特許第6289461号(P6289461)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6289461統合ネットワークにおける加入者宅内機器(CPE)を動的に構成するための方法、システムおよびコンピュータ読取可能媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6289461
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】統合ネットワークにおける加入者宅内機器(CPE)を動的に構成するための方法、システムおよびコンピュータ読取可能媒体
(51)【国際特許分類】
   H04W 28/08 20090101AFI20180226BHJP
   H04W 36/22 20090101ALI20180226BHJP
   H04W 36/14 20090101ALI20180226BHJP
   H04W 48/18 20090101ALI20180226BHJP
   H04M 3/00 20060101ALI20180226BHJP
【FI】
   H04W28/08
   H04W36/22
   H04W36/14
   H04W48/18 113
   H04M3/00 B
【請求項の数】15
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-523305(P2015-523305)
(86)(22)【出願日】2013年7月22日
(65)【公表番号】特表2015-528259(P2015-528259A)
(43)【公表日】2015年9月24日
(86)【国際出願番号】US2013051527
(87)【国際公開番号】WO2014015343
(87)【国際公開日】20140123
【審査請求日】2016年5月18日
(31)【優先権主張番号】61/674,268
(32)【優先日】2012年7月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502303739
【氏名又は名称】オラクル・インターナショナル・コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラジャゴパラン,スンダラム
(72)【発明者】
【氏名】デオ,アジャイ・パドマカー
【審査官】 桑原 聡一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−286909(JP,A)
【文献】 特開2003−244205(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/131981(WO,A1)
【文献】 特開2008−187467(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0008578(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24−7/26
H04W 4/00−99/00
H04M 3/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動的な加入者宅内機器構成のための方法であって、
モビリティ・オフロード・ゲートウェイがモバイルネットワークからセルサイト変更通知メッセージを受信するステップと、
前記モビリティ・オフロード・ゲートウェイが、前記セルサイト変更通知メッセージに基づいて、ユーザ端末(UE)が所定のサービス品質レベルを提供するWi−Fiネットワークにオフロード可能であるかどうかを判断するステップとを含み、前記所定のサービス品質レベルは前記UEとパケットゲートウェイとの間に現在確立されているセッションフローのサービス品質レベルであり、
前記UEがオフロード可能であると判断したことに応じて、前記モビリティ・オフロード・ゲートウェイが、識別されたWi−Fiネットワークに関連付けられる加入者宅内機器を動的に構成して、前記UEに対して前記所定のサービス品質レベルをサポートするための動的構成メッセージを送信するステップを含み、前記動的構成メッセージは、前記UEに対して前記加入者宅内機器が取るべき対応を示す特定のルールまたはポリシーを含む、方法。
【請求項2】
前記モバイルネットワークは、ロング・ターム・エボリューション(LTE)ネットワークを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記モビリティ・オフロード・ゲートウェイは、ネットワークにおけるポリシーインフラストラクチャの一部であるスタンドアロン型ユニットを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記モビリティ・オフロード・ゲートウェイは、ポリシーおよび課金ルール機能(PCRF)のコンポーネントである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記UEがオフロード可能であるかどうか判断するステップは、前記UEが前記Wi−Fiネットワークの範囲内にあるかどうかを判断するステップを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記加入者宅内機器を動的に構成するステップは、フローのためのサービス品質レベルを実現するように住宅用ゲートウェイに命令するためのメッセージを前記住宅用ゲートウェイに送信するステップを含み、
