(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記クラッチ要素(210)が流体力学的な発進要素(230)を含むパワートレイン(100)のために当該制御装置(200)が形成され、前記発進要素が前記プライマリ側(130)から前記セカンダリ側(150)への回転運動を伝達するように形成されており、前記セカンダリ側において前記クラッチ要素(210)が前記流体力学的な発進要素(230)のロックアップクラッチ(240)を含んでおり、前記クラッチ要素が、前記プライマリ側(130)と前記セカンダリ側(150)を摩擦式の結合又は摩擦接触によって互いに接続するよう形成されていることを特徴とする請求項1記載の制御装置(200)。
オートマチックトランスミッション(180)を含むパワートレイン(100)のために当該制御装置(200)が形成され、前記オートマチックトランスミッションが、トランスミッション入力軸(170)を介して前記セカンダリ側(150)に接続されているとともに、前記関連部材(220)を含んでおり、前記クラッチ要素(210)が切換要素(270)を含んでおり、前記関連部材(220)との摩擦式の接続又は摩擦接触を得るか、強化するよう前記切換要素が形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の制御装置(200)。
更に別の条件を満たす場合にのみ、前記セカンダリ側(150)を前記入力信号に基づいて制動するよう更に形成され、別の入力信号が前記オートマチックトランスミッション(180)の非駆動状態を示す場合に前記別の条件が満たされることを特徴とする請求項3に記載の制御装置(200)。
車両のパワートレイン(100)における騒音発生の低減のための方法であって、前記パワートレインが駆動原動機(110)、発進要素(120)及びクラッチ要素(210)を含んでおり、前記発進要素(120)が少なくとも1つのマスダンパ質量(520)を有するマスダンパねじり緩衝装置(160)を含んでおり、前記発進要素(120)が、そのプライマリ側(130)及びセカンダリ側(150)においてそれぞれ前記駆動原動機(110)及び前記マスダンパ緩衝装置(160)に相対回転不能に接続されており、前記発進要素(120)の前記プライマリ側(130)との接続によって、及び/又は前記車両の停止状態において静止する関連部材(220)との接続によって、前記セカンダリ側(150)を制動するよう前記クラッチ要素(210)が形成されている前記方法において、
入力信号を受信すること(S110)と、
前記入力信号が前記駆動原動機(110)のオフを示す場合に前記クラッチ要素(210)が前記セカンダリ側(150)を制動するよう前記クラッチ要素(210)を作動させること(S120)と
を含むことを特徴とする方法。
前記トルク伝達の阻止のための前記トランスミッション(180)の作動が、トルクが前記トランスミッション(180)の前記入力軸(170)から前記出力軸(190)へもはや伝達されないよう、ギヤ段を抜くこと、アイドリングの導入及び/又は前記トランスミッション(180)の少なくとも1つの切換要素(270)の開放を含むことを特徴とする請求項8記載の制御装置(200)。
前記トルク伝達の達成又は増大のための前記発進要素(120)の作動が、摩擦接続又は摩擦接触の達成又は増大を含んでいることを特徴とする請求項8又は9記載の制御装置(200)。
前記発進要素(120)がロックアップクラッチ(240)を有する流体力学的なトルクコンバータ(230)を含んでおり、前記ロックアップクラッチ(240)が閉鎖されるようトルク伝達の達成若しくは増大のための前記発進要素(120)の作動がなされること、又は前記発進要素(120)が摩擦クラッチを含んでおり、該摩擦クラッチが閉鎖されるよう、トルク伝達の達成若しくは増大のための前記発進要素の作動がなされることを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載の制御装置(200)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このことから、車両のパワートレインの快適性、応答性並びに経済性及びエコロジーの形態の間の妥協を改善する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1による制御装置、請求項6によるパワートレイン、請求項7による騒音発生の低減のための方法、請求項8による制御装置、請求項13によるパワートレイン、請求項14によるアイドリング回転数における質量慣性の増大のための方法及び請求項15による複数の方法のうち1つの実行のためのプログラムコードを有するプログラムが、この必要を考慮に入れている。
【0008】
車両、例えば原動機付き車両のパワートレインのための一実施例による制御装置は、クラッチ要素を作動させるよう制御装置が形成されており、そのため、駆動原動機のオフを示す入力信号を制御装置が受信すると、クラッチ要素がセカンダリ側を制動する。このとき、車両、例えば原動機付き車両のパワートレインは、駆動原動機、発進要素及びクラッチ要素を含んでおり、発進要素が少なくとも1つのマスダンパ質量を有するマスダンパねじり緩衝装置を含んでおり、発進要素が、そのプライマリ側及びセカンダリ側においてそれぞれ駆動原動機及びマスダンパ緩衝装置に相対回転不能に接続されている。発進要素のプライマリ側との接続によって、及び/又は車両の停止状態において静止する関連部材との接続によって、セカンダリ側を制動するようクラッチ要素が更に形成されている。
【0009】
これにより、マスダンパねじり緩衝装置をその回転数に関してプライマリ側又は関連部材で適合あるいは制動させることで、制御装置がマスダンパねじり緩衝装置の少なくとも1つのマスダンパ質量に起源を有する騒音発生に対抗することが可能である。このとき、制御装置は、駆動原動機のオフを示す入力信号を用いる。
【0010】
駆動原動機は、例えば内燃エンジン、すなわち例えば過給された、あるいは自然吸気の自動車エンジン、ディーゼルエンジン、ロータリエンジンであり得る。さらに、駆動原動機は、電気モータ又は他のモータでもよい。
【0011】
発進要素は、例えば流体力学的な発進要素、すなわち、例えば流体力学的なトルクコンバータや、摩擦クラッチ又はこれらの組合せであり得る。このとき、摩擦クラッチは、プライマリ側とセカンダリ側の間の摩擦式の接続の達成に基づくものである。したがって、例えばロックアップクラッチを有する流体力学的な発進要素は、摩擦クラッチに基づいて実行されることができる。任意で、発進要素は、プライマリ側の回転運動時にけん引トルクを常にセカンダリ側へ伝達するよう形成された要素であり得る。
【0012】
