特許第6289350号(P6289350)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6289350
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】突入電流抑制装置付開閉器
(51)【国際特許分類】
   H01H 33/59 20060101AFI20180226BHJP
   H01H 9/54 20060101ALI20180226BHJP
   H02H 9/02 20060101ALI20180226BHJP
【FI】
   H01H33/59 H
   H01H9/54 F
   H02H9/02 D
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-237382(P2014-237382)
(22)【出願日】2014年11月25日
(65)【公開番号】特開2016-100246(P2016-100246A)
(43)【公開日】2016年5月30日
【審査請求日】2016年10月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】593180402
【氏名又は名称】東洋電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 康和
(72)【発明者】
【氏名】山本 久司
(72)【発明者】
【氏名】若林 哲史
【審査官】 太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−135204(JP,A)
【文献】 特開平11−144574(JP,A)
【文献】 実開昭52−019635(JP,U)
【文献】 特開2013−258297(JP,A)
【文献】 特開2014−120271(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 33/28−33/59
H01H 9/54− 9/56
H02H 9/02− 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源と負荷装置の間に設けられる突入電流抑制装置付開閉器であって、
主遮断器と、
前記主遮断器に並列に接続されるスイッチと、
前記主遮断器に並列に接続され、前記スイッチに直列に接続される、前記スイッチに流れる電流を閾値以下に制限する限流抵抗器と、
前記主遮断器の投入と開放の切り替え、および前記主遮断器が投入または開放のいずれの状態であるかを示す外部信号の出力を行う継電器と、
前記スイッチの投入と開放の切り替え、および前記継電器に対して前記主遮断器の投入と開放の切り替えを指示する切替信号の出力を行う制御部と、
を備え、
前記制御部はオン指令を取得すると、前記スイッチを投入し、前記スイッチを投入した後に定められた条件に合致した場合に前記継電器に対して前記主遮断器の投入を指示する前記切替信号を出力し、
前記継電器は前記制御部から該切替信号を取得すると、前記主遮断器を投入し、前記主遮断器が投入状態であることを示す前記外部信号を出力し、
前記制御部は前記継電器から該外部信号を取得し、該外部信号が示す前記主遮断器が投入状態になったタイミングからの時間が定められた開放遅延時間に達すると、前記スイッチを開放する、
突入電流抑制装置付開閉器。
【請求項2】
前記制御部は、前記スイッチを投入した後に、前記オン指令を取得してからの時間が定められた投入遅延時間に達すると、前記継電器に対して前記主遮断器の投入を指示する前記切替信号を出力する請求項1に記載の突入電流抑制装置付開閉器。
【請求項3】
前記スイッチおよび前記主遮断器よりも、前記電源の近くに位置する保護遮断器と、
前記保護遮断器を流れる電流を検出する電流センサと、
前記スイッチが投入状態であって、前記主遮断器が開放状態である間に、前記電流センサで検出された電流が定められた範囲内にない場合に、前記保護遮断器を開放する回路保護部と、
をさらに備える請求項1または2に記載の突入電流抑制装置付開閉器。
【請求項4】
前記スイッチおよび前記主遮断器よりも、前記電源の近くに位置する保護遮断器と、
前記保護遮断器を流れる電流を検出する電流センサと、
前記主遮断器が投入状態である間に、前記電流センサで検出された電流が定められた範囲内にない場合に、前記保護遮断器を開放し、前記保護遮断器を開放したことを示す信号を出力する電流監視部と、
をさらに備える請求項1から3のいずれか1項に記載の突入電流抑制装置付開閉器。
【請求項5】
前記スイッチおよび前記限流抵抗器と、前記主遮断器との接続点の接続方法がワンタッチ接続である請求項1から4のいずれか1項に記載の突入電流抑制装置付開閉器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、突入電流抑制装置付開閉器に関する。