前記加入者宅内機器に送信される命令は、ブロードバンドフォーラム(BBF:Broadband Forum)TR−69コマンドを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記UEが前記Wi−Fiネットワークの範囲から出たことに応じて、前記UEがもはや前記Wi−Fiネットワークに接続されていないことを示す第2のセルサイト変更通知メッセージを受信し、これに応じて、フローのために前記加入者宅内機器におけるリソースを解放するステップを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
動的な加入者宅内機器構成のためのシステムであって、
モビリティ・オフロード・ゲートウェイを含み、前記モビリティ・オフロード・ゲートウェイは、
モバイルネットワークからセルサイト変更通知メッセージを受信するためのネットワークインターフェイスと、
前記セルサイト変更通知メッセージに基づいて、ユーザ端末(UE)が所定のサービス品質レベルを提供するWi−Fiネットワークにオフロード可能であるかどうかを判断するオフロード判断モジュールとを含み、前記所定のサービス品質レベルは前記UEとパケットゲートウェイとの間に現在確立されているセッションフローのサービス品質レベルであり、
前記UEがオフロード可能であると判断したことに応じて、識別されたWi−Fiネットワークに関連付けられる加入者宅内機器を動的に構成して、前記UEに対して前記所定のサービス品質レベルをサポートするための動的構成メッセージを送信するための動的加入者宅内機器構成モジュールを含み、前記動的構成メッセージは、前記UEに対して前記加入者宅内機器が取るべき対応を示す特定のルールまたはポリシーを含む、システム。
【請求項9】
前記モバイルネットワークは、ロング・ターム・エボリューション(LTE)ネットワークを含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記モビリティ・オフロード・ゲートウェイは、ネットワークにおけるポリシーインフラストラクチャの一部であるスタンドアロン型ユニットを含む、請求項8または9に記載のシステム。
【請求項11】
前記モビリティ・オフロード・ゲートウェイは、ポリシーおよび課金ルール機能(PCRF)のコンポーネントである、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記オフロード判断モジュールはさらに、前記UEが前記Wi−Fiネットワークの範囲内にあるかどうかを判断するように構成される、請求項8〜11のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
前記動的加入者宅内機器構成モジュールはさらに、フローのためのサービス品質レベルを実現するよう住宅用ゲートウェイに命令するために前記住宅用ゲートウェイにメッセージを送信するように構成され
前記住宅用ゲートウェイに送信される命令は、ブロードバンドフォーラム(BBF:Broadband Forum)TR−69コマンドを含む、請求項8〜12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
前記ネットワークインターフェイスはさらに、前記UEが前記Wi−Fiネットワークの範囲から出たことに応じて、前記UEがもはや前記Wi−Fiネットワークに接続されていないことを示す第2のセルサイト変更通知メッセージを受信するように構成され、これに応じて、前記フローのために前記動的加入者宅内機器構成モジュールにおけるリソースを解放するように構成される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
実行可能な命令を含むコンピュータ読取可能プログラムであって、前記実行可能な命令は、コンピュータのプロセッサによって実行されると、
モビリティ・オフロード・ゲートウェイがモバイルネットワークからセルサイト変更通知を受信するステップと、
前記モビリティ・オフロード・ゲートウェイが、前記セルサイト変更通知に基づいて、ユーザ端末(UE)が所定のサービス品質レベルを提供するWi−Fiネットワークにオフロード可能であるかどうかを判断するステップとを含み、前記所定のサービス品質レベルは前記UEとパケットゲートウェイとの間に現在確立されているセッションフローのサービス品質レベルであり、
前記UEがオフロード可能であると判断したことに応じて、前記モビリティ・オフロード・ゲートウェイが、識別されたWi−Fiネットワークに関連付けられる加入者宅内機器を動的に構成して、前記UEに対して前記所定のサービス品質レベルをサポートするための動的構成メッセージを送信するステップを、実行するように前記コンピュータを制御する、コンピュータ読取可能プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