マスダンパねじり緩衝装置は少なくとも1つのマスダンパ質量を含んでおり、このマスダンパ質量は、この少なくとも1つのマスダンパ質量の振動によってマスダンパねじり緩衝装置に印加される回転運動の振動成分を部分的に又は完全に相殺可能であるよう揺動し得るよう少なくとも1つのガイド部材によってガイド及び支持されている。
【0013】
一実施例に基づく制御装置は、クラッチ要素が流体力学的な発進要素を含み、回転運動をプライマリ側からセカンダリ側へ伝達するようこの発進要素が形成されていれば、任意で、例えば特に効率的に使用され得る。このような流体力学的な発進要素は、例えば上述の流体力学的なトルクコンバータであり得る。このような場合には、クラッチ要素は例えば流体力学的な発進要素を含んでおり、この発進要素は、プライマリ側とセカンダリ側を摩擦式の接続又は摩擦接触によって互いに接続するよう形成されている。したがって、一実施例による制御装置は、マスダンパねじり緩衝装置の騒音発生に対して対抗するために、パワートレイン内に既に存在するクラッチ要素を使用するものである。嵌合式の接続とも呼ばれる摩擦式の接続は、互いに対応して接続された構成要素間で当該構成要素が本質的に互いに相対回転不能に接続されていることに基づくものである。これに対して、摩擦接触においては、場合によっては回転数差、すなわち互いに摩擦接触している構成要素間のすべりが生じ得る。したがって、摩擦接触による接続は、一般に、摩擦式の接続を含むものである。
【0014】
さらに、任意で、一実施例による制御装置は、パワートレインが自動的なトランスミッション(オートマチックトランスミッション)を含んでおり、この自動的なトランスミッションが、トランスミッション入力軸を介してセカンダリ側に接続されているとともに、関連部材を含んでいれば、特に効果的に使用され得る。ここで、クラッチ要素は切換要素、例えば多板クラッチ又は帯ブレーキを含んでおり、関連部材、例えば自動的なトランスミッションの軸又は自動的なトランスミッションのケーシングの一部によって摩擦式の接続又は摩擦接触を得るか、強化するよう切換要素が形成されている。これにより、一実施例による制御装置は、当該制御装置がパワートレイン内に既に含まれるクラッチ要素を用いることで特に効果的に使用され得る。
【0015】
一実施例による制御装置においては、任意で、入力信号が、例えば車両の運転者によって作動された駆動原動機のオフ及び/又はあらかじめ設定された限界回転数より下へのパワートレイン、例えば駆動原動機の出力軸若しくは発進要素の入力軸の回転数の低下を示す。このあらかじめ設定された限界回転数は、駆動原動機のアイドリング回転数の最大で90%であるか、これに相当し、場合によっては実行された増速又は減速を考慮することが可能である。他の実施例においては、あらかじめ設定された限界回転数は、より低くてもよく、例えば駆動原動機のアイドリング回転数の最大で80%、最大で60%、最大で50%又は最大で30%であってもよい。車両の入力信号は、運転者によって例えば駆動原動機の制御のための操作要素から発出され得る。これは、例えばイグニッションキー若しくはボタン又は他の切換面であり、この切換面によって、運転者は、その操作によって駆動原動機についての停止意思を発出する。
【0016】
一実施例による制御装置は、任意で、更に別の条件を満たす場合、例えばパワートレインが自動的なトランスミッションを含む場合に、セカンダリ側を入力軸へのみ制動させるよう更に形成され、例えば別の入力信号が自動的なトランスミッションの被駆動位置を示す場合に前記別の条件が満たされ得る。これにより、運転者による誤操作及び/又は構成要素を有する制御装置及びパワートレインの動作信頼性を高めることが可能である。したがって、例えば運転者からの別の入力信号が自動的なトランスミッションの走行段選択のための操作要素を介して提供又は生成され得る。このとき、自動的なトランスミッションの非駆動位置又は走行段選択は、例えばパーキング位置(P)又はアイドリング位置あるいはニュートラル位置(N)を含むことができる。これに加えて、又はこれに代えて、いずれにせよトルク伝達を非駆動位置にあるトランスミッションによって遮断することができ、その結果、大きな手間なくクラッチ要素の作動が可能となる。
【0017】
一実施例は、更に、上述の駆動原動機と、対応する発進要素と、クラッチ要素と、一実施例による制御装置とを含んだ、車両、例えば原動機付き車両のためのパワートレインを含んでいる。実施例は、更に、車両のパワートレインにおける騒音発生の低減のための方法を示すものでもあり、このパワートレインは、上述の構成要素を含んでいる。このような方法は、入力信号を受信することと、入力信号が駆動原動機のオフを示す場合にクラッチ要素がセカンダリ側を制動するようクラッチ要素を作動させることとを含んでいる。同様に、実施例は、プログラム可能なハードウェア構成要素上、すなわち例えばプロセッサ上、特定用途向け集積回路(ASIC)上で、チップ(SOC)上のシステム上、制御装置上又は他の同様の構成要素上で当該プログラムが動作する場合に、実施例に基づく方法の実施のためのプログラムコードを有する対応するプログラムを含んでいる。
【0018】
他の形態によれば、実施例に基づく、車両、例えば原動機付き車両のパワートレインのための制御装置は、トランスミッションの入力軸から出力軸へのトルク伝達がもはや本質的に阻止されるように、駆動原動機のアイドリング回転数の到達を示す制御信号へトランスミッションを作動させるよう、及びプライマリ側からセカンダリ側へのトルク伝達が達成又は増大されるよう発進要素を作動させるように形成されている。このとき、車両のパワートレインは、駆動原動機、発進要素及び上述のトランスミッションを含んでおり、発進要素がマスダンパねじり緩衝装置を含んでおり、発進要素は、そのプライマリ側及びセカンダリ側においてそれぞれ駆動原動機並びにマスダンパ緩衝装置及びトランスミッションの入力軸に相対回転不能に接続されている。
【0019】
一実施例による制御装置は、パワートレインにおいていずれにせよ含まれる構成要素の活用の下で快適性、トランスミッションの応答性、経済性及びエコロジーの観点に基づく妥協を、トランスミッション及び発進要素の制御信号への上述の作動によって車両のパワートレインにおけるアイドリング回転数での質量慣性を高めることができることによって改善されるという認識に基づくものである。これにより、場合によっては騒音発生が低減されるとともに、これにより快適性が向上し得る。さらに、これに加えて、又はこれに代えて、駆動原動機のアイドリング回転数を低減し、消費及び/又は摩耗を低減することも可能である。
【0020】