【背景技術】
【0002】
負荷装置を電力系統に投入する際には、突入電流が発生することがある。例えば変圧器を電力系統に投入する際に、一時的に変圧器の定格電流の数倍から数十倍の励磁突入電流が流れる場合がある。励磁突入電流により、該電力系統の電圧が一時的に低下し、該電力系統に接続されている精密機器の機能喪失、該電力系統の保護継電器の誤動作または該電力系統に接続されている近隣需要家における電圧変動などが生じる可能性がある。励磁突入電流の大きさおよび継続時間は、鉄心の飽和特性、鉄心の残留磁束、投入位相、または変圧器のインピーダンスなどに依存する。
【0003】
また消費電力抑制の観点から、負荷装置の電源を切ることで負荷装置の待機電力を無くすことが求められている。負荷装置の電源の入り切りを行うことを可能にするためには、突入電流の抑制が必要である。
【0004】
特許文献1に開示される高周波電力負荷の制御装置は、限流抵抗器が直列接続された第2のスイッチを投入した後、所定時間後に限流抵抗器および第2のスイッチと並列に接続される第1のスイッチを投入することで、励磁突入電流を抑制する。該高周波電力負荷の制御装置は、第1のスイッチの投入後に、第2のスイッチを開放する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平09−117155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示される高周波電力負荷の制御装置では、第1のスイッチの投入後に第2のスイッチが開放される。例えばタイマを用いて、第2のスイッチを投入してからタイマの設定時間経過後に第2のスイッチを開放する場合には、第1のスイッチが投入されていない状態で第2のスイッチが開放されてしまい、第2のスイッチの接点の損傷が起こる可能性がある。
【0007】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、突入電流の抑制の精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の突入電流抑制装置付開閉器は、電源と負荷装置の間に設けられる突入電流抑制装置付開閉器であって、主遮断器と、スイッチと、限流抵抗器と、継電器と、制御部とを備える。スイッチおよび限流抵抗器は主遮断器に並列に接続され、限流抵抗器はスイッチに直列に接続され、スイッチに流れる電流を閾値以下に制限する。継電器は、主遮断器の投入と開放の切り替え、および主遮断器が投入または開放のいずれの状態であるかを示す外部信号の出力を行う。制御部は、スイッチの投入と開放の切り替え、および継電器に対して主遮断器の投入と開放の切り替えを指示する切替信号の出力を行う。制御部はオン指令を取得すると、スイッチを投入し、スイッチを投入した後に定められた条件に合致した場合に継電器に対して主遮断器の投入を指示する切替信号を出力する。継電器は制御部から該切替信号を取得すると、主遮断器を投入し、主遮断器が投入状態であることを示す外部信号を出力する。制御部は継電器から該外部信号を取得し、該外部信号が示す主遮断器が投入状態になったタイミングからの時間が定められた開放遅延時間に達すると、スイッチを開放する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、限流抵抗器が直列に接続されたスイッチの投入と開放の切り替えと、限流抵抗器およびスイッチに並列に接続された主遮断器の投入と開放の切り替えとを連動して行うことで、突入電流の抑制の精度を向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態1に係る突入電流抑制装置付開閉器の構成例を示すブロック図である。
図2】実施の形態1に係る突入電流抑制装置付開閉器の突入電流抑制動作の一例を示すタイミングチャートである。
図3】実施の形態1に係る突入電流抑制装置付開閉器が行う突入電流抑制動作の一例を示すフローチャートである。
図4】本発明の実施の形態2に係る突入電流抑制装置付開閉器の構成例を示すブロック図である。
図5】本発明の実施の形態に係る突入電流抑制装置付開閉器の異なる構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお図中、同一または同等の部分には同一の符号を付す。
【0012】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る突入電流抑制装置付開閉器の構成例を示すブロック図である。突入電流抑制装置付開閉器1(以下、開閉器1という)は、図示しない電源と負荷装置の間に設けられ、端子2は電源に接続され、端子3は負荷装置に接続される。端子3は、例えば変圧器に接続される。開閉器1は、負荷装置を電源に投入する際の突入電流を抑制する。
