【文献】
Yang-Hsiang Chan, et al,J Am Chem Soc,米国,2012年 4月19日,Vol.134,p.7309-7312
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1に記載のMC−SC−Pdotを標的細胞に関連付け、前記標的細胞の領域内に磁場を印加し、それによって、前記標的細胞を操作することによって、磁性を使用して標的細胞を操作するインビトロの方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ポリマードット(Pdot)は、最近、撮像用途において大きな有望性が期待される、新しいタイプの蛍光ナノプローブとして登場した。Pdot系ハイブリッドは、Pdot単独では利用可能ではない、追加の機能性を提供することができる。本開示は、他の用途の中でもとりわけ、細胞撮像および操作の両方において有益な機能性を伴う、金属含有(MC)半電導性(SC)Pdot(MC−SC−Pdot)を提供する。特定の実施形態では、Pdotは、少なくとも1つの金属を含む少なくとも1つのNPと、NPに関連付けられたポリマーとを含む。追加の実施形態では、ポリマーマトリクスは、NPを包囲することができる。追加の特定の実施形態では、NPは、1つの金属粒子を含む、それから成る、または本質的にそれから成る。さらなる実施形態では、少なくとも1つの金属を含む、または1つの金属粒子から成る、NPは、NPに付着された疎水性または親水性ポリマーあるいは他の疎水性または親水性分子を有することにより、MC−SC−Pdotに対して「疎水性コア」または「親水性コア」を形成する。そして、本疎水性コアまたは親水性コアは、その中にSCポリマーを有するポリマーマトリクスによって包囲される。本明細書で使用される場合、「包囲される」とは、完全封入ならびに80%封入、85%封入、90%封入、95%封入、または99%封入を含む。
【0010】
NP、疎水性コアまたは親水性コア、およびポリマーマトリクス間の関連は、物理的または化学的関連を通した関連であることができる。物理的関連は、限定ではないが、ファンデルワールス力、静電気、πスタッキング、疎水性、エントロピー的な力、およびそれらの組み合わせを含む、ある範囲の力から生じ得る。化学関連は、化学結合を通して生じ得る。
【0011】
説明されるMC−SC−Pdot群は、特定の用途に応じて、さまざまな平均直径を有することができる。特定の実施形態では、MC−SC−Pdotは、平均直径5nm、6nm、7nm、8nm、9nm、10nm、11nm、12nm、13nm、14nm、15nm、16nm、17nm、18nm、19nm、20nm、21nm、22nm、23nm、24nm、25nm、26nm、27nm、28nm、29nm、30nm、31nm、32nm、33nm、34nm、35nm、36nm、37nm、38nm、39nm、40nm、41nm、42nm、43nm、44nm、45nm、46nm、47nm、48nm、49nm、50nm、51nm、52nm、53nm、54nm、55nm、56nm、57nm、58nm、59nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、120nm、140nm、150nm、160nm、180nm、または200nm、平均直径100nm未満、80nm未満、60nm未満、40nm未満、30nm未満、20nm未満、または未満10nm、平均直径5nm〜100nm、20nm〜100nm、20nm〜60nm、20nm〜40nm、20nm〜80nm、40nm〜80nm、50nm〜80nm、60nm〜80nm、70nm〜80nm、10nm〜40nm、またはこれらの列挙された値のいずれかによって境界される、あるいはそれらの間の任意の範囲を有する。
【0012】
本明細書に開示されるようなMC−SC−Pdotは、金属、または、少なくとも1つの金属、金属合金、金属塩、および/または金属錯体を有する金属化合物を含むことができる。NPは、金属および他の非金属構成要素を含むかまたはそれから本質的に成ることができるか、あるいは、金属粒子(金属単独)から本質的に成るかまたはそれから成ることができる。金属として、限定ではないが、Na、Li、Zn、Mg、Fe、Mn、Co、Ni、Cu、In、Si、Ga、Al、Pt、Pd、Ru、Rh、Re、Os、Ir、Ag、またはAuが挙げられ得る。さらに、これらの金属の酸化物、錯体、および組み合わせもまた、説明されるMC−SC−Pdotにおいて使用されることができる。一実施形態では、Auが、金属として使用される。別の実施形態では、FeO
xが、金属として使用され、xは、a/bに等しく、aは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり、bは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である。
【0013】
金属粒子は、単一金属原子、金属原子のクラスタ、金属原子の格子、金属原子の空間個別的なクラスタまたは格子、あるいは金属化合物、合金および/または酸化物のクラスタまたは格子(特定の実施形態では、空間個別的なクラスタまたは格子)であることができる。金属原子のクラスタは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、50、100、200、500、1,000、10,000、100,000、1,000,000、5,000,000、10,000,000、50,000,000、100,000,000、1,000,000,000、5,000,000,000、1,000,000,000,000、またはそれ以上の原子を含むことができる。いくつかの実施形態では、単一金属粒子のみが、MC−SC−Pdot内に含まれる。
【0014】
本明細書に説明されるNPは、付着された疎水性ポリマー、付着された親水性ポリマー、または付着された両親媒性ポリマーを有し、MC−SC−Pdotの疎水性コア、親水性コア、または両親媒性コアを形成することができる。これらのコアは、MC−SC−Pdotの製造、展開、および/または使用を補助することができる。特定の実施形態では、付着のための疎水性ポリマーとして、限定ではないが、ポリ(メタ)アクリレート、ポリアクリルアミド、ポリイソブチレン、ポリジエン、ポリフェニレン、ポリエチレン、ポリラクチド、ポリスチレン、ポリシロキサン、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリウレタン、そのブロックコポリマー、そのランダムまたは交互コポリマー、および同等物が挙げられ得る。特定の実施形態では、付着のための親水性ポリマーとして、限定ではないが、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(ビニルピリジン)、ポリアルキレングリコール、ポリ(エチレンオキシド)、ポリプロピレングリコール、ポリオキシアルキレン、デンプン、多糖類、ポリシアル酸、および同等物が挙げられ得る。一実施形態では、親水性ポリマーは、ポリアルキレングリコールである。より具体的実施形態では、親水性は、ポリエチレングリコール(PEG)である。
