特許第6289475号(P6289475)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6289475創傷治療デバイス(woundtherapydevice)
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6289475
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】創傷治療デバイス(woundtherapydevice)
(51)【国際特許分類】
   A61M 27/00 20060101AFI20180226BHJP
【FI】
   A61M27/00
【請求項の数】17
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-533482(P2015-533482)
(86)(22)【出願日】2013年10月1日
(65)【公表番号】特表2015-530164(P2015-530164A)
(43)【公表日】2015年10月15日
(86)【国際出願番号】EP2013002938
(87)【国際公開番号】WO2014053232
(87)【国際公開日】20140410
【審査請求日】2016年6月2日
(31)【優先権主張番号】12186750.1
(32)【優先日】2012年10月1日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】61/708,081
(32)【優先日】2012年10月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507226709
【氏名又は名称】メンリッケ・ヘルス・ケア・アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ウルフ・ヨハニソン
【審査官】 佐藤 智弥
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−517875(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/087871(WO,A2)
【文献】 特表2009−541015(JP,A)
【文献】 特表2010−512805(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0097091(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部デバイス(14)に連結されるように適用された連結器開口部(12)を含み、創傷カバー膜(28)の第1の側(28A)に少なくとも部分的に位置するように適用された外側部材(4)と、
前記創傷カバー膜(28)の前記第1の側(28A)の反対側にあって、使用の際に創傷に向くように適用された第2の側(28B)に少なくとも部分的に位置するように適用された内側部材(16)と
を含む創傷治療デバイス(2)であって、
前記外側部材(4)および前記内側部材(16)は、前記創傷治療デバイス(2)のロッキング手段(32)によって互いに取り付けられるように適用され、前記創傷カバー膜(28)は前記外側部材(4)と前記内側部材(16)との間に配置され、前記連結器開口部(12)は、前記創傷カバー膜(28)の前記第2の側(28B)によって少なくとも部分的に区切られた創傷治療体積(48)と流体連通し、
前記ロッキング手段(32)は、スナップオン連結(51)を含み、前記スナップオン連結(51)の少なくとも一部分は、前記ロッキング手段が前記外側部材(4)を前記内側部材(16)に取り付けるとき、前記創傷カバー膜(28)の前記第1の側(28A)に位置するように適用され、
前記スナップオン連結(51)は、前記外側部材(4)に連結された弾性的に変形可能な突起(52)を含み、
前記創傷治療デバイス(2)は、創傷延長面(Pwe)内に延長を有する創傷領域に使用されるように適用され、前記ロッキング手段(32)では、前記外側部材(4)が、前記創傷延長面(Pwe)内の方向に対して実質上平行な直線方向に外側部材(4)を内側部材(16)に対して変位させることによって前記内側部材(16)に取り付けられるように適用される、
ことを特徴とする前記創傷治療デバイス。
【請求項2】
前記弾性的に変形可能な突起(52)は、前記外側部材(4)に取り付けられた弾性的に変形可能なフック(54)を含み、前記弾性的に変形可能なフック(54)は、前記弾性変形を受けるように適用された近位端(54’)と、前記内側部材(16)に連結された内側当接面(56)と協働するように適用された遠位端(54”)とを含む、請求項
に記載の創傷治療デバイス(2)。
【請求項3】
前記弾性的に変形可能なフック(54)および前記外側部材(4)は、単体の構成要素を形成する、請求項に記載の創傷治療デバイス(2)。
【請求項4】
前記弾性的に変形可能な突起(52)は、複数の前記フック(54、58)を含む、請求項またはに記載の創傷治療デバイス(2)。
【請求項5】
前記創傷治療デバイス(2)は導管部分(60)を含み、前記導管部分は、第1の導管部分(60’)および第2の導管部分(60”)を含み、ここで、前記外側部材(4)および前記内側部材(16)が互いに取り付けられ、前記創傷カバー膜(28)が前記外側部材(4)と前記内側部材(16)との間に配置されるとき、前記第1の導管部分(60’)は前記創傷カバー膜(28)の前記第1の側(28A)に位置し、前記第2の導管部分(60”)は前記創傷カバー膜(28)の前記第2の側(28B)に位置し、前記導管部分(60)は前記連結器開口部(12)と流体連通する、請求項1〜のいずれか1項に記載の創傷治療デバイス(2)。
【請求項6】
前記導管部分(60)は前記外側部材(4)に取り付けられる、請求項に記載の創傷治療デバイス(2)。
【請求項7】
前記デバイスは、前記外側部材(4)および/または内側部材(16)上に配置された孔あけ手段(36)をさらに含み、該孔あけ手段(36)は、前記外側部材(4)および内側部材(16)が互いに取り付けられる前またはその間に、前記外側部材(4)と内側部材(16)との間に配置された前記創傷カバー膜(28)内に開口部を作るように適用される、請求項1〜のいずれか1項に記載の創傷治療デバイス(2)。
【請求項8】
前記孔あけ手段(36)は前記外側部材(4)の一体部材である、請求項に記載の創傷治療デバイス(2)。
【請求項9】
前記孔あけ手段は、前記外側部材(4)上に配置された少なくとも1つの切断縁(38)を含む、請求項に記載の創傷治療デバイス(2)。