【0013】
開閉器1は、突入電流抑制部10と、突入電流抑制部10に並列に接続された主遮断器4と、主遮断器4に流れる電流を検出するCT(Current Transformer:変流器)5と、主遮断器4の投入と開放を切り替える継電器6とを備える。主遮断器4は、例えば真空遮断器である。突入電流抑制部10は、スイッチ11と、スイッチ11に直列に接続された限流抵抗器12と、スイッチ11の投入と開放の切り替えを行う制御部13とを備える。制御部13は、CPU(Central Processing Unit)および内部メモリなどから構成されるプロセッサ、およびRAM(Random Access Memory)およびフラッシュメモリなどから構成されるメモリを備える。制御部13は、メモリに記憶されている制御プログラムを実行し、スイッチ11の投入と開放の切り替えを行う。開閉器1は、スイッチ11の投入と開放の切り替えと主遮断器4の投入と開放の切り替えを連動させて行うことで、突入電流を抑制する。
【0014】
スイッチ11を流れる電流が閾値以下となるように、限流抵抗器12の抵抗値が定められる。閾値は、スイッチ11および負荷装置の特性に応じて任意に定めることができる。制御部13は、オン指令またはオフ指令の入力を受け付ける。制御部13は、オン指令の入力を受け付けると、スイッチ11を投入し、スイッチ11を投入した後に定められた条件に合致した場合に継電器6に対して主遮断器4の投入を指示する切替信号を出力する。スイッチ11の投入動作は、例えばモータを用いて行われる。定められた条件は任意に決められ、例えばオン指令を取得してからの時間に基づく条件であり、制御部13は、例えば、オン指令を取得してからの時間が定められた投入遅延時間に達すると、継電器6に対して主遮断器4の投入を指示する切替信号を出力する。投入遅延時間は、突入電流を低減させるために十分な時間であり、限流抵抗器12の特性に応じて定めることができる。また定められた条件を、例えばスイッチ11の接点の開閉状態に基づく条件とし、制御部13は、スイッチ11の接点の開閉状態を検出し、スイッチ11の接点が閉じられていることを検出した後に、継電器6に対して主遮断器4の投入を指示する切替信号を出力してもよい。
【0015】
制御部13は、継電器6から主遮断器4が投入または開放のいずれの状態であるかを示す外部信号を取得する。制御部13は、スイッチ11を投入した後に、外部信号が示す主遮断器4が投入されたタイミングからの時間が定められた開放遅延時間に達すると、スイッチ11を開放する。スイッチ11の開放動作は、例えばトリップコイルを用いて行われる。開放遅延時間は、主遮断器4が投入状態であることを確実にするために設けられた時間であり、任意に定めることができる。
【0016】
制御部13は、主遮断器4が投入され、スイッチ11を開放した後に、オフ指令の入力を受け付ける。制御部13は、オフ指令の入力を受け付けると、継電器6に対して主遮断器4の開放を指示する切替信号を出力する。
【0017】
継電器6は、制御部13から主遮断器4の投入と開放の切り替えを指示する切替信号を取得し、切替信号に従って主遮断器4の投入と開放を切り替える。継電器6は、主遮断器4が投入または開放のいずれの状態であるかを示す外部信号を制御部13に出力する。継電器6は、制御部13から主遮断器4の投入を指示する切替信号を取得すると、主遮断器4を投入した後、例えば主遮断器4の接点の開閉状態を検出し、検出した開閉状態に従って外部信号を出力する。また継電器6は、主遮断器4を投入してから、主遮断器4の投入動作が完了する時間より十分に長い、定められた時間の経過後に、主遮断器4が投入状態であることを示す外部信号を出力してもよい。
【0018】
継電器6は、制御部13から主遮断器4の開放を指示する切替信号を取得すると、主遮断器4を開放する。また継電器6は、主遮断器4が投入状態である間に、CT5で検出した主遮断器4を流れる電流が定められた範囲を超えている場合には、主遮断器4を開放する。
【0019】
図2は、実施の形態1に係る突入電流抑制装置付開閉器の突入電流抑制動作の一例を示すタイミングチャートである。図2を用いて開閉器1が行う突入電流抑制の動作について説明する。図2においては、スイッチ11および主遮断器4の状態、および制御部13が出力する切替信号および継電器6が出力する外部信号の変化を示す。切替信号は、主遮断器4の投入を指示する場合にはH(High)レベル、主遮断器4の開放を指示する場合にはL(Low)レベルであり、外部信号は、主遮断器4が投入状態である場合にはHレベルであり、主遮断器4が開放状態である場合にはLレベルである。
【0020】
