特許第6289484号(P6289484)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コミサリア ア レネルジ アトミク エ オウ エネルジ アルタナティヴの特許一覧 ▶ アンスティテュー ポリテクニック ドゥ グルノーブルの特許一覧 ▶ サントル ナショナル ドゥ ラ ルシェルシュ シアンティフィクの特許一覧

<>
  • 特許6289484-発電機 図000002
  • 特許6289484-発電機 図000003
  • 特許6289484-発電機 図000004
  • 特許6289484-発電機 図000005
  • 特許6289484-発電機 図000006
  • 特許6289484-発電機 図000007
  • 特許6289484-発電機 図000008
  • 特許6289484-発電機 図000009
  • 特許6289484-発電機 図000010
  • 特許6289484-発電機 図000011
  • 特許6289484-発電機 図000012
  • 特許6289484-発電機 図000013
  • 特許6289484-発電機 図000014
  • 特許6289484-発電機 図000015
  • 特許6289484-発電機 図000016
  • 特許6289484-発電機 図000017
  • 特許6289484-発電機 図000018
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6289484
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】発電機
(51)【国際特許分類】
   H02N 2/18 20060101AFI20180226BHJP
   H01L 41/12 20060101ALI20180226BHJP
   H01L 41/113 20060101ALI20180226BHJP
   H01L 41/04 20060101ALI20180226BHJP
【FI】
   H02N2/18
   H01L41/12
   H01L41/113
   H01L41/04
【請求項の数】14
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2015-538370(P2015-538370)
(86)(22)【出願日】2013年10月15日
(65)【公表番号】特表2016-502386(P2016-502386A)
(43)【公表日】2016年1月21日
(86)【国際出願番号】EP2013071479
(87)【国際公開番号】WO2014063951
(87)【国際公開日】20140501
【審査請求日】2016年9月23日
(31)【優先権主張番号】1260047
(32)【優先日】2012年10月22日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】510132347
【氏名又は名称】コミサリア ア レネルジ アトミク エ オウ エネルジ アルタナティヴ
(73)【特許権者】
【識別番号】515111048
【氏名又は名称】アンスティテュー ポリテクニック ドゥ グルノーブル
(73)【特許権者】
【識別番号】502205846
【氏名又は名称】サントル ナショナル ドゥ ラ ルシェルシュ シアンティフィク
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】ヴィアラ ベルナール
(72)【発明者】
【氏名】レヴェデヴ ゴル
(72)【発明者】
【氏名】デラマーレ ジェローム
(72)【発明者】
【氏名】ガルブイオ ローリック
(72)【発明者】
【氏名】ラフォン トーマス
(72)【発明者】
【氏名】キュガ オルフェ
【審査官】 小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−095163(JP,A)
【文献】 特表2005−500790(JP,A)
【文献】 米国特許第06522048(US,B1)
【文献】 特開2003−161638(JP,A)
【文献】 特開2005−156182(JP,A)
【文献】 特表2009−524935(JP,A)
【文献】 特開平05−344767(JP,A)
【文献】 実開昭58−040853(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0088059(US,A1)
【文献】 特開平08−009614(JP,A)
【文献】 特開昭49−063133(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02N 2/18
H01L 41/04
H01L 41/113
H01L 41/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電機は以下を備える。
‐第1、第2の接続端子(22、24、188)を備える第1のコンバータ(20、186)であって、採取されるエネルギーの変化を、前記第2の端子に対する前記第1の接続端子上の対応する過剰電荷に変換するのに適した第1のコンバータ、
‐前記第1の接続端子上の過剰電荷を回収する回収回路(30、114、170、174)。
当該回路は、以下を備える。
・回収した電荷を伝送する出力端子(44、46)、
・前記第1の接続端子に接続された制御可能な第1のスイッチ(48、122)。
この第1のスイッチは、前記第1の接続端子から電荷の放電を妨げる開状態と、前記第1の接続端子から電荷を放電させる閉状態とを切り替えるのに適しており、
前記第1のスイッチの前記閉状態は、電気的導通を確立するように電気接点を他の電気接点に直接接触させることにより得られ、開状態は、これら2つの電気接点の機械的な分離、及び、電気的絶縁媒体のこれら2つの電気接点間への介在によって得られる。
‐前記第1の接続端子上に存在する過剰電荷が第1の所定の閾値を超えたときに、当該第1のスイッチを閉状態に切り替える制御を行うよう設計された前記第1スイッチの制御装置(34、184)。
以下を特徴とする。
前記第1のスイッチ(48、122)は磁気スイッチであり、
前記磁気スイッチは、磁気材料からなり、当該磁気スイッチ中の磁場が作動構成であるときに開状態から閉状態へと前記電気接点を変位させるのに適し、
前記磁気スイッチは、当該磁気スイッチ中の磁場の作動構成の外側ではその電気接点を閉状態に維持することが不可能である、
少なくとも一つのブレード(84、86)と、
前記制御装置(34、184)は可変磁場源からなり、前記第1のスイッチは、この発生源に対して、前記第1の接続端子上に存在する過剰電荷が前記第1の所定の閾値を超えたときのみに、この第1のスイッチに生成する可変磁場が前記第1のスイッチの前記動作構造に近づくように配置される。
【請求項2】
前記第1のコンバータ(20)は、磁場の変化を、前記第2の端子に対する前記第1の接続端子上の対応する過剰電荷へと変換するのに適しており、
前記第1のコンバータは、前記可変磁場源の磁力線内に配置され、これらの磁場の変化を対応する前記第1接続端子上の過剰電荷へと変換し、
採取されるエネルギーの発生源は前記可変磁場源である、
請求項1に記載の発電機。
【請求項3】
‐前記可変磁場源(4)は、第1と第2の状態の間で、時間とともに、磁気モーメントが変化する可変磁場を生成するのに適しており、
‐前記第1のコンバータ(20)は、前記可変磁場を、
当該磁気モーメントの前記第1の状態の前記第1の所定の閾値を超える前記第1の接続端子上の過剰電荷へと、
当該磁気モーメントの前記第2の状態の第2の所定の閾値を超える前記第2の接続端子上の過剰電荷へと、
変換するのに適しており、
‐前記回収回路(30)は、前記第2の接続端子に接続された第2の制御可能な磁気スイッチ(52、126)を備え、
当該第2のスイッチは、前記第1の接続端子から電荷の放電を妨げる開状態と、前記第2の接続端子から電荷を放電させる閉状態とを切り替えるのに適しており、
前記第2のスイッチは、前記第2の接続端子上に存在する過剰電荷が前記第2の所定の閾値を超えたときのみに、この第2のスイッチに生成する前記可変磁場が前記第2のスイッチの作動構造に近づくように、この発生源に対して配置され、