【請求項10】
前記内側部材は、創傷に対して前記内側部材(16)を固定するように適用された固定手段(44)を備える、請求項1〜のいずれか1項に記載の創傷治療デバイス(2)。
【請求項11】
前記ロッキング手段(32)は、前記内側部材(16)と外側部材(4)との間に力をかけて流体連通の気密封止を確実にするように適用される、請求項1〜1のいずれか1項に記載の創傷治療デバイス(2)。
【請求項12】
前記内側部材は、創傷充填材(30)に配置されるように適用される、請求項1〜1のいずれか1項に記載の創傷治療デバイス(2)。
【請求項13】
前記ロッキング手段(32)は蟻継ぎタイプを含む、請求項1〜1のいずれか1項に記載の創傷治療デバイス(2)。
【請求項14】
前記ロッキング手段(32)は、前記外側部材(4)および前記内側部材(16)に配置された磁気材料(34)を含む、請求項1〜1のいずれか1項に記載の創傷治療デバイス(2)。
【請求項15】
前記外部デバイス(14)は負圧源デバイスである、請求項1〜1のいずれか1項に
記載の創傷治療デバイス(2)。
【請求項16】
創傷カバー膜(28)と、請求項1〜1のいずれか1項に記載の創傷治療デバイス(2)とを含む創傷治療キット。
【請求項17】
請求項1〜1のいずれか1項に記載の創傷治療デバイス(2)と、創傷充填材(30)と、創傷カバー膜(28)と、外部デバイス(14)、負圧源デバイスと、外部デバイスを前記創傷治療デバイスに連結する連結装置(15)とを含む創傷治療装置(50)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、独立請求項のプリアンブルに記載の創傷治療デバイスおよび創傷治療装置(wound therapy arrangement)に関する。本開示はまた、創傷治療装置を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野では、多くのタイプの創傷で治療が必要とされる。これらの創傷には、手術後の創傷もあるが、感染部位が存在する場合、開放創傷が定期的な薬物投与を必要とする場合、もしくは創傷が慢性の難治性の褥瘡性潰瘍、静脈性潰瘍、糖尿病性潰瘍である場合、または創傷が大きすぎて外科的に閉じることができず、自然に回復させるしかない場合のように、まだ閉じることのできない開放創傷の可能性もある。そのような場合、創傷治療の点から、創傷に負圧または吸引をかけて創傷から流体および浸出液を取り除くことが望ましいときもあることが知られている。
【0003】
創傷の回復を促すための様々な技法は、創傷に吸引を提供することを伴う。たとえば、真空源は、普通なら体の自然な回復過程を妨げる細菌の温床となりうる創傷浸出液を、創傷から取り出す働きをすることができる。体の自然回復過程を促す1つの特定の技法は、負圧創傷治療(negative pressure wound therapy)(NPWT)として説明することができる。この技法は、創傷の上の局部的な貯蔵器に、たとえば大気圧以下の減圧をかけることを伴う。大気圧以下の圧力は、その領域への血液の流れ促し、それによって創傷の上で肉芽組織の形成および健康な組織の移動を刺激することによって、創傷を閉じるのを助けることが分かっている。この技法は、慢性または難治性の創傷に対して有効であることが証明されているだけでなく、手術後の創傷の手当てなど、他の目的にも使用されてきた。
【0004】
一般的なNPWT手順では、個別または定期的な排気手順によって減圧をかけることができる場合、たとえばポリマー膜など、手術用ドレープとも呼ばれる可撓性のカバー層または膜で創傷を覆って、創傷の上に真空の貯蔵器を設ける。カバー層は、時間がたっても減圧を維持することが可能になるように、創傷を取り囲む健康な皮膚との実質上液密性の封止を形成する接着性の周辺部を含むことができる。
【0005】
いくつかの手順では、真空の貯蔵器内に収容されたマイクロポンプを用いることができるが、ほとんどのNPWT治療では、外部真空源を使用して減圧をかける。したがって、貯蔵器と真空源との間に流体連通を確立しなければならない。この目的で、外部真空源から延びる流体導管に対するインターフェースを提供するために、カバー層に流体ポートをカップリングすることが多い。流体ポートは、典型的には、ある程度の剛性を示し、それによって流体導管を好都合に受けることを提供する。特許文献1および特許文献2は、NPWT治療デバイスの典型的な例を開示している。特許文献1では、創傷治療のための手術用ドレープおよび吸引ヘッドが開示されている。この手術用ドレープと吸引ヘッドの組合せは、吸引ヘッドを創傷領域に取り付けるために使用される。また、特許文献2では、減圧による創傷治療デバイスが記載されており、このデバイスは、創傷を覆うように創傷の周りに封止可能に配置された封止膜と、陰圧源と、創傷の上で封止膜の下に位置する空間を陰圧源に連結する管とを含む。
【0006】
いくつかの従来技術の配置では、その一部を上述したが、流体ポートは、周囲の皮膚からやや突出することがあり、したがって流体ポートが創傷の中に不注意で押し込まれたとき、患者に不快感を与える傾向があることがある。この傾向は、患者の背中、踵、または患者がもたれたり座ったりしたときに圧力点が生じる他の箇所の創傷上で流体ポートが使用されるとき、特に明白である。したがって、場合によっては、創傷から離れた箇所に流体ポートを位置決めし、創傷からの流体を離れた箇所に位置する流体ポートへ引き寄せることが有利なことがある。そのような技法は、ブリッジング装置(bridging arrangement)と呼ばれることが多い;たとえば、特許文献3を参照されたい。特許文献3は詳細には、負圧創傷治療におけるドレッシングからブリッジングするための方法および装置に関する。
【0007】
特許文献3では、創傷の床に直接接触する接触層を備える創傷ドレッシング(wound dressing)も開示されている。接触層の上の創傷内に創傷充填材が位置しており、創傷充填材は、創傷ドレッシングが創傷浸出液を吸収し、捕獲し、かつ/または吸い上げることを可能にするためのものである。創傷ドレッシングはまた、周囲の皮膚との実質上液密性の封止を形成するように創傷の上に位置するカバー層を含む。カバー層は開き口(aperture)を含み、減圧の影響下では、この開き口を通って創傷の流体および雰囲気中のガスをドレッシングから取り除くことができる。創傷ドレッシングと流体導管との連結を容易にするために、フランジを有する流体ポートが配置される。流体ポートは、たとえばフランジの下面上の接着剤によってドレッシングに取り付けられる。
【0008】