時刻T0において制御部13はオン指令の入力を受け付ける。制御部13はオン指令の入力を受け付けると、モータにスイッチ11の投入動作を行わせる指令を出力する。時刻T0においてモータが動作を開始し、時刻T1においてスイッチ11が投入状態になる。時刻T2において、オン指令を取得してからの時間が投入遅延時間に達するため、制御部13は、時刻T2においてHレベルとなる切替信号を出力する。
【0021】
継電器6は、切替信号を取得し、時刻T2において主遮断器4に投入動作を行わせる指令を出力し、主遮断器4が動作して、時刻T3において主遮断器4が投入状態になる。継電器6は、時刻T3においてHレベルとなる外部信号を出力する。
【0022】
制御部13は、外部信号を取得し、時刻T4において、該外部信号が示す主遮断器4が投入状態になったタイミングからの時間が開放遅延時間に達するため、制御部13は時刻T4においてトリップコイルにスイッチ11の開放動作を行わせる指令を出力する。時刻T4においてトリップコイルが動作を開始し、時刻T5においてスイッチ11が開放状態になる。
【0023】
上述のように、制御部13は、主遮断器4が投入または開放のいずれの状態であるかを示す外部信号を取得してスイッチ11の投入と開放の制御を行う。そのため、主遮断器4が確実に投入状態になってから、スイッチ11を開放することが可能となり、主遮断器4が投入状態になる前にスイッチ11が開放されることにより生じ得る接点の損傷を回避することが可能となる。
【0024】
図3は、実施の形態1に係る突入電流抑制装置付開閉器が行う突入電流抑制動作の一例を示すフローチャートである。制御部13はオン指令の入力を受け付けると(ステップS10)、スイッチ11を投入する(ステップS20)。制御部13は、オン指令を取得してからの時間が投入遅延時間に達していない場合には(ステップS30;N)、ステップS30の処理を繰り返し行う。制御部13は、オン指令を取得してからの時間が投入遅延時間に達した場合には(ステップS30;Y)、継電器6に主遮断器4の投入を指示する切替信号を出力する。継電器6は、切替信号を取得し、主遮断器4を投入する(ステップS40)。
【0025】
制御部13は、継電器6から外部信号を取得し、外部信号が示す主遮断器4が投入状態になったタイミングからの時間が開放遅延時間に達していない場合には(ステップS50;N)、ステップS50の処理を繰り返し行う。制御部13は、主遮断器4が投入状態になったタイミングからの時間が開放遅延時間に達した場合には(ステップS50;Y)、スイッチ11を開放にする(ステップS60)。
【0026】
以上説明したとおり、実施の形態1に係る開閉器1によれば、スイッチ11の投入と開放の切り替えと主遮断器4の投入と開放の切り替えを連動して行うことで、突入電流の抑制の精度を向上させることが可能になる。またスイッチ11の通電容量は、限流抵抗器12によって閾値以下に制限された電流に耐え得る値であればよく、スイッチ11は消弧性能を有さなくてもよい。そのため、スイッチ11には、主遮断器4よりも安価な機器を用いることができ、装置の製造コストを低減させることが可能となる。
【0027】
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2に係る突入電流抑制装置付開閉器の構成例を示すブロック図である。限流抵抗器12がオープン故障またはショート故障している場合には、開閉器1は、突入電流を抑制することができない。そこで実施の形態2に係る開閉器1は、限流抵抗器12の故障を検出した場合には、負荷装置を電源から切り離すことで、負荷装置に突入電流が流れ込むことを回避する。
【0028】
実施の形態2に係る開閉器1が行う突入電流抑制の動作は、実施の形態1と同様である。実施の形態2に係る開閉器1は、実施の形態1に係る開閉器1の構成に加えて、保護遮断器7、保護遮断器7を流れる電流を検出するCT8、保護遮断器7の投入と開放の切り替えを行う回路保護部9を備える。実施の形態1と異なる開閉器1の各部について説明する。
【0029】
保護遮断器7は、主遮断器4およびスイッチ11よりも、電源の近くに位置する。CT8は、保護遮断器7を流れる電流を検出する電流センサである。回路保護部9は、スイッチ11が投入状態であって、主遮断器4が開放状態である間に、CT8で検出された電流が定められた範囲内にない場合に、保護遮断器7を開放する。回路保護部9は、例えば、制御部13からオン指令および外部信号を取得し、スイッチ11が投入状態であって、主遮断器4が開放状態である期間を判断する。また回路保護部9は、外部信号を継電器6から直接取得してもよい。回路保護部9は、スイッチ11の接点の開閉状態を検出してもよい。図2の例においては、回路保護部9は、時刻T1から時刻T3までの間に、CT8で検出された電流が定められた範囲内にない場合に、保護遮断器7を開放する。回路保護部9の動作により、限流抵抗器12がオープン故障またはショート故障した場合であっても、突入電流が負荷装置に流れ込むことを回避することが可能となる。