前記第1及び第2のスイッチの作動構造は異なる、
請求項2に記載の発電機。
【請求項4】
前記第1のコンバータ(20)は、
‐電気機械トランスデューサに与えられる機械的応力を、電気的な前記回収回路によって回収される過剰電荷へと直接変換するのに適した電気機械トランスデューサ(72、74)と、
前記電気機械トランスデューサに自由度なしで固定された磁気トランスデューサ(70)であって、可変磁場の変化を前記電気機械トランスデューサに与えられる機械的応力に変換するのに適した磁歪材料からなる磁気トランスデューサと、
を備える、
請求項2又は3に記載の発電機。
【請求項5】
前記可変磁場源は、以下を備える、さらなる第2のコンバータを備える。
・少なくとも一つの永久磁石(210)、
・回収されるエネルギーの変化をトランスデューサの機械的変形へと変換するのに適したトランスデューサ(200)、
・前記第1の磁石に対する前記永久磁石の相対的位置を変化させるのに適した、前記永久磁石と当該トランスデューサとの間の機械的結合部、
‐前記第1のスイッチにおいて、前記永久磁石によって生成される磁場の第1の状態は、当該第1のスイッチの作動構造に対応し、
‐前記第1のスイッチにおいて、前記永久磁石によって生成される磁場の第2の状態は、前記第1のスイッチの作動構造に対応する、
請求項1に記載の発電機。
【請求項6】
‐前記第1のコンバータ(186)は、採取されるエネルギーを、
前記永久磁石が前記第1の状態にあるときに前記第1の所定の閾値を超え、前記第1の接続端子上の過剰電荷へと、
前記永久磁石が前記第2の状態にあるときに第2の所定の閾値を超え、前記第2の接続端子上の過剰電荷へと、
変換するのに適し、
‐前記回収回路(30)は、前記第2の接続端子に接続された第2の制御可能な磁気スイッチ(52、126)を備え、
当該第2のスイッチは、
前記第2の接続端子から電荷の放電を妨げる開状態と、前記第2の接続端子から電荷を放電させる閉状態とを切り替えるのに適しており、
前記第2のスイッチは、前記永久磁石に対して以下のように配置される。
・前記第1の状態において、前記第2のスイッチ中の、前記永久磁石によって生成された磁場は、当該第2のスイッチの作動構造に対応せず、
・前記第2の状態において、前記第2のスイッチ中の、前記永久磁石によって生成された磁場は、当該第2のスイッチの作動構造に対応し、
前記第1及び第2のスイッチの作動構造は、異なる、
請求項5に記載の発電機。
【請求項7】
前記第1のコンバータは、 ‐この電気機械トランスデューサに与えられる機械的応力を電気的な前記回収回路によって回収される過剰電荷の生成に変換するのに適した第1の電気機械トランスデューサ(72、74、196)と、
前記第1の電気機械トランスデューサに自由度なしで固定された第2のトランスデューサ(70、200)であって、採取されるエネルギーの変化を前記電気機械トランスデューサに与えられる機械的応力へと変換するのに適している第2のトランスデューサと、
を備える、
請求項5又は6に記載の発電機。
【請求項8】
前記第2のトランスデューサは、温度変化を当該第2のトランスデューサの機械的な変形へと変換するのに適した熱機械トランスデューサ(200)である、
請求項7に記載の発電機。
【請求項9】
前記熱機械トランスデューサ(200)は、形状記憶材料からなる、
請求項8に記載の発電機。
【請求項10】
前記第1のコンバータ(186)の第2のトランスデューサと、前記制御装置の前記トランスデューサとは、同一のトランスデューサ(200)で形成されている、
請求項5又は7に記載の発電機。
【請求項11】
前記第1のスイッチ(48)は、交互に、絶縁し、前記第1の接続端子を前記出力端子に電気的に接続するために、前記第1の接続端子と前記出力端子との間に直列に接続されており、
前記第2のスイッチ(52)は、交互に、絶縁し、前記第2の接続端子を前記出力端子に電気的に接続するために、前記第2の接続端子と前記出力端子との間に直列に接続されており、
請求項3又は6に記載の発電機。
【請求項12】
‐キャパシタである、前記第1のコンバータ(20、186)は、前記接続端子のいずれかがいずれの電気回路からも電気的に絶縁されている場合、少なくとも1msの間、この端子に予めもたらされた過剰電荷の少なくとも50%を保持するのに適しており、
‐前記回収回路は、以下を備える。
・前記第1及び第2の接続端子間に互いに並列に接続された第1及び第2のブランチ(116、118)であって、前記第1のブランチは、第1のスイッチ(122)を備え、前記第2のブランチは前記第2のスイッチ(126)、
・一方の前記接続端子と、前記出力端子との間に直列に接続された制御可能な解放スイッチ(134)。
このスイッチは、以下の間で切り替えが可能である。
‐前記出力端子から当該接続端子を電気的に絶縁する非導通状態、
‐前記出力端子に当該接続端子を電気的に接続する導通状態。
‐前記制御装置(34)は、前記接続端子上に存在する過剰電荷が、前記第1及び第2の所定の閾値よりも完全に大きい第3の所定の閾値を超えたときのみに、該導通状態へと
前記解放スイッチを切替える制御を行うのに適している。
請求項3又は6に記載の発電機。
【請求項13】
‐前記回収回路は、前記第1のスイッチが閉状態の時に、前記第1のコンバータによって生成された過剰電荷が流れるように、前記第1のスイッチに直列に接続されたコイル(132)を備え、当該コイルは、前記過剰電荷が流れた時に磁場を生成し、
‐前記解放スイッチ(134)は、前記コイルによって生成された磁場が、当該スイッチにおいて、過剰電荷が前記第3の所定の閾値を超えたときのみに、前記解放スイッチの作動構造に対応するように、前記コイルに対して配置された磁気スイッチである、
請求項12に記載の発電機。
【請求項14】
前記第1のコンバータの前記電気機械トランスデューサ(72、74、196)は、圧電材料である、
請求項4又は7に記載の発電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、無線スタンドアロンセンサのアレイ等の電源内蔵システムは、インサイチュの発電機を必要とする。このようなシステムは、多くの場合複雑であり、時には手の届かない場所に設置される多数の構成要素を含む。このような状況では、システムのメンテナンスは困難であり、例えば、放電したバッテリの交換が必要となるとコストがかる。このため、保守コストを削減し、関連する廃棄物を排除するために、システムの寿命にわたってバッテリを交換しないことが望ましい。
【0003】
これに関連して、エネルギーハーベスタを備える発電機が提案されている。エネルギーハーベスティングは、光、温度変化、振動等の環境中で自由に利用可能なエネルギー源の使用に基づいている。この変換のために、エネルギーコンバータが用いられる。
【0004】
エネルギーコンバータの出力では、多くのエネルギーを浪費することなく、この発電機によって駆動される負荷によって容易にフォーマットされる高い有用性の電圧でエネルギーを採取することが望ましい。
【0005】
そこで、国際公開第2007/063194号では、コンバータによって生成されたエネルギーを、このエネルギーが十分な閾値に達したときのみに駆動される負荷へ転送することを可能にする回収回路と、この回収回路の制御装置を用いることが提案されている。
【0006】
既知の発電機は、以下を含む。
‐第1、第2の接続端子を備える第1のコンバータであって、採取されるエネルギーの変化を、前記第2の端子に対する前記第1の接続端子上の対応する過剰電荷へ変換するのに適した第1コンバータ、
‐前記第1接続端子上の前記過剰電荷を回収する回収回路。
・回収した電荷が伝送される出力端子、
・前記第1の接続端子に接続された第1の制御可能な機械スイッチ、
この第1のスイッチは、前記第1の接続端子から電荷の放電を妨げる開状態と、前記第1の接続端子から電荷を放電させる閉状態とを切り替えるのに適しており、
前記機械スイッチの前記閉状態は、電気的導通を確立するように電気接点を他の電気接点に直接接触させることにより得られ、前記開状態は、これら2つの電気接点の機械的な分離、及び、電気的絶縁媒体のこれら2つの電気接点間への介在によって得られる。
‐前記第1の接続端子上に存在する過剰電荷が第1の所定の閾値を超えたときに、当該スイッチを閉状態に切り替える制御を行うよう設計された前記第1スイッチの制御装置。