本願は、2012年7月20日に提出された米国仮特許出願第61/674,268号の利益を主張し、その開示全体が引用によりこの明細書中に援用されている。
【0002】
技術分野
この明細書中に記載される主題は、ネットワークコンポーネントの動的構成に関する。より特定的には、この明細書中に記載される主題は、統合ネットワーク(converged network)における加入者宅内機器(CPE:customer premises equipment)を動的に構成するための方法、システムおよびコンピュータ読取可能媒体に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
さまざまなアクセスネットワークを介してネットワークサービスにアクセスする場合、ある1つのネットワークタイプから別のネットワークタイプに変更するときに同じサービス品質(QoS:quality of service)を維持することが望ましい。たとえば、モバイルデバイスのユーザが自宅にいて、モバイルデバイス(たとえばiPad(登録商標)タブレット)上で映画を見ており、この映画がユーザの家庭用Wi−Fiネットワークを通じて配信されている場合、Wi−Fiネットワークを支援する加入者宅内機器(CPE)は配信中の映画コンテンツに対して特別のサービス品質を提供するように構成される。たとえば、このサービス品質は、映画が適切に配信されることを確実にする帯域幅および遅延パラメータを含み得る。モバイルデバイスのユーザが(たとえば、Wi−Fi範囲外へ移動し、このWi−Fi範囲から離れることによって)Wi−Fiネットワークから離れて、同じ映画を見続けることを所望する場合、Wi−Fiネットワークに関連付けられたリソースを解放するとともに、同じサービス品質を提供するための要素をモバイルネットワークに備えることが望ましい。ユーザが友人宅を訪れて、モバイルデバイス上で同じ映画を見続けることを所望する場合、同じサービス品質レベルを提供するために友人宅において加入者宅内機器を構成することが望ましいだろう。
【0004】
特に、据置型のCPE機器(たとえば、インタネットサービスを住宅加入者に提供する住宅用ゲートウェイなど)は加入者レベルの鮮明度を有していない。このため、加入者宅内機器からローカルWi−Fiネットワークへと通信されたフローはすべて区別されることなく同じように処理される。したがって、ユーザがCPEによってサポートされているネットワークにオフロードされている場合、既存のCPE機器を用いても、サービス品質の優遇的措置または優遇的適用をサービスプロバイダから受けることができない可能性がある。
【0005】
このため、統合ネットワークにおいて加入者宅内機器を動的に構成するための方法、システムおよびコンピュータ読取可能媒体が必要とされる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
概要
統合ネットワークにおいて加入者宅内機器(CPE)を動的に構成するための方法、システムおよびコンピュータ読取可能媒体を開示する。一局面に従うと、この明細書中に記載される主題は、モビリティ・オフロード・ゲートウェイ(mobility offload gateway)において実行される方法を含む。当該方法は、モバイルネットワークからセルサイト変更通知メッセージを受信するステップと、変更通知メッセージに基づいて、ユーザ端末(UE)がWi−Fiネットワークにオフロード可能であるかどうかを判断するステップと、UEがオフロード可能であると判断したことに応じて、UEのための所定のサービス品質(QoS)をサポートするように、識別されたWi−Fiネットワークに関連付けられる顧客端末(CPE:consumer premises equipment)を動的に構成するステップとを含む。
【0007】
代替的な実施形態においては、動的なCPE構成のための方法は、モビリティ・オフロード・ゲートウェイにおいて実行されるステップを含む。当該方法は、モビリティ・オフロード・ゲートウェイにおいて、第1のネットワークによって提供される既存のフローを有するモバイルデバイスに関するセルサイト変更通知を受信するステップを含む。当該方法はさらに、モビリティ・オフロード・ゲートウェイにおいて、セルサイト変更通知に基づいて、UEのためのフローがWi−Fiネットワークにオフロード可能であるかどうかを判断するステップと、UEのためのフローがオフロード可能であると判断したことに応じて、フローのためのQoSをサポートするように、Wi−Fiネットワークに関連付けられるCPEを動的に構成するステップとを含む。
【0008】
統合ネットワークにおいて加入者宅内機器を動的に構成するためのこの明細書中に記載される主題は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアまたはそれらのいずれかの組合せで実現され得る。そのため、この明細書中において用いられる「機能」、「モジュール」または「ノード」という語は、記載されている特徴を実現するためのソフトウェアコンポーネントおよび/またはファームウェアコンポーネントをも含み得るハードウェアを指す。具体的な一実現例においては、この明細書中に記載される主題は、コンピュータ実行可能命令が格納されているコンピュータ読取可能媒体を用いて実現され得る。コンピュータ実行可能命令は、コンピュータのハードウェアベースのプロセッサによって実行されると、ステップを実行するようにコンピュータを制御する。この明細書中に記載される主題を実現するのに適した例示的なコンピュータ読取可能媒体は、ディスクメモリデバイス、チップメモリデバイス、プログラマブルロジックデバイスおよび特定用途向け集積回路などの非一時的なコンピュータ読取可能媒体を含む。加えて、この明細書中に記載される主題を実現するコンピュータ読取可能媒体は、単一のデバイスまたはコンピューティングプラットフォーム上に配置されてもよく、または、複数のデバイスまたはコンピューティングプラットフォームにわたって分散させてもよい。