一実施例による制御装置においては、任意で、トルク伝達の阻止のためのトランスミッションの作動が、トルクがトランスミッションの入力軸から出力軸へもはや伝達されないよう、ギヤ段を抜くこと、アイドリングの導入及び/又はトランスミッションの少なくとも1つの切換要素の開放を含んでいる。このようなトランスミッションは、自動的なトランスミッションであり得る。したがって、一実施例による制御装置を用いることで、アイドリング回転数における質量慣性の意図された増大は、追加の構成要素なしに得ることが可能である。
【0021】
一実施例における制御装置においては、任意で、トルク伝達の達成又は増大のための発進要素の作動が、摩擦式の接続又は摩擦接触の達成又は増大を含んでいる。したがって、一実施例による制御装置においては、任意で、発進要素が流体力学的なトルクコンバータと、例えば摩擦クラッチに基づくロックアップクラッチとを含んでおり、ロックアップクラッチが閉鎖されるようトルク伝達の達成若しくは増大のための発進要素の作動がなされる。これに加えて、又はこれに代えて、発進要素が摩擦クラッチを含んでおり、該摩擦クラッチが閉鎖されるよう、トルク伝達の達成若しくは増大のための発進要素の作動がなされる。
【0022】
一実施例による制御装置は、任意で、発進意思を示す別の制御信号へ、トルク伝達が解除又は低減されるよう発進要素を作動させ、当該作動が発進意思に対応した動作状態を占めるようトランスミッションを作動させ、駆動原動機の回転数があらかじめ設定された回転数閾値を超過した場合にプライマリ側からセカンダリ側へのトルク伝達を達成するか増大させるよう発進要素を作動させるように更に形成されている。このとき、あらかじめ設定された回転数閾値は、駆動原動機のアイドリング回転数よりも大きい。
【0023】
一実施例によるこのような制御装置においては、任意で、トルク伝達の解除又は低減のための発進要素の作動は、摩擦式の接続又は摩擦接触の解除又は低減を含んでいる。発進要素がロックアップクラッチを有する流体力学的なトルクコンバータを含む一実施例によるこのような制御装置においては、ロックアップクラッチが開放されるようトルク伝達の解除又は低減のための発進要素の作動がなされる。これに加えて、又はこれに代えて、発し尿素が摩擦クラッチを含むパワートレインのための対応する制御装置においては、摩擦クラッチが開放されるようトルク伝達の解除又は低減のための発進要素の作動がなされる。
【0024】
したがって、制御装置は、パワートレインの場合によっては存在する構造及び構成要素を、このパワートレインの適切な作動によって、車両のパワートレインにおけるアイドリング回転数での質量慣性の増大のために用いることが可能である。
【0025】
実施例は、更に、駆動原動機、上述の発進要素及び一実施例による制御装置を含む車両のためのパワートレインを含んでいる。同様に、実施例は、上述のとおり、車両のパワートレインにおけるアイドリング回転数での質量慣性の増大のための方法も含んでいる。そして、この方法は、駆動原動機のアイドリング回転数の到達を示す制御信号を受信することと、駆動原動機のアイドリング回転数の到達を制御信号が示す場合に、トランスミッションの入力軸から出力軸へのトルク伝達を本質的に阻止するようトランスミッションを作動させることと、駆動原動機のアイドリング回転数の到達を制御信号が示す場合に、プライマリ側からセカンダリ側へのトルク伝達を達成するか増大させるよう発進要素を作動させることとを含んでいる。同様に、実施例は、既に例示的に上述したハードウェア構成要素のように、当該プログラムがプログラム可能なハードウェア構成要素上で動作する場合に、実施例に基づく方法を実行するためのプログラムコードを有するプログラムを含んでいる。
【0026】
以下に、添付図面を参照しつつ実施例を詳細に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0028】
添付の図面の以下の記載においては、同一の符号が同一又は同等の構成要素に付されている。また、構成要素又は部材についてのまとめられた符号が用いられ、これら符号は、1つの実施例又は1つの図面において繰り返し現れるが、1つ又は複数の特徴に関して共通に記載される。同一又はまとめられた符号で記載される構成要素又は部材は、1つの、複数の、又は全ての特徴、例えばその寸法設定に関して同一であるが、明示的又は暗示的に特にことわりがない限り、場合によっては異なるように実施され得る。
【0029】
図1には例えば原動機付き車両である車両の一実施例に基づくパワートレイン100の概略的なブロック回路図が示されている。このような原動機付き車両は、対応するパワートレイン100を含む、例えば乗用車、トラック又は他の商用車であり得る。
【0030】
パワートレイン100は、駆動原動機110を含んでおり、この駆動原動機は、例えば電気モータであるが、内燃エンジン、すなわち例えばガソリンエンジン、ディーゼルエンジン又はロータリエンジンでもあり得る。この駆動原動機は、ターボチャージャを用いたり、また他の過給技術、例えば機械的な過給を用いたり、また自然吸気エンジンによって構成されることもできる。さらに、パワートレイン100は発進要素120を含んでおり、この発進要素は、プライマリ側130で駆動原動機110の出力軸140に結合されている。また、発進要素120はセカンダリ側150を含んでおり、このセカンダリ側は、マスダンパねじり緩衝装置160と、トランスミッション180の入力軸170とに結合されている。このとき、トランスミッション180は、例えばオートマチックトランスミッションと呼ばれる自動的なトランスミッションとして構成されることができる。
【0031】
ここで、自動的なトランスミッションは、その操作によってマニュアルトランスミッションと区別される。段を有するトランスミッションの場合には、自動的なトランスミッションにおいて、例えば電気的又は油圧的な制御信号を対応するトランスミッション180のアクチュエータ及びの切換要素へ発出する制御装置によって作動がなされる。一方、マニュアルトランスミッションにおいては、運転者の対応する操作要素の本質的に直接的で機械的な又は油圧的な接続が走行段の変更のために実行される。したがって、ダブルクラッチトランスミッションや、ギヤ段の操作あるいは走行段の変更が電気的な信号、油圧的な信号又は運転者によって間接的に機械的な手段若しくは油圧的な手段へ伝達される信号によってなされるトランスミッションが本明細書の範囲における自動的なトランスミッションとして考慮に入れられる。したがって、自動的なトランスミッションは、走行段あるいはギヤ段の変更のための制御信号が制御装置によって生じるトランスミッション180である。以下では、一般性を制限することなく、本質的に自動的なトランスミッション180のみについて考察する。しかし、場合によっては、実施例は他のトランスミッションと関連して適用ことも可能である。
【0032】