【0015】
本明細書に説明される方法を使用して生成されるMC−SC−Pdotは、金属含有NP、疎水性コア、親水性コア、または両親媒性コアを包囲する、ポリマーマトリクスを形成するために、高割合または含有量のSCポリマーまたは半電導性ポリマーおよび他のポリマーの混成物を含む。高割合のSCポリマーは、より高い割合のSCポリマーが、より明るいMC−SC−Pdotにつながるので、説明されるMC−SC−Pdotから高蛍光輝度を要求する生体医療用途において重要であり得る。
【0016】
例えば、MC−SC−Pdot中に存在する全ポリマーのうち、存在するSCポリマーの割合は、MC−SC−Pdotの10%を上回る、30%を上回る、50%を上回る、80%を上回る、90%を上回る、95%を上回る、または99%を上回るv/vであることができる。特定の実施形態では、SCポリマーは、MC−SC−Pdotの40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%v/v、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%v/v、または少なくとも99%v/v、あるいは50%〜80%、40%〜90%、または60%〜80%v/vを占めることができる。別の実施形態では、SCポリマーマトリクスは、MC−SC−Pdotの50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%v/v、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%v/v、50%〜80%、50%〜90%、または60%〜80%v/vを占めることができる。SCポリマーまたはSCポリマーマトリクスのv/v割合はまた、これらの列挙された値のいずれかによって境界される、またはその間の任意の範囲を含むことができる。体積比または割合(v/v)は、金属NP対MC−SC−Pdotの平均直径を求めるために、TEM撮像に基づいて、または動的光散乱測定に基づいて、検証されることができる。
【0017】
Pdotに関連付けられたSCポリマー、またはSCポリマーおよび非SCポリマーのポリマー混成物は、特定の用途に好適となるように調整されることができ、かつ疎水性、親水性、または両親媒性にされることができる。半電導性ポリマーは、その大吸収断面、高速発光率、および高蛍光量子収率を含む、いくつかの好ましい特性に由来する、特性輝度を有することができる。半電導性ポリマーは、非局在化π電子を伴う構造単位を含む、ポリマーを含む。
【0018】
ポリマーマトリクスを形成するために使用される好適なSCポリマーとして、限定ではないが、フルオレンポリマー、フェニレンビニレンポリマー、フェニレンポリマー、フェニレンエチニレンポリマー、ベンゾチアゾールポリマー、チオフェンポリマー、カルバゾールフルオレンポリマー、フルオロンポリマー、ペリレンポリマー、ローダミンポリマー、シアニンポリマー、スクアラインポリマー、ポルフィリンポリマー、フタロシアニンポリマー、クマリンポリマー、キサンテンポリマー、ボロンジピロメテン系ポリマー、金属錯体系ポリマー、およびその誘導体を含む、SCホモポリマーが挙げられ得る。前述の列挙されたポリマーの組み合わせまたはヘテロポリマーもまた、使用されることができる。
【0019】
本明細書に開示されるMC−SC−Pdotとの使用のために適切なより特定の例示的SCポリマーは、以下の表1に列挙される。
【0021】
特定の実施形態では、SCポリマーは、少なくとも2つの異なるSC単位を含むコポリマーである。例えば、SCコポリマーは、所与の比率で存在する、フルオレンおよびベンゾチアゾールSC単位の両方を含有し得る。SCコポリマーを合成するために使用される典型的SC単位として、限定ではないが、フルオレン単位、フェニレンビニレン単位、フェニレン単位、フェニレンエチニレン単位、ベンゾチアゾール単位、チオフェン単位、カルバゾールフルオレン単位、ボロンジピロメテン単位、およびその誘導体が挙げられる。異なるSC単位が、ブロックコポリマーにおけるように、区分けされ得るか、または入り交じり得る。本明細書で使用される場合、SCコポリマーは、主要SC種の識別を記述することによって表される。例えば、PFBTは、ある比率において、フルオレンおよびベンゾチアゾール単位を含有するSCポリマーである。ある場合には、ダッシュが、微量SC種の割合、したがって、微量SC種の識別を示すために使用される。例えば、PF−0.1BTは、90%PFおよび10%BTを含有するSCコポリマーである。別の実施形態では、SCポリマーは、少なくとも3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、またはそれ以上の異なるSC単位を含む、コポリマーである。
【0022】
他の実施形態では、SCポリマーの混成物が、使用されることができる。混成物は、SCホモポリマー、コポリマー、およびオリゴマーの任意の組み合わせを含み得る。MC−SC−Pdotを形成するために使用される、半電導性ポリマー混成物は、結果として生じるMC−SC−Pdotの特性を調整するために、例えば、MC−SC−Pdotに対する所望の励起または発光スペクトルを達成するために、選択され得る。
【0023】
本明細書に説明されるMC−SC−Pdotは、1つ以上の吸収ピークを含む、特性吸収スペクトルを有することができる。一実施形態では、Pdotは、350nm、360nm、370nm、380nm、390nm、400nm、410nm、420nm、430nm、440nm、450nm、460nm、470nm、480nm、490nm、500nm、520nm、525nm、530nm、540nm、550nm、560nm、570nm、580nm、590nm、600nm、610nm、620nm、630nm、640nm、650nm、660nm、670nm、680nm、690nm、700nm、720nm、740nm、750nm、760nm、770nm、780nm、790nm、800nm、810nm、820nm、830nm、840nm、850nm、860nm、520nm〜530nm、400nm〜640nm、650nm〜850nm、350nm〜600nm、350nm〜850nm、または400nm〜600nmに吸収のピークを有することができる。他の実施形態では、吸収は、405nm、488nm、532nm、560nm、633nm、および650nm〜850nmにおいて生じることができ、また、これらの列挙された値のいずれかによって境界される、またはその間の任意の範囲を含むことができる。
【0024】