【0007】
国際公開第2007/063194号に記載されているように、回収回路の固体スイッチは、典型的には、トランジスタ又はサイリスタである。エネルギーハーベスタのスタンドアロン動作を可能とするように、第1のコンバータによって生成された電荷から、すなわち、採取されたエネルギーのみを用いることによって、これらのスイッチに電力を供給することが知られている。
【0008】
先行技術は、また、米国特許第6522048号明細書、欧州特許出願公開1426995号明細書、Dimitry Zakharovら著の論文「Thermal energy conversion by coupled shape memory and piezoelectric effects」(Journal of Micromechanics & Microengineering, volume 22, No. 9, 2012/8/24, page 99005)から知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2007/063194号
【特許文献2】米国特許第6522048号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開1426995号明細書
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】「Thermal energy conversion by coupled shape memory and piezoelectric effects」、Dimitry Zakharovら著、(Journal of Micromechanics & Microengineering, volume 22, No. 9, 2012/8/24, page 99005)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、このようなエネルギー発生機の効率を改善することを目的とする。ここで、効率は、電力が供給される負荷に実際に伝達されるエネルギーの量と、第1のコンバータによって生成されるエネルギーの量との比として定義される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
従って、その主題は、請求項1に記載のエネルギー発生機である。
【0013】
出願人は、採取できるエネルギーの量が少なく、採取するのに要する時間が長い場合、効率の低下は、一つは回収回路中の固体スイッチの使用に起因することを見出した。実際、トランジスタ及びサイリスタ等は、閉状態と開状態とを切り替えるときに電気を消費する。回収回路のスイッチによって消費される電力は、発電機によって電力が供給される負荷に伝達されない。また、開状態であっても、トランジスタやサイリスタでは常にリーク電流が存在する。このリーク電流が、第1のコンバータが計画された切替えの瞬間以外での放電を可能にする。リーク電流による第1のコンバータの放電の問題は、採取されるエネルギーの変化が遅く、スイッチのスイッチング周波数が低いときにますます大きくなる。このように、既知のエネルギーハーベスタ内のトランジスタ又はサイリスタの存在は、その効率を低下させる。
【0014】
上記発電機では、制御可能なスイッチは機械スイッチであり、既知の回収回路内のトランジスタやサイリスタのような固体スイッチではない。従って、このスイッチの開、閉状態の切替えは、第1のコンバータによって生成される電気エネルギーを消費しない。さらに、機械スイッチではリーク電流が存在しない。このため、回収回路は、採取されるエネルギーの変化が非常に遅い場合であっても、高い有用電圧で電荷を採取するために用いることができる。
【0015】
最終的に、用いられる機械スイッチが磁気スイッチであるという事実は、このスイッチと、発電機の自立性を高めるその制御回路とによって消費される電気エネルギーの量を制限することを可能にする。
【0016】
この発電機の実施形態は、従属項の特徴の一以上を含みうる。
【0017】
発電機のこれらの実施形態は、以下の利点を提供する。
‐第1のスイッチを制御するために採取されるエネルギー源によって直接生成された可変磁場を用いることで、第1のコンバータによって生成された電荷を消費しないスタンドアロン制御措置を製造し、発電機の効率を向上させることを可能にする。
‐可変磁場源の磁場中に異なるように磁気スイッチを配置することにより、生成された電荷を消費することなく、生成された電荷の量に同期した異なる時点で、スイッチの閉鎖を制御することができる。
‐第1の電気機械トランスデューサと第2の磁気トランスデューサを備える第1のコンバータを用いることで、磁場の非常に遅い変化からでも電気を生成することができ、第1のコンバータのバルクを制限することを可能にする。
‐採取されるエネルギーの変化を可変磁場に変換する第2のコンバータを用いることで、可変磁場以外から採取されるエネルギー源から電気を生成することが可能となる。
‐可変磁場中に異なるように磁気スイッチを配置することにより、生成された電荷を消費することなく、生成された過剰電荷に同期した異なる時点で、これらのスイッチの閉鎖を制御することが可能となる。
−第1の電気機械トランスデューサを備える第1のコンバータと、この第1のトランスデューサに応力を与えるのに適した第2のトランスデューサを用いることにより、採取されたエネルギーの非常に遅い変化からでも電気を生成することができ、第1のコンバータのバルクを制限することが可能となる。
‐第1のコンバータの第2トランスデューサとして熱機械トランスデューサを用いることで、温度変化から電気エネルギーを採取することができ、温度勾配を与えるラジエータに頼ることを回避することができる。
‐形状記憶材料を用いることにより、電気機械トランスデューサにより大きな応力を与えることができる。
‐第1のコンバータと制御装置とに同じ熱機械トランスデューサを用いることにより、エネルギーハーベスタのバルクを制限することが可能となる。
‐出力端子と第1及び第2の接続端子との間にそれぞれ接続された第1及び第2の磁気スイッチの使用は、用いられるダイオードの数を制限し、回収回路の消費を制限することによって、第1のコンバータの第1及び第2の接続端子間の電位差を修正することを可能とする。
‐一方の接続端子から他方へ交互に、コンバータからの過剰電荷を伝送する第1及び第2の磁気スイッチの使用は、コンバータの接続端子上の過剰電荷を増幅し、1つの操作で、電力が供給される負荷へより多くの電荷を伝送することを可能にする。
‐第1のコンバータによって生成された電流が通過するコイル及びこのコイルの磁場中に配置される磁気スイッチを用いることにより、第1のコイルによって生成された電荷をあまり消費することなく、第3の所定の閾値を超えて生成された電流に応じて、この磁気スイッチの閉鎖を制御することができる。
‐第1のコンバータの第1のトランスデューサとして圧電材料を用いることにより、単純に応力変化を電気に変換することが可能となる。
【0018】
本発明は、図面を参照して、単に非限定的な例として与えられる以下の説明を読めば理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】発電機の一般的な図である。
図2図1の発電機の第1の実施の形態の模式図である。
図3図2の発電機に用いられるエネルギーコンバータの模式図である。
図4図2の発電機に用いられる磁気スイッチの模式図である。
図5図2の発電機を用いた発電方法のフロー図である。
図6図2の発電機の2つの異なる動作状態の模式図である。
図7図2の発電機の2つの異なる動作状態の模式図である。
図8図1の発電機の第2の実施の形態の模式図である。
図9図8の発電機に用いられる磁気スイッチの模式図である。
図10図8の発電機を用いた発電方法のフロー図である。
図11図8の発電機の3つの異なる動作状態の模式図である。
図12図8の発電機の3つの異なる動作状態の模式図である。
図13図8の発電機の3つの異なる動作状態の模式図である。
図14図2又は8の発電機において好ましく用いられる回収回路の2つの他の実施の形態の模式図である。
図15図2又は8の発電機において好ましく用いられる回収回路の2つの他の実施の形態の模式図である。