トランスミッション180は更に出力軸190を備えており、トランスミッションが非駆動の位置又は非駆動の動作状態にない場合には、この出力軸によって、駆動原動機110から発進要素120を介して入力軸170へ伝達されるトルクが更に伝達される。自動的なトランスミッションの場合には、対応する非駆動の動作状態は、例えばパーキングポジションあるいはパーキング位置(P)又はアイドリング位置あるいはニュートラル位置(N)である。自動的なトランスミッション180においては、トランスミッション180の出力軸190が機械的にロックされることによるパーキング位置がしばしばなされる。これとは異なり、自動的なトランスミッション180のアイドリング位置あるいはニュートラル位置では、トランスミッション180の少なくとも1つの切換要素、いくつかの切換要素又は全ての切換要素の作動によって、入力軸170からトランスミッション180の出力軸190へのトルクの伝達が阻止されるか、又は遮断される。
【0033】
図1におけるパワートレイン100は更に制御装置200を備えており、この制御装置は、本実施例においては、当該制御装置200が関係する構成要素へ制御信号を発出し、あるいはこれら構成要素から情報信号を受信することができるように駆動モジュール110、発進要素120及びトランスミッション180に接続されている。
【0034】
さらに、パワートレイン100は少なくとも1つのクラッチ要素210を備えており、このクラッチ要素は、セカンダリ側150の回転数と、これに接続されたマスダンパねじり緩衝装置160とを変更するために、発振装置120のセカンダリ側150をパワートレイン100の他の構成要素若しくはその周縁部又は関連部材に接続するよう形成されている。詳しくいえば、
図1に示されたパワートレイン100は、3つのクラッチ要素210−1,210−2,210−3を含んでいる。ここで、クラッチ要素210について、発進要素120のプライマリ側130との接続によって、及び/又は車両の停止時に停止する関連部材220との接続によって発進要素120のセカンダリ側150を制動するようにこれらクラッチ要素が形成されている。
【0035】
そして、制御装置200は、制御装置201が駆動原動機110の停止を示す入力信号を受信する場合に、クラッチ要素が発進要素120のセカンダリ側150を制動するようにクラッチ要素210を作動させるように形成されている。このことは、
図1において制御装置200へ向いた矢印によって概略的に、かつ、簡略化して示されており、関連する入力信号も信号ラインあるいは信号バスを介して制御装置200へ提供可能であり、この信号バスあるいは信号ラインを介して制御装置200が
図1に示された他の構成要素を作動されることが可能である。
【0036】
上述のように、
図1には3つの異なるクラッチ要素210−1,210−2,210−3が示されている。パワートレイン100あるいは制御装置200の1つの実施例においては、クラッチ要素がそもそも実行される必要がある場合に、1つより多くのクラッチ要素210の実行は不要である。当然、他の実施例において、1つ、2つ又は3つより多くのクラッチ要素を実行することも可能である。したがって、具体的な構成に応じて、クラッチ要素210あるいはその数量、配置及び構成は、最適な態様である。
【0037】
発進要素120は、例えば流体力学的な発進要素230、すなわち例えば、プライマリ側130からの回転運動をセカンダリ側150へ伝達するよう形成された流体力学的なトルクコンバータである。このような場合には、クラッチ要素210−1がオーバーブリッジクラッチ240として流体力学的な発進要素240を含んでおり、この発進要素は、プライマリ側130とセカンダリ側150を摩擦式の結合によってあるいは少なくとも摩擦接触によって互いに接続するように形成されている。摩擦接触時には、摩擦係合式の結合と異なり、場合によっては回転数差すなわちすべりが生じることもある。
【0038】
オーバーブリッジクラッチ240としてのクラッチ要素210−1の実行に加えて、又はこれに代えて、例えばトランスミッションが自動的なトランスミッションである場合には、クラッチ要素210もトランスミッション180の範囲内で実行することが可能である。自動的なトランスミッションにおいては、自動的なトランスミッション180が制御装置によってすなわち例えば一実施例に基づく制御装置200で対応して作動されることにより、走行段選択あるいはギヤ段選択がなされる。したがって、これは、自動的なトランスミッションにおいて走行段選択のための操作要素と実際のトランスミッションの間にまさに機械的な結合が存在しないことで特にマニュアルトランスミッションとは異なっている。したがって、とりわけ古典的な段を有するオートマチックトランスミッションの他に、ギヤ段選択を電子的な制御パルスによって行うもの、すなわち例えばダブルクラッチトランスミッション又は他の電気的に切り換えられるトランスミッションがオートマチックトランスミッションに含まれる。
【0039】
このような場合には、クラッチ要素210は、車両の停止状態において停止する関連部材220に対するセカンダリ側150の連結も生じさせるものである。したがって、関連部材220は、例えばトランスミッション180の軸250(クラッチ要素210−3)又はトランスミッション180のケーシング260の一部(クラッチ要素210−1,210−2)であり得る。このような場合には、関与するクラッチ要素210−2,210−3は、典型的にはトランスミッションの切換要素270、すなわち例えば多板クラッチ又はこの多板クラッチの帯ブレーキであり、この帯ブレーキはいずれにしても設けられているものであるため、わずかな追加の手間で1つの実施例の実行が可能となり得る。これらクラッチ要素も、関連する関連部材220との摩擦式の結合若しくは摩擦接触を達成するか、又は強化するように形成されている。
【0040】
制御装置200が受信し、駆動原動機の停止を示す入力信号は、例えば駆動原動機110のオフを示す。運転者は、例えば駆動原動機110の制御のための操作要素、すなわち例えばイグニションキー、スイッチ、ボタン又は他の操作要素を介して駆動原動機110のこのようなオフを生じさせることが可能である。しかし、場合によっては、駆動原動機110のオフを示す信号であってもよく、この信号は、運転者ではなく場合によっては制御装置200によって自動的に、又は車両の他の制御装置によって生じたものである。
【0041】
これに代えて、又はこれに加えて、制御装置に対する入力信号がパワートレイン100の軸のうちの1つの回転数のあらかじめ設定された限界回転数の下への低下も示すことができ、このあらかじめ設定された限界回転数は、駆動原動機110のアイドリング回転数の最大90%に相当する。パワートレイン100の対応する軸は、例えば駆動原動機110の出力軸140又は発進要素120の対応する入力軸であり得る。場合によっては、関連する軸を、減速又は増速を生じさせるアセンブリの後方、すなわち例えばトランスミッション180の後方に配置することが可能である。このような場合には、関連する減速又は増速が場合によっては考慮されるべきである。