Pdotはまた、エネルギーが供給されると、蛍光を発することができる。蛍光は、可視領域400nm〜700nmの波長で生じることができる。蛍光は、近紫外線領域300nm〜400nmの波長で生じることができる。蛍光はまた、電磁スペクトルの近赤外線または赤外線領域内の波長で生じることができる。近赤外線発光は、波長700nm〜1500nmを有する電磁放射を指す。
【0025】
(MC−SC−PDOT形成の方法)
MC−SC−Pdotを調製するために、2つの主要アプローチが、説明される。1つは、ミニエマルションに基づくものであり、もう1つは、ナノ析出に基づくものである。
【0026】
(1.ミニエマルション形成方法)。両親媒性界面活性剤分子が、疎水性SCポリマーを含有する水溶性ミセルを形成するために使用されることができる。しかしながら、本ミニエマルション法に従って形成されるMC−SC−Pdotは、非常に小割合の蛍光SCポリマー(ポリマーマトリクスの1.2%〜8%)を含有し、また、非常に大きく、平均直径またはサイズ120nm〜180nm以上におよび得る。
【0027】
(2.ナノ析出形成方法)。ミニエマルションによって生産されるものより小さいMC−SC−Pdotは、より優れた細胞標識および生体分布特性を保有することができるため、より望ましくあり得る。ミニエマルション法と比較して、ナノ析出によって調製されたPdotは、より小さくあり得、共有結合によって、ストレプトアビジン等の生体分子に容易に結合される(conjugated)ことができる。加えて、ナノ析出法では、埋め込まれるNPの数は、たった1つまで減少されることができ、例えば、NPは、単一金属粒子を含む、本質的にそれから成る、またはそれから成る。
【0028】
例示的ナノ析出プロセスでは、疎水性相転移金属含有NPが、少なくとも1つのSCポリマーと水溶液中で混合され、MC−SC−Pdotを形成する。
【0029】
相転移NPは、NPを疎水性溶媒と接触させることによって形成されることができる。すなわち、NPを水性環境から疎水性溶媒中に転移させるために、NPは、性質上、疎水性である、または疎水性にされ、例えば、疎水性コーティングを有するか、あるいは疎水性ポリマーまたは分子から形成され得る。一実施形態では、NPは、疎水性溶媒中に分配するためにNPの表面をコーティングするために、疎水性反応性化合物と反応させられることができる。そのような疎水性反応性化合物は、チオール末端官能基を伴う、SCポリマーであることができる。そのようなポリマーは、限定ではないが、チオール末端ポリスチレン、チオール末端ポリ(ビニルピロリドン)、チオール末端ポリ(4−ビニルピリジン)またはチオール末端ポリ(ブタジエン)であることができる。
【0030】
NPの表面が、疎水性になると、疎水性溶媒中に均質に分散されることができる。適切な疎水性溶媒として、限定ではないが、エーテル、トルエン、テトラヒドロフラン(THF)、メタン、ブタン、プロパン、ペンタン、ヘキサン、および同等物が挙げられる。一実施形態では、溶媒は、トルエンであることができる。
【0031】
相転移されると、NPは、水性環境中でSCポリマーと混合されることができる。そのような混合は、撹拌バー、渦、音波処理、または同等物等の物理的手段を使用して達成されることができる。一実施形態では、混合は、音波処理によって行われる。
【0032】
MC−SC−Pdotを適切に形成するために、SCポリマーの濃度は、NPより高い濃度で提供されることができる。SCポリマー対NPの比は、限定ではないが、1.5:1、2:1、2.5:1、3:1、3.5:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、1:1を上回る、2:1を上回る、3:1を上回る、4:1を上回る、または5:1を上回ることができる。
【0033】
ある条件下では、MC−SC−Pdotの形成は、空のPdot、すなわち、少なくとも1つのNPを含有しないPdotの形成を伴い得る。少なくとも1つのNPを含む所望のMC−SC−Pdotは、スクロースステップ勾配または任意の他の適切なステップ勾配等のステップ勾配を使用して、空のPdotから分離されることができる。所望のMC−SC−Pdotはまた、遠心分離を使用して、空のPdotから分離されることができる。いくつかの実施形態では、ステップ勾配ステップおよび遠心分離ステップの両方が、MC−SC−Pdotを空のPdotから分離するために利用されることができる。
【0034】
(Au−MC−SC−PdotおよびFeO
x−MC−SC−Pdotの形成および説明)。Au−MC−SC−PdotおよびFeO
x−MC−SC−Pdotの形成は、前述の方法のより特定の実施例として提供される。概して、Au−NPは、最初に、水溶液中で合成され、次いで、チオール末端ポリスチレンの助けを借りて、トルエン中への相転移を介して、表面が疎水性となるように修飾される。相転移後、上層トルエン溶液は、遠心分離され、疎水性Au−NPを収集する。NPペレットは、疎水性SCポリマー一緒に、THF中に再分散される。このTHF溶液は、次いで、音波処理下で純水中に注入され、Au−MC−SC−Pdotを生産する(
図1)。
【0035】
他の実施形態では、疎水性表面をすでに含み、トルエン中に十分に分散されたFeO
x−NPが、購入されることができる。したがって、これらのNPは、直接、遠心分離され、SCポリマーと一緒にTHF中に再分散されることができる。
【0036】
溶液中に存在する全Auおよび/またはFeO
x−NPが、Pdot内に封入されるのを確実にするのに役立つように、溶液中のSCポリマー濃度は、概して、NPより高く保たれる。Au−MC−SC−PdotおよびFeO
x−MC−SC−Pdotは、空のPdotよりはるかに高い密度を有するため、空のPdotから分離されることができる。
図2Aは、スクロースステップ勾配が使用される、精製手技を図示する。より重いMC−SC−Pdotは、スクロース層を貫通し、遠心分離管の底部に沈降する一方、より軽い空のPdotは、スクロース層の上方に留まる。
【0037】
図2Aはまた、スクロース層の上方の溶液と遠心分離管の底部のものとから回収されたPdotの透過電子顕微鏡検査(TEM)画像を図示する。TEM画像では、空のPdotは、ペレット中に認められず、またはいかなるAu−MC−SC−Pdotも、上層分画中に認められなかった。この結果は、略100%収率を伴う、空のPdotからのAu−MC−SC−Pdotの精製成功を示す。他の実施形態では、80%を上回る、85%を上回る、90%を上回る、95%を上回る、96%を上回る、97%を上回る、98%を上回る、または99%を上回る収率が、容認可能であることができる。一実施形態では、高濃度のAu−NPが、使用され、複数のAu−NPを含有した大型Pdot(直径64nm)をもたらす。
【0038】
Au−MC−SC−Pdotのサイズは、埋め込まれたAu−NPの数が減少すると、さらに縮小されることができる。例えば、最初に添加されたAu−NPの濃度が十分に低いとき、PdotあたりのAu−NPの占有率は、低下する。単一Au−NPのみを含有するPdotが、生成された(