【0009】
図面の簡単な説明
この明細書中に記載される主題の好ましい実施形態をここで添付の図面に関連付けて説明する。添付の図面においては、同様の参照番号は同様の部分を表す。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】この明細書中に記載される主題の実施形態に従った、統合ネットワークにおいて加入者宅内機器を動的に構成するための例示的なシステムを示すブロック図である。
図2A】この明細書中に記載される主題の実施形態に従った、モバイルデバイスが関与するセッションのためのサービス品質を実現するように加入者宅内機器を動的に構成するための例示的なメッセージ通信を示すメッセージフロー図である。
図2B】この明細書中に記載される主題の実施形態に従った、モバイルデバイスが関与するセッションのためのサービス品質を実現するように加入者宅内機器を動的に構成するための例示的なメッセージ通信を示すメッセージフロー図である。
図3】この明細書中に記載される主題の実施形態に従ったモビリティ・オフロード・ゲートウェイを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
詳細な説明
図1は、この明細書中に記載される主題の実施形態に従った、統合ネットワークにおいて加入者宅内機器を動的に構成するための例示的なシステムを示すブロック図である。具体的には、図1は、通信可能に接続されるユーザ端末(UE)デバイス102と、モバイルネットワーク104(たとえば、「モバイル/セルラーアクセスネットワーク」または「無線アクセスネットワーク」)と、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN:wireless local area network)103と、コアデータコンテントネットワーク106(たとえば「コアネットワーク」)とを含む例示的なシステム100を示す。いくつかの実施形態においては、ネットワーク103、104および106は、インターネット・プロトコル(IP:Internet protocol)ネットワーク101(たとえばインターネット)に通信可能に接続されてもよい。
【0012】
いくつかの実施形態においては、UE 102は、携帯型ハンドセット、携帯型スマートフォン、タブレットコンピュータ、または、さまざまなタイプのネットワーク間を移動可能であり、さまざまなタイプのネットワークを介してデータに接続して当該データを受信することのできる他の如何なるモバイルデバイスをも含み得る。たとえば、UE 102は、ユーザが映像のダウンロードサービスを受けるのに使用されるiPad(登録商標)またはiPhone(登録商標)であってもよい。図示されていないが、UE 102は、MOG 112によって提供されるサービス品質のパラメータおよび/または設定を格納するように構成されたハードウェアベースのプロセッサおよびメモリコンポーネントを含み得る。
【0013】
一実施形態においては、WLAN 103は、加入者宅内機器(CPE)118を利用してブロードバンド・ネットワーク・ゲートウェイ(BNG:broadband network gateway)114を介してIPネットワーク101に対するワイヤレスアクセスをユーザ端末に提供する如何なる据置型ワイヤレスネットワークをも含み得る。WLANの例として、Wi−FiネットワークおよびWiMaxネットワークが含まれるがこれらに限定されない。加入者宅内機器(CPE)118は、ユーザの住居内および/またはローカルエリアネットワーク内における据置型デバイスおよびモバイル型デバイスに対してインタネットサービスへのアクセスを提供する住宅用ゲートウェイであってもよい。CPE 118はまた、ユーザの業務の範囲内でネットワーク接続サービスを提供する同様のタイプのゲートウェイであってもよい。たとえば、CPE 118は、ワイヤレスルータ、ケーブルモデム、DSLモデム、ワイヤレスアクセスポイントなどの住宅用ゲートウェイを含んでもよい。一実施形態においては、CPE 118は、MOG 112によって提供されるサービス品質ポリシーのパラメータ124および/または設定を格納するように構成されたハードウェアベースのプロセッサ121およびメモリコンポーネント120を含み得る。
【0014】