【0042】
当然、例えばエラー作動についての可能性を低減するために、例えば駆動原動機110のアイドリング回転数の最大80%、最大60%、最大50%又は最大30%に対応するあらかじめ設定された他の限界回転数を用いることも可能である。
【0043】
これに加えて、制御装置200は、更に他の条件が満たされた場合にセカンダリ側150を入力信号へ向けて制限するように形成されることが可能である。上記他の条件は、例えば、別の入力信号が自動的なトランスミッション180の非駆動の位置を示す場合に満たされることが可能である。換言すれば、制御装置200は、トランスミッション180が例えばそのパーキング位置(P)又はニュートラル位置(N)にある場合にのみセカンダリ側150の制動を生じさせることが可能である。
【0044】
図2には発進要素120の断面図が示されており、詳しくいえば、この発進要素は、流体力学的なトルクコンバータの形態の流体力学的な発進要素230である。ここで、プライマリ側130は弾性的な接続要素280を含んでおり、この結合要素は、発進要素120を
図2では不図示の駆動原動機110に機械的に接続するためのものである。ここで、弾性的な接続要素280は、同様に
図2においては不図示の駆動原動機110の出力軸140に接続可能であるか、又は他の方法で固定可能である一方、揺動振動及び他の運動を一定程度まで補償することを可能とするよう形成されている。同様に、これによって、場合によっては軸方向空間の橋渡しも可能となり、この軸方向空間は、例えば車両のシリーズ又はモデルの範囲において異なる駆動原動機110によって生じ得る。このとき、接続要素280は、リベット結合部300を介して流体力学的な発進要素230のケーシング290に結合されている。ここで、ケーシング290は、同様に発進装置120のプライマリ側としての役割も果たす。したがって、ケーシング290は、第1のケーシングシェル310と、この第1のケーシングシェルに溶接された第2のケーシングシェル320とを備えており、ケーシング290における駆動原動機110とは反対側では、第2のケーシングシェル320が複数のポンプ羽根330を備えている。このポンプ羽根は、発進要素120の回転軸線340周りのケーシングの運動時に、このケーシング290の内部で流体の流れ、例えばオイルの流れを生じさせるように形成及び配置されている。このように生じた流体の流れは複数のタービンブレード350へ案内され、これらタービンブレードは、適当な保持部材360を介して被駆動ハブ370に結合されており、この被駆動ハブは、この場合には発進要素120のセカンダリ側150である。流体の流れはガイドホイール375を介してポンプ羽根330へ戻され、ガイドホイール375は、つめガイド又はラチェットガイドによって一方向へのみ回転可能に枢支されている。
【0045】
また、マスダンパねじり緩衝装置160が、本質的に相対回転不能に機械的に被駆動ハブ370すなわちセカンダリ側150に結合されている。ここで、マスダンパねじり緩衝装置160は第1のガイド部材380と、第2のガイド部材390とを備えており、これらガイド部材は、本質的に互いに並行に延在しているとともに、これらの間にはマスダンパ又はフライウェイトとも呼ばれる少なくとも1つのマスダンパ質量400が、このマスダンパ質量によって1つ又は複数の振動成分が消滅され得るように少なくとも1つの当該マスダンパ質量400が回転軸線340周りの回転運動あるいは回転運動の成分によって振動において励起され得るよう可動に配置されている。
【0046】
さらに、セカンダリ側150すなわちここに示した発進要素120における被駆動ハブ370には二段式のねじりダンパ410が配置されており、このねじりダンパは、第1及び第2のバネ装置420−1,420−2を備えている。このとき、両バネ装置420は、これに入力されるトルクに関して被駆動ハブ370すなわちセカンダリ側150に直列に接続されている。この目的のために、ねじりダンパ410は下側のハブディスク430を備えており、このハブディスクは、バネ装置420−1のバネ要素に接触しているとともに、被駆動ハブ370に相対回転不能に結合されている。さらに、バネ装置420−1のバネ要素は上側のハブディスク440にも接触しており、このハブディスクは、同様に他のバネ装置420−2のバネ要素にも接触している。したがって、バネ装置420−2のバネ要素が同様に接触するカバープレート450と、このカバープレート450に相対回転不能に機械的に結合される内側ディスク支持部460とを介して、トルクをねじりダンパ410へ入力することが可能である。
【0047】
発振要素120は、更にロックアップクラッチ240を含んでいる。このロックアップクラッチは、この場合には、複数の内側ディスク470及び外側ディスク480で形成されており、これらディスクは、一方では内側ディスク支持部460に係合し、他方では第1のケーシングシェル310に係合している。これにより、トルクがプライマリ側130から弾性的な結合要素280及び第1のケーシングシェル310を介して内側ディスク470へ、あるいは回転運動が外側ディスク480を介して内側ディスクへ伝達され、さらに、内側ディスク支持部460を介してねじりダンパ410へ、したがって被駆動ハブ370及びセカンダリ側150へ伝達される。
【0048】
このとき、内側ディスク470及び外側ディスク480は摩擦クラッチを形成しており、この摩擦クラッチにおいては、摩擦式の結合の達成あるいは摩擦接触の達成に必要な法線方向の力成分がピストン490によってもたらされ、このピストンは、第1のケーシングシェル310にリベット留めされた分離壁500及び適当なシール部材を介して案内及びシールされる。したがって、分離壁500及びピストン490は、摩擦式の結合あるいは摩擦接触の達成のために適当な圧力で付勢され得る圧力室を仕切るものである。
【0049】
完全性のためにのみ、ここで更に、互いに向き合って回転する複数の部分が適当な軸受510によって案内及び枢支されていることに言及しておく。したがって、ここに示した実施においては、ねじりダンパ410及びマスダンパねじり緩衝装置160は、セカンダリ側150に相対回転不能に結合された中間質量を形成するものである。
【0050】
図3には、マスダンパねじり緩衝装置160の斜視図が示されている。本実施例において、このマスダンパねじり緩衝装置は1つより多くのマスダンパ質量520を備えており、これらマスダンパ質量は、保持プレートとも呼ばれる第1及び第2のガイド部材の軌道540において転動体530を介して案内される。ここで、
図3には前面において第2のガイド部材390が示されている。
【0051】