図2B参照)。単独占有Au−MC−SC−Pdotの平均サイズは、28nmであると測定された。他の平均サイズは、本明細書に説明されるように達成されることができる。単一封入NPを伴うPdotを生成するためのこの方式はまた、FeO
x−MC−SC−Pdotにも機能し得る(
図2C参照)。
【0039】
Au−MC−SC−PdotおよびFeO
x−MC−SC−Pdotハイブリッドの光学特性もまた、特性評価されることができる。Au−MC−SC−Pdotは、吸収スペクトルの525nmにおいて新しいピークを有し、これは、純PFOPdotから得られたピークと異なる(
図3A)。この新しいピークは、Au−NPの特性局在表面プラズモン共鳴(LSPR)に由来する。水中に分散された裸Au−NPと比較して、Au−MC−SC−PdotのLSPRピークは、若干、赤方偏移される。この赤方偏移は、Au−MC−SC−Pdot間の近接近性と、Pdotが水より高い屈折率を有するためのAu−MC−SC−Pdotの周囲の局所環境の変化とによって生じると考えられる。Au−MC−SC−Pdotおよび純PFOPdotの発光スペクトルはまた、類似する。
図3Bに図示されるように、FeO
x−MC−SC−Pdotの吸収ピークは、FeO
x−NPの広帯域吸収のため、わずかに広がる。すなわち、SCポリマーの蛍光発光スペクトルの形状は、FeO
x−NPによって影響されない。
【0040】
MC−SC−Pdot内のNPは、MC−SC−Pdotの蛍光を消光させる潜在性を有する。この潜在性問題の範囲を決定するために、種々のMC−SC−Pdotの量子収率(QY)値が、測定されることができる。純PFOPdotのQY値は、37%であり、複数のAu−NPを伴うAu−MC−SC−Pdotの場合、7%である。MC−SC−PdotあたりのAu−NPの数が、1まで減少されると、MC−SC−PdotのQYは、18%まで増加される。各MC−SC−Pdotが、Qdotより30倍明るくなり得るという事実を前提として、QYにおけるこの2〜5倍の減少は、管理可能である。また、本明細書に説明されるように調製されたMC−SC−Pdotの発蛍光団密度は、ミニエマルション法によって調製されたMC−SC−Pdotより有意に高いことに留意されたい。例えば、本明細書に説明されるMC−SC−Pdotでは、ポリマーマトリクスの90%(SCポリマー10部、PS−PEG−COOH1部)は、蛍光SCポリマーである。したがって、説明されるナノ析出法を使用して調製されたMC−SC−Pdotは、その望ましい光学特性の多くを保持する。
【0041】
説明される方法は、他の多機能MC−SC−Pdotプローブを作成するための他のMC−SC−Pdotの形成のために一般化可能である。一実施形態では、これらの方法は、高割合または含有量の蛍光SCポリマーを含み、ひいては、非常に明るいMC−SC−Pdotをもたらす組成物を伴う、MC−SC−Pdotを生成することができる。
【0042】
(例示的MC−SC−Pdot用途および関連付けられた考慮点)。
【0043】
本明細書に説明されるMC−SC−Pdotは、多くの異なる診断シナリオおよび/または治療手技において有用であり得る。一実施例において、Au−MC−SC−Pdotは、二重モダリティ撮像において使用されることができ、二重モダリティ撮像において、Au−MC−SC−Pdotからの蛍光およびAuからの散乱の共局在性が、下流単一粒子追跡および細胞撮像のためのAu−MC−SC−Pdotプローブを識別するために使用されることができる。
【0044】
他の実施形態では、磁性を使用して標的細胞を操作するための方法が、開示される。これらの実施形態では、磁気NPが、MC−SC−Pdot内に埋め込まれ、Pdotは、標的細胞に関連付けられる。磁場の印加は、標的細胞を操作することができる。操作として、限定ではないが、誘引、単離、反発、局在化、精製、転移、または同等物が挙げられ得る。特定の実施形態では、磁気NPとして、Fe、Ni、Co、Ga、その酸化物、その錯体、それらの組み合わせ、ならびに非磁気金属との組み合わせおよび錯体が挙げられ得る。一実施形態では、金属粒子は、FeO
xであり、xは、a/bに等しく、aは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり、bは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である。
【0045】
Pdotを標的細胞または他の物質に付着可能にするために、Pdotは、最初に、適切なポリマーでコーティングされることができるか、または適切なポリマーマトリクスを含むことができる。適切なポリマーコーティングまたはポリマーマトリクスとして、標的分子との反応を受けやすい末端基を伴うポリマーが挙げられ得る。一実施形態では、ポリマーマトリクスを形成するために使用されるポリマーとして、ポリスチレン−ポリ(エチレングリコール)等のカルボン酸末端ポリマーが挙げられ得る。
【0046】
Pdotが、遊離カルボン酸基を有すること等によって、活性表面を有すると、生物学的活性標的分子は、付着されることができる。生物学的活性化合物は、具体的標的細胞、細胞株、または物質に対して調整されることができる。例えば、生物学的活性化合物は、癌細胞を標的とし、それに付着することができる、ストレプトアビジンであることができる。
【0047】
標的細胞、細胞株、または物質に付着されると、磁場が印加され、その起源から離れた場所に、標的細胞、細胞株、または物質を移動させること、または別様に操作することができ、特定の実施例では、それは、本体または他のベシクルから分離または別様に除去されることができる。
【0048】
特に、FeO
x−MC−SC−Pdotの場合、種々のサイズの磁気NPを含有するFeO
x−MC−SC−Pdotが、調整された。FeO
x−MC−SC−Pdot調製の間、高分子量ポリマーPS−PEG−COOHが、ハイブリッドPdot中に混成された。MC−SC−Pdotの表面上のカルボン酸基は、ストレプトアビジンとの容易な生体結合(bioconjugation)を可能にした。そして、標的細胞株は、生体結合されたFeO
x−MC−SC−Pdotと結合され、それによって、細胞を標識した。そして、標識された細胞は、磁石に誘引された。故に、本明細書に開示される実施形態では、FeO
x−MC−SC−Pdotは、サンプル調製において採用され、FeO
x−MC−SC−Pdotでタグ付けされた細胞は、外部磁石を使用して単離された。細胞はまた、FeO
x−MC−SC−Pdotの強烈な蛍光に基づいて、検出および撮像された。
【0049】
より強い磁石および磁気NPが、この方法に基づいて開発され得ることを前提として、細胞分離効率は、さらに改良され得る。
【0050】
(例示的実施形態:)
1.金属含有(MC)半電導性(SC)ポリマードット(Pdot)であって、
(i)金属を含むナノ粒子(NP)と、
(ii)NPに関連付けられたSCポリマーと