図16図1の発電機の第3の実施の形態の模式図である。
図17図16の発電機で用いられるエネルギーコンバータの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
これらの図面において、同じ参照符号は同じ構成要素を示すのに用いられる。
【0021】
以下、この明細書において当業者に公知の特徴及び機能は詳細には説明しない。
【0022】
図1は、電気負荷に電力を供給する発電機2を示す。この具体例では、電気負荷は、電気エネルギーを蓄積可能な負荷である。例えば、それはキャパシタ3である。
【0023】
発電機2は、採取されるエネルギーの発生源4及びこのエネルギーのハーベスタ6を備える。ハーベスタ6は、採取されたエネルギーからキャパシタ3に電力を供給する。
【0024】
発生源4は、ハーベスタ6の環境において自由に利用可能なエネルギー源である。
【0025】
ハーベスタ6は、コンバータ20、回収回路30、回収回路30の制御装置34を備える。
【0026】
コンバータ20は、採取されるエネルギーの変化を、他の接続端子22又は24に対する一の接続端子22又は24上の、対応する過剰電荷に変換する。
【0027】
回収回路30は、端子22又は24の過剰電荷を回収し、回収した電荷をキャパシタ3へ伝送する。このため、これは、一以上の制御可能な機械スイッチIcに接続されている。
【0028】
装置34は、コンバータ20によって生成された過剰電荷を、この過剰が十分な閾値に達した時のみにキャパシタ3へ伝送するように機械スイッチIcを制御する。
【0029】
以下の図面は、採取されるエネルギーの異なるタイプに適したエネルギーハーベスタの異なる可能な実施の形態を詳細に説明する。
【0030】
図2は、発生源4が可変磁場源である場合の、発電機2の第1の実施の形態を詳細に示す。それぞれX、Y方向に平行である可変磁場の成分B、Bの振幅は、時間とともに変化する。ここで、X、Y方向は、互いに直交し、水平である。この具体的な実施の形態では、成分B、Bの変化は、時間的に所定の値だけ他方に対して位相シフトしている。この例では、この位相シフトは90°であり、成分B、Bは位相対立しているといわれる。
【0031】
例えば、発生源4は、その磁気モーメントが水平な永久磁石8と、Z方向に平行な垂直軸に対して、磁石8を回転駆動するモータ10とを備える。Z方向は、X、Y方向に垂直である。
【0032】
ここで、コンバータ20は、成分Bの振幅の絶対値に比例する端子22上の過剰電荷を生成する。また、それは、成分Bの振幅の絶対値に比例する端子24上の過剰電荷を生成する。成分B、Bの振幅は位相対立であるため、端子22上で過剰電荷が最大であるとき端子24上では最少であり、逆もまた同様である。
【0033】
好ましくは、コンバータ20は、発生源4に近接して配置されている。例えば、コンバータ20と発生源4間の最少の距離は10cm未満であり、好ましくは1cm未満である。
【0034】
コンバータ20は、また、これらの端子がそれを放電させうる他の外部電気回路から絶縁されているときに、端子22、24上に生成された電荷を蓄積するのに適している。従って、コンバータ20はキャパシタとしても動作する。例えば、外部電気回路への接続がない場合、端子22又は24上に存在する過剰電荷は、1ms以上、好ましくは1s、1min、又は1h以上で50%未満だけしか変化しない。
【0035】
コンバータ20は、図3を参照してより詳細に説明される。
【0036】
回収回路30は、それぞれ端子22、24に直接接続される2つの入力端子40、42を備える。また、回収回路30は、キャパシタ3の端子49A、49Bにそれぞれ直接接続される2つの出力端子44、46を備える。
【0037】
ここで、他のスイッチ、他のダイオード又はインダクタンス等の他の電気部品を介さず、これらの要素A、Bを接続する電気的結合が存在するときに、要素A、Bは「直接接続」であると言われる。さらに、この明細書において、具体的に記載した場合を除き、「接続」は、「電気的接続」を意味する。
【0038】
回収回路30は、端子22、24上に蓄積された電荷を出力端子44に伝送するように設計されている。この目的を達成するために、これは以下を備える。
‐一方側が端子40に、他方側がダイオード50のアノードに直接接続された機械スイッチ48、
‐一方側が端子42に、他方側がダイオード50のアノードに直接接続された機械スイッチ52、
‐一方側が端子40に、他方側が端子46に直接接続された機械スイッチ54、
‐一方側が端子42に、他方側が端子46に直接接続された機械スイッチ56。
【0039】
ダイオード50のカソードは、インダクタンス58を介して端子44に電気的に接続されている。
【0040】
回収回路30は、ダイオード60をさらに備える。そのカソードは、ダイオード50のカソードとインダクタンス58との間に直接接続されている。そのアノードは、端子46に直接接続されている。スイッチ48、52、54、56は、導電する閉状態と導電しない開状態とを切り替えるのに適している。これらのスイッチの閉、開状態の切替えは、制御装置34により制御される。これらのスイッチの実施の形態は、図4を参照してより詳細に説明される。
【0041】
制御装置34は、回収回路30のスイッチを以下の状態に交互に切替える制御を行う。
図6に示された、端子22上に蓄積された過剰電荷が端子44に伝送される放電の第1の状態、
図7に示された、端子24上に蓄積された過剰電荷が端子44に伝送される放電の第2の状態、
‐端子22、24が他の電気回路から電気的に絶縁され、これらの端子間に電荷が蓄積される、図2に示されたレスト(rest)状態。
【0042】
詳細には、制御装置34は以下のように設計されている。
‐端子22上に蓄積された過剰電荷が第1の所定の閾値Sを超えたときにのみ、放電の第1の状態に切り替える制御を行い、
‐端子24上に蓄積された過剰電荷が第2の所定の閾値Sを超えたときにのみ、放電の第2の状態に切り替える制御を行い、
‐端子22上に蓄積された過剰電荷が閾値S未満であり、端子24上に蓄積された過剰電荷が第2の閾値S未満であるならば、レスト状態に切り替える制御を行う。
【0043】
この目的を達成するために、ここでは、制御装置34は採取されるエネルギーの発生源4のみからなる。換言すると、この具体的な実施の形態では、採取されるエネルギーの発生源4及び制御装置34は、単純に同一の構成要素である。
【0044】
図3は、コンバータ20をより詳細に示す。このコンバータ20は、採取されるエネルギーの非常に遅い変化を電気に変換することが可能である。「遅い変化」とは、1Hz又は100Hzより低い基本周波数の変化を示す。この目的を達成するために、コンバータ20は、所定の方向の可変磁場の振幅変化を、交互に端子22上と端子24上の過剰電荷の発生に変換する。この変換は、端子22、24間の電圧が同時に、所定の方向の可変磁場の振幅につれて変化するように、ほとんど瞬間的に行われる。
【0045】
この実施の形態において、コンバータ20は、電気機械トランスデューサに接続された磁気トランスデューサを備える。磁気トランスデューサは、磁歪材料からなる層70である。ここで、電気機械トランスデューサは、圧電材料からなる上層72と下層74を備える。層72、74は、それぞれ層70の上下に自由度なく直接固定されている。ここで、層70、72、74は、X方向に平行な長手方向に沿って延在している。
【0046】
層70は、磁歪材料で製造されており、その磁歪係数λの絶対値は10ppm(parts per million)よりも大きく、好ましくは、100又は1000ppmよりも大きい。係数λは、次の関係により規定される。
λ=ΔL/L
‐ΔLは、所定の方向の磁歪材料の伸度
‐Lは、外部磁場がない場合のこの方向におけるこの材料の長さ
【0047】
ここで、係数λは、正数であるとする。例えば、磁歪材料は、Terfenol-D又はFeSiBである。
【0048】
圧電層は、層70の両側に直接接着されている。例えば、これらの圧電層の結合係数kは、5%又は10%よりも大きい。この結合係数は、規格ANSI/IEEE 176-1987 「ANSI/IEEE standard on piezoelectricity」、又は、対応規格EN50324に規定されている。例えば、用いられる圧電材料は、PZT(PbZtxTi1-xO3)等である。