自動的なトランスミッション180(オートマチックトランスミッション)と、回転数適応式のマスダンパあるいは回転数適応式のマスダンパシステムとも呼ばれるマスダンパねじり緩衝装置160を有するトルクコンバータの形態の流体力学的な発進装置230とを有する車両においては、エンジンの停止後数秒、例えば1〜3秒の後にしばしばノッキング音が聞こえ得る。このノッキングは、運転者にとってしばしば不快であるか、あるいは技術的な故障の存在についての暗示とみなされる(NVH問題)。
【0052】
多くのマスダンパねじり緩衝装置160において、このノッキングの理由は、トランスミッション入力軸170の緩慢な回転時にマスダンパ質量520がガイド部材380,390の終端ストッパ550へ至ることにある。このとき、これらマスダンパ質量は、
図3において矢印で示された重力560の方向に従う。なぜなら、緩慢な回転によって遠心力がもはや重力560に対抗しないためである。換言すれば、マスダンパ質量520は、所定の回転数から当該マスダンパ質量にまだ作用する遠心力よりもむしろ遠心力に従う。このことをより詳細に示すために、
図4には、パワートレイン100の範囲で生じる様々な測定量の時間的な対比が示されている。ここで、
図4における3つの部分図の横座標は、それぞれt=50sとt=56sの間の時間部分を示している。
【0053】
図4における一番上の部分図は、駆動原動機の出力軸が弾性的な結合構造280すなわち発進要素120のプライマリ側で測定可能であるように、駆動原動機110の出力軸140の回転数の推移が示されている。約52.5sの時点で、ここまで本質的に一定の回転数が落ち込み、約53.2sの後に停止する。このとき、エンジン回転数は、一定の範囲でも、また低下中にも重ね合された高周波期間を有しており、この高周波期間は、約1500〜1600[1/分]に相当する。この高周波振動は、駆動原動機110のシリンダの点火順序によって引き起こされる。
【0054】
図4の中央の部分図には、同一の時間部分にわたって生じる加速度すなわちトランスミッション軸受において測定される、生じた振動が示されている。50sと52.5sの間の時間においては、すなわち駆動原動機110が本質的に一定の回転数で動作している場合には、加速度aとして測定される振動も本質的に一定の高周波振動形態を有しており、このとき、加速度aは、本質的に−10m/s
2と+10m/s
2の間で生じる。駆動原動機110のオフあるいは停止によって、加速度すなわちトランスミッション軸受における振動も低下する。しかしながら、約53.7sの後には新たなかなりの振動が生じ、この振動は、約54.8sの時点において新たに大きな加速度値を有する規則的なノッキングへ移行する前に、はるかに低減された振幅において約1sの間持続する。
【0055】
図4における一番下の部分図には、駆動原動機110の出力軸140の回転数を反映した原動機回転数推移570が示されている。さらに、この部分図は、トランスミッション180の入力軸170の回転数に対応するタービン回転数推移580も示している。両推移は、CAN信号バス(CAN=Controller Area Network)を介して対応する制御装置から測定可能である。
【0056】
約53.7sにおける明確な振動は、駆動原動機110の回転数推移570の回転数信号の低下と時間的に同時に起こる。約54.8sにおいて開始される規則的なノッキング構造は、
図4から分かるようにセカンダリ側150すなわちマスダンパねじり緩衝装置160のまだ存在する回転に基づき、マスダンパ質量520の運動がまだ行われるという結果である。このとき、マスダンパ質量520に作用する遠心力は、マスダンパ質量520がもはや終端ストッパ550に接触しないように重力560に打ち勝つのにもはや十分ではない。したがって、マスダンパ質量520は、軌道540の終端ストッパ550に当接するとともに、そこにおいて、場合によっては聞こえるほどのノッキング音を伴う、
図4における中央の部分図に示されたくし状の加速度値を生じさせる。
【0057】
ここで、制御装置200及びパワートレイン100の実施例は、この問題の解決に寄与するものである。これら実施例は、フライウェイトとも呼ばれるマスダンパ質量520の多数回の当接を回避するために、トランスミッション入力軸170をより迅速に静止状態へもたらすことがこの場合には好都合であるという認識に基づくものである。これにより、上述のNVH快適性の改善を達成することが可能である。
【0058】
言い換えれば、これら実施例は、例えば走行段選択のための操作要素すなわちトランスミッション180のセレクトレバーが車両の停止状態においてP位置又はN位置へもたらされると、エンジンを停止するためにイグニションキーを回動させ、ロックアップクラッチ240(トルクコンバータ)が閉鎖されることに基づくものである。具体的な実施に応じて、完全に閉鎖するのではなく、上述の中間質量をプライマリ質量すなわちプライマリ側130へ接続するために、プライマリ側130とセカンダリ側150の間の所望のすべりのみを押し付けるのに十分であり得る。これにより、マスダンパねじり緩衝装置160が中間質量の一部あるいはこれに設けられており、かつ、プライマリ質量がエンジン回転数を有するため、マスダンパねじり緩衝装置160が
図4に示された残余タービン回転数からエンジンの回転数へ制動される。換言すれば、これにより、トランスミッション入力軸170がより迅速に停止状態に至る。
【0059】
このとき、回転数クラッチを介したトランスミッション180の出力軸190へのトルクの伝達は、トランスミッション180がP位置又はN位置にあることで回避される。ロックアップクラッチ240がクラッチ要素210の例として支挙げられている場合の駆動原動機110からトランスミッション180への力伝達は、残りのトランスミッションクラッチあるいはトランスミッション180の調整要素に基づき、Pトランスミッション位置あるいはNトランスミッション位置ではなされない。これら切換要素は、上述の位置において一般に頻繁に開放されている。
【0060】
当然、上述のロックアップクラッチ240の使用に代えて、トランスミッション180の他の各クラッチあるいはトランスミッション180の他の各切換要素もエンジン停止時に閉鎖することが可能である。これにより、トランスミッション入力軸170をより迅速に停止状態へもたらすことが場合によっては可能である。このことは、例えば、
図1に既に示されているように、マスダンパねじり緩衝装置160及びこれに接続されたセカンダリ側150が制動されるように適当な切換要素270によってセカンダリ側150が軸250又はトランスミッション180のケーシングの一部に摩擦接触することによって認めることができる。したがって、実施例は、回転数適応式のマスダンパ及び適当なトルクコンバータを有するオートマチックトランスミッションの場合のエンジンストップ中にNVH快適性の改善を可能とすることができるものである。