を含むか、それらから本質的に成るか、またはそれらから成り、SCポリマーは、MC−SC−Pdotの少なくとも50%v/vを含むか、またはMC−SC−Pdot群は、80nmより小さい平均直径を有する、MC−SC−Pdot。
2.NPは、1つの金属粒子から本質的に成るか、またはそれから成る、実施形態1に記載のMC−SC−Pdot。
3.金属または1つの金属粒子は、Na、Li、Zn、Mg、Fe、Mn、Co、Ni、Cu、In、Si、Ga、Al、Pt、Pd、Ru、Rh、Re、Os、Ir、Ag、Au、その酸化物、その錯体、その合金、またはそれらの組み合わせを含むか、それから本質的に成るか、またはそれから成る、実施形態1または2に記載のMC−SC−Pdot。
4.金属または1つの金属粒子は、AuまたはFeを含むか、それから本質的に成るか、またはそれから成る、実施形態1、2、または3に記載のMC−SC−Pdot。
5.金属または1つの金属粒子は、FeO
xを含むか、それから本質的に成るか、またはそれから成り、xは、a/bに等しく、aは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり、bは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である、実施形態1、2、または3に記載のMC−SC−Pdot。
6.SCポリマーは、MC−SC−Pdotの少なくとも50%v/vを形成し、MC−SC−Pdot群は、80nmより小さい平均直径を有する、実施形態1、2、3、4、または5に記載のMC−SC−Pdot。
7.SCポリマーは、MC−SC−Pdotの少なくとも80%または少なくとも90%v/vを形成する、実施形態1、2、3、4、5、または6に記載のMC−SC−Pdot。
8.NPは、疎水性ポリマーに付着されることにより、疎水性コアを形成する、実施形態1、2、3、4、5、6、または7に記載のMC−SC−Pdot。
9.350nm〜850nmの吸収波長を有する、実施形態1、2、3、4、5、6、7、または8に記載のMC−SC−Pdot。
10.実施形態1、2、3、4、5、6、7、8、または9に記載のMC−SC−Pdotをナノ析出するプロセスであって、
金属を含む疎水性相転移NPをSCポリマーと水溶液中で混合し、それによって、NPをSCポリマーのマトリクス内に捕捉し、それによって、MC−SC−Pdotを形成することを含むか、それから本質的に成るか、またはそれから成る、プロセス。
11.NPは、1つの金属粒子から本質的に成るか、またはそれから成る、実施形態10に記載のプロセス。
12.MC−SC−Pdotは、スクロースステップ勾配を使用して、空のPdotから分離される、実施形態10または11に記載のプロセス。
13.MC−SC−Pdotは、遠心分離を使用して、空のPdotからさらに分離される、実施形態12に記載のプロセス。
14.各MC−SC−Pdotは、1つのNPを含むか、それから本質的に成るか、またはそれから成る、実施形態10、11、12、または13に記載のプロセス。
15.NPをトルエンと接触させることにより、疎水性相転移NPを形成することをさらに含む、実施形態10、11、12、または13に記載のプロセス。
16.トルエンは、チオール末端官能基を伴う半電導性ポリマーを含む、実施形態15に記載のプロセス。
17.遠心分離を使用して、疎水性相転移NPをトルエンから分離することをさらに含むか、それから本質的に成るか、またはそれから成る、実施形態15または16に記載のプロセス。
18.混合することは、音波処理を用いて行われる、実施形態10、11、12、13、14、15、または16に記載のプロセス。
19.SCポリマーは、混合の間、疎水性相転移NPより高い濃度にある、実施形態10、11、12、13、14、15、16、または17に記載のプロセス。
20.実施形態1、2、3、4、5、6、7、8、または9に記載のMC−SC−Pdotを標的細胞に関連付け、標的細胞の領域内に磁場を印加し、それによって、標的細胞を操作することによって、磁性を使用して標的細胞を操作する方法。
21.MC−SC−PdotNPは、1つの金属粒子から本質的に成るか、またはそれから成る、実施形態20に記載の方法。
22.金属または1つの金属粒子は、Fe、Ni、Co、Ga、その酸化物、その錯体、その合金、それらの組み合わせ、ならびに非磁気金属との組み合わせおよび錯体を含むか、それから本質的に成るか、またはそれから成る、実施形態20または21に記載の方法。
23.金属または1つの金属粒子は、Feまたはその酸化物を含むか、それから本質的に成るか、またはそれから成る、実施形態20、21、または22に記載の方法。
24.1つの金属粒子は、FeO
xを含むか、それから本質的に成るか、またはそれから成り、xは、a/bに等しく、aは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり、bは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である、実施形態20、21、または22に記載の方法。
25.SCポリマーは、カルボン酸末端ポリスチレン−ポリ(エチレングリコール)ポリマーを含む、実施形態20、21、22、23、または24に記載の方法。
26.カルボン酸末端ポリスチレン−ポリ(エチレングリコール)ポリマー上のカルボン酸基は、生物学的活性化合物と生体結合する、実施形態25に記載の方法。
27.生物学的活性化合物は、ストレプトアビジンである、実施形態20、21、22、23、24、25、または26に記載の方法。
28.標的細胞は、癌細胞である、実施形態27に記載の方法。
【0051】
(実施例)
(1.材料)。ジメチルフェニル(PFO、MW120000Da)で末端封止されたポリ(9,9−ジオクチルフルオレニル−2,7−ジイル)、およびポリ[(9,9−ジオクチルフルオレニル−2,7−ジイル)−コ−(1,4−ベンゾ−(2,10,3)−チアジアゾール)](PFBT、MW 157000 Da)が、American Dye Source Inc.(Quebec,Canada)から購入された。チオール末端ポリスチレン(PSSH,MW 1000 Da)が、Polymer Source Inc.(Quebec,Canada)から購入された。テトラクロロ金酸(HAuCl
4)、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH
4)、炭酸カリウム(K
2CO
3)、1−エチル−3−[3−ジメチルアミノプロピル]カルボジイミド塩酸塩(EDC)、および磁気NP(10nm、20nm平均サイズ、トルエン中5mg/mL)が、Sigma(St.Louis,MO)から入手された。磁気NP(40nm平均サイズ、オレイン酸コーティング、クロロホルム中25mg/mL)が、Ocean NanoTech(Sprindale,Arkansas)から購入された。カルボキシル基で官能化されたポリスチレングラフト処理エチレンオキシド(PS−PEG−COOH;PS部分のMW21,700Da;PEG−COOHの1200Da;多分散性、1.25)が、Polymer Source Inc.(Quebec,Canada)から得られた。スクロースが、Avantor Performance Materials(Phillipsburg,NJ)から注文された。
