同一の符号を付して説明を省略する。また、図12では、図3に示す実施形態の変形例とし示しているが、これに限定されるものではなく、他の図に示す実施形態の変形例としてもよい。
【0076】
熱伝達保持手段4は、金属製筒部材100から基台部材2への熱伝達性を保持させるものである。熱伝達保持手段4は、金属製筒部材100の表面100Aと基台部材2の内面2Aとの間に軟化部材44が充填されている。軟化部材44は、金属製筒部材100の温度上昇に伴って軟化するもので、金属材や溶射層がある。ここで、金属材や溶射層は、例えば、金属製筒部材100の内部の流体温度に対して100℃以上200℃以下程度を加えた融点であることが好ましく、流体温度が500℃であればアルミニウム合金(融点660℃)、流体温度が650℃であれば黄銅(融点900℃)などが挙げられる。
【0077】
このような冷却装置1によれば、高温により金属製筒部材100が変形しても、熱伝達保持手段4の軟化部材44が温度上昇に伴って軟化することで、金属製筒部材100の表面100Aと基台部材2の内面2Aとの熱的な繋がりを軟化部材44が維持することになる。この結果、金属製筒部材100から基台部材2への熱伝達性を保持することができ、高温環境下にある金属製筒部材100が熱変形する場合であっても、冷却性能を維持することができる。よって、クリープ損傷リスクが高い部分のメタル温度を下げ、クリープ損傷リスクを低減することができる。
【0078】
[実施形態5]
図13は、本実施形態に係る冷却装置の概略構成図である。なお、本実施形態は、上述した実施形態に対して熱伝達保持手段4が異なり、その他の構成は同様である。従って、以下では、熱伝達保持手段4について説明し、その他の同様の構成には同一の符号を付して説明を省略する。また、図13では、図3に示す実施形態の変形例とし示しているが、これに限定されるものではなく、他の図に示す実施形態の変形例としてもよい。
【0079】
熱伝達保持手段4は、金属製筒部材100から基台部材2への熱伝達性を保持させるものである。熱伝達保持手段4は、金属製筒部材100の表面100Aと基台部材2の内面2Aとの間に、金属製筒部材100の熱変形に追従して変形する変形部材45が設けられている。変形部材45は、金属製筒部材100の表面100Aまたは基台部材2の内面2Aに取り付けられたものでもよく、金属製筒部材100および基台部材2とは別に金属製筒部材100の表面100Aと基台部材2の内面2Aとの間に配置されたものでもよい。変形部材45は、金属製筒部材100および基台部材2よりも低剛性のものであり、金属製筒部材100の径方向に変形することのできる板状部材が好ましく、変形がしやすいように金属製筒部材100の径方向に湾曲や屈曲した形状がより好ましい。また、変形部材45は、金属製筒部材100の内部の流体温度に影響を受けにくいように低融点金属が用いられることが好ましい。ここで、低融点金属は、例えば、金属製筒部材100の内部の流体温度に対して100℃以上200℃以下程度を加えた融点であることが好ましく、流体温度が500℃であればアルミニウム合金(融点660℃)、流体温度が650℃であれば黄銅(融点900℃)などが挙げられる。
【0080】
このような冷却装置1によれば、高温により金属製筒部材100が変形した場合に、熱伝達保持手段4の変形部材45が変形することで、金属製筒部材100の表面100Aと基台部材2の内面2Aとの熱的な繋がりを変形部材45が維持することになる。この結果、金属製筒部材100から基台部材2への熱伝達性を保持することができ、高温環境下にある金属製筒部材100が熱変形する場合であっても、冷却性能を維持することができる。よって、クリープ損傷リスクが高い部分のメタル温度を下げ、クリープ損傷リスクを低減することができる。
【0081】
[実施形態6]
図14は、本実施形態に係る冷却装置の概略構成図である。図15は、本実施形態に係る冷却装置の概略構成図である。図16は、本実施形態に係る冷却装置の概略構成図である。なお、本実施形態は、上述した実施形態に対して送風機構5を有することが異なり、その他の構成は同様である。従って、以下では、送風機構5について説明し、その他の同様の構成には同一の符号を付して説明を省略する。また、図14図15図16では、図3図4図7に示す実施形態の変形例とし示しているが、これに限定されるものではなく、他の図に示す実施形態の変形例としてもよい。