【0061】
したがって、制御装置200によって、車両のパワートレイン100における騒音発生の低減のための方法の実施例によって、冒頭で言及した妥協を改善することが可能である。
【0062】
図5には、車両のこのようなパワートレイン100における騒音発生の低減のための方法の実施例のフローチャートが示されている。ステップS100における方法の開始後、まず、ステップS110において上述の入力信号が受信される。つづいて、ステップS120において、入力信号が駆動原動機のオフを示す場合に当該クラッチ要素がセカンダリ側150を制動するようクラッチ要素210が作動される。そして、この方法は、ステップS130において終了する。
【0063】
他の形態によれば、車両のパワートレイン100におけるアイドリング回転数での質量慣性を高めるために、一実施例に基づく制御装置200により、
図1に示されているように、場合によっては制御装置200とは異なる一実施例に基づく制御装置を形成することも可能である。クラッチ要素210の実行は、この形態については場合によっては不要であり、したがって場合によっては省略可能である。
【0064】
したがって、
図1には一実施例に基づくパワートレイン100が同様に示されており、この実施例においては、制御装置は、まさに車両のパワートレイン100における質量慣性の上昇を生じさせるために形成されている。
【0065】
したがって、従来において、車両用エンジンはしばしばセカンダリ側に複数の揺動ホイール又は複数のクラッチを備えており、これら揺動ホイール又はクラッチの質量慣性モーメントは、駆動原動機に取り付けられた複数の装置間の容認可能な妥協が生じるよう選択されている。まさに内燃エンジンにおいては、必要なアイドリング回転数が最大限可能な揺動ホイールあるいはセカンダリ側の構成要素の質量慣性モーメントによって特定される。したがって、通常、目的は、エンジンの動特性がすばやく作用し、さらに追加的な加速エネルギーを調達する必要がないよう、質量慣性モーメントをできる限り低く選択することにある。他方で、燃料消費率を低減することができるためにできる限り低いアイドリング回転数を達成すべきである。しかしながら、アイドリングにおける容認可能なエンジン動作に対しては、できる限り高い質量慣性モーメントが適切である。
【0066】
両要件に適合するために、今日では、セカンダリ側の質量慣性モーメントにおける妥協が検討される。したがって、段を有するオートマチックトランスミッションの場合には、トランスミッション180はエンジンケーシングに結合され得る。発進要素、すなわち通常、トルクコンバータは、弾性的な結合要素280を介して駆動原動機110に結合されている。そして、この状態でロックアップクラッチ240が開放される。
【0067】
同一の原理は従来において湿式の発進クラッチにおいても用いられており、揺動質量として発進要素120のプライマリ側の質量慣性モーメントのみが作用する。
【0068】
この形態を実現する一実施例による制御装置200においては、入力軸170から出力軸190へのトルク伝達が本質的に遮断されるようトランスミッション180が作動される。このことは、例えば、アイドリングへ入れられること、及び/又はトルクがもはや入力軸170からトランスミッションの出力軸190へ伝達されないようトランスミッション180の少なくとも1つの切換要素270が開放されることで生じる。
【0069】
さらに、プライマリ側130からセカンダリ側150へのトルク伝達がなされるか、又は高められるよう発進要素120が作動される。このことは、摩擦式の結合又は摩擦接触がなされるか、又は高められることでなされる。このことは、例えば対応するクラッチ要素210すなわち例えばロックアップクラッチ240の作動によって、しかし流体力学的な発進装置の場合には摩擦クラッチの直接的な作動及び閉鎖によってなされ得る。
【0070】
したがって、トランスミッションにおける力伝達経路は、この状態で、切換要素270の開放又はギヤを入れることで形成される。つづいて、ロックアップクラッチ240又は他のクラッチ要素210の1つあるいは発進要素120の閉鎖によって、セカンダリ側の質量が質量慣性モーメントの上昇のために用いられる。これにより、エンジン動作が平穏となるか、あるいはアイドリング回転数の更なる低下が可能となる。なぜなら、揺動質量として作用する質量慣性モーメントが大きく上昇するためである。
【0071】
例えば、マスダンパねじり緩衝装置160を含む現代の発信要素120においては、質量慣性モーメントが、数10%、例えば40〜80%の範囲において、セカンダリ側の接続時に追加的に上昇され得る。9段の切換段オートマチックトランスミッションのための湿式の摩擦クラッチの場合には、例えば質量慣性モーメントが係数1.45だけ上昇され得る。これにより、駆動原動機110のアイドリング回転数が場合によっては減少され得る。具体的な設定に応じて、場合によっては駆動原動機110のアイドリング回転数を適切に低減することができ、当然、モーメントの伝達経路の遮断あるいは阻止のために、必要なトランスミッション切換要素を切り換えるべきである。
【0072】
さらに、制御装置200は、トルク伝達が解除されるか、又は低減されるよう1つの走行目標を示す別の制御信号へ発進要素120を作動させるように形成されることができる。制御装置は、当該作動が走行目標に対応する動作状態を占めるよう、対応する別の制御信号へトランスミッションを作動させることが可能である。そして、駆動原動機110の回転数があらかじめ設定された、典型的にはアイドリング回転数より大きな回転数閾値に達するか、これを上回ると、プライマリ側130からセカンダリ側150へのトルク伝達が達成されるか、高められるように制御装置200によって発進要素120が作動される。ここで、トルク伝達の解除又は低減のための発進要素120の作動は、流体の接続若しくは発進要素120の範囲における摩擦接触の解除又は低減を含んでいる。したがって、例えばロックアップクラッチ240を開放することができるか、対応するクラッチ要素210を開放することができるか、又は発進要素120全体が接続解除され得る。
【0073】
換言すれば、アクセルペダル要求において、このような場合、クラッチが開放され、よりわずかな質量慣性モーメントにより、駆動原動機110の動的な加速を可能とする。一方、トランスミッション切換要素が起動される。原動機目標回転数の到達後、駆動原動機110は、クラッチ120を介して受け止められ、車両が走行目標に従って加速する。
【0074】