したがって、3次元の形状を有する創傷充填材が、創傷の形状に適用され、創傷内に配置される。その後、皮膚の方を向くように適用された表面上に適した接着剤を備える気密性の創傷カバー膜が配置され、創傷カバー膜を創傷の周りの健康な皮膚に取り付けて創傷充填材を定位置で保つことによって、創傷充填材を必要な位置で保持する。負圧創傷治療が使用される場合、負圧をかけるために創傷カバー膜内に開き口を作らなければならない。開き口または開口部は、手作業で膜内に孔を作って覆われた創傷充填材への連結を得るために、たとえば1丁のはさみによって作られる。次いで、膜に流体ポートが取り付けられ、したがって、創傷と外部デバイス、たとえば負圧創傷治療デバイスとの間に気密性の流体連結が確立される。
【0009】
この周知の手順を、図13の流れ図によって概略的に示す。最後の工程は、接着剤上の保護膜を剥離する工程と、流体ポートに狙いを定める工程と、次いで、流体ポート内の開口部が膜内に作られた開き口に対応するように流体ポートを押し込む工程とをさらに含む。
【0010】
本発明者は、いくつかの改善形態が現在使用されているデバイスにとって好ましいことがあることを確認した。1つの改善形態は、流体ポート内の開口部と創傷カバー膜内の開口部とが対応することを保証することが困難なときがあるが、これは気密性の連結を確保することに関係する。
【0011】
加えて、流体ポートを創傷カバー膜に取り付けるために流体ポートの表面で使用される接着剤は、場合によっては、流体ポートの縁部とカバー膜との間のインターフェース内で漏れの問題をもたらすことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】WO−1999/013793
【特許文献2】WO−2009/002260
【特許文献3】WO−2010/085270
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、本発明の一つの目的は、流体ポートと創傷カバー膜内の開口部との間に気密性のある連結を提供することである。
【0014】
さらなる目的は、接着剤を使用しないで流体ポートを創傷カバー膜に取り付ける方法を実現することである。
【0015】
本開示の別の目的は、従来技術の欠点の少なくとも1つを克服もしくは改良すること、または有用な代替手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前述の目的の少なくとも1つは、独立請求項に記載の本開示によって実現される。
【0017】
したがって、本発明は創傷治療デバイスに関し、創傷治療デバイスは、
− 外部デバイスに連結されるように適用された連結器開口部(connecter opening)を含み、創傷カバー膜の第1の側に少なくとも部分的に位置するように適用された外側部材と、
− 創傷カバー膜の第1の側の反対側の第2の側に少なくとも部分的に位置するように適用された内側部材とを含み、
− 外側部材および内側部材は、創傷治療デバイスのロッキング手段によって互いに取り付けられるように適用され、創傷カバー膜は外側部材と内側部材との間に配置され、連結器開口部は、創傷カバー膜の第2の側によって少なくとも部分的に区切られた創傷治療体積(wound therapy volume)と流体連通する。
【0018】
場合により、ロッキング手段はスナップオン連結(snap−on connection)を含み、スナップオン連結の少なくとも一部分は、ロッキング手段が外側部材を内側部材に取り付けるとき、創傷カバー膜の第1の側に位置するように適用される。
【0019】
スナップオン連結の少なくとも一部分がロッキング状態で創傷カバー膜の第1の側に位置するように適用されることによって、スナップオン連結がロッキング状態であるか否かを判定するための適当な可能性を得ることができる。たとえば、臨床医などの手術者は、スナップオン連結が係合状態であるかどうかを、たとえば視覚的または触覚的に判定することが可能になり、創傷カバー膜によって密閉された体積(volume)に必ずしもアクセスする必要がない。
【0020】
本明細書では、「スナップオン連結」という表現は、複数の連結部分間の連結を指し、これらの部分の少なくとも1つは、定位置にカチッと留まって別の部分に嵌まるように適用される。概して、これらの部分の少なくとも1つは、取り付け手順中に変形するように適用される。複数の連結部分間の所望の相対位置が得られたとき、変形可能な部分は、少なくとも部分的にその変形状態を放棄し、その結果、第1の部分と連結して配置された第1の当接手段が、他方の連結部分上の当接手段に係合する。スナップオン連結では、複数の連結部分のいずれか1つが、取り付け手順中に変形するように適用された部分を装備することができる。実際には、いくつかの連結部分の各々が取り付け段階中に変形するように適用された部分を有するスナップオン連結を提供することができる。
【0021】
場合により、スナップオン連結は、外側部材に連結された弾性的に変形可能な突起を含む。本明細書では、「弾性的に変形可能な突起」という表現は、少なくとも一部分が変位するように適用された突起に関し、その突起のいかなる部分も、スナップオン連結がロッキング状態になったときに恒久的な変形を受けない。
【0022】
弾性的に変形可能な突起が外側部材に連結されることによって、創傷カバー膜を必ずしも破らなくても、使用者が内側部材から外側部材を解放することが可能になる。
【0023】
場合により、弾性的に変形可能な突起は、外側部材に取り付けられた弾性的に変形可能なフックを含み、このフックは、弾性変形を受けるように適用された近位端と、内側部材に連結された内側当接面と協働するように適用された遠位端とを含む。
【0024】
場合により、弾性的に変形可能なフックおよび外側部材は、単体の構成要素を形成する。
【0025】
場合により、弾性的に変形可能な突起は、複数のフックを含む。
【0026】
場合により、創傷治療デバイスは導管部分を含み、導管部分は、第1の導管部分および第2の導管部分を含み、ここで、外側部材および内側部材が互いに取り付けられ、創傷カバー膜が外側部材と内側部材との間に配置されるとき、第1の導管部分は創傷カバー膜の第1の側に位置し、第2の導管部分は創傷カバー膜の第2の側に位置し、導管部分は連結器開口部と流体連通する。
【0027】
場合により、導管部分は外側部材に取り付けられる。
【0028】
場合により、創傷治療デバイスは、創傷延長面(wound extension plane)内に延長を有する創傷領域に使用されるように適用され、ロッキング手段では、外側部材は、創傷延長面内の方向に対して実質上平行な方向に外側部材を内側部材に対して変位させることによって内側部材に取り付けられるように適用される。