【0082】
送風機構5は、カバー51と、送風管52と、送風機53と、給気管54と、フード55と、を有する。
【0083】
カバー51は、放熱部材3の外側であって冷却装置1を含む金属製筒部材100の周囲を覆うように設けられる。カバー51は、金属製筒部材100の周囲を覆う円筒形状に形成され、その上部に通風孔51Aが貫通して設けられている。また、カバー51は、金属製筒部材100(図14では保温材101)に対して所定の隙間51Bが設けられている。隙間51Bは、高温環境下にある金属製筒部材100が熱変形した場合に金属製筒部材100(または保温材101)に接触する事態を回避するように設定されている。
【0084】
送風管52は、放熱部材3の外側であって冷却装置1の下方に配置される。送風管52は、カバー51の内部下方に配置される。送風管52は、中空形状に形成されて側方または上方に向けて開口孔52Aが貫通して設けられている。
【0085】
送風機53は、送風管52に空気を供給するもので、給気管54を介して送風管52と連結されている。
【0086】
フード55は、カバー51の上方であって、通風孔51Aの上方に被さるようにカバー51と所定間隔をおいて設けられる。
【0087】
この送風機構5は、送風機53により給気管54を介して送風管52の内部に空気が供給され、この空気が開口孔52Aから側方または上方に向けて吐出される。送風管52の開口孔52Aから吐出された空気は、カバー51の内部を上昇し、通風孔51Aからカバー51の外側に排出される。
【0088】
なお、カバー51およびフード55は、設けなくてもよく、この場合、送風管52の開口孔52Aは、上方に向けて設けられる。
【0089】
ところで、図16では、金属製筒部材100が鉛直方向Pに中心軸線Sが延在するように配置されている。この場合、送風管52は、放熱部材3の外側であって冷却装置1の下方において、金属製筒部材100の周囲を覆う環状に形成される。
【0090】
このような冷却装置1によれば、送風管52の開口孔52Aから吐出された空気が、放熱部材3の周囲や放熱部材3の板材間を上昇することで、基台部材2および放熱部材3の下側から周囲の空間を換気する。この結果、金属製筒部材100から基台部材2への熱伝達性を保持することができ、高温環境下にある金属製筒部材100が熱変形する場合であっても、冷却性能を維持することができる。よって、クリープ損傷リスクが高い部分のメタル温度を下げ、クリープ損傷リスクを低減することができる。
【0091】
また、この冷却装置1では、送風機構5がカバー51を備えることで、空気の流れを案内することができ、換気による金属製筒部材100から基台部材2への熱伝達性を保持する効果を顕著に得ることができる。
【0092】
また、この冷却装置1では、送風機構5がフード55を備えることで、カバー51の通風孔51Aへの塵埃の侵入を防ぐことができる。
【0093】
なお、送風機構5は、空気が放熱部材3に沿って下方から上方に適宜流れるように、放熱部材3を鉛直方向に延在する板材とした冷却装置1に適用することが好ましい。
【0094】
[実施形態7]
図17は、本実施形態に係る冷却装置の概略構成図である。なお、本実施形態は、上述した実施形態に対して空冷機構6を有することが異なり、その他の構成は同様である。従って、以下では、空冷機構6について説明し、その他の同様の構成には同一の符号を付して説明を省略する。また、図17では、図3に示す実施形態の変形例とし示しているが、これに限定されるものではなく、他の図に示す実施形態の変形例としてもよい。
【0095】
空冷機構6は、ヘッダ管61と、吐出ノズル62と、送風機63と、給気管64と、流量調整部65と、圧力検出部66と、ヘッダ管温度検出部67、金属製筒部材温度検出部68と、制御部69と、を有する。
【0096】
ヘッダ管61は、放熱部材3の外側であって冷却装置1を含む金属製筒部材100の外側を囲むように環状に設けられる。ヘッダ管61は、中空形状に形成されている。また、ヘッダ管61は、図には明示しないが、放熱部材3の外側であって冷却装置1を含み金属製筒部材100に非接触な状態で、金属製筒部材100やその他の部材に対して支持部材により支持される。
【0097】
吐出ノズル62は、金属製筒部材100側に吐出口を向けてヘッダ管61に配置されている。
【0098】