【0052】
(2.Au−NPの合成)。氷浴中の100mL MilliQ水に、4mLの1.0%テトラクロリド金酸(HAuCl
4)水溶液および1.3mLの0.2MK
2CO
3が、投入された。溶液は、激しく撹拌され、その後、1.0mLの1.54mg/mL水素化ホウ素ナトリウム溶液(氷浴中に保たれる)が、添加された。この手技は、5回(合計5mL)、繰り返された。溶液は、次いで、4℃で一晩撹拌された。
【0053】
(3.Au−MC−SC−Pdotの調製)。1mg/mLPSSHを含有する4−mLトルエンに、2mLのAu NP溶液が投入され、混合された。激しく振盪された後、混合物は、実験台に置かれ、相分離させられた。Au NPが上層トルエン溶液に相転移された後、下層水溶液は、廃棄された。無水硫酸ナトリウムが、添加され、トルエンを乾燥させた。次いで、Au NP含有トルエン溶液が、40分間、14,000rpmで遠心分離された。ペレットが、2mLテトラヒドロフラン(THF)中に再分散された。500μLの1mg/mL PFOおよび50μLの1mg/mL PS−PEG−COOH溶液が、Au NPを含有するTHF溶液に添加された。追加の量のTHFが添加され、最終体積を5mLに調節した。5−mL混合物は、次いで、強力な音波処理下、10mLのMilliQ水に急注入された。THFは、90℃で窒素ガスを溶液中に吹送することによって除去された。THFを含まないPdot溶液は、続いて、1〜2分間、音波処理され、0.2−μmセルロース膜フィルタを通して濾過された。
【0054】
(4.Au−MC−SC−Pdotの精製)。遠心分離管に、1.5mLの1.5Mスクロース水溶液が投入され、その後、前述のように調製された2mLのAu−MC−SC−Pdot溶液が、スクロース層の上部に置かれた。遠心分離管は、Beckman Optima
TM Max−E Ultracentrifuge機械内に入れられ、45分間、45000rpmでスピンされた。スクロース層の上方の溶液は、収集され、「純Pdot」として標識された。スクロース層の底部に形成されたペレットは、音波処理を用いて、2mLの水中に再分散され、「Au−NP−Pdot」として標識された。Au−NP−Pdotの流体力学直径が、動的光散乱(DLS)分光計(Malvern Zetasizer Nano ZS,Worcestershire,United Kingdom)を用いて測定された。蛍光量子収率が、150W CWキセノンランプからの励起光を伴う積分球(モデルC9920−02、Hamamatsu Photonics)を使用して収集された。Au−MC−SC−Pdotの吸収および蛍光スペクトルが、それぞれ、DU720走査分光光度計(Beckman Coulter,Inc.,CA)およびFluorolog−3蛍光分光光度計(HORIBA JobinYvon,NJ)を用いて測定された。
【0055】
(5.Au−NP−PFOPdotの暗視野および蛍光顕微鏡撮像)。カバースリップ上のAu−NP−Pdotを撮像するために、Au−NP−Pdotを含有する溶液の液滴が、(3−アミノプロピル)トリエトキシシラン(APTES)で表面修飾されたクリアなカバースリップ上に置かれた。細胞内側のAu−NP−Pdotを撮像するために、手技は、以下のように行われた。培養フラスコ中のHeLa細胞の集密が、適切なレベルに到達すると、細胞は、培養液で軽く漱ぎ、その後、5分間、37℃において、3mLのTrypsin−EDTA溶液(0.25% w/v Trypsin,0.53m M EDTA)でインキュベートすることによって培養フラスコから採取された。完全切り離し後、細胞は、漱がれ、遠心分離され、培養液中に再懸濁された。100マイクロリットルの懸濁された細胞溶液が、ペトリ皿内側の清潔なガラスカバースリップの上部に置かれた。カバースリップは、1時間、細胞インキュベータ内に放置され、細胞をガラス表面に付着させた。次いで、1.5mLの細胞培養液が、ペトリ皿に添加され、カバースリップを浸した。ペトリ皿は、1日、細胞インキュベータ内に放置された。そして、適切な量のAu−NP−Pdot溶液が、ペトリ皿に添加され、細胞は、約4時間、インキュベートされた。次いで、ガラスカバースリップが、15分間、パラアルデヒド溶液中に置かれ、顕微鏡実験が行われる前に、細胞を固定させた。Nikon TE2000倒立顕微鏡が、撮像のために使用された。顕微鏡が、暗視野モードで動作されたとき、開口数(NA)1.3オイルコンデンサおよび調節可能NA(0.7−1.3)を伴う100倍対物レンズが、搭載された。100Wハロゲンランプが、光源として使用された。顕微鏡が、エピ蛍光モードで動作されたとき、405−nmレーザが、励起光源として使用され、410−nmダイクロイックミラーおよび460/80nm帯域通過フィルタが、蛍光発光をPdotからフィルタリングするために使用された。暗視野および蛍光画像の両方が、prosilicaカメラ(GC1380およびGC660,Newburyport,MA)を用いて撮影された。
【0056】
Au−NP−Pdotが、暗視野および蛍光顕微鏡の両方に対して、二重−モダリティ撮像プローブとしての役割を果たし得るかどうかを試験するために、暗視野光学系を具備した蛍光顕微鏡を使用して、撮像された。個々のAu−NP−Pdotが、暗視野および蛍光モードの両方において、優れた信号対雑音比を伴って撮像された(
図4A)。2つの画像内の全てのAu−NP−Pdotの位置が、互いに関連付けられた。より複雑な環境を表す、哺乳類細胞内側のAu−NP−Pdot(
図4B)もまた、撮像された。暗視野モードでは、多くの細胞小器官もまた、光を強く散乱させ、これは、Au−NPからそれらを区別することを困難にした。蛍光モードに切り替えられると、明点の数は、減少した(
図4B)。蛍光画像中の各明点は、暗視野画像内の対応する明点を有していた。Au−NP−Pdotのみ、強い蛍光および散乱の両方の信号を発生させ得ることを考慮すると、暗視野画像中に現れた明点をAu−NP−Pdotに由来する6つの点(矢印によって指し示される)に定めることが可能であった。結合ポリマーは、通常暗視野顕微鏡内の照明光下では、Au−NPを腐食または損傷させないため、Au−NPの暗視野散乱光安定性は、変化しないはずである。Au−NPは、光退色しないため、暗視野モードにおける長期粒子追跡および撮像に好適であった。Pdotからの蛍光は、これらのPdotナノ複合体と光を散乱させた他のナノスケール細胞特徴を区別するのに役立った。
【0057】
(6.FeO