【0029】
場合により、このデバイスは、外側部材および/または内側部材上に配置された孔あけ手段をさらに含み、孔あけ手段は、外側部材および内側部材が互いに取り付けられる前またはその間に、外側部材と内側部材との間に配置された創傷カバー膜内に開口部を作るように適用される。
【0030】
場合により、孔あけ手段は外側部材の一体部材である。
【0031】
場合により、孔あけ手段は、外側部材上に配置された少なくとも1つの切断縁を含む。
【0032】
場合により、内側部材は、創傷に対して内側部材を固定するように適用された固定手段または固定器を備える。
【0033】
場合により、ロッキング手段は、内側部材と外側部材との間に力をかけて流体連通の気密封止を確実にするように適用される。
【0034】
場合により、内側部材は、創傷充填材に配置されるように適用される。
【0035】
場合により、ロッキング手段は蟻継ぎタイプを含む。
【0036】
場合により、ロッキング手段は、外側部材および内側部材に配置された磁気材料を含む。
【0037】
場合により、外部デバイスは負圧源デバイスである。
【0038】
本開示の第2の態様は、創傷カバー膜と、本開示の第1の態様による創傷治療デバイスとを含む創傷治療キットに関する。
【0039】
本開示の第3の態様は、本開示の第1の態様による創傷治療デバイスと、創傷充填材と、創傷カバー膜と、外部デバイス、好ましくは負圧源デバイスと、外部デバイスを創傷治療デバイスに連結する連結装置とを含む創傷治療装置に関する。
【0040】
本開示の第4の態様は、内側部材向き開口部(inner part facing opening)を備える内側部材向き表面(inner part facing surface)、および前記内側部材向き開口部と外部デバイス、たとえば負圧創傷治療デバイスに連結されるように適用された連結器開口部との間に流体連通を確立する第1の連結チャネルを含む外側部材を含む創傷治療デバイスに関する。デバイスは、外側部材向き開口部(outer part facing opening)を備える外側部材向き表面(outer part facing surface)、および前記外側部材向き開口部と創傷に連結して配置されるように適用された開口部との間に流体連通を確立する第2の連結チャネルを含み、創傷に対して創傷カバー膜の下に配置されるように適用された内側部材をさらに含む。さらに、前記外側部材を前記内側部材に取り付けてロックするように適用され、前記創傷カバー膜は前記部材間に配置され、前記内側部材向き開口部および外側部材向き開口部は互いに本質的に対応するように位置する、ロッキング手段が提供される。
【0041】
場合により、流体ポート内の開口部と創傷カバー膜内の開口部とが対応することが保証され、これは、気密性の連結を実現するのに不可欠である。手短に言えば、これは、ロッキング手段を使用して外側部材を内側部材に取り付けてロックすることによって実現される。
【0042】
場合により、流体ポートは、接着剤を使用しないで創傷カバー膜に取り付けることができ、これはまた、ロッキング手段を使用して外側部材を内側部材に取り付けてロックすることによって実現することができる。具体的には、これは、流体ポートが接着剤で創傷カバー膜に取り付けられた周知の技法に関する改善形態である。
【0043】
したがって、第1の態様に記載の封止作用は、内側部材と外側部材との間の不可逆性のロックおよび気密性の嵌め合いと、創傷カバー膜によって得られる封止とを組み合わせることによって実現される。具体的には、創傷カバー膜は、創傷の方を向いている表面、したがって内側部材に接着剤を備える。それによって、さらに安全で使いやすいシステムが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】本発明による創傷治療デバイスの横断面図である。
図2】本発明の一実施形態による外側部材の異なる図である。
図3】本発明の一実施形態による内側部材の異なる図である。
図4】本発明の別の実施形態による創傷治療デバイスの横断面図である。
図5】ブリッジング装置内で使用される本発明による創傷治療デバイスを示す図である。
図6】本発明のさらに別の実施形態による外側部材を示す図である。
図7】創傷治療デバイスの別の実施形態の斜視図である。
図7a図7の実施形態の内側部材の横断面図である。
図8図7の実施形態の外側部材の斜視図である。
図9図7の実施形態の底面図である。
図10】内側部材の別の実装形態の上面図である。
図11】本発明による方法を示す流れ図である。
図12】本発明による方法を示す流れ図である。
図13】周知の方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
次に本発明について、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。図面全体にわたって、同じ参照符号を使用して同じまたは類似の特徴を示す。
【0046】
したがって、図1は、創傷治療デバイス2の一実施形態を示し、創傷治療デバイス2は、内側部材向き開口部8を備える内側部材向き表面6、および内側部材向き開口部8と適当な配管連結15を使用して外部デバイス14に連結されるように適用された連結器開口部12との間に流体連通を確立する第1の連結チャネル10を含む外側部材4を含む。好ましくは、外部デバイス14は、たとえば背景の項に記載した種類の負圧源デバイスである。
【0047】
図1の創傷治療デバイス2は、外側部材向き開口部20を備える外側部材向き表面18、および外側部材向き開口部20と創傷26に連結して配置されるように適用された開口部24との間に流体連通を確立する第2の連結チャネル22を含む内側部材16をさらに含む。内側部材16は、創傷26に対して創傷カバー膜28の下に配置されるように適用される。いわゆる創傷充填材30を使用して、創傷を充填することが多い。これもまた、背景の項に記載されている。
【0048】
加えて、創傷治療デバイスは、外側部材4を内側部材16に取り付けてロックするように適用され、創傷カバー膜28はこれらの部材間に配置され、内側部材向き開口部8および外側部材向き開口部20は互いに本質的に対応するように位置する、ロッキング手段32を含む(図2および図3参照)。
【0049】