いくつかの実施形態においては、モバイルネットワーク104は、(UE 102がネットワーク104内に位置する場合に)IPネットワーク101および/またはコアネットワーク106に対するアクセスをUE 102に提供するように構成された如何なるタイプのモバイル型またはセルラー式のネットワークをも含み得る。モバイルネットワークの例として、3GPP無線アクセスネットワーク(RAN:radio access network)、3G RAN、4G RAN、ロング・ターム・エボリューション(LTE:long term evolution)ネットワークなどを含み得る。図1はUE 102をWLAN 103内に位置するように示しているが、UE 102をモバイルネットワーク104(または図1には示されていない同様のセルまたはモバイルネットワーク)へと移動させてモバイルネットワーク104によって対応させてもよい。たとえば、UE 102がモバイルネットワーク104内に入るかまたはモバイルネットワーク104内で起動されている場合であっても、セルタワー105とUE 102との間にワイヤレスエアリンクが確立され得る。特に、(UE 102がネットワーク104に位置する場合に)UE 102とモバイルネットワーク104との間に確立されたすべての通信(たとえば信号伝達経路およびベアラ/データコンテント経路)は、エアリンク(たとえば無線接続)を介して行なわれる。
【0015】
いくつかの実施形態においては、モバイルネットワーク104は、基地局またはセルタワー(たとえばセルタワー105)内に取付けられるかまたは組込まれるコントローラユニット108(たとえば、基地局コントローラ(BSC:base station controller)、無線ネットワークコントローラ、ノードB、または、進化型ノードB(eNode B))を含み得る。コントローラユニット108はまた、パケットゲートウェイ(PGW:packet gateway)110に接続されてもよい。パケットゲートウェイ(PGW)110は、IPネットワーク101と接続してモバイルネットワーク104に存在する加入者にデータサービスを提供する如何なるネットワークエレメントをも含み得る。一実施形態においては、PGW 110は、Wi−Fiネットワークの範囲内にはないUEおよび/または範囲内のWi−Fiネットワークを利用しないUEに対してパケットデータサービスを提供するLTEネットワークコンポーネントであってもよい。PGW 110はまた、IPネットワーク101を介してモバイルネットワーク104をコアネットワーク106に通信可能に接続するように構成されてもよい。いくつかの実施形態においては、PGW 110は、PCRFノード116と通信するポリシー制御および実施機能(PCEF:policy control and enforcement function)を含み得る。
【0016】
コアネットワーク106(たとえば、コアデータコンテントネットワーク)は、サービスプロバイダ/オペレータが動作させるネットワークであり、モビリティ・オフロード・ゲートウェイ(MOG:mobility offload gateway)112、ポリシーおよび課金ルール機能(PCRF:policy and charging rules function)ノード116、アクセスネットワーク発見および選択機能(ANDSF:access network discovery and selection function)ノード119、ならびに1つ以上のコンテントサーバ122を含み得る。コンテントサーバ122は、モバイルネットワーク104またはWLAN 103のいずれかを介してアクセスするUE 102に対してデータを提供するように構成された、コアネットワーク106に位置する如何なるサーバであってもよい。コアネットワーク106において発見される例示的なコンテントサーバは、ビデオ・オン・デマンド(VOD:video on demand)サーバ、オーディオ・オン・デマンド・サーバ、オーディオおよびビデオ・オン・デマンド(AVOD:audio and video on demand)サーバ、インターネット・プロトコル・テレビ(IPTV:Internet protocol television)サーバなどを含み得る。
【0017】
一実施形態においては、MOG 112は、UEおよび/またはCPEが関与するセッションのために実現すべきポリシーについてネットワーク内の他のノードに命令するネットワークポリシーインフラストラクチャの一部であってもよい。MOG 112はまた、モバイル・ポリシー・ゲートウェイ(MPG:mobile policy gateway)などのスタンドアロン型ノードであってもよく、ポリシーインフラストラクチャの一部であり、i)モバイルネットワークからWLANまで(たとえばモバイルネットワーク104からWLAN 103まで)のUEのQoSオフロードプロセス、およびii)WLANからモバイルネットワークまで(たとえばWLAN 103からモバイルネットワーク104まで)のUEのオンロードプロセスを管理するように構成される。
【0018】