x−MC−SC−Pdotの調製)。有機溶媒中2ミリリットルの磁気NPが、適切な時間(10−nmおよび20−nm磁気NPの場合、1時間、40−nm磁気NPの場合、15分)、14,000rpmでスピンされた。ペレットは、音波処理下、PFBTおよびPS−PEG−COOHを含有するTHF中に再分散された。溶液は、続いて、Au−NPと同一の方法で処理された。磁気NPを含有するPdotは、スクロース勾配遠心分離によって、純Pdotから分離された。
【0058】
(7.FeO
x−MC−SC−Pdotへのストレプトアビジン結合)。結合反応において、80μLのポリエチレングリコール(5%w/v PEG、MW3350)および80μLのHEPESバッファ(1M、PH7.3)が、4mLのFe
3O
4−MC−SC−Pdot溶液に添加された。ストレプトアビジン(1mg/mL、30μL)が、次いで、溶液に添加され、十分に混合された。
【0059】
次に、80μLの新しく調製されたEDC溶液(MilliQ水中5mg/mL)が、溶液に添加された。前述の混合物は、室温で4時間、磁気撹拌された。結果として生じるPdot結合体は、(100KMW)スピンカラムを用いて集結され、Bio−Rad Econo−Pac 10DGカラム(Hercules,CA)を用いて精製された。精製後、適切な量のウシ血清アルブミン(BSA)が、最終濃度1%(w/w)に達するように添加された。
【0060】
(8.ストレプトアビジン結合FeO
x−MC−SC−Pdotを用いた実験のための細胞培地の調製)。ヒト子宮頸癌細胞株(HeLa)および乳癌細胞株(MCF−7)が、American Type Culture Collection(ATCC,Manassas,VA,USA)から注文された。細胞は、10%ウシ胎児血清(FBS)および1%Pen Strep(0.85%NaCl中5000単位/mLペニシリンG、50μg/mL硫酸ストレプトマイシン)が捕捉されたEagles Minimum Essential Mediumにおいて、5%CO
2中で37℃で培養された。細胞は、集密に達するまで、実験に先立って、事前培養された。細胞は、培養液で軽く漱ぎ、その後、5分間、37℃で3mLのTrypsin−EDTA溶液(0.25% w/v Trypsin、0.53mM EDTA)インキュベートすることによって、培養フラスコから採取された。完全切り離し後、細胞は、漱がれ、遠心分離され、培養液中に再懸濁された。その濃度は、血球計数器を使用して、顕微鏡によって決定された。
【0061】
(9.FeO
x−NP−PFBT Pdotを用いた細胞標識)。細胞表面マーカーをIgG結合体で標識するために、100−μL標識バッファ(1×PBS、2mM EDTA、1%BSA)中100万個のMCF−7細胞が、回転振盪機上において、30分間、暗闇の中、室温で、0.3μLの0。5mg/mLビオチン化一次抗ヒトCD326EpCAM抗体(eBioScience,San Diego,CA)でインキュベートされ、その後、標識バッファを使用した洗浄ステップが続いた。次いで、細胞は、振盪機上において、30分間、暗闇の中、室温で、BlockAid
TMブロッキングバッファ(Invitrogen,Eugene,OR)内のストレプトアビジン結合Pdotでインキュベートされ、その後、標識バッファを用いた2回の洗浄ステップが続いた。細胞は、後に、遠心分離によって得られた細胞ペレットを500μLの固定バッファ(1×PBS、2mM EDTA、1%BSA、1%パラホルムアルデヒド)中に溶解することによって固定された。
【0062】
(10.FeO
x−NP−PFBT Pdotで標識された細胞の撮像)。Nikon TE2000倒立顕微鏡が、撮像のために使用された。顕微鏡が、微分干渉(DIC)モードで動作されたとき、開口数(NA)1.3オイルコンデンサ、NA1.4を伴う100倍対物レンズ、2つの偏光子、およびNomarskiプリズムが、搭載された。100Wハロゲンランプが、光源として使用された。顕微鏡が、エピ蛍光モードで動作されたとき、488−nmレーザが、励起光源として使用され、505−nmダイクロイックミラーおよび550/60nm帯域通過フィルタが、Pdotからの蛍光発光をフィルタリングするために使用された。DICおよび蛍光画像は両方とも、prosilicaカメラ(GC1380およびGC660,Newburyport,MA)を用いて撮影された。
【0063】
(11.MC−SC−Pdotおよび磁性)。FeO
x−MC−SC−Pdotの場合、生体撮像およびサンプル調製の両方におけるその潜在的用途が、試験された。種々のサイズ(10nm、20nm、および40nm)の磁気NPを含有するFeO
x−MC−SC−Pdot(
図7参照)が、正常に調製された。これらのFeO
x−MC−SC−Pdotは、磁石に誘引され、それによって集結された。すなわち、ハイブリッドFeO
x−MC−SC−Pdotは、UV光によって励起されると、強い蛍光を発光した(
図5A)。FeO
x−MC−SC−Pdot調製の間、高分子量ポリマーPS−PEG−COOHは、ハイブリッドPdot中に混成された。FeOx−MC−SC−Pdotの表面上のカルボン酸基は、単純EDC反応を通して、ストレプトアビジンとの容易な生体結合を可能にした(
図5B)。MCF−7癌細胞株は、次いで、ストレプトアビジン結合FeO
x−MC−SC−Pdotと、血中循環腫瘍細胞を単離するために一般に使用される細胞表面タンパク質である、EpCAMに対するビオチン化一次抗体とで標識された。FeO
x−MC−SC−Pdot標識細胞は、永久磁石を使用して操作および濃縮され得る(
図5C)。
図5Cでは、標識された細胞の大部分は、磁石に正常に誘引されたことが分かる。より強い磁石および磁気NPが使用され得ることを前提として、細胞分離効率は、必要に応じて、さらに改良され得る。磁石によって集結された細胞がFeO
x−MC−SC−Pdotを有していることをさらに確認するために、単離された細胞が、蛍光顕微鏡によって撮像され、細胞表面上のFeO
x−MC−SC−Pdotの存在を確認した(
図5C)。このように、FeO
x−MC−SC−Pdotは、Pdotからの強い蛍光信号を利用することによって、免疫磁気単離ならびに細胞撮像および検出のためのFeO
x−NPの使用と同様に、細胞濃縮および単離のために使用されることができる。
【0064】
当業者によって理解されるであろうように、本明細書に開示される各実施形態は、その特定の記載された要素、ステップ、成分、または構成要素を備える、それから本質的になる、またはそれから成ることができる。本明細書で使用される場合、移行用語「comprise(〜を備える)」または「comprises(〜を備える)」は、限定ではないが、主要量においてであっても、規定されていない要素、ステップ、成分、または構成要素を含み、その含有を可能にすることを意味する。移行句「consisting of(〜から成る)」は、規定されていない任意の要素、ステップ、成分、または構成要素を除外する。移行句「consisting essentially of(〜から本質的に成る)」は、実施形態の範囲を規定された要素、ステップ、成分、または構成要素、および実施形態に重大な影響を及ぼさないものに限定する。本明細書で使用される場合、重大な影響は、細胞撮像または操作におけるMC−SC−Pdotの機能的使用を無効にする、または生産プロセスにおいて、細胞撮像または操作におけるために有意に好適ではないMC−SC−Pdotを生産するであろう。本明細書で使用される場合、「有意に好適ではない」とは、細胞撮像または操作におけるPdotの性能の測定可能品質における統計的に有意な差異を意味する。