負圧創傷治療システムに適合している様々な創傷カバーのうち、任意の創傷カバーを使用することができる。概して、創傷カバーは、創傷を取り囲む皮膚に取り付けられるように適用され、単独で、または負圧システムの1つもしくはそれ以上の他の構成要素と組み合わせて、創傷の上に気密封止を形成する。適した創傷カバーの非限定的な例には、プラスチック膜、たとえばポリウレタン膜が含まれる。創傷カバーは、たとえば接着剤によって、創傷を取り囲む皮膚に取り付けることができる。創傷カバーは、接着剤を含むことができ、かつ/または使用直前に塗布された接着剤とともに使用することができる。使用することができる接着剤の例には、それだけに限定されるものではないが、アクリル接着剤および/またはシリコーンゲル接着剤が含まれる。いくつかの実施形態では、1つまたはそれ以上の接着剤が、創傷カバーの一部としてすでに組み込まれている。いくつかの実施形態では、1つまたはそれ以上の接着剤を使用中に創傷カバー部材に塗布することができる。
【0050】
たとえば、適した創傷カバーは、Moelnlycke Health Care ABによって販売されているAVANCE(商標)透明膜であり、これはアクリル接着剤を有するポリウレタン膜である。また、SAFETAC(商標)技術によるAVANCE(商標)膜(やはりMoelnlycke Health Care ABから販売されている)も本発明の実施形態での使用に適しており、これは、穿孔されたポリウレタン層の片側をシリコーンゲルで被覆したものを含む。非限定的な例として、Moelnlycke Healthcare ABによってMEPISEAL(商標)の商標で販売されている接着剤を使用して、創傷を取り囲む皮膚に創傷カバー部材を取り付けることができる。
【0051】
非限定的な例として、創傷カバー膜は、マット仕上げを有し、約22〜30μmの厚さを有し、ポリアクリレート接着剤で被覆された、ポリウレタン(PU)エステル膜である透明膜とすることができる。さらに、この場合も単なる例として、創傷カバー膜は、約45〜55μmの厚さを有する透明ポリエチレン(PE)から作られるアプリケータ膜を伴うことができる。単なる例として、そのような創傷カバー膜は、約100g/cmの密度を有することができる。
【0052】
別の非限定的な例として、創傷カバー膜は、PUエステル膜ではなくPUエーテル膜を有することができ、PEおよびPP(ポリプロピレン)の共重合体ベースのアプリケータ膜を伴うことができる。そのようなPU膜は、上記の例と同様に、ポリアクリレート接着剤で被覆することができ、マット仕上げを有することができる。このPU膜は、約26〜30μmの厚さを有するはずである。この改善された膜に対するアプリケータは、約40μmの予期の厚さを有するはずである。単なる例として、そのような創傷カバー膜は、約80g/cmの密度を有するはずである。
【0053】
図2および図3は、本発明の一実施形態によるそれぞれ外側部材および内側部材の異なる図を示す。
【0054】
図2の上には、下から見た外側部材4の図が示されており、内側部材向き表面6、内側部材向き開口部8、および連結部開口部12が示されている。その下には線A−Aに沿った横断面があり、一番下には線C−Cに沿った横断面図が示されている。
【0055】
図3の上には、上から見た内側部材16の図が示されており、外側部材向き開口部20を備える外側部材向き表面18が示されている。下には、線B−Bに沿った横断面図が示されている。
【0056】
一実施形態では、ロッキング手段32は、図2および図3に示す蟻継ぎタイプである。外側部材4は細長い凹みを備え、この凹みの壁は外方へわずかに傾斜しており、したがって凹みは、内側部材向き表面6から離れる方向にわずかにより広くなっている。図2の中央の図面を参照されたい。加えて、凹みは、C−Cに沿って見られるように、広い方の端部と、狭い方の端部とを有する。本明細書では、広い方の端部は、連結部開口部12と同じ端部にあるが、当然ながら反対側も可能である。内側部材16は、外側部材の凹みに嵌合する形状を有する細長い突起として実施される対応するロッキング手段32を有する。
【0057】
外側部材4は、内側部材16に対する外側部材4の摺動運動をかけることによって、ロッキング手段32によって内側部材16に取り付けられるように適用され、それによって、創傷に対して垂直方向の力だけでなく回転力および剪断力も本質的にかからないようにする。内側部材および外側部材が図2および図3と同様の向きである場合、内側部材は創傷と連結して配置され、外側部材を内側部材に対して下方へ動かし、蟻継ぎタイプの連結を使用してこれらの部材を互いに取り付ける。
【0058】
したがって、図2および図3に示す蟻継ぎは、外側部材4および内側部材16の接触面を含み、これらの接触面は2つの方向に傾斜し、すなわち、部材4、16が互いに取り付けられているときの内側部材向き表面6からの第1の方向と、内側部材向き表面6の平面内を実質上延びる第2の方向とに傾斜する。第1の方向に傾斜しているということは、内側部材向き表面6の平面に対する方向の適当なロッキングを示唆することができる。さらに、第2の方向に傾斜しているということは、たとえば、部材4、16が互いに取り付けられているときに内側部材向き開口部8と外側部材向き開口部20とが心合わせされていることを示唆することができる。
【0059】
別の実施形態によれば、ロッキング手段32は、外側部材および内側部材に配置された磁気材料34によって実施され、これらの部材は、磁力によって互いに取り付けられるように適用される。この実施形態が、図4に示されている。磁気材料片は、外側部材と内側部材との間の必要な位置が実現されるように配置される。図4では、これらの部材の各々に2つの材料片が配置されている。当然ながら、より多くの磁気片またはより少ない磁気片を有することも可能である。より多くの磁気片を有することによって、位置決めに関してさらに高い精度を実現することができる。
【0060】
好ましい態様は、ロッキング手段32が内側部材と外側部材との間に力をかけて流体連通の気密封止を確実にすることを提供することである。これは、蟻継ぎの実施形態によって、内側部材と外側部材との間の必要な力が得られるように突起および凹みの寸法および形状を互いに適用させることによって実現することができる。本明細書に上記で論じた磁気の実施形態では、気密封止は、適当な磁力が得られた結果、流体連通の気密封止をもたらすことができるように、磁気材料(複数可)を選択することによって実現することができる。
【0061】
さらなる実施形態によれば、ロッキング手段32は、外側部材を内側部材に取り消し不能にロックするように適用される。これは、たとえば、外側部材4の凹みに対して突出部40(図6参照)を提供することによって実現することができ、したがって外側部材の突起は、突起の最も広い部分が突出部のそばを通過したときにロックされる。外側部材は、突出部が外へ曲がることを可能にして突起がそばを通過することを可能にするある程度の可撓性を有する材料から作られることを前提とする。