いくつかの実施形態においては、MOG 112はさらに、コアネットワーク106において、PCRFノード116などのポリシーサーバに接続するように構成される。PCRFノード116は、ネットワークポリシーを格納し、他のノードからのクエリに応答してこのようなポリシーを提供するように構成される如何なるネットワークエレメントであってもよい。いくつかの実施形態においては、MOG 112およびPCRFノード116は、単一のノードにおいてともに一体化されてもよく、または、コアネットワーク106における複数のノード間に分散させられてもよい。一実施形態においては、PCRFノード116は、ネットワークポリシールール(または「ポリシー」)を格納し、他のノードからのクエリに応答してこのようなポリシールールを提供するように構成され得る。たとえば、PCRFノード116は、少なくとも1つのポリシールールを要求するクエリをMOG 112から受信してもよい。一実施形態においては、(ANDSFノード119ではなく)PCRFノード116から得られるポリシールールはQoSパラメータまたは設定を含み得る。QoSパラメータまたは設定は、WLANにおけるユーザのUEにサービスを提供するCPEに対して後に適用することができる。MOG 112は、データベースまたはメモリ(図示せず)におけるPCRFノード116によって提供されるポリシールールを格納してもよい。PCRFノード116はまた、UE 102がモバイルネットワークにおけるセルへとおよび/またはセルから移動する場合であっても、セルサイト変更通知メッセージをMOG 112に送信するように構成されてもよい。セルサイト変更通知メッセージは、この明細書中において用いられる場合、i)UEが第1のセルから第2のセルに移動すること、ii)UEがセルからWLANに移動すること、およびiii)UEがWLANからセルに移動することを示す可能性がある。
【0019】
いくつかの実施形態においては、MOG 112はまた、UE 102にアクセス可能であるおよび/またはUE 102にとって安全であるローカルWLANおよび/またはWi−Fiネットワーク(たとえば、空港、店舗、レストランなどにおいて一般のユーザに提供される既存のWi−Fiネットワーク)についてUE 102に通知するように構成され得る。たとえば、検出されたネットワーク情報(たとえば、新しいセルサイトおよび/または検出されたWLANを示すデータ)をUE 102から受信した後、MOG 112は、UE 102によって検出されて安全なものとして指定および/または信頼できるものとして指定されるさまざまなWi−Fiネットワークを決定するように構成されてもよい。一実施形態においては、MOG 112は、ANDSFノード119に問い合わせを行うことによってこれを実現してもよい。一実施形態においては、MOG 112は、ANDSFノード119と接続(または一体化)され得る。ANDSFノード119は、UE 102が非3GPPアクセスネットワーク(たとえばWi−FiまたはWiMaxアクセスネットワークなどのWLAN)を発見するのを支援する役割を果たしている。ANDSFノード119はまた、UE 102に対するアクセスネットワーク接続に関するポリシールールを提供するように構成されてもよい。たとえば、ANDSFノード119から得られるポリシールールはQoSパラメータまたは設定を含み得る。QoSパラメータまたは設定は、WLANにおけるユーザのUEにサービスを提供するCPEに対して後に適用することができる。いくつかの実施形態においては、MOG 112はまた、ローカルWi−Fiネットワークに接続するために、(ANDSFノード119から得られる)安全な信用証明書をUE 102に与えるように構成されてもよい。MOG 112は、ANDSFノード119によって提供されるポリシールールをデータベースまたはメモリ(図示せず)に格納してもよい。MOG 112の内部コンポーネントを、図3の記載に関連付けて以下においてさらに詳細に説明する。
【0020】
図2Aおよび図2Bは、モバイルデバイスが関与するセッションフローに関するサービス品質を実現するように加入者宅内機器を動的に構成するための例示的な信号伝達メッセージ通信を示すメッセージフロー図である。セッションフローは、この明細書中において用いられる場合、ボイス・オーバーIP(VoIP:voice over IP)通話、ビデオ通話、ビデオストリーミングセッションなどに関連付けられるパケットの通信を含み得る。図示されていないが、セッションフローは、図1に示されるコンテントサーバ122からUE102に提供される媒体内容を含み得る。信号伝達202において示されるように、UE 102とPGW 110との間のセッションフローのために、このとき、モバイル専用のベアラ経路が確立される。特に、確立されたセッションフローは、特定のQoSレベルに応じて通信されている。ブロック204において、UE 102は、セッションフローのためのQoSを受信している間、モバイルネットワーク(たとえばLTEネットワーク)からWLAN(たとえばWi−Fi)ネットワークにまで移動する。たとえば、UE 102がネットワークから離れたときおよび/または異なるネットワーク(たとえばWi−Fiネットワーク)に対応する区域に入ったときに、コアネットワーク106におけるコンテントサーバによって提供されるストリーミング・ムービーをダウンロード帯域幅の毎秒10メガバイトで表示させるために、確立されたモバイル専用のベアラ202がUE 102によって利用されてもよい。
【0021】