【0049】
コンバータ20の詳細については、以下の論文A1を参照できる。
T. Lafont, J. Delamare, G. A. Lebedev, D. I. Zakharov, B. Viala, O. Cugat, L. Gimeno, N. Galopin, L. Garbuio and O. Geoffroy著、「Magnetostrictive-piezoelectric composite structures for energy harvesting」、(Journal of micromechanics and microengineering No. 22)、2012年
【0050】
層70は、端子22、24間の数十ボルトの電圧に対応して生成される圧電層72、74上の数十MPaの応力を生成することを可能にする。典型的には、端子22、24間に生成される最大電圧は、200Vdcを超える。磁石8の1/4回転に応じて、このようなコンバータによって生成されるエネルギーは、50μJよりも大きく、好ましくは、100μJよりも大きいことが測定されている。
【0051】
図4は、スイッチ48の可能な実施の形態をより詳細に示す。ここで、スイッチ48は、磁気スイッチである。さらに詳しくは、示される具体例において、スイッチ48は、「リード(Reed)」スイッチとして知られるスイッチである。それは、それぞれの移動ブレード84、86にそれぞれ電気的に接続された2つの電気バンプコンタクト80、82を備える。ブレード84、86は、それぞれ電気接点84A、86Aで終端化されている。ブレード84、86は、以下の状態に接点84A、86Aを変位させるのに適している。
‐絶縁媒体によって、これらが互いに機械的に分離され、バンプコンタクト80、82を電気的に絶縁する開状態
‐これらが互いに直接機械的に支えあい、バンプコンタクト80、82を電気的に接続させる閉状態
【0052】
絶縁媒体は、例えば、電気絶縁ガス又は液体、又は非常に低圧、すなわち、10Pa、100Pa又は0.1Paより低い圧力のガスである。
【0053】
バンプコンタクト80、82は、回収回路30の他の部分に接続されている。
【0054】
ブレード84、86は、磁性材料により製造されている。例えば、磁性材料は、磁場のゼロ周波数に対して100又は1000より大きい比誘電率(relative permeability)を示す。これらは、原則的に、図4の矢印Fによって示される作動の共通の方向に平行に延びている。
【0055】
スイッチ48中の磁場が作動の構成に近づいたとき、この磁場によってもたらされる力は、開状態から閉状態へと接点84A、86Aを変位させることができる。逆に、作動の構成以外では、スイッチ中の磁場は、閉状態に接点84A、86Aを保持するには不十分である。
【0056】
当業者は、磁石の周囲の磁場マッピングが単一の方向に限定されず、磁気スイッチの感度は、とりわけ振幅、方向、可逆性(又は、ヒステリシス)の観点から複雑であることを理解している。しかしながら、彼又は彼女は、磁石とそれに応じたスイッチの位置を適合させることを知っている。従って、以下、本明細書では、簡単にするために、スイッチ48の磁場の振幅がF方向の切替閾値Sを超えたときに、作動構成に達するものとする。逆に、簡単にするため、F方向に平行な磁場の振幅がこの閾値Sより低い場合、接点84A、86Aはブレード84、86の弾性変形により、閉状態から開状態へ変位し、開状態を維持するものとする。従って、スイッチ48は、通常開スイッチである。スイッチ48がその開状態からその閉状態となる閾値Sの値は、スイッチ48の磁場への感度を決定する。スイッチ48は、発生源4に対して自由度なしで固定されている。スイッチ48の場合、作動の方向は、X方向に平行である。さらに、その感度は、成分Bの振幅が閾値Sを超える端子22上の過剰電荷に対応する振幅に達した瞬間にのみ、接点84A、86Aが開状態から閉状態へと変位するように選択される。従って、スイッチ48の切替えは、発生源4に直接制御される。具体的には、発生源4及びコンバータ20について、端子22上の過剰電荷は、磁石8の磁気モーメントがX方向に平行であるときに最大となる。従って、スイッチ48の感度は、磁石8の磁気モーメントがX方向に並ぶとき、プラスマイナス30°、好ましくはプラスマイナス5°までの範囲内のときのみに後者が閉状態となるように選択される。スイッチ56は、スイッチ48と同一である。スイッチ52、54は、その作動方向がX方向に平行ではなくY方向に平行であることを除いて、スイッチ48と同一である。
【0057】
ここで、スイッチ48及び56、スイッチ52及び54の作動方向間の角度オフセットは、端子22及び24上の過剰電荷の変動間の角位相シフトの値と等しい。
【0058】
発電機2の動作について、図5の方法を用いて、図6、7を参照して説明する。
【0059】
ステップ90において、恒久的に、発生源4は可変磁界を発生する。ここで、磁場の方向のみが、成分B及びBの振幅が90°の角度だけ位相シフトするように、経時変化する。
【0060】
並行して、ステップ92において、コンバータ20は、恒久的に可変磁場の変化をその端子22及び24上の、対応する電荷の量の変化に変換する。
【0061】
これらのステップ90及び92に並行して、回収回路30の制御が行われる。このため、具体的には、回収回路30は、過剰が最大値となるときのみに、端子22と24に交互に蓄積された過剰電荷を回収するように制御される。
【0062】
最初に、磁石8の磁気モーメントがX、Y方向の中間の方向にある、すなわち、X方向にも並行でなく、Y方向にも並行でなく、X方向に向かって回転する。成分B、Bの振幅は、スイッチの切替閾値Sを下回る。この状態において、ステップ96では、発生源4は、スイッチ48、52、54、56を開状態に制御し、そしてこれらのスイッチを開状態に維持する。従って、回収回路は、図2に示されるレスト状態となる。このレスト状態では、端子22、24は端子44、46から電気的に絶縁されている。このため、コンバータ20によって生成された電荷は、端子22に蓄積される。
【0063】
そして、磁石8の方向は、X方向に平行になる。端子22に蓄積された過剰電荷は最大となる。実質的に、磁石8のモーメントがX方向に平行となるとき、これはX方向における層70の最大変形に対応する。このとき、成分BXの振幅は、スイッチ48、56の切替閾値Scを超える。ステップ98において、発生源4は、その後これらのスイッチ48、56を閉状態に切り替える制御を行う。回収回路30は、図6に示される、放電の第1状態へと切り替わる。端子22に存在する電荷は、これらを蓄積するキャパシタ3に転送される。図6、7において、電荷のこの転送に対応する電流の流れる方向は矢印Iで示される。これらの同じ図において、磁石8の磁気モーメントの方向は矢印Bで示される。
【0064】
その後、磁石8は、今回はY方向に向かって回転を続ける。これにより、磁石8の磁気モーメントの方向は中間位置に戻る。成分BX、BYの振幅は、スイッチ48、52、54、56の閾値Scを下回る。ステップ100では、発生源4は、その後、スイッチを開状態へと切り替える制御を行う。回収回路30は、図2に示されるそのレスト状態に戻る。
【0065】
最後に、磁石8の磁気モーメントがY方向に平行になるとき、これはY方向における層70の最大変形に対応し、端子24上の最大過剰電荷に対応する。
【0066】
同時に、成分BYの振幅がスイッチ52、54のみの閾値Scを超える。そして、ステップ102において、発生源4はこれらのスイッチの閉鎖を制御する。回収回路30は、図7に示される放電の第2の状態へと切り替わる。この状態では、端子24上に蓄積された電荷は、これらを蓄積するキャパシタ3の端子49Aへと転送される。
【0067】
磁石8の磁気モーメントの方向は、再びX方向へと近づくように回転を続ける。その後、ステップ96へと戻る。
【0068】
図8は、ハーベスタ6がエネルギーハーベスタ112によって置き換えられている以外は発電機2と同一の発電機110を示す。ハーベスタ112は、回収回路30が回収回路114によって置き換えられている以外はハーベスタ6と同一である。
【0069】