【0062】
好ましくは、ロッキング手段は、外側部材が内側部材に正確に取り付けられたときに承認の受け取り、たとえばクリック音を生成するように適用される。これは、図6に示す実施形態によって、突起が定位置にきたときに突出部40が元の方へ曲がるときに実現することができる。
【0063】
たとえば図1および図4に示すように、内側部材16は、創傷充填材30に配置されるように適用される。また、添付の特許請求の範囲によって画成される本発明の範囲内で、ブリッジング装置を使用することによって、創傷から距離をあけて創傷治療デバイスを配置することも可能である。これは、利用可能な空間がより小さい位置、たとえば背中または踵にある創傷に適用することができる。図5は、ブリッジング装置42に関する創傷治療デバイスの使用を概略的に示す。ブリッジング装置42、創傷充填材30、および創傷治療デバイス2の内側部材は、創傷カバー膜28によって定位置で保持され、次いで外側部材は、上記のように内側部材に取り付けられる。
【0064】
第1の連結チャネルと第2の連結チャネルとの間で気密性の流体連通を確立するための前提は、創傷カバー膜内に開口部が作られることである。当然ながら、創傷カバー膜28が皮膚に取り付けられて内側部材を定位置で保持するとき、たとえば解剖刀、1丁のはさみなどの使用によって、この開口部を手で作ることが可能である。
【0065】
別の実施形態によれば、創傷治療デバイスは、内側部材16および/または外側部材4に配置された孔あけ手段36(図2参照)をさらに含み、孔あけ手段36は、外側部材と内側部材との間に配置された創傷カバー膜28内に開口部を作るように適用され、したがってこの開口部は、前記外側部材および内側部材内の開口部に本質的に対応して連結部開口部12と創傷の方を向いている開口部24との間に気密性の流体連通を確立するように位置する。
【0066】
好ましくは、創傷カバー膜28内の開口部は、外側部材4を内側部材16に取り付ける手順中に作られる。
【0067】
孔あけ手段36は、一実施形態によれば外側部材4の一体部材であり、たとえば内側部材向き開口部に近接して外側部材に配置された少なくとも1つの切断縁38(図2参照)を含む。内側部材内には、切断縁38を受けるように切れ目46(図3参照)が設けられる。
【0068】
図7は、創傷治療デバイス2の別の実施形態を示す。図7から見出すことができるように、ここに開示されている実施形態は、外部デバイス(図7には図示せず)に連結されるように適用された連結器開口部12を含む外側部材4を含む。単なる例として、外部デバイスは、たとえば図1に示す負圧源デバイスとすることができる。
【0069】
外側部材4は、創傷カバー膜28の第1の側28A上に少なくとも部分的に位置するように適用される。さらに、図7の創傷治療デバイス2は、創傷カバー膜28の第1の側28Aとは反対側の第2の側28B上に少なくとも部分的に位置するように適用された内側部材16を含む。概して、創傷カバー膜28の第2の側28Bは、使用の際には創傷(図7には図示せず)の方を向くように適用される。
【0070】
本明細書に上記で提示した創傷治療デバイス2の他の実施形態と同様に、図7の実施形態の内側部材16は、創傷充填材(図7には図示せず)に配置されるように適用される。
【0071】
図7に示す創傷治療デバイス2では、外側部材4および内側部材16は、創傷治療デバイス2のロッキング手段32によって互いに取り付けられるように適用され、創傷カバー膜28は外側部材4と内側部材16との間に配置され、連結器開口部12は、創傷カバー膜28の第2の側28Bによって少なくとも部分的に区切られた創傷治療体積(wound therapy volume)48と流体連通する。
【0072】
図7に示す実施形態では、ロッキング手段32はスナップオン連結51を含む。スナップオン連結の少なくとも一部分は、ロッキング手段32が外側部材4を内側部材16に取り付けるとき、創傷カバー膜28の第1の側28A上に位置するように適用される。
【0073】
図7に示す創傷治療デバイス2の実施形態では、スナップオン連結51は、外側部材4に連結された弾性的に変形可能な突起52を含む。図7に示す突起の実装形態では、弾性的に変形可能な突起52は、外側部材4に取り付けられた弾性的に変形可能なフック54を含む。フック54は、弾性変形を受けるように適用された近位端54’と、内側部材16に連結された内側当接面56と協働するように適用された遠位端54”とを含む。
【0074】
単なる例として、図7の実施形態、特に図7aに示すように、内側部材16は、使用の際に創傷からの方向に突出する内側突起47を含むことができる。図7の内側突起47は、本明細書に上記で論じた内側当接面56を含むことができる。さらに、内側突起47は、外側部材4の一部分を受けるように適用された内側開口部49を含むことができる。さらに、内側突起47は、好ましくは、内側開口部49と創傷治療体積48との間に流体連通を提供するように適用される。この目的で、内側突起47は、内側開口部49と流体連通する空胴62を含むことができ、空胴62は、創傷治療体積48と流体連通するように適用される。
【0075】
図7に示す外側部材4の実装形態では、弾性的に変形可能なフック54および外側部材4は、単体の構成要素を形成する。しかし、外側部材4の他の実装形態では、フック54および外側部材4の残り部分を別個の構成要素とすることができ、たとえば異なる材料とすることができ、互いに取り付けられて外側部材4を形成することも想定される。
【0076】
外側部材4の実装形態が、弾性的に変形可能な突起を含むことができ、この突起が、複数の弾性的に変形可能なフックを含むことが、さらに想定される。この目的で、2つの弾性的に変形可能なフック54、58を含む弾性的に変形可能な突起52の一実施形態を示す図7を参照されたい。
【0077】
創傷治療デバイス2の図7の実施形態は、創傷延長面Pwe内に延長を有する創傷領域に使用されるように適用される。さらに、図7の実施形態で、ロッキング手段32では、外側部材4は、創傷延長面Pwe内の方向に対して実質上平行な方向に外側部材4を内側部材16に対して変位させることによって内側部材16に取り付けられるように適用される。
【0078】
図7の実施形態で、ロッキング手段32では、外側部材4は、創傷延長面Pwe内の方向に対して実質上平行な直線方向に外側部材4を内側部材16に対して変位させることによって内側部材16に取り付けられるように適用される。
【0079】