このとき、PGW 110はUE 102の移動について通知を受けてもよく、PCRF 116とのGxセッション(メッセージ206を参照)を確立して、伝達されたフローに同じサービス品質を与えるために新しいネットワークを使用できるかどうかを判断してもよい。Gxセッションは、この明細書中において用いられる場合、PGW 110とPCRF 116との間のDiameterベースのGxインターフェイスを介して行なわれてもよい。一実施形態においては、モバイルネットワーク104におけるUE 102がコントローラ108に更新位置メッセージを送信し、コントローラ108が次いで当該情報をPGW 110に転送し得る。次いで、PGW 110が、Gxセッション206を介してPCRF 116に(直接またはMOG 112を介して)セルサイト変更通知メッセージを発行し得る。これに応答して、PCRF 116はMOG 112にセルサイト変更通知メッセージに208を送信し得る。一実施形態においては、モバイルネットワーク104においてメッセージ208を発生させてもよく、当該メッセージ208はPCRF 116によってMOG 112に転送される。
【0022】
メッセージ208を受信した後、MOG 112は、UE 102がオフロード可能であるかどうか判断し得る。たとえば、MOG 112は、i)少なくとも1つの近傍のおよび/またはローカルなWi−FiネットワークがUE 102によって安全にアクセスされ得るかどうか、ならびに、ii)近傍のWi−Fiネットワークのいずれかが、適切な(たとえば、予め提供されている所定の)サービス品質レベルを提供することができるかどうかを判断し得る。その後、MOG 112は、UE 102が安全にアクセスする許可を受け、要求されたサービス品質を提供し得る実現可能なWLANのリストを、UE 102に与えるメッセージ212を送信し得る。一実施形態においては、MOG 112は、リスト化されたWLANに安全にアクセスするために承認信用証明書をUE 102に与えてもよい。
【0023】
UE 102は、メッセージ212を受信すると、ローカルメモリに格納されたWLANおよびWi−Fiネットワークの好ましいリストにアクセスするように構成され得る。好ましいリストでは、それぞれのWLANに位置するCPEのIPアドレスによって別個の各WLANが識別され得る。WLANおよび/またはCPEを選択する(ブロック214を参照)ために、UE 102が、好ましいリストにあるIPアドレスを、メッセージ212で提供されるWLANリストエントリと相互に参照した後、このUE 102は、MOG 112にオフロード同期要求メッセージ216(すなわち「同期要求」)を送信する。特に、要求メッセージ216は、選択されたCPEのIPアドレスを含む。
【0024】
MOG 112およびUE 102がCPE 118のIPアドレスを示すオフロード同期メッセージ通信を交わした後、MOG 112は、ネットワーク104からWLAN 103(すなわち、選択されたWLAN)へとUE 102をオフロードするためのプロセスを開始する。たとえば、MOG 112は、CPE 118を構成するために動的構成メッセージ220を送信してもよい。特に、構成メッセージ220が含むQoSパラメータまたはポリシールールを用いることにより、所望および/または所定のQoSレベルを提供するようにCPE 118を構成することができる。CPE 118に対して提供されるこのようなQoSポリシールールは、(QoSポリシーパラメータまたはルール124として)メモリ120に格納され得る。いくつかの実施形態においては、QoSパラメータ124は、加入者および/またはUEに対してCPE 118が取るべき対応を示す特定のルールまたはポリシーを含み得る。たとえば、例示的な加入者特有またはUE特有のポリシールールは、帯域幅使用ルール、デバイス特有または加入者特有の優先アクセスルール、階層ベースの加入ポリシールール、集計データ割当てポリシールールなどを含む。
【0025】
一実施形態においては、MOG 112は、セッションフローのための所定のQoSを実現することによって、UE 102の現在の帯域幅要件に対処するようにCPE 118に命令するためのブロードバンドフォーラム(BBF:Broadband Forum)TR−69コマンドを送信することによって、CPE 118を動的に構成する。代替的な実施形態においては、MOG 112は、TR−69コマンドを送信する代わりに1つ以上の妥当性(propriety)コマンドを送信することによって、CPE 118を構成してもよい。次いで、CPE 118は、要求されたQoSをUE 102に与えることにより、受信したコマンドに応答し得る。こうして、UE 102は、所定のQoSに応じてBNG 114に向けられるセッションフロー222を確立することができる。
【0026】
しばらくした後、UE 102は、ローカルWLANから離れることによって移動し、UE 102にサービスを提供することのできるモバイルネットワークセルに入り得る(ブロック224を参照)。たとえば、UE 102は、WLANネットワーク103から離れて、モバイルネットワーク104に戻ってもよい。UE 102は、モバイルネットワーク104に入ると、ワイヤレス・インフラストラクチャを介してモバイルネットワークに再度接続する。そして、UE 102またはコントローラ108が、UEの新しい位置(たとえば新しいセルサイト)をMOG 112に通知する。一実施形態においては、UE 102はPGW 110と通信してモバイル専用のベアラを確立する(信号伝達226を参照)。このとき、PGW 110は、PCRF 116とのGxセッション(メッセージ228を参照)を確立して、伝達されたセッションフローに対して同じサービス品質を与えるために新しいモバイルネットワーク(たとえば新しいモバイルネットワークまたは再び入ったモバイルネットワーク104)を使用できるかどうかを判断し得る。これに応じて、PCRF 116はセルサイト変更通知メッセージ230をMOG 112に送信し得る。