回収回路114は、同じ入力端子40、42、同じ出力端子44、46を備えている。また、これは、入力端子40と接続点120との間に並列に接続された2つのブランチ116、118を備えている。ブランチ116は、ダイオード124と直列に直接接続されたスイッチ122を備える。スイッチ122は、例えば、スイッチ48と同一のものである。ダイオード124のアノードがスイッチ122に直接接続されている。
【0070】
ブランチ118は、ダイオード128と磁気スイッチ130に直列に接続されたスイッチ126を備える。スイッチ126は、例えば、スイッチ52と同一である。ダイオード128のカソードが、スイッチ126に直接接続されている。ダイオード128のアノードは、磁気スイッチ130に直接接続されている。磁気スイッチ130は、通常閉磁気スイッチであり、すなわち、このスイッチ130は、その作動方向に沿った磁場の振幅がその切替閾値Sを下回る限り開状態である。
【0071】
点120は、コイル132を介して端子42、46に電気的に接続されている。この点120は、また、蓄積された電荷を開放するため、スイッチ134を介して出力端子44へ接続されている。
【0072】
コイル132は、それを流れる電流の強度、及びその巻数に比例する磁場を生成する。スイッチ134は通常開磁気スイッチであり、系統的にスイッチ130が開状態の時に閉状態に切り替わり、逆もまた同様である。この目的のために、例えば、磁気スイッチ130、134は共通の磁気ブレードを有する。
【0073】
ここで、これらのスイッチ130、134の切替えがこのコイルによって生成された磁場のみにより制御されるように、スイッチ130、134はコイル132によって生成される磁場中に配置される。これらスイッチのコイルに対する配置の例について、図9を参照して詳細に説明する。
【0074】
ここで、作動の方向、コイル132の巻数、スイッチ130、134の感度は、コイル132を流れる電流の強度が所定の閾値Sbを超えた時のみにこれらの磁気スイッチ130、134を切り替えるために、例えば、トライアンドエラーによって決定される。この閾値Sbは、閾値Sよりも数倍大きい、端子22上に存在する過剰電荷の閾値Sに対応して決定される。実際には、コイル132中の電流の強度は、端子22、24間に蓄積された過剰電荷に正比例する。
【0075】
図9は、コイル132とこのコイルに対するスイッチ134の配置を詳細に示す。ここで、コイル132は、巻軸140に巻かれている。スイッチ134は、その作動の方向が、この巻軸に結合されるようにコイル132の巻線内に配置される。図9の簡略化のため、スイッチ130の位置は示されていない。スイッチ130は、スイッチ134について説明したのと同様に配置される。図9において、コイル132の外側の磁力線は、線CMによって表されている。
【0076】
発電機110の動作について図10の方法及び図11〜13を参照して説明する。図10の方法は図5の方法と同じステップ90、92を含む。
【0077】
回収回路の制御は、以下のように行われる。
【0078】
最初に、コンバータ20が完全に放電され、発生源4によって生成された磁場のB方向はX、Y方向間の中間位置であり、X方向に向かって回転するものとする。これらの条件では、成分BX、BYの振幅はスイッチ122、126の閾値Scを下回っている。ステップ150において、発生源4は、これらのスイッチをその開状態へと制御する。そして、回収回路114は、図8に示されるレスト状態となる。図5の方法で前述したのと同じように、このレスト状態において、コンバータ20は、接続端子22上に生成する過剰電荷を蓄積する。
【0079】
そして、磁場のB方向は、X方向に平行となる。これに応じて、ステップ152では、発生源4は、スイッチ122の閉鎖を制御する。回収回路114は、その後、図11に示される放電の第1の状態へ切り替える。端子22に蓄積された電荷は、コイル132を介して端子24へと転送される。これは、コイル132を流れる電流を生成する。回収回路114を流れる電流の方向は、図11〜13において矢印Iで示される。磁石8の磁気モーメントの方向は、これら同じ図において矢印Bで示される。
【0080】
その後、磁石8の磁気モーメントの方向は回転を続け、再度X方向を離れ、Y方向へと近づく。成分BX、BYの振幅は、スイッチ122、126の閾値Scを下回る。従って、発生源4は、ステップ154において、スイッチ122を開状態へ切り替え、スイッチ122、126を開状態で維持する。このため、図8に示される回収回路114のレスト状態へと戻る。端子24に蓄積された過剰電荷は、B方向がY方向に近づくのに応じて増加する。しかしながら、この実施の形態において、生成された新たな過剰電荷は、ステップ152で転送された過剰とともに蓄積される。
【0081】
その後、B方向は、Y方向に平行となる。成分BYの振幅は、スイッチ126の閾値Scを超える。発生源4は、ステップ156において、スイッチ126を閉状態へと切り替える制御を行う。回収回路114は、図12に示される放電の第2の状態へと切り替える。端子24に蓄積された電荷は、コイル132を介して端子22へと転送される。
【0082】
そして、B方向は再度Y方向を離れ、X方向に近づく。そして、ステップ150へと戻る。
【0083】
ステップ150から156は、端子22、24に交互に蓄積された過剰電荷を増加させ、ステップ152、156でコイル132に流れる電流の強度を増大させるために、何度も繰り返される。
【0084】
並行して、ステップ158では、コイル132を通過する電流の強度が閾値Sbに近づいたとき、コイル132はスイッチ130、134をそれぞれ開、閉状態へと切り替える制御を行う。回収回路114は、その後、図13に示されるように、キャパシタ3へ蓄積された過剰電荷を開放する状態へと切り替えられる。コンバータ20によって蓄積された電荷は、キャパシタ3へと転送される。
【0085】
図14は、スイッチ52、54、56が省略されている点を除き、回収回路30と同様の回収回路170を示す。この回収回路170は製造が容易であるが、その横方向の変形(transverse deformation)ではなく、コンバータ20の最大の縦方向の変形(longitudinal deformation)によって生成された過剰電荷の転送のみが可能である。さらに、好ましくは、このダイオードにより生じる電圧降下を避けるために、制御可能なスイッチ172がダイオード60に並列に接続されている。この目的のために、スイッチ172は、以下のように制御される。
‐ダイオード60が流れるのと同時に閉じ、そして交互に
‐ダイオード60が流れないときに開く
【0086】
例えば、スイッチ172は、通常開磁気スイッチであり、その閉鎖は制御コイルによって制御される。制御コイルとスイッチ172は、図9を参照して説明したように配置されうる。ここで、制御コイルはコイル58である。
【0087】
図15は、スイッチ52、54、56及びダイオード60が、コンバータ20の放電によって生成される電流を整流可能なダイオードブリッジ176により置き換えられた点を除いて、回収回路30と同様な回収回路174を示す。
【0088】
ダイオードブリッジ176は、端子44、46間に並列に電気的に接続された第1及び第2のブランチを備える。第1のブランチは、中間点178Aを介して直列に接続された2つのダイオードを備えている。第2のブランチは、中間点178Bを介して直列に接続された2つのダイオードを備えている。中間点178Aは、恒久的にスイッチ48の一つの電気接点に直接接続されている。中間点178Bは、例えば、図15においては示されていないインダクタンスを介して、恒久的に回収回路の端子42に接続されている。
【0089】
図16は、以下の点を除き、発電機2と同様な発電機180を示す。
‐発生源4は、採取されるエネルギーの発生源182に置換されている
‐制御装置34は、制御装置184に置換されている
‐コンバータ20はコンバータ186に置換されている
【0090】
ここで、採取されるエネルギーの発生源182は、コンバータ186が浸漬される周囲媒質の温度変化を生成する発生源である。例えば、それは、コンバータ186に交互に近づき、離れる熱い物体、又は、物体の温度変化でありうる。従って、この実施の形態では、発生源182は、回収回路30のスイッチを制御するのに必要な可変磁場を直接生成しない。この実施の形態では、発生源182及び制御装置184は2つの別個の要素である。
【0091】