送風機63は、ヘッダ管61に空気を供給するもので、給気管64を介してヘッダ管61と連結されている。
【0099】
流量調整部65は、給気管64に設けられ、給気管64を通じてヘッダ管61に至る空気の流量を調整するものである。流量調整部65は、流量調整弁により構成される。
【0100】
圧力検出部66は、ヘッダ管61の内部の圧力を検出する。
【0101】
ヘッダ管温度検出部67は、ヘッダ管61の内部の温度を検出する。
【0102】
金属製筒部材温度検出部68は、金属製筒部材100の表面100Aの温度を検出する。
【0103】
制御部69は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read 0nly Memory)やRAM(Random Access Memory)などの演算処理機能と、記憶機能と、を備えて構成される。制御部69は、送風機63の駆動を制御する。また、制御部69は、圧力検出部66により検出されるヘッダ管61の内部の圧力から外気圧とヘッダ管61の内部の圧力差を算出する。また、制御部69は、ヘッダ管温度検出部67により検出されるヘッダ管61の内部の温度と、先に算出した圧力差と、に基づいてヘッダ管61に供給される空気の流量を算出する。そして、制御部69は、算出した流量に基づいて、ヘッダ管61に供給される空気の流量が、吐出ノズル62から吐出されて金属製筒部材100を冷却するための必要な空気の流量となるように、流量調整部65を制御することができる。また、制御部69は、金属製筒部材温度検出部68により検出される金属製筒部材100の表面100Aの温度に基づいて、吐出ノズル62から吐出されて金属製筒部材100を冷却するための必要な空気の流量となるように、流量調整部65を制御することもできる。
【0104】
このような冷却装置1によれば、金属製筒部材100の外側を囲むヘッダ管61と、金属製筒部材100側に吐出口を向けてヘッダ管61に配置される吐出ノズル62と、ヘッダ管61に空気を供給する送風機63と、を備える空冷機構6を有することで、吐出ノズル62から吐出された空気により金属製筒部材100が冷却される。この結果、金属製筒部材100を冷却する冷却性能を向上することができる。よって、クリープ損傷リスクが高い部分のメタル温度を下げ、クリープ損傷リスクを低減することができる。
【0105】
また、本実施形態の冷却装置1では、流量調整部65と、ヘッダ管61に供給される空気の流量または金属製筒部材100の温度を取得して、流量または温度に応じて流量調整部65を制御する制御部69と、を備えることが好ましい。
【0106】
この冷却装置1によれば、金属製筒部材100を冷却する冷却性能を維持することができる。
【0107】
また、本実施形態の冷却装置1では、図17に示すように、空冷機構6の吐出ノズル62の吐出口が向く側において、少なくとも基台部材2が除かれて配置されることが好ましい。少なくとも基台部材2とは、基台部材2のみ、または基台部材2および放熱部材3を意味する。すなわち、空冷機構6の吐出ノズル62の吐出口が向く側に、基台部材2のみ、または基台部材2および放熱部材3が除かれた形態となる。図17では、基台部材2を貫通部2Dが複数設けられた多孔板とすることで実施している。なお、基台部材2のみ、または基台部材2および放熱部材3が除かれた形態は、クリープ損傷リスクが高い部分である溶接部102が表出されることが好ましい。
【0108】
この冷却装置1によれば、金属製筒部材100を冷却する冷却性能をより向上することができる。
【0109】
[実施形態8]
図18は、本実施形態に係る冷却装置の概略構成図である。なお、本実施形態は、上述した実施形態7の空冷機構6を有しているが、基台部材2、放熱部材3、および熱伝達保持手段4を有していない。また、図18では、中心軸線Sが水平方向Hを主方向として配置された金属製筒部材100に空冷機構6を備えた形態を示しているが、これに限定されるものではなく、中心軸線Sが鉛直方向Pを主方向として配置された金属製筒部材100に空冷機構6を適用してもよい。
【0110】
本実施形態の冷却装置10は、図18に示すように、高温環境下にある金属製筒部材100の表面100Aに非接触な状態で金属製筒部材100の外側を囲むヘッダ管61と、金属製筒部材100の表面100Aに吐出口を向けてヘッダ管61に配置される吐出ノズル62と、ヘッダ管61に空気を供給する送風機63と、を備える。