【0027】
UE 102が所定のQoSに応じてセッションフローのためのモバイル専用のベアラ(たとえば専用のベアラ226)を確立した後、UE 102は、セッションフローに関連付けられるパケットをPGW 110と交信し始め得る(信号伝達232を参照)。
【0028】
一実施形態においては、MOG 112は、動的に構成されたQoSをCPE 118から取除くようCPE 118にメッセージに234を送信する。たとえば、メッセージ234は、QoSの提供に関連付けられるリソースの解放をUE 102に対して示してもよい。一実施形態においては、MOG 112は、それまで利用されていたWLAN 103におけるセッションフローのための所定のQoSを実現するために、UE 102の配信要件に対処するのにそれまで用いられていたリソースを解放するようCPE 118に命令するためのBBF TR−69コマンドを送信することによって、CPE 118を動的に構成する。一実施形態においては、セッションフローは、コンテントサーバ122とUE 102との間で行なわれるVODセッションフローを含み得る。代替的な実施形態においては、MOG 112は、TR−69コマンドの代わりに1つ以上の妥当性コマンドを送信することによって、QoSを取除くようCPE 118に命令してもよい。次いで、CPE 118は、UE 102にQoSを与えるためにそれまで利用されていたリソースを解放することによって、受信したコマンドに応答し得る。
【0029】
こうして、図2Aおよび図2Bに示される例においては、ネットワーク・ポリシー・インフラストラクチャの一部であるMOG 112は、フローのために必要なQoSを実現するように加入者宅内機器を動的に構成するのに必要な機能を実行する。
【0030】
図3は、この明細書中に記載される主題の実施形態に従ったモビリティ・オフロード・ゲートウェイを示すブロック図である。図3を参照して、モビリティ・オフロード・ゲートウェイ112は、プロセッサ301、オフロード判断モジュール302、ネットワークインターフェイス303、および動的CPE構成モジュール304を含む。プロセッサ301は、上述のオフロードプロセスおよびオンロードプロセスを実行すべくモジュール302および304を動作させるように構成することができる如何なるハードウェアベースのプロセッサをも含み得る。オフロードは、この明細書中において用いられる場合、UEとコアネットワークとの間のセッションフローのQoSが維持されるかまたは低下しないように、所定のQoSに関連付けられるセッションフローをモバイルベースのアクセスネットワークからWLAN(またはWi−Fi)ベースのアクセスネットワークへと転送することを含む。同様に、オンロードは、この明細書中において用いられる場合、UEとコアネットワークとの間のセッションフローのQoSが少なくとも維持されるかまたは低下しないように、所定のQoSに関連付けられるセッションフローをWLAN(またはWi−Fi)ベースのアクセスネットワークからモバイルベースのアクセスネットワークへと転送することを含む。
【0031】
いくつかの実施形態においては、ネットワークインターフェイス303は、モバイルネットワークからセルサイト変更通知メッセージを受信するように構成されてもよい。インターフェイス303はまた、PCRFノードと通信するためのDiameterインターフェイスを含み得る。代替的には、MOG 112がPCRFのコンポーネントである場合、ネットワークインターフェイス303は、モビリティ管理エンティティ(MME:mobility management entity)と通信するためのDiameterインターフェイスを含み得る。
【0032】
いくつかの実施形態においては、オフロード判断モジュール302は、ユーザ端末がWi−Fiネットワークへとオフロード可能であるかどうかを(セルサイト変更通知に基づいて)判断するように構成されてもよい。たとえば、モジュール302を用いてANDSFノードと通信して、オフロード情報を得ることもできる。
【0033】
いくつかの実施形態においては、MOG 112はさらに、(UEがオフロード可能であると判断したことに応じて)UEのための所定のサービス品質をサポートするために、識別されたWi−Fiネットワークに関連付けられるCPE機器を動的に構成するように構成された動的加入者宅内構成モジュール304を含む。たとえば、動的CPE構成モジュール204は、UEがそれまでLTEネットワークにおいて利用していたUEのための特定または所定のサービス品質を提供するように、Wi−Fiネットワーク内において関連付けられる住宅用ゲートウェイを構成してもよい。
【0034】
ここに開示された主題のさまざまな詳細が、ここに開示された主題の範囲から逸脱することなく変更され得ることが理解されるだろう。さらに、上述の説明は例示のみを目的としたものであって、限定を目的としたものではない。
図1
図2A
図2B
図3