コンバータ186は、温度変化を、端子188、189上に交互に、対応する過剰電荷へと変換する。これらの端子188、189は、それぞれ回収回路30の端子40、42に直接接続されている。
【0092】
図17は、装置184とコンバータ186の詳細な実施の形態を示す。
【0093】
コンバータ186は、フレーム190を備える。はり194の近接端192は、このフレーム190に自由度なしで固定されている。このはり194は、圧電材料からなるプレート196を備えている。はり194の遠心端198は、ワイヤ200の端部に自由度なしで結合されている。はり194は、湾曲しているアクティブ状態とY、Z平面で水平に延びるレスト状態との間で変位可能である。アクティブ状態は、図17において実線で示されており、レスト状態は破線で示されている。
【0094】
ワイヤ200の他端は、フレーム190に自由度なしで固定されている。これら2つの端部の間で、ワイヤ200は、2つのプーリ202、204の溝に支えられている。これらの回転軸は、X、Y方向に直交し、フレーム190に固定されている。ワイヤ200は、形状記憶材料により製造されている。ここで、形状記憶材料は、10℃又は20℃の温度変化に応じて少なくとも1%より大きい伸度を示す。形状記憶材料の組成は、ワイヤが、TminとTmaxの間にある、好ましくは、(Tmin+Tmax)/2±15又は25%以内に等しい、遷移温度Tf前後で、展開状態から収縮状態へと切り替えるように選択される。Tmin、Tmaxは、それぞれ発生源182の温度が変化する最低、最大温度である。プレート196のワイヤ200との組立は、温度Tfで、ほとんど応力がプレート196にかからないように製造される。したがって、コンバータ186は、そのアクティブ状態において端子188上に過剰電荷を、レスト状態の時に端子189上に逆の過剰電荷を生成する。
【0095】
このはりのレスト状態に対して圧力を与えるために、ばね206もまた、はり194とプレート196との間に収容されている。このようなコンバータは、以下の文献A2に詳細に記載されている。
D. Zakharov, G. Lebedev, O. Cugat, J. Delamare, B. Viala, T. Lafont, L. Gimeno and A. Shelyakov著, 「Thermal energy conversion by coupled shape memory and piezoelectric effects」、PowerMEMS ’11、Seoul、Korea、JMM 2012
【0096】
制御装置184は、はり194がアクティブ状態の時にX方向に平行であり、はり194がレスト状態の時にY方向に平行な磁場を生成する可変磁場源を備える。コンバータ186によって生成された電荷を消費することなくこれを実行するために、制御装置184の磁場源は、採取されるエネルギーから直接可変磁場を生成するのに適した第2のコンバータを備える。この第2のコンバータは、以下を備える。
‐発生源182の温度変化をこのトランスデューサの変形へと変換するのに適した熱機械トランスデューサ
‐このトランスデューサに機械的連結部を介して固定され、後者の変形と同時に変位する永久磁石210。
【0097】
この具体的な実施の形態においては、熱機械トランスデューサはワイヤ200である。従って、同じ熱機械トランスデューサがコンバータ186と制御装置184とに用いられる。
【0098】
ここでは、例として、磁石210がプーリ202に直接固定され、このプーリによって、磁気モーメントがX方向に平行な状態と磁気モーメントがY方向に平行な逆状態と交互に駆動される。例えば、プーリ202の直径は、はりがそのレスト状態からアクティブ状態へと変位した時に、1/4回転するように選択される。また、磁石210は、このプーリの角変位を増幅するように、機械的連結部によってプーリ202に機械的に接続されうる。
【0099】
回収回路30の動作は前述と同様である。従って、発電機180の動作に特有の詳細のみについて説明する。温度が増加すると、ワイヤ200は収縮する。はり194は、湾曲し、アクティブ状態となる。これに応じて、プレート196は、端子188上に過剰電荷を生成する。はり194がアクティブ状態に近づくと、磁石210の磁気モーメントの方向はX方向に並ぶ。このため、コンバータ186によって生成される電荷は、端子188上に生成された過剰電荷が最大値に近づいたときのみにキャパシタ3へと転送される。
【0100】
温度が減少すると、ワイヤ200が緩み、同時に、磁石210が逆方向に回転する。同時に、コンバータ186は、端子189上に過剰電荷を生成する。磁石210の磁気モーメントの方向がY方向に近づいたときに、端子189上に生成された過剰電荷は自動的にキャパシタ3へと転送される。
【0101】
他の多くの実施の形態が可能である。例えば、キャパシタ3は、バッテリに置き換えることができる。キャパシタ3は、また、電気エネルギーを蓄積する容量を有してない電気素子に置き換えることも可能である。例えば、キャパシタ3は、受け取った電気エネルギーを消費する負荷に置き換えられる。それは、抵抗負荷でありうる。後者の場合、インダクタンス58、132は省略可能である。
【0102】
採取されるエネルギーの発生源の変形例
【0103】
採取されるエネルギーの発生源は、押しボタンのような部分の機械的変位であってもよい。この場合、第1のコンバータは、この部分の変位がこの電気機械トランスデューサにかかる機械的応力を変化させるように、この部分に直接結合された電気機械トランスデューサのみを含むことができる。この場合、制御装置のトランスデューサは、例えば、この部分の変位がこの永久磁石の変位を駆動し、磁気スイッチの切替えを制御する可変磁場を生成するように配置された部分に、永久磁石を機械的に連結することによって製造される。前述の他の制御装置もまた実現可能である。
【0104】
発生源により生成された可変磁場は、軸上で回転するように取付けられた永久磁石により生成される磁場である必要はない。例えば、前述のものは、成分B、Bの一方の振幅のみが時間とともに変化する場合にも適用される。例えば、永久磁石がX方向に平行な移動のみ変位する部分に取付けられる場合も取りうる。可変磁場を生成する採取されるエネルギーの発生源は、時折電流により電力が供給されるコイルや、時間とともに強度が変化する電流が流れる単純な電気コンダクタでもありうる。
【0105】
コンバータの変形例
【0106】
コンバータ20の他の可能な実施の形態は、前に参照した文献A1や、米国特許出願公開2004/0126620号明細書に記載されている。
【0107】
コンバータ20の電気機械トランスデューサは、必ずしも圧電材料からなる必要はない。例えば、変形例として、電気機械トランスデューサはキャパシタや機械的変位に応じて変化するキャパシタンスから製造されてもよい。典型的に、キャパシタは、誘電材料によって他方から分離された2つの移動電極を備える。電極が変位するとき、キャパシタのキャパシタンスは変化する。電極の変位は、以下によって動作する。
‐磁場の変化を電荷の変化に変換する磁歪材料
‐温度変化を電荷の変化に変換する熱機械トランスデューサ
‐機械的変位を電荷の変化に変換するボタンの機械的変位
【0108】
具体的な実施の形態において、キャパシタの電極は磁歪材料により製造される。この場合、所定の方向の磁場の振幅の変化は、電極の表面領域、ひいてはこのキャパシタのキャパシタンスの変化となる。
【0109】
他の変形例では、標準電極と、誘電率が磁場に応じて変化する誘電体とがキャパシタとして選択される。誘電体は、例えば、BiFeO3でありうる。この場合、磁場の変化は、キャパシタのキャパシタンスの変化となる。
【0110】
キャパシタのキャパシタンスの変化は、例えば、エレクトレットを備える装置などの電子デバイスによって電荷の生成へと変換される。キャパシタンスの変化からの電気の生成及びエレクトレットの使用は、例えば、以下の文献に記載されている。
S. Boisseau、G. Despesse、A. Sylvestre著、「Optimization of an electret-based energy harvester」、Smart Material and Structures、2010、19 075015、IOP Publishing Ltd.