【0030】
以上説明したとおり、実施の形態2に係る開閉器1によれば、スイッチ11が投入状態であって、主遮断器4が開放状態である間に、CT8で検出された電流が定められた範囲内にない場合に保護遮断器7をオフすることで、突入電流の抑制の精度を向上させることが可能となる。
【0031】
本発明の実施の形態は上述の実施の形態に限られない。実施の形態2に係る開閉器1が備える回路保護部9に代えて、主遮断器4がオンである間に、CT8で検出された電流が定められた範囲内にない場合に、保護遮断器7を開放し、保護遮断器7を開放したことを示す信号を出力する電流監視部を設けてもよい。また回路保護部9にさらに電流監視部としての機能をもたせてもよい。図2の例においては、電流監視部は、時刻T3以降に、CT8で検出された電流が定められた範囲内にない場合に、保護遮断器7を開放し、保護遮断器7を開放したことを示す信号を出力する。電流監視部は、制御部13または継電器6から外部信号を取得し、主遮断器4が投入状態である期間を判断する。
【0032】
電流監視部を設けることで、主遮断器4が投入状態である間の電流に基づいて、負荷装置を電源から切り離すことが可能となる。電流監視部を備える開閉器1は、例えば、電源から各負荷装置への電流を監視し、電力需給を算出して、過負荷状態が発生した場合に電源から一部の負荷装置を切り離す、スマートグリッドなどのシステムに採用され得る。
【0033】
またスイッチ11および限流抵抗器12と主遮断器4との接続点の接続方法をワンタッチ接続とすることで、接続作業を簡易化することが可能となる。接続点の接続方法として、例えば一方の端部を他方の端部に嵌合させる方法、一方の端部に設けられた突起に他方の端部を係止させる方法、プラグイン構造などがあげられる。
【0034】
開閉器1に接続される変圧器は、単相変圧器に限られず、三相変圧器でもよい。図5は、本発明の実施の形態に係る突入電流抑制装置付開閉器の異なる構成例を示すブロック図である。図5に示す開閉器1の端子2a,2b,2cは電力系統の各相に接続され、端子3a,3b,3cは、変圧器の各相に接続される。開閉器1は、各相に対して主遮断器4a,4b,4c、CT5a,5b,5c,8a,8b,8c、保護遮断器7a,7b,7c、スイッチ11a,11b,11c、および限流抵抗器12a,12b,12cを備える。なお実施の形態1と同様に、開閉器1を、保護遮断器7a,7b,7c、CT8a,8b,8c、および回路保護部9を備えない構成としてもよい。
【0035】
図5に示す開閉器1の突入電流抑制動作は、実施の形態1と同様であり、制御部13はオン指令の入力を受け付けると、モータにスイッチ11a,11b,11cの投入動作を行わせる指令を出力する。オン指令を取得してからの時間が投入遅延時間に達すると、制御部13は、主遮断器4a,4b,4cの投入を指示する切替信号を出力する。継電器6は、該切替信号を取得し、主遮断器4a,4b,4cに投入動作を行わせる指令を出力し、主遮断器4a,4b,4cが動作して主遮断器4a,4b,4cが投入状態になる。継電器6は、主遮断器4a,4b,4cが投入状態であることを示す外部信号を出力する。制御部13は、該外部信号を取得し、該外部信号が示す主遮断器4a,4b,4cが投入状態になったタイミングからの時間が開放遅延時間に達すると、制御部13はトリップコイルにスイッチ11a,11b,11cの開放動作を行わせる指令を出力する。トリップコイルが動作を開始し、スイッチ11a,11b,11cが開放状態になる。上記動作により、図5に示す開閉器1は、三相変圧器を電源に投入する際の突入電流を抑制する。
【0036】
また実施の形態2と同様に、回路保護部9は、スイッチ11a,11b,11cが投入状態であって、主遮断器4a,4b,4cが開放状態である間に、CT8a,8b,8cで検出された電流のいずれかが定められた範囲内にない場合に、保護遮断器7a,7b,7cをオフにする。上記動作により、限流抵抗器12a,12b,12cのいずれかがオープン故障またはショート故障した場合であっても、突入電流が負荷装置に流れ込むことを回避することが可能となる。
【符号の説明】
【0037】
1 突入電流抑制装置付開閉器、2,2a,2b,2c,3,3a,3b,3c 端子、4,4a,4b,4c 主遮断器、5,5a,5b,5c,8,8a,8b,8c CT、6 継電器、7,7a,7b,7c 保護遮断器、9 回路保護部、10 突入電流抑制部、11,11a,11b,11c スイッチ、12,12a,12b,12c 限流抵抗器、13 制御部。
図1
図2
図3
図4
図5