創傷治療デバイスの実施形態は、導管部分を含むことができる。この目的で、外側部材4の図7の実装形態の底面図を示す図8を参照されたい。図8から見出すことができるように、導管部分60は外側部材4に連結することができ、またはさらに外側部材4の一部を形成することができる。さらに、図8に示されているように、導管部分60は、第1の導管部分60’および第2の導管部分60”を含むことができ、外側部材4および内側部材(図8には図示せず)が互いに取り付けられ、創傷カバー膜が外側部材4と内側部材との間に配置されるとき、第1の導管部分60’は創傷カバー膜の第1の側に位置し、第2の導管部分60”は創傷カバー膜の第2の側に位置し、導管部分は連結器開口部12と流体連通する。
【0080】
したがって、外側部材4および内側部材が互いに取り付けられ、創傷カバー膜が外側部材4と内側部材との間に配置されるとき、導管部分60は創傷カバー膜を通って延びる。
【0081】
創傷治療デバイス2の実施形態は、外側部材4および/または内側部材16上に配置された孔あけ手段を含むことができ、孔あけ手段は、外側部材および内側部材が互いに取り付けられる前またはその間に、外側部材と内側部材との間に配置された創傷カバー膜内に開口部を作るように適用される。たとえば、図8に示す外側部材4の実装形態は、切断縁38を含む。実際には、外側部材4の図8の実装形態では、切断縁38は、導管部分60が導管部分の延長方向EDcpに対して斜めの端面61を有することによって得られる。単なる例として、導管部分60の端面61に対する法線は、導管部分の延長方向EDcpに対して角度を形成することができ、この角度は、少なくとも45°、別法として少なくとも60°である。
【0082】
端面61が延長方向EDcpに対して斜めであることは、導管部分60の小さい部分だけが、まず創傷カバー膜を通って穿孔し、導管部分60が膜を通って動かされるにつれて、創傷カバー膜を通る導管部分60の横断面積が徐々に増大することを示唆する。
【0083】
創傷カバー膜の穿孔をさらに容易にするために、切断縁38、すなわち導管部分60の頂端は、鋭利にすることができる。単なる例として、外側部材4が射出成形などの成形によって製造され、硬化性の材料が金型内へ射出される場合、この金型(図示せず)は、導管部分60の鋭利な頂端をもたらす形状を有することができる。別の非限定的な例として、上記で論じた金型の形状の代わりに、またはそれに加えて、少なくとも導管部分60の頂端の鋭利さは、導管部分60の後処理によって得ることができる。非限定的な例として、少なくとも導管部分60の頂端は、適当な鋭利さの切断縁38が得られるように、成形手順後に研磨することができる。
【0084】
非限定的な例として、導管部分60の端面61は、創傷延長面Pweに実質上直交することができる。したがって、端面61に対する法線は、創傷延長面Pweに対して平行な平面内を延びることができる。導管部分60の端面61がそのように延びているということは、外側部材4を内側部材内へ2つの向き、すなわち図8に示すような向きまたは上から下への向きに挿入することができることを示唆することができるが、それにもかかわらず導管部分60は、外側部材4および内側部材16が互いに連結されるとき、創傷カバー膜内に開口部を作ることができ、また連結器開口部12と創傷治療体積48との間に流体連通を提供することもできる。
【0085】
図8に示す外側部材4の実装形態は、創傷治療デバイス2内で使用されるように適用することができ、外側部材4は、導管部分の延長方向EDcpに対して実質上平行な方向に外側部材4が内側部材16に対して直線に変位することによって、内側部材(図8には図示せず)に連結されるように適用される。この目的で、弾性的に変形可能なフック54の遠位端54”は、内側部材の内側当接面と協働するように適用された外側当接面55を含むことができ、外側当接面55は、導管部分の延長方向EDcpに実質上直交する平面内を延びる。
【0086】
内側開口部49内への導管部分60の挿入を容易にするために、内側部材16は、連結手順中に導管部分60を内側開口部49へ案内するように適用された、図7に示す案内溝63などの案内部を含むことができる。
【0087】
図9は、外側部材4および内側部材16が互いにロックされたときの図7の創傷治療デバイス2の底面図を示す。図9は、先に論じた空胴62を示し、内側部材16および外側部材が互いに連結されるとき、導管部分60の一部分は空胴62内へ延びることができる。単なる例として、図7を参照しながら本明細書に上記で論じた内側部材16の突起47は、空胴62を収納することができる。したがって、図2〜5を参照しながら本明細書に上記で論じた創傷治療デバイス2の実施形態と比較すると、図7〜9に示す実施形態は、外側部材4の開口部と内側部材16の開口部との心合わせを必要とすることなく、外部デバイスと創傷治療体積との間に流体連通を提供することができる。
【0088】
さらに、図9は、パネル64と、各々がパネル64の一部分の上を延びる複数の補強リブ66とを含む内側部材16の実装形態を示す。内側部材16の図9の実装形態では、リブ66の各々は、空胴62からパネル64の周辺部68の方へ延びる。単なる例として、リブ66の各々は、均一の厚さを有することができ、すなわち空胴62から周辺部68の方へ、パネル64が延びる平面に対して法線方向の延長を有することができる。別の非限定的な例では、リブ66の各々の厚さは、周辺部68の方へ減少することもできる。
【0089】
創傷治療デバイス2の実施形態は、ロッキング手段32を含むことができ、ロッキング手段32は、図7〜9を参照しながら本明細書に上記で論じたスナップオン連結51の代わりに、またはそれに加えて、次のロッキング手段の実装形態の少なくとも1つを含むことができることが想定される:そのような実装形態は、図1〜3を参照しながら本明細書に上記で論じた蟻継ぎタイプ、および図4に関して本明細書に上記で論じた磁気接合タイプである。
【0090】
また、図7〜9に示す創傷治療デバイス2などの創傷治療デバイス2の実施形態は、蟻継ぎタイプも磁気接合タイプも含まないことが想定される。
【0091】
加えて、創傷治療デバイス2の実施形態には次の特徴がないことが想定される:そのような特徴は、内側部材向き開口部を備える内側部材向き表面を含む外側部材、外側部材向き開口部を備える外側部材向き表面を含む内側部材、ならびに外側部材を内側部材に取り付けてロックするように適用され、創傷カバー膜がこれらの部材間に配置され、内側部材向き開口部および外側部材向き開口部が互いに本質的に対応するように位置するようなロッキング手段である。
【0092】