同様に、この形態に関する一実施例による制御装置200は、原動機始動の正確な時点においてクラッチを閉鎖することで、走行過程のサポートに寄与することが可能である。したがって、例えば低温での始動過程においては、場合によっては異形のインパルスがわずかなシリンダ数を有する原動機において問題をもたらす。なぜなら、イグニッションインパルスは、抵抗によって相殺されてしまうためである。この結果、駆動原動機110がその目標回転数に到達せず、始動過程が場合によっては中断される必要がある事態となってしまいかねない。セカンダリ側の質量慣性モーメントの適合した接続によって、場合によっては揺動エネルギーを上昇させることができ、抵抗の影響を低減することが可能である。
【0075】
したがって、パワートレイン100及び制御装置200の実施例も、対応した方法と同様に、セカンダリ側の質量慣性の接続によって、停止した車両におけるアイドリング回転数の低下に寄与することが可能である。
【0076】
図6には、上述のしたように、車両のパワートレイン100におけるアイドリング回転数での質量慣性の上昇のための方法の一実施例のフローチャートが示されている。ステップS200におけるこの方法の開始後、まず、ステップS210の範囲において、駆動原動機110のアイドリング回転数への到達を示す制御信号が受信される。つづいて、ステップS220において、制御信号が駆動原動機110のアイドリング回転数への到達を示す場合にトランスミッションの入力軸170から出力軸190へのトルク伝達が本質的に遮断あるいは中断されるようにトランスミッション180が作動される。つづいて、ステップS230において、ここでも、方法がステップS240で終了する前に、制御信号が駆動原動機110のアイドリング回転数への到達を示す場合にプライマリ側130からセカンダリ側150へのトルク伝達が達成されるか、高められるよう、発進要素120が作動される。
【0077】
当然、
図5及び
図6において示された方法ステップは、当該実行が実際に不可能でない限り、場合によっては異なる順序で、及び/若しくは時間的に並行して、又は少なくとも時間的に重複して実行され得る。
【0078】
したがって、実施例の使用によって、快適性と、応答性と、パワートレインの経済的な、及びエコロジーな形態との間の妥協を改善することが可能である。
【0079】
装置に関連して多くの形態を記載したが、これら形態は対応する方法の説明も示すものであることが明らかであり、そのため、装置の1つのブロック又は部材は、対応する方法ステップ又は方法ステップの1つの特徴と理解され得る。これに類似して、1つの方法ステップに関連して又は1つの方法ステップとして説明された形態は、対応する装置の対応するブロック若しくは詳細又は特徴を示すものである。
【0080】
特定の実行要求に応じて、本発明の実施例は、ハードウェア又はソフトウェアにおいて実行されることができる。実行は、デジタル記憶媒体、例えばフロッピーディスク、DVD、ブルーレイディスク、CD、ROM、PROM、EPROM、EEPROM又はフラッシュメモリ、ハードディスク又は他の磁気的又は光学的なメモリの使用によって実行されることができ、このメモリには電子的に読取可能な制御信号がメモリされており、この制御信号は、各方法が実行されるようプログラム可能なハードウェア構成要素と協働可能であるか、協働する。
【0081】
プログラム可能なハードウェア構成要素は、プロセッサ、コンピュータプロセッサ(CPU=Central Processing Unit)、グラフィックプロセッサ(GPU=Graphics Processing Unit)、コンピュータ、コンピュータシステム、特定用途向け集積回路(ASIC=Application−Specfic Integrated Circuit)、集積回路(IC=Integrated Circuit)、SOC(System on Chip)、プログラマブルロジックデバイス又はFPGA(Field Programmable Gate Array)によって形成されることが可能である。
【0082】
したがって、デジタル記憶媒体は、機械的に、又はコンピュータによって読取可能であり得る。多くの実施例は、ここに記載された方法のうちの1つを実行するよう、プログラム可能なコンピュータシステム又はプログラム可能なハードウェア構成要素と協働するようになっている、電子的に読取可能な制御信号を備えたデータ記憶媒体を含んでいる。したがって、ある実施例は、ここに記載された方法のうちの1つの実行のためのプログラムが記録された媒体(又はデジタル記憶媒体若しくはコンピュータによって読取可能な媒体)である。
【0083】
一般的に、本発明の実施例は、プログラム、ファームウェア、コンピュータプログラム若しくはプログラムコードを有するコンピュータプログラム製品又はデータとして実行されることができ、プログラムコード又はデータは、プログラムがプロセッサ上又はプログラム可能なハードウェア構成要素上で動作する場合に、方法の1つを実行するのに効果的である。プログラムコード又はデータは、例えば媒体又はデータ記憶媒体においてもメモリされることが可能である。プログラムコード又はデータは、とりわけ、ソースコード、機械コード又はバイトコード及び他の中間コードとして存在する。
【0084】
他の実施例は、更に、ここに記載された方法のうちの1つの実行のためのプログラムを表すデータストリーム、信号配列又は一連の信号である。例えば、データストリーム、信号配列又は一連の信号は、データ通信接続、例えばインターネット又は他のネットワークを介して転送されるように構成されている。したがって、実施例はデータを表す信号配列であり、この信号配列はネットワーク又はデータ通信接続を介した送信に適したものであり、データはプログラムを表している。
【0085】
1つの実施例によるプログラムは、方法のうち1つを、その実行中に例えば当該方法がメモリ箇所を読み出すか、又はこのメモリ箇所へ1つのデータ又は複数のデータを書き込むことによって、置き換えることが可能である。これにより、場合によっては切換過程又は他の過程が、トランジスタ構造、増幅構造又は他の電気的、磁気的若しくは他の機能原理によって動作する部材において呼び出される。これに対応して、メモリ箇所の読み出しによって、データ、値、センサ値又はプログラムの他の情報を検出し、特定し、又は測定することが可能である。したがって、プログラムは、1つ又は複数のメモリ箇所の読み出しによって、大きさ、値、測定量及び他の情報を検出し、特定し、又は測定することが可能であるとともに、1つ又は複数のメモリ箇所への書き込みによって動作を生じさせる上、他の機器、機械及び構成要素を作動させ、例えばアクチュエータによって複雑な方法ステップを実行することが可能である。
【0086】
上述の実施例は、単に本発明の原理の説明を示すものにすぎない。ここに記載された配置、詳細の変更及び変形が他の専門家に納得できることは明らかである。したがって、本発明が特許請求の範囲によってのみ制限され、明細書及び実施例の説明に基づきここで紹介した個々の詳細によって制限されないことが意図されている。