【0111】
コンバータ20の磁歪材料は、負の磁歪係数を有する材料であってもよい。また、等方性又は異方性の磁歪係数を有する材料であってもよい。
【0112】
コンバータ20は、このコンバータの接続端子間に並列に接続されたトランスデューサの複数のアセンブリを備えることができる。例えば、コンバータ20は、図3を参照して説明されるものと同一であるが、第1のアセンブリの長手方向に対して水平面において角度オフセットされた長手方向を有する第2のアセンブリを含みうる。これらのアセンブリの長手方向が90°オフセットされている場合、回収回路と制御装置は前述したように動作する。長手方向が90°以外の角度αだけオフセットされている場合、スイッチ52、54の作動方向は、XY平面において、スイッチ48、56の作動方向に対して同じ角度αだけオフセットされなければならない。このため、この例から、磁気スイッチの作動方向間の角度αは、コンバータによって生成される過剰電荷の変化間の位相シフトに応じで選択されることが理解されるであろう。
【0113】
コンバータ186の他の実施の形態が可能である。例えば、他の実施の形態は、前述した文献A2に記載されている。他の実施の形態は、また、米国特許公開第2011/0083714号明細書、又は、米国特許第7397169号明細書でも見られる。コンバータ186は、熱機械トランスデューサとして銅‐アルミニウムバイメタル板のようなバイメタル板を用いることも可能である。
【0114】
[制御装置の回収回路の変形例]
【0115】
上述の回収回路と制御装置は、磁石8の磁気モーメントの方向がスイッチ48の作動方向に平行になった時のみに接続端子22上に電荷が収集される具体例で説明された。変形例として、回収回路と制御装置は、好ましくは180°の角度部分にわたって均一に分散された、磁石8の磁気モーメントの複数の異なる方向で、端子22上に電荷を収集するのに適用される。このため、追加の磁気スイッチは、それぞれスイッチ48、56に並列に接続される。これらの追加の磁気スイッチは、その作動方向がスイッチ48、56の作動方向に対して角度βだけ角度オフセットされている点を除き、それぞれスイッチ48、56と同一である。例えば、X方向に対して45°だけオフセットされた作動方向を有する磁気スイッチがスイッチ48、56に並列に接続されている場合、端子22上に蓄積される電荷は、以下の場合にキャパシタ3に放電される。
‐スイッチ内の磁石8が生成する磁場がX方向に対して45°の角度を形成する場合、
‐スイッチ内の磁石8が生成する磁場が、X方向に平行な場合。
【0116】
回収回路を改良することなく、上述と同様の機能を得るための他の方案は、磁石8を、複数の異なる方向の磁気モーメントを示すマルチポール磁石に置き換えることからなる。この場合、スイッチ48は、0°から180°の間にある複数のマルチポール磁石の回転角度で閉鎖される。同じ動作は、制御装置のトランスデューサが常に同じ方向に変形する間に、複数回完全に回転するシングルポール磁石でも得られる。例えば、プーリ202の直径は、はり194のアクティブ状態からレスト状態への単一の変位で、磁石210自身が1以上の完全な回転を行うように選択することができる。スイッチ130、134は、必ずしもコイル132の内部にある必要はない。変形例として、これらはこのコイル132の磁場中に配置され、このコイルを形成する巻線の外側に配置される。
【0117】
回収回路170では、ダイオード50は省略可能である。
【0118】
装置184は、永久磁石を変位させる熱機械トランスデューサの具体的な例で説明された。変形例として、熱機械トランスデューサは、永久磁石ではなく、回収回路30のスイッチを変位させる。

【0119】
コンバータ20の例において説明した回収回路の他の実施の形態はまた、コンバータ186や接続端子間に蓄積された電荷の変化として採取されるエネルギーの他のコンバータに関連付けることができる。
【0120】
装置184は、コンバータによって用いられる、同じ磁石又は熱機械トランスデューサを用いる具体的な例について説明された。変形例として、制御装置は、採取されるエネルギーのコンバータによって使用されるものと機械的に独立した自身の磁気又は熱機械トランスデューサを備える。この場合、制御装置は、電荷を生成するのに適した任意の電気機械トランスデューサを有する必要はない。例えば、このコンバータは、形状記憶材料又は磁歪材料のみを含む。
【0121】
コンバータと制御装置を製造するための図17の実施の形態で用いられた形状記憶材料は、圧電材料の層を有するバイメタル板を形成するための強い膨張係数を有する材料で置き換えることができる。他の変形例では、形状記憶材料は、電荷を生成し、磁場変化から回収回路のスイッチを制御する磁歪材料によって置換される。
【0122】
[スイッチの変形例]
【0123】
多数の実施の形態が、磁気スイッチに対して可能である。例えば、磁気スイッチは、仏国特許第2912128号明細書に記載されているように製造することもできる。他の実施形態において、ブレード84又は86の一方のみが可動性であってもよい。好ましくは、これらのスイッチは、同一基板上に製造される。
【0124】
磁気シールドは、特に、スイッチ130及び134の周囲に設けることができる。同様に、採取されるエネルギーの発生源によって生成されたもの以外の磁場から、それらを絶縁するために、磁気シールドをすべてのスイッチの周囲に設けることができる。
【0125】
また、磁場源から磁気スイッチへ磁束をガイドし、集中させる、磁束ガイドを設けることも可能である。例えば、磁束ガイドは、磁気コアである。
【0126】
スイッチ130、134、172又はダイオード60は、トランジスタやサイリスタなどの電子スイッチに置きかることも可能である。
【0127】
どのような機械スイッチであっても、このスイッチの電気接点は必ずしも突出した電気バンプコンタクトによって実現されている必要はない。例えば、電気接点は、変形又は変位し、電気的導通を確立するため、他の電気接点に機械的に当接する素子の領域でありえる。
【0128】
ここで説明した回収回路は、磁気スイッチだけでなく、いかなる種類の制御可能なスイッチでも製造することができる。スイッチが磁気スイッチではない場合、これらのスイッチの制御は、上述のように動作する従来の方法で行うことができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17