【0065】
別様に示されない限り、成分、分子量等の特性、明細書および請求項において使用される反応条件等の数量を表す全ての数は、全事例において、用語「約」によって修飾されると理解されたい。故に、別様に示されない限り、明細書および添付の請求項に記載の数値パラメータは、本発明によって得られることが求められる所望の特性に応じて変動し得る、近似値である。最低限、かつ請求項の範囲と同等の原理の用途を限定する試みとしてではなく、各数値パラメータは、報告された有効数字の数に照らして、かつ通常の丸め技法を適用することによって、解釈されるべきである。さらなる明確化が要求されるとき、用語「約」は、記載された数値値または範囲と併せて使用されるとき、当業者によってそれに合理的に与えられた意味を有する、すなわち、記載値の±20%、記載値の±19%、記載値の±18%、記載値の±17%、記載値の±16%、記載値の±15%、記載値の±14%、記載値の±13%、記載値の±12%、記載値の±11%、記載値の±10%、記載値の±9%、記載値の±8%、記載値の±7%、記載値の±6%、記載値の±5%、記載値の±4%、記載値の±3%、記載値の±2%、または記載値の±1%の範囲内まで、記載値または範囲より幾分多いまたは幾分少ないことを示す。
【0066】
本発明の広い範囲を説明する数値範囲およびパラメータは近似値であるにもかかわらず、特定の実施例において説明される数値は、できる限り正確に報告されている。しかしながら、任意の数値は、それぞれの試験測定において得られた標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を、本質的に含む。
【0067】
本発明を説明する文脈において(特に、以下の特許請求の範囲の文脈において)使用される、不定冠詞と定冠詞(「a」、「an」、「the」という用語)、および同様の指示物は、本明細書において他に指示がないか、文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数および複数の両方を含むと解釈されるべきである。本明細書における数値範囲の列挙は、単に、その範囲内に入るそれぞれの単独の値を、個別に指すための簡易法としての役割を果たすことが意図されている。本明細書において他に指示されていない限り、個別の値のそれぞれは、本明細書において個別に列挙されているものとして、本明細書に組み込まれる。本明細書に記載された全ての方法は、本明細書において他に指示されないか、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、任意の好適な順序で実行され得る。本明細書において提供される任意の、かつ全ての実施例、または例示的な言葉(例えば、「等」)の使用は、単に、本発明をより解りやすくすることを意図しており、特許請求されるもの以外に、本発明の範囲に制限を加えるものではない。本明細書における用語は、本発明の実践に必須な任意の非特許請求要素を指していると解釈されるべきではない。
【0068】
本明細書において開示された発明の代替的な要素または実施形態のグループ分けは、制限として解釈されるべきではない。各グループ構成要素は、個別に、あるいはグループの他の構成要素または本明細書に見られる他の要素との任意の組合せで、参照され、また請求され得る。グループの1つ以上の構成要素が、便宜上および/または特許性の理由から、グループに含まれ、またはグループから削除され得ることが予期される。任意のそのような包含または削除が生じるときには、本明細書は、修正されたグループを含むものとみなされ、従って、付属の特許請求の範囲において使用される全てのマーカッシュグループの書面による記載を満たす。
【0069】
本発明を実行するうえで発明者らに知られる最良の形態を含む、本発明の特定の実施形態が、本明細書において説明されている。言うまでもなく、前述の説明を読めば、これらの記載された実施形態の変形形態が、当業者には明らかとなる。本発明者は、当業者がそのような変形例を適切に利用することを期待し、本発明者らは、本明細書に具体的に記載されたものとは別の方法で、本発明が実施されることを意図する。したがって、本発明は、適用法令により許される範囲で、本明細書に付属する特許請求の範囲において列挙される主題のあらゆる修正形態および均等物を含む。また、その全ての可能な変形例における前述の要素の任意の組み合わせは、本明細書において他に指示されていないか、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、本発明によって包含される。
【0070】
なお、多数の特許および刊行物が、本明細書を通して参照された。前述の参考文献および刊行物のそれぞれは、その全体が個別に、参考として本明細書に組み込まれる。
【0071】
最後に、本明細書において開示された本発明の実施形態は、本発明の原理を例示するものであることが理解されるべきである。利用され得る他の修正形態は、本発明の範囲内である。したがって、制限としてではなく一例として、本発明の代替的な構成が、本明細書の教示に従って利用され得る。したがって、本発明は、示され、記載されたように厳密には、それに限定されない。
【0072】
本明細書に記載される特定のものは、一例として、また、本発明の好ましい実施形態を単に例示的に述べることを目的とするものであり、本発明の種々の実施形態の原理および概念的側面の最も有用かつ容易に理解される記載であると考えられるものを示すために提示される。これに関しては、本発明の基本的理解に必要なもの以上の本発明の構造的詳細を示そうとするものではなく、この記載を図面および/または実施例とともに理解すれば、本発明のいくつかの形態が実際にどのように具体化することができるかが当業者に明らかとなる。
【0073】
本開示において使用される定義および説明は、以下の実施例において明らかかつ明確に修正されていない限り、またはその意味の適用がいずれかの構成を無意味または本質的に無意味にする場合でない限り、今後のいずれの構成にも効力を及ぼすことを意味し、そのように意図される。この用語の構成が、それを無意味または本質的に無意味にする場合には、その定義は、Webster’s Dictionary第3版、または当業者に公知の辞書、例えば、Oxford Dictionary of Biochemistry and Molecular Biology(AnthonySmith編,Oxford University Press,Oxford,2004)から採用すべきである。