さらに、図7〜9を参照しながら本明細書に上記で論じた創傷治療デバイス2の実施形態などの創傷治療デバイス2の実施形態には、添付の請求項21の特徴が一切ないことが想定される。したがって、単なる例であるが、添付の請求項21の範囲がそこから放棄される創傷治療デバイス2の保護範囲を想定することが可能である。
【0093】
創傷治療デバイス2の実施形態にかかわらず、内側部材16は、創傷に対して内側部材16を固定するように適用された固定手段44または固定器44を備えることができる。単なる例として、固定手段44は、たとえば接着剤、溶接接合などによって、内側部材にしっかりと取り付けることができる。
【0094】
そのような固定器の実装形態が、図10に示されている。図10の固定器は、創傷治療デバイス2の図2の実施形態の一部を形成することができる内側部材16の実装形態とともに示されている。しかし、本明細書に上記で示したように、固定器は、内側部材16の任意の実装形態に使用することができる。図10に示すように、固定手段44は、2つの細長いバンド44’、44”を含み、バンド44’、44”は各々、内側部材16から延びるように適用される。
【0095】
固定手段44は、取り付け手段44と呼ぶこともでき、たとえばVelcro(登録商標)または任意の他のタイプのマジックテープ(登録商標)式取り付け装置を備える1つまたは多くのストラップを含むことができる。代替手段として、内側部材の創傷向き表面(wound facing surface)は、接着剤を備えることができる。
【0096】
本明細書に上記で示したように、固定手段44は、創傷に対して内側部材16を固定するように適用することができる。たとえば、固定手段44は、創傷充填材(図9には図示せず)に対して内側部材を固定するように適用することができる。しかし、固定手段44の実装形態はまた、創傷充填材の外側に延びるように適用することもでき、したがって固定手段は、内側部材16を創傷充填材に固定し、ならびに創傷充填材を創傷(図9には図示せず)に固定することができる。この目的で、単なる例であるが、固定手段44は、少なくとも5cmの長さ、別法として少なくとも10cmの長さを有することができる。
【0097】
内側部材および外側部材は、好ましくは、加熱殺菌することができる適したプラスチック材料から作られる。内側部材は、外側部材より柔軟な材料から作られることが好ましいことがある。このとき内側部材は、50〜100ショア、別法として65〜95ショア、好ましくは65〜85ショアの範囲内の硬度を有するはずである(ASTM D2240タイプAの尺度による)。これは、このとき内側部材は皮膚または創傷の表面と共形となるべきであり、それによって創傷に対する衝撃を低減させ、患者にとっての不快感を低減させることから、有利になるはずである。別の利点は、取り付け手段がよりしっかりと、内側部材の取り付けを提供することができることから、このとき内側部材を取り付けるのがより容易になることである。
【0098】
非限定的な例として、外側部材は、次の材料の少なくとも1つを含むことができ、またはそれによって構成することができる:その材料は、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)またはPP(ポリプロピレン)である。内側部材は、たとえば、PU(ポリウレタン)またはPVC(ポリ塩化ビニル)などの熱硬化性エラストマーを含むことができ、またはそれによって構成することができる。
【0099】
さらに、単なる例であるが、外側部材および内側部材の各々は、射出成形などの成形によって製造することができる。
【0100】
外側部材の図示の実施形態は、内側部材向き表面に対して平行な平面内で本質的に方形の横断面形状を有し、15mm未満の厚さを有する。当然ながら、特許請求の範囲によって画成される本発明の範囲内で、他の形状および寸法も可能である。
【0101】
内側部材は、好ましくは、患者の皮膚に対して平行な平面内に第1の延長を有する平坦な下部部材と、患者の皮膚に対して平行な平面内に第2の延長を有する上部部材とを含み、支承圧力を分散させるため、第1の延長は第2の延長より長い。
【0102】
封止機能を確実にするために、内側部材および外側部材の接触面は、型押しした枠と、その枠を受けるように適用された対応する抑圧部とを備えることができる。
【0103】
本発明はまた、上記の特徴を備える創傷治療デバイス2と、創傷充填材30と、創傷カバー膜28と、外部デバイス14、好ましくは負圧源デバイスと、外部デバイスを前記創傷治療デバイスに連結する配管連結15とを含む創傷治療装置50(図1参照)に関する。
【0104】
加えて、本発明は、前記創傷治療装置を使用する方法に関する。この方法は、図11および図12の流れ図に概略的に示されている。
【0105】
したがって、図8を参照すると、この方法は、上記の創傷治療デバイスと、創傷充填材と、創傷カバー膜と、外部デバイス、好ましくは負圧源デバイスと、外部デバイスを前記創傷治療デバイスに連結する配管連結とを含む創傷治療装置に関連した使用に適合される。この方法は:
A − 前記創傷充填材を創傷内に加える工程と;
B − 前記創傷治療デバイスの内側部材を前記創傷充填材に連結する工程と;
C − 前記創傷カバー膜を前記内側部材上に取り付ける工程と、
D − 前記内側部材および外側部材内の開口部が本質的に対応するように、前記創傷治療デバイスの外側部材を前記膜上に取り付ける工程とを含む。
【0106】
創傷に負圧をかけるために外部デバイスが創傷治療デバイスに連結される場合、工程Cと工程Dとの間で創傷カバー膜内に開口部を作らなければならない。これは、外側部材が内側部材に取り付けられるとき、別個の手作業による工程として、または「自動」で実行される。
【0107】
図12に示すさらなる改良形態として、この方法の工程Dは、前記外側部材および内側部材内の開口部に本質的に対応するように位置するように、前記創傷カバー膜内に開口部を作る工程をさらに含む。この改良された工程Dを、図9にD’で示す。
【0108】
この方法のさらなる改良形態によれば、工程Bは、前記内側部材を取り付け手段によって取り付ける工程をさらに含む。この改良された工程Bを、図12にB’で示す。
【0109】
本発明は、前述の好ましい実施形態に限定されるものではない。様々な代替手段、修正形態、および均等物を使用することができる。したがって、上記の実施形態は、添付の特許請求の範囲によって画成される本発明の範囲を限定すると見なされるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図7a
図8
図9
図10
図11
図12
図13