【0111】
この冷却装置10によれば、空冷機構6のヘッダ管61の吐出ノズル62から吐出された空気が金属製筒部材100に衝突することで、金属製筒部材100が冷却される。この結果、金属製筒部材100を冷却する冷却性能を維持することができる。よって、クリープ損傷リスクが高い部分のメタル温度を下げ、クリープ損傷リスクを低減することができる。しかも、この冷却装置10によれば、ヘッダ管61が金属製筒部材100の表面100Aに非接触な状態で金属製筒部材100の外側を囲むことからも、高温環境下にある金属製筒部材が熱変形する場合であっても、ヘッダ管61が金属製筒部材100に接触する事態を防ぐため、金属製筒部材100を冷却する冷却性能を維持することができる。
【0112】
また、本実施形態の冷却装置10では、流量調整部65と、ヘッダ管61に供給される空気の流量または金属製筒部材100の温度を取得して、流量または温度に応じて流量調整部65を制御する制御部69と、を備えることが好ましい。
【0113】
この冷却装置10によれば、金属製筒部材100を冷却する冷却性能を維持することができる。
【0114】
[実施形態9]
図19は、本実施形態に係る冷却装置の概略構成図である。なお、本実施形態は、上述した実施形態8に対して放熱部材70を有することが異なり、その他の構成は同様である。従って、以下では、放熱部材70について説明し、その他の同様の構成には同一の符号を付して説明を省略する。また、図19では、中心軸線Sが水平方向Hを主方向として配置された金属製筒部材100に空冷機構6を備えた形態を示しているが、これに限定されるものではなく、中心軸線Sが鉛直方向Pを主方向として配置された金属製筒部材100に空冷機構6を適用してもよい。
【0115】
本実施形態の冷却装置10は、図19に示すように、放熱部材70が、ヘッダ管61と金属製筒部材100との間であって金属製筒部材100の表面100Aに突出して設けられている。
【0116】
なお、放熱部材70は、金属製筒部材100と同じ材料により一体または別体に成形されていても、金属製筒部材100と異なる材料により別体に成形されていてもよい。また、放熱部材70は、板材に限らず、図には明示しないが、棒形状であってもよい。さらに、放熱部材70は、図には明示しないが、断面が中空形状であってもよい。また、放熱部材70は、図には明示しないが、中心軸線Sに沿って延在して設けられ、かつ金属製筒部材100の周方向に複数並設されていてもよい。
【0117】
このような冷却装置10によれば、放熱部材70を備えることで、熱伝達性が向上するため、冷却性能を向上することができる。また、熱伝達性が向上するため、空冷機構6における空気の流量を抑えて設備コストを低減することができる。
【0118】
また、本実施形態の冷却装置10では、放熱部材70は、金属によりなる板材として構成され、金属製筒部材100の中心軸線Sに沿って螺旋状に配置されてもよい。
【0119】
この冷却装置10によれば、高温により金属製筒部材100が変形した場合に、螺旋状の放熱部材70が実質締まりばめとして金属製筒部材100の表面100Aに接触した状態が維持されることになる。この結果、金属製筒部材100から基台部材2への熱伝達性を保持することができ、高温環境下にある金属製筒部材100が熱変形する場合であっても、冷却性能を維持することができる。よって、クリープ損傷リスクが高い部分のメタル温度を下げ、クリープ損傷リスクを低減することができる。
【符号の説明】
【0120】
1,10 冷却装置
2 基台部材
2A 内面
2B フランジ
2C 表面
2D 貫通部
3 放熱部材
3A スリット
4 熱伝達保持手段
41 ボルト
42 ナット
43 バネ(弾性部材)
44 軟化部材
45 変形部材
5 送風機構
51 カバー
51A 通風孔
51B 隙間
52 送風管
52A 開口孔
53 送風機
54 給気管
55 フード
6 空冷機構
61 ヘッダ管
62 吐出ノズル
63 送風機
64 給気管
65 流量調整部
66 圧力検出部
67 ヘッダ管温度検出部
68 金属製筒部材温度検出部
69 制御部
70 放熱部材
100 金属製筒部材
100A 表面
101 保温材
102 溶接部
H 水平方向
P 鉛直方向
S 中心軸線
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